JPH06158171A - 高強度機械構造用軸状部品およびその製造方法 - Google Patents
高強度機械構造用軸状部品およびその製造方法Info
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- JPH06158171A JPH06158171A JP4307267A JP30726792A JPH06158171A JP H06158171 A JPH06158171 A JP H06158171A JP 4307267 A JP4307267 A JP 4307267A JP 30726792 A JP30726792 A JP 30726792A JP H06158171 A JPH06158171 A JP H06158171A
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- Y02P10/25—Process efficiency
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高周波焼入れ法を適用し、従来技術の様な問
題を生じることなく、疲労強度の著しく優れた高強度機
械構造用軸状部品およ該部品を製造する為の方法を提供
する。 【構成】 Ｃ：０．４〜０．７％（重量％の意味、以下
同じ）、Ｓｉ：０．１％以下、Ｍｎ：０．３〜０．９５
％、Ｎｉ：０．５〜２％、Ｓ：０．０３％以下を夫々含
有し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなる鋼を素材と
し、該素材を鍛造、切削および転造加工によって所定の
軸状部品形状に成形した後、周波数２００ＫＨｚ以下の
高周波焼入れによって下記（１）式を満足する様に処理
した後、周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを行な
う。 ＣＤ／Ｒ：０．４以上----- （１） 但し、ＣＤ：５０％、マルテンサイト硬さまでの硬化層
深さ Ｒ：高周波焼入れされる軸状部品の半径
題を生じることなく、疲労強度の著しく優れた高強度機
械構造用軸状部品およ該部品を製造する為の方法を提供
する。 【構成】 Ｃ：０．４〜０．７％（重量％の意味、以下
同じ）、Ｓｉ：０．１％以下、Ｍｎ：０．３〜０．９５
％、Ｎｉ：０．５〜２％、Ｓ：０．０３％以下を夫々含
有し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなる鋼を素材と
し、該素材を鍛造、切削および転造加工によって所定の
軸状部品形状に成形した後、周波数２００ＫＨｚ以下の
高周波焼入れによって下記（１）式を満足する様に処理
した後、周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを行な
う。 ＣＤ／Ｒ：０．４以上----- （１） 但し、ＣＤ：５０％、マルテンサイト硬さまでの硬化層
深さ Ｒ：高周波焼入れされる軸状部品の半径
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ピン類やシャフト類等
の機械構造用軸状部品の製造方法に関し、詳細には疲労
強度に優れた高強度の機械構造用軸状部品および該部品
を製造する為の方法に関するものである。
の機械構造用軸状部品の製造方法に関し、詳細には疲労
強度に優れた高強度の機械構造用軸状部品および該部品
を製造する為の方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】機械構造用部品としては、歯車類、シャ
フト類、ピン類、自動車の足廻り部品等様々なものがあ
るが、いずれも疲労強度に優れていることが要求され
る。近年、自動車等の燃費低減あるいは排ガス低減を目
的とする軽量化の要請が高まるにつれて、機械構造用部
品にもより一層の高強度化が望まれる様になってきた。
フト類、ピン類、自動車の足廻り部品等様々なものがあ
るが、いずれも疲労強度に優れていることが要求され
る。近年、自動車等の燃費低減あるいは排ガス低減を目
的とする軽量化の要請が高まるにつれて、機械構造用部
品にもより一層の高強度化が望まれる様になってきた。
【０００３】機械構造用部品の疲労強度を向上させる為
の１つの手段として、高周波焼入れによって表面硬化、
