JPH05195243A - 有機複合被覆鋼板 - Google Patents

有機複合被覆鋼板

Info

Publication number
JPH05195243A
JPH05195243A JP401392A JP401392A JPH05195243A JP H05195243 A JPH05195243 A JP H05195243A JP 401392 A JP401392 A JP 401392A JP 401392 A JP401392 A JP 401392A JP H05195243 A JPH05195243 A JP H05195243A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
film
colloidal silica
chromate
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP401392A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Hosoda
靖 細田
Toshiaki Shioda
俊明 塩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP401392A priority Critical patent/JPH05195243A/ja
Publication of JPH05195243A publication Critical patent/JPH05195243A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 母材の亜鉛系めっき鋼板のめっき面に、平均
二次粒径40〜400 nmの水性凝集コロイダルシリカをSiO2
/CrO3の重量比が0.05〜0.5 となる量で含有する部分還
元クロメート液から形成した、Cr付着量20〜120 mg/m2
の下層クロメート皮膜と、ポリヒドロキシポリエーテル
樹脂を含む樹脂液から形成した膜厚 0.1〜1.6 μmの上
層有機皮膜とを有する、有機複合被覆鋼板。 【効果】 溶接性、耐食性、電着塗装性の全てに優れ、
自動車用に最適。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に自動車用に好適
な、溶接性、耐食性、電着塗装性に優れた有機複合被覆
鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用を始めとして、多くの産
業分野で各種の表面処理鋼板が使用されている。その使
用量の増加に伴い、表面処理鋼板の性能への要求も高ま
る一方であり、例えば、自動車においては、「耐穴あき
10年保証」というような長期的な高耐食性が求められる
とともに、電着塗装性や溶接性も十分であることが要求
されている。
【0003】従来より、自動車車体用に数々の表面処理
鋼板が考え出され、実用に供されてきた。その中でも亜
鉛系めっき鋼板 (即ち、亜鉛めっき鋼板および亜鉛合金
めっき鋼板) の上にクロメート皮膜層と薄い有機樹脂皮
膜層とを有する、いわゆる有機複合被覆鋼板は、クロメ
ート皮膜の防食作用、有機被覆の環境遮断効果などの作
用により、種々の表面処理鋼板の中でも圧倒的に優れた
耐食性を有している。
【0004】この有機複合被覆鋼板の上層有機樹脂被覆
には、通常 0.1〜1.3 μm程度の極めて薄い被覆厚が推
奨されている。その理由は、前述の通り、有機複合被覆
鋼板は主に自動車車体に適用されているので、耐食性の
みならず、電着塗装性、溶接性も重要な要求性能とな
り、これらを満足させるために必然的に極薄膜となるの
である。しかしながら、現状の有機複合被覆鋼板はこれ
ら3つの要求性能のすべてを満足できるレベルで確保し
ているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐食
性、電着塗装性、溶接性の3大要求性能を高度にバラン
スさせて満たす有機複合被覆鋼板を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特に下層
