JPH11138095A - 燃料タンク用有機被覆鋼板 - Google Patents

燃料タンク用有機被覆鋼板

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JPH11138095A
JPH11138095A JP30472897A JP30472897A JPH11138095A JP H11138095 A JPH11138095 A JP H11138095A JP 30472897 A JP30472897 A JP 30472897A JP 30472897 A JP30472897 A JP 30472897A JP H11138095 A JPH11138095 A JP H11138095A
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organic
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coated steel
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JP30472897A
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Kensho Yuasa
健正 湯淺
Yujiro Miyauchi
優二郎 宮内
Hiroyasu Furukawa
博康 古川
Hiroshi Kanai
洋 金井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Pbを含まない燃料タンク用有機被覆鋼板を
提供する。 【解決手段】 めっき鋼板の少なくとも片面に、固形分
換算で、40〜96容量%の有機樹脂、3〜59容量%
の導電性材料、1〜30%容量%の防錆顔料を含有し、
かつ前記有機樹脂中にフェノール樹脂を固形分容量換算
で0.2〜25%含有する皮膜を形成した表面処理鋼板
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、特に劣化
ガソリンに対する耐食性に優れた有機被覆鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク用表面処理鋼板として、Pb
ーSn合金めっき鋼板が長年にわたって使用されてき
た。しかし、近年Pbの毒性問題から、Pbを含まない
素材が求められている。代替材料として、プラスチック
製の燃料タンクが実用化されているが、安全性が必ずし
も十分ではなく、鋼板製の材料が求められている。鋼板
用の材料としては、エポキシ樹脂を主体とする樹脂に、
りん片状Alを含有させた塗料をめっき鋼板の上に塗
装、焼付けした有機被覆鋼板が使用されているが、劣化
ガソリンに対する耐食性が十分で無く、改善が求められ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、劣化ガソリ
ンに対する耐食性が良好で、溶接性、プレス成形性にも
優れた有機被覆鋼板を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本願発明の要旨とすると
ころは、(1)めっき鋼板の少なくとも片面に、固形分
換算で40〜96容量%の有機樹脂、3〜59容量%の
導電性材料、1〜30容量%の防錆顔料を含有し、かつ
前記有機樹脂中にフェノール樹脂を固形分容量換算で
0.2〜25%含有する皮膜を形成したことを特徴とす
る燃料タンク用表面処理鋼板、(2)めっき層が、N
i、Co、Cr、Feのうちの少なくとも1種からなる
金属または金属酸化物あるいは金属水酸化物のいずれか
またはこれらの混合物層を介して、Ni、Cr、Feの
うちのいずれか1種以上を合金成分とする亜鉛系合金め
っき層であることを特徴とする前記(1)に記載の有機
被覆鋼板、
【0005】(3)導電性材料がフェロホスホルを主成
分とすることを特徴とする前記(1)または(2)に記
載の有機被覆鋼板、(4)防錆顔料が、水及び酸素が存
在する腐食条件下でバナジウムを含むイオンを放出する
イオン源かつ/またはモリブデン化合物かつ/またはり
ん酸イオンを放出するイオン源を含有することを特徴と
する前記(1)から(3)のいずれかに記載の有機被覆
鋼板、
【0006】(5)片面に皮膜を形成しない場合に、皮
膜を形成しない面に電解クロメート処理が施されている
ことを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記
載の有機被覆鋼板、(6)有機樹脂がエポキシ樹脂とフ
