JPH06144677A - 用紙のカール低減装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルト部材に対して押圧ロールを押圧し、用
紙を急激に湾曲させて用紙のカールを修正するカール補
正装置において、押圧ロールが摺動することによる用紙
の帯電を防止できるようにする。 【構成】 カール補正装置１はベルト部材２に対して押
圧ロール５を押圧し、両部材のニップ部に用紙を挿入し
て急激に湾曲させ、カールを修正する。前記カール補正
装置１において、ベルト部材２を駆動する駆動装置２０
に対してタイミングベルト２５を介して押圧ロール５を
駆動する機構を配置し、押圧ロール５をベルト部材２と
同じ速度で駆動しながら、ベルト部材と押圧ロールとに
より用紙の搬送とカール修正作用とを行うようにする。
そして、カール補正装置において用紙に押圧ロールを摺
動させないことにより、用紙が摩擦帯電することを防止
できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子複写機等の画像形
成装置により作成されたコピーに生じたカールを修正す
る装置に関し、特に、ベルトに対して径の細いロール部
材を押圧し、用紙をカール方向と反対の方向に強制的に
曲げることにより、カールを低減させる際に、用紙の帯
電を防止し、用紙の案内の作用を良好な状態で行い得る
ようにする装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子複写機等の電子写真方式を用いる画
像形成装置において、コピーを作成する場合には、トナ
ー画像を担持する用紙を定着装置を通して、熱と圧力と
を加えた状態で定着する方式を用いている。前述したよ
うな方式を用いて作成されたコピーには、その用紙が担
持するトナー画像の密度や、用紙の種類、紙の厚さ等に
よっては、大きなカールが発生する場合がある。そし
て、カールが生じたコピーを、そのまま通常の排出トレ
イに排出する際に、用紙が用紙路内の他の部材に引っ掛
かったりして、用紙のジャムが発生することがある。ま
た、画像形成装置の排出部に、ソーター等の後処理装置
を設ける場合でも、用紙がカールしていると、ソーター
のトレイに収容できるコピーの枚数が少なくなったり、
コピーの収容性が低下する等の問題が生じる。さらに、
自動両面複写機等の装置においては、片面複写済み用紙
を裏面の複写に向けて送る際に、その搬送路の途中で紙
詰まりが発生したり、中間トレイに正確に収容されず
に、裏面の複写に支障が生じる等の問題も発生しやす
い。

【０００３】そこで、前述したような用紙のカールを解
消するために、例えば、実開平３−９７３５２号公報等
に示されるように、片面複写済み用紙を中間トレイに向
けて送る用紙路の途中に、カール除去装置を配置するこ
とが提案されている。前記従来例のカール除去装置で
は、用紙路を急激に湾曲させ、その湾曲部に小径の金属
ローラと大径の弾性ローラとを対向させて配置し、両ロ
ーラの間で用紙を急激に湾曲させる作用と、ガイド板の
湾曲部に摺動させる作用とを加えるように構成してい
る。そして、前述したようなカール除去手段を２組配置
し、用紙に対してそれぞれ反対方向に湾曲させる作用を
加えることにより、片面複写済み用紙のカールを修正す
ることができる。

【０００４】また、前記装置とは別に、例えば、特開昭
５９−１６７４５０号公報等に示されるようなカール補
正装置を用いることも行われている。前記従来例のカー
ル補正装置においては、コピーを搬送するベルトに対し
て押圧ロールを配置し、前記押圧ロールにより押圧され
るベルトに湾曲部を形成させ、該湾曲部を通過する用紙
を強制的に湾曲させる作用を加えてカールを除去する。
そして、前記押圧ロールを固定および回転可能に構成
し、定着装置から排出されるカール紙の先端部の所定の
長さの区間に対して、押圧ロールを固定させて急激に湾
曲させる作用を加えることにより、カールを修正できる
ようにされている。

