JPH06145649A - 乾式摩擦材 - Google Patents

乾式摩擦材

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JPH06145649A
JPH06145649A JP30376292A JP30376292A JPH06145649A JP H06145649 A JPH06145649 A JP H06145649A JP 30376292 A JP30376292 A JP 30376292A JP 30376292 A JP30376292 A JP 30376292A JP H06145649 A JPH06145649 A JP H06145649A
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和也 森田
Harunobu Kani
春伸 可児
Mikio Harada
幹雄 原田
Teruo Matsukawa
照夫 松川
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Aisin Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低回転・軽負荷域から高回転・高負荷域まで
の全ての領域における耐摩耗性を向上する。 【構成】 繊維基材であるガラス繊維及び黄銅線、樹脂
結合剤であるフェノール樹脂、SBRに各種充填剤を配
合したゴムに、錫と銅の合金と、ポリイミド樹脂をそれ
ぞれ摩擦材総量に対して2〜20重量%、0.5〜5重
量%含有させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、産業機械などの
クラッチフェーシング、ブレーキライニングなどとして
使用される乾式摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のクラッチフェーシン
グなどの乾式摩擦材には、耐熱性、耐摩耗性、安定した
摩擦特性などが要求される。そこで、これらの各種の特
性を満足させるため、乾式摩擦材は複合材料によって構
成している。即ち、乾式摩擦材は、ガラス繊維などの繊
維基材、硫酸バリウム、カーボンブラック等の充填剤を
配合したゴム、フェノール樹脂等の樹脂結合剤、各種添
加剤などにより構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、自動
車の高性能化、長期保証化に伴い、クラッチフェーシン
グなどの乾式摩擦材にも、低回転・軽負荷から高回転・
高負荷に至るまでの幅広い使用条件で適合でき、長寿命
化を図れることが強く望まれている。
【0004】そこで、例えば、特開平4−95622号
公報には、高回転域においても高い摩擦係数を付与し、
また、クラックの発生を防止するため、樹脂結合剤をフ
ェノール系樹脂とポリイミド樹脂とで構成する技術が開
示されている。
【0005】また、特願平3−275393号の出願で
は、軽負荷、中負荷域での耐摩耗性を向上させるため、
錫と高融点・低硬度の金属との合金を配合する技術が提
案されている。
【0006】しかし、ポリイミド樹脂配合では低回転・
軽負荷域での耐磨耗性向上は見られるが高回転・高負荷
域での向上は見られない。一方、錫合金では低中回転・
軽中負荷域での耐磨耗性向上は見られるが高回転域での
向上は見られない。
【0007】そこで、本発明は、低回転・軽負荷から高
回転・高負荷までの全ての領域において耐摩耗性を向上
できる乾式摩擦材の提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる乾式摩擦
材は、少なくとも繊維基材、樹脂結合剤及びゴムからな
る乾式摩擦材において、錫を含み、融点が500℃以
上、モース硬度が4以下の合金を摩擦材総量に対して2
〜20重量%含有し、かつ、ポリイミド樹脂を同じく
0.5〜5重量%含有するものである。
【0009】ここで、錫合金としては、錫と高融点・低
硬度の金属との合金、例えば、錫と銅との合金、或い
は、この合金に更にニッケル、アンチモン、亜鉛などの
金属を加えた合金を挙げることができる。錫合金は粉末
状にして添加するのが好ましい。なお、錫単独では融点
が232℃と低く、添加するには適しない。
【0010】繊維基材としては、ガラス繊維、ロックウ
ール、シリケート繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウ
ム繊維、カーボン繊維等の無機繊維、芳香族ポリアミド
繊維、ノボロイド繊維等の有機繊維、黄銅線、銅線、ス
チール繊維、ステンレススチール繊維等の金属繊維など
を使用できる。
【0011】樹脂結合剤には、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、メラミン樹脂などを使用できる。
【0012】ゴムはSBR(スチレンブタジエンゴ
ム)、NBR(ニトリルゴム)等のゴム材に、硫酸バリ
ウム、活性亜鉛華、カーボンブラック、カシューダス
ト、硫黄、加硫促進剤などの充填剤を配合して得られ
る。
【0013】
【作用】本発明においては、錫を含み、融点が500℃
以上、モース硬度が4以下の合金を摩擦材総量に対して
2〜20重量%含有するので、低中回転・軽中負荷域の
耐摩耗性が高くなる。そして、ポリイミド樹脂を同じく
0.5〜5重量%含有するので、耐熱性が向上し、前記
錫合金との相乗効果、つまり、ポリイミド樹脂により高
回転・高負荷での材料間結合力が増し、錫合金の保持力
が増したことにより、高回転・高負荷域においても耐磨
耗性向上効果が維持される。
【0014】ここで、錫合金は融点を500℃以上とし
ているので、高負荷域において摩擦熱により合金が溶融
して性状が変化するのを防止できる。また、モース硬度
を4以下としているので、相手材攻撃性が悪化するのを
防止できる。錫合金の含有量は、2重量%より少ないと
添加した効果が得られず、20重量%を越えると強度の
低下、比重の増大、コストアップとなる。
【0015】ポリイミド樹脂は、0.5重量%より少な
いと耐熱効果が得られず、5重量%を越えるとバースト
強度が低下する。また、錫合金の耐磨耗性向上効果を全
域で活かすため合金の保持力を増すと良い。そのため、
