JPH06155658A - 有機複合被覆鋼板 - Google Patents

有機複合被覆鋼板

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JPH06155658A
JPH06155658A JP31524392A JP31524392A JPH06155658A JP H06155658 A JPH06155658 A JP H06155658A JP 31524392 A JP31524392 A JP 31524392A JP 31524392 A JP31524392 A JP 31524392A JP H06155658 A JPH06155658 A JP H06155658A
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resin
film
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organic
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JP31524392A
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Yasushi Hosoda
靖 細田
Hiroyuki Nagai
弘行 長井
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Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板の少
なくとも片面上に、第1層としてCr付着量が10〜200 mg
/m2 のクロメート皮膜を有し、その上に第2層としてメ
ラミンシアヌル酸付加体を全樹脂固形分に対して 0.1〜
10重量%の量で含有する膜厚 0.1〜2μmの有機樹脂皮
膜(例、エポキシ系樹脂+架橋剤+コロイダルシリカ)
を有する、有機複合被覆鋼板。 【効果】 溶接性、耐食性、電着塗装性の全てに優れ、
自動車用に最適。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に自動車用に好適
な、溶接性、耐食性、電着塗装性に優れた有機複合被覆
鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車をはじめとして、多くの産
業分野で各種の表面処理鋼板が使用されている。その使
用量の増加に伴い、表面処理鋼板の性能への要求も高ま
る一方であり、例えば、自動車においては、「耐穴あき
10年保証」というような長期的な高耐食性が求められる
とともに、電着塗装性や溶接性も十分であることが要求
されている。
【0003】従来より、自動車車体用に数々の表面処理
鋼板が提案され、実用に供されてきた。中でも、亜鉛系
めっき鋼板やアルミニウム系めっき鋼板の上にクロメー
ト皮膜層と薄い有機樹脂皮膜層とを有する、いわゆる有
機複合被覆鋼板は、クロメート皮膜の防食作用、有機被
覆の環境遮断効果などの作用により、種々の表面処理鋼
板の中でも圧倒的に優れた耐食性を有している。
【0004】この有機複合被覆鋼板の上層有機樹脂被覆
には、通常 0.7〜1.3 μm程度の極めて薄い被覆厚が推
奨されている。その理由は、前述の通り、有機複合被覆
鋼板は主に自動車車体に適用されているので、耐食性の
みならず、電着塗装性、溶接性も重要な要求性能とな
り、これらを満足させるために必然的に極薄膜となるの
である。しかしながら、現状の有機複合被覆鋼板はこれ
ら3つの要求性能のすべてを満足できるレベルで確保し
ているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐食
性、電着塗装性、溶接性の3大要求性能を高度にバラン
スさせて満たす有機複合被覆鋼板を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特に上層
有機樹脂皮膜に注目し、その改良を目指して研究を進め
た結果、有機樹脂皮膜中に少量のメラミンシアヌル酸付
加体 (以下、MCAと略記する) を配合することによ
り、上記目的を達成することができることを見出し、本
発明に至った。
【0007】本発明は、亜鉛系またはアルミニウム系め
っき鋼板の少なくとも片面上に、第1層としてCr付着量
