JPH0613863U - アイアン型クラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 慣性モーメントをさらに増加させて、スウィ
ートスポットエリアの増加を図ったアイアン型ゴルフク
ラブを提供する。 【構成】 厚さ寸法Ｔを約２〜５mmとした板状のフェー
ス壁面部１を有している。その背面４に、４個の重力付
加用突隆部６，６，６，６を配設する。配設位置は、ト
ウ側の上部・下部、及び、ヒール側の上部・下部とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、アイアン型クラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

重心を通りフェースラインに対して平行及び垂直な軸線の廻りの慣性モーメン トを増大させるため、従来のアイアン型クラブヘッドでは、図９に示すように、 背面ｂ側の中央部に凹窪部ａを形成し、その分の材料を周縁部に配置して周縁肉 厚部ｃを形成した形状のものが、公知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

図９に於て、重心Ｇを通る水平軸線Ｘ───フェースラインに平行な軸線── ─廻りの慣性モーメントＭｘの増加を考えると、この軸線Ｘに近い部位Ａの肉厚 増加は、余り寄与しない。

【０００４】 他方、重心Ｇを通る鉛直軸線Ｚ───フェースラインに垂直な軸線───廻り の慣性モーメントＭｚの増加に関して、この軸線Ｚに近い部位Ｂの肉厚増加は、 余り効果的でない。

【０００５】 本考案は、このような点に鑑みてなされたアイアン型クラブヘッドであって、 全体の重量を従来と同一とした条件下で、上記軸線Ｘ，Ｚの夫々廻りの慣性モー メントＭｘ，Ｍｚを十分増加させることを目的とする。これによって、スウィー トスポットの面積を増加し、ミスショット時のボール打出し方向のずれを減少さ せ、また飛距離低下を防ぐことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、そこで、厚さ寸法が約２〜５mmの板状のフェース壁面部と、シャフ ト連結部とから、成るヘッド本体部を、備え、該フェース壁面部の背面のトウ側 の上部・下部、及び、ヒール側の上部・下部の４箇所に、重量付加用突隆部を配 設した。

【０００７】 また、フェース壁面部の背面に、幅寸法が１〜10mm，高さ寸法が 0.5〜10mmの 補強リブを設けた。

【０００８】 あるいは、４個の重力付加用突隆部を被覆するための、肉厚寸法が 0.5〜 1.5 mmの薄肉カバー部材を、フェース壁面部の背面側に、付設した。

【０００９】

【作用】

重量付加用突隆部は、前記水平軸線及び鉛直軸線から、離れた位置に配分でき る。従って、一層効果的に慣性モーメントを増加できることとなる。

【００１０】 （請求項２によれば）補強リブによってフェース壁面部の重量を最小限まで減 少して、重量付加用突隆部へまわすことが可能となる。即ち、フェース壁面部が 薄くなるにつれてその強度が低下するが、その強度低下を補強リブにて防止でき る。

【００１１】 （請求項３によれば）アイアン型ゴルフクラブヘッドの外形を流線型にできる と共に、従来のヘッドに比べて違和感のない外観となる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案を図示の実施例に基づき説明する。

【００１３】 図１は、本考案の説明図であるが、同図に於て、板状のフェース壁面部１と、 これと一体のシャフト連結部２とをもって、ヘッド本体部３とすると共に、フェ ース壁面部１の背面４の離れた４箇所───Ｘ印で示した箇所───に、重量を 付加する。

【００１４】 具体的には、図２〜図５に示すように、ヘッド本体部３のフェース壁面部１の 厚さ寸法Ｔを約２〜５mmの板状とすると共に、その背面４のトウ５側の上部・下 部、及び、ヒール側の上部・下部の４箇所に、重力付加用突隆部６…を、配設す る。

【００１５】 即ち、図面は全てクラブヘッドの打球面と反対の側から見た図であって、打球 面は従来と同様のフェース面に形成するが、裏面側には、図２のように、フェー ス壁面部１の外周縁形状に沿って弯曲した堤型の重力付加用突隆部６…を突設し たり、また、図３のように、各突隆部６…の外周面側は（図２と同様に）フェー ス壁面部１の外周縁形状に沿って曲面であると共に、内部側は約直角に交わる２ 平面を有するような形状とする。

【００１６】 また、図４のように、フェース壁面部１の背面４の４角部に、三ケ月乃至三角 形状の突隆部６…を突設したり、あるいは、図５のように小円形の突隆部６…を 突設するも、好ましい。

【００１７】 次に、図６〜図８は他の実施例を示し、フェース壁面部１の背面４に、幅寸法 ｗが１〜10mm，高さ寸法ｈが 0.5〜10mmの補強リブ７…を、一体状に突設したも のである。

