JPH0632132A - 減衰力可変ショックアブソーバ及びその制御装置 - Google Patents

減衰力可変ショックアブソーバ及びその制御装置

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Publication number
JPH0632132A
JPH0632132A JP21540492A JP21540492A JPH0632132A JP H0632132 A JPH0632132 A JP H0632132A JP 21540492 A JP21540492 A JP 21540492A JP 21540492 A JP21540492 A JP 21540492A JP H0632132 A JPH0632132 A JP H0632132A
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JP
Japan
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damping force
shock absorber
control valve
passage
control
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Application number
JP21540492A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Kuroyanagi
正利 黒柳
Shuichi Matsumoto
修一 松本
Eiji Teramura
英司 寺村
Kinji Houdaira
欣二 宝平
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 縮み側減衰力を小さく固定したまま、伸び側
減衰力を独立に制御可能な減衰力可変ショックアブソー
バ及び様々な走行状況に応じて伸び側減衰力を制御する
減衰力可変ショックアブソーバ制御装置を提供するこ
と。 【構成】 メインピストン20には大きな流路面積を有
する縮み側主流路41が設けられ、縮み側減衰力は小さ
く固定される。ピストンロッドA30の下端部が筒状に
形成され、筒内に制御バルブ63及び伸び側専用流路5
7が設けてある。伸び側専用流路57はピストンロッド
A30と一体的なピストンロッドC36に設けられた板
状逆止弁59の開閉により上部室2aと連通する。又、
制御バルブ63には伸び側専用孔67が形成されてお
り、制御バルブ63の回動により制御バルブ63内の副
流路50と伸び側専用流路57とを連通又は遮断するこ
とができ、制振と防振とを実用的に両立できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に用いる減衰力設
定の切り替えが可能なショックアブソーバ及びその制御
装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、車両の乗り心地と操縦安定性を
向上させるため、バネ上の絶対速度に比例した減衰力を
発生させるスカイフックダンパが考案されている。この
スカイフックダンパとは、空間の固定点からダンパを吊
るし、このダンパにより車体の振動を抑えることにより
道路の不整を車体に伝達しないようにする理想のダンパ
である。
【0003】ところで、スカイフックダンパに近い特性
をセミアクティブサスペンションにより実現しようとす
る制御方法がKarnoppより提案されている。Ka
rnoppの方法では、図15,図16に示したよう
に、バネ上の絶対速度dX2とバネ上バネ下間の相対速
度dX2−dX1の正負が等しい時、即ち、車体と車輪
とが反対方向に移動する時及び車体と車輪とが同一方向
に移動し且つ車体の移動速度が車輪の移動速度よりも速
い時(減衰力が車体に対して制振作用をする時)はショ
ックアブソーバの減衰力を大きくする。又、上記2つの
速度の正負が異なる時、即ち、車体と車輪とが同一方向
に移動し且つ車輪の移動速度が車体の移動速度よりも速
い時(減衰力が車体に対して励振作用をする時)には減
衰力を小さくする制御を行う。