圧縮残留応力の増大が図られている。高周波焼入れは、
加工費が安く処理時間も極めて短時間であるという利点
を有し、且つ製品に歪の発生が少なくきれいな表面に仕
上がることから、機械構造用部品の有用な強化として注
目されている。
の１つの手段として、高周波焼入れによって表面硬化、
圧縮残留応力の増大が図られている。高周波焼入れは、
加工費が安く処理時間も極めて短時間であるという利点
を有し、且つ製品に歪の発生が少なくきれいな表面に仕
上がることから、機械構造用部品の有用な強化として注
目されている。
【０００４】機械構造用部品を高周波焼入れを応用し
て、強化する技術として、本出願人は特開平１−３０６
５２２号公報の様な方法も提案している。この方法は、
所定の化学成分組成を有する鋼を素材とし、該素材を鍛
造、成形加工した後、Ａr1変態点以上１１００℃以下の
温度で０．５〜１０秒間加熱する高周波加熱を行ない、
次いで、５０％マルテンサイト硬さまでの硬化層深さＣ
Ｄと、高周波焼入れされる軸状部品の軸径ＤＯの比（Ｃ
Ｄ／ＤＯ）が０．２を超える焼入れを行なうことによっ
て、高いねじり疲労強度を有する軸状部品を得ようとす
るものである。
て、強化する技術として、本出願人は特開平１−３０６
５２２号公報の様な方法も提案している。この方法は、
所定の化学成分組成を有する鋼を素材とし、該素材を鍛
造、成形加工した後、Ａr1変態点以上１１００℃以下の
温度で０．５〜１０秒間加熱する高周波加熱を行ない、
次いで、５０％マルテンサイト硬さまでの硬化層深さＣ
Ｄと、高周波焼入れされる軸状部品の軸径ＤＯの比（Ｃ
Ｄ／ＤＯ）が０．２を超える焼入れを行なうことによっ
て、高いねじり疲労強度を有する軸状部品を得ようとす
るものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記ＣＤ／ＤＯ値を大
きくする為には、従来の高周波焼入れでは、必然的に長
時間加熱する必要がある。しかしながら、長時間の高周
波焼入れを行なうと、結晶粒の粗大化、表面の圧縮応力
の減少、表面層の硬さの位下等を招き、また、微細炭化
物の折出も少なくなってします。
きくする為には、従来の高周波焼入れでは、必然的に長
時間加熱する必要がある。しかしながら、長時間の高周
波焼入れを行なうと、結晶粒の粗大化、表面の圧縮応力
の減少、表面層の硬さの位下等を招き、また、微細炭化
物の折出も少なくなってします。
【０００６】即ち、高周波焼入れによって深く焼入れを
行なうと、却って疲労強度を低下させるという事態が生
じるという問題があった。こうした問題に対し、短時間
の加熱で深焼入れを達成すべく、合金元素によって鋼成
分を調整して焼入性を高めることも考えられるが、それ
には高価な合金元素を多量に添加した鋼材を使用する必
要があり、経済的でない。
行なうと、却って疲労強度を低下させるという事態が生
じるという問題があった。こうした問題に対し、短時間
の加熱で深焼入れを達成すべく、合金元素によって鋼成
分を調整して焼入性を高めることも考えられるが、それ
には高価な合金元素を多量に添加した鋼材を使用する必
要があり、経済的でない。
【０００７】本発明は、こうした技術的課題を解決する
為になされたものであって、その目的は、高周波焼入れ
法を適用し、上記の様な問題を生じることなく、疲労強
度の著しく優れた高強度機械構造用軸状部品および該部
品を製造する為の方法を提供することにある。
為になされたものであって、その目的は、高周波焼入れ
法を適用し、上記の様な問題を生じることなく、疲労強
度の著しく優れた高強度機械構造用軸状部品および該部
品を製造する為の方法を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、Ｃ：０．４〜０．７％，Ｓｉ：０．１％以
下，Ｍｎ：０．３〜０．９５％，Ｎｉ：０．５〜２％，
Ｓ：０．０３％以下を夫々含有し、残部Ｆｅおよび不可
避不純物からなる鋼を素材とし、該素材を鍛造、切削お
よび転造加工によって所定の軸状部品形状に成形した
後、周波数２００ＫＨｚ以下の高周波焼入れによって下
記（１）式を満足する様に処理した後、周波数２５ＭＨ
ｚ以上で超高周波焼入れを行なう点に要旨を有する高強
度機械構造用軸部品の製造方法であり、該方法を実施す
ることによって希望する部品が得られる。 ＣＤ／Ｒ：０．４以上……（１） 但し、ＣＤ：５０％マルテンサイト硬さまでの硬化層深
