JPH0615162B2 - スリップキャスティング成形方法 - Google Patents

スリップキャスティング成形方法

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JPH0615162B2
JPH0615162B2 JP9970388A JP9970388A JPH0615162B2 JP H0615162 B2 JPH0615162 B2 JP H0615162B2 JP 9970388 A JP9970388 A JP 9970388A JP 9970388 A JP9970388 A JP 9970388A JP H0615162 B2 JPH0615162 B2 JP H0615162B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、スリップの注入口付近の着肉不良を改善し
たセラミック部品用成形体のスリップキャスティング方
法に関するものである。
従来の技術 ファインセラミック製品の成形方法の一つであるスリッ
プキャスティング方法は、複雑形状品の成形が容易であ
るとともに、装置が簡単で成形型が安価なため、例えば
特開昭62−51405号公報に示されるようにラジア
ルタ−ビンのセラミック製羽根車等の製作に広く用いら
れている。
従来、この種のセラミック部品のスリップキャスティン
グ成形方法においては、例えば、原料粉末を媒液中に分
散させたスリップを、媒液吸収性を有する石膏等からな
る分割式の成形型に形成されるキャビティ内に注入し、
加圧状態または大気圧下等で前記媒液を吸収させること
により、キャビティ内周面に徐々に着肉させて成形して
いる。
したがって、従来のスリップキャスティング成形方法の
場合には、前記羽根車等の比較的肉厚の薄いセラミック
部品用成形体を成形する場合には、石膏型等の媒液を吸
収する面が着肉量に比べて充分な広さを有するため、着
肉不良の発生する率は低いが、着肉量が多いピストン等
の厚肉部のあるセラミック部品を成形する場合には、着
肉がほぼ一定の速度で進行するため、石膏型等のキャビ
ティ内周面から最も離れた点、すなわちピストンの中心
部の着肉が不充分となって、着肉不良の発生する率が高
かった。また、スリップを注入する注入口の部分は、媒
液を吸収する石膏等が近くに無いのが一般的であり、そ
のため、ピストン等の厚肉部を有するセラミック部品の
前記注入口に面した部分が低密度となって着肉不良が生
じていた。
第7図ないし第9図は、セラミック製ピストン成形用の
従来の加圧鋳造式の成形型をそれぞれ示すもので、各図
においてa,b,c……は、スリップ注入後の着肉状態
を一定時間毎に模式的に示した線である。
第7図は口径の大きな注入口を備えた成形型1で、内側
にキャビティ2aが形成される2分割式の石膏型2,2
と、キャビティ2aの下部を閉塞する石膏蓋3とから構
成され、石膏蓋3の中央には前記キャビティ2aに連通
する口径の大きな注入口3aが形成されており、この注
入口3aの内周には、この内周面への着肉による連通不
良や閉塞を防止するための樹脂製パイプ4が嵌挿される
とともに、この注入口3aの下部にはスリップ注入管5
が圧力注入用プレート6を介して接続されている。この
成形型1により成形を行なう際には、キャビティ2a内
にスリップ注入管5を介してスリップを加圧注入して着
肉工程を行い、時間の経過とともにキャビティ2aの内
周面から中心に向けて(第7図においてa,b,cの順
に)着肉が進行する。そして、着肉工程の後半となり、
第7図においてキャビティ2a内のcの部分まで着肉が
進行すると、吸収性を備えたキャビティ2aの内周面が
着肉層により悉く覆われてしまうため、注入口3aに面
したdの部分の着肉が不足し、このdの部分に着肉不良
が発生するという問題点があった。
また、キャビティ2a内の注入口3aに面した部分に発