【０００５】前記従来例を改良した装置として、図１
２、図１３にそれぞれ示されるように、用紙のカール低
減装置を構成することが提案されている。前記図１２に
示されるカール補正装置１では、ベルト部材２に対して
押圧ロール５を押圧し、該ベルト部材２を急激に湾曲さ
せる位置で、両部材の間に用紙を通過させるようにする
手段を用いている。前記ベルト部材２は、狭い間隔で配
置した駆動軸３と支持軸４に支持され、そのベルト部材
２の中間部を押圧ロール５が押圧する状態に構成してい
る。前記押圧ロール５を支持するリンク部材６の端部に
カム従動部材７を設け、該カム従動部材７に対して、カ
ム部材１０による押圧機構を設けている。前述したよう
に構成されるカール補正装置においては、軸１１を駆動
することにより、カム部材１０を回転させ、そのカム部
材により、押圧ロール５をベルト部材２に向けて突出す
る量を調整することにより、ベルトの湾曲の程度を設定
することができる。

【０００６】前記カール補正装置１は、図１３の斜視図
に示されるように構成されるもので、大径の駆動軸３と
小径の支持軸４とは、長い回転軸部材として構成された
ものを用いている。前記２本の軸は、駆動軸に対して略
１／２の太さの支持軸を用いており、両軸に巻き掛けら
れるベルトは巾の狭いものを多数本平行に配置し、前記
ベルト部材２……を同時に同方向に向けて駆動する。な
お、前記カール補正装置において、用紙の画像担持面は
ベルト部材２に対応する側に設定され、その用紙の裏面
から押圧ロール５により押圧するように構成している。

【０００７】前記ベルト部材２に押圧される押圧ロール
５は、小径の長い棒状の部材を用いるもので、支持軸４
の１／２程度の直径のものを使用し、該押圧ロール５の
両端部をリンク部材６、６ａの軸受部材により支持し、
回転可能に設けている。また、前記押圧ロール５に対し
て、任意の位置にリンク部材６ｂ……を配置し、押圧ロ
ールの中間部分を凹面を有する軸支部を介して、ベルト
に向けて押圧させる状態で支持する。前記リンク部材の
各々には、その端部にカム従動部材７、７ａ、７ｂ……
をそれぞれ配置し、各カム従動部材に対してカム部材１
０、１０ａ、１０ｂ……をそれぞれ配置している。前記
カム部材は、カム軸１１を駆動することにより、カム従
動部材７を介して押圧ロールの移動量を調整し、ベルト
を湾曲させる度合を任意に調整できるようにする。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記図１２
に示されるようなカール補正装置を用いて用紙のカール
を修正する場合に、用紙がベルト部材により搬送される
際に、停止位置にセットされる押圧ロールが用紙に摺動
し、その摩擦により静電気が発生する場合がある。そし
て、用紙が静電気を帯びることにより、その後の用紙の
搬送作用に支障が生じたりすることの他に、カールを修
正した用紙を中間トレイに収容する場合や、ソータのト
レイに向けて排出する際に、用紙を良好に収容できない
という問題が発生する。また、帯電した用紙から放電さ
れる電気により、複写機の用紙搬送路の構成部材が静電
気を帯びて、用紙の案内作用に支障が生じたりする他
に、オペレータが電気ショックを受けたりすることが考
えられる。

【０００９】前記静電気による問題の他に、押圧ロール
によりベルト部材を押圧した際に、押圧ロールの押圧量
によりベルト部材の張力が変化して、カール修正作用が
正常に行われないという問題が発生することがある。例
えば、ベルト部材を駆動する駆動軸と支持軸との間隔が
一定の場合に、押圧ロールがベルト部材の下部から押圧
すると、その押圧する高さによりベルト部材の張力が大
きく変化する。そして、ベルト部材に伸びが生じたりす
ると、その後のベルト部材の駆動状態が良好な状態に維
持されずに、カール修正性能が低下する等の問題が懸念
される。

【００１０】さらに、前記カール補正装置では、ベルト
部材と押圧ロールとの間に用紙を案内するために、押圧
ロールと連動してガイド板部材を移動させて、用紙の先
端部がベルト部材と押圧ロールとの間に挿入されるよう
に、案内する手段が用いられている。ところが、押圧ロ
ールの移動距離が長くなると、ガイド板部材による案内
作用に支障が生じ、用紙の先端部が押圧ロールに突き当
たったりして、ニップ位置に正常に突入しないという不
都合が発生する。

【００１１】

【発明の目的】本発明は前述したような従来のカール補
正装置の欠点を解消するもので、カール補正装置を通過
する用紙が帯電することを防止するとともに、ベルト部
材に対する張力を付与する作用と、用紙の案内作用とを
良好に発揮できるような装置を提供することを目的とし
ている。

