JPH0614606Y2 - ヘッドレスト構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シートバック上端部にヘッドレストスティに
より上下動自在に支持されるヘッドレスト構造の改良に
関する。

〔従来の技術〕

一般に、車両用シート等にあっては、シートバック上端
部に、着座者の頭部を背面側から支持するヘッドレスト
が、ヘッドレストスティを介して上下動可能に設けられ
ている。

従来のヘッドレストにおいては、その本体部から垂下さ
せた左、右一対をなすヘッドレストスティなどを、シー
トバック上端部側でシートバックフレーム等に設けた樹
脂製のスティホルダ側にそれぞれ挿入させて保持するこ
とで上下動可能に支持させており、かつこれらスティを
挿抜しながら上下方向の高さ位置を調整するとともに、
前記ホルダの一方側などに設けた外部操作用のレバー等
によりロック爪等のロック機構を作動させ、適宜の高さ
位置で係止固定し得るような構成とされていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した従来のヘッドレスト構造によれ
ば、一方のホルダ側でスティに形成した係止溝等をロッ
ク爪等でロックする構成であり、このようなロック機構
やこれをロックまたはロック解除するための外部からの
操作用のレバーなどを必要とし、これら各部の構成が複
雑で組立性に問題があり、コスト高を招くばかりでな
く、ロック時において片側からのロックであるためにが
た付きを生じ易いという問題があった。

特に、上述した従来構造では、ヘッドレストの高さ位置
を上下動させて調整するにあたって、上述したホルダ側
に付設したロック機構等の外部からの操作用レバー等が
必要で、この外部操作用レバー等の付設位置等が問題と
なっている。

すなわち、レバー等を操作し易い位置に設けた場合に
は、シート全体の外観を損なう虞れがあり、また外観性
を考慮して付設すると、レバー位置を確認し難く、しか
も付設位置によっては、着座状態では操作し難いといっ
た操作性の面から不便さを生じるものであった。

さらに、上述した従来構造では、レバー等を片手で解除
操作しながら、もう一方の片手でヘッドレストを上下方
向に移動調整するという面倒な操作を必要とするもの
で、調整操作性の面から問題で、このような点を考慮し
前述した問題点を一掃し得る何らかの対策を講じること
が望まれている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るヘッドレス
ト構造は、シートバック上端側に立設して設けられ左、
右スティ部を有するヘッドレストスティと、このヘッド
レストスティの左、右スティ部に夫々嵌挿される左、右
スティホルダを有し上下動可能に支持されるヘッドレス
ト本体を備えてなり、前記左、右スティ部の長手方向に
所定間隔をおいて複数段のストッパ溝を切欠き形成する
とともに、これら各段のストッパ溝に対し選択的に係止
される左、右のロックプレートを、前記左、右のスティ
ホルダに対し長手方向に直交する方向に可動可能に設
け、かつこれら左、右のロックプレートの一部に係合す
る左、右の係止端を有しこれら左、右の係止端を左、右
のロックプレートのロック方向である外側に通常時付勢
する扁平な逆台形状を呈するロック操作用のスプリング
手段を、前記ヘッドレスト本体の底部に設け、このスプ
リング手段の中央部下側部分を、前記ヘッドレスト本体
の底部側から上方に押圧操作し前記左、右の係止端によ
り左、右のロックプレートを係止解除方向である内側に
可動させるように構成したことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、扁平な逆台形状を呈するロック操作用
のスプリング手段の一対をなす左、右の係止端で左、右
のスティホルダ内の左、右のロックプレートをロック方
向である外側に付勢し、ヘッドレストスティの左、右ス
ティ部に長手方向に複数段にわたって切欠き形成したス
トッパ溝の任意の段に係入させることにより、ヘッドレ
スト本体を所要の高さ位置でロック保持し得るととも
に、ヘッドレスト本体の底部側で扁平な逆台形状を呈す
るスプリング手段の中央部下側部分を上方に押圧操作
し、スプリング手段の左、右の係止端により左、右のロ
ックプレートを係止解除方向である内側に可動させ、
左、右のスティ部の各段のストッパ溝から離脱させ、か
つヘッドレストを上下方向に移動調整しながら、次段の
ストッパ溝に順次間欠的に係入させることで、左右のス
ティ部に対して所定の高さ位置にヘッドレストを移動調
整しロックし得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳細に説明
する。

第１図ないし第３図は本考案に係るヘッドレスト構造の
一実施例を示すものであり、これらの図において、全体
を符号１で示すヘッドレスト本体は、第３図から明らか
なように、シート２のシートバック３上端側から立設し
て設けられている左、右スティ部１０ａ，１０ｂを有す
る下向きコ字状等を呈するヘッドレストスティ１０（後
述する）により上下方向に可動調整自在な状態で支持さ
れている。