【0004】即ち、Karnoppの方法では、バネ上
バネ下間の相対速度dX2−dX1が負の時(ショック
アブソーバが縮む時)でもバネ上の絶対速度dX2が負
の時(下向きの時)には、ショックアブソーバの減衰力
を大きくしていた。更に、従来の装置では、車両にバネ
上加速度センサ及びストロークセンサを取付け、バネ上
加速度センサの出力信号を積分することによりバネ上の
絶対速度dX2を検出し、ストロークセンサの出力信号
を微分することによりバネ上バネ下間の相対速度dX2
−dX1を検出していた。そして、バネ上の絶対速度d
X2の正負が変化した場合及びバネ上バネ下間の相対速
度dX2−dX1の正負が変化した場合において減衰力
を変更していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の制御を簡易的に
実現する手段として、特表平1−502972号公報
「機械的衝撃吸収方法並びに吸収装置」にて開示された
ものが知られている。このものは、制振作用のための減
衰力設定を一種類しか有していないため、上述のように
高周波入力が多い時、バネ上振動の制振を優先させ設定
を高減衰力とすると、路面の細かい凹凸による振動を乗
員に伝達し易くしてしまう。即ち、バネ上バネ下間の相
対速度dX2−dX1が負の時(ショックアブソーバが
縮む時)で且つバネ上の絶対速度dX2が負の時(下向
きの時)に減衰力を大きく発生できるようにすると、不
意の路面突起通過時には、ショックが大きく乗員に伝達
され乗り心地が損なわれるという問題点があった。
【0006】又、減衰力の変更即ち、バルブ手段による
流路面積の変更を、バネ上の絶対速度及びバネ上バネ下
間の相対速度のそれぞれの正負の変化に応じて行ってい
る。ここでのバネ上バネ下間の相対速度はバネ下振動の
影響を受け、その周波数は数Hz から数十Hz にまで及
ぶもので、これに追従して流路面積を変更しなければな
らないため高速応答性が要求される。又、バネ上の絶対
速度が小さい場合、不感帯として伸縮両側共に低減衰力
となるようにしているが、この時、伸縮に応じてバルブ
位置を切り替えなければならない。即ち、このもので
は、車両の上下振動が顕著な場合、バルブ位置の切り替
えが頻繁に行われることとなり、作動頻度が多くなり耐
久性や消費電力の点でも問題があった。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、バネ上バ
ネ下間の相対速度dX2−dX1が負の時(ショックア
ブソーバが縮む時)に減衰力を大きくしなくても、又、
バネ上バネ下間の相対速度の変化に応じて減衰力を変更
しなくてもスカイフックダンパに近い特性を実現するこ
とができる減衰力可変ショックアブソーバ及びその制御
装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成における第1の特徴は、作動流体が蓄えら
れたシリンダと、該シリンダ内に慴動自在に設けられ、
該シリンダの内部を上部室と下部室とに区分けするピス
トン部材と、前記上部室から前記下部室への前記作動流
体の流通のみを許容する少なくとも1つの第1の連通路
と、前記下部室から前記上部室への前記作動流体の流通
のみを許容し、所定の大きな流通面積を有する少なくと
も1つの第2の連通路と、前記第1の連通路内に設けら
れ、該第1の連通路の流路面積を変更するバルブ手段と
を備えたことである。
【0009】又、第2の特徴は、作動流体が蓄えられた
シリンダと、該シリンダ内に慴動自在に設けられ、該シ
リンダの内部を上部室と下部室とに区分けするピストン
部材と、前記上部室から前記下部室への前記作動流体の
流通のみを許容する少なくとも1つの第1の連通路と、
前記下部室から前記上部室への前記作動流体の流通のみ
を許容し、所定の大きな流通面積を有する少なくとも1
つの第2の連通路と、前記第1の連通路内に設けられ、
該第1の連通路の流路面積を変更するバルブ手段とを備
えた減衰力可変ショックアブソーバと、バネ上の上下方
向速度を算出する速度算出手段と、該速度算出手段によ
り算出されるバネ上の上下方向速度に応じて前記バルブ
手段を作動し前記第1の連通路の流路面積を変更する流
路面積変更手段とを備えたことである。
【0010】
