JPH06151826A - 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ - Google Patents

分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ

Info

Publication number
JPH06151826A
JPH06151826A JP4322589A JP32258992A JPH06151826A JP H06151826 A JPH06151826 A JP H06151826A JP 4322589 A JP4322589 A JP 4322589A JP 32258992 A JP32258992 A JP 32258992A JP H06151826 A JPH06151826 A JP H06151826A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gate
region
cathode
electrode
short
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4322589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2678159B2 (ja
Inventor
Naoshige Tamamushi
尚茂 玉蟲
Kimihiro Muraoka
公裕 村岡
Yoshinori Otsubo
義則 大坪
Toshio Higuchi
登志男 樋口
Makoto Iguchi
信 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Electric Manufacturing Ltd
Original Assignee
Toyo Electric Manufacturing Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Electric Manufacturing Ltd filed Critical Toyo Electric Manufacturing Ltd
Priority to JP4322589A priority Critical patent/JP2678159B2/ja
Priority to US08/145,436 priority patent/US5461242A/en
Publication of JPH06151826A publication Critical patent/JPH06151826A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2678159B2 publication Critical patent/JP2678159B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/68Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable by only the electric current supplied, or only the electric potential applied, to an electrode which does not carry the current to be rectified, amplified or switched
    • H01L29/70Bipolar devices
    • H01L29/72Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals
    • H01L29/739Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals controlled by field-effect, e.g. bipolar static induction transistors [BSIT]
    • H01L29/7391Gated diode structures
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/68Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable by only the electric current supplied, or only the electric potential applied, to an electrode which does not carry the current to be rectified, amplified or switched
    • H01L29/70Bipolar devices
    • H01L29/72Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals
    • H01L29/739Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals controlled by field-effect, e.g. bipolar static induction transistors [BSIT]
    • H01L29/7391Gated diode structures
    • H01L29/7392Gated diode structures with PN junction gate, e.g. field controlled thyristors (FCTh), static induction thyristors (SITh)

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Thyristors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は比較的構造が簡単で面積効率
が高く、短絡ゲートと制御電極間の絶縁分離性が向上
し、スイッチング速度が速く、可制御耐量の増大した分
割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
導サイリスタを提供することを目的とする。 【構成】 分割ゲート構造の第1のゲートをカソード短
絡ゲート、第1ゲートと第2のゲートとの間にカソード
領域を形成するとともに、第2のゲート上にMOS構造
を形成して制御ゲート電極とすることによって短絡ゲー
トと制御電極間の絶縁分離を図り、かつチャネルの集積
化密度が高いために面積効率が増大し、少数キャリア
(正孔)の蓄積効果が抑制されてスイッチング速度が速
く、カソード短絡の効果によって可制御耐量が増大した
分割ゲート構造のカソード短絡構造を有する絶縁ゲート
静電誘導サイリスタの構成であって、ゲートの構成はプ
レーナ,埋込み,切込み,ダブルゲート(両面ゲート)
構造に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力用半導体素子に関
し、特に分割ゲート構造を有する静電誘導サイリスタに
おいて、第1のゲート(シールディングゲート,Shieldi
ng Gate )をカソード領域と短絡したカソード短絡構造
を有し、第1のゲート領域と第2のゲートとの間にカソ
ード領域を形成し、第2のゲート上に形成された絶縁ゲ
ートを制御(コントロール)ゲート電極とすることによ
って、構造が比較的簡単でかつカソード短絡ゲートと制
御ゲート電極間の絶縁分離性が向上し、可制御耐量が増
大しかつ高速スイッチングの可能な分割ゲート型カソー
ド短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のサイリスタ,GTO等においてカ
ソード短絡構造を導入することによって可制御耐量が向
上する点はよく知られていることである。一方、カソー
ド短絡構造の静電誘導(Static Indnction:SI) サイリ
スタについては、従来プレーナ(平面)ゲート構造のS
Iサイリスタに関して素子構造が提案され、アノード短
絡構造と組み合わせた二重短絡構造によって、素子内部
のライフタイムを減少させることなく素子の高速化が実
現できる旨の報告がなされている。即ち、図21は電気
学会電子デバイス・半導体電力置換合同研究会(199
0年10月26日)において発表された“短絡構造SI
サイリスタのスイツチング特性”EDD−90−59,
SPC−90−58において開示された二重短絡構造S
Iサイリスタの断面構造の模式図である。
【0003】図21において1はp+ アノード領域、2
はn+ カソード領域、3はp+ ゲート領域、4はカソー
ド短絡領域、5は高抵抗層領域、6はn+ 静電誘導短絡
領域、7はアノード電極、8はカソード電極、9はゲー
ト電極、10はカソード短絡電極、11は酸化膜であ
る。
【0004】従来提案されたカソード短絡構造では、図
21に示す如く、p+ ゲート領域3とは別の領域として
カソード短絡領域4を設定し、p+ ゲート領域3に吸収
されるべき正孔の一部をカソード短絡領域4に吸収する
ことによってカソード側近傍における正孔密度を実質的
に減少している。しかし、このようなカソード短絡領域
4はp+ ゲート領域3から所定の距離だけ離隔して配置
するため、カソード短絡を実施しない共通ゲートによる
サイリスタの構造に比べてカソード領域2及びp+ ゲー
ト領域3を形成する面積が減少し、面積効率が低下す
る。カソード領域2の配置される領域が減少することか
ら、その分だけサイリスタとしての電流容量も犠牲とな
る。従って、上記従来例では素子のマルチチャネル化に
よる大電流化を図る上で面積効率が悪く問題がある。
【0005】一方、チャネルを囲むゲート領域を複数に
分割し、少くともその1つを駆動用ゲートとしてゲート
から見た静電容量を十分小さくし、大電流の高速スイツ
チングを行なうことのできる分割ゲート型静電誘導サイ
リスタが特許第1588399号「静電誘導サイリス
タ」、特許第1456781号「両面ゲート型静電誘導
サイリスタ」に開示されている。しかし上記特許にはゲ
ートを分割して制御ゲートの機能を高める点のみが開示
され、非制御ゲートの機能を積極的に高め、可制御耐量
を向上させるカソード短絡構造については何ら開示され
ていない。
【0006】一方、分割ゲート型静電誘導トランジスタ
についても、例えば特許第1302727号「静電誘導
トランジスタ及び半導体集積回路」等に開示されてい
る。しかし、これらはトランジスタを対象としており、
しかも低電圧動作による集積回路等に応用されるもので
ある。制御ゲートの機能向上を図ることはできるが、非
制御ゲートについてはその機能向上のための工夫は何ら
開示されていない。本発明のカソード短絡に対応したソ
ース短絡構造については何ら開示されていない。これは
トランジスタの分割ゲート構造のために非制御ゲートが
あまり重要なゲート構造を保持しない点による。
【0007】一方、分割ゲート型静電誘導トランジスタ
を撮像素子の一ピクセル(画素)とする半導体撮像素子
の構造も提案され特公平1−37028号公報に開示さ
れている。上記素子ではゲートをコントロール(制御)
ゲートとシールデイングゲートに分割し、シールデイン
グゲートを素子分離のための領域として、かつ光照射に
対して遮弊し、コントロールゲートを本来のゲート領域
とし、その上に光情報の蓄積のためのキヤパシタを設け
ている。
【0008】上記特公平1−37028号公報において
は,これら2つのゲート領域の機能を分離するために、
シールデイングゲート領域と表面に形成された主電極と
してのソース(ドレイン)領域との間の距離を短くする
構造、シールデイングゲート領域を深く形成する構造等
が提案されている。
【0009】しかし、このような分割ゲートのそれぞれ
の機能を分離するための構造的工夫は、サイリスタの如
き高耐圧、大電流、強電界にて動作する半導体デバイス
においては従来提案されていない。上記の撮像素子の
例、或いはトランジスタの例では、主電極に印加される
電圧も5V程度の低電圧であり、しかも導通キャリアは
電子(nチャネルの場合)である。pn接合コントロー
ルゲートからの注入キャリアである正孔の蓄積効果は、
共通ゲートの場合に比べて小さい。しかし、分割ゲート
型静電誘導サイリスタの場合には、導通キャリアは電子
と正孔の両方であり、特にカソード側近傍における少数
キャリアの蓄積効果において問題となるのはコントロー
ルゲートからの注入正孔のみならずアノード領域から注
入されカソード領域に流入する正孔である。従来の分割
ゲート型静電誘導サイリスタにおいては、アノード領域
から注入された正孔電流をシールディングゲートによっ
ていかに制御すれば可制御耐量が向上するか等の問題点
を解決する手段が何ら開示されていなかった。
【0010】分割ゲート構造を導入することによってコ
ントロールゲートからの注入正孔量は低減化されるが、
むしろ、圧倒的に多くの正孔はアノード領域から注入さ
れカソード領域に流入する正孔である。
【0011】従来、分割ゲート型静電誘導サイリスタに
おいては、ゲートを分割することによって、入力容量を
低減化し、カソード領域からの電子の注入時のGmが高
くなる点、容量低減に伴なうRC時定数の低減から高速
ターンオン性能が得られる点は明らかであったが、分割
されたゲートのそれぞれの機能を分離して可制御耐量の
増大化等のターンオフ性能を向上させるための構造的工
夫は行なわれていない。アノード側からの注入正孔を積
極的にシールデイング(短絡)ゲート領域に流入させ
て、コントロールゲートの負担を軽減化し、カソード側
近傍における少数キャリア(正孔)の蓄積効果に伴なう
ターンオフ特性の抑制効果を解消するための構造的工夫
について何ら開示されていなかった。
【0012】本発明者は、上記従来技術の問題点を解消
するために先に第1ゲート及び第2ゲートをともにpn
接合ゲートとして形成する構造を有するカソード短絡構
造を有する静電誘導サイリスタを提案し、特願平4−
号に開示した。上記に開示したカソード短絡構造を
有する静電誘導サイリスタは以下のようなものである。
即ち、カソード側近傍における少数キャリア(正孔)の
蓄積効果が抑制されて高速なターンオフ性能が得られ、
