JPH0614200Y2 - カメラ用フォーカルプレーンシャッタの制動機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、分割羽根を用いるカメラ用フォーカルプレー
ンシャッタの制動機構に関する。

〔従来技術とその問題点〕

分割羽根を用いるカメラ用フォーカルプレーンシャッタ
において、露光作動時以外のフイルムに対する遮光性を
向上させるために、その時以外はアパーチャを開放羽根
と閉鎖羽根とで閉鎖させておく形式のものがある。

この形式のシャッタは、露光作動後に、開放羽根をアパ
ーチャを閉鎖する位置へ作動させ、閉鎖羽根は羽根操作
部材と羽根駆動部材とに関係づけ、シャッタセット操作
によっては、羽根駆動部材を緊張位置へ持ち来たすと共
に、羽根操作部材に対して、閉鎖羽根をアパーチャを閉
鎖する位置から開放させる位置へ移動させる作動力をチ
ャージさせるとか、或は露光作動後に、モータドライブ
によって、開放羽根をアパーチャを閉鎖する位置へ作動
させると共に、前述の羽根駆動部材と羽根操作部材に対
するの同様の制御を行わせる構成によって達成され、そ
して、シャッタレリーズによって、先ず羽根操作部材に
対する係止を解除し、閉鎖羽根をアパーチャを開放する
位置へ移動させてから、以後は通常の作動を行わせるも
のである。

この形式のシャッタにおいては、シャッタレリーズ操作
から通常の作動開始との間に、閉鎖羽根をアパーチャを
閉鎖する位置から開放する位置へ移動させる作動時間帯
があり、この時間帯は、シャッタチャンスの点から可及
的に短かいことが好ましく、それを達成するためには、
その移動を高速で行わせる必要がある。しかし、そうす
ると、閉鎖羽根がバウンドを起し、露光作動中に閉鎖羽
根がアパーチャの一部に再突出したり、高速秒時制御時
に閉鎖羽根のスタート位置がバラついて露光秒時に狂い
を生じることになる。このような不都合を解消するため
には、その時間帯を長く設定すればよいが、それは上述
の如くシャッタチャンスの点から好ましくない。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上述の従来技術の問題的に鑑み、シャ
ッタレリーズにより、それまでアパーチャを開放羽根と
共に閉鎖していた閉鎖羽根を、アパーチャを開放するス
タート位置へ移動させた後に、露出動作を行う形式の分
割羽根を用いるカメラ用フォーカルプレーンシャッタに
おいて、前記閉鎖羽根をアパーチャを開放する位置へ移
動させる羽根操作部材に制動を作用させて、その移動を
高速で行わせても閉鎖羽根がアパーチャを開放した位置
で安定に停止するまでの時間を可及的に短かくする制動
機構を提供することにある。

〔考案の概要〕

上述の本考案の目的は、前記カメラ用フォーカルプレー
ンシャッタにおいて、閉鎖羽根は、該閉鎖羽根の作動を
操作する羽根操作部材と、該羽根操作部材を介して該閉
鎖羽根をアパーチャを開放している位置から閉鎖する位
置へ駆動する羽根駆動部材とに関係づけられ、前記羽根
操作部材は、セット操作では、前記閉鎖羽根がアパーチ
ャを閉鎖した第二位置に係止され、前記羽根駆動部材
は、セット操作によって第一位置へ持ち来されて、前記
羽根操作部材を第二位置から前記閉鎖羽根がアパーチャ
を開放する第一位置へ移動させるための作動力をチャー
ジし、かつ、前記羽根操作部材は、シャッタレリーズに
よって、第二位置での係止を解除されて第一位置へ向か
って作動し、かつ第一位置において、その突部が羽根駆
動部材の突部に当接した時に羽根駆動部材の肉薄が弾性
変形し、その弾性変形を利用して羽根操作部材の突部が
羽根駆動部材の突部を乗り越える際に該羽根操作部材に
対して制動を作用させるようにすることによって概略達
成される。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を、図面に基づいて説明する。

第１図は、図示していない分割羽根により構成された閉
鎖羽根の駆動部材系の正面図で、第２図（ａ）及び
（ｂ）は、第１図のII−II線断面部の作動説明図であ
る。

１は軸３に枢着された羽根操作部材で、ピン１ａとカマ
ボコ状の突部１ｂを一体形成している。該ピン１ａは、
図示していない例えば閉鎖羽根を構成する各分割羽根を
平行四辺形リンク機構で支持する複数のアームの内の一
つに嵌合連結される。

２は軸３に枢着されたプラスチックス材よりなる羽根駆
動部材で、前記羽根操作部材１に係接する先端部が肉薄
２ａに形成されていると共に、該部材１の側面１ｃと係
接する腕部２ｂと、前記突部１ｂと干渉する半円球の突
部２ｃとを一体形成している。