【作用】
「第1の特徴の作用」上記の手段によれば、ショックア
ブソーバの縮み側は大きな流路面積を有するため、縮み
側減衰力が走行状況に関わらず小さくなる。一方、バル
ブ手段によりショックアブソーバの伸び側の連通路の流
路面積が変更され、伸び側減衰力が可変とされる。即
ち、本発明の減衰力可変ショックアブソーバは、縮み側
減衰力を比較的小さくしたまま、伸び側減衰力を独立し
て変更することができる。
【0011】「第2の特徴の作用」上記の手段によれ
ば、縮み側減衰力を比較的小さく設定したまま、バネ上
の上下方向速度に応じて伸び側減衰力を切り替えるため
の流路面積が変更される。このため、本発明の減衰力可
変ショックアブソーバ制御装置では、不意の路面突起通
過時にもショックが大きく乗員に伝えられることなくシ
ョックアブソーバの減衰力が車両の走行状態に見合うよ
うに制御される。
【0012】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係る減衰力可変ショックアブソ
ーバの全体構成を示したブロックダイヤグラムである。
1は公知の歪みゲージ式加速度センサで、各車輪の図示
しないサスペンションアッパーサポート付近の車体に取
り付けられている。この加速度センサ1は、バネ上の上
下方向加速度を検出し、その検出信号は積分回路2に入
力される。積分回路2では、加速度センサ1からのバネ
上の上下方向加速度信号を積分することによってバネ上
の速度信号V(=dX2)を算出する。制御部5は、積
分回路2からの信号を入力して、アクチュエータ6に制
御信号を出力するもので、算術論理回路として構成され
ている。ショックアブソーバ7に備えられた制御バルブ
63がアクチュエータ6により駆動される。
【0013】次に、ショックアブソーバ7の構造を図2
〜図5を用いて説明する。図2はショックアブソーバ7
を示した縦断面図である。ショックアブソーバ7のシリ
ンダ10の中空間はメインピストン20により上下に区
画されてそれぞれ上部室2a、下部室2bとなってい
る。このメインピストン20は、ナット37によりスペ
ーサなどを介して、メインピストン20の中心を貫通す
るピストンロッドC36に固定されている。ピストンロ
ッドC36は、ピストンロッドA30下端円筒部のネジ
部によって、ピストンロッドA30に螺着固定されてい
る。又、ピストンロッドA30とピストンロッドC36
との間には、2個のOリング90を介して油密的に形成
された、スプリング55と板状逆止弁59を収納してい
るスプリング室57bがある。スプリング55の上端は
ピストンロッドA30に当接し、下端は板状逆止弁59
に当接し、スプリング55は板状逆止弁59を下方に付
勢している。ピストンロッドA30及びピストンロッド
C36にはそれぞれ複数の連通孔57a,57cが設け
てあり、スプリング室57bと共に伸び側専用流路57
を形成している。伸び側専用流路57は、上部室2aか
ら制御バルブ63方向への流入のみを許容する板状逆止
弁59によって開閉される。
【0014】上記メインピストン20には、上部室2
a、下部室2bを連通する比較的流路面積の大きな縮み
側主流路41と比較的流路面積の小さな伸び側主流路4
2が形成されている。縮み側主流路41はメインピスト
ン20の上面に設けた比較的板厚の薄い板状逆止弁48
によって開閉され、伸び側主流路42はメインピストン
20の下面に設けた比較的厚い板状逆止弁49によって
開閉される。ピストンロッドC36内には上部室2aと
下部室2bとの間で作動油の流通を可能とする副流路5
0が形成されている。
【0015】上記ピストンロッドA30の下端部は筒状
に形成され、筒内に制御バルブ63が油密的に且つ回動
自在に嵌合されている。制御バルブ63の上部は中実細
径の棒状になっており、その上端部は、図示しないアク
チュエータ6に接続されている。又、ブッシュ31,3
2はピストンロッドA30に圧入固定されており、その
内径部は制御バルブ63の細径部と回動自在に嵌合され
ている。ブッシュ31の下に配設されるOリング90は
外部との油密性を保つものである。従って、制御バルブ
63はアクチュエータ6を駆動することにより、ピスト
ンロッドA30の中心軸に対し回動可能となっている。
