JPH0616043U - 印刷機のインキ供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で、比較的硬いインキでも使用が
可能なインキ供給装置を提供すること。 【構成】 皿部24を有し、機枠に設置されたファウンテ
ン23と、このファウンテンの皿部内に位置するように回
転可能に支持されたファウンテンローラ４と、このファ
ウンテンローラに接触する計量ローラ５と、この計量ロ
ーラに当接するドクターブレード９とを具えた印刷機の
インキ供給装置において、ファウンテンの皿部内にドク
ターブレードで掻き落とされたインキをファウンテンロ
ーラの周面に掻き寄せる羽根車20を回転可能に設けてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、印刷機、特にオフセット輪転印刷機のインキ供給装置に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のインキ供給装置の典型的なものを装備した印刷機の概要を図２ に示しており、これについて説明する。

【０００３】 １は刷版２を装着した版胴を、また３はインキローラ群を示し、インキローラ 群３は下方からファウンテンローラ４，計量ローラ５，渡りローラ６，インキ胴 ７及びインキ着けローラ８によって構成されている。前記のようなインキローラ 群３の下方にインキ供給機構50が固定的に設置されていて、そのファウンテン51 は中板52によって図２において右方の皿部と、左方のタンク部とに仕切られてい て、皿部内にファウンテンローラ４が位置している。そして皿部にはファウンテ ンローラ４に対向して開口したインキノズル53を設置し、タンク部の底部とイン キノズル53とをインキ管路54で接続し、この管路54にはモータ55で駆動されるポ ンプ56，インキ濾過器57が設置され、さらに管路54とノズル53との接続部にはイ ンキ冷却器58が設けられている。

【０００４】 このようなものにおいて、ファウンテン51のタンク部内のインキ13がポンプ56 によってインキ管路54を経てノズル53に供給されてファウンテンローラ４の周面 に噴射され、このインキが計量ローラ５の周面に付着し、各部材６，７，８を経 て刷版２に供給されることになる。この際計量ローラ５において、その周面に当 接するブレード９によって余分なインキが掻き取られて、ファウンテン51の皿部 に落下され、この皿部の余分なインキは中板52を乗り越えてタンク部に復流し、 このようにしてインキの還流が行われる。

【０００５】 40は湿し水供給機構で、ノズル41、塗水ロール42及び水皿43を有し、ノズル41 から湿し水44がロール42に向けに噴射され、このロール42からインキ胴７に給水 される。このようにして、インキ胴７にはインキと湿し水が供給され、インキ中 に湿し水が混合してエマルジョンとなって刷版２に供給されることとなる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このようなインキ供給装置は、ファウンテン51のタンク部内のイン キをポンプ56によってノズル53からファウンテンローラ４の周面に噴射させるも のであるため、構造が複雑であり、また硬いインキの使用が困難であるという問 題点があった。 そこでこの考案は、前記のような従来の問題点を排除し、構造が簡単で、比較 的硬いインキでも使用が可能なインキ供給装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、この考案は、前記のような従来のインキ供給装置に おいて、ファウンテンの皿部内にドクターブレードで掻き落とされたインキをフ ァウンテンローラの周面に掻き寄せる羽根車を回転可能に設けている。

【０００８】

【作用】

前記のようなインキ供給装置において、ファウンテンローラは計量ローラより 遅い回転速度をもって回転され、これによりファウンテンローラの周面に付着し たインキ膜は計量ローラの周面に引き延ばされて比較的薄いインキ膜として転移 する。計量ローラの周面に付着したインキ膜のうち余分なインキはドクターブレ ードによって掻き落され、インキ滴となって羽根車の上に流下し、該羽根車の回 転によってファンテンローラの周面側に掻き寄せられる。そして、このように掻 き寄せられたインキはファンテンローラの周面に押しつけられて付着する。この ようにしてインキは滞留することがなく、連続的な還流が行われる。

【０００９】

【実施例】 図１はこの考案の一実施例を示す正面図である。図１において従来のインキ供 給装置と同様の部分には同一の符号を引用して説明を省略し、主として異る部分 について説明する。

【００１０】 20は複数本の羽根21を有する羽根車で、断面が略Ｕ字型に形成されたファウン テン23の皿部24内でファウンテンローラ４の右側下方、かつドクターブレード９ のほぼ真下となる位置に回転可能に設けられている。羽根車20の回転時に羽根21 の先端は皿部24の底面とファウンテンローラ４の周面に近接するようになってい る。インキの粘度にもよるが、羽根車20は図示しないモータにより例えば約50rp m一定で回転するようになっており、この回転する羽根車20の羽根21によってド クターブレード９で掻き落とされたインキをファウンテンローラ４の周面に掻き 寄せ、該ローラの周面に付着させることが可能なようになっている。計量ローラ ５は版胴１、インキ胴７の回転につれて回転する図示しない歯車を介して、両胴 １，７と同一周速をもって回転するようになっている。

【００１１】 ファウンテン23の皿部24内のインキ13は、羽根車20の羽根21の回転によってフ ァウンテンローラ４の周面側に掻き寄せられ、ファウンテンローラ４の回転によ ってファウンテンローラ４の周面に付着してインキ膜14を形成し、さらに計量ロ ーラ５の回転によって計量ローラ５の周面に引き延ばされて比較的薄いインキ膜 15として転移する。計量ローラの周面に付着したインキ膜15のうち余分なインキ はドクターブレード９によって掻き落され、インキ滴16となって羽根車20の羽根 21の上に流下する。流下したインキ滴16は羽根車20の回転によってファンテンロ ーラ４の周面側に掻き寄せられる。そして掻き寄せられたインキはファンテンロ ーラ４の周面に押しつけられて付着する。このようにしてインキは滞留すること がなく、連続的な還流が行われる。また、羽根車20の羽根21の回転によって皿部 24内のインキ13はよく引き延ばされ、また剪断されて水とインキがよく混ざり合 うこととなる。オフセット印刷用のインキとして比較的硬い粘弾性シクソトロピ ーのインキが一般的に使用されるが、このような硬いインキでも羽根車20の羽根 21により掻き寄せるとき、インキが引き延ばされ、又は剪断されて流動性がよく なるとともに、水ともよく混ざり十分に使用可能であることがわかった。

【００１２】

【考案の効果】

この考案は前記のようにファウンテンの皿部内にドクターブレードで掻き落と されたインキをファウンテンローラの周面に掻き寄せる羽根車を回転可能に設け ただけの構成であるため、従来のものに比し構造が極めて簡単である。また、比 較的硬いインキでも使用が可能なため、印刷品質の向上が図れるとともに、ファ ウンテンの皿部内のインキ容量を減らしてインキの新陳代謝をよくし、長期間に わたり安定した印刷ができるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す正面図である。

【図２】従来例の正面図である。

【符号の説明】

４ ファウンテンローラ ５ 計量ローラ ９ ドクターブレード 20 羽根車 21 羽根 23 ファウンテン 24 皿部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 皿部を有し、機枠に設置されたファウン
   テンと、このファウンテンの皿部内に位置するように回
   転可能に支持されたファウンテンローラと、このファウ
   ンテンローラに接触する計量ローラと、この計量ローラ
   に当接するドクターブレードとを具えた印刷機のインキ
   供給装置において、ファウンテンの皿部内にドクターブ
   レードで掻き落とされたインキをファウンテンローラの
   周面に掻き寄せる羽根車が回転可能に設けられているこ
   とを特徴とする印刷機のインキ供給装置。