生する着肉不良部分の大きさは、注入口3aの口径に比
例することから、前記注入口3aの口径を小さくすれば
着肉不良部分を小さくすることができるが、注入口の口
径が小さ過ぎると、第8図に示すようになる。この場合
の成形型7は2つの石膏型8,8の内側にキャビティ8
aが形成されるとともに、石膏蓋9に形成された口径の
小さな注入口9aの内周面は、目止め剤としてワセリン
10を塗布して吸収性が抑えてあり、また注入口9aの
下部にはスリップ注入管11が加圧注入用プレート6を
介して接続されている。
この成形型7により成形を行なう際には、キャビティ8
a内にスリップ注入管11を介してスリップを加圧注入
して着肉工程を行なうと、時間の経過とともにキャビテ
ィ8aの内周面から中心に向けて(第8図においてa,
b,c……の順に)着肉が進行する。そして、着肉工程
の後半となり、第8図においてキャビティ8a内のcの
部分まで着肉が進行すると、吸収性を備えたキャビティ
2aの内周面が着肉層により悉く覆われるとともに、注
入口9aの前面に着肉層が張出して注入口9aをeの部
分で閉塞してしまうため、中心部のdの部分へのスリッ
プの供給が遮断される結果、このdの部分に着肉不足が
生じて空洞ができ、また注入口9aの前面にも着肉不足
の部分が生じるという問題があった。
そこで、従来においては第9図に示すように、成形型1
2の石膏蓋14に形成する注入口14aの口径を、着肉
工程が完了するまで閉塞されない範囲で最小の口径に形
成し、注入口14aの前面に形成される着肉不良部分e
を小さくするとともに、この着肉不良部分eが製品形状
となる部分a,b,c,dの外側となるようにキャビテ
ィ13aを形成できるように石膏型13,13の高さを
それぞれ高くし、さらに、キャビティ13aが大きくな
った分だけ吸収能力を高めるために石膏型14を厚く形
成し、前記注入口14aの内周に樹脂性パイプ15を嵌
挿するとともに、スリップ注入管17を加圧注入用プレ
ート16を介して接続している。そして、着肉工程が完
了して脱型した後、第9図に二点鎖線で示した位置で成
形品を切断して、注入口14a側の余分な部分を着肉不
良部分eとともに除去して製品部分を得ていた。
発明が解決しようとする課題 しかし、この従来のスリップキャスティング成形方法に
より成形された成形品は、石膏型13,13および石膏
蓋14のキャビティ13aの内周面に接して成形された
成形品表面が最も高密度に成形され、成形品の内部とな
るにしたがって密度が低くなるのが一般的である。その
ため、前記した従来のスリップキャスティング成形方法
の場合のように、脱型後に成形品の余分な部分を切断し
て除去すると、表面の高密度部分が切除されて密度の不
均一な切断面が形成されることとなり、後工程の焼成時
にクラックが発生し易いという問題点があった。また、
石膏蓋14の注入口14aの口径を、成形品の形状およ
び寸法に合わせて選択する必要があり面倒であるととも
に、成形後に切除する部分が多く材料の無駄が多くなる
等の問題点があった。
なお、成形型を減圧して吸収性を高めてセラミック部品
用成形体を得る真空鋳造方法の場合や、大気圧下でセラ
ミック部品用成形体を得る通常の鋳造方法の場合におい
ても同様の問題点があった。
この発明は上記した技術的背景の下になされたもので、
後工程の焼成時にクラック発生の少ない成形体を得るス
リップキャスティング成形方法の提供を目的としてい
る。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するための手段としてこの発明の方法
は、原料粉末を媒液中に分散させたスリップを、媒液吸
収性を有する成形型内に注入口から注入してセラミック
部品用成形体を得るスリップキャスティング成形方法に
おいて、注入口を媒液非吸収性に維持して前記成形型内
にスリップを注入するとともに、スリップの注入終了以
前でかつ着肉工程の後半に、成形型の注入口部分に媒液
