JPH06157041A - 鉛系複合銅酸化物材料 - Google Patents

鉛系複合銅酸化物材料

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JPH06157041A
JPH06157041A JP30410292A JP30410292A JPH06157041A JP H06157041 A JPH06157041 A JP H06157041A JP 30410292 A JP30410292 A JP 30410292A JP 30410292 A JP30410292 A JP 30410292A JP H06157041 A JPH06157041 A JP H06157041A
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copper oxide
composite copper
based composite
superconducting
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Toshihiko Maeda
敏彦 前田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、優れた超電導特性を有する鉛系超電
導薄膜を得られる基板の材料として、または優れた接合
特性を有するジョセフソン接合を形成できる絶縁層の材
料として用いることができる鉛系複合銅酸化物材料を提
供する。 【構成】金属元素として少なくともPb,Sr,Ca,
CuおよびFeを含有し、結晶構造が1212型である
複合銅酸化物材料であって、CuとFeとは互いに異な
る結晶学的サイトを占有しており、かつその化学組成が
(Pb1-u Feu)(Sr1-v Cav 2 (R1-w Ca
w )Cu2 z で表されることを特徴としている。ここ
で、RはY,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,T
b,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,およびLuからな
る群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素であり、
また、u,v,wはそれぞれ0.3≦u≦0.7、0≦
v≦0.20.3≦w≦0.7を満足する数を表し、z
は7に近い数を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉛系複合銅酸化物高温
超電導材料(以下、鉛系超電導材料と省略する)からな
る薄膜を形成する基板材料や、鉛系超電導材料を用いて
ジョセフソン接合を形成する際の絶縁層の材料として用
いることができる鉛系複合銅酸化物材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉛系超電導材料からなる薄膜を形
成する基板の材料としては、目的とする鉛系超電導材料
の格子定数と比較的近い格子定数を有するMgO,Sr
TiO3 ,LaAlO3 等の単結晶が主に用いられてい
る。また、鉛系超電導材料を用いてジョセフソン接合を
形成する際の絶縁層の材料としても、同様の理由からM
gO等が主に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鉛系超
電導材料からなる薄膜を形成する基板の材料として、M
gO,SrTiO3 ,LaAlO3 等の単結晶を用いる
場合、これらの材料が鉛系超電導材料と結晶構造や構成
元素の点で異なるために、この違いに基づく格子定数も
しくは熱膨張率のわずかな違いにより、得られる鉛系超
電導薄膜の結晶性が悪くなる。このため、所望の超電導
特性を有する鉛系超電導薄膜を得ることができない。ま
た、ジョセフソン接合を形成する際の絶縁層の材料とし
てMgO等を用いる場合にも、同様な理由から良好な特
性を有するジョセフソン接合を得ることが困難である。
【0004】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、優れた超電導特性を有する鉛系超電導薄膜を得ら
れる基板の材料として、または優れた接合特性を有する
ジョセフソン接合を形成できる絶縁層の材料として用い
ることができる鉛系複合銅酸化物材料を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属元素とし
て少なくともPb,Sr,Ca,CuおよびFeを含有
し、結晶構造が1212型である複合銅酸化物材料であ
って、CuとFeとは互いに異なる結晶学的サイトを占
有しており、かつその化学組成が(Pb1-u Feu
(Sr1-v Cav 2 (R1-w Caw )Cu2 z で表
されることを特徴とする鉛系複合銅酸化物材料を提供す
る。
【0006】ここで、RはY,La,Pr,Nd,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,およびLuからなる群より選ばれた少なくとも1種
の希土類元素であり、また、u,v,wはそれぞれ0.