【００１２】

【課題を解決するための手段および作用】本発明は、電
子写真複写機の用紙搬送路に、用紙搬送方向に駆動され
るベルト部材と、押圧バー部材とを対向させて配置した
カール低減機構を設け、カールを生じている用紙をカー
ル方向と反対側に急激に湾曲させて、カールを修正する
装置に関する。本発明の用紙のカール低減装置において
は、前記ベルトに押圧される押圧ロールを、ベルト部材
と同速度で駆動する機構を設け、用紙に対して押圧ロー
ルが摺動することを防止する機構を構成することができ
る。また、本発明においては、前記ベルト部材に押圧さ
れる押圧ロールの表面を、用紙との摩擦係数の大きな材
料でカバーし、用紙により押圧ロールを回転させて、摩
擦帯電を防止する手段を構成することができる。さら
に、前記ベルト部材を、トナーの帯電特性と同じ帯電特
性を有する導電性材料を用いて構成することもできる。

【００１３】前記構成に加えて、本発明においては、用
紙に形成される画像密度の情報等に応じて、ベルト部材
に対して押圧ロールを押圧する強さを設定する制御装置
を設け、用紙の画像密度の情報にしたがって押圧ロール
を押圧する強さを制御するとともに、前記ベルト部材に
対する押圧ロールの押圧の動作に対応させて、ベルト部
材の張力を一定に維持する機構を設けることができる。
また、本発明の用紙のカール低減装置においては、前記
ベルト部材に押圧される押圧ロールの移動に追従して、
ガイド板部材を上下方向に移動可能に設け、前記ガイド
板部材の押圧ロール側の端部を、押圧ロールの軸芯より
も上に位置させるように、ガイド板部材を押圧ロールに
連動させて移動させる機構を構成することが可能であ
る。

【００１４】前述したように構成したことにより、本発
明において、カール補正装置を通る用紙に帯電を防止す
る手段を適用した場合には、用紙が静電気を帯びること
がなくなり、用紙の搬送と、収容作用を良好に行うこと
が可能であり、用紙搬送路内での静電気によるトラブル
の発生を防止できる。また、押圧ロールの移動に追従さ
せてベルト部材の張力を維持する手段を設ける場合に
は、ベルト部材の張力が一定に維持されるので、押圧ロ
ールをベルト部材に押圧した状態で、ベルト部材に余分
な張力が付与されたりすることがなく、カール修正作用
を良好に維持させることができる。さらに、押圧ロール
の移動に追従させて、ガイド板部材を揺動させる機構を
設けた場合には、カール修正部に案内される用紙が、押
圧ロールに衝突したりすることがなくなり、カール補正
装置での紙詰まり等の問題が解消され、カール補正装置
を正常に作動させることができる。

【００１５】

【実施例】図示される例にしたがって、本発明の用紙の
カール低減装置を説明する。図１に示される例は、前記
図１２、１３に示されるカール補正装置と同様に構成し
ているものであるから、その詳細な構成と作用について
の説明は省略する。本発明のカール補正装置１は、ベル
ト部材２に対して押圧ロール５を押圧し、該ベルト部材
２を急激に湾曲させた状態で、両部材の間に用紙を通過
させるようにする手段を用いている。前記ベルト部材２
を支持するために、短い間隔を介して駆動軸３と支持軸
４とを配置し、前記駆動軸３に駆動プーリ３ａを設け、
該駆動プーリ３ａに対して、タイミングベルト２３を介
して駆動する駆動装置２０を配置している。また、前記
図１に示される例では、押圧ロール５に対しても、駆動
装置２０を用いた駆動機構を接続し、押圧ロール５を給
紙方向に駆動して、カール修正部を通過する用紙に対す
る案内作用を行うことができるようにする。