なお、この第３図中４はシートクッションで、その後端
側に前記シートバック３が立設して設けられることで、
車両用シート２等が構成されることは周知の通りであ
る。

第１図および第２図には、ヘッドレスト本体１をシート
バック３上端側で上下動可能に支持させる要部構成が示
されており、シートバック３上端部側にヘッドレストス
ティ１０の左、右スティ部１０ａ，１０ｂが固定的に立
設されている。

前記左、右のスティ部１０ａ，１０ｂの長手方向（上下
方向）に所定間隔をおいて複数段のストッパ溝１１，１
１が夫々切欠き形成されている。

これら左、右のスティ部１０ａ，１０ｂの各段のストッ
パ溝１１，１１に対し選択的に係止される左、右一対を
なすロックプレート１２，１２が前記左、右スティ部１
０ａ，１０ｂを上下動可能に支持するようにヘッドレス
ト本体１内に設けた樹脂製のスティホルダ１３，１３の
長手方向に直交する方向に可動可能に設けられている。

ロック操作用スプリング手段としてのワイヤスプリング
１４は扁平な略逆台形状に形成され、左、右のロックプ
レート１２，１２の一部に係合する傾斜面からなる両側
部の係止端１４ａ，１４ｂを有する。

ワイヤスプリング１４の両側部の係止端１４ａ，１４ｂ
は左、右のロックプレート１２，１２をロック方向であ
る外側に付勢する。このロック操作用スプリング手段と
してのワイヤスプリング１４はヘッドレスト本体１の底
部に設けられている。

前記ワイヤスプリング１４の中央部下側部分１４ｃを、
ヘッドレスト本体１の底部側から上方に押圧操作し左、
右の係止端１４ａ，１４ｂでロックプレート１２，１２
を係止解除方向である内側に夫々可動させ得るようにな
されている。

なお、第１図および第２図では、片側のスティ部１０ｂ
側のみを図示している。また、図中１５は前記ロックプ
レート１２の内方端側に穿設された係合孔、１５ａはこ
の係合孔１５を形成するように切起された係合片であ
る。

この係合片１５ａは斜め内側に傾斜して突設された逆台
形状のワイヤスプリング１４の左、右の係止端１４ａ，
１４ｂの動きをガイドするとともに、これら傾斜面から
なる左、右の係止端１４ａ，１４ｂの傾斜面の動きでロ
ック方向への動きが適切かつ確実に伝わるように構成さ
れている。

ここで、上述したワイヤスプリング１４は、左、右の係
止端１４ａ，１４ｂが、ロックプレート１２，１２に対
しロック方向への動きを作用させるように形成されてい
る。

さらに、図中１６はヘッドレスト本体１を構成するヘッ
ドレストパネルで、このパネル１６の底部中央部は、本
体１内側に凹設して形成されている。

そして、前記ワイヤスプリング１４の中央部下側部分１
４ｃは、第１図に示されるように、ヘッドレスト本体１
の底部側において凹設して形成されたヘッドレスト本体
パネル１６の凹陥部１６ａ内に臨んで配置されている。

前記凹陥部１６ａは本体１を構成するトリムカバー１７
により覆われ、スプリング１４等が外部から見えない構
成するとよい。

しかし、これに限定されず、このワイヤスプリング１４
の中央部下側部分１４ｃを、ヘッドレスト本体１の外側
に露呈させて設け、これを直接外部操作可能に構成して
もよいことは勿論である。

なお、図中１６ｂはワイヤスプリング１４の横ずれ等を
防ぎ所定姿勢で案内するパネル１６に穿設された溝部で
ある。

そして、このような構成によれば、ロック用ワイヤスプ
リング１４の付勢力によって左、右一対をなす係止端１
４ａ，１４ｂを介して左、右のロックプレート１２，１
２が、ヘッドレストスティ１０の左、右スティ部１０
ａ，１０ｂで長手方向に複数段にわたって切欠き形成さ
れているストッパ溝１１，１１の任意の段に左、右のホ
ルダ１３，１３内で係入されることで、ヘッドレスト本
体１が所要の高さ位置でロック保持される。

また、ヘッドレスト本体１の底部側を押圧操作し、凹陥
部１６ａ内のスプリング中央部下側部分１４ｃを上方に
押圧し、持上げると、左、右の係止端１４ａ，１４ｂが
上方に移動し、係止端１４ａ，１４ｂの傾斜面により、
左、右のロックプレート１２，１２が係止解除方向であ
る内側（第２図中矢印ａで示す方向）に可動される。