クロメート皮膜に注目し、改良を重ねた結果、塗布型ク
ロメート皮膜の構成成分の一つであるコロイダルシリカ
の種類と量を変更することにより、上記目的を達成する
ことができることを見出し、本発明に至った。
【0007】本発明は、亜鉛系めっき鋼板の片面または
両面上に、塗布型クロメート処理液から形成したCr付着
量として20〜120 mg/m2 の下層クロメート皮膜と、ポリ
ヒドロキシポリエーテル樹脂を含有する樹脂液から形成
した膜厚 0.1〜1.6 μmの上層有機皮膜とを有する有機
複合被覆鋼板において、この塗布型クロメート処理液
が、平均二次粒径40〜400 nmの水性凝集コロイダルシリ
カをSiO2/CrO3の重量比が0.05〜0.5 となる量で含有
し、かつCr3+/全Crの比が 0.4〜0.6 となるように部分
還元し、さらに未還元のCr6+に対して1〜4当量倍の還
元剤を添加したものであることを特徴とする、溶接性、
耐食性、電着塗装性に優れた有機複合被覆鋼板を要旨と
する。
【0008】
【作用】以下、本発明の構成と作用について詳述する。
本発明は、従来の有機複合被覆鋼板の下層クロメート皮
膜に改良を加えた点に主要な特徴があるので、母材めっ
き鋼板のめっき種やめっき付着量、ならびに上層の有機
樹脂被覆については従来の技術をそのまま利用すること
ができるが、これらについても以下に併せて説明する。
【0009】母材めっき鋼板 母材めっき鋼板としては、耐食性に優れた亜鉛系めっき
鋼板、即ち、純亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼
板を使用する。母材めっき鋼板は片面めっきおよび両面
めっきのいずれでもよく、また電気めっき、溶融めっ
き、および合金化溶融亜鉛めっきのいずれでもよい。め
っき付着量は特に制限されないが、加工性と耐食性との
バランスから片面当たり10〜60 g/m2 の範囲内が好まし
い。また、片面に2層以上のめっき層を有する積層めっ
き鋼板も母材として使用できる。この場合、めっき最上
層が亜鉛系めっきである限り、下層のめっき種は非亜鉛
系めっきであってもよい。
【0010】下層クロメート皮膜 一般に、クロメート皮膜はクロム酸の還元と水の蒸発に
より形成されるが、低温において効率よく還元・造膜さ
せるため、塗布型クロメート処理液を次に述べる二段還
元法により用いた。
【0011】即ち、その一段目は、クロム酸水溶液中の
クロム酸 (Cr6+) を予め部分還元することである。これ
により、加熱乾燥 (焼付) 時に還元するクロム酸量を減
少させ、効果的に造膜させることができる。一段目の部
分還元率は、Cr3+/全Cr [=Cr3+/(Cr3++Cr6+ )]の比で
0.4〜0.6 の範囲内とする。この比が0.4 未満であると
塗布後の還元効率が劣り、0.6 を超えるとCr3+が過剰に
なり、処理液の安定性が損なわれる恐れがある。また、
部分還元率が上記範囲内であれば、市販の部分還元クロ
メート液を用いることもできる。
【0012】一段目の還元がなされたクロメート処理液
に、二段目の還元剤として未還元のCr6+に対して1〜4
当量倍の量の還元剤を添加する。二段目の還元剤の量が
1当量倍未満であるとクロメート皮膜の耐食性、耐クロ
ム溶出性が不十分となる。一方、4当量倍を超えると還
元剤の還元作用が飽和するばかりでなく、電着塗装性、
溶接性を低下させる恐れがある。
【0013】二段目の還元剤を添加する時期は、塗装の
直前であることが最も好ましいが、早くても塗装前数日
以内とすることが望ましい。この理由は、二段目の還元
がなされたクロメート処理液は、放置するとゲル化を生
じ易く、塗布不能となるからである。一段目および二段
目の還元に用いる還元剤は限定されるものではなく、多
価アルコール、多価カルボン酸、オキシカルボン酸等、
従来よりクロメート処理液に用いられてきた任意の還元
剤を用いることができる。
【0014】本発明で用いるクロメート処理液は、平均
二次粒径40〜400 nmの水性凝集コロイダルシリカを含有
する点に主たる改良点がある。この点について、次に詳
述する。コロイダルシリカは、製法の違いにより乾性と
水性に二分される。一般に、乾性コロイダルシリカの方