【0016】図3は制御バルブ63の縦断面図である。
この制御バルブ63の下端部は、図示したように中空構
造になっており、副流路50の一部を形成している。図
4は図2のA−A線に沿ったショックアブソーバ7要部
の横断面である。制御バルブ63には1対の多角形の伸
び側専用孔67が形成されており、制御バルブ63の回
動により、副流路50と伸び側専用流路57を連通又は
遮断することができる。連通孔57a、伸び側専用孔6
7はそれぞれ対向されて形成されており、制御バルブ6
3の回転角θの変化に基づいて図5に示したように、連
通面積Sを変えることができる。ここで、連通面積SN
は伸び側最大連通面積を表し、伸び側の最小減衰力を決
定するものである。又、制御バルブ回転角θに対して連
通面積SがゼロからSNに至る道程は、図のように、直
線であっても曲線としても良い。
【0017】制御バルブ63が図4(a) に示した位置の
時は、伸び側専用流路57と副流路50とは制御バルブ
63によって遮断されている。従って、作動油が上部室
2aから下部室2bへ流れる時は流路面積の小さい伸び
側主流路42を通り、下部室2bから上部室2aへ流れ
る時は流路面積の大きい縮み側主流路41を通る。これ
によって、伸び側は大きな減衰力となり縮み側は小さな
減衰力となる。又、制御バルブ63が図4(a) に示した
位置からほぼ90°回動した図4(b) に示した位置の時
は、伸び側専用流路57と副流路50は連通する。従っ
て、作動油が上部室2aから下部室2bへ流れる時は主
に流路面積の大きな副流路50を通り、下部室2bから
上部室2aへ流れる時は先ほどと同じく流路面積の大き
い縮み側主流路41を通る。これによって、伸び側及び
縮み側共に小さな減衰力となる。
【0018】以上のように縮み側の減衰力は常に小さめ
の減衰力に設定したまま、アクチュエータ6により制御
バルブ63を作動せしめて制御バルブ63内の副流路5
0を介した伸び側専用流路57の流路面積を変えること
により伸び側の減衰力を変更することができる。
【0019】以上の構成において、本実施例による減衰
力可変ショックアブソーバの作動と制御部5による制御
について説明する。尚、ここでは、各状態量(車体、車
輪、タイヤの変位、速度及び加速度)は上向きを正にと
る。本実施例の制御においては、車体が上向きの速度を
持ち、ショックアブソーバの減衰力が車体の運動に対し
制振作用をする場合、即ち、ショックアブソーバの減衰
力が車体に対し下向きに作用する場合には減衰力を大き
くする。又、車体が上向きの速度を持ち、減衰力が車体
の運動に対し励振作用をする場合、即ち、ショックアブ
ソーバの減衰力が車体に対し上向きに作用する場合には
減衰力を小さくする。一方、車体が下向きの速度を持つ
時は不意な路面突起通過時に備えて減衰力を小さくした
ままとする。具体的には、バネ上の絶対速度が正の場合
にはショックアブソーバの伸び側減衰力を大きく縮み側
減衰力を小さくすれば良い。即ち、図4(a) に示したよ
うに、制御バルブ63を伸び側専用流路57と副流路5
0を遮断させる位置に設定せしめ、ショックアブソーバ
の伸び側減衰力を大きく縮み側減衰力を小さくすれば良
い。逆に、バネ上の絶対速度が負の場合には制御バルブ
63を回動して伸び側専用流路57と副流路50を連通
させ、伸び側及び縮み側共に小さな減衰力とする。
【0020】次に、制御部5による制御の処理手順を図
6のフローチャートに基づき詳細に説明する。先ず、ス
テップ100で、制御部5の初期化が実行される。次に
ステップ102に移行して、積分回路2からバネ上の絶
対速度dX2に対応するバネ上速度信号Vが取り込まれ
る。次にステップ104に移行して、ステップ102で
取り込まれたバネ上速度信号Vがバネ上速度閾値v1
(v1>0)より大きいか否かが判定される。ステップ
104で、V>v1でありYES と判定されると、ステッ
プ106に移行し、制御バルブ63を閉じ、ショックア
ブソーバの縮み側減衰力を小さくしたまま、伸び側減衰
力を大きくする。即ち、制御バルブ63が図4(a) に示
した位置になるようにアクチュエータ6を駆動させる。
【0021】上述のステップ104で、V>v1でなく
NOと判定されると、ステップ108に移行する。ステッ