第１図及び第２図（ａ）は、閉鎖羽根をアパーチャを開
放する位置に持ち来たしている状態であり、羽根駆動部
材２は、左旋方向の作動力がチャージされていると共
に、図示位置で図示していない閉鎖レリーズ部材により
係止されており、その係止は閉鎖信号の発生に対応して
解除され、その時羽根操作部材１を伴って左旋し、閉鎖
羽根をアパーチャを閉鎖する位置へ作動させるようにな
っている。また、羽根操作部材１は、シャッタレリーズ
操作の前には、図示状態より左旋した、即ち、閉鎖羽根
をアパーチャを閉鎖した位置に置いた位置にあって、例
えば、羽根駆動部材との間に張られたバネが緊張されて
いて右旋方向の作動力が与えられている。そして、シャ
ッタレリーズによりその位置での係止が解除されて右旋
し、図示位置へ作動して、閉鎖羽根をアパーチャを開放
した位置へ移動させる。

この作動の過程において、第２図（ｂ）に示す如く、羽
根操作部材１は、突部１ｂは羽根駆動部材２の突部２ｃ
に当接し、この時羽根駆動部材２がその材質及び肉薄２
ａ形状の働きにより弾性変形することより制動作用を受
け、その作動速度が急激に低下する。

また、突部１ｂが突部２ｃを通過後、羽根操作部材１の
側面１ｃが羽根駆動部材２の腕部２ｂに当接して羽根操
作部材１がバウンドを起すが、突部１ｂが突部２ｃに当
って直ちに減衰される。

この結果、閉鎖羽根は、アパーチャを閉鎖した位置から
開放した位置への納まりが短時間で行われる。

なお、実施例では、制動作用のための弾性変形を、羽根
駆動部材に行わさせているが、羽根操作部材に或は両者
に行わせるようにしてもよい。

〔考案の効果〕

本考案のカメラ用フォーカルプレーンシャッタの制動機
構によれば、シャッタレリーズにより、それまでアパー
チャを開放羽根と共に閉鎖していた閉鎖羽根を、アパー
チャを開放するスタート位置へ移動させた後に、露出動
作を行う形式の分割羽根を用いるカメラ用フォーカルプ
レーンシャッタにおいて、前記閉鎖羽根をアパーチャを
開放するスタート位置へ移動させる羽根操作部材に対し
て、その突部が羽根駆動部材の突部に当接した時に羽根
駆動部材の肉薄が弾性変形し、その弾性変形を利用して
羽根操作部材の突部が羽根駆動部材の突部を乗り越える
際に制動を作用させるようにしたので、閉鎖羽根の作動
を高速で行わせてもその作動速度が制動作用により急激
に低下し、該閉鎖羽根がアパーチャを開放した位置で安
定に停止するまでの時間を可及的に短くすることができ
る。このため、この種のシャッタでの問題点を軽減する
ことができ、実用的価値が頗る高いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は閉鎖羽根の駆動部材系の正面図、第２図（ａ）
及び（ｂ）は第１図のII−II線断面部の作動説明図であ
る。 １……羽根操作部材 １ｂ……突部 ２……羽根駆動部材 ２ｃ……突部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャッタレリーズにより、それまでアパー
   チャを開放羽根と共に閉鎖していた閉鎖羽根を、アパー
   チャを開放するスタート位置へ移動させた後に、露出動
   作を行う形式の分割羽根を用いるカメラ用フォーカルプ
   レーンシャッタにおいて、 前記閉鎖羽根は、該閉鎖羽根の作動を操作する羽根操作
   部材と、該羽根操作部材を介して該閉鎖羽根をアパーチ
   ャを開放している位置から閉鎖する位置へ駆動する羽根
   駆動部材とに関係づけられ、 前記羽根操作部材は、セット操作では、前記閉鎖羽根が
   アパーチャを閉鎖した第二位置に係止され、前記羽根駆
   動部材は、セット操作によって第一位置へ持ち来され
   て、前記羽根操作部材を第二位置から前記閉鎖羽根がア
   パーチャを開放する第一位置へ移動させるための作動力
   をチャージし、 かつ、前記羽根操作部材は、シャッタレリーズによっ
   て、第二位置での係止を解除されて第一位置へ向かって
   作動し、かつ第一位置において、その突部が羽根駆動部
   材の突部に当接した時に羽根駆動部材の肉薄が弾性変形
   し、その弾性変形を利用して羽根操作部材の突部が羽根
   駆動部材の突部を乗り越える際に該羽根操作部材に対し
   て制動を作用させるようにした ことを特徴とするカメラ用フォーカルプレーンシャッタ
   の制動機構。
2. 【請求項２】制動作用部が羽根操作部材の第二位置方向
   へのバウンド防止機能を兼備することを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のカメラ用フォーカルプ
   レーンシャッタの制動機構。