が水性コロイダルシリカより塗膜密着性に優れるとされ
ており、その理由としては次のような推定がなされてい
る。
【0015】乾性コロイダルシリカは、クロメート処理
液中およびクロメート皮膜中において大きな凝集体を形
成する。その大きさは数百nmから1000 nm にも及び、ク
ロメート皮膜の厚み (通常の付着量では50〜100 nm) を
上回るため、クロメート皮膜表面にシリカが出現し易
く、塗料との相互作用を得やすいことにあるというわけ
である。
【0016】さらに、このようにクロメート皮膜表面に
出現したシリカは、電着塗装性の向上にも寄与する。こ
の向上効果のメカニズムは必ずしも明確ではないが、乾
性コロイダルシリカをクロメート処理液に適当量添加す
ることにより電着塗装性が向上することは確かである。
しかし、溶接性においてはこのシリカの存在は不利であ
る。即ち、シリカ自体は電気の不良導体であるため、乾
性コロイダルシリカをクロメート処理液に添加すると溶
接性の低下は免れないのである。
【0017】一方、通常の水性コロイダルシリカは凝集
体を形成することはなく、クロメート処理液中でもクロ
メート皮膜中でも一次粒径 (通常5〜20 nm)のままの大
きさで存在する。従って、一般に通常の水性コロイダル
シリカをクロメート処理液に添加しても、耐食性 (塗膜
密着性) の向上効果は乾性コロイダルシリカには及ばな
い。また、電着塗装性の向上への寄与もほとんど認めら
れない。
【0018】しかし、溶接性に及ぼす影響という点から
は、水性コロイダルシリカは粒径が小さく、占有面積が
小さいため、乾性コロイダルシリカほどには悪影響を及
ばさないようである。このような乾性および水性コロイ
ダルシリカの挙動について検討を加えた結果、本発明者
らは、若干はクロメート皮膜表面に出現できるような寸
法に凝集した水性コロイダルシリカがクロメート皮膜に
要求される各種の特性を最もバランスよく満たすことが
できることを見出したのである。
【0019】即ち、形状的要因、表面処理による表面の
化学的要因などにより、40〜400 nmの平均二次粒径を有
する水性凝集コロイダルシリカを用いることにより、溶
接性、耐食性、電着塗装性のすべてを高度にバランスさ
せたクロメート皮膜および有機複合被覆鋼板が得られる
ことが判明した。この場合、水性コロイダルシリカの一
次粒径には特に制限はない。
【0020】水性凝集コロイダルシリカは、シリカ微粒
子を分散させる過程において、表面電荷状態、pH、濃
度等の制御を行うことにより調製することができる。水
性凝集コロイダルシリカは、クロメート処理液中或いは
クロメート被膜中でも、上記範囲内の二次粒径の大きさ
のままで存在する。平均二次粒径が40 nm 未満では通常
の付着量のクロメート皮膜では皮膜中に埋没してしま
い、密着性改善効果を発揮できない。また、平均二次粒
径が400 nmを超えると、乾性コロイダルシリカの場合と
同様の理由で溶接性の低下を招く。つまり、クロメート
皮膜の厚みを若干上回る程度の平均二次粒径が本発明の
目的に適するのである。平均二次粒径のより好ましい範
囲は40〜200 nmである。
【0021】この水性凝集コロイダルシリカは、SiO2
CrO3の重量比が0.05〜0.5 の範囲内となる量で添加す
る。SiO2とは、水性凝集コロイダルシリカ中に存在する
シリカ分をSiO2に換算した重量であり、CrO3とは、クロ
メート処理液中に存在する全CrをCrO3に換算した重量で
ある。この重量比が0.05未満では、耐食性、電着塗装性
が低下し、0.5 を超えると溶接性が低下する。好ましく
は、この重量比は 0.1〜0.3 の範囲内である。
【0022】このクロメート処理液には、所望により、
シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップ
リング剤は、加水分解してポリシロキサンを生成するこ
とによりクロメート皮膜を強化し、上層有機皮膜との密
着性を向上させる。一方、加水分解により遊離したアル
コールはクロム酸の還元剤として作用する。シランカッ
プリング剤を添加する場合、その添加量は、未還元クロ
ム酸に対するモル比で0.01倍以上とすることが好まし
