JPH06158433A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH06158433A
JPH06158433A JP30424192A JP30424192A JPH06158433A JP H06158433 A JPH06158433 A JP H06158433A JP 30424192 A JP30424192 A JP 30424192A JP 30424192 A JP30424192 A JP 30424192A JP H06158433 A JPH06158433 A JP H06158433A
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pitch
fiber
carbon fiber
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infusibilization
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Takanori Kakazu
隆敬 嘉数
Yasuki Aida
泰規 合田
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピッチ繊維の不融化工程を短縮し得るととも
に、炭素繊維に優れた物性を付与し得る光学的等方性ピ
ッチ系炭素繊維の製造方法を提供することを主たる目的
とする。 【構成】 光学的等方性ピッチを溶融紡糸して得られる
ピッチ繊維を不融化し、炭化或いはさらには黒鉛化する
に際し、不融化を2段階に分けて行ない、第1段階を紫
外線の照射下にN2 Oガス雰囲気中で行ない、第2段階
をN2 Oを含まない空気雰囲気中で行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油系または石炭系光
学的等方性ピッチを原料とする炭素繊維または黒鉛繊維
(以下特に必要でない限り、炭素繊維をもって代表させ
る)の製造方法に関し、さらに詳しくは、工業的に安価
な汎用炭素繊維の生産性を改善し得るピッチ繊維の不融
化方法に関する。
【0002】なお、本明細書において、N2 Oなどの気
体について“%”とあるのは、“容量%”を意味し、そ
の他の材料について“%”とあるのは、“重量%”を意
味するものとする。
【0003】また、本明細書において、”炭素繊維”と
は、本来の意味の炭素繊維のみならず、より高温で熱処
理して得られる”黒鉛繊維”をも包含する。
【0004】
【従来技術とその問題点】ピッチ系炭素繊維の製造方法
においては、溶融紡糸したピッチ繊維を互いに融着させ
ないように酸化性雰囲気中で加熱処理する不融化工程が
必要である。この不融化工程は、炭素繊維の各製造工程
中でも最も長い処理時間(通常1.5〜3時間程度)を
必要とするので、この工程での経費がピッチ系炭素繊維
の製造原価に占める割合は高く、ここでの生産性の良否
が炭素繊維の価格を左右する。
【0005】従って、不融化処理時間を出来るだけ短縮
することが望ましいが、ピッチの軟化点とピッチの酸化
反応が進行する温度域とが近接しているため、不融化処
理時間を過度に短縮する場合には、酸化が十分に行なわ
れないピッチ繊維の相互融着を生じて、炭化工程中に繊
維としての形態を保持するという不融化工程本来の目的
が達成できなくなる。また、仮に繊維としての形態を保
持し得たとしても、最終的に得られる炭素繊維の引張強
度などの物性を低下させることになる。
【0006】不融化方式としては、断面U字型のトレイ
にピッチ繊維を懸垂して行なう方式(特開昭59−15
0114号公報)、通気孔を有する容器にピッチ繊維を
充填して行なう方式(特開昭58−50019号公
報)、ピッチ繊維を堆積させたネットコンベアを移送さ
せながら、不融化反応を行なう方式(特開昭60−16
7928号公報)などが知られている。しかしながら、
いずれの方式においても、均一な製品を得るためには、
繊維の充填密度を低く抑える必要があり、生産性を改善
するためには、不融化時間の短縮を行なわざるを得な
い。
【0007】ピッチ繊維の不融化に要する時間を短縮さ
せる具体的な方式としては、種々の触媒或いは促進剤の
使用が提案されている。例えば、(イ)3%未満の塩素
を含有する酸化性ガス雰囲気中で不融化を行なう方法
(特開昭59−1723号公報)、(ロ)ピッチ繊維を
臭化水素酸と接触させた後空気酸化を行なう方法(特開
昭59−1723号公報)、(ハ)臭化コバルトをピッ
チ繊維表面に付与する方法(特開昭60−81319号
公報)、(ニ)SO2 を0.1〜50%含有する酸化性
ガス雰囲気中で不融化を行なう方法(特開昭60−18
5819号公報)、(ホ)耐熱油にコバルト塩を溶解し
