JPH0615919U - ホールソー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホールソーの本体３に取付けた各チップ５，
７，９に負荷が均等に作用するよう構成してなるホール
ソーを提供することを目的とする。 【構成】 上記目的を達成するために、円筒形状の本体
の端縁に複数の硬質チップを取付けてなるホールソーに
して、上記本体の回転方向から見て上記チップの径方向
の幅の中央部が三角形状に突出した第１のチップと、径
方向の幅の内側寄りの部分が三角形状に突出した第２の
チップと、径方向の幅の外側寄りの部分が三角形状に突
出した第３のチップとを備えてなるものである。また、
第１のチップの先端部の突出高さに比較して、第２，第
３のチップの先端部の突出高さが等しいか、又は僅かに
低い構成あるいは第３のチップの先端部の突出高さを僅
かに高くした構成としてなるものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ワークに穴明け加工を行なうホールソーに係り、さらに詳細には 、超硬チップのごとき硬質のチップを備え、かつ切粉の細分化による切屑の排出 性の向上，切削抵抗の軽減を図ることのできるホールソーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、切削時に生じる切粉を細分化することのできる先行例としては、例えば 実開昭５９−１４０１１７号に記載のごときホールソーがある。この先行例に係 るホールソーにおいては、穴明け加工時に外側部分と中央部分と内側部分とを切 削する複数の刃を備えてなるものである。したがって、穴明け加工時には、外側 部分と中央部分と内側部分の各部分に細分割された切粉を生じることとなる。

【０００３】 先行例においては、ホールソーの円筒形状の本体の端縁に形成した複数の刃を 外側へ張出させることによって外側部分，中央部分の切削を行なう構成であるの で、径方向の分力によって径が縮小する傾向にあり、また、刃の摩耗により径が 縮小する傾向にある問題がある。

【０００４】 したがって、刃部を外側へ張出させることなく切削の細分化を図り、かつ長寿 命化を図るために、円筒状のホールソー本体の端縁部に複数の超硬チップを取付 けた構成のホールソーも開発されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来、ホールソーに取付けられている超硬チップは、径方向の幅の中央部を三 角形状に突出せしめて切刃部を形成してなる第１の超硬チップと、突出部を形成 することなく切刃部を直線状に形成してなる第２の超硬チップとを使用している ものである。

【０００６】 したがって、切削の態様としては、第１の超硬チップによりＶ字形状の溝を切 削し、第２の超硬チップにより上記Ｖ溝の両側を広げるように切削するものであ る。よって、穴開け加工時には３分割された切粉が生じるものである。

【０００７】 しかし、従来の構成においては、前記第２の超硬チップはＶ溝の両側を広げる ように切削するものであるから、直線状の切刃部の両端部側において切削するこ ととなり、第１の超硬チップに比較して大きな負荷が作用し、各超硬チップに作 用する負荷が不均衡であるという問題がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上述のごとき従来の問題に鑑みて、本考案は、円筒形状の本体の端縁に複数の 硬質チップを取付けてなるホールソーにして、上記本体の回転方向から見て上記 チップの径方向の幅の中央部が三角形状に突出した第１のチップと、径方向の幅 の内側寄りの部分が三角形状に突出した第２のチップと、径方向の幅の外側寄り の部分が三角形状に突出した第３のチップとを備えてなるものである。

【０００９】 また、第１のチップの先端部の突出高さに比較して、第２，第３のチップの先 端部の突出高さが等しいか、又は僅かに低く設けてなるものである。

【００１０】 また、第１，第２のチップの先端部の突出高さよりも第３のチップの先端部の 突出高さを僅かに高く形成してなるものである。

【００１１】

【作用】

上記構成により、ホールソーにより穴明け加工するときに形成される溝の中央 部は第１のチップによりＶ字形状の溝に切削され、このＶ字形状の溝の内側は第 ２のチップにより切削される。そして、上記Ｖ字形状の溝の外側は第３のチップ によって切削される。したがって、切粉は３分割されて細分化されるものであり 、かつ第１，第２，第３の各チップには負荷が均等的に作用することとなり、全 体として各チップに作用する負荷が小さくなるものである。

【００１２】

【実施例】

本実施例に係るホールソー１は、図１に概略的に示すように、円筒形状の本体 ３の端縁部に、例えば超硬チップなどのごとき硬質の材料よりなる第１，第２， 第３の各チップ５，７，９が順次取付けてある。上記第１，第２，第３の各チッ プ５，７，９のピッチＰは不均等のピッチに設けてある。すなわち、第１，第２ のチップ５，７の間隔、第２，第３のチップ７，９の間隔、および第３，第１の チップの９，５の間隔はそれぞれ異なるものである。

【００１３】 したがって、穴明け加工時にホールソーに作用する負荷は非周期的となり、共 振による振動を抑制することができるものである。

【００１４】 前記第１のチップ５は、図２（Ａ）に示すように、本体３の回転方向から見て 径方向の幅（図２においての左右方向の幅）の中央部を三角形状に突出して切刃 部５Ｂを形成している。この切刃部５Ｂの部分は、図２（Ａ）において左右対称 形に形成してある。

【００１５】 前記第２のチップ７は、図２（Ｂ）に示すように、径方向の幅の内側寄りの部 分（図２において右側寄りの部分）を三角形状に突出して切刃部７Ｂを形成して いる。