かつ可制御耐量の向上した高速スイッチングの可能な分
割ゲート型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリス
タである。
【0013】更に具体的には、チャネルを囲むゲートを
2つに分割し、一方のゲートを制御用のコントロールゲ
ートとし、他方のゲートをカソード領域と電気的に短絡
したカソード短絡ゲートとすることによって、従来例に
比べてチャネルの集積化密度が高くて面積効率が増大
し、少数キャリアの蓄積効果が抑制されてスイッチング
速度が速く、かつカソード短絡の効果によって可制御耐
量の向上した分割ゲート型カソード短絡構造を有する静
電誘導サイリスタである。
【0014】上記に開示された発明の構成は以下に示す
通りである。即ち、高抵抗層領域を挟んで設けられたア
ノード領域、カソード領域、制御領域を具備するサイリ
スタであって、前記制御領域は互いに分割された第1の
ゲート領域と第2のゲート領域を含み、第1のゲート領
域に接触するシールドゲート電極と前記カソード領域に
接触するカソード電極は電気的に短絡されてカソード短
絡構造を形成し、第2のゲート領域に接触するコントロ
ールゲート電極に印加される電圧によってカソード領域
とアノード領域間に流れる電流が制御され、前記カソー
ド領域の前面の前記高抵抗層中において前記カソード領
域と短絡された第1のゲート領域と前記高抵抗層間の拡
散電位によって広がる第1の空乏層と、第2のゲート領
域と前記高抵抗層間の電位によって広がる第2の空乏層
が形成されるとともに、前記第2のゲート領域に印加さ
れるコントロールゲート電極の電圧によって静電誘導効
果によって制御可能な電位障壁が前記第1の空乏層と第
2の空乏層が接する高抵抗層領域近傍に形成され、アノ
ード領域より注入された正孔の一部は前記第1のゲート
領域を介して、シールドゲート電極と短絡したカソード
電極に流入することを特徴とする分割ゲート型カソード
短絡構造を有する静電誘導サイリスタとしての構成を有
する。
【0015】或いはまた、前記第1のゲート領域は前記
第2のゲート領域よりも高い不純物密度を有することを
特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有する静電
誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0016】或いはまた、前記第1のゲート領域と前記
カソード領域との間の距離は、前記第2のゲート領域と
前記カソード領域との間の距離に比べて短く設定され、
相対的にカソード領域が第1のゲート領域に近接して形
成されることを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構
造を有する静電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0017】或いはまた、前記第1のゲート領域は、同
一導電型で第2のゲート領域に比べて深く形成された中
低濃拡散領域と、前記中低濃度拡散領域中に形成された
高濃度拡散領域、とを含むことを特徴とする分割ゲート
型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリスタとして
の構成を有する。
【0018】或いはまた、前記第1のゲート領域は第2
のゲート領域に比べ相対的に深くかつ幅広く形成される
ことを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る静電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0019】或いはまた、前記カソード領域と前記第1
のゲート領域及び前記第2のゲート領域との間には前記
カソード領域と同一導電型の中低濃度の不純物密度を有
する領域が介在されるとともに、前記介在領域は前記カ
ソード領域の周囲を取り囲んでいることを特徴とする分
割ゲート型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリス
タとしての構成を有する。
【0020】或いはまた、前記第1のゲート領域、前記
第2のゲート領域の一方もしくは両方がともに埋込みゲ
ート構造を有することを特徴とする分割ゲート型カソー
ド短絡構造を有する静電誘導サイリスタとしての構成を
有する。
【0021】或いはまた、前記第1及び第2のゲート領
域はともに埋込みゲート構造を有するとともに、第1の
ゲート領域と第2のゲート領域は互いに隣接しているこ
とを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有する
静電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0022】或いはまた、前記第1及び第2のゲート領
域はその一方もしくは両方がともに切込み構造を有する
ことを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る静電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0023】或いはまた、前記カソード領域、アノード
領域、第1及び第2のゲート領域はいずれも同一主表面
近傍に形成される横型構造を有することを特徴とする分
割ゲート型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリス
タとしての構成を有する。
【0024】図22は上記特願平4− 号に開示した発
明の分割ゲート型カソード短絡構造を有する静電誘導サ
イリスタの動作原理図であって、模式的な素子断面構造
図を示している。また図23は図22に図示した分割ゲ
ート型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリスタの
模式的な回路表現である。図23の模式的な回路表現よ
り明らかなように、分割ゲート構造を有することから、
2つのサイリスタの並列動作と考えることができる。図
22において、1はアノード領域、2はカソード領域、
31は第1のゲート領域であってカソード短絡ゲート或
いはシールディングゲートと呼ばれる領域である。32
は第2のゲート領域であって制御ゲート或いはコントロ
ールゲートと呼ばれる領域である。5は高抵抗層領域、
7はアノード電極、8はカソード電極、9はゲート電
極、10はカソード短絡電極である。11は酸化膜(S
iO2)である。9のゲート電極は制御ゲート(コントロ
ールゲート)電極である。10のカソード短絡電極はカ
ソード短絡ゲート(シールディングゲート)の電極であ
り、実質的にカソード電極8と短絡している。
【0025】31,32のゲート領域は原理的にはpn
接合ゲートであっても、MIS(MOS)ゲートであっ
ても、或いはショットキーゲートであっても、或いはま
たヘテロ接合ゲートであってもよいことはもちろんであ
る。要はカソード2アノード1間に流れる電流を静電誘
導効果によって制御できるゲート構造であればよい。図
22においてW1 は第1のゲート31の周囲に広がる空
乏層の幅を示し、W2は第2のゲート32の周囲に広が
る空乏層の幅を示している。G* は云わゆるイントリン
シックゲート(真のゲート)点と呼ばれる点であって、
静電誘導障壁高さの頂点に対応している。G* 点近傍の
電位障壁はカソードに存在する電子に対する障壁である
と同時に、第1ゲート、第2ゲートに存在する正孔に対
しても電位障壁となっている。例えばサイリスタがオフ
状態にある場合には、G* 点近傍にはカソードに存在す
る電子に対して充分な高さの電位障壁が形成されるとと
もに、第1ゲート31及び第2ゲート32に存在する正
孔に対しても電位障壁となっている。従って、オフ状態
においてはアノードカソード間に電子電流は導通せず、
かつ第1ゲート31、第2ゲート32間にも正孔電流は
導通していない。
【0026】次に第2ゲート32の制御ゲート電極9に
正の電圧を印加して、G* 点の電位障壁高さを低下させ
るに従ってカソード2からの電子注入が開始される。第
2ゲート32からの正孔注入も行なわれるが、その後の
アノード1からの正孔注入量に比べてその量はわずかで
ある。しかも分割ゲートの効果として共通ゲートの場合
に比べて、ゲートからの注入量も小さいため、ゲートの
蓄積効果が少ない。これが分割ゲートの1つの効果とな
っている。またG* 点近傍には正孔に対する電位障壁が
存在するため、第2ゲート32から第1ゲート31へ流
れる正孔電流は容量結合に伴なう変位電流が主であり、
実質的な導通電流は極めて小さい。カソード2から注入
された電子がアノード領域1と高抵抗層領域5との界面
近傍に蓄積されアノード領域1に存在する正孔に対する
電位障壁高さを低下させるにつれて、アノード領域1か
らの正孔注入が開始される。アノード領域1から注入さ
れた正孔電流の大部分はカソード領域2に電気的に短絡
されている第1ゲートに流入し、残りは第2ゲートに流
入する。第1ゲート及び第2ゲートに流入する割合は、
第1ゲートと第2ゲートの相対的な電位差等のポテンシ
ャル分布の形状、第1ゲートと第2ゲートの面積比或い
は幾何学的な深さ等の形状等によって決定される。第2
ゲートが第1ゲートに比べて正の電位に保持されている
場合には、第1ゲートに流入する正孔量の方が実質的に
多くなることが予想される。これは第1ゲートの方が正
孔に対する電位が低く実質的に正孔を蓄積しやすい状態
にあるからである。しかるに、制御ゲートとなる第2ゲ
ートは実質的な静電容量が小さくなっているため相対的
に小さな流入正孔電流によって充電されやすい。これが
分割ゲートの1つの効果である。従って、G* 点の電位
は更に低下し、より多くの電子注入が引き起こされ、こ
れに伴なって更に多くの正孔電流がアノード電極7及び
アノード領域1から供給される。これによって、サイリ
スタはラッチアップ状態となる。ラッチアップ状態では
* 点の電位は低下し、アノード・カソード間には電子
に対するチャネルが形成される。一方、正孔に対する電
位障壁は増大するため第1ゲート,第2ゲート間には結
果的に高い電位障壁が形成される。
【0027】即ち、第1ゲート,第2ゲート間には正孔
電流は実質的に流れない状態が形成される。従って、サ
イリスタがオン状態にある時には、カソード2からの電
子はアノード領域1,アノード電極7へと流れ、一方ア
ノード側からの正孔は主として第1ゲート31(カソー
ド短絡されたゲート)とカソード領域2に分担されて流
入している。
【0028】次にサイリスタのターンオフ動作を説明す
る。制御ゲート32の電極9に負電圧を印加すると、第
2ゲート32より高抵抗層領域5中に広がる空乏層幅W
2 が増大し、G* 点近傍の電位障壁高さが高くなる。こ
れによってアノード領域1からカソード領域2及び第1
ゲート領域31に流入していた正孔電流の一部分は負バ
イアスされた第1ゲート領域32に流入し、制御ゲート
電極9に流入する。しかし、第1ゲート領域から第2ゲ
ート領域にバイパスされて流入する正孔電流量は、第1
ゲート(短絡ゲート)に流れている総正孔電流量に比べ
て極めて小さい。むしろ、第2ゲートに印加された負バ
イアス電圧によって、G* 点近傍の電位障壁高さが即座
に上昇するため、カソード2からの電子注入が停止す
る。この状態でアノード側から流入している正孔電流の
大部分は第1ゲート(短絡ゲート)31を流れている
が、この量もしだいに低下する。カソード2に流入して
いた正孔電流は負バイアスされた第2ゲート(制御ゲー
ト)32に流れる。従って、制御ゲート(第2ゲート)
32が制御すべき正孔電流は、総正孔電流が分割ゲート
構造によって第1ゲートと分担されているため、共通ゲ
ートの場合に比べて極めて小さな電流でよい。また分割
ゲート構造を採用しているため、ゲートからの注入正孔
量も少ないことから少数キャリア(正孔)の蓄積効果も
抑制される。
【0029】ゲート負バイアスによってG* 点の電位障
壁高さが復帰してカソード2から電子注入も停止された
後のアノード側からの正孔流入を停止させるためにはア
ノード側近傍の蓄積電子を構造的、もしくはライフタイ
ム制御によって消滅させるとともに、アノード1からの
正孔注入を停止させる構造(例えばSIアノードショー
ト,ダブルゲート構造等)を採用するか或いは正孔のラ
イフタイム制御を行なうとよい。
【0030】第1ゲート31は常にカソード領域2と電
気的に短絡されているため、第1ゲート31近傍の正孔
は第1ゲート31によって吸収されやすい。従って、カ
ソード近傍でしかも第1ゲート近傍における正孔の蓄積
効果は少ない。更に第1ゲートとカソード間には電位差
がないことから第1ゲート・カソード間に広がる空乏層
幅は実質的に一定となり、容量変化は少ない。従って、
スイッチングに寄与する容量は第2ゲートとカソード間
の容量の方が顕著である。一方、第1ゲートからアノー
ド側に広がる空乏層幅W1 はアノード領域の電圧状態に
よって大きく変化する。この変化に伴なう第1ゲート・
アノード間の容量も大きく変化するが、この影響がカソ
ード側に帰還する効果を抑制することが望ましい。
【0031】上記に開示された発明のカソード短絡構造
を有する静電誘導サイリスタは正孔の吸収領域としての
第1ゲート(短絡ゲート)の効果によって、制御ゲート
(第2ゲート)によって制御されるアノード・カソード
間の可制御電流を実質的に増大化することができる。従
って可制御電流破壊耐量の上昇を期待できる。また制御
ゲートからの正孔注入量は小さく、また短絡ゲートの効
果によってカソード近傍のオン状態における蓄積キャリ
ア(正孔)も共通ゲート構造の場合に比べて実質的に低
減化されている。従って、ターンオフ時に制御ゲートに
吸収すべき正孔量も極めて小さくてよい。従って、ター
ンオフ状態の改善が期待される。またゲート入力容量の
低減化に伴なってターンオンスイッチング性能が改善さ
れる点も分割ゲートの効果として期待される。
【0032】上記に開示された発明の分割ゲート型カソ
ード短絡構造を有する静電誘導サイリスタによれば、チ
ャネルの集積化密度が高いために面積効率が増大し、少
数キャリアの蓄積効果が抑制されてスイッチング速度が
速く、カソード短絡の効果によって可制御耐量の増大し
たサイリスタ素子を実現することができる。分割ゲート
構造はプレーナ,埋込み,切込み或いはダブルゲート構