さ Ｒ：高周波焼入れされる軸状部品の半径
発明とは、Ｃ：０．４〜０．７％，Ｓｉ：０．１％以
下，Ｍｎ：０．３〜０．９５％，Ｎｉ：０．５〜２％，
Ｓ：０．０３％以下を夫々含有し、残部Ｆｅおよび不可
避不純物からなる鋼を素材とし、該素材を鍛造、切削お
よび転造加工によって所定の軸状部品形状に成形した
後、周波数２００ＫＨｚ以下の高周波焼入れによって下
記（１）式を満足する様に処理した後、周波数２５ＭＨ
ｚ以上で超高周波焼入れを行なう点に要旨を有する高強
度機械構造用軸部品の製造方法であり、該方法を実施す
ることによって希望する部品が得られる。 ＣＤ／Ｒ：０．４以上……（１） 但し、ＣＤ：５０％マルテンサイト硬さまでの硬化層深
さ Ｒ：高周波焼入れされる軸状部品の半径
【０００９】
【作用】本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な
角度から検討した。その結果、所定の化学成分組成を有
する鋼を素材とし、該素材を鍛造、切削および転造加工
によって所定の軸状部品に形成した後、通常の高周波焼
入れによってＣＤ／Ｒが０．４以上となる様に処理し、
その後、更に周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを
行なえば、０．１５〜０．２ｍｍの超高周波焼入れ層を
超微細結晶粒（粒径２μｍ程度）にし、且つ粒径０．５
μｍ以下の微細炭化物を折出させ、高い表面圧縮残留応
力および高い表面硬さが得られることが分かった。そし
て、超高周波焼入れされた０．１５〜０．２ｍｍの表層
部の硬さと靭性値は、通常の高周波焼入れの状態と比較
して顕著に改善され、機械構造用軸状部品の疲労時性を
著しく改善することを見出し、本発明を完成した。まず
本発明で対象とする鋼における化学成分限度理由は下記
の通りである。
角度から検討した。その結果、所定の化学成分組成を有
する鋼を素材とし、該素材を鍛造、切削および転造加工
によって所定の軸状部品に形成した後、通常の高周波焼
入れによってＣＤ／Ｒが０．４以上となる様に処理し、
その後、更に周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを
行なえば、０．１５〜０．２ｍｍの超高周波焼入れ層を
超微細結晶粒（粒径２μｍ程度）にし、且つ粒径０．５
μｍ以下の微細炭化物を折出させ、高い表面圧縮残留応
力および高い表面硬さが得られることが分かった。そし
て、超高周波焼入れされた０．１５〜０．２ｍｍの表層
部の硬さと靭性値は、通常の高周波焼入れの状態と比較
して顕著に改善され、機械構造用軸状部品の疲労時性を
著しく改善することを見出し、本発明を完成した。まず
本発明で対象とする鋼における化学成分限度理由は下記
の通りである。
【００１０】Ｃ：０．４〜０．７％ Ｃは高周波焼入れ後の部品の疲労強度を高めるのに必要
な元素であり、含有量が０．４％未満では耐摩耗性、耐
フレッチング性を確保する為の充分な表面硬さを得るこ
とができない。しかしながら、Ｃ含有量が多過ぎると切
削化加工性が劣化し、且つ高周波焼入れ時に焼割れが生
じるので、０．７％以下とすべきである。
な元素であり、含有量が０．４％未満では耐摩耗性、耐
フレッチング性を確保する為の充分な表面硬さを得るこ
とができない。しかしながら、Ｃ含有量が多過ぎると切
削化加工性が劣化し、且つ高周波焼入れ時に焼割れが生
じるので、０．７％以下とすべきである。
【００１１】Ｓｉ：０．１％以下 Ｓｉは過剰に含有されると、残留オーステナイトの分解
が遅滞するので作動中に歪が発生し易くなる。従って、
Ｓｉの含有量は０．１％以下とする必要がある。 Ｍｎ：０．３〜０．９５％ Ｍｎは脱酸・脱硫元素であり、また高周波焼入れ安定性
を確保する為に必要な元素であり、Ｍｎ含有量が０．３
％未満ではこの様な効果が得られない。しかしながら、
０．９５％を超えて多量に含有されてると被削性を損な
う。
が遅滞するので作動中に歪が発生し易くなる。従って、
Ｓｉの含有量は０．１％以下とする必要がある。 Ｍｎ：０．３〜０．９５％ Ｍｎは脱酸・脱硫元素であり、また高周波焼入れ安定性
を確保する為に必要な元素であり、Ｍｎ含有量が０．３
％未満ではこの様な効果が得られない。しかしながら、
０．９５％を超えて多量に含有されてると被削性を損な
う。
