JPH06152109A - プリント基板およびその製造方法 - Google Patents

プリント基板およびその製造方法

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JPH06152109A
JPH06152109A JP29421392A JP29421392A JPH06152109A JP H06152109 A JPH06152109 A JP H06152109A JP 29421392 A JP29421392 A JP 29421392A JP 29421392 A JP29421392 A JP 29421392A JP H06152109 A JPH06152109 A JP H06152109A
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JP
Japan
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printed circuit
circuit board
film
chemical adsorption
adsorption film
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JP29421392A
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Yoshikazu Yamagata
芳和 山縣
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半田付け前のプリント基板全体あるいは半田
接合部以外の部分に化学吸着膜を形成することにより、
フラックス流れや半田ボールを防止し、半田付け後の洗
浄工程を不要にしたプリント基板及びその製造方法を提
供する。 【構成】 ドライエアー中あるいは有機溶媒中でクロロ
シラン系界面活性剤とプリント基板1とを接触させるこ
とによって、基板表面の親水性基と前記界面活性剤のク
ロロシリル基との間に脱塩酸反応を起こさせ、シロキサ
ン結合3により化学吸着膜4,5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリント基板及びその製
造方法に関する。さらに詳しくは、親水性基と反応する
官能基を末端に有する化学吸着膜分子とプリント基板全
体あるいは半田接合部以外の部分とを反応させ、前記分
子によってシロキサン結合を有する化学吸着膜を形成し
たプリント基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半田付け後、残留フラックスが存在する
と、電気絶縁性の低下や短絡、マイグレーション等が起
こる。そのため、フラックス除去を目的として、クロロ
フルオロカーボンや1,1,1−トリクロロエタン等に
よる基板洗浄がよく行われている。
【0003】また、半田付けの際に半田ボールが生成す
ることがあり、その場合にはブラシ洗浄等によって、半
田ボールを取り除いている。また、半田付けの際の不要
な箇所への半田のぬれを阻止するためには、一般にソル
ダーレジストと呼ばれる半田用マスクが施される。ソル
ダーレジストにはグラファイト粉、酸化マグネシウム粉
のスラリ−等の無機系のものと、耐熱性と耐薬品性を有
する重合硬化性の有機系樹脂とがある。電子工業で用い
られものはほとんど後者である。
【0004】有機系ソルダ−レジストは熱硬化型と紫外
線硬化型とに大別され、前者にはメラミン樹脂とエポキ
シ樹脂とがある。メラミン樹脂は産業用プリント基板に
用いられる一般的なソルダ−レジストであるが縮合反応
の過程で有毒なホルマリンを生成するため、エポキシ系
に置き換えられつつある。
【0005】また、紫外線硬化型は塗膜特性がやや劣る
が、作業性が優れているため主に民生用のプリント基板
に用いられている。これらのマスキングの方法として
は、ステンシルを通してスプレーする方法やブラシ法も
あるが、スクリーン印刷法が一般に使われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、洗浄に使用され
てきたクロロフルオロカ−ボンや1、1、1−トリクロ
ロエタン等は、地球環境保護のため、生産及び使用が制
限され、すでに全廃が決定している。そのため、無洗浄
化方法やフロン代替洗浄方法としての非水系あるいは水
系洗浄等が検討されている。無洗浄フラックスや無洗浄
クリーム半田による基板の無洗浄化は理想的だが、半田
付け性や信頼性の面でまだ充分な実用化には至っていな
い。また、非水系洗浄剤の場合、引火点を有するため工
業的には防爆設備を必要とすることから扱いにくいとい