ェノキシ樹脂の混合物であることを特徴とする前記
(1)から(5)のいずれかに記載の有機被覆鋼板、で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における有機被覆に使用する樹脂は、有機
樹脂を主成分とする樹脂であって、たとえばエポキシ樹
脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等で、これらの混合物や
共重合物が使用できる。これらの樹脂に対して、架橋剤
となるアミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、酸、メラミ
ン樹脂、イソシアネート樹脂(化合物)などを1種類あ
るいは複数種類使用することができる。また、シリケー
ト樹脂などの有機無機複合樹脂も使用することができ
る。皮膜中の樹脂の含有量は、固形分換算で40〜96
容量%であり、40%未満ではバインダーとしての役目
が十分果たせず、成膜性不良、密着性不良、加工性の不
足などの不具合を生じる。一方、96容量%以上では、
導電性の不足による溶接性不良、防錆力の不足による耐
食性不良を引き起こす。
【0008】樹脂として、フェノール樹脂を有機被覆中
に含有するときに、劣化ガソリンに対する耐食性が向上
し、他の性能も良好である。フェノール樹脂が多くなる
と、耐食性は向上する傾向にあるが、加工性(加工を受
けたときの塗膜の耐ワレ、耐剥離性)は悪くなる。フェ
ノール樹脂の配合量は、主樹脂に対して固形分容量換算
で0.2〜25%、望ましくは0.5〜15%の範囲で
ある。0.2容量%未満では耐食性が不足し、25容量
%を越えると皮膜が硬くなりすぎ、加工に対して弱くな
る。また、主樹脂として、エポキシ樹脂、さらに望まし
くはエポキシ樹脂とフェノキシ樹脂の混合物を用い、こ
れをフェノール樹脂で硬化させた場合に、耐食性と加工
性の関係が良好になる。さらに望ましくは、エポキシ樹
脂とフェノキシ樹脂とフェノール樹脂の合計容量に対し
て、フェノール樹脂の固形分容量が0.5〜10%の場
合に、耐食性と加工性が最も良好になる。
【0009】導電性材料は、皮膜に溶接性を付与するた
めに加える。タンク用材料は、スポット溶接とシーム溶
接によって接合されることが多く、これらの溶接が可能
であることが必要である。導電性材料としては、亜鉛、
鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属、それらの合
金(ステンレス鋼、青銅、真鍮等)や、フェロホスホル
(りん鉄)、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロ
コバルトなどの金属りん化物、金属炭素化物、金属窒化
物などの金属化合物、グラファイトなど公知の導電性を
示す材料が使用できる。これらは単独で使用しても、複
数の種類を組み合わせて使用してもよい。導電性材料の
平均粒子径は導電性を確保するために重要であり、乾燥
後塗膜平均厚みに対して1/5〜10倍であることが望
ましい。
【0010】さらに望ましくは、平均粒子径は乾燥塗膜
厚みに対して1/2〜3倍であると良い。この範囲にあ
ると、溶接性と成形性が両立できる。1/5以下である
と導電性(溶接性)が不良となり、10倍以上であると
成形時に導電性材料の皮膜からの脱落や、塗装外観の不
均一の原因となる。導電性材料の皮膜中の含有量は、固
形分換算で3〜59容量%である。3%未満であると溶
接性が得られず、59%以上であると塗膜の密着性が低
下し、また、成形加工時の塗膜の伸びが不足して、外観
不良や耐食性不良となりやすい。導電性材料のうちの、
30%以上がフェロホスホルであると、理由は不明であ
るが、特に劣化ガソリンに対する耐食性が良好である。
【0011】皮膜中には耐食性を向上するために、防錆
顔料を1〜30容量%含有する。防錆顔料としては、公
知の顔料を使用することが可能である。たとえば、クロ
ム酸系防錆顔料として、クロム酸ストロンチウム、クロ
ム酸カリウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロ
ム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム等が使用で
きる。また、亜鉛粉など、鉄よりも卑な金属を用いるこ
ともできる。また、クロムを使用しない防錆顔料も使用
することが可能であり、たとえばバナジウムを含むイオ
ンを放出するもの、りん酸イオンを放出するもの、モリ
ブデン化合物、りん酸化合物、亜りん酸亜鉛等の亜りん
酸塩、塩基性シアナミド亜鉛、このうち、バナジウムを
