JPH0614243Y2 - 磁気テ−プ記録再生装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、映像およびデイジタル音声を記録再生する
磁気テープ記録再生装置に関し、とくに記録時の映像信
号（ビデオ信号）の制御に関するものである。

［従来の技術］ 第３図は、たとえば1986年ICASSP予稿「ビデオテープレ
コーダにおける音声信号のデイジタル化に関する研究」
（A STUDY ON DIGITIZATION OF AUDIO SIGNALS FOR VID
EO TAPE RECORDER（日立））に示された映像およびディ
ジタル音声記録再生装置を示すブロツク図である。同図
において、 (1)は映像信号記録処理回路、(2)は映像信号記録増幅
器、(3)は図示しないビデオヘツドおよびオーデイオヘ
ツドを内蔵する回転ドラム、(4)は磁気テープ、(5)は映
像信号ヘツド増幅器、(6)は映像信号再生処理回路であ
る。また、(7)はアナログ−デイジタル変換器（以下、
単にＡＤＣと呼ぶ）、(8)はデイジタル信号記録処理回
路、(9)は４相位相信号変調回路（以下、単に４相位相
変調回路と呼ぶ）、(10)は音声信号記録増幅器、(11)は
音声信号ヘツド増幅器、(12)は４相位相変調信号復調回
路（以下、単に４相位相復調回路と呼ぶ）、(13)はデイ
ジタル信号再生処理回路、(14)はデイジタル−アナログ
変換器（以下、単にＤＡＣと呼ぶ）である。

つぎに、動作について説明する。

入力された映像信号は映像信号記録処理回路(1)に入力
され、その輝度信号はＦＭ変調され、色信号は低域に周
波数変換されて映像信号記録増幅器(2)，回転ドラム(3)
に内蔵されたビデオヘツドを経由して磁気テープ(4)に
記録される。また上記ビデオヘツドで再生された信号は
映像信号ヘツド増幅器(5)により増幅され、映像信号再
生処理回路(6)により映像信号に復元される。以上の動
作はＶＨＳ方式、β方式などの家庭用ビデオテープレコ
ーダ（以下、ＶＴＲと呼ぶ）の動作と同様である。

一方、入力された音声信号はＡＤＣ(7)によりデイジタ
ル信号に変換され、デイジタル信号記録処理回路(8)に
より誤り訂正符号などが付加されてパルスコード変調さ
れたＰＣＭ信号に変換され、さらに４相位相変調回路
(9)により４相位相変調信号に変換されて音声信号記録
増幅器(10)，回転ドラム(3)に内蔵されたオーデイオヘ
ツドを経由して磁気テープ(4)に記録される。なお、音
声信号はＶＨＳ方式のHi-Fi音声信号と同様に映像信号
の下側（いわゆる深層）に記録される。また、上記オー
デイオヘツドで再生された信号は音声信号ヘツド増幅器
(11)により増幅され、４相位相復調回路(12)によりＰＣ
Ｍ信号が復元され、さらにデイジタル信号再生処理回路
(13)により誤り訂正などの処理が行なわれ、ＤＡＣ(14)
により音声信号に復元される。

ここで、上記ＰＣＭ信号の記録および再生動作につき、
第４図，第５図および第６図によりさらに詳細に説明す
る。まず、記録動作について説明する。ＰＣＭ信号は伝
送レート約2.6Mbps(bit per second)でクロツク発生回
路(15)からの約2.6ＭHzのクロツく信号ＦＣＬと共に、
４相位相変調回路(9)のＰＣＭデータ処理回路(16)へ送
られ、直並列変換およびデータの復調を容易にするため
の差動エンコードなどの処理がなされ、ＰおよびＱの２
系統の信号に変換される。キヤリア信号はＶＨＳ方式の
Hi-Fi音声信号と同様に深層記録されるものとすれば、
映像信号との関係により約２ＭHz程度が適当である。キ
ヤリア発生回路(17)により発生したキヤリア信号ＦＣは
位相変調回路(18)において、上記Ｐ，Ｑ両信号により、
たとえば（Ｐ，Ｑ）＝（０，０），（０，１），（１、
１）および（１，０）に対し、０，π／２，πおよび・
3/2・πのようにその位相が制御される。以上のようにし
て得られた４相位相変調信号（以下、単にＰＳＫ信号と
呼ぶ）は音声信号記録増幅器(10)，回転ドラム(3)に内
蔵されたロータリートランス（図示せず）およびオーデ
イオヘツド（図示せず）を経由して磁気テープ(4)に第
５図の曲線ａで示すような約2.0±0.65ＭHzの広がりを
もつ信号として記録される。