3≦u≦0.7、0≦v≦0.20.3≦w≦0.7を
満足する数を表し、zは7に近い数を表す。
【0007】本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、高温酸
化物超電導材料として知られるTlBa2 CaCu2
7 や(Pb,Cu)Sr2 (R,Ca)Cu2 7 (R
は希土類元素を示す)等のような、結晶構造がいわゆる
1212型である複合銅酸化物と同じ結晶構造を有する
ものである。
【0008】一般に、図1に示すような、酸化物超電導
材料である(Pb,Cu)Sr2 (R,Ca)Cu2
7 には、Cu原子が占有する結晶学的サイトが2種類あ
る。そのうちの一つのサイトは、複合銅酸化物超電導材
料に共通の構造要素であるCuO2 平面内に位置する。
もう一つのサイト、すなわちPbとCuとの固溶サイト
は、上記とまったく異なる結晶学的サイトである。本発
明の鉛系複合銅酸化物材料は、(Pb,Cu)Sr
2 (R,Ca)Cu2 7 におけるPbとCuとの固溶
サイトのすべてのCuをFeで置換した基本構造を有し
ている。この場合、CuO2 平面上に位置するサイトの
Cuはまったく置換されない。本発明の鉛系複合銅酸化
物材料の結晶の格子定数と(Pb,Cu)Sr2 (R,
Ca)Cu27 結晶の格子定数とはほぼ等しい。した
がって、本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、TlBa2
CaCu2 7 等のいわゆる1212型の結晶構造を有
する鉛系超電導材料からなる薄膜を形成する基板材料
や、1212型の結晶構造を有する鉛系超電導材料を用
いてジョセフソン接合を形成する際の絶縁層の材料とし
て好ましい性質を持つものである。特に、(Pb,C
u)Sr2 (R,Ca)Cu2 7 薄膜形成用の基板材
料や(Pb,Cu)Sr2 (R,Ca)Cu2 7 を用
いたジョセフソン接合の絶縁層材料としては最も好まし
い材料である。
【0009】(Pb,Cu)Sr2 (R,Ca)Cu2
7 のPbとCuとの固溶サイト内のCuと、CuO2
平面上に位置するサイト内のCuのいずれもが部分的に
Feで置換された材料が超電導状態を示すことは、従来
の研究より容易に予想できる。しかしながら、本発明の
鉛系複合銅酸化物材料は超電導状態を示さないので、本
発明者がその原因を検討した結果、PbとCuとの固溶
サイトのすべてのCuがFeで置換され、CuO2 平面
上に位置するサイトのCuがまったく置換されず、Fe
およびCuがまったく異なる結晶学的サイトをそれぞれ
占有することが、その理由であると推定できる。
【0010】したがって、FeとCuとがまったく異な
る結晶学的サイトを占有していることは、本発明の複合
銅酸化物材料が基板材料や絶縁層材料として優れた特性
を示すための本質的な条件である。なお、FeとCuと
が異なる結晶学的サイトを占有していることを調べるた
めには、例えば、X線回折法、中性子回折法、あるいは
メスバウアー分光法等を用いることができる。
【0011】本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、基板材
料として用いる場合には単結晶の状態であることが望ま
しいため、例えば、チョクラルスキー法やフラックス法
等の単結晶成長方法を用いて合成される。一方、ジョセ
フソン接合の絶縁層材料として用いる場合には、例え
ば、あらかじめ適当な基板上に作製された超電導薄膜上
に、スパッタリング法、レーザ蒸着法、化学気相析出法
等の薄膜形成方法を用いて作製される。
【0012】本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、熱処理
を施すことによりその電気抵抗率を大きく変化させるこ
とができる。これは、熱処理に伴う鉛系複合銅酸化物材
料中の酸素含有量の変化に関連している。本発明の鉛系
複合銅酸化物材料は、結晶構造がいわゆる1212型で
あり、化学量論的酸素量の値は7となる。通常、熱処理
により変化する酸素含有量は微量であるので、本発明の
鉛系複合銅酸化物材料の酸素含有量も7に近い値である
と推定される。例えば、(Pb,Cu)Sr2(R,C
a)Cu2 7 の場合から類推すると(Pb1-u
u )(Sr1-v Cav 2 (R1-w Caw )Cu2
z におけるzは6.9もしくは7.1程度であると推定
される。
【0013】また、SrサイトをCaで一部置換するこ
とにより電気抵抗率を低下させることができる。Srサ
イトをCaで一部置換するときの固溶限界は、原子比率
で20%である(Sr1-v Cav において0≦v≦0.