左、右の各段のストッパ溝１１，１１から左、右のロッ
クプレート１２，１２を離脱させてロック状態を外し、
かつヘッドレスト１を上下方向に移動調整しながら次段
のストッパ溝１１，１１に順次間欠的に係入させること
で所定の高さ位置にヘッドレスト本体１を移動調整し得
るものである。

したがって、このような構成によれば、ヘッドレスト本
体１の底部側に設けた逆台形状のスフリング１４の中央
部下側部分１４ｃを上方に押圧操作しながらヘッドレス
ト本体１を上下動させるだけで、スプリング１４の傾斜
面からなる左、右の各係止端１４ａ，１４ｂにより左、
右のロックプレート１２，１２の係止状態を解除し、簡
単かつ適切にその高さ位置を可動調整することができ
る。

またヘッドレストスティ１０の左、右スティ部１０ａ，
１０ｂを、夫々係止する左、右一対の係止端１４ａ，１
４ｂを有する両側ロックタイプのスプリング１４を用い
ているために、片側ロック時におけるがた付きといった
問題も少なくなる。

特に、本考案によれば、単純な形状によるワイヤスプリ
ング（板ばね等であってもよい）１４をロック手段とし
て用い、その弾撥力を利用してロックプレート１２，１
２によるロック圧を得ているものであり、ロック構成を
始め各部の構成を簡素化し組立性を向上させ得るととも
に、小型、軽量、低コスト化が図れる等の利点がある。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定されず、ヘッ
ドレスト本体１やシートバック３各部の形状、構造など
を、必要に応じて適宜変形、変更することは自由であ
り、種々の変形例が考えられよう。たとえば左、右のス
ティ部１０ａ，１０ｂ側のストッパ溝の数やこれに係止
される傾斜面からなる側部の係止端１４ａ，１４ｂを有
するワイヤスプリング１４や板ばねなどによるスプリン
グ手段の形状等としても種々の変形例が考えられよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るヘッドレスト構造によ
れば、左、右スティ部の長手方向に所定間隔をおいて複
数段のストッパ溝を切欠き形成するとともに、これら各
段のストッパ溝に対し選択的に係止される左、右のロッ
クプレートを、前記左、右のスティホルダに対し長手方
向に直交する方向に可動可能に設け、かつこれら左、右
のロックプレートの一部に係合する左、右の係止端を有
しこれら左、右の係止端を左、右のロックプレートのロ
ック方向である外側に通常時付勢する扁平な逆台形状を
呈するロック操作用のスプリング手段を、前記ヘッドレ
スト本体の底部に設け、このスプリング手段の中央部下
側部分を、前記ヘッドレスト本体の底部側から上方に押
圧操作し前記左、右の係止端により左、右のロックプレ
ートを係止解除方向である内側に可動させるように構成
したので、必要最小限の部品点数による簡単かつ安価な
構成にもかかわらず、簡単かつ適切にその高さ位置を可
動調整することができ、外観性や操作性の面で問題であ
った外部操作手段を不要とすることができるという実用
上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るヘッドレスト構造の一実施例を示
す要部を拡大した概略斜視図、第２図はその動作説明
図、第３図は本考案を適用してなるシート構造を示す概
略斜視図である。 図中、１……ヘッドレスト本体、３……シートバック、
１０……ヘッドレストスティ、１０ａ，１０ｂ……左、
右スティ部、１１……ストッパ溝、１２，１２……ロッ
クプレート、１３，１３……スティホルダ、１４……ワ
イヤスプリング（ロック用スプリング手段）、１４ａ，
１４ｂ……係止端、１５……係合孔、１５ａ……係合
片、１６……ヘッドレスト本体パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバック上端側に立設して設けられ
   左、右スティ部を有するヘッドレストスティと、このヘ
   ッドレストスティの左、右スティ部に夫々嵌挿される
   左、右スティホルダを有し上下動可能に支持されるヘッ
   ドレスト本体を備えてなり、前記左、右スティ部の長手
   方向に所定間隔をおいて複数段のストッパ溝を切欠き形
   成するとともに、これら各段のストッパ溝に対し選択的
   に係止される左、右のロックプレートを、前記左、右ス
   ティホルダに対し長手方向に直交する方向に可動可能に
   設け、かつこれら左、右のロックプレートの一部に係合
   する左、右の係止端を有しこれら左、右の係止端を左、
   右のロックプレートのロック方向である外側に通常時付
   勢する扁平な逆台形状を呈するロック操作用のスプリン
   グ手段を、前記ヘッドレスト本体の底部に設け、このス
   プリング手段の中央部下側部分を、前記ヘッドレスト本
   体の底部側から上方に押圧操作し前記左、右の係止端に
   より左、右のロックプレートを係止解除方向である内側
   に可動させるように構成したことを特徴とするヘッドレ
   スト構造。