含むイオンの放出源となるものを必須として、モリブデ
ン化合物とリン酸イオン放出源となるものを組み合わせ
たものが、クロム酸系の防錆顔料を使用するよりも耐食
性と溶接性のバランスに優れる。
【0012】具体的には、耐食性はクロム酸系防錆顔料
とほぼ同等であり溶接性に優れる。バナジウムを含むイ
オンの放出源としては、バナジウムの原子価が0、2、
3、4、5の化合物のうちいずれか1種類以上が使用で
き、このうち5価のバナジウム化合物を1種以上含むこ
とが望ましい。形態としては、金属、酸化物、水酸化
物、金属酸素酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、バナジル化
合物などが例示できる。モリブデン化合物は、モリブデ
ンの金属、酸化物、水酸化物、金属酸素酸塩、ハロゲン
化物、硫酸塩、あるいはモリブデン酸塩などのうちから
選択し、必要に応じてバナジウムを含むイオン放出源に
加えても良い。また、必要に応じてりん酸イオン放出源
を加えても良い。りん酸イオン放出源としては、オルト
リン酸、縮合りん酸(メタリン酸、ポリリン酸など)、
ないしはその金属塩などを用いることが出来る。
【0013】さらに以上のバナジウムを含むイオン放出
源、りん酸イオン放出源、またはモリブデン化合物は、
その溶出性を制御するために、ガラス物質マトリックス
中に分散させる、かつ/または、表面をチタン化合物及
び/またはジルコニウム化合物で被覆しても良い。防錆
顔料の配合量は、溶接性と耐食性の要求レベルに応じて
変更すればよく、溶接性重視の場合には配合量を少な
く、耐食性重視の場合には配合量を多くすることができ
る。防錆顔料の量として皮膜中に1容量%以下では、耐
食性の向上効果がなく、また57容量%を越えて配合す
るとプレス成形性が悪くなる。バナジウムを含むイオン
放出源とりん酸放出源を同時に配合すると、耐食性が特
に良好であり、かつ溶接性の低下が少ない。
【0014】上述の皮膜をめっき鋼板上に形成する。皮
膜の付着量は、特に限定されないが、0.5〜15g/
2 であることが望ましい。0.5g/m2 未満では耐
食性向上効果がなく、また20g/m2 以上では溶接
性、プレス成形性が悪くなる。皮膜の形成方法は、所定
の有機樹脂、導電性材料、防錆顔料を含有する塗料を、
ロールコーター、カーテンコーター、エアナイフ、静電
スプレー、エアスプレー、エアレススプレー法等の公知
の方法でめっき鋼板上に塗布し、公知の方法で乾燥硬化
させればよい。
【0015】乾燥硬化の方法として、熱風乾燥炉、誘導
加熱炉、近赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉等、熱を与え
る方法や、塗料の種類によっては放射線による硬化も採
用できる。塗料の種類によって乾燥条件は適宜選択でき
るが、たとえばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂あるい
はフェノキシ樹脂とフェノール樹脂が含まれている塗料
においては、到達板温として180〜260℃程度の温
度で焼き付けられる。メラミン樹脂やイソシアネート樹
脂で架橋する場合には、たとえば、140〜240℃程
度の到達板温で焼き付けられる。熱可塑性の水系オレフ
ィン樹脂の場合には、到達板温80〜140℃程度の焼
付け温度で十分である。このように、含有される樹脂の
種類に応じて焼き付け温度は選択される。
【0016】皮膜の形成前に、皮膜の密着性を高めるた
めの前処理皮膜をめっき鋼板上に形成することもでき
る。塗装前処理としては、クロメート処理、リン酸亜鉛
処理、リン酸鉄処理、NiやCoの複合酸化皮膜処理、
非クロム系の処理等がある。また、脱脂、水洗、湯洗、
ブラッシング、研削等の前処理を行うことも可能であ
る。前処理として、特に電解クロメート処理が溶接性、
耐食性のバランスの点から適している。また電解クロメ
ート処理を、めっき鋼板の両面に施すことによって、有
機被覆を形成しない面の摺動性が向上し、プレス成形性
も向上する。
【0017】もちろん、両面に有機被覆を施す場合に
も、溶接性と耐食性のバランスという点で電解クロメー
ト処理が適している。電解クロメート処理層の付着量
は、特に限定されないが、Crとして5〜50mg/m
2 程度が望ましい。塗布型クロメート処理を用いる場合
には、シリカを含まない処理が溶接性の点で優れてい
る。前処理層は、必要に応じて、鋼板の片面、または両
面に形成することができる。
【0018】有機皮膜は燃料と接する側に被覆される
が、燃料と接しない外面側に形成する事も可能である。
内面側と同じ皮膜を形成してもよいし、他の種類の皮膜