う問題がある。さらに、水系洗浄剤を使用した場合には
排水処理が必要なことや乾燥性、基板や実装部品への水
のアタックなどに問題がある。
【0007】また、従来のスクリーン印刷法によるマス
キングは、表面が全くの平らでなければならず、さら
に、ピンホールを少なくするためには幾層か重ねてマス
キングをする必要がある。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、均一な超薄膜で、かつ膜分子と基板あるいは基板の
半田接合部以外の部分の分子とが化学結合をしている化
学吸着膜により、半田ボールやフラックス流れなどが起
きず、半田付け後の洗浄が不要となるプリント基板及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のプリント基板の第1番目の発明は、半田付
け前のプリント基板の表面に、シロキサン結合を介して
化学吸着膜を形成したという構成を備えたものである。
【0010】次に本発明のプリント基板の第2番目の発
明は、半田付け前のプリント基板の半田接合部以外の表
面部分に、シロキサン結合を介して化学吸着膜を形成し
たという構成を備えたものである。
【0011】前記構成においては、化学吸着膜分子がフ
ッ化アルキル基もしくはアルキル基を有していることが
好ましい。また前記構成においては、化学吸着膜が単分
子膜であることが好ましい。
【0012】次に本発明のプリント基板の製造方法第1
番目の発明は、親水性基と反応する官能基を末端に有す
る化学吸着分子を溶解した溶液に、半田付け前のプリン
ト基板を浸漬し、前記化学吸着分子と前記プリント基板
とを接触させて低分子脱離反応を起こさせ、前記プリン
ト基板の表面にシロキサン結合を介して化学吸着膜を形
成することを特徴とする。
【0013】次に本発明のプリント基板の製造方法第2
番目の発明は、親水性基と反応する官能基を末端に有す
る化学吸着分子からなる溶液をガス化し、前記化学吸着
分子と半田付け前のプリント基板の半田接合部以外の部
分とを接触させて低分子脱離反応を起こさせ、前記プリ
ント基板の表面にシロキサン結合を介して化学吸着膜を
形成することを特徴とする。
【0014】
【作用】前記した本発明の第1番目の発明の構成によれ
ば、プリント基板表面分子と化学吸着膜分子とがシロキ
サン結合をしていることにより、結合力が強く、保護機
能を持った化学吸着膜が実現できる。この化学吸着膜分
子及び、半田を適切に選択することにより、半田付け時
の熱によって半田接合部の化学吸着膜のみを分解させ、
半田付けが可能となる。そこで半田接合部以外に残って
いる膜の非接着性、撥油性によって、半田やフラックス
流れ、半田ボール等を防止できる。また、たとえフラッ
クス等が付着したとしても簡単に取ることができる。さ
らに、部品実装後に電気絶縁や保護の目的で改めてコー
ティング膜等を形成する必要もない。
【0015】次に本発明の第2番目の発明の構成によれ
ば、プリント基板の半田接合部以外の部分にのみ化学吸
着膜を形成させるため、半田の種類や半田付け温度を考
慮する必要もなく、結合力の強いマスキング用かつ保護
機能を持った化学吸着膜で被覆できる。また、この発明
の場合には半田付け温度以上の耐熱性を持つ分子を化学
吸着膜分子に選ぶと、浸漬半田付け法やリフロー半田付
け法等にも適用できる。
【0016】また、化学吸着膜分子がフッ化アルキル基
もしくはアルキル基を有しているという本発明の好まし
い構成によれば、化学吸着膜表面にフッ化アルキル基も
しくはアルキル基が位置するようになるため、電気絶縁
性や撥水撥油性、耐熱性、耐薬品性等の特性をさらに向
上させることができる。
【0017】また、化学吸着膜が単分子膜であるという
本発明の好ましい構成によれば、膜の厚さをナノメータ
レベルまたはオングストロームレベルの範囲の極薄にで
きるため、表面に凹凸のあるプリント基板でも充分均一
に膜を形成することができ、クラックの発生も抑えられ
る。
【0018】次に、本発明の製造方法の第1番目の発明
の構成によれば、末端にクロロシリル基を有する化学吸
着膜分子と、プリント基板表面の親水性基との間の低分
子脱離反応(たとえば脱塩酸反応)を利用して、有機溶
媒中で膜形成を行うため、反応が急速に進み、短時間で
化学吸着膜形成が行える。また、温度をあまりかける必
要がないため、プリント基板に悪影響を及ぼさない。
【0019】次に、本発明の製造方法の第2番目の発明
の構成によれば、気相中で低分子脱離反応(たとえば脱
塩酸反応)を行い膜形成を行うため、有機溶媒による基
板へのダメージが全く無い。また、基板に温度をかける
必要がないため、熱の影響を受けない。
【0020】
【実施例】本発明のプリント基板の一実施例は図1に示
すように、プリント基板1の表面の半田接合部2以外の