【００１２】Ｎｉ：０．５〜２％ Ｎｉは疲労強度、切欠き靭性を向上させるのに有効な元
素であり、含有量が０．５％未満ではねじり疲労強度お
よび切欠き靭性の向上を期待することはできない。しか
しながら、Ｎｉの含有量が過剰になると被削性を阻害す
る様になるので、２％以下とすべきである。 Ｓ：０．０３％以下 Ｓの含有量が０．０３％を超えると横目の強度低下を招
くので、０．０３％以下とする必要がある。
素であり、含有量が０．５％未満ではねじり疲労強度お
よび切欠き靭性の向上を期待することはできない。しか
しながら、Ｎｉの含有量が過剰になると被削性を阻害す
る様になるので、２％以下とすべきである。 Ｓ：０．０３％以下 Ｓの含有量が０．０３％を超えると横目の強度低下を招
くので、０．０３％以下とする必要がある。
【００１３】本発明で対象となる鋼は、以上の元素を基
本成分とし残部Ｆｅおよび不可避不純物かなるものであ
るが、必要によりＡｌ，Ｃｒ，Ｍｏ等を添加してもよ
い。これらを添加するときの化学成分限定理由は下記の
通りである。
本成分とし残部Ｆｅおよび不可避不純物かなるものであ
るが、必要によりＡｌ，Ｃｒ，Ｍｏ等を添加してもよ
い。これらを添加するときの化学成分限定理由は下記の
通りである。
【００１４】Ａｌ：０．０１５〜０．０５％ Ａｌは脱酸と結晶粒の微細化に有効な元素であり、Ａｌ
含有量が０．０１５％未満ではこの様な効果が達成され
ず、また０．０５％を超えて含有させても結晶粒の微細
化効果は飽和してしまう。
含有量が０．０１５％未満ではこの様な効果が達成され
ず、また０．０５％を超えて含有させても結晶粒の微細
化効果は飽和してしまう。
【００１５】Ｃｒ：２％以下 ＣｒはＭｎと同様に高周波焼入れ安定性を向上させるの
に有効でもあり、また疲労強度向上にも有効である．し
かしながらＣｒ含有量が過剰になると、Ａｃ1変態点を
上昇させて含有量に見合う呈に高周波焼入れ安定性およ
び疲労強度向上に効果が少なくなるので、２％以下とす
べきである。 Ｍｏ：１％以下 Ｍｏは高周波焼入れ時の硬化層深を増大するのに有効な
元素であるが、含有量が１％を超えると焼割れが生じる
恐れがある。
に有効でもあり、また疲労強度向上にも有効である．し
かしながらＣｒ含有量が過剰になると、Ａｃ1変態点を
上昇させて含有量に見合う呈に高周波焼入れ安定性およ
び疲労強度向上に効果が少なくなるので、２％以下とす
べきである。 Ｍｏ：１％以下 Ｍｏは高周波焼入れ時の硬化層深を増大するのに有効な
元素であるが、含有量が１％を超えると焼割れが生じる
恐れがある。
【００１６】本発明は、上記の様な化学成分組成の鋼を
素材とし、該素材を所定の軸状部品形状に形成した後、
まず周波数２００ＫＨｚ以下で高周波焼入れを行なう
が、このときの周波数が２００ＫＨｚを超えると前記
（１）式を満足する様な焼入れが迅速に行なえない。即
ち、高周波焼入れでは、周波数が高いほど表皮効果によ
って電流が最表面に集中し易くなるが、周波数が２００
ＫＨｚを超えると内部まで加熱されにくく前記（１）式
を満足する硬化深さを得るのに長時間を要する。
素材とし、該素材を所定の軸状部品形状に形成した後、
まず周波数２００ＫＨｚ以下で高周波焼入れを行なう
が、このときの周波数が２００ＫＨｚを超えると前記
（１）式を満足する様な焼入れが迅速に行なえない。即
ち、高周波焼入れでは、周波数が高いほど表皮効果によ
って電流が最表面に集中し易くなるが、周波数が２００
ＫＨｚを超えると内部まで加熱されにくく前記（１）式
を満足する硬化深さを得るのに長時間を要する。
【００１７】本発明では、上記高周波焼入れ処理を行な
った後、周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを行な
うものであるが、このときの周波数が２５ＭＨｚ未満で
は、前期表皮効果によって、加熱される表層部の厚みが
大きくなって、超高周波焼入れ効果が希釈されてしま
い、希望する特性の部品が得られない。
った後、周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを行な
うものであるが、このときの周波数が２５ＭＨｚ未満で
は、前期表皮効果によって、加熱される表層部の厚みが
大きくなって、超高周波焼入れ効果が希釈されてしま
い、希望する特性の部品が得られない。