が10〜200 mg/m2 のクロメート皮膜を有し、その上に第
2層としてメラミンシアヌル酸付加体を全樹脂固形分に
対して 0.1〜10重量%の量で含有する膜厚 0.1〜2μm
の有機樹脂皮膜を有することを特徴とする、有機複合被
覆鋼板を要旨とする。
【0008】
【作用】以下、本発明の構成と作用について詳述する。
本発明は、従来の有機複合被覆鋼板の上層有機樹脂皮膜
に改良を加えた点に主要な特徴があるので、母材めっき
鋼板のめっき種やめっき付着量、ならびに下層のクロメ
ート皮膜は、従来の有機複合被覆鋼板と同様でよいが、
これらについても以下に併せて簡単に説明する。
【0009】母材めっき鋼板 母材めっき鋼板としては、耐食性に優れた亜鉛系めっき
鋼板 (即ち、純亜鉛めっき鋼板もしくは亜鉛合金めっき
鋼板) またはアルミニウム系めっき鋼板 (即ち、純アル
ミニウムめっき鋼板もしくはアルミニウム合金めっき鋼
板) を使用する。片面めっきおよび両面めっきのいずれ
でもよい。めっき付着量は特に制限されないが、加工性
と耐食性とのバランスから、片面当たり10〜60 g/m2
範囲内が好ましい。こうしためっき皮膜の存在は、有機
複合被覆鋼板に要求される防錆機能を確保するために重
要である。
【0010】亜鉛合金めっきとしては、例えば、Zn−F
e、Zn−Ni、Zn−Mn、Zn−Co、Zn−Cr、Zn−Al等の公知
の亜鉛合金めっきが利用できる。また、アルミニウム合
金めっきとしては、最も一般的なAl−Si合金めっきの
他、Al−Mnめっき等の公知のAl合金めっきが利用でき
る。
【0011】亜鉛系またはアルミニウム系めっきは、一
般の電気めっき、溶融めっき、溶融塩電気めっき、非水
溶媒電気めっき、真空蒸着等の方法で形成することがで
きる。亜鉛合金めっきとして合金化溶融亜鉛めっきを利
用してもよい。また、めっき皮膜中に公知の添加成分を
存在させることもできる。例えば、純亜鉛または亜鉛合
金めっき皮膜中には、公知の方法により酸化物、不溶性
無機塩、有機高分子などを分散させてもよい。さらに
は、片面に2層以上のめっき層を有する積層めっき鋼板
も母材として使用できる。
【0012】第1層クロメート皮膜 クロメート皮膜の形成方法は、塗布型、反応型、電解型
のいずれも可能であるが、耐食性に特に優れている塗布
型クロメート皮膜が好ましい。クロメート皮膜の付着量
は、金属Cr付着量として10〜200 mg/m2 、好ましくは30
〜120 mg/m2 である。10 mg/m2未満では耐食性が不十分
であり、200 mg/m2 を超えると加工性、溶接性が劣化す
る。
【0013】塗布型クロメート皮膜はクロム酸の還元と
水の蒸発により形成され、従来より公知の任意の塗布型
クロメート処理法を利用することができる。例えば、次
に述べる二段還元法 (部分還元法) は、還元と造膜が低
温で効率よく進行することから好ましい方法である。
【0014】二段還元法においては、クロム酸水溶液中
のクロム酸 (Cr6+) を予め部分還元する。これにより、
加熱乾燥 (焼付) 時に還元するクロム酸量を減少させ、
効果的に造膜させることができる。この一段目の部分還
元率は、Cr3+/全Cr [=Cr3+/(Cr3++Cr6+ )]の比で 0.4
〜0.6 の範囲内とするのが好ましい。この比が0.4 未満
であると塗布後の還元効率が劣り、0.6 を超えるとCr3+
が過剰になり、処理液の安定性が損なわれる恐れがあ
る。
【0015】こうして一段目の還元がなされたクロメー
ト処理液に二段目の還元剤を、好ましくは未還元のCr6+
に対して1〜4当量倍の量で添加する。この還元剤の量
が1当量倍未満であるとクロメート皮膜の耐食性、耐ク
ロム溶出性が不十分となる。一方、4当量倍を超えると
還元剤の還元作用が飽和するばかりでなく、電着塗装
性、溶接性を低下させる恐れがある。この還元剤を添加
する時期は、塗装の直前であることが最も好ましいが、
早くても塗装前数日以内とすることが望ましい。この理
由は、二段目の還元がなされたクロメート処理液は、放
置するとゲル化を生じ易く、塗布不能となるからであ
る。還元剤としては、多価アルコール、多価カルボン
酸、オキシカルボン酸等、従来よりクロメート処理液に
用いられてきた任意の還元剤を使用できる。
【0016】このクロメート処理液には、所望により、
コロイダルシリカ、シランカップリング剤、防錆顔料、
リン酸、フッ化水素酸などの、クロメート処理液の添加