吸収性に富む新たな着肉面を露出させて注入口付近の着
肉を行なうことを特徴としている。
作 用 上記の方法を採ることにより、そして、スリップの注入
初期においては、成形型の媒液吸収性が高いため着肉面
への着肉が活発に行なわれるとともに、時間経過ととも
に着肉層の厚みが徐々に増すと吸収性が低下する。そし
て、着肉工程の後半において、注入口部分に、目詰りし
ていない媒液吸収性に富む新たな着肉面を露出させる
と、他の部分が着肉層に覆われて吸収性が著しく低下し
ているため、前記新たな着肉面が媒液を集中的に吸収す
ることにより、注入口付近の着肉を促進させてこの部分
の着肉層の緻密化が図られる。
実施例 以下、この発明の方法を、セラミック原料粉末を水中に
分散させたスリップで、セラミック製ピストンを加圧鋳
造する場合に適用した実施例を第1図ないし第6図に基
づいて説明する。
第1図および第2図はこの発明の第1実施例を示すもの
で、ここで用いられる成形型21は、2分割式の石膏型
22,22と、この合せた両石膏型22,22間に形成
されたキャビティ22aの下部側を閉塞する平板状の石
膏蓋23と、キャビティ22a内に配設された石膏中子
22b,22bおよび石膏中子22cとから構成され、
前記キャビティ22a内には、成形するピストンの形状
に一致する空間が形成されている。また、前記石膏蓋2
3の中央には、前記キャビティ22aに連通する注入口
23aが形成され、この注入口23aの下端には、開閉
用のバルブ24aとスリップ圧送用のポンプ24bとを
介設したスリップ注入管24の先端部分が、加圧注入プ
レート25を介して前記平板状の石膏蓋23に対して垂
直に接続されている。
また、前記スリップ注入管24の先端部分は、他の部分
より大径にしてパイプ収納部26が形成されており、こ
のパイプ収納部26内には、媒液吸収性のない樹脂パイ
プ27が軸方向へ摺動可能に収納されている。この樹脂
パイプ27の外周面にはノブ27aが形成されており、
このノブ27aが前記パイプ収納部25に形成したガイ
ドスリット25aに嵌合して外方へ突出させてある。そ
して、ガイドスリット25a内のノブ27aを押し上げ
ると、前記樹脂パイプ27が上方へ摺動して前記注入口
23aの内周面を密接状態に覆って、この内周面の吸水
を防いで着肉による注入口23aの連通不良や閉塞を防
止するようになっている。また、前記ノブ27aを押し
下げると、前記樹脂パイプ27が下方へ摺動して前記注
入口23aの内周面が露出するようになっている。ま
た、パイプ収納部26の内周の前記ガイドスリット26
aの上下にはOリング26d,26dが設けられてい
て、樹脂パイプ27の摺動を許容する状態でガイドスリ
ット26aからのスリップの漏れを防止している。
そして、上記の装置によりこの発明に基づいてセラミッ
ク製ピストンを鋳造成形するには、前記樹脂パイプ27
を上昇させて注入口23aの内周面を覆うようにセット
した状態で、スリップをポンプ24bによってスリップ
注入管24を介して成形型22のキャビティ22a内に
加圧注入すると着肉工程がスタートする。キャビティ2
2a内に注入されたスリップの水分が石膏型22,2
2、石膏蓋23および石膏中子22b,22cにそれぞ
れ吸収されるのに伴ってキャビティ22aの内周に臨む
石膏面に、スリップ中の固形分が付着して徐々に厚みを
増し、また、水分が吸収されることによるスリップの体
積減少分は、ポンプ24bにより常時補給されてスリッ
プの加圧状態が維持される。
着肉層が徐々に厚くなるとともに緻密化が進行し、一定
時間が経過して着肉工程の後半になると、キャビティ2
2a内に臨む全ての石膏面が着肉層に覆われて、前記各
石膏面からの吸水能力が低下し、水分を吸収する石膏面
が近くに存在しないキャビティ22a内の前記注入口2
3aに臨む部分に、着肉の不充分な箇所eが形成される
(第1図の参照)。
この着肉工程の後半において残存する着肉不充分な箇所