【００１８】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に微して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に微して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【００１９】
【実施例】表１に示す化学成分の鋼を通常の溶製法によ
って溶解、鋳造後、鍛造した。焼きならし後、切削によ
って直径１２ｍｍ，長さ２２ｍｍの転動疲労試験片を作
成した。そして本発明の製造工程または従来の製造工程
を施した後、後述する転動疲労試験を行なった。
って溶解、鋳造後、鍛造した。焼きならし後、切削によ
って直径１２ｍｍ，長さ２２ｍｍの転動疲労試験片を作
成した。そして本発明の製造工程または従来の製造工程
を施した後、後述する転動疲労試験を行なった。
【００２０】
【表１】
【００２１】表１において実施例１は、本発明で規定す
る化学成分組成（但し、Ａｌを含有したもの）の鋼に高
周波焼入れ、焼戻し後、超高周波焼入れを施したもので
ある。比較例１は、実施例１と同じ化学成分組成の鋼に
従来の高周波焼入れを施したものである。比較例２は、
ＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼に高周波焼入れ、焼戻し後、超高周
波焼入れを施したものである。比較例３は、ＪＩＳ Ｓ
５３Ｃ鋼に、従来の高周波焼入れを施したものである。
実施例２は、本発明で規定する化学成分組成（但し、Ａ
ｌ含有量が０．００５％未満のもの）の鋼に高周波焼入
れ、焼戻し後、超高周波焼入れを施したものである。比
較例４は実施例２と同じ化学成分組成の鋼に従来の高周
波焼入れを施したものである。尚本発明工程および従来
工程の詳細は下記の通りである。 （１）本発明工程 高周波焼入れ・１８０℃焼戻し→表面研削→超高周波焼
入れ （２）従来工程 高周波焼入れ・１８０℃焼戻し→表面研削
る化学成分組成（但し、Ａｌを含有したもの）の鋼に高
周波焼入れ、焼戻し後、超高周波焼入れを施したもので
ある。比較例１は、実施例１と同じ化学成分組成の鋼に
従来の高周波焼入れを施したものである。比較例２は、
ＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼に高周波焼入れ、焼戻し後、超高周
波焼入れを施したものである。比較例３は、ＪＩＳ Ｓ
５３Ｃ鋼に、従来の高周波焼入れを施したものである。
実施例２は、本発明で規定する化学成分組成（但し、Ａ
ｌ含有量が０．００５％未満のもの）の鋼に高周波焼入
れ、焼戻し後、超高周波焼入れを施したものである。比
較例４は実施例２と同じ化学成分組成の鋼に従来の高周
波焼入れを施したものである。尚本発明工程および従来
工程の詳細は下記の通りである。 （１）本発明工程 高周波焼入れ・１８０℃焼戻し→表面研削→超高周波焼
入れ （２）従来工程 高周波焼入れ・１８０℃焼戻し→表面研削
【００２２】上記高周波焼入れは、出力：７５ＫＷ、周
波数２００ＫＨｚ、電圧：８．８ＫＶ、一次電流：０．
８Ａ、二次電流：４．５Ａ、ワークコイル移動速度：
６．４ｍｍ／ｓｅｃの条件で加熱した後、水冷した。ま
た焼戻しは、１８０℃の温度で９０分行なった。超高周
波焼入れは、電圧：８．５ＫＶ、周波数：２７．１２Ｍ
Ｈｚの条件で、８０ｍｓ（８０／１０００秒）の超短時
間で衝撃的に焼入れを行なった。
波数２００ＫＨｚ、電圧：８．８ＫＶ、一次電流：０．
８Ａ、二次電流：４．５Ａ、ワークコイル移動速度：
６．４ｍｍ／ｓｅｃの条件で加熱した後、水冷した。ま
た焼戻しは、１８０℃の温度で９０分行なった。超高周
波焼入れは、電圧：８．５ＫＶ、周波数：２７．１２Ｍ
Ｈｚの条件で、８０ｍｓ（８０／１０００秒）の超短時
間で衝撃的に焼入れを行なった。
【００２３】上記処理を行なった後の各試験片の材質特
性を表２に示すが、この表から次ぎのことが分かる。即
ち、実施例１のものは、比較例２のものと比べて表面硬
さが高く、結晶粒が微細になっている。また実施例１と
比較例２を比較すれば明らかな様に、既存のＪＩＳ Ｓ
５３Ｃ鋼を用いたものでは、高周波焼入れと超高周波焼
入れを組合わせて処理を行なっても、高い表面硬さや超
微細結晶粒が得られない。実施例２のものは実施例１と
比較して同等の高い表面硬さが得られるものの、結晶粒
径が大きくなっている。
性を表２に示すが、この表から次ぎのことが分かる。即