剤として公知の成分の1種もしくは2種以上を配合して
もよい。
【0017】クロメート液を塗布した後、焼付を行っ
て、クロメート皮膜を形成する。焼付温度は 120〜200
℃が好ましい。
【0018】第2層有機樹脂皮膜 上記の第1層クロメート皮膜の上に、MCAを有機樹脂
固形分に対して 0.1〜10重量%の量で含有する有機樹脂
皮膜を 0.1〜2μmの厚みで設ける。この樹脂皮膜の膜
厚が 0.1μm未満では耐食性が不十分となり、2μmを
超えると溶接性、電着塗装性が不十分となる。有機樹脂
皮膜は、皮膜形成成分である有機樹脂と本発明の特徴で
あるMCAのほかに、各種の任意添加成分をさらに含有
することができる。これらの各成分について次に説明す
る。
【0019】有機樹脂 本発明の第2層を構成する有機樹脂は特に限定されず、
有機複合被覆鋼板に従来従来より用いられれてきた、例
えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
アルキッド樹脂、ウレタン樹脂など広範囲の樹脂を利用
することができる。このうち、好ましい樹脂は、特に耐
食性に優れた皮膜を形成するエポキシ系樹脂である。
【0020】エポキシ系樹脂としては、ビスフェノール
A系、ビスフェノールF系、ノボラック型、臭素化エポ
キシ等の任意のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が使
用できる。また、これらのエポキシ樹脂中のエポキシ基
およびヒドロキシル基を乾性油脂肪酸中のカルボキシル
基と反応させたエポキシエステル樹脂、イソシアネート
と反応させることにより得られるウレタン変性エポキシ
樹脂などの各種変性エポキシ樹脂も使用できる。
【0021】本発明においては、ポリヒドロキシポリエ
ーテル樹脂もエポキシ系樹脂の1種として好適に使用で
きる。この樹脂は、2価フェノール (レゾルシンのよう
な単核型および/またはビスフェノールAのような2核
型) をアルカリ触媒の存在下にほぼ等モル量のエピハロ
ヒドリンと重縮合させて得られる重合体である。
【0022】有機樹脂としてこのようなエポキシ系樹脂
を用いる場合、有機樹脂皮膜の種々の性能 (例、加工
性、可撓性、潤滑性、電着塗装性) などを改善する目的
で、エポキシ系以外の他の樹脂をエポキシ系樹脂に配合
してもよい。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキッド樹脂などを配合すると、耐候性向上の効
果がある。ブチラール樹脂を添加すると、皮膜に可撓性
が付与され、加工性が改善される。また、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどの
水溶性樹脂は、皮膜の電着塗装性の改善に有効である。
エポキシ系以外の樹脂の添加量は、あまり多くなると皮
膜の耐食性の低下を招くので、エポキシ系樹脂より少量
とすることが好ましい。
【0023】MCA (メラミンシアヌル酸付加体) MCAは、平均一次粒径1〜2μm程度の白色微粉末結
晶であり、添付の図1に示す化学構造を有すると考えら
れている。この化合物が潤滑特性を有することは従来よ
り知られていたが、本発明者らは、MCAが300 ℃近辺
から昇華する特性を有することに注目し、有機樹脂皮膜
への適用を検討した結果、MCAが皮膜の潤滑性改善作
用のみならず、溶接性の改善作用も有することを見出し
たのである。この溶接性の改善は、溶接時の熱によりM
CAが昇華して、溶接電極の汚染(有機物の付着等) が
低減することに起因すると考えられる。しかも、この潤
滑性や溶接性の改善と同時に、皮膜の耐食性や電着塗装
性といった他の望ましい性能もさらに一層改善される。
【0024】有機複合被覆鋼板の有機樹脂皮膜中には、
耐食性や電着塗装性を付与する成分(例、導電顔料、水
溶性樹脂など) を配合することが多いが、これらは一般
には溶接性を低下させる方向に作用する。しかし、これ
らの成分に代えて、本発明によりMCAを樹脂固形分の
0.1〜10重量%の量で配合することにより、耐食性や電
着塗装性の改善と同時に、溶接性を向上させることがで
きる。しかも、MCAが本来有する潤滑性能により、潤
滑性付与のために従来利用されてきた成分 (例、いわゆ
るワックス成分など) の添加も省略でき、これも溶接性
向上に寄与する。
【0025】MCAの配合量は、樹脂固形分に対して0.