eはこのような各石膏面の吸水能力が低下したままの状
態で着肉させるには長時間かかり過ぎるため効率が悪
く、また長時間かけて着肉させても充分な密度に着肉さ
せることができない。
そこで、着肉工程の後半となった時点で、前記パイプ収
納部26のガイドスリット26a内のノブ27aを押し
下げることにより、石膏蓋23に形成された前記注入口
23aの内周面を覆っている樹脂パイプ27を下方へ摺
動させると、注入口23aの内周に新たな石膏面が露出
する。この注入口23の内周面は、着肉工程の後半まで
樹脂パイプ27で覆われていたため表面に着肉層が形成
されていない石膏面のため吸水性が高く、したがって、
他の石膏面の吸水能力が低いことと相俟って、この注入
口23aの内周面に集中的に着肉層が形成されるととも
に、注入口23a付近の着肉層の緻密化が促進される。
そして、最終的には、注入口23a内の下端側に着肉の
不充分な箇所e′が残るが、成形品Sとなるキャビティ
23a内には緻密な着肉層が形成されて着肉工程が完了
する(第2図の参照)。
着肉工程が完了した後、ポンプ24bを停止させるとと
もにバルブ24aを閉止し、次いで成形型21を分割し
て成形体を脱型し、成形体の下部で、前記注入口23a
内において着肉し、着肉の不充分な箇所e′が形成され
ている小径部分を、第2図に示す破線fで切断し、余分
な部分を除去して成形品Sを得ることができる。得られ
た成形品Sは、加熱乾燥等を行なった後、焼成すること
によってセラミック製ピストンとされる。。
この実施例のスリップキャスティング成形方法では、着
肉工程の後半で注入口23aの内周の石膏面を新たに露
出させて、キャビティ22a内の注入口23aに臨んだ
部分に集中的に着肉させるため緻密な着肉層が形成で
き、したがって、成形体の余分な部分である下部の小径
部を切断した際の切断面の着肉層が緻密なり、後工程の
焼成時におけるクラック等の欠陥発生を防止することが
できる。
なお、着肉工程の後半において樹脂パイプ27を下方に
摺動させて新たな石膏面を露出させる時期は、成形品の
寸法や形状、あるいはスリップの成分等により異なるた
め、試験等を行なって最適な時期を決定する。
また第3図および第4図は第2実施例を示すもので、こ
こで用いる成形型成形型31も石膏型32,32と石膏
中子32b,32b,32cおよび石膏蓋33とから構
成され、その内部にはキャビティ32aが成形品Sであ
るピストンの形状に形成されている。また、前記石膏蓋
33の中央には、キャビティ32aの下部に連通する注
入口33aが形成されており、この注入口32aの下端
にはスリップ注入管34が、加圧注入用プレート35を
介して接続され、また前記注入口33aの内周には、こ
の内周面を覆って吸水着肉を防止する樹脂パイプ36が
嵌挿されている。
そして、前記スリップ注入管34の先端側はL字形に屈
曲し、前記注入口33aと等しい内径に拡径した先端
が、石膏蓋33に対して垂直となるように前記加圧注入
用プレート35を介して注入口33aに接続されるとと
もに、スリップ注入管34の先端側には、有低円筒形の
収納部37が、注入口33aと同一軸線状に垂直に形成
されている。この収納部37は、注入口33aの内径と
等しい内径に形成されて前記スリップ注入管34の先端
に連通しており、この収納部37内には、内部に小径流
路38aがL字形に形成された円柱状の石膏製の吸水蓋
38が垂直方向摺動可能に収容され、この吸水蓋38は
収納部37の底部から貫挿した操作ロッド39により上
下方向に操作される。そして、吸水蓋38を上方へ摺動
させると、その上部側は前記注入口33a内に嵌合する
とともに、その内部に形成された小径流路38aを介し
てスリップ注入管34がキャビティ32a側と連通す
る。また、前記吸水蓋38を下方へ摺動させて収納部3
7内に収納した状態においては、水平方向にスライド可
能な仕切板40がこの収納部27の上部を閉塞して吸水