【００１６】 前記第３のチップ９は、図２（Ｃ）に示すように、径方向の幅の外側寄りの部 分（図２において左側寄りの部分）を三角形状に突出して切刃部９Ｂを形成して いる。

【００１７】 前記第２のチップ７の切刃部７Ｂと第３のチップ９の切刃部９Ｂは、図２より 明らかなように、径方向に対称形（図２において左右対称形）に形成してある。 したがって、前記本体３の回転方向から見ると、第１，第２，第３の各チップ５ ，７，９の各切刃部５Ｂ，７Ｂ，９Ｂは、図３（Ａ）に示すように、重なり合っ ている。

【００１８】 すなわち、図３（Ａ）より明らかなように、第１のチップ５の切刃部５Ｂは、 穴明け加工時に切削する溝の中央部をＶ字形状の溝に切削し、第２のチップ７の 切刃部７Ｂは上記Ｖ字形状の溝の内側を切削し、かつ第３のチップ９の切刃部９ Ｂは上記Ｖ字形状の溝の外側を切削することとなる。

【００１９】 したがって、穴明け加工時には、第１，第２，第３のチップ５，７，９の各切 刃部５Ｂ，７Ｂ，９Ｂによって３分割された切粉が生じることとなり、かつ各チ ップ５，７，９に作用する負荷はほぼ等しくなる。

【００２０】 上記構成において、第１のチップ５の切刃部５Ｂの突出高さに比較して、第２ ，第３のチップ７，９の切刃部７Ｂ，９Ｂの突出高さは同等もしくは低くするが 、加工穴の精度を良くする上で、図３（Ｂ）に示すように、第３，第１，第２の チップ９，５，７の切刃部９Ｂ，５Ｂ，７Ｂを順次低くしたり、または、第３， 第１のチップ９，５の切刃部９Ｂ，５Ｂを同等に高くして第２のチップ７の切刃 部７Ｂを低くすること、または図３（Ｃ）に示すように、第１，第２のチップ５ ，７の切刃部５Ｂ，７Ｂを同等に低くすることが望ましい。

【００２１】 この場合、第１のチップ５の切刃部５Ｂの三角形状は左右対称形もしくは第３ のチップ９の方に中心を移して切削のバランスを図ることが望ましい。

【００２２】 前述のごとく、穴明け加工時に生じた切粉を外側へ排出するために、各チップ ５，７，９の掬い面には、切粉を外側へ導くガイド部５Ｇ，７Ｇ，９Ｇがそれぞ れ傾斜して形成してある。また、前記本体３の外周面には、各チップ５，７，９ に対応して切粉排出溝３Ｇがそれぞれ形成してある。

【００２３】 ところで、前記本体３に対する各チップ５，７，９の取付けは、図４に示すよ うに、本体３の端縁に傾斜して形成した切欠凹部３Ｎに各チップ５，７，９を嵌 合し、ロー付け等の適宜の手段によって一体的に固定してある。そして、前記切 粉排出溝３Ｇは、各チップ５，７，９の掬い面側に形成してある。

【００２４】 以上のごとき構成において、本実施例に係るホールソーにより被加工材に穴開 け加工を行なうと、前述したように、第１，第２，第３のチップ５，７，９によ って切粉が分割した態様で生じると共に、各チップ５，７，９にほぼ等しい負荷 が作用するものである。換言すれば、各チップ５，７，９には負荷がほぼ均等に 作用し、過大な負荷が作用するチップがないので、特定のチップが過大に摩耗し たり、脱落するようなことがなく、ホールソー全体としての長寿命化を図ること ができる。また、各チップ５，７，９の間隔が不等間隔であるので、共振による 振動を抑制することができるものである。

【００２５】

【考案の効果】

以上のごとき実施例の説明より理解されるように、本考案によれば、ホールソ ーにおける各チップ５，７，９には負荷がほぼ均等に作用するので、過大の負荷 によるチップの脱落や過大な摩耗を生じるようなことがなく、全体としての長寿 命化を図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るホールソーの底面図であ
る。

【図２】各チップの形状を示す説明図である。

【図３】各チップを重ね合わせた状態の説明図である。

【図４】各チップの取付構造を示す説明図である。

【符号の説明】

３ 本体 ５，７，９ チップ ５Ｂ，７Ｂ，９Ｂ 切刃部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒形状の本体の端縁に複数の硬質チッ
   プを取付けてなるホールソーにして、上記本体の回転方
   向から見て上記チップの径方向の幅の中央部が三角形状
   に突出した第１のチップと、径方向の幅の内側寄りの部
   分が三角形状に突出した第２のチップと、径方向の幅の
   外側寄りの部分が三角形状に突出した第３のチップとを
   備えてなることを特徴とするホールソー。
2. 【請求項２】 第１のチップの先端部の突出高さに比較
   して、第２，第３のチップの先端部の突出高さが等しい
   か、又は僅かに低いことを特徴とする請求項１に記載の
   ホールソー。
3. 【請求項３】 第１，第２のチップの先端部の突出高さ
   に比較して、第３のチップの先端部の突出高さが僅かに
   高いことを特徴とする請求項１に記載のホールソー。