造のそれぞれにおいて形成することができ、中小電力用
から大電力用途或いは高耐圧集積回路用途等に適用する
ことができる。
【0033】しかるに、第1ゲート及び第2ゲートをと
もにpn接合ゲートで形成する構造の場合、第1ゲート
と第2ゲートの機能を分離する上で上述の如く、不純物
密度差を設ける、構造的寸法に変化を持たせる等の工夫
が必要となる。一方、サイリスタではアノード領域から
の注入正孔を吸収する領域としてのpnゲートとしての
第1のゲート領域は必要不可欠であるが、制御ゲートと
して働く第2のゲート領域は必ずしもpn接合ゲートで
ある必要はない。何故ならば第2のゲート領域の制御ゲ
ートとしての機能は、カソード領域からの電子の注入量
を電位障壁制御する点にあるからである。pn接合ゲー
トによって制御ゲートを形成する場合、制御ゲートから
の正孔注入は余分な少数キャリアの蓄積を引き起こす。
更にまた第1のpn接合ゲートとの間の完全な絶縁分離
を実現することは難しい。即ち、第1のゲートの電位に
よって、第2のゲートの電位が影響を受け制御ゲートに
おける独立した制御性が難しい。
【0034】そこで本発明者らは第1のゲート領域と第
2のゲートとの間にカソード領域を実質的に形成すると
ともに、カソード領域からの電子の注入を絶縁ゲートに
よって制御する新しい構造を提案する。即ち、第2のゲ
ート領域上に絶縁膜を介して形成された絶縁ゲート電極
を制御ゲートとして使用する構造である。この構造によ
って第2のゲート領域と制御ゲート電極間にはMOS絶
縁層が介在されるため、制御ゲート電極からの少数キャ
リアの注入効果が実質的に抑制される。電子のチャネル
領域は第1ゲート領域と第2ゲート領域に挟まれた高抵
抗層領域であり、MOSゲート電極が制御電極となるこ
とから制御ゲート電極に与えた電圧パルスの第2ゲート
領域への容量結合駆動によってチャネルが形成されるた
め制御性は極めて良好となる。しかも構造は極めて簡単
である。第1ゲート領域と第2ゲート領域間の高抵抗層
領域は実質的に空乏化され、MOSゲート電極に印加さ
れる電圧によって静電誘導効果によって制御可能な電位
障壁が形成されている。この場合、第2ゲート領域の電
位は第1ゲート領域の電位によって静電誘導的に容量結
合によって制御されうるであろう。しかし、MOSゲー
ト電極と第1のゲート領域は第2のゲート領域上に絶縁
層が介在されるため、容量結合によってパルス性の変位
電流が流れるのみであって、導通電流は存在しないため
実質的にほぼ完全な絶縁分離が実現されている。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カソ
ード側近傍における少数キャリア(正孔)の蓄積効果が
抑制されて高速なターンオフ性能が得られ、可制御耐量
が向上し、高速スイッチング性能が得られ、かつ比較的
構造が簡単でかつカソード短絡ゲートと制御ゲート電極
間の絶縁分離性の向上した分割ゲート型カソード短絡構
造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタを提供するこ
とにある。
【0036】本発明の別の目的は、チャネルを囲むゲー
トを2つに分割し、第1のゲートをカソード領域と電気
的に短絡したカソード短絡ゲートとし、第1のゲート領
域と第2のゲート領域との間にはカソード領域を形成し
かつ第2ゲート領域上に絶縁層を介して絶縁制御ゲート
電極を形成してカソード領域からの電子注入を絶縁制御
可能とすることによって第1ゲートと制御ゲート電極と
の間の絶縁分離性を向上し、従来例に比べて比較的構造
が簡単でチャネルの集積化密度が高くて面積効率が増大
し、少数キャリアの蓄積効果が抑制されてスイッチング
速度が速く、かつカソード短絡の効果によって可制御耐
量の向上した分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶
縁ゲート静電誘導サイリスタを提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明において分割ゲー
トとは、チャネル領域を囲むゲート領域が複数の領域に
分割されたゲートを云う。静電誘導サイリスタにおいて
は、ゲート領域はpn接合ゲート領域のみならず、MI
Sゲート領域、ショットキーゲート領域も含まれるた
め、分割ゲートとは上記の各ゲートが分割されている場
合を含む。更に、分割された一方のゲートがpn接合ゲ
ート、他方のゲートがMISゲート或いはショットキー
ゲートである等の異種ゲートの組み合わせであってもよ
い。この場合には構造的な分割のみならず、ゲートの機
能的な分割となる。特に制御(コントロール)ゲートを
MISゲート構造シールディング(短絡)ゲートをpn
接合ゲートとする本発明の主要な実施例の場合には短絡
ゲートと制御電極間の絶縁効果を高めることができる点
が特徴である。更にカソード側のみならず、アノード側
において正孔の制御ゲートを分割ゲート構造とし、一方
のゲートに対してアノード短絡構造を形成してもよい。
この場合には分割ゲート型短絡構造を有するダブルゲー
ト静電誘導サイリスタとなるであろう。このようなダブ
ルゲート静電誘導サイリスタにおいては、第1ゲートを
カソード短絡構造を有する分割ゲート構造として形成
し、第2ゲートをアノード短絡構造を有する分割ゲート
構造として形成することもできる。
【0038】従って、本発明の構成は以下に示す通りで
ある。即ち、本発明は高抵抗層領域を挟んで設けられた
アノード領域、カソード領域、制御領域を具備するサイ
リスタであって、前記制御領域は互いに分割された第1
のゲート領域と第2のゲート領域を含み、前記カソード
領域は前記第1のゲート領域と第2のゲート領域との間
に実質的に形成され、第1のゲート領域に接触するシー
ルドゲート電極と前記カソード領域に接触するカソード
電極は電気的に短絡されてカソード短絡構造を形成し、
前記第2のゲート領域上には絶縁層を介して絶縁ゲート
のコントロール電極が形成されて、該コントロールゲー
ト電極に印加される電圧によってカソード領域とアノー
ド領域間に流れる電流が制御され、前記カソード領域の
近傍の前記高抵抗層中において前記カソード領域と短絡
された第1のゲート領域と前記高抵抗層間の拡散電位に
よって広がる第1の空乏層と、第2のゲート領域と前記
高抵抗層間の電位によって広がる第2の空乏層が形成さ
れるとともに、両空乏層は実質的に接触して前記第1の
ゲート領域の電位によって前記第2のゲート領域の電位
が容量結合的に制御可能にされて、アノード領域より注
入された正孔の一部は前記第1のゲート領域を介して、
シールドゲート電極と短絡したカソード電極に流入する
ことを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る絶縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構成を有す
る。
【0039】或いはまた、高抵抗層領域を挟んで設けら
れたアノード領域、カソード領域、制御領域を具備する
サイリスタであって、前記制御領域は互いに分割された
第1のゲート領域と第2のゲート領域を含み、前記カソ
ード領域は前記第1のゲート領域と第2のゲート領域と
の間に実質的に形成され、第1のゲート領域に接触する
シールドゲート電極と前記カソード領域に接触するカソ
ード電極は電気的に短絡されてカソード短絡構造を形成
し、前記第2のゲート上には絶縁層を介して絶縁ゲート
のコントロール電極が形成されて、該絶縁ゲートのコン
トロールゲート電極に印加される電圧によってカソード
領域とアノード領域間に流れる電流が制御され、前記カ
ソード領域の近傍の前記高抵抗層中において前記カソー
ド領域と短絡された第1のゲート領域と前記高抵抗層間
の拡散電位によって広がる第1の空乏層と、第2のゲー
ト領域と前記高抵抗層間の電位によって広がる第2の空
乏層が形成されるとともに、前記第1の空乏層と前記第
2の空乏層が互いに実質的に接触し、前記第2のゲート
領域上に絶縁ゲートを介して印加されるコントロールゲ
ート電極の電圧によって静電誘導効果によって制御可能
な電位障壁が前記第1の空乏層と第2の空乏層が接する
高抵抗層領域近傍に形成され、アノード領域より注入さ
れた正孔の一部は前記第1のゲート領域を介して、シー
ルドゲート電極と短絡したカソード電極に流入すること
を特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶
縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0040】或いはまた、前記第1のゲート領域と前記
第2のゲート領域との間に挟まれた高抵抗層領域内には
カソード領域が形成されるとともに前記カソード領域と
同一導電型の補助カソード領域が前記第2のゲート領域
内に包含され、該補助カソード領域と前記カソード領域
との間には第2ゲート領域及び第2ゲート領域上に形成
された絶縁層を介するコントロールゲート電極によって
実質的な絶縁ゲートトランジスタが形成され、前記補助
カソード領域から注入された電子は前記カソード領域に
蓄積されるとともに、第1のゲート領域及び第2のゲー
ト領域から広がる空乏層によって、静電誘導効果によっ
て制御される電位障壁が前記カソード領域の前面の高抵
抗層中に形成されることを特徴とする分割ゲート型カソ
ード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタと
しての構成を有する。
【0041】或いはまた、前記コントロールゲート電極
は第1ゲート領域と第2ゲート領域に挟まれた高抵抗層
上及び第1ゲート領域の一部分上まで絶縁層を介して延
在されて、第1ゲート領域と第2ゲート領域との間に実
質的な制御ゲートトランジスタが形成されることを特徴
とする分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲー
ト静電誘導サイリスタとしての構成を有する。。
【0042】或いはまた、前記第2のゲート領域の電位
は前記第1のゲート領域の電位によって制御可能になさ
れているとともに、前記第2のゲート領域は更に前記カ
ソード領域と、カソード電極によって電気的に短絡され
ていることを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造
を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構成を
有する。
【0043】或いはまた、前記第1のゲート領域は前記
第2のゲート領域と比較して相対的に大きな領域として
形成されることを特徴とする分割ゲート型カソード短絡
構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構
成を有する。
【0044】前記第1のゲート領域は前記第2のゲート
領域よりも高い不純物密度を有することを特徴とする分
割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
導サイリスタとしての構成を有する。
【0045】或いはまた、前記第1のゲート領域は、同
一導電型で第2のゲート領域に比べて深く形成された中
低濃拡散領域と、前記中低濃度拡散領域中に形成された
高濃度拡散領域、とを含むことを特徴とする分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタとしての構成を有する。
【0046】或いはまた、前記第1のゲート領域は第2
のゲート領域に比べ相対的に深くかつ幅広く形成される
ことを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る絶縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構成を有す
る。
【0047】前記第1のゲート領域及び第2のゲート領
域はいずれもプレーナ構造に形成されることを特徴とす
る分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
電誘導サイリスタとしての構成を有する。
【0048】或いはまた、前記第1のゲート領域、前記
第2のゲート領域の一方もしくは両方がともに埋込みゲ
ート構造を有することを特徴とする分割ゲート型カソー
ド短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタとし
ての構成を有する。
【0049】或いはまた、前記第1及び第2のゲート領
域はその一方もしくは両方がともに切込み構造を有する
ことを特徴とする分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る絶縁ゲート静電誘導サイリスタとしての構成を有す
る。
【0050】或いはまた、前記カソード領域、アノード
領域、第1及び第2のゲート域はいずれも同一主表面近
傍に形成される横型構造を有することを特徴とする分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタとしての構成を有する。
【0051】
【作用】図1は本発明の第1の実施例としての分割ゲー
ト型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイ
リスタの模式的な素子断面構造図であって、同時に動作
原理図に対応している。図1において、1はアノード領
域、2はカソード領域、31は第1のゲート領域であっ
てカソード短絡ゲート或いはシールディングゲートと呼
ばれる領域である。32は第2のゲート領域であって第
1のゲート領域31との間にカソード領域2を含む。9
は第2のゲート領域32上にゲート酸化膜36を介して
形成された制御ゲート電極或いはコントロールゲート電
極と呼ばれる領域である。5は高抵抗層領域、7はアノ
ード電極、8はカソード電極、10はカソード短絡電極
である。11は酸化膜(SiO2 )である。10のカソ
ード短絡電極はカソード短絡ゲート(シールディングゲ
ート)の電極であり、実質的にカソード電極8と短絡し
ている。
【0052】31,32のゲート領域は原理的にはpn
接合ゲートであっても、MIS(MOS)ゲートであっ
ても、或いはショットキーゲートであっても、或いはま
たヘテロ接合ゲートであってもよいことはもちろんであ
