JPH06157885A - ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物

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JPH06157885A
JPH06157885A JP33685292A JP33685292A JPH06157885A JP H06157885 A JPH06157885 A JP H06157885A JP 33685292 A JP33685292 A JP 33685292A JP 33685292 A JP33685292 A JP 33685292A JP H06157885 A JPH06157885 A JP H06157885A
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JP
Japan
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resin
pbt
molding
metal salt
resin composition
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JP33685292A
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English (en)
Inventor
Masao Ishida
正夫 石田
Shigeru Kawahara
茂 河原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリブチレンテレフタレート系樹脂粒状体の
表面に、架橋硬化型シリコーン樹脂、炭素数8以上の脂
肪族カルボン酸の金属塩及び所望により無機粉末からな
る薄膜層を設けたブチレンテレフタレート系樹脂組成
物。 【効果】 本発明のPBT系樹脂組成物は成形性に優
れ、成形品の形状、成形装置の種別、成形条件等に影響
されることなく、迅速且つ均一に可塑化することがで
き、それにより成形サイクルが大幅に短縮されて生産性
の向上を図ることができ、しかも寸法精度が高く、成形
ショット間で品質にばらつきのない商品価値の高い成形
品を製造することができる。その上、PBT系樹脂粒状
体の表面に設けた架橋硬化型シリコーン樹脂、脂肪族カ
ルボン酸の金属塩、無機粉末等の脱離が極めて小さいの
で、取扱い性に優れ、成形装置やその付帯設備等の汚染
を招くことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリブチレンテレフタ
レート系樹脂組成物に関する。詳細には、成形性に優
れ、特に射出成形した場合に寸法精度の優れた精密部品
などを高い生産性で製造することのできるポリブチレン
テレフタレート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、
その優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、耐溶剤性
などを活かして、機械部品、電気部品、電子部品、自動
車部品等として種々の分野で既に広く用いられている。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレート系樹脂をも
含めて、ポリエステル系樹脂は一般に融点が高く且つ溶
融粘度の温度依存性が大きいために成形性に劣り、成形
時に迅速且つ均一に可塑化するのが困難である。しか
も、結晶化速度が遅いことにより、射出成形などによっ
て寸法精度の優れた精密部品等を生産性よく製造するこ
とが困難である。
【0003】ポリエステル系樹脂の上記のような欠点を
改良してその成形性を向上させるための工夫は従来から
も色々試みられており、そのような従来法としては、
(1)ポリエステル樹脂にステアリン酸金属塩潤滑剤や
無機固体粉末の結晶化剤を溶融混合する方法(特公昭4
7−10523号公報、特公昭48−48894号公
報)、(2)ポリエステルチップの表面に脂肪酸金属塩
潤滑剤や無機固体粉末を均一にまぶす方法(特公昭45
−19392号公報、特公昭47−32435号公報)、
(3)流動パラフィン、低分子量ジメチルポリシロキサ
ン(シリコーンオイル)などの液状展開剤を用いてポリ
エステルチップの表面に脂肪酸金属塩および/または無
機固体粉末を均一に付着させる方法(特開昭50−78
647号公報、特公昭63−57469号公報)、
(4)無機固体粉末を含有または含有しないポリエステ
ルチップの表面にモンタン酸塩を被覆する方法(特公昭
47−13137号公報)、(5)脂肪族カルボン酸金
属塩の融点以上で且つポリブチレンテレフタレートの融
点以下の温度で、ポリブチレンテレフタレートに脂肪族
カルボン酸金属塩と無機固体粉末を加熱混合する方法
(特公昭62−941号公報)、(6)ポリブチレンテ
レフタレートチップの表面にポリオレフィンワックスを
被覆する方法(特開平2−24289号公報)、などが
知られている。
【0004】しかしながら、上記(1)の方法による場
合は、成形サイクルは速くなるものの、得られる成形品
の品質がチップ形状や射出成形装置の機種などによって
大きく影響され易く、品質の一定した良好な成形品を安
定して製造することが困難であるという欠点がある。ま
た、上記(2)の方法による場合は、静電気の発生やそ
の他の原因で、脂肪酸金属塩や無機固体粉末がポリエス
テルチップの表面から脱離し易く、射出成形のショット
ごとに成形サイクルに変動を生じ、得られる成形品の品
質に変動をきたすという問題がある。
【0005】更に、上記(3)の方法による場合は、流
動パラフィンやシリコーンオイル等の液状展着剤の使用
によって脂肪酸金属塩や無機固体粉末のポリエステルチ
ップ表面から脱離はある程度防止できるものの未だ完全