2)。この固溶限界を超える量のCaで置換すると、鉛
系複合銅酸化物材料中に不純物として含まれる異相の量
が多くなり、所望の特性を得ることができない。
【0014】PbとFeとの固溶サイトにおけるPbと
Feとの原子比率(Pb/Fe)および希土類元素
(R)とCaとの固溶サイトにおけるRとCaとの原子
比率(R/Ca)は3/7〜7/3((Pb1-u
u )において0.3≦u≦0.7、(R1-w Caw
において0.3≦w≦0.7)の間に設定することが好
ましい。PbとFeとの原子比率および/またはRとC
aとの原子比率がこの範囲以外であると、鉛系複合銅酸
化物材料中に不純物として含まれる異相の量が多くな
り、所望の特性を得ることができないからである。
【0015】本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、通常超
電導状態を示さないが、種々の酸素分圧雰囲気下での熱
処理や、組成をわずかに変化させることにより、その電
気抵抗率を大きく変化させることができ、これにより、
導電性材料から絶縁性材料まで特性を変化させることが
できる。したがって、本発明の鉛系複合銅酸化物材料
は、基板材料やジョセフソン接合の絶縁性材料以外にも
広く利用され得る。この場合には、鉛系複合銅酸化物材
料の状態は、単結晶に限定されるものではなく、例え
ば、各金属元素の酸化物、炭酸塩、もしくはしゅう酸塩
等を用いた固相反応法により合成される多結晶体として
利用してもよい。
【0016】
【作用】本発明の鉛系複合銅酸化物材料は、PbとCu
との固溶サイトのすべてのCuがFeで置換され、Cu
2 平面上に位置するサイトのCuがまったく置換され
ず、FeおよびCuがまったく異なる結晶学的サイトを
それぞれ占有する構造を有しているので、鉛系超電導材
料の格子定数とほぼ等しい格子定数を持つ。
【0017】このため、本発明の鉛系複合銅酸化物材料
を基板材料として用いる場合に、良好な結晶性を保持し
つつ鉛系超電導薄膜を形成することができる。また、本
発明の鉛系複合銅酸化物材料を絶縁層材料として用いる
場合に、優れた接合特性を有するジョセフソン接合を形
成することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0019】実施例1 PbO、Fe2 3 、SrCO3 、Y2 3 、CaCO
3 、CuOの各原料粉末を、全重量が100gとなり、
配合組成が(Pb0.5 Cu0.5 )Sr2 (Y0. 5 Ca
0.5 )Cu2 z となるようにそれぞれ秤量し、これら
の原料粉末をボールミルを用いて混合した。この混合粉
末を、大気中において850℃で10時間仮焼し、その
仮焼体を粉砕し、粉砕した仮焼粉末をプレス成形して成
形体を得た。次いで、この成形体を酸素気流中において
1050℃で1時間焼成し、これを冷却速度50℃/h
で徐冷して実施例1の鉛系複合銅酸化物焼成体を得た。
【0020】得られた実施例1の鉛系複合銅酸化物焼成
体をX線回折法により調べたところ、a軸長が約3.8
オングストローム、c軸長が約11.9オングストロー
ムの正方晶の多結晶体であり、すべての回折線は、この
結晶構造を仮定しての指数付けが可能であった。また、
このX線回折パターンは、図2に示す(Pb,Cu)S
2 (Y,Ca)Cu2 7 のX線回折パターンとほぼ
同じ形状であった。したがって、本実施例においては、
結晶構造がいわゆる1212型である単一相の鉛系複合
銅酸化物焼成体が得られていることが分かった。さら
に、このX線回折パターンを用いてリートベルト解析を
行ったところ、FeとCuとは全く異なる結晶学的サイ
トに占有されていることが分かった。なお、この鉛系複
合銅酸化物焼成体の室温における電気抵抗率は、比較的
低く約2×10-2Ω・cmであったが、超電導状態を示さ
なかった。
【0021】また、この鉛系複合銅酸化物焼成体の格子
定数をX線回折データより精密に計算したところ、a軸
長は3.829オングストローム、c軸長は11.93
7オングストロームであり、(Pb,Cu)Sr
2 (Y,Ca)Cu2 7 の格子定数ときわめて近い値
を有していることが分かった。
【0022】したがって、本物質は、鉛系超電導材料
(Pb,Cu)Sr2 (Y,Ca)Cu2 7 の薄膜形
成用基板として優れていることがわかった。
【0023】実施例2 Y2 3 の代わりにLa2 3 、Pr6 11、Nd2
3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb
2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2
3 、Yb2 3 、またはLu2 3 を用いること以外
は実施例1の場合と同様にして、それぞれ実施例2の鉛
系複合銅酸化物焼成体を作製した。