つぎに、再生動作について説明する。磁気テープ(4)に
記録されたＰＳＫ信号はオーデイオヘツド，ロータリー
トランスを経由して音声信号ヘツド増幅器(11)により再
生されるが、上記ＰＳＫ信号はオーデイオヘツドおよび
磁気テープ(4)の磁気記録再生特性や磁気テープ(4)の浅
層に記録される映像信号により高域側の信号成分が第５
図の曲線b1で示すように減衰するため、第６図の直線Ｅ
Ｑで示すようなイコライズ特性を持つ再生イコライザ(1
9)によつて元の約2.0±0.65ＭHzの広がりを持つＰＳＫ
信号に等化され、第４図の同期検波回路(20)，キヤリア
再生回路(21)，クロツク再生回路(22)およびデータ再生
回路(23)から構成される４相位相復調回路(12)によりＰ
ＣＭ信号として復調される。上記４相位相復調回路(12)
では、たとえば「直接衛生放送用ＰＣＭ音声復調器」(N
ational Technical Report Vol.30 No.1 Feb.1984)に開
示されている同期検波方式によるＰ，Ｑデータ再生およ
び逆変調方式によるキヤリア信号ＦＣ（０°），ＦＣ
（９０°）の再生と、同「ＰＣＭ音声復調器」に開示さ
れているデイジタル位相比較型のクロツク信号ＦＣＬの
再生が行なわれ、さらに上記Ｐ，Ｑデータはデータ再生
回路(23)において、差動デコードおよび並直列変換など
の信号処理が行なわれ、元のＰＣＭ信号に復元される。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、家庭用ＶＴＲの場合には、記録モードとし
て、標準モード（以下、単にＳＰモードと呼ぶ）および
長時間モード（以下、単にＥＰモードと呼ぶ）があり、
磁気テープ(4)上に記録される音声信号のトラツク幅が
異なるのみならず、映像信号のトラツク幅も異なり、結
果的に深層のＰＳＫ信号が浅層に記録される映像信号に
より減衰される程度が異なり、したがつて、再生信号ス
ペクトルも異なつてくる。この一例を第６図に示す。図
中、曲線ａが記録時の信号スペクトル、曲線ｂ_１がＳＰ
モードでの再生信号スペクトル、曲線ｂ_２がＥＰモード
での再生信号スペクトルである。

したがつて、従来のこの種装置のように第６図に示すよ
うな１種類のイコライズ特性しかもたない再生イコライ
ザ(19)を用いるものでは、整合がとれず、十分な再生イ
コライズができない。このため、復調が十分に行われ
ず、誤り率が増加する等の不具合があった。また、オー
デイオヘッドやビデオヘッドの磁気記録再生特性のばら
つき、磁気テープの特性の違いによっても、上記と同様
の問題が生じる。

この考案は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、映像記録電流を制御して磁気テープ上に記録
されたＰＳＫ信号が映像信号により消去される程度を制
御し、ＰＳＫ信号のスペクトル形状を実用上一定とする
ことにより、ＰＣＭ信号を誤り率少なく記録再生するこ
とができる磁気テープ記録再生装置を提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案に係る磁気テープ記録再生装置は、記録モード
や各オーディオヘッドとビデオヘッドの条件に応じた映
像記録電流を記憶し制御する利得制御回路を導入するこ
とにより、磁気テープ上に記録されるＰＳＫ信号のスペ
クトル形状を実用上一定になるようにしたものである。

〔作用〕

この考案によれば、上記の利得制御回路の導入によっ
て、磁気テープ上に記録されるＰＳＫ信号のスペクトル
形状が、記録モードおよび各オーディオヘッドとビデオ
ヘッドの条件にかかわらず、実用上一定となり、常に再
生イコライザとの整合が保たれ、ＰＣＭ信号を誤り率少
なく再生することが可能である。

［考案の実施例］ 以下、この考案の一実施例を図面について説明する。

第１図はこの考案に係る磁気テープ記録再生装置が適用
された映像およびデイジタル音声記録再生装置の映像信
号・音声ＰＣＭ信号記録・再生系の構成を示すブロツク
図であり、第４図で示す従来のものと同一部所には同一
符号を付して説明を省略する。

同図において、(24)は利得制御回路であり、この利得制
御回路(24)は、記録モード信号およびビデオヘッド切り
換え信号に対応して予め設定された映像信号記録電流値
を記憶し、その映像信号記録電流がビデオヘッドに供給
されるように、映像信号記録増幅器(2)の利得を制御す
るように構成されている。