ではなく、しかも液状展着剤の粘着性によってチップ間
の摩擦係数が変化して、ホッパーなどのチップ移送部分
におけるチップの移送(流動)が不均一になり易い。そ
の結果、溶融可塑化状態が不安定となって、品質の一定
した成形品を安定して得ることが困難であり、しかもホ
ッパなどの移送部分における汚れ、汚れ成分の吸着等を
発生し易い。
【0006】また、上記(4)の方法ではモンタン酸塩
がポリエステルチップ表面にほぼ均一に被覆されている
ものの、チップ間の滑りが悪く、成形機のホッパ等でブ
リッジ(塊化による詰まり)を生じて成形機へのチップ
の供給が不均一になり、溶融可塑化状態が不安定になっ
てやはり品質の一定した成形品を安定して得られにく
い。そして、上記(5)の方法の場合は、高温での加熱
混合操作が必要なために、熱効率が悪くコスト高につな
がり、また上記(6)の方法ではポリオレフィンワック
スによる成形装置、金型等の汚染が生じ易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、取扱い性、成形性、生産性等が良好で、且つ成
形装置、金型、それらの付帯設備の汚染がなく、しかも
寸法精度に優れていて、成形品ごとに品質にばらつきの
ない、商品価値の高い成形品を安定して製造することの
できるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らが検討を重ね
た結果、ポリブチレンテレフタレート系樹脂チップの表
面に脂肪族カルボン酸の金属塩またはそれと無機粉末を
付着させるに当たって、架橋硬化型シリコーン樹脂を使
用すると、上記の課題を解決することを見出して本発明
を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、ポリブチレンテレフ
タレート系樹脂粒状体の表面に、架橋硬化型シリコーン
樹脂および炭素数8以上の脂肪族カルボン酸の金属塩か
らなる薄膜層を設けたことを特徴とするポリブチレンテ
レフタレート系樹脂組成物である。更に、本発明は、架
橋硬化型シリコーン樹脂および炭素数8以上の脂肪族カ
ルボン酸の金属塩からなる薄膜層中に更に無機粉末を含
有させたことを特徴とするポリブチレンテレフタレート
系樹脂組成物である。
【0010】本発明の組成物で使用するポリブチレンテ
レフタレート系樹脂(以下「PBT系樹脂」という)
は、ポリエステル樹脂を構成する酸成分が主としてテレ
フタル酸またはそのエステル形成性誘導体からなり、か
つジオール成分が主として1,4−ブタンジオールから
なるポリエステル樹脂である。その場合に、一般に、酸
成分の約70モル%以上がテレフタル酸またはそのエス
テル形成性誘導体からなり、且つジオール成分の約70
モル%以上が1,4−ブタンジオールからなっているの
が好ましい。そして、酸成分としてテレフタル酸のエス
テル形成性誘導体を使用する場合は、テレフタル酸のジ
アルキルエステル、ジアリールエステル等を用いること
ができる。
【0011】PBT系樹脂においては、酸成分として、
テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と共に少
量(通常約30モル%未満)の他の共重合酸成分を含ん
でいてもよく、そのような共重合酸成分の例としては、
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジ
フェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;β−オ
キシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸のようなオ
キシカルボン酸;セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、
マゼライン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;また
はそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることがで
き、それらの共重合酸成分は1種のみを用いてもまたは
2種以上を用いてもよい。
【0012】また、PBT系樹脂は、ジオール成分とし
て、1,4−ブタンジーと共に少量(通常約30モル%
未満)の他の共重合ジオール成分を含んでいてもよく、
そのような共重合ジオール成分の例としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタ
ンジオール、デカメチレンジオールなどの炭素数2〜1
0の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、シクロ
ヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール;
ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジオー
ル;ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレ
ングリコールなどを挙げることができ、これらの共重合
ジオール成分は1種のみを用いてもまたは2種以上を用
いてもよい。
【0013】本発明で用いるPBT系樹脂は、上記した
テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体から主と
してなる酸成分と上記した1,4−ブタンジオールから
主としてなるジオール成分とを用いて、エステル交換反
応または直接エステル化反応によって低分子量重合体を
製造し、ついでそれを所定の重合度になるまで減圧下に
重縮合反応させることにより製造することができる。限
定されるものではないが、重量比で1:1のフェノール