プ108では、バネ上速度信号Vがバネ上速度閾値v2
(v1>v2)より大きいか否かが判定される。ステッ
プ108で、V>v2でありYES と判定されると、なに
もせずにステップ102に戻り、上述と同様の処理を繰
り返す。上述のステップ108で、V>v2でなくNOと
判定されると、ステップ110に移行する。ステップ1
10では、不意の路面突起通過時でもショックを吸収で
きるように、伸び側の減衰力が小さくなるように制御バ
ルブ63を開く。即ち、制御バルブ63が図4(a) に示
した位置から時計回りにほぼ90°回動した図4(b) に示
した位置になるよう制御バルブ63を設定する。上述の
ステップ106,110における処理を終了するとステ
ップ102に戻り、以下同様の処理を繰り返す。以上の
処理を実行した場合、バネ上の絶対速度dX2とバネ上
バネ下間の相対速度dX2−dX1と減衰力の関係は図
7に示したようになる。
【0022】次に、従来のショックアブソーバを用いて
Karnoppの方法を実現する場合と、本実施例のシ
ョックアブソーバを用いて本発明の制振制御方法を実施
した場合の違いを図8〜図12を用いて説明する。図8
は、従来のショックアブソーバを用いてKarnopp
の方法を実現するときの減衰力の現れ方を説明するもの
である。図8(a) は、バネ上の絶対速度dX2、図8
(b) は、バネ上バネ下間の相対速度dX2−dX1を示
した説明図である。図8(a) のバネ上の絶対速度dX2
は、バネ上共振周波数付近で振動し、図8(b) のバネ上
バネ下間の相対速度dX2−dX1は、バネ下共振周波
数付近で振動していると仮定している。図8(a),(b) で
示したようにバネ上、バネ下が振動しているとき、スカ
イフックダンパに必要とされる理想的な制振力は、理想
的な減衰係数をC* とすると、図8(c) に示した −C*
・dX2である。ここで、ショックアブソーバにより発
生可能な減衰力はバネ上バネ下間の相対速度dX2−d
X1にある減衰係数Cを掛けたもので−C・(dX2−
dX1)である。減衰力可変ショックアブソーバは減衰
係数CをCmin 〜Cmax まで変化させることができ、発
生できる減衰力は図8(c) のハッチングを施した −Cmax・(dX2−dX1) −Cmin・(dX2−dX1) で囲まれた領域となる。図15,図16で示したよう
な、Karnoppの理論をオン・オフで(Cmin,Cma
x だけを用いて)実現する場合は、減衰力の波形は図8
(d) の実線のようになる。即ち、横軸を境にして、理想
的な制振力 −C*・dX2と減衰力が同方向にある時に
は減衰力を制振力として利用できるため減衰力をで示
したように最大とし、理想的な制振力 −C*・dX2と
減衰力が逆方向にある時には減衰力は励振力として働く
ため減衰力をで示したように極力抑えるものである。
【0023】従って、従来のショックアブソーバを用い
てKarnoppの方法を実現するためにはバネ上の絶
対速度dX2の正負が変わる時点(図8(d) の白丸○の
時点)と、バネ上バネ下間の相対速度dX2−dX1の
正負が変わる時点(図8(d)の黒丸●の時点)とで減衰
係数Cを切り替えなくてはならない。しかるに、実際に
はアクチュエータ6の応答遅れにより減衰力を図8(d)
の実線のような波形に制御するのは困難である。又、た
とえKarnoppの理論に忠実に図8(d) の実線の減
衰力波形が実現できたとしても、この波形自体が理想的
な制振力 −C*・dX2とは大きくかけ離れた物であ
り、制振効果は図8(d) ので示した励振力と図8(d)
ので示した制振力との平均的な差で表れるものであ
る。更に、ショックアブソーバが縮み側の挙動であると
き、即ち、減衰力が車体に対し上向きに作用する時に、
制振効果を発揮するため図8(d) ののように減衰力を
大きくすると、不意の路面突起通過時に、大きな突き上
げショックが乗員に与えられてしまう。本発明は、一般
の振動は片方の移動時のみにダンピング効果を与えれば
制振効果を与えられることに着目し、上記の問題点を解
決しようとするものであり、そのために、不意の路面突
起入力が与えられるショックアブソーバ縮み時には制振
制御を行わず、ショックアブソーバの伸び時の制御のみ