部分にシロキサン結合3を介して化学吸着膜4を結合さ
せたものである。なお、5はシロキサン結合3と化学吸
着膜4とを合わせた化学吸着単分子膜5である。
【0021】本発明に供される化学吸着膜分子はフッ化
アルキル基もしくはアルキル基を含有するクロロシラン
系界面活性剤から構成されている。フッ化アルキル基を
有するクロロシラン系界面活性剤としては、下記のもの
を一例として挙げることができる。 (1)トリクロロシラン系界面活性剤の例 CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 ,CF3
2 O(CH2 15SiCl3 ,CF3 (CH2 2
i(CH3 2 (CH2 15SiCl3 ,F(CF2
4 (CH2 )2 Si(CH3 2 (CH2 15SiCl
3 ,F(CF2 8 (CH2 2 Si(CH3 2 (C
2 15SiCl3 ,CF3 COO(CH2 15SiC
3 ,CF3 (CF2 5 (CH2 2 SiCl3 , (2)低級アルキル基置換のモノクロロシラン系あるい
はジクロロシラン系界面活性剤(但し式中のnは何れも
1または2) CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCln (CH3
3-n ,CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCln (C
2 5 3-n ,CF3 CH2 O(CH2 15SiCln
(CH3 3-n ,CF3 CH2 O(CH2 15SiCl
n (C2 5 3-n ,CF3 (CH2 2 Si(C
3 2 (CH2 15SiCln (CH3 3-n ,CF
3 (CH2 2 Si(CH3 2 (CH2 15SiCl
n (C2 5 3-n,F(CF2 8 (CH2 2 Si
(CH3 2 (CH2 9 SiCln (CH 3 3-n
F(CF2 8 (CH2 2 Si(CH3 2 (C
2 9 SiCln (C2 5 3-n ,CF3 COO
(CH2 15SiCln (CH3 3-n ,CF3 COO
(CH2 15SiCln (C2 5 3-n , これらの中でも特にトリクロロシラン系界面活性剤は、
その親水性基と結合したクロロシリル基以外のクロロシ
リル基が、隣合うクロロシリル基とシロキサン結合で分
子間結合を形成するため、より強固な化学吸着膜となり
好ましい。
【0022】さらに、フッ化アルキル鎖またはアルキル
鎖部分に二重結合基や三重結合基を組み込んでおけば、
化学吸着膜形成後、5メガラド程度の電子線照射で架橋
できるので、化学吸着膜の強度を向上させることも可能
である。
【0023】アルキル基を有するクロロシラン系界面活
性剤としては、例えば、CH3 (CH2 18SiC
3 、CH3 (CH2 15SiCl3 、CH3 (C
2 10SiCl3 、CH3 (CH2 25SiCl3
のようなトリクロロシラン系界面活性剤をはじめ、例え
ばCH3 (CH2 18SiCln (CH3 3-n 、CH
3 (CH2 18SiCln (C2 5 3-n 、CH
3 (CH2 15SiCln (CH33-n 、CH3 (C
2 10SiCln (CH3 3-n 、CH3 (CH2
25SiCln (C2 5 3-n (但し式中のnは何れも
1または2)等の様な低級アルキル基置換のモノクロロ
シラン系あるいはジクロロシラン系界面活性剤が挙げら
れる。
【0024】本発明に適用できるクロロシラン系界面活
性剤は、前記のような直鎖状分子だけではなく、フッ化
アルキル基またはアルキル基が分岐した形状でも、ある
いは末端のケイ素にフッ化アルキル基またはアルキル基
が置換した形状(すなわちR,R1 ,R2 ,R3 をフッ
化アルキル基またはアルキル基として、一般式R2 Si
Cl2 、R3 SiCl,R1 2 SiCl2 ,R1 2
3 SiCl等)であってもよい。しかし、化学吸着膜
密度を高めるためには直鎖状分子がより好ましい。
【0025】さらに、たとえばSiCl4 、SiHCl
3 、SiH2 Cl2 、Cl(SiCl2 O)n SiCl
3 (但し式中nは自然数)、SiClm (C
3 4-m 、SiClm (C2 5 4-m (但し式中m
は1〜3の整数)、HSiClk (CH 3 3-k 、HS
iClk (C2 5 3-k (但し式中kは1または2)
等のようなクロロシリル基を複数個含む分子を、気相中
でプリント基板と反応させた後、水と反応させると、表
面のクロロシリル基が親水性のシラノール基に置換さ
れ、プリント基板表面が親水性となる。
【0026】これらの中でも、テトラクロロシランは反
応性が高く分子量も小さいことから、高密度にシラノー