/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて30℃で測定し
た時に、約0.6〜1.3dl/gの極限粘度を有する
PBT系樹脂を使用するのが、成形性およびそれから得
られる成形品の力学的特性などの点から好ましい。
【0014】そして本発明では、上記したPBT系樹脂
を粒状体とし、その表面に架橋硬化型シリコーン樹脂と
炭素数8以上の脂肪族カルボン酸の金属塩からなる薄膜
層、または架橋硬化型シリコーン樹脂、炭素数8以上の
脂肪族カルボン酸の金属塩および無機粉末からなる薄膜
層を設ける。
【0015】その場合のPBT系樹脂粒状体の形状は特
に限定されず、チップ状、ペレット、球状等の粒状形状
とすることができ、またその寸法はポリエステル系樹脂
粒状体に一般に用いられている範囲であればよく、一般
に約1〜5mm程度の大きさにするのが好ましい。
【0016】本発明で用いる架橋硬化型シリコーン樹脂
とは、三次元結合へと架橋硬化が可能なシリコーン樹脂
または架橋硬化して三次元結合をなしているシリコーン
樹脂をいう。そして、本発明で用いる架橋硬化型シリコ
ーン樹脂は、三次元結合を形成する前の架橋硬化性のシ
リコーン樹脂であっても、或いは一部または完全に架橋
硬化して三次元結合を既に形成しているシリコーン樹脂
であってもよい。いずれにしても、本発明で使用する架
橋硬化型シリコーン樹脂は、最終的に架橋硬化して三次
元結合を形成する点で、二次元の鎖状結合をなしている
ジメチルポリシロキサン等のジオルガノポリシロキサン
やその低分子量重合体であるシリコーン油とは明瞭に区
別される。
【0017】本発明で使用する架橋硬化型シリコーン樹
脂としては、架橋可能な反応性の基を1分子中に3個以
上有し、三次元的に架橋が可能なポリ有機シロキサンで
あればいずれも使用できる。その場合の架橋可能な反応
性の基としては、例えば シラノール基(Si−OH)、式;Si−Xで表され
る基[式中、Xは水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、フッ
素等のハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、
アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基等)、ア
ルケルケトキシム基、アセトキシ基、アミノキシ基な
ど]などの縮合反応性の基; ビニル基、アリル基等の付加反応可能な不飽和基; ビニル基とケイ素結合水素原子(Si−H)との組み
合わせ; などを挙げることができ、架橋硬化型シリコーン樹脂
は、上記した架橋可能な反応性の基の1種または2種以
上を1分子中に3個以上有していればよい。
【0018】そして、上記の縮合反応性の基を有する
ポリ有機シロキサンの場合は、酸、アルカリ、オクチル
酸亜鉛、オクチル酸鉄、ジブチル錫ジラウレートなどの
カルボン酸金属塩、チタネート、ボレートなどの触媒を
用いて、必要に応じて加熱することによって、三次元的
に架橋硬化したシリコーン樹脂を形成させることができ
る。また、上記の基を有するポリ有機シロキサンの場
合は、有機パーオキサイドやその他のラジカル重合触媒
を用いることにより、三次元的に架橋硬化したシリコー
ン樹脂を形成させることができ、さらに上記の場合に
は、白金系の触媒を使用することによってビニル基とケ
イ素結合水素原子との間で付加反応が生じて架橋硬化し
たシリコーン樹脂が形成される。
【0019】架橋硬化型シリコーン樹脂は1種類のみを
使用しても、または2種以上を組み合わせて使用しても
よい。そして、架橋硬化型シリコーン樹脂は、PBT系
樹脂に対して約0.001〜5重量%の割合で使用する
のがよく、0.01〜2重量%が特に好ましい。0.0
01重量%未満であると、成形性の向上効果が小さく、
迅速で且つ均一な可塑化が行われにくくなり、特に射出
成形が円滑に行われず、しかも寸法精度の高い成形品が
得られにくくなる。一方、5重量%よりも多いと、得ら
れるPBT系樹脂成形品の物性低下を招き易い。
【0020】また、酸素数8以上の脂肪族カルボン酸の
金属塩としては、炭素数8以上の脂肪族カルボン酸、好
ましくは炭素数14〜22の脂肪族カルボン酸のカルシ
ウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、鉛など
の金属塩を使用するのがよい。具体例としては、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステア
リン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム塩基性
塩、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ラウリン
酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸ア
ルミニウム、ラウリン酸アルミニウム塩基性塩、ラウリ
ン酸バリウム、ラウリン酸鉛、セバシン酸カルシウム、
セバシン酸マグネシウム、セバシン酸アルミニウム、セ
バシン酸アルミニウム塩基性塩、セバシン酸バリウム、
セバシン酸鉛、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸
マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン
酸アルミニウム塩基性、パルミチン酸バリウム、パルミ
チン酸鉛などを挙げることができ、これらの金属塩は1
種のみを使用しても2種以上を組み合わせて使用しても
よい。
【0021】脂肪族カルボン酸の金属塩は、PBT系樹
脂に対して0.002〜5重量%の割合で使用するのが
よく、0.01〜2重量%の範囲がより好ましい。0.