で制振効果をあげるものである。
【0024】本発明の減衰力特性例を図9に、図8(d)
に対応する減衰力波形を図10に示した。本発明では、
図8(d) ののような乗員ショックを無視した制振制御
を行わず、ショックアブソーバの伸び縮みに対しての減
衰力切り替え(黒丸●時点の切り替え)が不要であるた
め、図10の白丸○の時点で制御バルブ63を切り替え
るのみで良い。図9,図10で示したものは、ショック
アブソーバの伸び時のみで制振効果をあげ、縮み時には
防振効果(励振防御)に徹した制御を行うことを意味し
ている。
【0025】又、図9,図10では、縮み時にはまった
く制振効果を与えられないが、図11に示したように、
不意の路面突起通過時の乗員ショックが許容できる範囲
で、小さな減衰力である縮み時の減衰力を多少大きめに
設定するか、又は、伸び時の小さい方の減衰力をより小
さく設定しておけば、図12のとのように伸び時の
制振力と励振力に差をつけながら縮み時の制振力
と励振力にも差をつけることができ、縮み時にも多少
の制振効果を与えることが可能である。
【0026】以上、本実施例においては、バネ上の加速
度センサ1からの信号のみで、ショックアブソーバの減
衰力を変更することができる。この減衰力の変更は、バ
ネ上の上下方向の速度のみを判定すれば良いので高速追
従性を必要としない。そして、バネ上の上下方向の速度
が正の時にスカイフックダンパに近い制御を実現し、バ
ネ上の上下方向の速度が負の時にスカイフックダンパの
欠点である不意の路面突起通過時のショックを緩和でき
るため、アクチュエータ6の作動頻度を低減し耐久性能
を向上した状態で制振と防振とを実用的に両立すること
ができる。
【0027】尚、本実施例においては、積分回路2が速
度算出手段に相当し、制御部5が流路面積変更手段に相
当し、制御バルブ63がバルブ手段に相当し、伸び側主
流路42及び伸び側専用流路57が第1の連通路に相当
し、縮み側主流路41が第2の連通路に相当する。
【0028】次に、制御部5の第2実施例を図13及び
図14を用いて説明する。図13に制御部5による制御
の処理手順の第2の実施例におけるフローチャートを示
した。図2に示したショックアブソーバ7は制御バルブ
63の回動位置を制御することにより、図14に示した
ように、連通孔57aと副流路50との連通状態を半開
(半クローズ)状態に設定することが可能である。この
状態は伸び側減衰力を中間の大きさに設定することに相
当しスカイフック制御時の制振量を車速などによって変
更できることを意味する。図13は、車速が高い時はよ
り大きな制振効果を発揮させ、車速が低い時には防振を
重視した、スカイフック制御を実現するものである。
【0029】先ず、ステップ200で、制御部5の初期
化が実行される。次にステップ202に移行して、積分
回路2からバネ上速度信号Vが取り込まれる。次にステ
ップ204に移行して、車体速度信号Uが取り込まれ
る。次にステップ206に移行して、バネ上速度信号V
がバネ上速度閾値v1(v1>0)より大きいか否かが
判定される。ステップ206で、V>v1でありYES と
判定されると、ステップ208に移行し、車体速度信号
Uが車体速度閾値u1(u1>0)より大きいか否かが
判定される。ステップ208で、U>u1でありYES と
判定されると、ステップ210に移行し、制御バルブ6
3を閉じ、ショックアブソーバの縮み側減衰力を小さく
したまま、伸び側減衰力を大きくする。即ち、制御バル
ブ63が図4(a) に示した位置になるようにアクチュエ
ータ6を駆動させる。
【0030】上述のステップ208で、U>u1でなく
NOと判定されると、ステップ212に移行する。ステッ
プ212では、制御バルブ63を略半分閉じ、ショック
アブソーバの縮み側減衰力を小さくしたまま、伸び側減
衰力を中間の大きさにする。即ち、制御バルブ63が図
14に示した位置になるようにアクチュエータ6を駆動
させる。
【0031】又、上述のステップ206で、V>v1で
なくNOと判定されると、ステップ214に移行する。ス
テップ214では、バネ上速度信号Vがバネ上速度閾値
v2(v1>v2)より大きいか否かが判定される。ス
テップ214で、V>v2でありYES と判定されると、