い。0.01倍未満では添加効果が小さい。ただし、あまり
多量に添加することは経済的に不利であるばかりか、電
着塗装性、溶接性を低下させる恐れがあるので、添加量
は未還元クロム酸に対するモル比で3倍以下とすること
が好ましい。
【0023】クロメート皮膜の形成方法は塗布型、反応
型、電解型のいずれも可能であるが、耐食性に特に優れ
ている塗布型クロメート皮膜が好ましい。クロメート処
理液の塗布後の焼付は、60〜200 ℃、好ましくは 100〜
150 ℃で行う。クロメート皮膜は、Cr換算の付着量 (Cr
付着量) が20〜120 mg/m2 、好ましくは40〜80 mg/m2
なるように形成する。Cr付着量が20 mg/m2未満では耐食
性が不十分であり、120 mg/m2 を超えると加工性、溶接
性が劣化する。
【0024】上層有機樹脂皮膜 上述にように形成された下層のクロメート皮膜の上に、
本発明の有機複合被覆鋼板においては、ポリヒドロキシ
ポリエーテル樹脂をベース樹脂として含有する樹脂液の
塗布と焼付により膜厚 0.1〜1.6 μmの上層皮膜が形成
される。
【0025】ポリヒドロキシポリエーテル樹脂とは、2
価フェノールとエピハロヒドリンとを重縮合させて得ら
れる樹脂である。2価フェノールとしては、レゾルシ
ン、ハイドロキノンのような単核型、およびビスフェノ
ール類のような2核型のいずれでもよく、両者の混合物
でもよい。
【0026】ポリヒドロキシポリエーテル樹脂として
は、2価フェノールをほぼ等モル量のエピハロヒドリン
とをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られる、比較
的高分子量のものが好ましい。その例としては、ユニオ
ンカーバイド社よりフェノキシ樹脂PKHHとして市販され
ているビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの重縮
合樹脂、或いはビスフェノールAとレゾルシンとの混合
2価フェノールをエピクロロヒドリンと反応させたもの
が例示される。
【0027】別の種類のポリヒドロキシポリエーテル樹
脂は、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、2価フェ
ノールに等モルより過剰のエピハロヒドリンを重縮合さ
せて得られる、末端にエポキシ基を含有する比較的低分
子量の樹脂であるが、一般にエポキシ樹脂はヒドロキシ
ル基とエーテル結合をそれぞれ2以上含有しているの
で、本発明においてはエポキシ樹脂もポリヒドロキシポ
リエーテル樹脂に含めるものとする。エポキシ樹脂とし
ては、エポキシアクリレート、エポキシエステルなどの
変性エポキシ樹脂も使用できる。
【0028】1種もしくは2種以上のポリヒドロキシポ
リエーテル樹脂を適当な有機溶剤に溶解して、ポリヒド
ロキシポリエーテルを含む樹脂液を調製し、塗布に供す
る。この樹脂液には、得られる有機樹脂皮膜の種々の性
能 (例、耐食性、加工性、可撓性、潤滑性、電着塗装性
など) をさらに改善することを目的として、各種の添加
剤を必要により添加することもできる。
【0029】添加剤の例としては、コロイダルシリカに
代表される無機充填材、フェノール樹脂、ポリアミド、
ブロックイソシアネートなどのエポキシ樹脂用架橋剤、
可塑剤もしくは可塑剤として機能する熱可塑性樹脂、ワ
ックス成分などが挙げられる。上層の有機樹脂被覆は、
クロメート皮膜に比べれば厚膜であるので、コロイダル
シリカを添加する場合、その種類は特に限定されず、平
均二次粒径の大きな乾性コロイダルシリカも使用でき
る。
【0030】また、特に片面有機複合被覆鋼板の場合に
は、その表裏識別能を高めるために、樹脂液中に着色顔
料を添加することは有用である。着色顔料を添加しない
と、有機樹脂皮膜が薄膜のクリアー皮膜となるため、ユ
ーザーが使用時に有機複合被覆を施してある面を識別し
にくく、作業に支障をきたすことがある。着色顔料とし
ては、酸化鉄のような無機系顔料、ジアゾ系などの有機
系顔料のいずれも使用可能である。
【0031】樹脂液は、乾燥後に 0.1〜1.6 μmの膜厚
の有機樹脂皮膜が形成されるように塗装する。膜厚が0.