【００１６】前記図１に示されるカール補正装置１に対
して配置される駆動装置２０は、モータ２１に設けた駆
動プーリ２２と、駆動軸３に設けた駆動プーリ３ａに巻
き掛けるタイミングベルト２３より構成され、ベルト部
材２を所定の速度で駆動する。また、前記モータ２１に
設ける駆動プーリ２２と同軸に別のギヤ２３を設けて、
該ギヤを介して、駆動プーリ２４を駆動する機構を設
け、該駆動プーリ２４と押圧ロール５の駆動プーリとに
対してタイミングベルト２５を配置し、押圧ロール５を
用紙搬送方向に駆動するようにしている。そして、前記
カール補正装置のカール修正部で、ベルト部材２と押圧
ロール５とが用紙搬送方向に同期して駆動され、用紙に
対する案内とカール修正の作用とを発揮できるようにさ
れるもので、前述したように構成されるカール補正装置
においては、矢印Ｘ方向に搬送される用紙が、ベルト部
材２と押圧ロール５との間に入り込んだ際に、その用紙
の上下の部材が同期する速度で用紙に対する搬送作用を
発揮する。したがって、用紙に対して、ベルト部材また
は押圧ロールが摺動する状態が生じないために、用紙が
摩擦帯電を生じたりすることがなく、カール修正と搬送
作用とを良好に発揮することができる。

【００１７】前記図１の場合とは別に、本発明のカール
補正装置では、用紙に帯電させることを防止するため
に、図２に示されるような押圧ロールを用いることもで
きる。前記図２に示される押圧ロール１５は、図１の押
圧ロールのように強制的に回転させる機構を設けずに、
用紙との摩擦力が大きい場合に、若干の回転を許容でき
る状態に設けられる。そして、前記押圧ロール１５で
は、小径のシャフト１６の周囲に、ゴム等の絶縁体１７
を被覆したものを用いており、用紙が押圧ロールに摺動
した状態でも、その用紙をベルト部材と絶縁体で構成し
た押圧ロールとの間を通過させるようにする。

【００１８】したがって、前記押圧ロール１５では、用
紙との摩擦係数が大きいために、用紙がベルト部材によ
り搬送される状態で、用紙と押圧ロールのゴムとの間の
摩擦係数が大きいことにより、押圧ロールを用紙により
回転させる状態となり、押圧ロールが用紙に摺動するこ
とが少なくなる。さらに、用紙が押圧ロールに対して摺
動した場合でも、その用紙に摩擦帯電が生じることを少
なくし、カール補正装置によりカールが修正される用紙
に大きな値の静電気が発生することがないようにされ
る。

【００１９】

【実施例 ２】前述したような構成を有するカール補正
装置を、電子写真複写機等に対して組み合わせる場合
に、前記電子写真複写機において、ポリエステル系トナ
ーを使用する場合には、用紙がマイナスに帯電する状態
で排出される。特に、ポリエステル系トナーを使用した
カラーコピーの場合には、マイナスの帯電量が非常に大
きな値となり、そのようなコピーをソータのトレイに堆
積させると、トレイの静電気の帯電量が非常に大きな値
となり、オペレータが電気ショックを受けたりする場合
がある。また、帯電量の大きなコピーをカール補正装置
に通した場合には、ゴムベルトに用紙が摺動してさらに
帯電量が多くなり、トレイに収容する作用に支障が生じ
たりすることがある。

【００２０】そこで、本発明においては、前記カール補
正装置１のベルト２を、トナーの帯電特性と同じ帯電特
性を有する導電性の材料を用いて構成している。例え
ば、ポリエステル系のトナーを使用するカラー電子写真
複写機では、該トナーよりもマイナス帯電傾向の大きな
導電性ゴム等を用いて構成し、用紙の静電気をベルトを
通して逃がすような手段を用いることができる。また、
前記ベルト２を構成する材料としては、クロロスルフォ
ン化ポリエチレンを用いた導電性のベルト（ハイパロン
……商品名）等を用いることができ、前記ベルトの表面
電気抵抗が１０⁷Ω程度のものとして設定すると、用紙
に帯電されたマイナスの静電気を減少させることができ
る。

【００２１】また、前記用紙に転写されるトナーがマイ
ナス帯電量の小さいものである場合には、前記ベルトと
は異なる導電率を有するものを用いることが可能であ
り、トナーがプラス帯電の特性を有するものに対して
は、プラス帯電特性を有するベルトを使用することがで
きる。そして、前述したように、マイナス帯電特性を有
するトナーに対して、マイナス帯電傾向の大きな導電性
ベルトを使用することにより、カール補正装置を通った
用紙の静電気の帯電量を、ほぼ半減させることができ
る。したがって、フルカラーコピーの場合には、静電気
による用紙の収容性を良好に維持させ、電気ショック等
の問題が発生することを防止できる。