なにもせずにステップ202に戻り、上述と同様の処理
を繰り返す。上述のステップ214で、V>v2でなく
NOと判定されると、ステップ216に移行する。ステッ
プ216では、不意の路面突起通過時でもショックを吸
収できるように、伸び側の減衰力が小さくなるように制
御バルブ63を開く。即ち、制御バルブ63が図4(a)
に示した位置から時計回りにほぼ90°回動した図4(b)
に示した位置になるよう制御バルブ63を設定する。上
述のステップ210,212,216における処理を終
了すると、ステップ202に戻り、以下同様の処理を繰
り返す。
【0032】以上から分かるように、図2の構成におい
て、アクチュエータ6により制御バルブ63の回動位置
を制御することにより、縮み側減衰力を小さくしたまま
伸び側減衰力を任意に制御することもできる。
【0033】本発明の減衰力可変ショックアブソーバ
は、上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を
逸脱しない限り例えば、以下の如く種々変形可能であ
る。 (1) 車両に車輪速度センサ又は車速センサを取り付け、
このセンサから出力される信号に基づいて、車両の速度
が所定値以上の時は走行安定性を保つため、伸び側の減
衰力が大きくなるようにしても良い。 (2) 加速度センサ1によって検出されたバネ上加速度信
号のうちバネ上共振周波数付近の成分を取り出すローパ
スフィルタを設け、このローパスフィルタからの出力信
号に応じて制御をおこなっても良い。
【0034】尚、本発明の減衰力ショックアブソーバ
は、各車輪独立に制御を行うものであり、バネ上の絶対
速度dX2とは、各車輪のサスペンションアッパーサポ
ート付近の車体の上下方向絶対速度のことである。又、
バネ上バネ下間の相対速度dX2−dX1とは、ショッ
クアブソーバ伸縮速度と考えても良い。又、一般的にシ
ョックアブソーバの減衰力は、ショックアブソーバの伸
縮速度に依存するが、本明細書における「減衰力を大き
く」、「減衰力を小さく」、「減衰力の変更」等の表現
は、制御における減衰力の設定の変更を意味している。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力可
変ショックアブソーバ及びその制御装置は、バネ上バネ
下間の相対速度に関係なくショックアブソーバの減衰力
を変更できるため高速応答性を必要とせず、減衰力変更
の頻度を少なくできる。又、バネ上の上下方向速度が正
の時には、スカイフックダンパの効果を重視した制御が
実現できる。逆に、バネ上の上下方向速度が負の時に
は、スカイフックダンパの欠点である不意の路面突起通
過時のショックを緩和した乗り心地を重視した制御が実
現できる。これにより、本発明の減衰力可変ショックア
ブソーバ及びその制御装置は、制振と防振とを実用的に
両立できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る減衰力可変シ
ョックアブソーバの全体構成を示したブロックダイヤグ
ラムである。
【図2】同実施例に係るショックアブソーバの構造を示
した縦断面図である。
【図3】図2の制御バルブの縦断面図である。
【図4】図2のA−A線に沿ったショックアブソーバ要
部の横断面図である。
【図5】同実施例に係る制御バルブの回転角と連通面積
との関係を示した特性図である。
【図6】同実施例に係る制御部が実行する処理手順を示
したフローチャートである。
【図7】同実施例に係るバネ上の絶対速度とバネ上バネ
下間の相対速度と減衰力の関係を示した特性図である。
【図8】スカイフック制御時の減衰力波形を示した説明
図である。
【図9】ショックアブソーバの減衰力特性を示した特性
図である。
【図10】図9のショックアブソーバによるスカイフッ
ク制御時の減衰力波形を示した説明図である。
【図11】ショックアブソーバの減衰力特性の他の実施
例を示した特性図である。
【図12】図11のショックアブソーバによるスカイフ
ック制御時の減衰力波形を示した説明図である。
【図13】本発明に係る制御部が実行する処理手順の第
2の実施例を示したフローチャートである。
【図14】図13の制御バルブ半クローズに対応したシ