1 μm未満では、隠ぺい率が小さすぎて耐食性の点で不
利であり、1.6 μmを超えると溶接性が低下する。好ま
しくは、 0.5〜1.3 μmである。塗装後の焼付温度は、
通常の80〜300 ℃の範囲内の温度が採用できるが、好ま
しくは 120〜150 ℃である。
【0032】本発明の有機複合被覆鋼板は、自動車用と
して適用する場合には、上述した有機複合被覆を通常は
片面のみ (自動車車体の内面側のみ) に施し、上塗り塗
装が施される他面側はめっき面もしくはめっき+クロメ
ート被膜とするが、用途によっては有機複合被覆を両面
に施してもよい。
【0033】
【実施例】次に実施例により本発明を例示する。実施例
中、%および部は特に指定のない限り重量%および重量
部である。
【0034】(1) 母材 厚さ0.7 mmのZn−13%Ni合金電気めっき鋼板 (両面めっ
き:片面当たりのめっき付着量=30 g/m2)を用いた。
【0035】(2) クロメート液 CrO3 120 g/lを含有するクロム酸水溶液に、還元剤とし
てエチレングリコールの水溶液を添加し、80℃で6時間
加熱して一段目の還元を行った。還元反応終了後、Cr3+
/Cr6+=2/3 (Cr3+/全Cr=0.4)になるようCrO3 40
g/l の水溶液により希釈した。これにさらに水を加え、
CrO3で40 g/l (0.4 モル/l) 濃度の部分還元クロム酸水
溶液を調製した。この部分還元クロム酸水溶液に、二段
目の還元剤として多価アルコールのグリセリンを未還元
のCr6+に対して等モル量 (=3当量倍) 加えた水溶液を
基本組成とし、これに表1に示す量で各種のコロイダル
シリカと場合によりシランカップリング剤とを加え、塗
布型クロメート処理液として使用した。使用したコロイ
ダルシリカの種類 (シリカ種) は、次のA〜Cの3種類
であり、シランカップリング剤は、3−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシランであった。
【0036】シリカ種A:水性凝集コロイダルシリカ
(平均二次粒径50〜100 nm) 、 シリカ種B:非凝集型コロイダルシリカ (平均粒径10 n
m)、 シリカ種C:乾性コロイダルシリカ (平均二次粒径200
〜400 nm) 。
【0037】(3) 樹脂液 市販のポリヒドロキシポリエーテル樹脂であるユニオン
カーバイド社製フェノキシ樹脂PKHH (分子量約3,000) 1
00部を、架橋剤 (ブロックイソシアネート) 25部、コロ
イダルシリカ (平均一次粒径8nmの乾性コロイダルシリ
カ) 15部およびポリエチレンワックス2部とともに、シ
クロヘキサノン 500部に加え、サンドグラインドミルを
用いて各成分を溶解ないし分散させ、塗装に供する樹脂
液を調製した。
【0038】(4) 試験片の調製 母材めっき鋼板の片面のめっき面上に、表1に示す所定
の組成のクロメート処理液をバーコーターにより各種の
Cr付着量となるように塗布し、板温度が 130〜150 ℃な
るように30秒間加熱して、下層クロメート皮膜を形成し
た。次いで、室温まで放冷後、クロメート皮膜上に、上
記の樹脂液を表1に示す所定の膜厚となるようにバーコ
ーターで塗布し、板温度が 130〜150 ℃になるように60
秒間加熱して上層有機樹脂皮膜を形成した。こうして得
られた有機複合被覆鋼板の耐食性、電着塗装性、および
溶接性を下記の方法により試験し、試験結果を表2に示
した。
【0039】[試験方法] (1) 耐食性試験 耐食性試験に供する試験片は、平板、直径50 mm の円筒
絞り加工を行ったもの、および平板部にカッターナイフ
で鋼板素地に達するクロスカットを入れたものの3種類
である。これらの試験片を、日本ペイント社製サーフク
リーナーSD 270により脱脂した後、165 ℃25分間の空焼
きを行った。次いで、各試験片について、35℃での塩水
噴霧4時間→60℃での温風乾燥2時間→50℃・相対湿度
95%以上の湿潤雰囲気2時間を1サイクルとする複合腐
食試験に供し、平板部および円筒絞りのカップ部につい
ては200 サイクル(1600 時間) での赤錆発生の面積率
(%) で耐食性を評価した。また、クロスカット部につ
いては、50サイクル (400 時間) での最大赤錆幅の測定
値で評価した。
【0040】(2) 電着塗装性試験 試験片を耐食性試験と同様に脱脂した後、日本ペイント