002重量%未満であると、成形性の向上効果が小さ
く、迅速で且つ均一な可塑化が行われにくくなり、特に
射出成形が円滑に行われず、しかも寸法精度の高い成形
品が得られにくくなる。一方、5重量%よりも多いと、
得られるPBT系樹脂成形品の物性低下を招き易い。
【0022】また、本発明では、上記した架橋硬化型シ
リコーン樹脂および脂肪族カルボン酸の金属塩と共に、
必要に応じて無機粉末を使用するが、その際の好ましい
無機粉末の具体例としては、タルク、シリカ、クレー、
ワラストナイト、マイカ、セリサイト、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ藻土、アルミナ水和物、硫酸バリウム、酸化マ
グネシウム、リン酸カルシウム、金属粉などを挙げるこ
とができる。無機粉末は1種類のみを使用しても、また
は2種以上を使用してもよい。無機粉末を使用する場合
は、PBT系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは
0.01〜2重量%の範囲で使用するのがよい。5重量
%を超えると、得られるPBT系樹脂成形品の物性、特
に引張破断伸びおよび衝撃強度の低下を招き易い。
【0023】PBT系樹脂の粒状体表面に架橋硬化型シ
リコーン樹脂、脂肪族カルボン酸の金属塩および必要に
応じて無機粉末を含む薄膜層を形成させる方法は特に限
定されず、いずれの方法で行ってもよい。薄膜層の形成
方法の例としては、(i)PBT系樹脂粒状体に架橋硬
化型シリコーン樹脂、脂肪族カルボン酸の金属塩、およ
び必要に応じて無機粉末をそのまま加えて、回転撹拌機
などの適当な混合手段を用いて混合してPBT系樹脂粒
状体表面にそれらの成分からなる薄膜層を形成させる方
法、(ii)重合により得られたPBT系樹脂を押出機の
ダイを通してストランド状に押し出す際に、架橋硬化型
シリコーン樹脂、脂肪族カルボン酸の金属塩および場合
により無機粉末を含有する乳化液または分散液中にPB
T系樹脂を直接押し出してストランドの表面にそれらの
成分を含む薄膜層を形成させ、それを切断して該薄膜層
で被覆された粒状体を製造する方法がある。
【0024】更に、別の方法としては、(iii)重合に
より得られたPBT系樹脂を架橋硬化型シリコーン樹脂
および脂肪族カルボン酸の金属塩を含有する乳化液また
は分散液中に直接押し出してストランドの表面に架橋硬
化型シリコーン樹脂と脂肪族カルボン酸の金属塩を含む
薄膜層を形成させた後、ストランドを粒状体に切断する
前または切断した後に必要に応じてその表面に無機粉末
をワックスブレンダーなどの適当な粉体供給機を使用し
て施す方法、(iv)重合により得られたPBT系樹脂を
架橋硬化型シリコーン樹脂を含有する乳化液または分散
液中に直接押し出してストランドの表面に架橋硬化型シ
リコーン樹脂の薄膜層を形成させた後、ストランドを粒
状体に切断する前または切断した後に、脂肪族カルボン
酸の金属塩または該金属塩と無機粉末をその表面に施す
方法などを挙げることができる。
【0025】上記したように、本発明では、PBT系樹
脂粒状体の表面に薄膜層として被覆する架橋硬化型シリ
コーン樹脂は架橋硬化する前のものであっても、或いは
一部または完全に架橋硬化したものであってもよいが、
一般に、PBT系樹脂粒状体の被覆処理直前の段階では
架橋硬化を生じていないが、粒状体表面での薄膜層の形
成が終了した時点(成形機に供給される前の時点)で
は、部分的に架橋硬化した状態にしておくのがよい。そ
の場合の架橋硬化の程度はシリコーン樹脂の種類等によ
り当然異なり得るが、一般に架橋硬化の完了時の約1/
5〜4/5程度とするのが好ましい。更に、該シリコー
ン樹脂は、ショアー硬度10以上のゴム状から鉛筆硬度
2H以下のレジン状の硬化状態であることが望ましい。
それによって、シリコーン樹脂、脂肪族カルボン酸の金
属塩、無機粉末等がPBT系樹脂粒状体の表面に一層均
一且つ強固に付着して、粒状体表面から脱落しにくくな
り、しかも薄膜層の過度の粘着性を防止することができ
る。そしてその結果、PBT系樹脂粒状体の流動性が向
上して、成形機などに均一且つ円滑に供給されるように
なり、成形性が一層改良され、且つ成形機器などの汚染