ル基を付与できるため、より好ましい。これにより、化
学吸着膜分子も高密度化されるため、絶縁性や保護機能
も向上させることができる。
【0027】本発明に供されるプリント基板は、表面に
例えば−OH基,−COOH基,−NH2 基、−NH基
等の親水性基を含む基板であれば何れでもよいため、全
ての基板に適用できる。その一例として、例えば、紙フ
ェノール基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミドガラス
基板等がある。但し、表面の親水性基が少ない基板の場
合は、例えばオゾン酸化もしくは電子線照射等の通常の
手段の化学処理、あるいは、前述したようなテトラクロ
ロシラン処理等によって、親水性基を増やして用いる
と、本発明により適した基板とすることができる。
【0028】本発明の第1番目の製造方法(液相法)で
使用できる有機溶媒は、化学吸着膜分子が水系分子と反
応するためできるだけ水分の少ない非水系有機溶媒でし
かもプリント基板を侵さず、かつ化学吸着膜分子を充分
溶解させることができる溶媒であれば何れでもよい。例
えば、フルオロアルキル基を有する直鎖状分子から成る
フッ素系溶媒、またはフルオロアルキル基を有する三級
アミンあるいはフルオロアルキル基を有する環状エーテ
ル等のフッ素系溶媒、例えばヘキサン、オクタン、ヘキ
サデカン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、例えば
ジブチルエーテル、ジベンジルエーテル等のエ−テル系
溶媒、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸アミル等エステル系溶媒の何れかが好ましい。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン
等が一例として挙げられる。
【0029】次に本発明の第2番目の製造方法(気相
法)は、たとえば真空容器にプリント基板を置き、内部
の雰囲気を高真空にするか、ドライエアーまたは乾燥窒
素ガスなどで置換して乾燥雰囲気にし、次いで化学吸着
分子をガス状態で供給し、プリント基板表面で低分子脱
離反応(たとえば脱塩化水素反応)を起こさせて化学吸
着膜を形成する。このようにすると、溶液を用いないの
で、コンタミネーションの影響を受けにくい。
【0030】また、本発明の化学吸着膜は単分子膜一層
だけでも充分な機能が得られる。単分子膜を形成するに
は、有機溶剤を使用する場合、クロロシラン系界面活性
剤またはクロロシリル基を複数個含む分子を用いて吸着
させた後、水分に接触させずに非水系有機溶剤で余分な
吸着分子を洗浄すれば良い。また、気相中で化学吸着膜
を形成する場合、そのような洗浄工程は必要なく、簡便
に単分子膜が形成できる。また、このような単分子膜を
累積させ、膜厚を厚くした化学吸着膜でもよいことは勿
論である。さらにまた、前記において非水溶液による洗
浄工程を省略するとポリマー吸着膜を形成できる。本発
明はこのようなポリマーの吸着膜であっても良い。
【0031】以下具体的実施例を挙げて、本発明をより
詳細に説明する。 実施例1 まず、化学吸着膜分子として、アルキル直鎖を有するノ
ナデシルトリクロロシランを用いた。
【0032】また、テスト基板として、0.318mm の導体
間隔で櫛形状に銅電極を形成したガラス基材エポキシ樹
脂基板を使用した。上記化学吸着分子を濃度10-2mol/
l 含むシクロヘキサン溶液に、上記基板を窒素雰囲気下
室温で1時間浸漬した。引き続き、未反応のノナデシル
トリクロロシランをシクロヘキサンで洗浄し、さらに純
水で洗浄することによって、単分子化学吸着膜を形成し
た。得られた化学吸着膜の厚さは約15オングストロー
ムであった。
【0033】また、水の接触角は約105度であり、充
分な化学吸着膜が形成されていることがわかった。さら
に、この化学吸着膜の耐絶縁性を測定したところ、単分
子膜でありながら耐電圧5×106 V/cm、リ−ク電流8
×10-12 A/V ・cmの値が得られた。この耐電圧は、膜
厚2.5×10-3cmの4弗化エチレン膜の耐電圧2×1
6 V/cmと比較しても十分に高いものであった。
【0034】この基板の銅電極部にコテ半田付け法によ
り250℃で半田付けを行ったところ、良好な半田付け
性が得られた。その後、この基板を無洗浄のままで、温
度85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽内に入れ、DC
100Vの電圧を印加し、櫛形電極間の漏れ電流を1時
間間隔で1000時間測定した。漏れ電流値を絶縁抵抗
値に換算したところ常に108Ω以上の絶縁抵抗値を保
っていた。