る。要はカソード2アノード1間に流れる電流を静電誘
導効果によって制御できるゲート構造であればよい。そ
のための構造として本発明においては第2ゲートそのも
のを制御ゲートとするのではなく、第2ゲート上に絶対
層を介して制御ゲート電極を形成する絶縁ゲート構造を
採用する。図1においてW1 は第1のゲート31の周囲
に広がる空乏層の幅を示し、W2 は第2のゲート32の
周囲に広がる空乏層の幅を示している。G* は云わゆる
イントリンシックゲート(真のゲート)点と呼ばれる点
であって、静電誘導障壁高さの頂点に対応している。G
* 点近傍の電位障壁はカソードに存在する電子に対する
障壁であると同時に、第1ゲート、第2ゲートに存在す
る正孔に対しても電位障壁となっている。例えばサイリ
スタがオフ状態にある場合には、G* 点近傍にはカソー
ドに存在する電子に対して充分な高さの電位障壁が形成
されるとともに、第1ゲート31及び第2ゲート32に
存在する正孔に対しても電位障壁となっている。従っ
て、オフ状態においてはアノードカソード間に電子電流
は導通せず、かつ第1ゲート31、第2ゲート32間に
も正孔電流は導通していない。
【0053】図1において第2ゲート32上に絶縁層3
6を介して形成された制御ゲート電極9に正の電圧を印
加してG* 点の電位障壁高さを低下させるに従ってカソ
ード領域2からの電子注入が開始される。第2ゲート領
域32からの正孔注入も絶縁ゲートからの変位電流とし
てわずかに行なわれるが、その後のアノード1からの正
孔注入量に比べてその量はわずかである。しかも分割ゲ
ートの効果及び絶縁ゲートの効果として共通pn接合ゲ
ートの場合に比べて、ゲートからの注入量も極めて小さ
いため、ゲートの蓄積効果が極めて少ない。これが分割
ゲートの1つの効果となっている。またG* 点近傍には
正孔に対する電位障壁が存在するため、また、第2ゲー
ト32から第1ゲート31へ流れる正孔電流は容量結合
に伴なう変位電流が主であり、実質的な導通電流は極め
て小さい。絶縁制御ゲート電極9に印加される正電圧に
よって第2ゲート領域32も容量結合的に正電位に上昇
し、これに伴なって空乏層幅W2 も短くなる。上記電子
注入を引き起こすとともにアノード,カソード間には電
子に対する導通チャネルが形成される。従って、カソー
ド2内の電子は高抵抗層5中に注入され、更にアノード
側に流入する。カソード2から注入された電子がアノー
ド領域1と高抵抗層領域5との界面近傍に蓄積されアノ
ード領域1に存在する正孔に対する電位障壁高さを低下
させるにつれて、アノード領域1からの正孔注入が開始
される。アノード領域1から注入された正孔電流の大部
分はカソード領域2に電気的に短絡されている第1ゲー
ト31に流入し、残りは第2ゲート32に流入する。第
1ゲート及び第2ゲートに流入する割合は、第1ゲート
と第2ゲートの相対的な電位差等のポテンシャル分布の
形状、第1ゲートと第2ゲートの面積比或いは幾何学的
な深さ等の形状等によって決定される。第2ゲートが第
1ゲートに比べて正の電位に保持されている場合には、
第1ゲートに流入する正孔量の方が実質的に多くなるこ
とが予想される。これは第1ゲートの方が正孔に対する
電位が低く実質的に正孔を蓄積しやすい状態にあるから
である。しかるに、制御ゲート電極9をその上に形成す
る第2ゲートは実質的な静電容量が小さくなっているた
め相対的に小さな流入正孔電流によって充電されやす
い。これが分割ゲートの1つの効果である。従って、G
* 点の電位は更に低下し、より多くの電子注入が引き起
こされ、これに伴なって更に多くの正孔電流がアノード
電極7及びアノード領域1から供給される。これによっ
て、サイリスタはラッチアップ状態となる。ラッチアッ
プ状態ではG* 点の電位は低下し、アノード・カソード
間には電子に対するチャネルが形成される。一方、正孔
に対する電位障壁は増大するため第1ゲート,第2ゲー
ト間には結果的に高い電位障壁が形成される。
【0054】即ち、第1ゲート,第2ゲート間には正孔
電流は実質的に流れない状態が形成される。従って、サ
イリスタがオン状態にある時には、カソード2からの電
子はアノード領域1,アノード電極7へと流れ、一方ア
ノード側からの正孔は主として第1ゲート31(カソー
ド短絡されたゲート)と第2ゲートを介してカソード領
域2に分担されて流入している。尚、本発明の分割ゲー
ト型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイ
リスタのオン状態には2通り存在する。即ち、上述の如
きラッチアップモードとノンラッチアップモードであ
る。ラッチアップモードの場合にはターンオン時にMO
Sゲート電極に印加された正電圧が切れてゼロバイアス
状態に戻っても主サイリスタのオン状態は維持される。
即ち、云わゆるサイリスタモードである。一方、ノンラ
ッチアップモードの場合には、ターンオン時にMOSゲ
ート電極に印加された正電圧が切れてゼロバイアス状態
に戻った場合主サイリスタのオン状態は維持されない。
即ち、云わゆるトランジスタモードとなる。従って、ノ
ンラッチアップモードの場合には主サイリスタのオン状
態を維持するためにはMOSゲート電極には正電圧を印
加し続けなければならない。特に第2ゲート領域32が
フローティング状態になされ、n+ カソード領域2もし
くは補助カソード領域21と電気的に短絡されていない
構造(例えば、図1,図3,図5,図7,図11,図1
3,図14,図15,図16,図17,図18,図1
9,図20)の場合には主としてラッチアップモードの
動作となり、一方、第2ゲート領域32がn+ カソード
領域2もしくは補助カソード領域21と電気的に短絡さ
れている構造(例えば、図6,図9)の場合には主とし
てノンラッチアップモードの動作となる。またラッチア
ップモードの素子においてもターンオン状態を確実に維
持するためにMOSゲート電極9に正の電圧を維持し続
けてもよいことはもちろんである。
【0055】次にサイリスタのターンオフ動作を説明す
る。第2ゲート32の上のMOSゲート電極9に負電圧
を印加すると、第2ゲート32より高抵抗層領域5中に
広がる空乏層幅W2 が増大し、G* 点近傍の電位障壁高
さが高くなるとともにカソードアノード間のチャネルも
遮断される。これによってアノード領域1からカソード
領域2及び第1ゲート領域31に流入していた正孔電流
の一部分は負方向にバイアスされた第2ゲート領域32
に流入する。しかし、第1ゲート領域から第2ゲート領
域にバイパスされて流入する正孔電流量は、第1ゲート
(短絡ゲート)に流れている総正孔電流量に比べて極め
て小さい。むしろ、第2ゲート上のMOS制御ゲート電
極9に印加された負方向のバイアス電圧によって、G*
点近傍の電位障壁高さが即座に上昇するため、カソード
2からの電子注入が停止する。この状態でアノード側か
ら流入している正孔電流の大部分は第1ゲート(短絡ゲ
ート)31を流れているが、この量もしだいに低下す
る。カソード2に流入していた正孔電流は負方向にバイ
アスされた第2ゲート上のMOSゲート電極9の効果で
しだいに減少する。従って、制御ゲート電極9が制御す
べき正孔電流は、総正孔電流が分割ゲート構造によって
第1ゲート及び第2ゲートと分担されているため、共通
ゲートの場合に比べて極めて小さな電流でよい。また絶
縁ゲート構造を有する分割ゲート構造を採用しているた
め、ゲートからの注入正孔量も極めて少ないことから少
数キャリア(正孔)の蓄積効果も実質的に抑制される。
【0056】更に本発明の分割ゲート型カソード短絡構
造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの動作を説明
する。第1ゲート(短絡ゲート)と第2ゲートとの間に
は高抵抗層領域5が介在されているが、第1ゲート及び
第2ゲートからそれぞれ広がる空乏層が互いに接触して
いることから、第2ゲートの電位は第1ゲートの電位に
よって静電誘導的に制御可能となっている。第2ゲート
領域はカソード領域2と電気的に短絡されていてもよい
し、或いはまた電気的にフローティング状態になされて
いてもよい。フローティング状態になされている場合に
はアノード側から注入された正孔の一部が第2ゲートに
蓄積されてカソード領域(2)からの電子注入を促進さ
せる効果が高い。カソード領域2と第2ゲート32が電
気的に短絡されている場合には、第2ゲート32へ蓄積
された正孔は短絡電極に吸収される。従って、n+ カソ
ード領域2からの電子注入はMOSゲート電極9による
MOSキャパシタドライブ(駆動)及び後述する等価的
なnMOSFETドライブによって主として制御され、
第2ゲート32内に蓄積される正孔の効果は低い。
【0057】尚、本発明の分割ゲート型カソード短絡構
造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタのターンオン
動作を以下に補足する。図1に図示する原理的な構造図
において後述する補助カソード領域21(図3)を考慮
する場合にも、或いは考慮しない場合にも適用できるタ
ーンオン動作は、MOSゲート電極9に印加する正の電
圧によって容量結合的に第2のゲート領域(p)(3
2)を正にパルス的に駆動することである。このような
MOSキャパシタによる駆動モードによって第2のゲー
ト領域32は正にパルス的に駆動され、従ってp(3
2)n- (5)接合が順方向にバイアスされることにな
る。第1ゲート31と第2ゲート32間にノーマリオフ
の条件設定がなされていても第2ゲート32の正バイア
ス駆動によってアノード・カソード間にチャネルが形成
される。従って、n+ カソード領域2からMOSゲート
界面もしくは深いチャネルを通ってn- 層5に流入した
電子は容易に低下された電位障壁高さを越えてアノード
側に注入されることになる。このようなMOSキャパシ
タ結合によるターンオン駆動モードを確実に行なうため
には、MOSキャパシタ容量を大きく取ることが重要と
なる。即ち、制御ゲート電極9と第2ゲート32間のM
OSキャパシタを大きく設定する。例えばゲート酸化膜
36の厚さを薄くする、MOSキャパシタの実効面積を
広くする、酸化膜として強誘電体材料を使用する等々で
ある。上記の動作モードにおいて第2ゲート領域32は
+ カソード領域2と電気的に短絡されていても、或い
はフローティングになされていてもよい。
【0058】上記動作モードにおいてターンオンゲート
パルスが切れた時、第2ゲート領域32は実質的負に帯
電されている。これは第2ゲート(32)からの正孔注
入に伴なって注入された正孔量に対応して第2ゲート3
2に負の電荷が帯電するからである。従って第2ゲート
は負バイアスとなることから、カソード2からの電子の
注入は阻止される方向となる。しかし、ラッチアップモ
ードの場合には圧倒的に多くの正孔電流が第2ゲート領
域にも流入してくるため、主サイリスタのオン状態は維
持される。一方、ノンラッチアップモードの場合には主
サイリスタをオフする方向に働く。更に確実に主サイリ
スタをターンオフするには制御電極9に負のパルスを印
加すればよい。
【0059】制御ゲート電極9に対する負バイアスによ
ってG* 点の電位障壁高さが復帰してカソード2から電
子注入も停止された後のアノード側からの正孔流入を停
止させるためにはアノード側近傍の蓄積電子を構造的、
もしくはライフタイム制御によって消滅させるととも
に、アノード1からの正孔注入を停止させる構造(例え
ばSIアノードショート,ダブルゲート構造等)を採用
するか或いは正孔のライフタイム制御を行なうとよい。
【0060】第1ゲート31は常にカソード領域2と電
気的に短絡されているため、第1ゲート31近傍の正孔
は第1ゲート31によって吸収されやすい。従って、カ
ソード近傍でしかも第1ゲート近傍における正孔の蓄積
効果は少ない。更に第1ゲート31とカソード2間には
電位差がないことから第1ゲート・カソード間に広がる
空乏層幅は実質的に一定となり、容量変化は少ない。従
って、スイッチングに寄与する容量はMOSゲート容量
と第2ゲートとカソード間の容量及び第2ゲートと高抵
抗層間の容量が顕著である。一方、第1ゲートからアノ
ード側に広がる空乏層幅W1 はアノード領域の電圧状態
によって大きく変化する。この変化に伴なう第1ゲート
・アノード間の容量も大きく変化するが、この影響がカ
ソード側に帰還する効果を抑制することが望ましい。
【0061】本発明のカソード短絡構造を有する絶縁ゲ
ート静電誘導サイリスタは正孔の吸収領域としての第1
ゲート(短絡ゲート)の効果によって、第2ゲート上の
MOS制御ゲート電極によって制御されるアノード・カ
ソード間の可制御電流を実質的に増大化することができ
る。従って可制御電流破壊耐量の上昇を期待できる。ま
たMOS制御ゲート電極からの正孔注入量は実質的に極
めて小さく、また短絡ゲートの効果によってカソード近
傍のオン状態における蓄積キャリア(正孔)も共通ゲー
ト構造の場合に比べて実質的に低減化されている。従っ
て、ターンオフ時に制御ゲートに吸収すべき正孔量も極
めて小さくてよい。従って、ターンオフ状態の改善が期
待される。またMOSゲート構造の導入によりゲート入
力容量の低減化に伴なってターンオンスイッチング性能
が改善される点も分割ゲートの効果として期待される。
更に、短絡ゲートと制御ゲート電極との間を完全に絶縁
分離できることから、制御ゲートによる電流制御を短絡
ゲートとは完全に独立して行なうことができるという特
徴を有する。
【0062】
【実施例1】図1の構造は本発明の原理図であったが、
第1ゲート31及び第2ゲート32をともにpn接合ゲ
ートとして形成し、アノード領域1をp+ 領域として形
成することによってプレーナゲート構造の実施例(実施
例1)となる。即ち、図1は本発明の第1の実施例とし
ての分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート
静電誘導サイリスタの模式的断面構造図である。実施例
1では後述する補助カソード領域21は積極的には形成
しない例である。カソード領域2は第1のゲート領域3
1と第2のゲート領域32とのほぼ中央に形成されてい
る。カソード領域2はストライプ形状或いはドット形状
等を有する。一方、第1ゲート31及び第2ゲート32
はプレーナゲート構造として、同一形状にてボロン等の
拡散もしくはイオン注入によって、分割形成されてい
