JPH0614622U - 伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置に係り、シー
ル性の向上、腐食防止効果の向上等を図る。 【構成】 熱交換器に設けられた貫通孔に形成される雌
ネジおよびその奥側に位置するテーパ内面と、プラグに
形成された雄ネジおよびその前方の柱状部に外嵌するＯ
リングをプラグの長手方向に係合するＯリング係合部
と、貫通孔とプラグとの間隙をＯリングが密封状態に閉
塞する位置にてプラグの進行を停止させるストッパ手段
とを具備しており、Ｏリングをテーパ内面に接触させて
プラグの傾きを防止するとともに、雄ネジおよび雌ネジ
を熱交換器内部を流通する流体から隔離状態に保持す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置に係り、特に、プロセス流体が挿通 させられる部分に形成された検査用の貫通孔を閉塞する技術に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

原子力や石油プラント等の関連施設で使用される各種の熱交換器の中で、空気 等の気体を冷却媒体としている形式のものは、熱交換効率を向上させるために、 複数の伝熱管を冷却媒体の挿通させられる熱交換部に配設して使用することが多 い。これらの伝熱管は、図２に示すように、それぞれマニホールド１に溶接等に よって接合されており、該マニホールド１を通して流通する被冷却媒体を該マニ ホールド１から分配およびマニホールド１に合流されるように流通して、その流 通の間に熱交換を実施するようになっている。

【０００３】 ところで、このような伝熱管２にあっては、内部を流通する被冷却媒体および 外部を流通する冷却媒体の温度差によって、前記マニホールド１との接合部３の 健全性が損われることが考えられるので、当該接合部３を定期的に、あるいは、 必要に応じて検査する必要がある。このため、マニホールド１の伝熱管２との接 合部３に対向する壁面には、図２に示すように製作用および検査用の探触子（図 示略）等を挿入する貫通孔４がそれぞれ設けられており、熱交換器使用時には、 図３に示すようなプラグ５によって閉塞状態に保持するとともに、製作時および 検査時にあっては、該プラグ５を貫通孔４から取外して該貫通孔４を開口させる ことにより、自動溶接機あるいは探触子等の挿入を実施するようにしている。

【０００４】 このプラグ５は、例えば、前記貫通孔４に形成された雌ネジ４ａに螺合する雄 ネジ５ａを挿入方向の前方に有する六角ボルトであって、六角頭５ｂと前記マニ ホールド１の外壁面に形成された座６との間にリング状のガスケット等のシール 部材７を挟むことによって、該貫通孔４を気密状態に保持するようになっている 。

【０００５】

【考案が解決しようとする問題点】

しかしながら、このような閉塞装置であると、プラグ５を貫通孔４に螺合する 際に、該プラグ５の回転によってシール部材７に回転力を伝達しながら圧縮する ため、シール部材７を破損する等、シール性の悪化をもたらすことがあった。ま た、その構造上、シール部材７をネジ４ａ・５ａの外側に配置しているので、該 ネジ４ａ・５ａにマニホールド１内部の被冷却媒体が直接接触することになり、 隙間が形成されることによって、この部分が腐食される現象を生じることがあっ た。

【０００６】 本考案は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、熱交換器に設けられ た貫通孔４の閉塞装置において、シール性の向上、腐食防止効果の向上等を図る ことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、熱交換器に配設され雌ネジを有する貫 通孔に雄ネジを有するプラグを螺合することにより該貫通孔を密封状態に閉塞す る装置であって、貫通孔には、プラグの挿入方向に沿って雌ネジよりも奥側位置 に奥側に向かって縮径するテーパ内面が形成され、前記プラグには、雄ネジの前 方位置にＯリングを外嵌させる柱状部が設けられるとともに、該柱状部に、Ｏリ ングをプラグの長手方向に係合して前記テーパ内面に圧接させるＯリング係合部 が長手方向に間隔をおいて形成され、貫通孔とプラグとの間には、その相互間隙 をＯリングが密封状態に閉塞する位置にてプラグの進行を停止させるストッパ手 段が配設されている伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置を提案している。