てピッチ繊維に塗布する方法(特開昭62−28961
6号公報)、(ヘ)ピッチ繊維を過酸化水素水で処理す
る方法(特開平2−91223号公報)などが提案され
ている。
【0008】また、酸化窒素乃至硝酸を使用する方法
も、提案されている。例えば、(ト)気相中でピッチ繊
維と硝酸蒸気とを接触させる方法(特開平1−2015
22号公報)、(チ)ピッチ繊維を硝酸水溶液に浸漬し
た後、空気で不融化処理する方法(特開平1−2015
22号公報)、(リ)光学的異方性ピッチ繊維を0.1
〜40%のNO2 を含む酸化性雰囲気中で処理してその
比重を1.40以上とした後、0.1〜40%のNO2
を含む不活性雰囲気中260〜360℃で不融化処理す
る方法(特開平1−201524号公報)、(ヌ)ピッ
チ繊維を硝酸で処理した後、空気で不融化処理するに際
し、昇温を特定条件下に行なう方法(特開平1−282
329号公報)、(ル)光学的等方性ピッチ繊維の不融
化方法として、0.1〜10%のNO2 を含む空気雰囲
気中30〜130℃で1〜4時間処理する方法(特開昭
59−9062号公報)、(ヲ)メソフェーズピッチ繊
維の不融化方法として、0.1〜50%のNO2 を含む
空気、酸素などの酸化性雰囲気中150〜380℃で処
理する方法(特開昭60−259629号公報)、
(ワ)ピッチ繊維を0.1〜10%のNO2 を含む空気
雰囲気中200℃以下の低温度域で処理した後、空気よ
りも酸素分圧の高い酸化性雰囲気中250℃以上の高温
度域で処理する方法(特開平1−272825号公報)
などの方法が知られている。
【0009】さらに、オゾンを利用する不融化方法も、
提案されている。例えば、(カ)ピッチ繊維を130〜
220℃のオゾンを含有する酸素雰囲気中で処理した
後、250〜350℃のオゾンを含有しない空気雰囲気
中で処理する方法(特開平1−246420号公報)、
(ヨ)ヨウ素を含む空気雰囲気中でピッチ繊維を処理す
る方法(特開平1−314733号公報)、(タ)ピッ
チ繊維をオゾンで前処理した後、ヨウ素で処理し、空気
不融化する方法(特開平2−80620号公報)などが
提案されている。
【0010】しかしながら、これらの方法は、種々の欠
点を有しており、いづれも満足すべきものとはいい難
い。
【0011】例えば、硝酸水溶液にピッチ繊維を浸漬す
る方法では、ピッチ繊維が脆弱であるため、取扱いが困
難で、またピッチ繊維が損傷されやすい。
【0012】NO2 を含む空気雰囲気中でピッチ繊維を
不融化する場合には、不融化時間を十分に短縮するため
には、NO2 濃度を高くしなければならない。しかしな
がら、毒性および腐食性を有するNO2 の濃度を高くす
ることは、工業的使用に際しては好ましくない。また、
NO2 は、オンサイトでのアンモニアの酸化、NO2
液の希釈などにより供給されるが、その製造コストは割
高であり、さらに処理後のNO2 残ガスの処理もコスト
高の原因となる。
【0013】オゾンは、ACGIHによる許容濃度が
0.1ppmという毒性の強いガスであり、経済的にも
できるだけ低濃度で少量のオゾンを使用すべきである。
オゾンの熱分解は、高温になる程著るしいので、本発明
者の研究によれば、上記特開平1−246420号公報
に開示されている130℃以上の高温度域では、むしろ
オゾンによるピッチ繊維の処理効果が少なく、より低温
で処理した方がオゾン濃度を低くし得るとともに、短時
間で処理を完了し得ることが判明している。また、特開
平2−80620号公報に開示された方法では、オゾン
源と併せてヨウ素源を用意する必要があり、通常の空気
不融化に比してさらに一段とコスト高となる。
【0014】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記の如
き従来技術の問題点に留意しつつ鋭意研究を重ねた結
果、溶融紡糸して得られる光学的等方性ピッチ繊維を紫
外線の照射下に純N2 Oガス流と接触させた後、N2
を含まない空気中で不融化処理する場合には、不融化処
理時間を短縮し、繊維表面部分を良好に不融化させて繊
維相互の融着を防止し得るとともに、最終的に得られる
炭素繊維の物性(引張強度、破断伸度など)をも改善し
得ることを見出した。
【0015】すなわち、本発明は、下記の方法を提供す
るものである: 1. 光学的等方性ピッチを溶融紡糸して得られるピッ
チ繊維を不融化処理した後、炭化処理または黒鉛化処理
して炭素繊維を製造する方法において、紡糸されたピッ
チ繊維を紫外線の照射下に且つ純N2 Oガスの供給流通
下に処理した後、N2 Oの不存在下に空気中で加熱しつ
つ不融化処理を行なうことを特徴とする光学的等方性ピ
ッチ系炭素繊維の製造方法。
【0016】2. N2 Oの流速が、10m/分以上で