【００２２】

【実施例３】図３に示されるカール補正装置の実施例で
は、ベルト部材に対して押圧ロールを押圧する作用を行
った際に、該押圧ロールの移動量に追従させて、ベルト
部材の張力を一定の値に維持させる機構を構成する場合
を示している。前記図３に示される例では、ベルト部材
２の押圧ロールにより押圧される側と反対の戻り側に張
力調整用ロール３０を配置し、前記張力調整用ロール３
０をベルト部材５の移動に追従させて移動させる機構を
配置している。前記図３に示されるカール補正装置１に
おいては、従来例の場合と同様に、用紙に生じたカール
の量に対応させて、カム部材１０を駆動軸１１により駆
動し、カム従動部材７とリンク６とを介して押圧ロール
５を移動させる。

【００２３】前記押圧ロールの移動量を規定するため
に、複写機本体においては、感光体ドラムに形成される
トナー画像の画像密度を検知する手段、または、用紙に
転写された画像の密度を検知する手段を設け、その画像
密度の情報により、用紙に発生するカールの状態を推定
する。なお、前記画像密度の情報を得る手段は、一般の
電子写真複写機で用いられている検知手段を適用するこ
とが可能であり、その画像密度の情報を図示を省略した
制御装置に入力することにより、用紙の種類等に対応さ
せてカールの発生状態を知ることができる。そして、前
記画像密度の情報にしたがって、制御装置から押圧ロー
ルの移動距離の情報を出力し、カム部材を回転させて押
圧ロールをベルト部材に対して押圧する動作を行わせ
る。

【００２４】前記図３に示されるように、張力調整用ロ
ールを押圧ロールに対応させて移動し、ベルト部材の張
力を一定に維持させるために、本発明においては、図４
に示されるようなリンク装置３１を用いることができ
る。前記図４に示されるリンク装置３１では、４つのリ
ンク３２〜３２ｃを四辺形リンク状に組み合わせ、該リ
ンク装置の上部に張力調整用ロール３０を配置し、下部
には押圧ロール５の軸を取り付ける。また、前記リンク
装置３１の他の２つの交差部には、ガイドピン３３、３
３ａを取り付けており、該２つのガイドピン３３、３３
ａをリンクガイドレール３４に案内する機構を構成して
いる。前記リンク装置３１は、カール補正装置の側部に
配置することができるものであり、図５に示されるよう
に、押圧ロール５が上下動される際に、駆動軸３と支持
軸４との間の下部のベルト部材の長さが変化することに
追従させて、ベルト部材の上部に配置する張力調整用ロ
ール３０を下降させる動作を行い、ベルト部材２の張力
を一定に維持させることができるようにする。

【００２５】前記図３に示される張力制御手段は、図６
に示されるような機構のものとして構成することもでき
る。前記図６に示される例では、張力調整用ロール３０
をスプリング３５を介して固定支点３６に支持させ、ベ
ルト部材の張力の変化に対応させて、スプリング３５を
伸縮させ、張力調整用ロール３０を上下動させることが
できるようにする。したがって、前記図６に示されるよ
うな張力調整機構を用いた場合には、前記図４のリンク
装置を用いる場合に比較して、ベルト部材の張力の制御
は若干不安定になるものの、ベルト部材の張力をスプリ
ングにより調整することができ、ベルト部材に対して余
分な伸び作用を与えたり、カール修正作用に支障を生じ
たりすることを防止できる。

【００２６】

【実施例 ４】前記図１２に示されたようなカール補正
装置では、ベルト部材と押圧ロールとによる用紙のニッ
プ位置に対して、用紙を案内するために、図７に示され
るように、ガイド板部材８、８ａを配置し、それ等のガ
イド板部材により用紙を押圧ロールによりベルト部材を
押圧する位置に導入させる機構を構成している。そし
て、従来のカール補正装置における用紙案内装置では、
ガイド板部材８、８ａを押圧ロール５とともに上下動さ
せ、押圧ロールによるベルト部材２への押圧量が少ない
状態の図７の場合と、押圧ロールの押圧量の大きな図８
の状態とでは、押圧ロールとガイド板部材との相互の関
係は一定に維持される。したがって、カール補正装置の
上流部に配置される入り口シュート９から、カール補正
装置に向けて案内される用紙は、ベルト部材とガイド板
部材８との間を通って、ベルト部材と押圧ロールとの間
に挿入され、押圧ロールに沿って急激に湾曲されること
により、カール修正作用が行われる。なお、前記入り口
シュート９に配置されるセンサＳは、用紙の通過を検知
するもので、ジャム信号の検知に用いられる。