蓋38の上端面を覆い、収納中における吸水蓋38の吸
水および着肉を防止している。また、前記小径流路38
aの内周面は、着肉による閉塞を防止するためにワセリ
ン等を塗布しておいてもよい。
そして、上記装置を用いてセラミック製ピストンを鋳造
成形するには、前記吸水蓋38を収納部37に収納する
とともに仕切板40により収納部37を閉塞した状態
で、成形型31のキャビティ32a内にスリップを加圧
注入して着肉工程を開始する。
着肉層が徐々に厚くなるとともに緻密化が進行し、一定
時間が経過して着肉工程の後半になると、キャビティ3
2a内の前記注入口23aに臨む部分に、着肉の不充分
な箇所eが残る(第3図の参照)。
したがって、この着肉工程の後半となった時点で、前記
仕切板40をスライドさせて収納部37を開放した後、
操作ロッド39によって吸水蓋38を上方へ摺動させ、
この吸水蓋38の上部側を注入口33a内に嵌合させて
所定の高さに固定する。吸水蓋38が所定の高さに固定
されると、小径流路38を介してスリップ注入管34が
キャビティ32a側と連通してスリップを供給するとと
もに、吸水蓋38の上端の石膏面が、キャビティ32a
側に向けて注入口33a内の上部にセットされる。
前記吸収蓋38の上端の石膏面は、着肉工程の後半まで
吸水および着肉を防止された状態で収納部37内に収納
されていたため、吸水性が高く、したがって、この注入
口33a内の石膏面に集中的に着肉層が形成されるとと
もに、注入口33a付近の着肉層の緻密化が促進され
る。
そして最終的には、吸水蓋38の小径流路38aの上方
に着肉の不充分な箇所e′が残るが、こ着肉不充分な箇
所e′が小さいため、成形品Sとなるキャビティ33a
内には緻密な着肉層が形成されて着肉工程が完了する
(第4図の参照)。
着肉工程が完了した後、前記第1実施例の場合と同様に
スリップの供給を停止し、次いで成形型31を分割して
成形体を脱型し、成形体の下部で、前記注入口33a内
において着肉され、着肉の不充分な箇所e′が形成され
ている成形体の下部の小径部分を、第4図に示す破線f
で切断し、除去して成形品Sを得ることができる。得ら
れた成形品Sは、切断面にも緻密な着肉層が形成されて
いるため、乾燥時や焼成時にクラックが発生せず、欠陥
のないセラミック製ピストンを完成することができる。
なお、着肉工程の後半において吸水蓋38を収納部37
から出して、新な石膏面を所定の位置に配設する時期
は、成形品の寸法や形状、あるいはスリップの成分等に
より異るため、試験等を行なって最適な時期を決定す
る。
また第5図および第6図は第3実施例を示すもので、こ
こで用いる成形型41は、通常の加圧注入式の成形型
で、石膏型42,42と石膏中子42b,42b,42
cおよび石膏蓋43とから構成され、内部にキャビティ
42aがピストン形状に形成されている。また、前記石
膏蓋43の中央には、キャビティ42aの下部に連通す
る注入口43aが形成されており、この注入口43aの
下端にはスリップ注入管44が、加圧注入用プレート4
5を介して接続されている。
そして、前記注入口43aの内周面には、例えば、ポリ
ビニールアルコール水溶液の高濃度剤等の塗布後にスリ
ップと接触して一定時間経過すると溶解して消失する着
肉防止剤の塗布膜46が形成されている。
セラミック製ピストンを鋳造成形するには、スリップ注
入管44を介して前記キャビティ42a内にスリップを
加圧注入して着肉工程を行なう(第5図の参照)。
そして、着肉層が徐々に厚くなるとともに緻密化が進行
し、一定時間が経過して着肉工程の後半になると、キャ
ビティ42a内に面している各石膏面の吸水性が低下
し、前記注入口43aに臨む部分に、着肉の不充分な箇
所eが残るが、前記注入口43aの内周面に形成されて
いた着肉防止剤の塗布膜46が、スリップと接触して一
定時間経過した着肉工程の後半になると溶解して消失
し、注入口43aの内周に、吸水性の高い新たな石膏面