社製電着塗料U−600を用いて、リン酸塩化成処理した
冷延鋼板に20μm付着する条件下で電着塗装を行い、16
5 ℃で25分間の焼付けた。電着塗装性は、塗装外観の目
視検査により次の基準で評価した。
【0041】◎:平滑で均一な外観、 ○:極く僅かな肌荒れがあるが、良好な外観、 △:肌荒れの大きいもの、または少数のクレーターがあ
るもの、 ×:多数のクレーターがあるか、または電着不能なも
の。
【0042】(3) 溶接性試験 一方の塗装面と他方の非塗装面とが接触するように2枚
の試験片を重ねて、交流シングルスポット溶接器を用い
て、先端径6mmの電極により、溶接電流10,000A、通電
時間12サイクル、加圧荷重200 Kgの条件でスポット溶接
を行った。溶接性は次の2種類の方法で評価した。
【0043】A. 通電の安定性:1000打点の溶接後、無
作為にサンプリングした100 個の溶接点を目視観察し、
不安定な圧痕径が得られた個数で評価した。 B. 連続打点後の電極径:1000打点後の連続打点電極径
を感圧紙にて測定し、次の基準で評価した。 ○:電極径 7.0 mm 未満、 △:電極径 7.0〜8.0 mm、 ×:電極径 8.0 mm 超。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表2から分かるように、クロメート処理液
に添加したコロイダルシリカが、非凝集型の水性コロイ
ダルシリカである比較例 (試験No. 11〜14) において
は、クロメート皮膜の塗膜密着性が不十分なため、耐食
性が平板部、カップ部、カット部のいずれも悪く、母材
鋼板の保護の目的を達しえていない。また、電着塗装性
も低い。一方、平均二次粒径が大きい乾性コロイダルシ
リカをクロメート処理液に添加した比較例 (試験No. 15
〜17) では、耐食性と電着塗装性は改善されたが、溶接
性は通電の安定性、電極径のいずれも悪く、溶接で組み
立てられる自動車用鋼板としての使用には適していな
い。
【0047】これに対して、本発明により、平均二次粒
径が40〜400 nmの水性凝集コロイダルシリカをクロメー
ト処理液に添加した実施例においては、平均二次粒径が
乾性コロイダルシリカより小さいにもかかわらず、平板
部、カップ部、カット部のいずれの耐食性も、乾性コロ
イダルシリカを使用した場合に遜色なく、電着塗装性に
ついてはより好結果すら得られた。しかも、溶接性も非
凝集型水性コロイダルシリカと同等以上であり、本発明
の有機複合被覆鋼板は、耐食性、電着塗装性、溶接性の
3種類の要求特性をバランスよく満たしていることがわ
かる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶接性、耐食性、電着塗装性に優れ、特に自動車用に好
適な有機複合被覆鋼板が安価な手段で得られ、その実用
上の意義は大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の片面または両面上
    に、塗布型クロメート処理液から形成したCr付着量とし
    て20〜120 mg/m2 の下層クロメート皮膜と、ポリヒドロ
    キシポリエーテル樹脂を含有する樹脂液から形成した膜
    厚 0.1〜1.6 μmの上層有機皮膜とを有する有機複合被
    覆鋼板であって、前記塗布型クロメート処理液が、平均
    二次粒径40〜400 nmの水性凝集コロイダルシリカをSiO2
    /CrO3の重量比が0.05〜0.5 となる量で含有し、かつCr
    3+/全Crの比が 0.4〜0.6 となるように部分還元し、さ
    らに未還元のCr6+に対して1〜4当量倍の還元剤を添加
    したものであることを特徴とする、溶接性、耐食性、電
    着塗装性に優れた有機複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 前記樹脂液が着色顔料をさらに含有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の有機複合被覆鋼板。