ョックアブソーバ要部の横断面図である。
【図15】Karnoppの減衰力制御方法を示した説
明図である。
【図16】Karnoppの制御におけるバネ上の絶対
速度とバネ上バネ下間の相対速度と減衰力の関係を示し
た特性図である。
【符号の説明】
1…加速度センサ 2…積分回路(速度算出手段) 5…制御部(流路面積変更手段) 6…アクチュエータ 7…ショックアブソーバ 10…シリンダ 20…メインピストン(ピストン部材) 41…縮み側主流路(第2の連通路) 42…伸び側主流路(第1の連通路) 50…副流路 57…伸び側専用流路(第1の連通路) 63…制御バルブ(バルブ手段) 67…伸び側専用孔 2a…上部室 2b…下部室
フロントページの続き (72)発明者 宝平 欣二 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動流体が蓄えられたシリンダと、 前記シリンダ内に慴動自在に設けられ、該シリンダの内
    部を上部室と下部室とに区分けするピストン部材と、 前記上部室から前記下部室への前記作動流体の流通のみ
    を許容する少なくとも1つの第1の連通路と、 前記下部室から前記上部室への前記作動流体の流通のみ
    を許容し、所定の大きな流通面積を有する少なくとも1
    つの第2の連通路と、 前記第1の連通路内に設けられ、該第1の連通路の流路
    面積を変更するバルブ手段とを備えたことを特徴とする
    減衰力可変ショックアブソーバ。
  2. 【請求項2】 作動流体が蓄えられたシリンダと、該シ
    リンダ内に慴動自在に設けられ、該シリンダの内部を上
    部室と下部室とに区分けするピストン部材と、前記上部
    室から前記下部室への前記作動流体の流通のみを許容す
    る少なくとも1つの第1の連通路と、前記下部室から前
    記上部室への前記作動流体の流通のみを許容し、所定の
    大きな流通面積を有する少なくとも1つの第2の連通路
    と、前記第1の連通路内に設けられ、該第1の連通路の
    流路面積を変更するバルブ手段とを備えた減衰力可変シ
    ョックアブソーバと、 バネ上の上下方向速度を算出する速度算出手段と、 前記速度算出手段により算出されるバネ上の上下方向速
    度に応じて前記バルブ手段を作動し前記第1の連通路の
    流路面積を変更する流路面積変更手段とを備えたことを
    特徴とする減衰力可変ショックアブソーバ制御装置。
JP21540492A 1992-07-20 1992-07-20 減衰力可変ショックアブソーバ及びその制御装置 Pending JPH0632132A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6103034A (en) * 1996-10-08 2000-08-15 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method and apparatus for welding hard resin product to substrate, method of manufacturing window glass and window glass
US7686266B2 (en) 2004-05-14 2010-03-30 3M Innovative Properties Company Three legs clip for windshield (article support)
KR101280694B1 (ko) * 2011-09-05 2013-07-05 현대위아 주식회사 항공기 완충장치용 3단 유압 댐핑 밸브장치

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US7686266B2 (en) 2004-05-14 2010-03-30 3M Innovative Properties Company Three legs clip for windshield (article support)
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