を形成することも可能である。外面側に、溶接性を損な
わない範囲で有機皮膜を形成することは、プレス成形性
の点から有利になる。有機被膜によって、プレス成型時
の潤滑性が確保できるからである。特に有機被覆がワッ
クス入りの場合には、摺動性が特に改善されて良い。
【0019】塗料中には、上述の必須成分の他に、着色
顔料、体質顔料、潤滑剤、その他添加剤等を必要に応じ
て加えることが出来る。ただし、必須成分の含有量が皮
膜中の80容量%以上となるようにすることが望まし
い。必須成分の含有量が80容量%未満となると、密着
性、成形性、耐食性、溶接性が低下する恐れがある。ま
た、水、溶剤等、塗料の粘性を確保するための成分を塗
料中に含有することができる。塗料は水系であっても、
溶剤系であっても、無溶剤系であっても良い。
【0020】めっき種類としては、特に限定されるわけ
ではないが、劣化ガソリンに対する耐食性、タンク外面
の耐食性の確保という 観点から、Zn合金めっきまた
は合金化溶融亜鉛めっきが望ましい。さらに望ましく
は、まずNi、Co、Cr、Feのうちの少なくとも1
種からなる金属または金属酸化物あるいは金属水酸化物
のいずれかまたはこれらの合金層または混合物層を鋼板
上に形成し(以下プレメッキ層と称する)、その上にさ
らにNi、Cr、Feのうちのいずれか1種以上を合金
成分とする亜鉛系合金めっき層を形成することが望まし
い。
【0021】はじめに形成するNi、Co、Cr、Fe
のうちの少なくとも1種からなる金属または金属酸化物
あるいは金属水酸化物のいずれかまたはこれらの合金層
または混合物層(プレメッキ層)は、電気めっき法によ
って形成することができる。たとえばNi、Co、C
r、Feの硫酸塩中に、イオン濃度として10g/lか
ら100g/l、電流密度を1A/dm2 から100A
/dm2 、硫酸濃度0.1g/lから10g/lの範囲
でメッキすれば良く、金属メッキの場合には硫酸濃度を
高く、酸化物あるいは水酸化物を共析させる場合には硫
酸濃度を低くすると良い。
【0022】電気めっき浴中に金属イオンの析出を促進
させるために添加剤あるいは、支持塩として前者の場合
にはデキストリン、バニリン、フェノールスルフォン
酸、カチオンポリマー、芳香族アルデヒドなどが挙げら
れ、後者の場合には硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウ
ム、硫酸アンモニウム、ほう酸、ほう酸塩などがあげら
れ、これらを添加する事も可能である。この様にして得
られたNi、Co、Cr、Feのうちの少なくとも1種
からなる金属または金属酸化物あるいは金属水酸化物の
いずれかまたはこれらの合金層または混合物層の付着量
は特に限定されないが、0.01g/m2 〜10g/m
2 の範囲が望ましい。0.01g/m2 未満では劣化ガ
ソリンに対する耐食性向上効果がほとんど得られず、1
0g/m2 を超えると実質的に効果が飽和し、それ以上
の付着量増加はかえってコストを増加させるだけである
ので好ましくない。
【0023】これらの層の上に以下のめっきを施したい
わゆるめっき鋼板の皮膜を形成する。前述のように、Z
n合金めっきまたは合金化溶融亜鉛めっきが望ましい
が、他のめっきも使用することができる。すなわち亜鉛
めっき鋼板(電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき鋼板)、
Ni、Cr、Feのいずれかのうち少なくとも1種類の
合金成分を含む亜鉛合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板、アルミ−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケルめっ
き鋼板、クロムめっき鋼板、すずめっき鋼板、分散めっ
き鋼板(たとえば亜鉛ーニッケルあるいは亜鉛ー鉄をベ
ースにしてSiO 2 、TiO2 、ZrO2 、BaCrO
4 等の金属酸化物を均一分散析出してなる亜鉛系分散め
っき鋼板)である。
【0024】めっき皮膜の付着量は前述したように10
g/m2 以上90g/m2 以下の範囲が望ましい。めっ
き皮膜の形成方法は電気めっき法または置換めっき法
(硫酸浴、塩酸浴、アルカリ浴)や溶融金属に浸漬させ
る方法である溶融めっき法(フラックス法、ゼンジマー
法、シーラス法)溶融塩電解法、蒸着法等の公知の手法
を用いることができ、またこれらの組み合わせによる多
層めつき鋼板も本特許に包含される。めっきの付着量
は、特に限定されないが、求められる耐食性と溶接性の
レベルに応じて選択される。耐食性の観点からは、めっ
き付着量が1g/m 2 以上であることが望ましい。溶接
性の観点からは、めっき付着量90g/m2以下である
ことが望ましい。めっきの厚みは、鋼板の両面で異なっ
ていても良い。タンク外面の腐食環境が厳しい場合に
は、内面よりも外面側を厚くめっきしてもよいし、内面
側の耐食性の要求レベルが高ければ外面よりも内面側を
厚くめっきしてもよい。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を以下に示し、本発明を詳細
に説明する。鋼板に、表1および表2に示すプレメッキ
およびメッキを電気めっき法あるいは溶融めっき法によ
って施した。Niプレメッキ、及びCoプレメッキは、
NiまたはCoイオン濃度として60g/l、電流密度
35A/dm2 、硫酸濃度2g/l、浴温60℃の条件
で電析させた。Zn−Niめっきは、Znイオン濃度6
5g/l、Niイオン濃度45g/l、硫酸濃度10g
/l、電流密度70A/dm2 、浴温55℃の条件で、
Niを11%含むZn−Ni合金めっきを電析させた。
Zn−Fe合金電気めっき鋼板は、Feを15%含むよ
うにめっきした。Znめっきは、Znイオン濃度65g
/l、硫酸濃度10g/l、電流密度70A/dm2
浴温55℃の条件で電析させた。合金化溶融亜鉛めっき
は、Alを含むZn浴に鋼板を浸漬した後、合金化炉で
めっき層中のFe%が11%となるように加熱した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】次に、めっき鋼板をFC364S(濃度2
%、温度60℃)でスプレー脱脂、よく水洗、湯洗して
乾燥した後、クロメート処理を施した。クロメート処理
としては、電解クロメート処理と塗布型クロメート処理
(LN4545K、日本パーカライジング製、シリカを
含有しないクロメート処理剤)を施した。クロムとして
の付着量はいずれも30mg/m2 とした。電解クロメ
ート処理後は水洗、乾燥した。塗布クロメート処理後
は、到達板温100℃となるように乾燥した。
【0029】次に、所定の塗料をロールコーターで所定
の乾燥付着量となるように塗布し、熱風乾燥炉で焼付け
た。塗料は、表中に示した組成に、粘度を下げるための
溶剤、あるいは水を加えたものである。溶剤としては、
それぞれに使用する樹脂の種類に応じて、樹脂が溶解す
る溶剤を選択した。樹脂としては、エポキシ樹脂、フェ
ノキシ樹脂、フェノール樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂を用いた。
エポキシ樹脂としてはエピコート1007(シェル社
製)、フェノキシ樹脂としてはフェノール樹脂としては
ショーノールBKS−316(昭和高分子社製)、変性
エポキシ樹脂としては、エピコート1009のアルカノ
ールアミン付加物、ウレタン樹脂としてはタケネートA
(武田薬品社製)、水系ウレタン樹脂としてはボンタイ
ターHUXー320(旭電化社製の水系ウレタン樹
脂)、メラミン樹脂としてはサイメル303(三井サイ
テック社製)、ポリエステル樹脂としてはエスペルNS
−5(日立化成社製)を用いた。
【0030】表1および表2中では、エポキシ樹脂は
E、フェノキシ樹脂はPX、フェノール樹脂はPN、変
性エポキシ樹脂はEK、ウレタン樹脂はU、水系ウレタ
ン樹脂はWU、メラミン樹脂はM、ポリエステル樹脂は
PEと表記した。エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂を混合
した場合には、固形分容量比で30:70で混合した。
焼付け条件は、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂変性エポ
キシ樹脂あるいはこれらの混合物をフェノール樹脂で架
橋する場合には到達板温250℃、エポキシ樹脂をウレ
タン樹脂で架橋する場合には到達板温220℃、水系ウ
レタン樹脂の場合には到達板温150℃、ポリエステル
樹脂をメラミン樹脂で架橋する場合には到達板温230
℃で焼き付けた。
【0031】導電性材料としては、平均粒径3μmのフ
ェロホスホル(りん鉄)、平均長径30μm鱗片状A
l、平均粒径6μmSUS(アトマイズ法による)を用
いた。併用した例では、フェロホスホル/Al=70/
30容量%、Al/SUS=20/80容量%の比で配
合した。表1および表2中では、りん鉄はR、Alは
A、SUSはSと表記した。
【0032】防錆顔料としては、バナジウム系顔料、ク
ロム酸ストロンチウム、モリブデン系顔料の3種類を用
いた。バナジウム系顔料としては、V2 5 、P
2 5 、LiOHをモル比1:1:2で混合し焼成後、
平均粒径1μmとなるように粉砕した粉末を、粉末表面
積に対して30mg/m2 のテトラーisoープロポキ
シチタンで表面被覆した顔料を用いた。モリブデン系の
顔料として、MoO3 、りんモリブデン酸アルミニウム
をモル比1:1で混合し、平均粒径1μmとなるように
粉砕した顔料を用いた。表中では、バナジウム系顔料は
Va、モリブデン系顔料はMo、クロム酸ストロンチウ
ムはCrと表示した。
【0033】皮膜中にカルナバワックスを添加した皮膜
も試験した。表裏の構成についても表1および表2中に
示した。タンク内面側の仕様は詳細に示し、外面側の仕
様は、以下のように表示した。メッキの欄に「同じ」と
表示されているものは、内面側のプレメッキ、メッキと
全く同じ仕様であることを示している。「差厚めっき」
と表示されているものは、プレメッキは全く同じで、め
っき種類まで同じであるが、表裏でめっきの付着量が異
なっていることを示している。内面側のめっき付着量が
20g/m2 の場合には、外面側は40g/m 2 、内面
側のめっき付着量が40g/m2 の場合には、外面側は
20g/m2 である。
【0034】前処理の欄も同様で、「同じ」を表示され
ているものは、内面側と塗装前処理の仕様も同じことを
意味する(外面側に皮膜がない場合にも、塗装前処理層
は設ける場合がある)。皮膜の欄で、「同じ」と表示さ
れているものは、内面側と全く同じ皮膜種類、付着量で
あることを示している。「1g/m2 」と表示されてい
るものは、皮膜種類は内面側と同じで、付着量が1.0
g/m2 であることを示している。「潤滑」と表示され
ているものは、水系ウレタン樹脂に粒径2μmのポリエ
チレンワックス(ケミパール、三井化学社製)を12
%、シリカ(スノーテックスN、日産化学社製)を20
%含有する皮膜を付着量1.0g/m2 で形成したこと
を示している。「なし」と表示されているものは、有機
被膜を形成していないことを示している。
【0035】評価方法は以下の通りである。有機被膜の
密着性は、JIS K 5400の8.5に規定の1m
m間隔の碁盤目を有機被膜に入れ、8.2に規定のエリ
クセン試験機で有機被覆面が凸となるように7mm押し
出した後、8.5に規定の方法でテープ剥離して、8.
5(5)の記述を参考にして評点をつけた。成形性は、
絞り比2.2、押さえ圧2トン、肩R3mmの条件で円
筒絞り試験を行い、成形の可否と鋼板表面の状態を観察
した。表裏で仕様の異なる場合には、表裏それぞれが凸
部となるように2通りの成形を行った。
【0036】評点は、5:成形可能で、かつ成形後の表
面状態が良好 4:成形可能で、成形後の表面に若干のきずが発生 3:成形可能で、成形後の表面にきずが発生 2:成形可能であるがプレスによるかじりまたは皮膜の
剥離が顕著 1:成形できず破断 とした。
【0037】耐食性は、有機被覆鋼板を表1および表2
中の「タンク内面側」が内面となるように、肩R5m
m、押さえ圧1トンで、絞り比2.2(ブランク径11
0mm)の条件で円筒絞りし、円筒の底部にクロスカッ
トを入れ、この円筒内に劣化ガソリンを入れて密閉し、
25℃の環境で7週間放置することによって調べた。劣
化ガソリンは、JIS K2287に準じた方法で作成
し、ぎ酸濃度が1000mg/lとなるように新品ガソ
リンを混合し、さらに10容量%の純水を添加たものを
用いた。10容量%の純水を入れると、劣化ガソリンは
2層に分離し、水層でぎ酸濃度が高くなるため、水層に
接している場所の腐食がはやくなる傾向にある。7週間
後の有機被覆鋼板の外観、及び封入した劣化ガソリン中
の腐食生成物を目視で評価し、評点をつけた。
【0038】評点は、5:水層の存在する箇所でも錆や
塗膜膨れの発生がほとんどない 4:水層の存在する箇所で錆や塗膜膨れの発生が若干認
められる 3:水層の存在する箇所で塗膜が明らかに膨れている 2:水層の存在する箇所で塗膜が剥離している 1:水層の存在しない箇所でも錆や塗膜膨れが発生して
いる とした。
【0039】溶接性は、スポット溶接とシーム溶接の適
正電流範囲を調べた。被覆鋼板の、内面側どうしを重ね
て(有機被覆どうしが合わさるようにして)、スポット
溶接性については加圧力220kgf、通電時間12サ
イクル、OBARA製アルミナ分散銅電極(φ6R4
0)を用いて、シーム溶接性については加圧力400k
gf、通電パターン2onー2off、電極はR4.5
(常時研削)の条件で調べた。ナゲット径が4√t
(t:板厚mm)より大きく、チリ発生や溶着のない電
流範囲を適性電流範囲とし、この適正電流範囲が広いほ
ど溶接性は良好であると判断した。
【0040】評価結果を表1および表2に示した。本発
明による有機被覆鋼板は、皮膜の密着性、成形性、劣化
ガソリンに対する耐食性に優れている。比較例No11
は防錆顔料を含有しないため耐食性が悪い。比較例No
12は導電性材料を含有しないため溶接性が悪い。比較
例No13は樹脂分が少なく耐食性と成形性が悪い。比
較例No16、17はそれぞれフェノール樹脂が多い
か、少なく、耐食性が悪いか、成形性が悪い。比較例N
o30、32、33はフェノール樹脂を含まないため耐
食性が悪い。
【0041】実施例の中では、皮膜の付着量の多いNo
4ではやや成形性が悪い。また導電材料の少ない実施例
No10では溶接性がやや悪くなっている。また、導電
材料としてR(フェロホスホル)、防錆顔料としてVa
(バナジン酸系防錆顔料)を含まない系では、やや耐食
性が悪くなる。フラッシュめっきのない実施例No26
では、NiやCoのフラッシュめっきのある水準に比べ
て耐食性と成形性がやや劣る。電解クロメート処理が外
面側(燃料に接しない側)にない実施例No7は外面側
に電解クロメート処理のある水準よりも成形性がやや悪
くなっている。また、樹脂種類については、エポキシ樹
脂とフェノキシ樹脂を混合してさらにフェノール樹脂で
架橋した水準は、他の水準よりも耐食性と成形性のバラ
ンスに優れている。外面側に皮膜を形成した実施例No
5、6、23、43では、外面側に皮膜のない水準に比
べて成形性に優れている。
【0042】原板のめっき種類が異なっても、本発明例
の範囲に有機被覆鋼板は耐食性、成形性、溶接性に優れ
ている。同じめっき付着量なら、付着量が少ないほど溶
接性に優れる。めっき種類については、Ni、Cr、F
eのうちのいずれか1種以上を合金成分とする亜鉛系合
金めっきが耐食性に特に優れていた。溶接性について
は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が、付着量が同じときに
は、他のめっき鋼板に比べて溶接性に優れていた。
【0043】
【発明の効果】以上のように、フェノール樹脂を含む有
機樹脂、導電性材料、防錆顔料を組み合わせる本発明に
よる有機被覆鋼板は、劣化ガソリンに対する耐食性、成
形性、溶接性に優れる。すなわち、Pbを含まない燃料
タンク用素材として適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 洋 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき鋼板の少なくとも片面に、固形分
    換算で40〜96容量%の有機樹脂、3〜59容量%の
    導電性材料、1〜30容量%の防錆顔料を含有し、かつ
    前記有機樹脂中にフェノール樹脂を固形分容量換算で
    0.2〜25%含有する皮膜を形成したことを特徴とす
    る燃料タンク用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき層が、Ni、Co、Cr、Feの
    うちの少なくとも1種からなる金属または金属酸化物あ
    るいは金属水酸化物のいずれかまたはこれらの混合物層
    を介して、Ni、Cr、Feのうちのいずれか1種以上
    を合金成分とする亜鉛系合金めっき層であることを特徴
    とする請求項1に記載の有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 導電性材料がフェロホスホルを主成分と
    することを特徴とする請求項1または2に記載の有機被
    覆鋼板。
  4. 【請求項4】 防錆顔料が、水及び酸素が存在する腐食
    条件下でバナジウムを含むイオンを放出するイオン源か
    つ/またはモリブデン化合物かつ/またはりん酸イオン
    を放出するイオン源を含有することを特徴とする請求項
    1から3のいずれかに記載の有機被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 片面に皮膜を形成しない場合に、皮膜を
    形成しない面に電解クロメート処理が施されていること
    を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機被
    覆鋼板。
  6. 【請求項6】 有機樹脂がエポキシ樹脂とフェノキシ樹
    脂の混合物であることを特徴とする請求項1から5のい
    ずれかに記載の有機被覆鋼板。
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