る。図1の構造例では制御ゲート電極9をその上に具え
る第2のゲート32によって制御されるチャネル幅は共
通ゲートの場合に比べて約半分となる。従って、ターン
オン過程においてカソード領域2から注入される電子電
流量は共通ゲートの場合に比べて小さくなる。しかしな
がら、静電誘導サイリスタのトリガ感度(ターンオン時
の電流利得)は非常に高いため、アノード側からの必要
な正孔電流を引き出すのに必要な電子電流量はわずかで
良い。従って、ターンオン時間にあまり影響を与えるこ
となく充分にターンオン性能を確保することができる。
図1の例ではp領域(32)は、カソード領域2とは電
気的に短絡されてはいない。
【0063】図1における特徴的な構造は制御ゲート電
極9にある。制御ゲート電極9は原理的には第2のゲー
ト領域32との間にMOSキャパシタ構造を形成する構
成となっていればよい。即ち、制御ゲート電極9に印加
された正の電圧パルスの容量結合によって第2のゲート
領域32が正電位となり、空乏層幅W2 を減少させ、或
いはG* 点(イントリンシックゲート点)における静電
誘導障壁高さを低下させる。これに伴なってn+ カソー
ド領域2からアノード側のn- 高抵抗層5中に充分な量
の電子が注入され、n- 高抵抗層5とアノード領域1の
界面に蓄積される。これに伴なってアノード領域1から
正孔が高抵抗層中に注入される。アノード領域1から流
入する正孔は一部分は第2のゲート領域32に蓄積され
て結果的にMOSキャパシタを充電し、更に多くの電子
注入を引き起こす。残りの正孔はn+ カソード領域2と
短絡された第1のゲート領域31及びカソード短絡ゲー
ト電極10に流入する。また第2のゲート領域32に蓄
積された正孔の一部分はn+ カソード領域2に流入し、
カソード電極8へと流入する。第2ゲート領域32の電
位が正方向に高くなるにつれて、第1ゲート領域31と
の間に電位差が生ずる。従って、この場合には第2ゲー
ト領域32に蓄積された正孔の一部分は第1ゲート領域
31へも流入するであろう。特に空乏化されたG* 点近
傍が第2ゲート32と第1ゲート31間の正孔電流の実
質的なチャネル領域となっている。
【0064】図1の構造上制御ゲート電極9が第2ゲー
ト領域32との間でMOSキャパシタ容量を形成する場
合、その値はできるだけ大きい方が望ましい。容量結合
によって第2ゲート領域32に生ずる電位をできるだけ
大きくすることが制御性の点で望ましいからである。更
にMOS制御ゲート電極9を図1に示すようにn+ カソ
ード領域2の端部から第2のゲート領域32を横断して
高抵抗層領域5までにわたって絶縁層36を介して延在
させた場合には、単純なMOSキャパシタ結合ドライブ
(駆動)の効果のみならずn+ (2)n- (5)p(3
2)n- (5)構造からなる横方向のnチャネルMOS
FETのnMOSチャネル(図1)が形成されることに
よって、MOSトランジスタを介してn+ カソード領域
(2)の電子が高抵抗層(5)中に注入されるという効
果も存在する。
【0065】MOSゲート電極9は第2ゲート領域32
上のみならず、必要に応じてn+ カソード領域2の一
部、或いは第1のゲート領域31上にも形成されていて
もよい。このような構造を採用することによって、MO
Sキャパシタドライブ(駆動)を容易にすることがで
き、また等価nMOSFETを第1のゲート領域31を
横断する構造として形成することもできるからである。
【0066】ターンオフ時にはMOSゲート電極9に対
して負方向の電圧パルスを印加すればよい。負方向の電
圧パルスの容量結合によって第2のゲート領域32の電
位は負となり、G* 点の電位障壁高さも電子注入を阻止
する方向に持ち上がることになる。等価的なnMOSF
ETのnMOSチャネルも遮断され、nMOSチャネル
を介する電子注入も阻止される。G* 点の電位障壁高さ
が高くなればなるほどn+ カソード領域2からの電子注
入は阻止されると同時に、第1ゲート領域31、第2ゲ
ート領域32間の正孔に対する静電誘導電位障壁高さ
(G* 点に存在)は低くなる。オン状態で印加されてい
た正のゲートパルスが切れると結果的に第2のゲート領
域32は負に帯電する。これは正の電圧パルスによって
高抵抗層5中に注入された正孔量に関係している。第2
のゲート領域32が負に帯電するとG* 点の電位は上昇
してサイリスタをオフする方向に働く。しかしラッチア
ップモードの場合には圧倒的に多くの正孔電流が第2ゲ
ート領域にも流入してくるため、主サイリスタのオン状
態は維持される。一方ノンラッチアップモードの場合に
は、この負の帯電主サイリスタをオフする方向に働く。
同時に正孔に対するG* 点の電位が低下するため第1ゲ
ート領域31から正孔が注入されやすくなる。結果的に
平衡状態に達して、第1ゲート31、第2ゲート32間
に正孔電流が流れず、n+ カソード領域2からも電子注
入が起こらないというサイリスタのオフ状態に到達す
る。
【0067】図2は図1に示した分割ゲート型カソード
短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式
的回路表現である。pn接合ゲート(SG)によるカソ
ード短絡ゲートのSIサイリスタとMOSゲートSIサ
イリスタが並列に接続されているものとして表現するこ
とができる。nMOSチャネルはn(2)p(32)n
- (5)によるMOS界面のチャネルを表わしている。
【0068】尚、図1の構造例ではアノード領域1は均
一な層として形成された例が示されているが、これは構
造を簡単化して実施例を明瞭化するためである。アノー
ド側の領域についてはアノード短絡構造、SI短絡構造
(特開平1−93169号公報)、バッファを有する構
造、SIバッファを具える構造(特願平4−11414
0号、ドリフトバッファを具える構造(特願平4−14
4887号)、或いは更にプレーナもしくは埋込み構造
等によるダブルゲート構造が形成されていてもよいこと
はもちろんである。
【0069】
【実施例2】図3は本発明の第2の実施例としての分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタの模式的断面構造図である。図3の構造例に
おいては、第1のゲート31と第2のゲート32との間
の機能を分離するために不純物密度差を設けている点と
第2ゲート領域32内に補助カソード領域21を設けた
点に特徴を有する。即ち、カソード短絡ゲートとして機
能する第1のゲート(Shielding Gate) 31をp++領域
として形成し、p領域として形成する第2のゲート領域
(制御ゲート)32との間に不純物密度差を設定すると
ともに、n+ 領域2とp領域32内のn補助カソード領
域21をカソード電極8にて共通に接続している。第1
のゲート領域31の不純物密度を高く設定する理由は、
第2ゲート(32)と高抵抗層(5)間の拡散電位に比
べて、第1ゲート(31)高抵抗層(5)間の拡散電位
を高くすることができ、これに伴なって、カソード面近
傍の少数キャリア(正孔)は、より多く第1ゲート領域
31に吸収されやすいからである。更にまた、第1ゲー
ト領域31の不純物密度を高く設定することによって、
アノード領域1から注入された正孔電流もより多くは第
1ゲート31へ流入し、結果的に、カソード短絡の効果
が増大することになる。第1ゲート領域31をn+ カソ
ード領域2及び補助カソード領域21と電気的に短絡す
ることによって第1ゲート領域31に吸収される正孔を
効率的に吸収することができる。第2のゲート領域32
はMOS制御ゲート電極9の効果によってカソード領域
2及び補助カソード領域21からの電子注入を制御する
チャネルとなるとともに、第1のゲート領域31に比較
すると相対的に少ない量の正孔電流しかオン、オフ時に
導通しない。また、制御ゲート電極9はMOSであるこ
とから極めて少ないターンオンゲート電流,ターンオフ
ゲート電流によってサイリスタをオンオフすることがで
き、第2ゲート(32)の負担が軽減化されている。図
3の構造的特徴はn補助カソード領域21を第2のゲー
ト領域32内に設定している点である。MOSゲート電
極9をn(2)n- (5)p(32)n(21)p(3
2)n- (5)の各領域を横断してゲート酸化膜36を
介して延在させることによって実質的にチャネル長の短
いnチャネルMOSFETを形成することができる。即
ち、補助カソード領域21が存在しない場合には等価的
なnMOSFETのチャネル長は第2ゲート領域32の
幅に等しい。しかるに第2ゲート領域32内に補助カソ
ード領域21を形成する第2の実施例(図3)において
は、p領域32の幅がn領域21によって減少している
ため、実質的にチャネル長は短く、短チャネル化が実現
されている。MOSゲートチャネルが短チャネル化され
ることから、サイリスタのオンオフ動作において高速化
を図ることができる。更にまた、補助カソード領域21
を設定する効果として、MOSゲート電極9に正の電圧
が印加された状態においてはnMOS界面にnチャネル
の反転層が形成されて、実質的にカソード領域(2,2
1)の面積を大きく設定することができるという点にあ
る。これによって、カソードから注入される電子電流容
量を大きく設定することができ、主サイリスタの電流容
量を大きくすることができる。図3において、もしもM
OSゲート電極9を更に第1ゲート領域31の上まで延
在させ、第1ゲート領域31を横断してnMOSチャネ
ルをn(2)n- (5)p(31)n- (5)間に形成
することもできる。これによって実質的な電子の流れる
チャネルが増加する。
【0070】尚、図3において21はn+ 補助カソード
領域であるが、図3の模式的な回路表現を図4に示す。
基本構造としてはn+ カソード領域2のみが存在すれば
よく、n+ 補助カソード領域21は必要ない。分割ゲー
ト型構造は2つのサイリスタの並列動作として考えるこ
とができる。カソード領域2と補助カソード領域21は
nMOSFETのソース/ドレイン領域と考えることが
できる。動作上はn+補助カソード領域21から高抵抗
層5中に注入された電子はn+ カソード領域2に蓄積さ
れ、n+ 補助カソード領域21が実際のカソード領域で
あるかのように考えることができる。即ち、n+ 補助カ
ソード領域21は第2ゲート領域32内に含まれている
が、MOSゲート9の働きによって、等価的なMOSF
ETのnチャネル反転層が形成されるならば、補助カソ
ード領域21まで一様なカソード領域が形成されたよう
に考えることができる。このような補助カソード領域2
1が形成されることによって、その後の導通状態はpn
接合ゲートの静電誘導サイリスタと同様に考えることが
できる。MOSゲート構造の効果は第1ゲート(短絡ゲ
ート)31と第2ゲート32上の制御ゲート電極9の間
の絶縁分離をより完全なものとする点にあり、従来のp
n接合ゲートの分割ゲート構造では実現できなかったも
のである。
【0071】図4は前述の如く図3に図示した分割ゲー
ト型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイ
リスタの模式的な回路表現である。pn接合ゲートの静
電誘導サイリスタはゲート(SG,10)をカソード領
域(2)と短絡しており、一方絶縁ゲートの静電誘導サ
イリスタはコントロールゲート(CG,9)(MOS)
によって導通制御される。補助カソード領域21を考え
ることによって、n+(2)p(32)n- (5)n+
(21)の横型構造のnMOSFETが形成されること
がわかる。n+ 補助カソード領域21は更に第2のゲー
ト(32)によって制御される。MOSゲートの静電誘
導サイリスタのカソード領域と考えることができる。ま
た、第1のゲート領域31と第2のゲート領域32間の
高抵抗層領域5は実質的に空乏層されているため、キャ
パシタに示されるように容量的に結合されているものと
考えることができる。
【0072】尚、図3の構造において、MOSゲート電
極9を第1のゲート領域31の上部まで配置することも
できる。この場合には、等価的なnMOSチャネルは第
1のゲート領域を横断する形で形成される。アノード側
の構造としては、アノード短絡構造、バッファ構造、或
いはダブルゲート構造としてもよいことは第1の実施例
の説明と同様である。
【0073】
【実施例3】図5は本発明の第3の実施例としての分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタの模式的断面構造図である。図5の実施例3
では第1,2の実施例に比べて、更に第1ゲートと第2
ゲートとの機能を分離するために第1ゲートをp+ 領域
(31)及びp- 領域(12)の組み合わせによって形
成し、第2ゲートをp領域(32)として形成するとと
もに、第2ゲート32の両側にカソード領域2を設定し
て、第2ゲート32の上に形成されたMOSゲート電極
9によるカソード電流の制御性を増大している。低不純
物密度のゲート領域(p- )(12)の役割は第1ゲー
トを深く形成して、より深く広い領域の正孔を吸収する
ことと、電界緩和層としての働きをする点にある。実施
例3の構造上もアノード領域1には短絡構造、バッファ
構造等を導入してもよいことは明らかである。
【0074】
【実施例4】図6は本発明の第4の実施例としての分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタの模式的断面構造図である。図6はn+ カソ
ード領域2を第1ゲート31と第2ゲート32との間に
形成するとともに、第1ゲート31を第2ゲート32よ
りも高い不純物密度として形成している例である。更に
第2ゲート領域32に対しても第1ゲート領域31及び
カソード領域2と同電位となるようにカソード電極(短
絡ゲート電極)10が接触している。MOSゲート電極
9はn+ (2)n- (5)p(32)n- (5)による
構造上に配置されて、ターンオン時に実質的なnMOS
チャネルが形成される構造となっている。動作上は実施
例1〜3と同様に考えることができる。
【0075】
【実施例5】図7は本発明の第5の実施例としての分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタの模式的断面構造図である。図1に示した第
1の実施例と異なる点は、MOSゲート電極9を第1の
ゲート領域31の上部にもゲート酸化膜36を介して形