1 重量%未満では効果が少なく、10重量%を超えると、
塗布に用いる樹脂液中でのMCAの分散安定性に問題が
生じ、MCAを皮膜中に均一に分布させることが困難と
なる。好ましいMCAの添加量は、樹脂固形分に対して
1〜5重量%の範囲内である。
【0026】架橋剤 樹脂皮膜を緻密化して耐食性を改善するために、必要で
あれば架橋剤を添加して架橋樹脂皮膜としてもよい。例
えば、有機樹脂が上記のエポキシ系樹脂である場合、エ
ポキシ樹脂硬化剤として知られているものを架橋剤とし
て添加し、架橋エポキシ系樹脂皮膜を形成することが好
ましい。具体的には、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポ
リアミド、アミノポリアミド、アミン、ブロックイソシ
アネート、酸無水物などがエポキシ樹脂用架橋剤として
例示できる。
【0027】架橋剤の添加量は有機樹脂皮膜の可撓性が
失われない範囲内とする。例えば、エポキシ系樹脂の場
合には、樹脂中のエポキシ基とヒドロキシル基との合計
量に対する架橋剤中の官能基のモル比が 0.1〜2.0 とな
る範囲内が好ましい。このモル比が0.1 未満では効果が
小さく、2.0 を超えると皮膜の可撓性の低下が著しく、
加工時に皮膜が割れて耐食性の低下を生じる恐れがあ
る。なお、架橋剤を配合する場合、架橋剤の量は樹脂固
形分の中に含まれる。
【0028】無機充填材 無機充填材は皮膜の耐食性向上を目的として所望により
樹脂皮膜中に含有させることができる。本発明において
使用可能な無機充填材の例としては、コロイダルシリ
カ、各種ケイ酸塩鉱物、アルミナ、炭酸カルシウム、リ
ン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リンモリブデン酸亜鉛、
リンモリブデン酸アルミニウムなどが挙げられる。ま
た、高い防食性向上効果を示すことが知られているクロ
ム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛などの金属クロム酸
塩系防錆顔料も、無機充填材として添加することができ
る。
【0029】これらの無機充填材の添加量はなるべく少
なくすべきであり、樹脂固形分に対して30重量%以内と
することが好ましい。30重量%を超えると、皮膜の電気
抵抗が高くなりすぎ、スポット溶接、電着塗装が困難と
なる。金属クロム酸系防錆顔料も、多量に添加すると、
溶接性や電着塗装性の低下に加えて、クロムの溶出も顕
著となることから、多量の添加は好ましくない。
【0030】着色顔料 本発明の有機複合被覆鋼板は、片面のみに有機複合被覆
を施す使用法が考えられる (例、自動車車体用において
は、内面側を有機複合被覆とし、成形後に塗装が施され
る外面側はめっき面のままとすることが多い) 。この場
合、本発明の有機複合被覆鋼板は膜厚が薄く、しかもほ
とんど無色のため、表裏が識別しにくく、ユーザーにお
ける作業に支障をきたすことがある。そこで、樹脂液に
着色顔料を添加して、有機樹脂皮膜を着色することによ
り表裏を容易に識別可能にすることは非常に好ましい。
着色顔料としては、酸化鉄、酸化チタン、カーボンなど
の無機系顔料、ジアゾ系などの有機系顔料のいずれも使
用可能である。
【0031】その他の添加剤 上述した以外にも、可塑剤、潤滑性付与成分などを有機
樹脂皮膜中に含有させることができるが、本発明におい
てはMCAがこれらの機能を有するため、一般にはかか
る添加成分は不要である。
【0032】有機樹脂皮膜の形成は、有機樹脂を必要で
あれば有機溶媒で希釈した樹脂液に、MCAと必要であ
れば他の成分を配合して塗布液を調製し、これを第1層
クロメート皮膜の上に慣用の塗布手段により塗布するこ
とにより実施できる。この塗膜を樹脂種に応じて適当な
温度で乾燥させる。例えば、エポキシ系樹脂の場合に
は、80〜250 ℃の温度で焼付けて塗膜を硬化させる。一
般に焼付温度が高いほど架橋反応が進み、強固な皮膜が
得られるが、経済的理由との兼ね合いから好ましい焼付
温度は 120〜200 ℃である。また、母材鋼板が焼付硬化
型 (BH) 鋼板である場合には、焼付硬化性を阻害しな
いように、焼付温度を150 ℃以下とすることが好まし