が防止されて、寸法精度の良い商品価値の高い成形品を
操作性よく製造することができる。
【0026】本発明では、架橋硬化型シリコーン樹脂と
脂肪族カルボン酸の金属塩の2者を含む薄膜層をPBT
系樹脂粒状体の表面に形成させることによって初めて成
形性が改良され、それにより成形品の形状、成形装置の
種別、成形条件などに影響されることなく、迅速且つ均
一な可塑化を行うことが可能になる。その結果、成形サ
イクルが大幅に短縮されて生産性が向上し、しかも寸法
精度が高く、成形ショット間で品質にばらつきのない商
品価値の高いPBT系樹脂成形品を、成形装置等の汚染
を招くことなく製造することができる。そしてその場合
に、無機粉末を更に使用すると得られる成形品の寸法精
度が一層向上することがある。
【0027】それに対して、架橋硬化型シリコーン樹脂
および脂肪族カルボン酸の金属塩のうちの一方のみで
は、そのような優れた効果を奏することができない。ま
た、本発明で使用している架橋硬化型シリコーン樹脂の
代わりに、従来使用されている非架橋硬化型のジオルガ
ノポリシロキサン(シリコーンオイル等)を用いた場合
には、上記したような優れた効果を奏することはできな
い。
【0028】本発明のPBT系樹脂組成物は、上記した
架橋硬化型シリコーン樹脂、脂肪族カルボン酸の金属
塩、および場合により用いられる無機粉末以外に、所望
に応じて従来公知の添加物、例えば離型剤、酸化防止
剤、着色剤(染顔料等)、可塑剤、滑剤、核剤、安定
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤などを
含有していてもよく、これらの添加物は、PBT系樹脂
粒状体の製造時に添加しても、または架橋硬化型シリコ
ーン樹脂や脂肪族カルボン酸の金属塩等からなる薄膜層
中に含有させてもよい。更に、本発明のPBT系樹脂組
成物は、PBT系樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体等のポリオレフィン重合体、ポリカーボネート、AB
S樹脂、ポリアミドなどの他の有機重合体を必要に応じ
て50重量%以下の範囲で含有していてもよい。
【0029】本発明のPBT系樹脂組成物は、PBT系
樹脂に対して一般に用いられている成形方法や成形装置
を用いて成形することができる。例えば、本発明のPB
T系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形、
ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、カレン
ダー成形、注型、流延成形などによって任意の形状や寸
法を有する成形体にすることができ、それによって電気
部品、電子部品、機械部品、自動車部品、パイプ、シー
ト、フイルム、日用品などの任意の種々の用途の成形体
を製造することができる。そのうちでも、本発明のPB
T系樹脂組成物は、射出成形により各種機械部品および
電気/電子部品を製造するのに適しており、その場合に
短い成形サイクルで寸法精度の優れた成形品を安定して
得ることができる。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例等により具体的に説明
するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施
例および比較例において、PBT樹脂の極限粘度の測
定、PBT樹脂組成物の取扱い特性、成形品の寸法精
度、成形性の評価は、次のようにして行った。
【0031】PBT樹脂の極限粘度:PBT樹脂をフェ
ノール/テトラクロロエタン(50/50重量比)混合
溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計により30℃にて測定
した。
【0032】PBT系樹脂組成物の取扱い特性:内容量
100mlのステンレス製バイアル内に、PBT樹脂粒
状体の表面に下記の表1に示す添加剤からなる被覆層を
設けたPBT樹脂組成物40gを入れ、30℃の雰囲気
下に24時間震盪機で震盪した。ステンレス製バイアル
からPBT樹脂粒状体を取り出し、PBT樹脂粒状体の
表面から脱落してバイアルの内面に付着または残留して
いる添加物の重量(W)(g)を測定して、下記の数式