【０００８】

【作用】

本考案に係る伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置によると、プラグを貫通孔に螺合 して締め込むと、プラグの前部に外嵌するＯリングが貫通孔の内部に形成された テーパ内面に、プラグの締め込みの進行とともに近接させられる。Ｏリングは、 プラグに形成されたＯリング係合部によって長手方向への移動を制限されるので 、テーパ内面との間に挟まれ圧縮される。そして、Ｏリングの最適な変形位置に て、ストッパ手段が作用して、プラグの締め込みの進行が停止され、テーパ内面 とプラグとの間隙がネジの奥側において密封状態に閉塞されることになる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案に係る伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置の一実施例について、図１ を参照して説明する。図において、符号１０はマニホールド壁、１１は貫通孔、 １１ａは雌ネジ、１１ｂはテーパ内面、１１ｃは座グリ、１２はプラグ、１２ａ は雄ネジ、１２ｂは先端柱状部、１２ｃは段部（Ｏリング係合部）、１２ｄはプ ラグ頭部、１２ｅは六角穴、１３はＯリング、１４はストッパ手段である。

【００１０】 本考案の閉塞装置は、マニホールド壁１０に形成された貫通孔１１を気密状態 に閉塞するものであって、貫通孔１１と該貫通孔１１に締結されるプラグ１２と よりなる。

【００１１】 前記貫通孔１１は、マニホールド壁１０を貫通して形成されており、図１に示 すように、マニホールド壁１０外側方向の内面に雌ネジ１１ａが形成され、マニ ホールド壁１０内側方向の内面に、内側に向かって縮径するテーパ内面１１ｂが 形成されている。また、貫通孔１１の外側縁部には、後述するプラグ頭部を突き 当てる座グリ１１ｃが形成されている。

【００１２】 前記プラグ１２は、前記貫通孔１１の雌ネジ１１ａに螺合する雄ネジ１２ａと 、該雄ネジ１２ａの前方に形成される雄ネジ１２ａより小径の円筒状の先端柱状 部１２ｂと、前記雄ネジ１２ａの後方に形成される雄ネジ１２ａより大径の円筒 状のプラグ頭部１２ｄとを具備している。該プラグ頭部１２ｄには、後端面にプ ラグを締結するための六角穴１２ｅが形成され、前記貫通孔１１に形成された座 グリ１１ｃとともに、プラグ１２の貫通孔１１への締結深さを決定するストッパ 手段１４が構成されている。

【００１３】 前記先端柱状部１２ｂには、該先端柱状部１２ｂをプラグ１２の前方に向かっ て２段階に縮径する２箇所の段部１２ｃが形成されており、該段部１２ｃによっ て形成される円筒面に、２個のＯリング１３がそれぞれ外嵌されるようになって いる。これらの段部１２ｃは、前記貫通孔１１のテーパ内面１１ｂがマニホール ド壁１０の内側に向かって縮径する割合と同等の割合で先端柱状部１２ｂを縮径 するように形成されており、該段部１２ｃに係合される２個のＯリング１３が、 テーパ内面１１ｂに同時に接触するようになっている。

【００１４】 このように構成された貫通孔１１の閉塞装置により貫通孔１１を閉塞するには 、前記プラグ１２の先端柱状部１２ｂにＯリング１３を外嵌させ、２箇所の段部 １２ｃにそれぞれ係合させた状態で、プラグ１２の雄ネジ１２ａと貫通孔１１の 雌ネジ１１ａとを螺合させる。そして、プラグ頭部１２ｄに形成された六角穴１ ２ｅに六角レンチ（図示略）を差込んでプラグ１２の貫通穴１１への締結を進行 させる。すると、プラグ１２に外嵌するＯリング１３が貫通穴１１のテーパ内面 １１ｂに近接させられることになる。Ｏリング１３は、プラグ１２の先端柱状部 １２ｂに形成された段部１２ｃに係合されることによって、プラグ１２の挿入方 向への移動が制限されているので、プラグ１２の締結の進行とともに、テーパ内 面１１ｂに接触させられ、該テーパ内面１１ｂと段部１２ｃとの間に挟まれて圧 縮させられることになる。

【００１５】 そして、プラグ頭部１２ｄと座グリ１１ｃとが当接する位置までプラグ１２を 締結することにより、テーパ内面１１ｂと段部１２ｃとの間に挟まれたＯリング １３が、マニホールド壁１０内部を流通する被冷却媒体を密封する最適な状態に 圧縮させられることになる。

【００１６】 ここで、Ｏリング１３が接触させられる面がテーパ内面１１ｂであることによ って、Ｏリング１３には、プラグ１２の回転による捩り力が急激に作用すること が回避されることになる。また、先端柱状部１２ｂに外嵌する２個のＯリング１ ３は、貫通孔１１のテーパ内面１１ｂに同時に接触するので、プラグ１２と貫通 孔１１とが、同芯状態に締結されるように、プラグ１２の進行を案内する。すな わち、雄ネジ１２ａと雌ネジ１１ａの間に存在するガタによって、プラグ１２が 傾いて螺合された場合には、Ｏリング１３がテーパ内面１１ｂに片あたりしてシ ール性が低下することが考えられるため、２個のＯリング１３を配することによ り、プラグ１２の傾きを低減して片あたりを防止する効果が得られることになる 。