い。
【0033】本発明の有機複合被覆鋼板は、上述した第
1層クロメート皮膜と第2層のMCA含有有機樹脂皮膜
とからなる有機複合被覆を、母材めっき鋼板の片面の
み、或いは両面に有する。片面のみの場合、母材鋼板の
他面側の構成は特に制限されず、裸鋼板、亜鉛系または
アルミニウム系めっき面、めっき皮膜+クロメート皮
膜、さらには他の有機被覆を施した面のいずれであって
もよい。
【0034】
【実施例】次に実施例により本発明を例示する。実施例
中、%および部は特に指定のない限り重量%および重量
部である。
【0035】(1) 母材 厚さ0.7 mmのZn−13%Ni合金電気めっき鋼板 (両面めっ
き:片面当たりのめっき付着量=30 g/m2)を用いた。
【0036】(2) 第1層クロメート皮膜 母材めっき鋼板の片面のめっき面上に、市販の塗布型ク
ロメート液を用いて、金属Cr換算で60 mg/m2のクロメー
ト皮膜が形成されるようにバーコータで塗布し、板温度
が 130〜150 ℃になるように30秒間加熱して、第1層ク
ロメート皮膜を形成した。
【0037】(3) 第2層有機樹脂皮膜 樹脂液の調製 冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールAジグリシ
ジルエーテル(油化シェル製エピコート828) 230部、レ
ゾルシン55部、メチルエチルケトン200 部、5NNaOH 水
溶液4容量部を仕込み、還流温度において18時間反応さ
せた。得られた樹脂状物質を攪拌器内の水中に投入し、
攪拌して水中で再沈殿させ、水不溶性の樹脂を回収し
た。これを減圧乾燥しえ、2価フェノールがレゾルシン
とビスフェノールAの1/1 モル比の混合物である粉末状
のポリヒドロキシポリエーテル樹脂(以下、樹脂Aと言
う) を得た。
【0038】得られた粉末樹脂を、酢酸セロソルブ/シ
クロヘキサノンの1/1(容量比) 混合溶媒に溶解させ、樹
脂固形分20%の樹脂液を調製した。
【0039】別のエポキシ系樹脂として、市販のユニオ
ンカーバイド社製のポリヒドロキシポリエーテル樹脂で
あるフェノキシ樹脂PKHH (以下、樹脂Bと言う) を、上
と同じ混合溶媒に溶解した、樹脂固形分20%の樹脂液を
用意した。
【0040】塗布液の調製 上記A、Bの樹脂液に、MCA (a=日産化学社製MC-6
00、b=同MC-610) 、ブロックイソシアネート系架橋剤
(住友バイエルウレタン社製ディスモジュールDL-416
5)、コロイダルシリカ (日本アエロジル社製アエロジル
300)を表1に示す割合で混合し、固形分重量が約20%に
なるようにシクロヘキサノンで希釈し、サンドミルで十
分に分散させることによって、塗布に供する塗布液を調
製した。
【0041】塗布 この塗布液を、上記のクロメート皮膜の上に、乾燥膜厚
が1μmとなるようにバーコーターで塗布し、板温度が
140 ℃となるように60秒間加熱して塗膜を乾燥させ、有
機複合被覆鋼板を得た。
【0042】こうして作製した有機複合被覆鋼板の耐食
性、電着塗装性、および溶接性を下記の方法により試験
し、試験結果を表2に示した。
【0043】[試験方法] (1) 耐食性試験 耐食性試験に供する試験片は、平板と直径50 mm の円筒
絞り加工を行ったものの2種類である。これらの試験片
を、日本ペイント社製脱脂剤サーフクリーナーSD 270に
より脱脂した後、165 ℃で25分間の空焼きを行った。次
いで、各試験片に対して、35℃での塩水噴霧4時間→60
℃での温風乾燥2時間→50℃・相対湿度95%以上の湿潤
雰囲気2時間を1サイクルとする複合腐食試験を行い、
平板部および円筒絞りのカップ部について200 サイクル
(1600 時間) での赤錆発生の面積率 (%) で耐食性を評
価した。
【0044】(2) 電着塗装性試験 試験片を耐食性試験と同様に脱脂した後、日本ペイント
社製電着塗料U−600を用いて、リン酸塩化成処理した
冷延鋼板に20μm付着する条件下で電着塗装を行い、16
5 ℃で25分間焼付けた。電着塗装性は、塗装外観の目視
検査により次の基準で評価した。
【0045】◎:平滑で均一な外観、 ○:極く僅かな肌荒れがあるが、良好な外観、 △:肌荒れの大きいもの、または少数のクレーターがあ