【００２７】ところが、前述したようなガイド板部材を
設けたカール補正装置では、図７に示されたように、ベ
ルト部材２とガイド板部材８との間の間隔が大きくな
り、入り口シュート９を介してカール補正装置に案内さ
れる用紙が、図９に示されるように、押圧ロール５の側
面に衝突する状態が発生することがある。そして、その
用紙Ｐの先端部が押圧ロールに衝突する方向が、軸芯に
対応する角度の場合や、円弧面に沿って下側に向かう角
度の場合には、用紙の先端部が押圧ロールとベルト部材
とのニップ部に向けて案内されずに、押圧ロールの表面
を押圧する状態で停止してしまうことがある。また、用
紙が下向きにカールしている場合には、用紙の先端部が
押圧ロールに衝突するという不都合な状態が高い頻度で
発生するものであり、用紙のジャムが生じやすいという
問題の解決を求められている。

【００２８】そこで、本発明のカール補正装置では、前
述したようにしてジャムが発生することを防止するため
に、図１０、１１に示すように、押圧ロールの上下動に
追従させてガイド板のうちの揺動ガイド板４０を揺動さ
せる機構を構成し、用紙の先端部が押圧ロールに衝突す
ることを防止できるようにしている。前記図１０に示さ
れる例において、入り口シュート９と押圧ロールにより
ベルト部材を押圧する位置との間に、用紙の下面を案内
するために揺動ガイド板４０を配置し、該揺動ガイド板
４０の板部材を、長孔４２を設けたブラケット４１を介
して、ピン４３より支持している。また、前記揺動ガイ
ド板４０のガイド板部材の押圧ロール側の先端部には、
押圧ロール５の移動に追従させてガイド板部材を揺動さ
せる機構（図示を省略）を配置し、前記ガイド板部材の
押圧ロール側の端部と、ベルト部材２との間隔は、略一
定に維持できるようにする。

【００２９】前述したようにして、押圧ロールの上下方
向への移動に追従させて、揺動ガイド板４０に対する揺
動機構を構成した場合には、図１０に示されるように、
押圧ロールによるベルト部材２への押圧作用が弱く設定
されている状態と、図１１のように、押圧ロールを大き
く上部に突出させ、カール修正作用を大きく発揮させる
状態のいずれの場合でも、用紙を案内する作用を良好に
行うことができる。そして、入り口シュート９を介して
カール修正部に導入される用紙Ｐは、ベルト部材２と揺
動ガイド板４０とにより構成される狭い案内路に沿って
移動し、ベルト部材２と押圧ロール５との間のニップ部
に挿入されて、ベルト部材の湾曲した経路に沿って急激
に湾曲され、カールを修正する作用を発揮することがで
きる。

【００３０】なお、本発明の前述した３つの実施例は、
それ等の機構を単独でカール補正装置に適用することが
可能なものであるが、その他に、複数の手段を組み合わ
せて、カール補正装置を構成することができる。例え
ば、第１実施例に示されるような用紙の帯電防止手段
を、第２、第３の実施例と組み合わせることや、３つの
実施例のそれぞれの特徴を有する機構を、１つのカール
補正装置に組み込んで用紙の案内と、ベルト部材の張力
の制御、用紙の帯電防止の作用を発揮できる機構を構成
することができる。また、本発明のカール補正装置は、
一般の電子写真複写機の用紙搬送路に配置することがで
きるものであり、特に、定着装置の直後の用紙搬送路に
カール補正装置を配置する場合には、用紙が熱を帯びた
状態でカール修正作用を発揮できるために、カール修正
の効率を良好に発揮させ、その後の用紙の搬送作用を良
好な状態で行うことを可能にする。