JP401392A 1992-01-13 1992-01-13 有機複合被覆鋼板 Withdrawn JPH05195243A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP401392A JPH05195243A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 有機複合被覆鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP401392A JPH05195243A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 有機複合被覆鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05195243A true JPH05195243A (ja) 1993-08-03

Family

ID=11573090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP401392A Withdrawn JPH05195243A (ja) 1992-01-13 1992-01-13 有機複合被覆鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05195243A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1907492B1 (en) Pre-sealed steel sheet with improved anti- corrosion and weldability and preparing method thereof
EP0308563B1 (en) Process for providing a precoated steel sheet having improved corrosion resistance and formability
JP5230428B2 (ja) 優れた耐食性・塗料密着性を有するSn系めっき鋼板用水系処理液および表面処理鋼板の製造方法
JPS6033192B2 (ja) 耐食性、塗料密着性、塗装耐食性のすぐれた複合被覆鋼板
JPS6335798A (ja) カチオン電着塗装用有機複合鋼板
TW200837220A (en) Aqueous surface-treating agent for environmentally acceptable pre-coated metallic materials, and surface-treated metallic material and environmentally acceptable pre-coated metallic material
JP4970773B2 (ja) 金属表面処理剤、金属材の表面処理方法及び表面処理金属材
JP3851482B2 (ja) 耐白錆性および塗膜密着性に優れる亜鉛系めっき鋼板
JP2007119858A (ja) クロムフリープレコート鋼板
JP2690629B2 (ja) 耐食性およびスポット溶接性に優れた有機複合被覆鋼板
JPS6050180A (ja) カチオン電着塗装用防錆鋼板
JPH05195243A (ja) 有機複合被覆鋼板
JP3962123B2 (ja) 有機系表面処理金属板および有機系金属表面処理液
JP5187221B2 (ja) クロムフリー塗装鋼板およびこれを用いてなる筐体
JP4283698B2 (ja) 端面耐食性に優れるプレコート鋼板およびその製造方法
JP3279209B2 (ja) 塗装密着性に優れた表面処理鋼板の製造方法
JPH1161432A (ja) 無機/有機複合表面処理金属板
JPH06155658A (ja) 有機複合被覆鋼板
JPH0941168A (ja) 耐疵性および耐食性に優れた亜鉛・無機質系表面処理鋼板
JPH0474872A (ja) 耐食性に優れた有機複合被覆鋼板
JPH01111884A (ja) 亜鉛系めっき鋼材の表面処理方法
JPH03202480A (ja) 耐食性クロムキレート被膜付きめっき鋼板の製造方法
JPS5853437A (ja) 溶接性塗装鋼板およびその製造方法
JPH0326539A (ja) 溶接性に優れた防錆塗装鋼板
JPH02145774A (ja) 溶接性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990408