ある上記項1に記載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の
製造方法。
【0017】3. 紫外線の照射処理時間および純N2
Oガスの供給流通時間が、10分間以上である上記項1
に記載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の製造方法。
【0018】4. 空気中での加熱不融化処理におい
て、150〜225℃の温度から300〜400℃の温
度まで5〜7℃/分の速度で昇温しつつピッチ繊維中の
酸素濃度が6〜9重量%になるまで加熱処理を継続する
請求項1に記載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の製造
方法。
【0019】本発明において使用するピッチは、光学的
に等方性であれば、石油系および石炭系のいずれであっ
てもよい。ピッチの軟化点は、200〜400℃程度で
あることが好ましく、240〜300℃程度であること
がより好ましい。
【0020】この様な光学的等方性ピッチは、常法に従
って、溶融され、紡糸される。溶融条件、紡糸方法など
は、ピッチ繊維が形成される限り、特に限定されない。
【0021】本発明におけるピッチ繊維の不融化は、2
段階で行なう。
【0022】不融化の第1段階では、紫外線の照射下
に、N2 Oからなり且つ一定以上の流速で流動する雰囲
気ガスとピッチ繊維とを接触させる。この第一段階で供
給されるN2 Oの濃度が100%未満である場合には、
2 Oの分解により生成する発生期の酸素量が少なくな
り、また酸素発生期間も短くなるので、効果が不十分と
なる。
【0023】第1段階における処理温度は、特に限定さ
れるものではないが、加熱を行なう必要はないので、室
温で行なうのが有利である。
【0024】第1段階において最も重要なことは、ピッ
チ繊維の表面にN2 Oの分解により生成する発生期の酸
素をできるだけ確実に接触させる点にある。すなわち、
ピッチ繊維表面は、紫外線照射によりN2 Oから発生す
る窒素により被覆される傾向があるので、何らかの手段
を講じない限り、ピッチ繊維表面へのN2 Oの拡散が不
十分となり、ピッチ繊維が十分に酸化されない場合があ
る。従って、ピッチ繊維に対して10cm/分以上の流
速でN2 Oを供給流動させて、ピッチ繊維表面の窒素を
攪乱除去しつつ、ピッチ繊維とN2 Oとを密接に接触さ
せる。N2 Oの流速が10cm/分未満である場合に
は、被覆窒素層が十分に攪乱されないので、ピッチ繊維
表面へのN2 Oの拡散が不十分となる。
【0025】第1段階における処理時間も、特に限定さ
れるものではないが、N2 Oの分解により生成する発生
期の酸素とピッチ繊維との反応性が非常に高いので、通
常10〜40分程度の範囲内にあり、ピッチ繊維表面と
2 Oとを密接に接触させる場合には、10分程度の短
時間でも十分である。
【0026】第1段階において使用される紫外線源とし
ては、通常の水銀ランプ、水素放電管、キセノン放電管
などが挙げられる。
【0027】本発明による不融化工程の第2段階におい
ては、第1段階における不融化処理を終えたピッチ繊維
をN2 Oを含まない空気中で加熱し、繊維中の酸素含有
量が6〜9%となるまで保持する。
【0028】第2段階の空気不融化においては、ピッチ
繊維の表層部がすでに不融化されていて融着が生じない
状態となっているので、基本的にはピッチの融点よりも
高い温度で加熱することができる。第2段階における加
熱温度が150℃未満の場合には、酸化反応の進行が遅
くなり、繊維内部への酸素拡散に長時間を要することに
なる。一方、加熱温度が400℃を上回る場合には、繊
維の燃焼による消耗が激しくなり、反応の制御が困難と
なる。不融化時間の短縮という観点からは、空気不融化
段階の開始温度を高く設定する方が有利であり、第2段
階では、150〜225℃の範囲の温度から平均昇温速
度5〜7℃/分程度で300〜400℃の範囲の温度ま
で昇温させることが好ましい。225℃を上回る温度か
ら空気不融化を開始する場合には、第1段階における不
融化処理を終えたピッチ繊維であっても、融着してしま
うことがある。
【0029】第2段階における不融化工程においては、
ピッチ繊維中の酸素含有量が6〜9%となった時点で処
理を終了する。ピッチ繊維中の酸素含有量が6%未満で
ある場合には、酸素原子による架橋結合が不十分とな
り、繊維が溶融したり、融着したりして、繊維の形態が
保持されにくくなる。また、仮に、繊維形態は保持し得
たとしても、炭化収率が低下したり、炭素繊維の物性が
低下したりする。一方、酸素含有量が9%を上回る程度
にまで不融化処理を過度に行なう場合には、繊維表面に
欠陥個所が発生する確率が高くなり、また酸化による消