成している点である。第2のゲート領域上のMOSゲー
ト電極9と第1のゲート領域上のMOSゲート電極9も
電気的に共通領域として形成されている。このような構
造とすることによって、ターンオン時の電子電流のチャ
ネル領域を増加することができる。即ち、nMOSチャ
ネルの構造が第1ゲート領域31のMOS界面であるn
+ (2)n- (5)p+ (31)n- (5)構造、第2
ゲート領域32のMOS界面であるn+ (2)n
- (5)p(32)n- (5)構造、及び第1ゲート3
1,第2ゲート32に挟まれたSIチャネルとしてのn
+ (2)n- (5)G* - (5)構造に形成されるこ
とになる。
【0076】更に図7の構造上n+ カソード領域2を島
状領域として形成し、第1ゲート領域31と第2ゲート
領域32間にpチャネルのMOSFETが等価的に形成
されている。このpチャネルMOSFETは、特に主サ
イリスタのターンオフ時に有効な働きをする。即ち、タ
ーンオン状態において印加されていたMOSゲート電極
に負方向にパルス電圧が印加されると、上記nMOSチ
ャネルは遮断され、またSIチャネルもオフとなる。一
方、上記pチャネルMOSFETは導通状態となり、第
1ゲート領域31と第2ゲート領域32は同電位とな
り、第2ゲート領域32に蓄積されていた余分な正孔も
短絡ゲート電極10に排出され、電子注入の遮断ととも
に主サイリスタがスイッチオフされる。
【0077】図8は図7に示した分割ゲート型カソード
短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式
的回路表現である。第1ゲート領域31,第2ゲート領
域32間にpチャネルMOSFETが形成されている様
子を示している。またnMOSチャネルが第1ゲート領
域31及び第2ゲート領域32上に形成される様子をM
OSキャパシタ構造で表現している。
【0078】
【実施例6】図9は本発明の第6の実施例としての分割
ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
サイリスタの模式的断面構造図である。図9の構造的特
徴は第2のゲート領域32内に補助カソード領域21を
設定して実質的なnMOSチャネルのチャネル長を短く
し、かつn+ カソード領域(2,21)を広く形成する
とともに、第2ゲート領域32と補助カソード領域21
も電気的に短絡している点にある。図10は図9に示し
た分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
電誘導サイリスタの模式的回路表現である。カソードK
1(2)、K2(21)がそれぞれ第1ゲート領域31
及び第2ゲート領域32と短絡されており、更にK1
(2),K2(21)間にはnMOSFETが形成され
ている。また第2ゲート領域32上にはnMOSチャネ
ルのキャパシタが形成されている。実施例6のように第
2ゲート領域32の電位をカソード短絡ゲート10と同
電位とすることによって第2ゲート領域32内に蓄積さ
れる正孔量はほぼ一定に保持される。従って、第2ゲー
ト領域32がフローティングになされている場合と比較
してターンオン時のトリガ感度は低下する。しかし、n
MOSチャネルの効果によってカソード領域(2,2
1)から注入される電子電流によって、主サイリスタを
トリガすることは充分に可能である。むしろ、第2ゲー
ト領域32が電位的に安定化されることから、誤点弧を
防止し、かつ主サイリスタのスイッチオフが容易となる
という利点もある。図9の実施例6の構造を拡張して実
施例5と同様に、第1ゲート領域31,第2ゲート領域
32間にpMOSFETが形成される構造を導入しても
よいことは明らかである。更に、nMOSチャネルを第
1ゲート領域31を横断するように形成してもよいこと
も明らかである。
【0079】
【実施例7】図11は本発明の第7の実施例としての分
割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
導サイリスタの模式的断面構造図である。図11の構造
的特徴は図7に示した第5の実施例の構造を更に拡張し
て、第2のゲート領域32内にn+ 補助カソード領域2
1を形成した点にある。n+ 補助カソード領域21の効
果によって、n(2)n- (5)p(32)n(21)
構造によって等価的なnMOSFETが形成されるた
め、n(2)p(32)n- (5)間の等価的なnMO
Sチャネルのチャネル長が短くなる。従って、ターンオ
ン時のスイッチングが高速化されるという特徴がある。
第2ゲート領域32の電位は第1ゲート領域31の電位
によって容量的に制御される。更に第1ゲート領域31
と第2ゲート領域32間には等価的なpチャネルMOS
FETが形成されることからターンオフ時にpMOSF
ETが導通して第2ゲート領域内の蓄積正孔がクリアさ
れる点も前述の通りである。第7の実施例のように補助
カソード領域21をフローティング領域として形成して
もターンオン時にはカソード領域2とnMOSFETを
介して導通状態となることから、動作上何ら差支えがな
いことは明らかである。図12は図11に示した分割ゲ
ート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サ
イリスタの模式的な回路表現である。第1ゲート領域3
1,第2ゲート領域32間にはpチャネルMOSFET
が接続され、カソード領域K1(2)、補助カソード領
域K2(21)間にはnチャネルMOSFETが接続さ
れている。更に電気的に共通になされたMOSゲート電
極9によって第1のゲート領域31上及び第2のゲート
領域32上にもnMOSチャネルのキャパシタが形成さ
れている。
【0080】
【実施例8】図13は本発明の第8の実施例としての分
割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
導サイリスタの模式的断面構造図である。図13におい
て第1のゲート領域31は埋込みゲート構造として形成
され、第2のゲート領域32はプレーナゲート構造とし
て形成されている。即ち、第2ゲート領域32はn-
ピタキシャル層14の表面部分にボロン等の拡散もしく
はイオン注入によって形成されている。第2ゲート領域
32上にはゲート酸化膜36を介してMOS制御ゲート
電極9が形成されている。図13より明らかなようにM
OSゲート電極9は第2のゲート領域32の上にMOS
酸化膜36を介して横断する形に延在されており、第2
ゲート領域32の間にはカソード領域2が形成されてい
る。従って、MOSゲート電極9に対して正の電圧パル
スを印加すれば、カソード領域2間には等価的なnチャ
ネルMOSFETが形成されて、電位的に同電位とな
る。即ちn(2)n- (14)p(32)n- (14)
n(2)……から形成されるnMOSチャネルがn-
ピタキシャル層表面に形成されることになる。これらの
カソード領域2は第1ゲート領域31と電気的にカソー
ド短絡電極10によって短絡されている。第1ゲート領
域31の埋込み構造におけるチャネル幅を比較的広く設
定することによって、カソード2から注入された電子は
容易に埋込みチャネルを導通する。従って、所定の電子
電流及び正孔電流が確保されるならば、主サイリスタは
ラッチアップ状態に移向する。オン状態においては、正
孔電流の大部分は第1のゲート領域31に流入し、残り
の正孔電流は第2ゲート領域32を介してカソード領域
2に流入するか直接的にカソード領域2に流入する。主
サイリスタをオフするにはMOSゲート電極9に印加さ
れていた正電圧パルスを切るか負電圧パルスを印加すれ
ばよい。nMOSチャネルは遮断され、第2ゲート32
間のSIチャネルも遮断されて電子注入が阻止される。
従って、正孔電流もしだいに減少し、主サイリスタはオ
フとなる。ターンオフを促進するために第2ゲート領域
32間或いは第2ゲート領域32と第1ゲート領域31
間に等価的なpチャネルMOSFETを形成してもよい
ことは前述の通りである。例えば、MOSゲート電極9
を第1ゲート領域31の上まで延在させる等の構造的拡
張が考えられる。尚、pMOSFETが形成される場合
には第2ゲート領域32の電位は第1ゲート領域31の
電位によって容易に制御可能となる。しかし、等価的な
pMOSFETが形成されない場合でも、第1ゲート領
域31と第2ゲート領域32間を容量的に結合すること
によって、第2ゲート領域32の電位は第1のゲート領
域31の電位によって制御可能となる。従って、第2ゲ
ート領域32内に蓄積される正孔は容易にカソード短絡
ゲート電極10に排出され、動作的に安定である。
【0081】
【実施例9】図14は本発明の第9の実施例としての分
割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
導サイリスタの模式的断面構造図である。図14の構造
的特徴は第2のゲート領域32をU字溝の側壁部及び底
部に形成するとともに、U字溝の側壁部及び底部にMO
Sゲート酸化膜36を形成してMOSキャパシタ容量を
比較的大きく形成し、かつMOS制御ゲート電極9をU
字溝内に形成した点にある。第1ゲート領域31の不純
物密度を第2ゲート領域32の不純物密度よりも高く形
成する理由は前述同様に、正孔電流の吸収量を第1ゲー
ト領域31側に多くするためである。MOSキャパシタ
ドライブ(駆動)によってG* 点の電位が低下し、また
2 の幅が減少して、nカソード領域2からの電子注入
が起こり、主サイリスタをターンオンさせる。ターンオ
フ時にはMOSゲート電極の正電圧を切るか負方向にパ
ルス電圧を加えればよい。これに伴なって、カソード2
からの電子注入は遮断され、しだいに正孔電流も低下し
て主サイリスタはオフする。第2ゲート領域32の電位
は第1ゲート領域31の電位によって容量結合的制御さ
れる点は前述と同様である。
【0082】
【実施例10】図15は第10の実施例としての分割ゲ
ート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サ
イリスタの模式的断面構造図である。図15の構造的特
徴は第1ゲート領域31を埋込み構造、第2ゲート領域
32を実施例9と同様の切込みゲート構造とした点であ
る。第2ゲート領域32及びMOSゲート酸化膜36は
いずれもU字溝の側壁部及び底部に形成され、MOSゲ
ート電極9はU字溝内に形成されている。nカソード領
域2はn- エピタキシャル成長層14の表面に形成され
ている。第1ゲート領域31と第2ゲート領域32間は
それぞれ空乏層(幅W1 ,幅W2 )が形成され、カソー
ド領域2の前面にはG* 点において静電誘導電位障壁が
形成されている。主サイリスタのスイッチ動作は前述と
同様である。
【0083】
【実施例11】図16は本発明の第11の実施例として
の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
電誘導サイリスタの模式的断面構造図である。図16の
構造的特徴は第1ゲート領域31及び、第2ゲート領域
32がともにU字溝の底部に形成されている点である。
即ち、第1ゲート領域31はU字溝の底部より拡散形成
され底部方向及び側壁方向に広がって形成されている。
第2ゲート領域32も同様に形成されるとともに、U字
溝内にゲート酸化膜36を介してMOSゲート電極9を
形成することによって、MOS構造が形成されている。
図16の構造は図1のプレーナ構造を切り込みゲート構
造に変形した例と考えることができる。動作上はMOS
キャパシタドライブ(駆動)によるターンオン動作を行
なっている。ターンオフ動作も前述と同様である。
【0084】
【実施例12,13】図17及び図18はそれぞれ本発
明の第12及び第13の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
の模式的断面構造図を示す。図17及び図18はいずれ
も誘電体分離基板もしくは半絶縁性基板16の中に絶縁
層11を介して形成された単結晶島状領域(高抵抗層
5)内に素子を横型に形成する例である。
【0085】図17は高抵抗層領域(n- )5中に形成
された横型構造の静電誘導サイリスタを示す。図7に示
した実施例5と同様の構造が形成されている。即ち、M
OSゲート電極9は第2ゲート領域32上のみならず第
2ゲート領域31上まで絶縁層36を介して延在されて
いる。アノード領域1はアノード短絡領域6とアノード
電極1によって短絡されている。15は絶縁層11上の
SIPOS膜であり、カソードアノード間の横方向の強
電界分布の安定化を図っている。17はバック電極であ
る。
【0086】図18は図17の構造に加えて更に第2ゲ
ート領域32内に補助カソード領域21を設けた構造例
である。即ち、図11に示した実施例7と同様の構造が
形成されている。nMOSチャネルが短チャネル化され
ることから高速動作が期待でき、また電流容量も増大す
る。従って、第2ゲート32上のMOSゲート電極9に
よるカソード2からの電子電流の制御性が増大するとと
もに、第1ゲートには不純物密度差と第1ゲート領域3
1の配置によってより多くの正孔を吸収することができ
る。従って、少数キャリアの蓄積効果が少ないため、ス
イッチング性能が改善され、また可制御耐量が増大化す
る。
【0087】図17,18に示した実施例12,13に
おいては素子構造がプレーナ構造の横型構造であるた
め、電流容量を大きく設定するためにはマルチチャネル
化が必要となることはもちろんである。
【0088】
【実施例14】図19は本発明の第14の実施例として
の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
電誘導サイリスタの模式的断面構造図である。実施例1
4の構造は、図19より明らかなように両面ゲート(ダ
ブルゲート)構造を有し、しかもカソード側のpゲート
領域(31,32)及びアノード側のnゲート領域(3
3,34)はそれぞれ分割ゲート構造となっている。図
19の構造は図11に示した実施例7の構造がマルチチ
ャネル構造としてカソード側に形成されているものと考
えることができる。更にアノード側も同様である。即
ち、第1のゲート(p+ )31はn+ カソード領域2と
短絡ゲート電極10によって短絡され、第2のゲート
(p)32上にはゲート酸化膜36を介して制御ゲート