【0024】得られた実施例2の鉛系複合銅酸化物焼成
体は、すべて結晶構造がいわゆる1212型である単一
相のものであった。これらの鉛系複合銅酸化物焼成体
は、いずれも超電導状態を示さなかったが、室温におけ
る電気抵抗率は、Y2 3 の代わりに使用する原料の希
土類元素の種類により大きく異なっていた。特に、Y2
3 の代わりに使用する原料として、希土類元素Prを
含む原料を用いた場合の鉛系複合銅酸化物焼成体の室温
における電気抵抗率は、104 Ω・cmのオーダーであ
り、鉛系複合銅酸化物焼成体が絶縁体であることが分か
った。
【0025】実施例3 配合組成を(Pb1-u Feu )Sr2 (Y0.5
0.5 )Cu2 z とし、uの値を種々変えること以外
は実施例1と同様にして実施例3の鉛系複合銅酸化物焼
成体を作製した。このとき、uの値としては、0.2,
0.3,0.4,0.6,0.7,および0.8を用い
た。
【0026】それぞれの実施例3の鉛系複合銅酸化物焼
成体を調べたところ、uの値が0.2および0.8のも
のは、多相であり、異相を多く含んでいることが分かっ
た。また、uの値が0.2のものは超電導状態を示し
た。しかしながら、uの値が0.3,0.4,0.6,
および0.7のものは、すべて結晶構造が1212型で
ある単一相であり、また、超電導状態を示さなかった。
【0027】実施例4 配合組成を(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2 (Y1-w
w )Cu2 z とし、wの値を種々変えること以外は
実施例1と同様にして実施例4の鉛系複合銅酸化物焼成
体を作製した。このとき、wの値としては、0.2,
0.3,0.4,0.6,0.7,および0.8を用い
た。
【0028】それぞれの実施例4の鉛系複合銅酸化物焼
成体を調べたところ、wの値が0.2および0.8のも
のは、多相であり、異相を多く含んでいることが分かっ
た。また、wの値が0.8のものは超電導状態を示し
た。しかしながら、wの値が0.3,0.4,0.6,
および0.7のものは、すべて結晶構造が1212型で
ある単一相であり、また、超電導状態を示さなかった。
【0029】実施例5 配合組成を(Pb0.5 Fe0.5 )(Sr1-v Cav 2
(Y0.5 Ca0.5 )Cu2 z とし、vの値を種々変え
ること以外は実施例1と同様にして実施例5の鉛系複合
銅酸化物焼成体を作製した。このとき、vの値として
は、0.05,0.1,0.15,0.2,および0.
25を用いた。
【0030】それぞれの実施例5の鉛系複合銅酸化物焼
成体を調べたところ、vの値が0.25のものは、多相
であり、異相を多く含んでおり、超電導状態を示した。
しかしながら、vの値が0.05,0.1,0.15,
および0.2のものは、すべて結晶構造が1212型で
ある単一相であり、また、超電導状態を示さなかった。
なお、この鉛系複合銅酸化物焼成体の室温における電気
抵抗率は、vの値が大きくなるにつれて低くなり、vの
値が0.2のもので約4×10-3Ω・cmであった。
【0031】実施例6 実施例1において作製した(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2
(Y0.5 Ca0.5 )Cu2 z の組成を持つ鉛系複合銅
酸化物焼成体に大気中において800℃で1時間のアニ
ール処理を施し、その後これを液体窒素中に入れて急冷
し、鉛系複合銅酸化物焼成体中の酸素量を減少させて実
施例6の鉛系複合銅酸化物焼成体を作製した。
【0032】この鉛系複合銅酸化物焼成体を電気抵抗率
を調べた。また、実施例1の鉛系複合銅酸化物焼成体に
ついてもその電気抵抗率を調べた。その結果を図3に示
す。なお、電気抵抗率は4端子法により測定した。
【0033】図3から分かるように、この鉛系複合銅酸
化物焼成体の室温および50Kにおける電気抵抗率は、
実施例1の鉛系複合銅酸化物焼成体の室温および50K
における電気抵抗率に比べそれぞれ2倍、6倍程度に増
加した。
【0034】実施例7 Pb,Fe,Sr,Y,Ca,Cuの各金属元素の組成
が、(Pb0.5 Fe0. 5 )Sr2 (Y0.5 Ca0.5 )C
2 7 となるように、PbO、Fe2 3 、SrCO
3 、Y2 3 、CaCO3 、CuOの原料粉末を合計で
20g混合し、さらにPbO粉末を2g加え、再び混合
した。この混合粉末を大気中において850℃で10時
間仮焼した。この仮焼粉末を白金ルツボ中に入れ、酸素
ガスを流した状態で1200℃まで加熱し、溶融状態に
2時間保持した後、1時間に5℃の割合で降温した。
【0035】室温まで冷却した後の白金ルツボ中の固形
物中には、およそ2mm×2mm×1mm程度の単結晶が成長
していた。このフラックス法により合成された単結晶
を、電子線回折法による構造解析と、電子線プローブ微