が露出する。
したがって、この注入口43aの内周の石膏面に、着肉
工程の後半において、集中的に着肉層が形成されるとと
もに、注入口43a付近の着肉層の緻密化が促進され
る。
そして最終的には、注入口43aの下端に着肉の不充分
な箇所e′が残るが、成形品Sとなるキャビティ43a
内には緻密な着肉層が形成されて着肉工程が完了する
(第6図の参照)。
着肉工程が完了した後、前記両実施例場合と同様にスリ
ップの供給を停止し、次いで成形型41を分割して成形
体を脱型し、成形体の下部で、前記注入口43a内にお
いて着肉され、着肉の不充分な箇所e′が形成されてい
る成形体の下部の小径部分を、第6図に示す破線fで切
断し、除去して成形品Sを得ることができる。得られた
成形品Sは、切断面にも緻密な着肉層が形成されている
ため、乾燥時や焼成時にクラックが発生せず、欠陥のな
いセラミック製ピストンを完成することができる。
なお、着肉工程の後半において着肉防止剤の塗布膜46
を溶解・消失させる時期は、成形品の寸法や形状、ある
いはスリップの成分等により異るため、試験等を行なっ
て最適な時期に溶解・消失するように、着肉防止剤の種
類,濃度あるいは塗布膜の厚み等を決定する。
なお、上記各実施例においては、この発明の方法を加圧
注入鋳造方法に適用したの場合について説明したが、真
空鋳造方法や、大気圧下で行なう通常の鋳造方法の場合
においても好適に実施することができる。
発明の効果 以上説明したようにこの発明のスリップキャスティング
成形方法は、注入口を媒液非吸収性に維持して前記成形
型内にスリップを注入するとともに、スリップの注入終
了以前でかつ着肉工程の後半に、成形型の注入口部分に
媒液吸収性に富む新たな着肉面を露出させて注入口付近
の着肉を行なうので、着肉不良の部分とともに切除する
注入口付近の着肉層が緻密に成形され、成形品の切断面
の粒子密度が均一となるので、乾燥、焼成等の後工程で
のクラック等の欠陥発生を大幅に減少させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図はこの発明の方法の実施例を示すも
ので、第1図は第1実施例における着肉工程後半の状態
を示す縦断面図、第2図は同じく着肉工程完了時の状態
を示す縦断面図、第3図は第2実施例における着肉工程
後半の状態を示す縦断面図、第4図は同じく着肉工程完
了時の状態を示す縦断面図、第5図は第3実施例におけ
る着肉工程後半の状態を示す縦断面図、第6図は同じく
着肉工程完了時の状態を示す縦断面図、第7図ないし第
9図は従来例をそれぞれ示す説明図である。 21,31,41……成形型、22,32,42……石
膏型、22a,32a,42a……キャビティ、23,
33,43……石膏蓋、23a,33a,43a……注
入口、24,34,44……スリップ注入管、26……
パイプ収納部、27……樹脂パイプ、38……吸水蓋、
46……着肉防止剤の塗布膜。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料粉末を媒液中に分散させたスリップ
    を、媒液吸収性を有する成形型内に注入口から注入して
    セラミック部品用成形体を得るスリップキャスティング
    成形方法において、注入口を媒液非吸収性に維持して前
    記成形型内にスリップを注入するとともに、スリップの
    注入終了以前でかつ着肉工程の後半に、成形型の注入口
    部分に媒液吸収性に富む新たな着肉面を露出させて注入
    口付近の着肉を行なうことを特徴とするスリップキャス
    ティング成形方法。
JP9970388A 1988-04-22 1988-04-22 スリップキャスティング成形方法 Expired - Lifetime JPH0615162B2 (ja)

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