電極9が形成されている。また第1のアノード側ゲート
領域(n+ )33はp+ アノード領域1とアノード電極
7によって短絡され、第2のアノード側ゲート領域
(n)34上にはゲート酸化膜40を介して第2の制御
ゲート電極35が形成されている。21は補助カソード
領域,41は同様の補助アノード領域(p+ )である。
制御ゲート電極9及び第2の制御ゲート電極35によっ
て実施例14のダブルゲートサイリスタはオン・オフ制
御される。第1の制御ゲート電極9によってnMOS,
pMOSが制御され、同様に第2の制御ゲート電極35
によって、pMOS,nMOSが制御されている。第1
のアノード側ゲート領域(n+ )33はアノード領域1
とアノード電極7によって短絡されているが、この短絡
の効果は、アノード側近傍の少数キャリアとしての電子
を吸収する点にある。n+ ゲート33によってアノード
近傍の電子が吸収され、一方p+ ゲート31によってカ
ソード近傍の正孔が吸収されることから、実施例14の
サイリスタは少数キャリアの蓄積効果が小さく、スイッ
チング速度が極めて速くなるという特徴を有する。ま
た、アノード側から流入した正孔は主として第1のゲー
ト(p+ )31に流れ、一方カソード側から流入した電
子は主として第1のアノード側ゲート領域33に流れ
る。このような短絡ゲートの効果がカソード側及びアノ
ード側の両方に存在することから,可制御耐量も高いと
いう特徴がある。図19においてn- /p- 層38,3
9は高抵抗のエピタキシャル層であり、高抵抗層5とは
別の領域として薄く形成している。第1ゲート,第2ゲ
ート間の容量結合性を考慮している。
【0089】
【実施例15】図20は本発明の第15の実施例として
の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
電誘導サイリスタの模式的断面構造図である。実施例1
4はアノード側ゲート,カソード側ゲートともにプレー
ナ構造であったのに対して、実施例15はすべてのゲー
トを切り込みゲート構造とした例である。図16に示し
た実施例11と同様の構造がカソード側に形成されてい
るものと考えることができる。アノード側についても同
様である。カソード側ゲートは第1のゲート(p+ )3
1及び第2のゲート(p)32及びMOS制御ゲート電
極9からなり、アノード側ゲートは第1のアノード側ゲ
ート領域(n+ )33及び第2のアノード側ゲート領域
(n)34及び第2の制御ゲート電極35からなってい
る。第1のゲート(p+ )31はカソード領域(n+
2とカソード短絡電極10によって短絡され、第2のゲ
ート(p+ )32は絶縁膜36を介して制御ゲート電極
9と縦型のMOS構造を形成している。第1のアノード
側ゲート領域(n+ )33はアノード領域1とアノード
電極7によって短絡され、第2のアノード側ゲート領域
(n)34は絶縁膜40を介して第2の制御ゲート電極
35と縦型のMOS構造を形成している。
【0090】実施例14及び15では分割ゲート型カソ
ード短絡構造に加えて分割ゲート型アノード短絡構造を
実現した構造例となっている。制御ゲート(領域)を分
割し、一方を主電極と短絡して短絡ゲート電極とし、他
方をMOS構造による真の電流制御電極として形成する
構造をカソード側,アノード側の両方において実現する
ことによって、サイリスタの導通キャリアの正孔及び電
子の蓄積効果を抑制し高速のスイッチングを実現すると
ともに、カソード短絡,アノード短絡の効果によって可
制御耐量が増大している。
【0091】本発明の実施例は上記実施例1〜15の構
造に限定されることはなく、種々の変形,拡張が可能で
ある。電流容量,耐圧に応じてチャネル数,ゲート寸
法,高抵抗層の厚さ,エピタキシャル層の厚さ等を設定
すればよい。
【0092】また本発明の実施例を実現するための半導
体材料としてはシリコンに限定されるわけではなく、他
のGa As ,InP,等の材料を用いてもよいことはも
ちろんである。更にまた実施例1〜11においてはアノ
ード側の構造にバッファ構造,SIバッファ構造,短絡
構造,S2短絡構造,通常のダブルゲート構造等を導入
してもよいことは明らかである。更にまたこれらの構造
とライフタイム制御を組み合わせてもよいことはもちろ
んである。例えば電子線,プロトン,γ線照射を行なっ
てもよい。或いはまたAu,Pt等の重金属拡散を行な
ってもよい。更にこれらを組み合わせて高抵抗層5の縦
方向にライフタイム分布を設定してもよいことも明らか
である。
【0093】
【発明の効果】本発明の分割ゲート型カソード短絡構造
を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタによれば素子構
造が極めて簡単である。また、チャネルの集積化密度が
高いために面積効率が増大し、短絡構造に加えてMOS
ゲート構造の導入によって少数キャリアの蓄積効果が抑
制されてスイッチング速度が速く、カソード短絡の効果
によって可制御耐量の増大したサイリスタ素子を実現す
ることができる。更にMOSゲートの導入によって短絡
ゲートと制御電極を完全に絶縁分離できるため、制御電
極の制御性が向上するという利点もある。更に実質的に
MOSデバイスが内蔵される構造が実現されるためスイ
ッチングのオンオフ制御機能が増大するという利点もあ
る。分割ゲート構造はプレーナ,埋込み,切込み或いは
ダブルゲート構造のそれぞれにおいて形成することがで
き、中小電力用から大電力用途或いは高耐圧集積回路用
途等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
【図2】図1に示した分割ゲート型カソード短絡構造を
有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式的回路表現
【図3】本発明の第2の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
【図4】図3に示した分割ゲート型カソード短絡構造を
有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式的回路表現
【図5】本発明の第3の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
【図6】本発明の第4の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
の模式的断面構造図
【図7】本発明の第5の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
の模式的断面構造図
【図8】図7に示した分割ゲート型カソード短絡構造を
有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式的回路表現
【図9】本発明の第6の実施例としての分割ゲート型カ
ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
の模式的断面構造図
【図10】図9に示した分割ゲート型カソード短絡構造
を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式的回路表
【図11】本発明の第7の実施例としての分割ゲート型
カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリス
タの模式的断面構造図
【図12】図11に示した分割ゲート型カソード短絡構
造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタの模式的回路
表現
【図13】本発明の第8の実施例としての分割ゲート型
カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリス
タの模式的断面構造図
【図14】本発明の第9の実施例としての分割ゲート型
カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリス
タの模式的断面構造図
【図15】本発明の第10の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図16】本発明の第11の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図17】本発明の第12の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図18】本発明の第13の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図19】本発明の第14の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図20】本発明の第15の実施例としての分割ゲート
型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
スタの模式的断面構造図
【図21】従来例としての二重短絡構造の静電誘導サイ
リスタの模式的断面構造図
【図22】従来の分割ゲート型カソード短絡構造を有す
る静電誘導サイリスタの動作原理説明図
【図23】図22に示した従来例の分割ゲート型カソー
ド短絡構造を有する静電誘導サイリスタの模式的回路表
【符号の説明】
1 アノード領域 2 カソード領域 3 ゲート領域 4 カソード短絡領域 5 高抵抗層領域 6 アノード短絡領域 7 アノード電極 8 カソード電極 9 ゲート(制御ゲート,コントロールゲート)電極 10 カソード短絡(シールディングゲート)電極 11 酸化膜(SiO2 ) 12 低不純物密度ゲート領域 14 n- エピタキシャル層 15 SIPOS 16 半絶縁性シリコン基板 17 バック電極 21 補助カソード領域 31 第1のゲート領域(カソード短絡ゲート,シール
ディングゲート) 32 第2のゲート領域 33 第1のアノード側ゲート領域(アノード短絡ゲー
ト) 34 第2のアノード側ゲート領域 35 第2の制御ゲート電極 36,40 ゲート酸化膜(SiO2 ) 41 補助アノード領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大坪 義則 神奈川県大和市上草柳字扇野338番地1 東洋電機製造株式会社技術研究所内 (72)発明者 樋口 登志男 神奈川県大和市上草柳字扇野338番地1 東洋電機製造株式会社技術研究所内 (72)発明者 井口 信 神奈川県大和市上草柳字扇野338番地1 東洋電機製造株式会社技術研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高抵抗層領域を挟んで設けられたアノー
    ド領域、カソード領域、制御領域を具備するサイリスタ
    であって、 前記制御領域は互いに分割された第1のゲート領域と第
    2のゲート領域を含み、 前記カソード領域は前記第1のゲート領域と第2のゲー
    ト領域との間に実質的に形成され、 第1のゲート領域に接触するシールドゲート電極と前記
    カソード領域に接触するカソード電極は電気的に短絡さ
    れてカソード短絡構造を形成し、 前記第2のゲート領域上には絶縁層を介して絶縁ゲート
    のコントロール電極が形成されて、該コントロールゲー
    ト電極に印加される電圧によってカソード領域とアノー
    ド領域間に流れる電流が制御され、 前記カソード領域の近傍の前記高抵抗層中において前記
    カソード領域と短絡された第1のゲート領域と前記高抵
    抗層間の拡散電位によって広がる第1の空乏層と、第2
    のゲート領域と前記高抵抗層間の電位によって広がる第
    2の空乏層が形成されるとともに、両空乏層は実質的に
    接触して前記第1のゲート領域の電位によって前記第2
    のゲート領域の電位が容量結合的に制御可能にされて、 アノード領域より注入された正孔の一部は前記第1のゲ
    ート領域を介して、シールドゲート電極と短絡したカソ
    ード電極に流入することを特徴とする分割ゲート型カソ
    ード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ。
  2. 【請求項2】 高抵抗層領域を挟んで設けられたアノー
    ド領域、カソード領域、制御領域を具備するサイリスタ
    であって、 前記制御領域は互いに分割された第1のゲート領域と第
    2のゲート領域を含み、 前記カソード領域は前記第1のゲート領域と第2のゲー
    ト領域との間に実質的に形成され、 第1のゲート領域に接触するシールドゲート電極と前記
    カソード領域に接触するカソード電極は電気的に短絡さ
    れてカソード短絡構造を形成し、前記第2のゲート上に
    は絶縁層を介して絶縁ゲートのコントロール電極が形成
    されて、該絶縁ゲートのコントロールゲート電極に印加
    される電圧によってカソード領域とアノード領域間に流
    れる電流が制御され、 前記カソード領域の近傍の前記高抵抗層中において前記
    カソード領域と短絡された第1のゲート領域と前記高抵
    抗層間の拡散電位によって広がる第1の空乏層と、第2
    のゲート領域と前記高抵抗層間の電位によって広がる第
    2の空乏層が形成されるとともに、前記第1の空乏層と
    前記第2の空乏層が互いに実質的に接触し、前記第2の
    ゲート領域上に絶縁ゲートを介して印加されるコントロ
    ールゲート電極の電圧によって静電誘導効果によって制
    御可能な電位障壁が前記第1の空乏層と第2の空乏層が
    接する高抵抗層領域近傍に形成され、 アノード領域より注入された正孔の一部は前記第1のゲ
    ート領域を介して、シールドゲート電極と短絡したカソ
    ード電極に流入することを特徴とする請求項1記載の分
    割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘
    導サイリスタ。
  3. 【請求項3】 前記第1のゲート領域と前記第2のゲー
    ト領域との間に挟まれた高抵抗層領域にはカソード領域
    が形成されるとともに前記カソード領域と同一導電型の
    補正カソード領域が前記第2のゲート領域内に包含され