1により、PBT樹脂粒状体表面から脱落した添加剤の
割合(%)を求めて、その多少により取扱い性の良否を
評価した。
【0033】
【数1】 脱落した添加剤の割合(%)=(W/W0)×100 ただし、W =PBT樹脂粒状体から脱落した添加剤の
重量(g) W0=PBT樹脂粒状体の表面被覆に用いた添加剤の重
量(g)
【0034】成形品の寸法精度の評価:日精樹脂工業社
製の80トン射出成形機にて直径20mmのコイルボビ
ン金型を使用して、シリンダー温度255℃、射出圧力
600kg/cm2、金型温度50℃の条件下に、連続
して100ショットの射出成形を行い、各成形ショット
で得られる成形品の外形寸法を測定し、その標準偏差よ
り寸法精度の評価を行った。
【0035】成形性の評価:コイルボビン金型を用いて
上記により射出成形を行うに際して、成形時の可塑化時
間とクッション量からPBT樹脂組成物の成形性を評価
した。その際に、可塑化時間とクッション量は次のよう
にして測定した。
【0036】《可塑化時間の測定》射出成形機(シリン
ダー内径36mmのフルフライトスクリュー装備)を用
いて100rpmで計量値27mmまで可塑化する間の
時間(可塑化時間)を測定した。
【0037】《クッション量の測定》可塑化後、射出速
度100mm/sで射出したのち600kg/cm2
て2秒間保圧をかけた後のスクリュー先端位置(クッシ
ョン量)を読み取った。
【0038】《実施例1〜7》 (1) テレフタル酸ジメチル100部、1,4−ブタ
ンジオール60部およびイソプロピルチタネート0.0
4部を反応槽に仕込み、常圧下に145℃から230℃
まで徐々に昇温しながら加熱してエステル交換反応を行
わせ、メタノールを24部流出させた。この時点でのP
BT樹脂前駆体のカルボキシル基量は8μeq/gであ
り、エステル交換率は81%であった。この系を減圧に
移行し、0.3mmHgの減圧下に240℃で50分間
重縮合反応させた。その結果、極限粘度が0.85dl
/gのPBT樹脂を得た。
【0039】(2) 上記(1)で得た極限粘度が0.
85dl/gのPBT樹脂100部をビス(40メチル
−2,6−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト0.2部、ネオペンチルジステアレート
0.3部およびタルク0.1部と共に240℃にて二軸
押出機を用いて溶融、混練して口金から押出し、これを
切断して直径3mm、長さ3mmのPBT樹脂ペレット
を製造した。
【0040】(3) 上記で得たPBT樹脂ペレットに
対して、下記の表1に記載した架橋硬化型シリコーン樹
脂、脂肪族カルボン酸の金属塩および場合により無機粉
末を表1に示した割合(PBT樹脂に対する重量%)で
加えて回転タンブラー中で混合してPBT樹脂ペレット
の表面をそれらの成分で被覆した後、130℃で3時間
乾燥して架橋硬化型シリコーン樹脂の一部を架橋硬化さ
せて、それらの架橋硬化型シリコーン樹脂、脂肪族カル
ボン酸の金属塩および場合による無機粉末からなる薄膜
層で被覆されたPBT樹脂ペレットからなるPBT樹脂
組成物を製造した。 (4) 得られたPBT樹脂組成物の一部を用いて、そ
の取扱い性(薄膜層の脱落状況)を上記した方法により
測定し、評価した。
【0041】(5) また、上記(3)で得たPBT樹
脂組成物を用いて、コイルボビン金型を使用して上記し
た方法により射出成形を行い、その際の成形性(可塑化
時間、クッション量)および得られる成形品の寸法精度
を上記した方法により測定または評価した。その結果を
表1に示す。
【0042】《実施例8〜9》極限粘度が0.90dl
/g(実施例8)および0.95dl/g(実施例9)
のPBT樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして、
PBT樹脂組成物の製造、PBT樹脂組成物の取扱い性
の評価を行うと共に、そのPBT樹脂組成物を用いて射
出成形を行って、その際の成形性および得られる成形品
の寸法精度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】《比較例1〜6》実施例1で製造使用した