耗を生じやすくなるので、好ましくない。第2段階にお
ける最高到達温度は、より低いことが好ましいが、早い
昇温速度を採用する場合には、上記酸素含有量を達成す
るために、最高到達温度を高めに設定せざるを得ない。
工業用プロセスとして受入れられる平均昇温速度(当該
温度範囲において特定温度で保持する場合には、その保
持時間をも含む値である)が、5℃/分以上であること
を考慮すると、到達温度は、300℃以上でなければ、
必要な酸素をピッチ繊維中に含有させることは、できな
い。しかしながら、400℃以上での熱処理では、繊維
の酸化による消耗が激しくなるので、好ましくない。従
って、7℃/分を上回る平均昇温速度を採用する場合に
は、必要とする酸素含有量を達成することができない。
【0030】上記の様にして得られた不融化ピッチ繊維
は、常法に従って炭素化され、必要ならば、さらに黒鉛
化されて炭素繊維となる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、不融化の第1段階で使
用するN2 O(より正確には紫外線の照射下にN2 Oの
分解により生成する発生期の酸素)の酸化剤としての優
れた効果により、室温近傍の低温度域でもピッチ繊維表
面の酸化反応が進行し、その表層部に十分な架橋構造を
形成させるので、これを不融化の第2段階で空気中でさ
らに高温で処理しても融着を防止することができる。従
って、不融化の第2段階において空気中で通常よりも早
い昇温速度で且つ高温で加熱を行なうことができるの
で、全体としての不融化時間が大幅に短縮される。
【0032】また、低温域での昇温速度を抑制しなけれ
ばならない従来の空気不融化に比して、全不融化工程を
通して均一な昇温過程を経るので、不融化ピッチ繊維中
の酸素濃度分布が均一となり、最終的に得られる炭素繊
維の破断伸度、引張強度などが改善される。
【0033】さらに、不融化ピッチ繊維中の酸素濃度が
均一となるので、炭化処理の際に発生するマイクロクラ
ック、内部構造の歪などが減少し、炭素繊維が本来有す
る優れた機械的特性が発現されやすくなる。
【0034】
【実施例】以下に参考例、実施例および比較例を示し、
本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0035】実施例1 石炭系タールを特開昭59−149052号公報に記載
された方法に従って処理することにより、光学的等方性
ピッチ(軟化点=282.2℃、キノリン不溶分=2
4.8%、ベンゼン不溶分=83.9%、C/H=2.
0)を調製した。次いで、上記の光学的等方性ピッチ1
5部をN2 ガスにより押出しを行なうモノホール長繊維
紡糸装置の溶融槽に仕込み、槽内をN2 ガスによりパー
ジし、5℃/分の昇温速度で340℃まで昇温し、同温
度に0.5時間保持した後、これを約2.0kgf/cm2
のN2 ガスにより押出し紡糸し(55±5mg/ 分)、
200〜250m/分の速度で巻取ドラム(直径17c
m)に巻取り、ピッチ繊維を得た。
【0036】得られたピッチ繊維を厚さ2mmの合成石
英ガラスからなるセル(2cm×0.5cm×5cm)
内に水平に並べ、このセルから15mmの位置に2本の
ペン型低圧水銀ランプ(浜松ホトニクス(株)製、L−
937−02型、放射出力強度=5μW/cm2 ・nm
(波長光=254nmで1mの地点で)、放射部サイズ
=直径5.6mm×54mm)を設置して、紫外線を照
射しつつセル内に濃度100%のN2 Oを30cc/分
の流量で且つ30cm/分の流速で30分間供給し、第
1段階の不融化処理を行なった。
【0037】次いで、第1段階の不融化処理を終えたピ
ッチ繊維を予め150℃に加熱された水平管状炉(直径
50mm×長さ350mm)に収容し、空気を2000
cc/分の流速で供給しつつ5℃/分の速度で昇温し
て、温度が300℃に到達した後同温度に5分間保持
し、次いでピッチ繊維を炉外に取り出し、冷却して、第
2段階の不融化処理を行なった。
【0038】得られた不融化ピッチ繊維中の酸素固定量
は、7.31%であった。
【0039】次いで、得られた不融化繊維を炭化炉(直
径40mm×長さ350mm)に入れ、N2 ガスを40
00cc/分の割合で流しつつ、50℃/分の昇温速度
で室温から950℃まで昇温し、同温度に3分間保持し
て炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の物性は、破断伸
度=2.74%、引張強度=110kgf/mm2 であっ
た。
【0040】比較例1 N2 Oガスを使用する第1段階の不融化処理行なわない
以外は実施例1と同様にしてピッチ繊維の調製、不融化
および不融化繊維の炭化を行なった。
【0041】不融化ピッチ繊維中の酸素固定量は、6.