小分析法(EPMA)による組成分析によって調べたと
ころ、実施例1で得られた多結晶体と同じ結晶構造、化
学組成を持つ単結晶であることが分かった。
【0036】この単結晶を基板として、マグネトロンス
パッタリング法により(Pb0.65Cu0.35)Sr2 (Y
0.85Ca0.15)Cu2 7 からなる厚さ300nmの薄膜
を形成した。この薄膜を調べたところ、良質の単結晶薄
膜であることが確認された。この薄膜の超電導特性を4
端子法によって測定したところTcは35Kであった。
【0037】実施例8 実施例7において作製した(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2
(Y0.5 Ca0.5 )Cu2 7 基板上の(Pb0.65Cu
0.35)Sr2 (Y0.85Ca0.15)Cu2 7 薄膜上に、
さらにマグネトロンスパッタリング法によりジョセフソ
ン接合の絶縁層として(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2 (P
0.5 Ca0.5 )Cu2 7 からなる厚さ3nmの薄膜を
形成し、さらにその上に厚さ300nmの(Pb0.65Cu
0.35)Sr2 (Y0.85Ca0.15)Cu2 7 薄膜を形成
した。
【0038】その後、これをフォトリソグラフィー法、
イオンミーリング法により超電導素子形状に加工し、そ
の電流電圧特性を測定した。その結果、この超電導素子
は、良好な超電導トンネル素子として動作することが分
かった。
【0039】これにより、絶縁層として形成した(Pb
0.5 Fe0.5 )Sr2 (Pr0.5 Ca0.5 )Cu2 7
と超電導層として形成した(Pb0.65Cu0.35)Sr2
(Y0.85Ca0.15)Cu2 7 の結晶性がいずれもきわ
めて良好であることを示すものである。
【0040】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の鉛系複合銅酸
化物材料は、鉛系超電導材料ときわめて近い格子定数を
有するため、基板材料として用いる場合に良好な結晶性
および優れた超電導特性を有する鉛系超電導薄膜を形成
できる。また、鉛系超電導材料を用いたジョセフソン接
合の絶縁層材料として用いる場合に良好な接合特性を有
するジョセフソン接合を形成できる。
【0041】また、本発明の鉛系複合銅酸化物材料に熱
処理を施したり、希土類元素の種類を変更したり、各サ
イトの固溶比率もしくは酸素含有量を変更したりするこ
とより、電気抵抗率を変化させて絶縁性材料から導電性
材料まで変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉛系複合銅酸化物材料の結晶構造を示
す図。
【図2】(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2 (Y0.5
0.5 )Cu2 z のX線回折パターン。
【図3】(Pb0.5 Fe0.5 )Sr2 (Y0.5
0.5 )Cu2 z の電気抵抗率の温度依存性を示すグ
ラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属元素として少なくともPb,Sr,
    Ca,CuおよびFeを含有し、結晶構造が1212型
    である複合銅酸化物材料であって、CuとFeとは互い
    に異なる結晶学的サイトを占有しており、かつその化学
    組成が(Pb1-u Feu )(Sr1-v Cav 2 (R
    1-w Caw )Cu2 z で表されることを特徴とする鉛
    系複合銅酸化物材料。ここで、RはY,La,Pr,N
    d,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
    m,Yb,およびLuからなる群より選ばれた少なくと
    も1種の希土類元素であり、また、u,v,wはそれぞ
    れ0.3≦u≦0.7、0≦v≦0.20.3≦w≦
    0.7を満足する数を表し、zは7に近い数を表す。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109836148A (zh) * 2019-02-22 2019-06-04 横店集团东磁股份有限公司 一种不含La、Co元素永磁铁氧体材料及其制备方法

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CN109836148A (zh) * 2019-02-22 2019-06-04 横店集团东磁股份有限公司 一种不含La、Co元素永磁铁氧体材料及其制备方法

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