合金の粒度は細かい方が良く、できれば50μm以下が
望ましい。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例の乾式摩擦材をクラッ
チフェーシングに適用した場合について説明する。
【0017】本発明の実施例及び比較例のクラッチフェ
ーシングの組成を図1に示す。
【0018】図1は本発明の実施例及び比較例のクラッ
チフェーシングの組成及び性能を示す表図である。
【0019】まず、実施例1のクラッチフェーシング
は、かさ高加工された6μmのガラス繊維31重量%
に、ポリイミド樹脂粉末(ローヌ・プーラン製)1.3
重量%とフェノール樹脂9.7重量%の懸濁液を含浸さ
せ、次いで、黄銅線3重量%を合わせた。そして、SB
R30重量%、硫酸バリウム30重量%、活性亜鉛華7
重量%、カーボンブラック13重量%、カシューダスト
9重量%、硫黄10重量%、加硫促進剤1重量%からな
る配合ゴム48重量%に、錫合金粉末7重量%を添加し
たものを付着させた。錫合金は錫成分を30重量%含有
する銅との合金であり、融点は750℃、モース硬度は
2.5である。
【0020】次に、これをリング状に巻き取り、金型内
に配置して圧力160kg/cm2 、温度160℃の条件で
加熱加圧成形し、熱処理した後、所定の厚さに研磨して
クラッチフェーシングを得た。
【0021】同様にして、図1に示す組成で、実施例2
乃至実施例6及び比較例のクラッチフェーシングを作製
した。
【0022】例えば、実施例2はポリイミド樹脂の配合
量を少なくしたものであり、実施例3はその配合量を多
くしたものである。また、比較例1はポリイミド樹脂、
銅−錫合金いずれも含有しないもの、比較例2はポリイ
ミド樹脂を、比較例3は錫合金を加えないものである。
【0023】上記により得られた各クラッチフェーシン
グについて摩耗率、フェード時最小摩擦係数、バースト
強度を測定し、評価を行なった。
【0024】摩擦試験は、クラッチフェーシングをフル
サイズダイナモ試験機に装着し、 低回転・軽負荷: 1500 rpm,1.6 Kg・m2 ,100
℃×10000 サイクル 中回転・中負荷: 1800 rpm,2.7 Kg・m2 ,200
℃× 4000 サイクル 高回転・高負荷: 2500 rpm,2.3 Kg・m2 ,200
℃× 2500 サイクル バースト強度は200℃の温度で測定した。
【0025】測定結果を図1の下欄に示す。
【0026】摩耗率は低回転・軽負荷、中回転・中負荷
のいずれにおいても、銅−錫合金を配合していない比較
例2及び比較例3では摩耗量が大きく、高回転・高負荷
域においては、比較例は全例大きな摩耗を示した。これ
に対して、実施例はいずれも各温度において比較例に比
し、摩耗量は顕著に小さい。比較例2と比較することに
より、ポリイミド樹脂を加えたことによって、高回転・
高負荷域における摩耗率が低下しているのが分る。
【0027】フェード時最小摩擦係数は、全体的に実施
例は比較例に比べて同等以上の値を示し、特に、比較例
では高回転・高負荷域になるに従って小さくなっている
のに対し、実施例では100〜300℃の全ての温度範
囲でほぼ一定の値を示している。
【0028】バースト強度は実施例、比較例全てにおい
てほぼ同一である。
【0029】これらの測定結果より、ポリイミド樹脂及
び銅−錫合金を加えたことによって、特に、高回転・高
負荷域での摩耗率及びフェード時最小摩擦係数が向上し
ていると言える。
【0030】そして、銅−錫合金の配合量は摩擦材総量
に対して2〜20重量%、また、ポリイミド樹脂の配合
量は摩擦材総量に対して0.5〜5重量%が実用上使用
可能な範囲であると考えられる。
【0031】このように、上記実施例の乾式摩擦材は、
繊維基材であるガラス繊維及び黄銅線、樹脂結合剤であ
るフェノール樹脂、SBRに各種充填剤を配合したゴム
に、銅と錫の合金と、ポリイミド樹脂をそれぞれ摩擦材
総量に対して2〜20重量%、0.5〜5重量%含有さ
せたものである。
【0032】したがって、上記実施例によれば、銅−錫
合金により軽負荷、中負荷域の耐摩耗性が高くなり、ま
た、ポリイミド樹脂により耐熱性が向上し、これらの銅
−錫合金とポリイミド樹脂との相乗効果によって、低回
転・軽負荷域から高回転・高負荷域に至り耐摩耗性が向
上する。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の乾式摩擦材は、
少なくとも繊維基材、樹脂結合剤及びゴムからなる乾式
摩擦材において、錫を含み、融点が500℃以上、モー
ス硬度が4以下の合金を摩擦材総量に対して2〜20重
量%含有し、かつ、ポリイミド樹脂を同じく0.5〜5
重量%含有するものである。したがって、錫合金により
軽負荷、中負荷域の耐摩耗性が高くなり、また、ポリイ
ミド樹脂により耐熱性が向上し、これらの錫合金とポリ
イミド樹脂との相乗効果によって、低回転・低負荷域か
ら高回転・高負荷域に至り耐摩耗性が向上する。この結
果、乾式摩擦材の寿命が長くなり、安定した摩擦特性を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例のクラッチフ
ェーシングの組成及び性能を示す表図である。
フロントページの続き (72)発明者 森田 和也 愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原 1141番地1 アイシン化工株式会社内 (72)発明者 可児 春伸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 原田 幹雄 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 松川 照夫 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも繊維基材、樹脂結合剤及びゴ
    ムからなる乾式摩擦材において、 錫を含み、融点が500℃以上、モース硬度が4以下の
    合金を摩擦材総量に対して2〜20重量%含有し、か
    つ、ポリイミド樹脂を同じく0.5〜5重量%含有する
    ことを特徴とする乾式摩擦材。
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