ち、実施例１のものは、比較例２のものと比べて表面硬
さが高く、結晶粒が微細になっている。また実施例１と
比較例２を比較すれば明らかな様に、既存のＪＩＳ Ｓ
５３Ｃ鋼を用いたものでは、高周波焼入れと超高周波焼
入れを組合わせて処理を行なっても、高い表面硬さや超
微細結晶粒が得られない。実施例２のものは実施例１と
比較して同等の高い表面硬さが得られるものの、結晶粒
径が大きくなっている。
【００２４】
【表２】
【００２５】図１〜４は、実施例１と比較例１〜３にお
ける０．０５ｍｍ表面での金属組繊を示す夫々の図面代
用電子顕微鏡写真である（倍率：７０００倍）。図１か
ら明らかな様に、実施例１のものでは、０．５μｍ以下
の微細炭化物が折出していることがわかる。これに対
し、比較例１（図２）では、実施例１と同じ化学成分組
成の鋼を素材として用いても、従来の高周波焼入れだけ
を行なうものであるので、微細炭化物の折出はほとんど
認められない。またＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼を高周波焼入れ
後、超高周波焼入れした比較例２（図３）においても、
ごくわずかに炭化物の折出が認められる程度である。更
に、ＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼に従来の高周波焼入れをした比
較例３（図４）においても、比較例１と同様に微細炭化
物の析出はほとんど認められない。
ける０．０５ｍｍ表面での金属組繊を示す夫々の図面代
用電子顕微鏡写真である（倍率：７０００倍）。図１か
ら明らかな様に、実施例１のものでは、０．５μｍ以下
の微細炭化物が折出していることがわかる。これに対
し、比較例１（図２）では、実施例１と同じ化学成分組
成の鋼を素材として用いても、従来の高周波焼入れだけ
を行なうものであるので、微細炭化物の折出はほとんど
認められない。またＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼を高周波焼入れ
後、超高周波焼入れした比較例２（図３）においても、
ごくわずかに炭化物の折出が認められる程度である。更
に、ＪＩＳ Ｓ５３Ｃ鋼に従来の高周波焼入れをした比
較例３（図４）においても、比較例１と同様に微細炭化
物の析出はほとんど認められない。
【００２６】表３は、前記各試験片の円筒型転動疲労試
験の結果を示したものである。尚、転動疲労試験は、潤
滑油としてタービンオイル＃６８を用い、接触応力：５
８８０Ｎ／ｍｍ2 、回転数：４７６００ｒｐｍの条件で
行なった。これらの結果から明らかな様に、実施例１の
ものは、高い表面硬さ、超微細結晶粒、大きな圧縮残留
応力並びに微細な炭化物の折出等によって（前記表
２）、優れた疲労寿命を示していることがわかる。実施
例２は結晶粒が大きいことに起因して、実施例１と比較
して転動疲労寿命がわずかに低くなることがわかる。
験の結果を示したものである。尚、転動疲労試験は、潤
滑油としてタービンオイル＃６８を用い、接触応力：５
８８０Ｎ／ｍｍ2 、回転数：４７６００ｒｐｍの条件で
行なった。これらの結果から明らかな様に、実施例１の
ものは、高い表面硬さ、超微細結晶粒、大きな圧縮残留
応力並びに微細な炭化物の折出等によって（前記表
２）、優れた疲労寿命を示していることがわかる。実施
例２は結晶粒が大きいことに起因して、実施例１と比較
して転動疲労寿命がわずかに低くなることがわかる。
【００２７】
【表３】
【００２８】
【発明の効果】上記述べた如く本発明によれば、疲労特
性に極めて優れた高強度機械構造用軸状部品を製造する
ことができ、該部品はピン類、シャフト類等として最適
である。
性に極めて優れた高強度機械構造用軸状部品を製造する
ことができ、該部品はピン類、シャフト類等として最適
である。
【図１】実施例１における０．０５ｍｍ表面での金属組
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
【図２】比較例１における０．０５ｍｍ表面での金属組
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
【図３】比較例２における０．０５ｍｍ表面での金属組
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