のと同じ極限粘度が0.85dl/gのPBT樹脂を用
いて、実施例1の(2)と同様にしてペレットを製造し
た。そのPBT樹脂ペレット表面に下記の表2に記載し
た成分からなる薄膜層を実施例1の(3)と同様にして
形成させてPBT樹脂組成物を製造して、その取扱い性
を評価した。更に、PBT樹脂組成物を用いて実施例1
の(5)と同様にして射出成形を行い、その際の成形性
および得られる成形品の寸法精度を同様にして評価し
た。その結果を表2に示す。
【0044】《比較例 7》実施例1の(2)で製造し
たのと同じPBT樹脂ペレットを用いて、その表面に薄
膜層を施すことなくそのまま実施例1の(5)と同様に
して射出成形を行い、その際の成形性および得られる成
形品の寸法精度を同様にして評価した。その結果を表2
に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】上記表1および表2の結果から、PBT樹
脂ペレットの表面に架橋硬化型シリコーン樹脂、脂肪族
カルボン酸の金属塩、および場合により更に無機粉末か
らなる薄膜層を形成させた実施例1〜9の本発明のPB
T樹脂組成物の場合は、ペレット表面からの薄膜層成分
の脱離が極めて少なく取扱い性に極めて優れているこ
と、しかも射出成形時の可塑化時間やクッション量の標
準偏差が極めて小さく、ショットごとの変動がなく、安
定した成形状態で均一な成形品が製造できること、その
上得られる成形品の寸法精度が極めて高く、商品価値が
高いことがわかる。
【0048】これに対して、架橋硬化型シリコーン樹脂
および脂肪族カルボン酸の金属塩の両方またはいずれか
一方を欠いている比較例1〜5および比較例7の場合に
は、可塑化時間およびクッション量の標準偏差がいずれ
も極めて大きく、成形性に劣り品質の一定した成形品を
安定して製造できず、且つ得られる成形品の寸法精度が
低いこと、その上、それらの比較例のうちで、架橋硬化
型シリコーン樹脂を使用していない比較例2、比較例3
および比較例5では脂肪族カルボン酸の金属塩や無機粉
末のPBT樹脂からの脱離が著しく、PBT樹脂組成物
の取扱い性が極めて悪いことがわかる。
【0049】更に、比較例6の結果から、非架橋硬化型
のシリコーン油と脂肪族カルボン酸の金属塩とを用いた
場合には、PBT樹脂ペレットからのシリコーン油およ
び脂肪族カルボン酸の金属塩の脱離が著しく、PBT樹
脂組成物の取扱い性に極めて劣っていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明のPBT系樹脂組成物は成形性に
優れており、成形品の形状、成形装置の種別、成形条件
などに影響されることなく、迅速且つ均一に可塑化する
ことができ、それによって成形サイクルが大幅に短縮さ
れて生産性の向上を図ることができる。しかも、本発明
のPBT系樹脂組成物を用いると、寸法精度が高く、成
形ショット間で品質にばらつきのない商品価値の高いP
BT系樹脂成形品を製造することができる。更に、本発
明のPBT系樹脂組成物では、PBT系樹脂粒状体の表
面に設けた架橋硬化型シリコーン樹脂、脂肪族カルボン
酸の金属塩および場合により無機粉末からなる薄膜層の
脱離が極めて小さいので、取扱い性に優れ、成形装置や
その付帯設備等の汚染を招くことなく、円滑に成形を行
うことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリブチレンテレフタレート系樹脂粒状
    体の表面に、架橋硬化型シリコーン樹脂および炭素数8
    以上の脂肪族カルボン酸の金属塩からなる薄膜層を設け
    たことを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 薄膜層が更に無機粉末を含有することを
    特徴とする請求項1記載のポリブチレンテレフタレート
    系樹脂組成物。
JP33685292A 1992-11-25 1992-11-25 ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 Pending JPH06157885A (ja)

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