つぎに、動作について説明する。

第１図において、ＰＣＭ信号記録・再生系の基本動作は
第４図のものと同様であるので、説明を省略する。

音声ＰＣＭ信号は４相位相変調回路(9)によつて、たと
えば第２図の曲線ａで示すような約2.0±0.65ＭHzの広
がりを持つＰＳＫ信号に変換され、音声信号記録増幅器
(10)，回転ドラム(3)に内蔵されたロータリートランス
（図示せず）およびオーデイオヘツド（図示せず）を経
由して磁気テープ(4)の深層に記録される。また、映像
信号は映像信号記録処理回路(1)で周波数変調され、記
録モード信号（ＳＰ／ＥＰ）およびビデオヘツド切り換
え信号（Ｈ−ＳＷ）によつて利得制御回路(24)が出力す
る各条件に応じた映像信号の記録電流制御信号により、
映像信号記録増幅器(2)の利得が制御され、磁気テープ
(4)の深層に記録されるＰＳＫ信号のスペクトル形状が
実用上一定になるよう記録電流制御される。上記記録電
流は回転ドラムに内蔵されたロータリートランス（図示
せず）およびビデオヘツド（図示せず）に供給され、磁
気テープ(4)の浅層に記録される。

磁気テープ(4)の深層に記録されたＰＳＫ信号はオーデ
イオヘツド，ロータリートランス，音声信号ヘツド増幅
器(11)を経由して常に、たとえば第２図の曲線ｂで示す
ようなスペクトル形状のＰＳＫ信号が再生される。上記
ＰＳＫ信号は、たとえば第６図の直線ＥＱで示されるイ
コライズ特性を持つた再生イコライザ(19)との整合が常
に保たれ、上記再生イコライザ(19)によつて、たとえば
第２図の曲線ａで示す元の約2.0±0.65ＭHzの広がりを
持つＰＳＫ信号が復元され、さらに４相位相復調回路(1
2)により常に誤り率の少ないＰＣＭ信号が再生される。

なお、上記実施例では、磁気テープ(4)に記録するため
の変調方式を４相位相変調として説明したが、これは２
相位相変調などでもよい。

［考案の効果］ 以上のようにこの考案によれば、記録モード信号および
ビデオヘツド切り換え信号に応じて映像信号記録増幅器
の利得を説明するようにしたから、磁気テープ上に記録
されるＰＳＫ信号のスペクトル形状が記録モードおよび
オーデイオヘツドの条件に関係なく実用上一定となつて
常に再生イコライザとの整合が保たれ、したがつてＰＣ
Ｍ信号が正しく復調され、誤り率の少ない磁気テープ記
録再生装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る磁気テープ記録再生装置が適用
された映像およびディジタル音声記録再生装置の映像お
よび音声ＰＣＭ信号記録・再生系の構成を示すブロツク
図、第２図は同装置における記録および再生時のＰＳＫ
信号スペクトル図、第３図は従来の磁気テープ記録再生
装置の全体構成を示す概略ブロツク図、第４図は従来の
磁気テープ記録再生装置の映像および音声ＰＣＭ信号記
録・再生系の構成を示すブロツク図、第５図は従来装置
における記録および再生時のＰＳＫ信号スペクトル図、
第６図は再生イコライザのイコライズ特性図である。 (1)……映像信号記録処理回路、(2)……映像信号記録増
幅器、(4)……磁気テープ、(6)……映像信号再生処理回
路、(9)……４相位相変調回路、(10)……音声信号記録
増幅器、(12)……４相位相復調回路、(19)……再生イコ
ライザ、(24)……利得制御回路。 なお、図中同一符号は同一もしくは相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディジタル音声信号を映像フィールドに対
   応したデータに変換し、該ディジタル音声信号を位相変
   調して磁気テープの深層に記録する一方、映像信号を周
   波数変調し、上記位相変調された音声信号より浅層に記
   録し、再生時に音声信号系では位相変調データを位相復
   調回路の再生イコライザで等価させるようにした磁気テ
   ープ記録再生装置において、周波数変調された映像信号
   を入力し、ビデオヘッドに映像記録電流を供給する映像
   信号記録増幅器と、記録モード信号およびビデオヘッド
   切り換え信号に応じた映像記録電流値を記憶して、上記
   映像信号記録増幅器を制御する利得制御回路とを備え、
   上記映像記録電流が、磁気テープの深層に記録されてい
   る上記の位相変調された音声信号の消去の程度をほぼ一
   定にする電流値であり、かつ、磁気テープの深層に記録
   される上記の位相変調された音声信号のスペクトル形状
   が実用上一定になるように設定したことを特徴とする磁
   気テープ記録再生装置。