【図４】比較例３における０．０５ｍｍ表面での金属組
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
織を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
Claims (5)
- 【請求項１】 Ｃ：０．４〜０．７％（重量％の意味、
以下同じ），Ｓｉ：０．１％以下，Ｍｎ：０．３〜０．
９５％，Ｎｉ：０．５〜２％，Ｓ：０．０３％以下を夫
々含有し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなる鋼を素
材とし、該素材を鍛造、切削および転造加工によって所
定の軸状部品形状に成形した後、周波数２００ＫＨｚ以
下の高周波焼入れによって下記（１）式を満足する様に
処理した後、周波数２５ＭＨｚ以上で超高周波焼入れを
行なうことを特徴とする高強度機械構造用軸状部品の製
造方法。 ＣＤ／Ｒ：０．４以上……（１） 但し、ＣＤ：５０％マルテンサイト硬さまでの硬化層深
さ Ｒ：高周波焼入れされる軸状部品の半径 - 【請求項２】 更に、Ａｌ：０．０１５〜０．０５％を
含有する鋼を素材として用いる請求項１に記載の製造方
法。 - 【請求項３】 更に、Ｃｒ：２％以下を含有する鋼を素
材として用いる請求項１または２に記載の製造方法。 - 【請求項４】 更に、Ｍｏ：１重量％以下を含有する鋼
を素材として用いる請求項１〜３のいずれかに記載の製
造方法。 - 【請求項５】 請求項１〜４のいずれかに記載の方法に
よって得られたものである高強度機械構造用軸状部品。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4307267A JPH06158171A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高強度機械構造用軸状部品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4307267A JPH06158171A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高強度機械構造用軸状部品およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06158171A true JPH06158171A (ja) | 1994-06-07 |
Family
ID=17967062
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4307267A Withdrawn JPH06158171A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高強度機械構造用軸状部品およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06158171A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002146487A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-05-22 | Daido Steel Co Ltd | シャフト用鋼 |
| CN100418755C (zh) * | 2006-11-16 | 2008-09-17 | 周雷 | 人造板、塑料板或橡胶板连续压机辊轴的稳定工艺处理方法 |
-
1992
- 1992-11-17 JP JP4307267A patent/JPH06158171A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002146487A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-05-22 | Daido Steel Co Ltd | シャフト用鋼 |
| CN100418755C (zh) * | 2006-11-16 | 2008-09-17 | 周雷 | 人造板、塑料板或橡胶板连续压机辊轴的稳定工艺处理方法 |
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