るもの、 ×:多数のクレーターがあるか、または電着不能なも
の。
【0046】(3) 溶接性試験 一方の塗装面と他方の非塗装面とが接触するように2枚
の試験片を重ねて、交流シングルスポット溶接器を用い
て、先端径6mmの電極により、溶接電流10,000A、通電
時間12サイクル、加圧荷重200 Kgの条件でスポット溶接
を行った。溶接性は次の2種類の方法で評価した。
【0047】A. 通電の安定性:1000打点の溶接後、無
作為にサンプリングした100 個の溶接点を目視観察し、
不安定な圧痕径が得られた個数で評価した。 B. 連続打点後の電極径:1000打点後の連続打点電極径
を感圧紙にて測定し、次の基準で評価した。 ○:電極径 7.0 mm 未満、 △:電極径 7.0〜8.0 mm、 ×:電極径 8.0 mm 超。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1および表2から分かるように、有機樹
脂皮膜がMCAを含まない試験No.11および14では、耐
食性、電着塗装性、溶接性のいずれもが不満足な結果に
終わった。これに対し、樹脂皮膜中にMCAを樹脂固形
分の10%以下の量で含有させた本発明の有機複合被覆鋼
板は、耐食性、電着塗装性、溶接性の全試験項目で十分
な成績が得られ、MCAの配合によりこれらの特性がい
ずれも改善されることがわかる。ただし、MCAの添加
量が10%を超えた比較例では、特に耐食性が著しく劣化
した (試験No. 9, 10, 12, 13)。また、有機樹脂皮膜の
膜厚が2μmを超えた比較例では、皮膜の導電性が不十
分となって電着塗装性と溶接性が劣化した。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
MCAの新たに見出された特性を生かして、溶接性、耐
食性、電着塗装性に優れ、特に自動車用に好適な有機複
合被覆鋼板が簡便に得られ、その実用上の意義は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】MCA (メラミンシアヌル酸付加体) の化学構
造を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板
    の少なくとも片面上に、第1層としてCr付着量が10〜20
    0 mg/m2 のクロメート皮膜を有し、その上に第2層とし
    てメラミンシアヌル酸付加体を全樹脂固形分に対して
    0.1〜10重量%の量で含有する膜厚 0.1〜2μmの有機
    樹脂皮膜を有することを特徴とする、有機複合被覆鋼
    板。
  2. 【請求項2】 第2層の有機樹脂皮膜が、エポキシ樹
    脂、変性エポキシ樹脂、およびポリヒドロキシポリエー
    テル樹脂よりなる群から選ばれたエポキシ系樹脂と、こ
    の樹脂中のエポキシ基とヒドロキシル基との合計量に対
    する官能基のモル比が 0.1〜2.0 となる量の架橋剤とを
    用いて形成された架橋エポキシ系樹脂皮膜である、請求
    項1記載の有機複合被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 第2層の有機樹脂皮膜が、全樹脂固形分
    に対して1〜30重量%の量の無機充填材および/または
    着色に十分な量の着色剤をさらに含有することを特徴と
    する、請求項1または2記載の有機複合被覆鋼板。
JP31524392A 1992-11-25 1992-11-25 有機複合被覆鋼板 Withdrawn JPH06155658A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6126730A (en) * 1996-10-29 2000-10-03 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Coating composition and resin-coated metal sheets

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