56%であり、得られた炭素繊維の物性は、破断伸度=
1.94%,引張強度=76.25kgf/mm2 であっ
た。
【0042】比較例2 空気不融化における昇温速度を2.5℃/分とする以外
は比較例1と同様してピッチ繊維の調製、不融化および
不融化繊維の炭化を行なった。不融化ピッチ繊維中の酸
素固定量は、7.14%であり、得られた炭素繊維の物
性は、破断伸度=2.68%,引張強度=105.0kg
f/mm2 であった。
【0043】実施例2〜3 ピッチ繊維不融化の第1段階においてN2 Oガスの供給
時間を10分(実施例2)または20分(実施例3)と
するとともに、流量を20cc/分(流速20cm/
分)とする以外は実施例1と同様にしてピッチ繊維を調
製し、不融化し、炭化を行なって、炭素繊維を得た。
【0044】不融化後のピッチ繊維の炭素含有量と炭素
繊維の物性を表1に示す。
【0045】なお、表1には実施例1、比較例1〜2お
よび下記実施例4〜5における結果をも併せて再度示
す。
【0046】実施例4〜5 ピッチ繊維不融化の第1段階においてN2 Oガスの供給
量を10cc/分(流速10cm/分;実施例4)また
は20cc/分(流速20cm/分;実施例5)とする
以外は実施例1と同様にしてピッチ繊維の調製、不融化
および不融化繊維の炭化を行なった。
【0047】実施例6 ピッチ繊維不融化の第2段階において不融化最高到達温
度を375℃(保持時間0分)とする以外は実施例1と
同様にしてピッチ繊維の調製、不融化および不融化繊維
の炭化を行なった。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示す結果から、以下の事項が明らか
である。
【0050】実施例1と比較例1の結果を対比すると、
2 Oガスを使用する第1段階の不融化処理行なわない
場合には、5℃/分という高い昇温速度で空気不融化を
行なうことはできないことが明らかである。
【0051】実施例1と比較例2の結果を対比すると、
2 Oガスを使用する第1段階の不融化処理を行なわな
い場合には、空気不融化に際しての昇温速度を著るしく
小さくする必要があり、不融化時間が大幅に延長される
が明らかである。
【0052】実施例1,2および3の結果からは、N2
Oガスを使用する第1段階の不融化処理を10分間以上
行なうことにより、顕著な効果が達成されることが明ら
かである。
【0053】実施例1,4および5の結果からは、第1
段階の不融化処理においてN2 Oガスの流速を10cm
/分以上とすることにより、顕著な効果が達成されるこ
とが明らかである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的等方性ピッチを溶融紡糸して得ら
    れるピッチ繊維を不融化処理した後、炭化処理または黒
    鉛化処理して炭素繊維を製造する方法において、紡糸さ
    れたピッチ繊維を紫外線の照射下に且つ純N2 Oガスの
    供給流通下に処理した後、N2 Oの不存在下に空気中で
    加熱不融化処理を行なうことを特徴とする光学的等方性
    ピッチ系炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 純N2 Oの流速が、10cm/分以上で
    ある請求項1に記載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 紫外線の照射処理時間および純N2 Oガ
    スの供給流通時間が、10分間以上である請求項1に記
    載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 空気中での加熱不融化処理において、1
    50〜225℃の温度から300〜400℃の温度まで
    5〜7℃/分の速度で昇温しつつピッチ繊維中の酸素濃
    度が6〜9重量%になるまで加熱処理を継続する請求項
    1に記載の光学的等方性ピッチ系炭素繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101372012B1 (ko) * 2012-03-02 2014-03-12 오씨아이 주식회사 고강도 고탄성 피치계 등방성 탄소섬유 및 그 제조 방법

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