【0035】比較例として、化学吸着膜を形成しなかっ
た基板を無洗浄のままで同様にマイグレーションテスト
を行ったところ、900時間辺りで絶縁抵抗値が104
〜106 Ω程度まで低下し、エレクトロマイグレ−ショ
ンが起こった。
【0036】実施例2 次に、化学吸着膜分子として、フッ化アルキル基を含む
クロロシラン系界面活性剤であるヘプタデカフルオロデ
シルトリクロロシランを用いた。
【0037】また、テスト基板は実施例1と同様の基板
を使用した。この基板の銅電極部をポリエステルフィル
ムで覆い、窒素雰囲気中で2時間、60℃に加熱してい
るヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン溶液上に
曝した後、取り出した。ポリエステルフィルムで覆わな
かった部分の化学吸着膜の膜厚は約15オングストロー
ムであった。また、水の接触角は約110度であった。
また、耐電圧7×106 V/cm、リ−ク電流8×10-12
A/V ・cmであった。
【0038】この基板の銅電極部にリフロー半田付けを
行ったところ、半田ボールやフラックス流れ等が見られ
ず、良好な半田付け性を示した。その後、実施例1と同
様にマイグレ−ションテストを行った。漏れ電流値を絶
縁抵抗値に換算したところ、常に108 Ω以上の絶縁抵
抗値を保っていた。
【0039】実施例3 次に、実施例2においてヘプタデカフルオロデシルトリ
クロロシランをパ−フルオロドデシルトリクロロシラン
に変えて、実施例2と同様の実験を行った。
【0040】その結果、やはり半田付け性も良く、絶縁
抵抗値も常に108 Ω以上の絶縁抵抗値を保っていた。 実施例4 さらに、実施例2においてヘプタデカフルオロデシルト
リクロロシランをトリデカフルオロオクチルトリクロロ
シランに変えて、実施例2と同様の実験を行った。この
結果得られたプリント基板も実施例2と同様の物性を示
した。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明は、半田付け前のプ
リント基板全体あるいは半田接合部以外の部分に化学吸
着膜を形成することにより、フラックス流れや半田ボー
ルを防止でき、半田付け後の洗浄工程を無くすことがで
きる。また、基板に撥水撥油性、防汚、防湿性、絶縁性
等を付与することができ、コーティングの必要がない。
【0042】また、本発明のプリント基板製造方法によ
り、どのような形状の基板でも均一な膜厚で化学吸着膜
を形成することが可能となり、基板への溶剤の影響が全
くないプリント基板製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるプリント基板の半田接
合部以外の部分にシロキサン結合を介して化学吸着膜を
形成した概念断面図
【符号の説明】
1 プリント基板 2 半田接合部 3 シロキサン結合 4 化学吸着膜 5 化学吸着単分子膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半田付け前のプリント基板の表面に、シ
    ロキサン結合を介して化学吸着膜を形成したプリント基
    板。
  2. 【請求項2】 半田付け前のプリント基板の半田接合部
    以外の表面部分に、シロキサン結合を介して化学吸着膜
    を形成したプリント基板。
  3. 【請求項3】 化学吸着膜分子がフッ化アルキル基もし
    くはアルキル基を有している請求項1または2記載のプ
    リント基板。
  4. 【請求項4】 化学吸着膜が単分子膜である請求項1ま
    たは2記載のプリント基板。
  5. 【請求項5】 親水性基と反応する官能基を末端に有す
    る化学吸着分子を溶解した溶液に、半田付け前のプリン
    ト基板を浸漬し、前記化学吸着分子と前記プリント基板
    とを接触させて低分子脱離反応を起こさせ、前記プリン
    ト基板の表面にシロキサン結合を介して化学吸着膜を形
    成することを特徴とするプリント基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 親水性基と反応する官能基を末端に有す
    る化学吸着分子からなる溶液をガス化し、前記化学吸着
    分子と半田付け前のプリント基板の半田接合部以外の部
    分とを接触させて低分子脱離反応を起こさせ、前記プリ
    ント基板の表面にシロキサン結合を介して化学吸着膜を
    形成することを特徴とするプリント基板の製造方法。
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Cited By (3)

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