【００３１】

【発明の効果】本発明の用紙のカール低減装置は、前述
したような構成のものであるから、例えば、カール補正
装置を通る用紙に帯電を防止する手段を適用した場合に
は、用紙が静電気を帯びることがなくなり、用紙の搬送
と、収容作用を良好に行うことが可能であり、用紙搬送
路内での静電気によるトラブルの発生を防止できる。ま
た、カール補正装置のベルトを導電性の材料で構成した
場合には、特にポリエステル系のトナーを使用したフル
カラーコピーに対して、帯電量を減少させることができ
る。前記構成に加えて、押圧ロールの移動に追従させて
ベルト部材の張力を維持する手段を設ける場合には、ベ
ルト部材の張力が一定に維持されるので、押圧ロールを
ベルト部材に押圧した状態で、ベルト部材に余分な張力
が付与されたりすることがなく、カール修正作用を良好
に維持させることができる。さらに、押圧ロールの移動
に追従させて、ガイド板部材を揺動させる機構を設けた
場合には、カール修正部に案内される用紙が、押圧ロー
ルに衝突したりすることがなくなり、カール補正装置で
の紙詰まり等の問題が解消され、カール補正装置を正常
に作動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のカール補正装置に押圧ロールの駆動
機構を設けた場合の側面図である。

【図２】 押圧ロールをゴムでカバーした装置の側面図
である。

【図３】 ベルト部材の張力調整機構を設ける場合の説
明図である。

【図４】 張力調整用ロールをリンク装置により移動さ
せる機構の側面図である。

【図５】 押圧ロールの移動に連動させて張力調整用ロ
ールを移動させる機構の説明図である。

【図６】 ベルト部材の張力を制御する機構の他の実施
例の説明図である。

【図７】 従来の用紙案内機構の側面図である。

【図８】 図７の装置において、押圧ロールの押圧量が
大きい場合の説明図である。

【図９】 図７の装置で、用紙が押圧ロールに衝突する
状態を示す説明図である。

【図１０】 揺動ガイド板に揺動機構を設けるカール補
正装置の側面図である。

【図１１】 図１０のカール補正装置における押圧ロー
ルの押圧量が大きい場合の説明図である。

【図１２】 従来のカール補正装置の構成を示す側面図
である。

【図１３】 図１２に示される装置におけるベルト部材
と押圧ロールとの構成を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ カール補正装置、 ２ ベルト部材、 ５・１
５ 押圧ロール、６ リンク、 ７ カム従動部
材、 ８ ガイド板部材、１０ カム部材、 ２０
駆動装置、２３・２５ タイミングベルト、 ３
０ 張力調整用ロール、３１ リンク装置、 ３４
リンクガイドレール、３５ スプリング、 ４０
揺動ガイド板、 ４１ ブラケット。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子写真複写機の用紙搬送路に、用紙搬
   送方向に駆動されるベルト部材と、押圧バー部材とを対
   向させて配置したカール低減機構を設け、カールを生じ
   ている用紙をカール方向と反対側に急激に湾曲させて、
   カールを修正する装置において、 前記ベルトに押圧される押圧ロールを、ベルト部材と同
   速度で駆動する機構を設け、用紙に対して押圧ロールが
   摺動することを防止することを特徴とする用紙のカール
   低減装置。
2. 【請求項２】 前記ベルト部材に押圧される押圧ロール
   の表面を、用紙との摩擦係数の大きな材料でカバーし、
   用紙により押圧ロールを回転させて、摩擦帯電を防止す
   ることを特徴とする請求項１に記載の用紙のカール低減
   装置。
3. 【請求項３】 前記ベルト部材を、トナーの帯電特性と
   同じ帯電特性を有する導電性材料を用いて構成すること
   を特徴とする請求項１に記載の用紙のカール低減装置。
4. 【請求項４】 ベルト部材に対して押圧ロールを押圧す
   る強さを、用紙に形成される画像密度の情報等により設
   定する制御装置を設け、 用紙の画像密度の情報にしたがって押圧ロールを押圧す
   る強さを制御するとともに、 前記ベルト部材に対する押圧ロールの押圧の動作に対応
   させて、ベルト部材の張力を一定に維持する機構を設け
   ることを特徴とする請求項１に記載の用紙のカール低減
   装置。
5. 【請求項５】 前記ベルト部材に押圧される押圧ロール
   の移動に追従して、ガイド板部材を上下方向に移動可能
   に設け、 前記ガイド板部材の押圧ロール側の端部を、押圧ロール
   の軸芯よりも上に位置させるように、ガイド板部材を押
   圧ロールに連動させて移動させることを特徴とする請求
   項１ないし４に記載の用紙のカール低減装置。