    該補助カソード領域と前記カソード領域との間には第2
    ゲート領域及び第2ゲート領域上に形成された絶縁層を
    介するコントロールゲート電極によって実質的な絶縁ゲ
    ートトランジスタが形成され、 前記補助カソード領域から注入された電子は前記カソー
    ド領域に蓄積されるとともに、第1のゲート領域及び第
    2のゲート領域から広がる空乏層によって、静電誘導効
    果によって制御される電位障壁が前記カソード領域の前
    面の高抵抗層中に形成されることを特徴とする請求項1
    乃至2項の内、いずれか1項記載の分割ゲート型カソー
    ド短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ。
  4. 【請求項4】 前記コントロールゲート電極は第1ゲー
    ト領域と第2ゲート領域に挟まれた高抵抗層上及び第1
    ゲート領域の一部分上まで絶縁層を介して延在されて、
    第1ゲート領域と第2ゲート領域との間に実質的な絶縁
    ゲートトランジスタが形成されることを特徴とする請求
    項1乃至3項の内、いずれか1項記載の分割ゲート型カ
    ソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリス
    タ。
  5. 【請求項5】 前記第2のゲート領域の電位は前記第1
    のゲート領域の電位によって制御可能になされていると
    ともに、前記第2のゲート領域は更に前記カソード領域
    と、カソード電極によって電気的に短絡されていること
    を特徴とする請求項1乃至4項の内、いずれか1項記載
    の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静
    電誘導サイリスタ。
  6. 【請求項6】 前記第1のゲート領域は前記第2のゲー
    ト領域と比較して相対的に大きな領域として形成される
    ことを特徴とする請求項1乃至5項の内、いずれか1項
    記載の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲー
    ト静電誘導サイリスタ。
  7. 【請求項7】 前記第1のゲート領域は前記第2のゲー
    ト領域よりも高い不純物密度を有することを特徴とする
    請求項1乃至6項の内、いずれか1項記載の分割ゲート
    型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリ
    スタ。
  8. 【請求項8】 前記第1のゲート領域は、同一導電型で
    第2のゲート領域に比べて深く形成された中低濃拡散領
    域と、前記中低濃度拡散領域中に形成された高濃度拡散
    領域、とを含むことを特徴とする請求項1乃至7項の
    内、いずれか1項記載の分割ゲート型カソード短絡構造
    を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ。
  9. 【請求項9】 前記第1のゲート領域は第2のゲート領
    域に比べ相対的に深くかつ幅広く形成されることを特徴
    とする請求項1乃至8項の内、いずれか1項記載の分割
    ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
    サイリスタ。
  10. 【請求項10】 前記第1のゲート領域及び第2のゲー
    ト領域はいずれもプレーナ構造に形成されることを特徴
    とする請求項1乃至9項の内、いずれか1項記載の分割
    ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
    サイリスタ。
  11. 【請求項11】 前記第1のゲート領域、前記第2のゲ
    ート領域の一方もしくは両方がともに埋込みゲート構造
    を有することを特徴とする請求項1乃至9の内、いずれ
    か1項記載の分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶
    縁ゲート静電誘導サイリスタ。
  12. 【請求項12】 前記第1及び第2のゲート領域はその
    一方もしくは両方がともに切込み構造を有することを特
    徴とする請求項1乃至9の内、いずれか1項記載の分割
    ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導
    サイリスタ。
  13. 【請求項13】 前記カソード領域、アノード領域、第
    1及び第2のゲート域はいずれも同一主表面近傍に形成
    される横型構造を有することを特徴とする請求項1乃至
    9の内、いずれか1項記載の分割ゲート型カソード短絡
    構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ。
JP4322589A 1992-11-06 1992-11-06 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ Expired - Fee Related JP2678159B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4322589A JP2678159B2 (ja) 1992-11-06 1992-11-06 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
US08/145,436 US5461242A (en) 1992-11-06 1993-10-29 Insulated gate static induction thyristor with a split gate type shorted cathode structure

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4322589A JP2678159B2 (ja) 1992-11-06 1992-11-06 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06151826A true JPH06151826A (ja) 1994-05-31
JP2678159B2 JP2678159B2 (ja) 1997-11-17

Family

ID=18145390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4322589A Expired - Fee Related JP2678159B2 (ja) 1992-11-06 1992-11-06 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5461242A (ja)
JP (1) JP2678159B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0855978A (ja) * 1994-06-09 1996-02-27 Ngk Insulators Ltd 半導体装置およびその製造方法
US5818074A (en) * 1996-01-31 1998-10-06 Beacon Light Products, Inc. Smooth switching thyristor
US5900657A (en) * 1997-05-19 1999-05-04 National Semiconductor Corp. MOS switch that reduces clock feed through in a switched capacitor circuit
US6107649A (en) * 1998-06-10 2000-08-22 Rutgers, The State University Field-controlled high-power semiconductor devices
US6717219B1 (en) * 2002-04-12 2004-04-06 National Semiconductor Corporation High holding voltage ESD protection structure for BiCMOS technology
US6949961B2 (en) * 2003-10-06 2005-09-27 Semiconductor Components Industries, L.L.C. Power switch structure with low RDSon and low current limit

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0225071A (ja) * 1988-07-13 1990-01-26 Matsushita Electric Works Ltd 絶縁ゲート型静電誘導サイリスタ
JPH03292770A (ja) * 1990-04-10 1991-12-24 Semiconductor Res Found 静電誘導サイリスタ
JPH0469976A (ja) * 1990-07-11 1992-03-05 Fumihiko Sugawara 半導体装置
JPH04107864A (ja) * 1990-08-28 1992-04-09 Meidensha Corp 電力用半導体素子

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0680817B2 (ja) * 1985-03-20 1994-10-12 株式会社東芝 半導体装置
JP2560038B2 (ja) * 1987-08-03 1996-12-04 日本合成ゴム株式会社 半導体素子の製造方法
JP2632322B2 (ja) * 1987-10-02 1997-07-23 財団法人 半導体研究振興会 電力用半導体素子
JPH01302727A (ja) * 1988-03-22 1989-12-06 Toshiba Corp 化合物半導体鏡面基板の製造法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0225071A (ja) * 1988-07-13 1990-01-26 Matsushita Electric Works Ltd 絶縁ゲート型静電誘導サイリスタ
JPH03292770A (ja) * 1990-04-10 1991-12-24 Semiconductor Res Found 静電誘導サイリスタ
JPH0469976A (ja) * 1990-07-11 1992-03-05 Fumihiko Sugawara 半導体装置
JPH04107864A (ja) * 1990-08-28 1992-04-09 Meidensha Corp 電力用半導体素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2678159B2 (ja) 1997-11-17
US5461242A (en) 1995-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108389901B (zh) 一种载流子存储增强型超结igbt
JP4581179B2 (ja) 絶縁ゲート型半導体装置
EP0565349B1 (en) MOS-controlled thyristor
US8643086B2 (en) Semiconductor component with high breakthrough tension and low forward resistance
JP3163820B2 (ja) 半導体装置
US20200227527A1 (en) Semiconductor device
US5317171A (en) MOS gated thyristor with remote turn-off electrode
JP2750986B2 (ja) 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
Antoniou et al. Optimisation of superjunction bipolar transistor for ultra-fast switching applications
US4985738A (en) Semiconductor switching device
JP2678159B2 (ja) 分割ゲート型カソード短絡構造を有する絶縁ゲート静電誘導サイリスタ
US11217686B2 (en) Semiconductor device and semiconductor circuit
CN111261698B (zh) 一种消除电压折回现象的rc-ligbt器件
CN115985955A (zh) 一种低关断损耗的igbt开关器件
US11984473B2 (en) Semiconductor device
US5757036A (en) Semiconductor device with improved turn-off capability
JPH0241182B2 (ja)
US5175598A (en) Semiconductor switching device
CN114267731A (zh) 半导体装置以及半导体电路
JPH05283676A (ja) 半導体装置
US5227647A (en) Semiconductor switching device
US20130134509A1 (en) Semiconductor Device Arrangement Comprising a Semiconductor Device with a Drift Region and a Drift Control Region
JP2799928B2 (ja) 分割ゲート型カソード短絡構造を有する静電誘導サイリスタ
JPH0661479A (ja) プレーナ構造のmos制御サイリスタ
US20220231164A1 (en) Switching element

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees