JPH0615404A - 易崩壊性鋳型及びその製造方法 - Google Patents

易崩壊性鋳型及びその製造方法

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JPH0615404A
JPH0615404A JP322191A JP322191A JPH0615404A JP H0615404 A JPH0615404 A JP H0615404A JP 322191 A JP322191 A JP 322191A JP 322191 A JP322191 A JP 322191A JP H0615404 A JPH0615404 A JP H0615404A
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casting
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猛 高柳
Yoshihiro Onoda
芳大 小野田
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Japan Abrasive Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 [目的]鋳型材に自己崩壊性を付与し、鋳造品から鋳型
材を容易に除去し得る易崩壊性鋳型およびその製造方法
を提供する。 [構成]自己崩壊性を有する耐火物、すなわち、ジルコ
ニア単体もしくはジルコニアを10重量%以上含むジル
コニア系材料、例えば、アルミナ−ジルコニアジルコニ
ア−ムライト、ジルコニア−チタニア、ジルコニア−カ
ルシア、ジルコニア−マグネシア及びジルコニア−イッ
トリア等を鋳型材として用い、1100℃付近における
ジルコニアの相転移、すなわち単斜晶ジルコニアと正方
晶ジルコニア間の変態による体積変化を利用して自己崩
壊性鋳型を構成する。この鋳型は上記材料を用いて造型
し、800〜1000℃で焼成することによって製造で
きる。上記鋳型材料をスラリーまたはスタッコ材料とし
て用いることにより自己崩壊性インベストメント鋳型と
なし得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、易崩壊性鋳型及びその
製造方法に関するもので、さらに詳しくは、自己崩壊性
を有する鋳型であり、金属加工技術における鋳造技術、
例えばインベストメント鋳造(精密鋳造)に用いて最適
の鋳型とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インベストメント鋳造品の周囲に
付着した鋳型材の大半はサンドブラスト、ノックアウト
マシン、ショットブラストといった機械的手段により除
去される。さらに、この手法によって除去できないほど
強固に付着した鋳型材あるいは複雑な形状部分に付着し
た鋳型材は、荷性ソーダ(NaOH)、荷性カリウム
(KOH)の単体もしくは両者を混合した水溶液を満た
したオートクレーブ中、あるいは、前記したアルカリ物
質の単体もしくは混合物を400〜500℃に加熱して
溶融した融液中に鋳造品を浸漬して鋳型材を除去してい
た。
【0003】
【発明が解決しようとするする課題】従来技術では、機
械的手法により除去を行うため、鋳造品に変形を生じた
り、鋳造品表面に傷が生じる危険性がある。また、機械
的手法により除去できない鋳型材の除去には、劇物であ
るアルカリ融液を用いて高温下で処理するため、処理装
置周辺にアルカリ物質が飛散して汚染され、作業環境が
悪化するとともに、周辺設備の腐食及び人体への危害が
懸念されていた。
【0004】そこで、本発明の目的とするところは、鋳
型材に自己崩壊性を付与し、鋳造品から鋳型材を容易に
除去し得る易崩壊性鋳型およびその製造方法を提供する
ところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、鋳型材として
自己崩壊性を有する耐火物を用いるか、あるいはこのよ
うな耐火物を従来から使用しているジルコン、アルミ
ナ、ムライト、シリカ等の鋳型材に配合すれば鋳型に自
己崩壊性を付与することができ、上記機械的手法による
鋳型材の除去並びにアルカリ融液処理における弊害を回
避し得るとの知見に基づき鋭意検討を重ねた結果、ジル
コニア単体もしくはジルコニアを10重量%以上含むジ
ルコニア系材料、例えば、アルミナ−ジルコニア、ジル
コニア−ムライト、ジルコニア−チタニア、ジルコニア
−カルシア、ジルコニア−マグネシア及びジルコニア−
イットリア等を鋳型材として用いれば、目的とする易崩
壊性鋳型が得られることを確認した。
【0006】したがって、この発明は、ジルコニア単体
もしくはジルコニアを10重量%以上含むジルコニア系
材料の1種もしくは2種以上を含む鋳型材からなる易崩
壊性鋳型を特徴とする。また、これらジルコニア単体も
しくはジルコニアを10重量%以上含むジルコニア系材
料の1種もしくは2種以上を含む鋳型材を用いて造型
し、800〜1000℃で焼成する易崩壊性鋳型の製造
方法を特徴としている。インベストメント鋳型において
は、これをスラリー原料あるいはスタッコ材として用い
る。すなわち、ジルコニア単体もしくはジルコニアを1
0重量%以上含むジルコニア系材料の1種もしくは2種
以上をバインダーと混合してスラリーとするか、これら
をスタッコとして用いるものである。
【0007】ジルコニア単体もしくはジルコニアを10
重量%以上含むジルコニア系材料の製造方法としては、
一般的な焼成法、焼結法または電融法のいずれでも良
く、特に電融法は量産化並びに結晶の大きさ等を容易に
制御できる点から望ましい。なおジルコニア単体として
は安価な天然鉱石(バデライト鉱)を用いても良い。
【0008】さらにまた、ジルコニアに固溶し、安定化
剤となり得るチタニア、カルシア、マグネシア及びイッ
トリア等を1種もしくは2種以上添加すれば、溶湯の鋳
造終了後における鋳型強度の劣化は前記材料よりやや小
さくなるが、鋳型成型時の強度を向上せしめることがで
きる。
【0009】
【作用】ジルコニアは1100℃付近で、単斜晶ジルコ
ニア、正方晶ジルコニアの変態があり、この変態による
体積変化は約7%と極めて大きい。したがって、ジルコ
ニア単体もしくはジルコニアを10重量%以上含むジル
コニア系材料を用いて造型した鋳型は、加熱溶融された
金属溶湯の注湯によってこれらの物質中に微細なクラッ
クが無数に発生するため、容易に自己崩壊する。
【0010】アルミナ−ジルコニア系材料は、アルミナ
もしくはジルコニアの初晶とアルミナ−ジルコニア共晶
とからなり、また、ジルコニア−ムライト系材料はムラ
イト結晶とジルコニア結晶との混晶からなり、いずれも
50ミクロン〜サブミクロンもしくはそれ以下の微細な
結晶構造をとっている。したがって、これらの材料に含
まれた10重量%以上のジルコニアが体積変化すると、
さらに多くのクラックが発生し、自己崩壊性が一層高ま
る。
【0011】なお、従来から用いられているジルコン
は、ジルコニアを約67重量%含んでいるが、約150
0℃付近からジルコニアとシリカに分解し始め、鋳造中
にシリカと鋳造品との間で反応が生じたり、溶湯の鋳造
終了後、冷却時にシリカが再結晶し、本発明の目的とす
る鋳造終了後の強度低下は生じない。
【0012】
【実施例】以下、インベストメント鋳型についての適用
例について説明する。
【0013】インベストメント鋳型は常温で造型され、
800〜1000℃で焼成後、直ちに溶融金属が注湯さ
れ、鋳造が行われる。従って注湯後、鋳型は1000℃
以上に加熱され、その後常温まで冷却し鋳型は除去され
る。そこで、このような工程に準じた熱履歴を鋳型に与
えて鋳型強度を測定した結果を従来の鋳型と比較して表
1及び表2に示す。
【0014】表1は、ジルコニア単体もしくはジルコニ
ア系材料をスラリーの耐火物として用いた例を示してお
り、バインダーとしてのコロイダルシリカ100部に対
し耐火物(電融粉砕品、#325F;約50μm下)を
350部用いている。スタッコ(Stucco)としては従来
品同様アルミナ(#60)を使用した。
【0015】表2は、ジルコニア単体もしくはジルコニ
ア系材料をスタッコ(Stucco)として用いた例を示して
おり、電融粉砕品、#60(約300−200μm)を
用いた。スラリーの耐火物としては従来品同様電融粉砕
品、#325Fのジルコンを用いた。
【0016】本発明実施品の鋳型の強度は、スラリーの
耐火物として用いた場合、表1に示したように試料番号
1〜9のいずれも、従来品の試料番号10と11に比
べ、ほぼ同等から2倍と優れており、1200℃焼成・
冷却後は従来品の強度が70あるいは65kgf/cm2 と高
いのに比べ、5〜20kgf/cm2 と著しく小さくなる。
【0017】また、表2に示したようにスタッコとして
用いた場合、成型後の鋳型強度は試料番号1〜9のいず
れも、従来品の試料番号10と11に比べ、ほぼ同等か
ら2倍以上と優れており、1200℃焼成・冷却後は
0.5〜20kgf/cm2 と著しく小さくなる。
【0018】次に表2に示した試料番号4の鋳型により
実際に鋳造を行い、鋳型の崩壊性について調べた。
【0019】鋳造品の材質:SKD−61 (組成[%]Fe −0.4、C−1.0、Si−0.3 Mn−5.0、Cr−1.2、Mo−0.3V) 鋳造した部品:ロッカーアーム(自動車部品) 湯口の周囲に30個のロッカーアームを取り付けたワッ
クス模型の周囲に、表2の試料番号4に示した本発明に
おける鋳型(厚さ:約7mm)を形成し、脱ワックス
後、800℃で1.5時間焼成して鋳型を造型した。こ
の鋳型に1650℃の溶湯(SKD−61)を注湯し
た。その後鋳型を常温まで冷却した後、鋳型の除去処理
を行ったところ、極めて簡単に鋳造品から取り除くこと
ができた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】以上の通り、この発明に係る鋳型および
その製造方法は、熱履歴によって容易に崩壊する易崩壊
性鋳型を提供し得たのであり、従来鋳造後の型ばらしに
難があった鋳造技術の問題点を払拭し得たのであり、鋳
型除去作業における大幅な省力化を図ることができる。
【0023】特に銅合金、鉄基、ニッケル基、コバルト
基合金などを用いてインベストメント鋳造する際におけ
る鋳型材料として適用すれば、従来のような機械的手法
による型材の除去さらにはアルカリ融液を用いた処理を
不要とするもので、インベストメント鋳造の作業性、作
業環境を一変させ得るものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニア単体もしくはジルコニアを1
    0重量%以上含むジルコニア系材料の1種もしくは2種
    以上を含む鋳型材からなる易崩壊性鋳型。
  2. 【請求項2】ジルコニア系材料が、アルミナ−ジルコニ
    ア、ジルコニア−ムライト、ジルコニア−チタニア、ジ
    ルコニア−カルシア、ジルコニア−マグネシア及びジル
    コニア−イットリアである請求項1記載の易崩壊性鋳
    型。
  3. 【請求項3】 ジルコニア単体もしくはジルコニアを1
    0重量%以上含むジルコニア系材料の1種もしくは2種
    以上を含む鋳型材を用いて造型し、800〜1000℃
    で焼成する易崩壊性鋳型の製造方法。
  4. 【請求項4】 ジルコニア単体もしくはジルコニアを1
    0重量%以上含むジルコニア系材料の1種もしくは2種
    以上をバインダーと混合してなるスラリーを用いたこと
    を特徴とする易崩壊性インベストメント鋳型。
  5. 【請求項5】 ジルコニア単体もしくはジルコニアを1
    0重量%以上含むジルコニア系材料の1種もしくは2種
    以上をスタッコとして用いたことを特徴とする易崩壊性
    インベストメント鋳型。
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