【００１７】 このように構成された貫通孔１１の閉塞装置であると、プラグ１２と貫通孔１ １との間隙を閉塞する箇所が、該プラグ１２および貫通孔１１に形成された雄ネ ジ１２ａおよび雌ネジ１１ａの位置よりマニホールド壁１０の内側方向に位置す るため、マニホールド１０内を流通させられる被冷却媒体がネジ１１ａ・１２ａ に接触しないように隔離されることになる。この結果、冷却媒体とネジ１１ａ・ １２ａとの接触が回避され、ネジ１１ａ・１２ａの腐食を防止して、プラグ１２ および貫通孔１１に形成されたネジ１１ａ・１２ａの耐久性を向上することがで きる。

【００１８】 なお、本実施例においては、閉塞装置をマニホールド壁１０に形成された貫通 孔１１に適用する場合を示したが、これに代えて、従来、フランジを使用して閉 塞していた配管端部に適用することにより、フランジを削除して、省スペースを 実現することができる。また、Ｏリング１３およびプラグ１２に形成したＯリン グ係合部１２ｃを任意の数に設定することができる。さらに、プラグ１２の先端 柱状部１２ｂに段部１２ｃを設け、該段部１２ｃにＯリング１３を係合して、テ ーパ内面１１ｂに圧接することとしたが、これに代えて、先端柱状部１２ｂをテ ーパ内面１１ｂと同程度の勾配のテーパ面に形成し、その表面にＯリング溝を設 けてもよい。

【００１９】

【考案の効果】

以上、説明したように、本考案に係る伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置にあって は、貫通孔に形成された雌ネジおよびその奥側に位置するテーパ内面と、プラグ に形成された雄ネジおよびその前方の柱状部に外嵌するＯリングをプラグの長手 方向に係合するＯリング係合部と、Ｏリングが貫通孔とプラグとの間隙を密封状 態に閉塞する位置にてプラグの進行を停止させるストッパ手段とを具備している ので、以下の優れた効果を奏する。 （１） プラグと貫通孔とを締結するネジの奥側において、該プラグと貫通孔と の間隙が閉塞されるので、ネジの腐食が防止され、耐久性を向上することができ る。 （２） プラグに外嵌する２箇所以上のＯリングを貫通孔のテーパ面に接触させ るので、貫通孔に挿入されるプラグの傾きが低減され、Ｏリングの片あたりが防 止されて、シール性を向上することができる。 （３） Ｏリングがテーパ面によって徐々に圧縮されるので、プラグの回転力が Ｏリングに急激に作用することがなく、Ｏリングの健全性を確保することができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置の
一実施例を示す正断面図である。

【図２】熱交換器のマニホールドにおける伝熱管検査用
貫通孔の閉塞装置の従来例を示す縦断面図である。

【図３】図２の伝熱管検査用貫通孔の閉塞装置を示す拡
大断面図である。

【符号の説明】

１ マニホールド ２ 伝熱管 ３ 接合部 ４ 貫通孔 ４ａ 雌ネジ ５ プラグ ５ａ 雄ネジ ５ｂ 六角頭 ６ 座 ７ シール部材 １０ マニホールド壁 １１ 貫通孔 １１ａ 雌ネジ １１ｂ テーパ内面 １１ｃ 座グリ １２ プラグ １２ａ 雄ネジ １２ｂ 先端柱状部（柱状部） １２ｃ 段部（Ｏリング係合部） １２ｄ プラグ頭部 １２ｅ 六角穴 １３ Ｏリング １４ ストッパ手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器に配設され雌ネジを有する貫通
   孔に雄ネジを有するプラグを螺合することにより該貫通
   孔を密封状態に閉塞する装置であって、貫通孔には、プ
   ラグの挿入方向に沿って雌ネジよりも奥側位置に奥側に
   向かって縮径するテーパ内面が形成され、前記プラグに
   は、雄ネジの前方位置にＯリングを外嵌させる柱状部が
   設けられるとともに、該柱状部に、Ｏリングをプラグの
   長手方向に係合して前記テーパ内面に圧接させるＯリン
   グ係合部が長手方向に間隔をおいて形成され、貫通孔と
   プラグとの間には、その相互間隙をＯリングが密封状態
   に閉塞する位置にてプラグの進行を停止させるストッパ
   手段が配設されていることを特徴とする伝熱管検査用貫
   通孔の閉塞装置。