【００１８】 図６の実施例では、補強リブ７は、フェース壁面部１の背面４の外周縁に沿っ て、かつ、隣合う突隆部６，６間を連結状に合計３本が設けられている。

【００１９】 また、図７では、略水平方向に所定間隔で２本の補強リブ７，７が設けられて いる。

【００２０】 さらに、図８では、背面４の略中央で十字型に交叉する縦横方向の補強リブ７ ，７が設けられている。

【００２１】 また、上述の図２〜図８の実施例に於て、突隆部６…が（従来のアイアン型ク ラブヘッドに比べた場合）特異な印象を与えることを避けるために、（図示省略 したが）肉厚寸法が 0.5〜 1.5mmの薄肉のカバー部材を、背面４の側に付設する も、好ましい。

【００２２】 なお、このカバー部材を固着するには、ビス着、溶接・接着・圧入等の手段を 用いたり、それ等を併用して強固に固着する。また、カバー部材の形状は、図９ のように中央部のみが窪んだ形状に見せたり、あるいは、４個の突隆部６…が存 在することが何となく判る程度に、４隅が盛り上った流線型としたり、若しくは 、凹凸がほとんどんないバックフェース（裏面）を形成する流線型とする。

【００２３】 図１の説明図に於て、上述の４個の重力付加用突隆部６…の各重心をＧ₁ ，Ｇ ₂ ，Ｇ₃ ，Ｇ₄ にて示し、ヘッド全体の重心Ｇを通る水平軸線をＸ，この重心Ｇ を通る鉛直軸線をＺとすると、本考案では、各突隆部６…の重心Ｇ₁ ，Ｇ₂ ，Ｇ ₃ ，Ｇ₄ が、上記水平軸線Ｘ及び鉛直軸線Ｚから、十分に離れており、水平軸線 Ｘ廻りの慣性モーメントＭｘ，鉛直軸線Ｚ廻りの慣性モーメントＭｚの増加に、 各突隆部６の重量（付加）が大きく影響することが判る。

【００２４】 言い換えると、同一重量の付加を行うとすれば、本考案のように図１のＧ₁ ， Ｇ₂ ，Ｇ₃ ，Ｇ₄ の各位置が、最も効果的にクラブヘッドの慣性モーメントＭｘ ，Ｍｚを増加していることが判る。

【００２５】 （実測結果） ５番アイアンのクラブヘッドについて、本考案の実施品（イ）と、従来品（ロ ）（ハ）を同一重量で制作して、（図１，図９に示した）各慣性モーメントＭｘ ，Ｍｚを測定した結果を次の表１に示す。

【００２６】 但し、本考案の実施品（イ）は、図２に示した形状であって、フェース壁面部 １の厚さ寸法Ｔを３mmとしたもの、また、従来品（ロ）はクラブヘッドのソール 寄りを全体的に肉厚大としたもので住友ゴム工業株式会社の製品Ｍaxfli DP−20 1 であり、従来品（ハ）は図９のように背面の周囲全体に重量を配分したもので 同社の他の製品Ｍaxfli FX−31である。

【００２７】

【表１】

【００２８】 上記表１から、本考案の実施品（イ）は、従来品（ロ）（ハ）よりもいずれの 慣性モーメントＭｘ，Ｍｚが大きいことが判る。

【００２９】 特に、（慣性モーメントが従来から大きいと言われてきた）従来品（ハ）に比 べ、本考案の実施品（イ）の慣性モーメントＭｚ，Ｍｘは約９％，12％も増大し ている。

【００３０】 なお、本考案は、図示の実施例に限定されず、設計変更自由であって、フェー ス壁面部１自体を均一肉厚とせずに僅かな肉厚分布の差を付すことも好ましいと 共に、突隆部６…をフェース壁面部１と一体成型等にて製造する外に、突隆部６ …を別に制作して、フェース壁面部１に固着するも自由であり、その場合、比重 の大きい材料を突隆部６に用いることも望ましい。

【００３１】 また、補強リブ７として、横断面が半円形や半楕円形等とするも好ましいと共 に、図６〜図８の補強リブ７の模様を適宜組合せることも好ましいと共に、格子 状や菱形状、その他の模様に配置することも可能である。

【００３２】

【考案の効果】

本考案の上記構成によれば、（従来の慣性モーメントの大きいと言われていた 図９に示したようなアイアン型ゴルフクラブヘッドよりも、）重心Ｇを通る慣性 モーメントＭｚ，Ｍｘを、さらに増加できた。

【００３３】 従って、スウィートスポットエリアが増加し、ミスショット時のボール打出し 方向のずれが著しく減少でき、かつ、飛距離の減少を防ぐことができる。

【００３４】 （請求項２によれば）フェース壁面部１を板状としたことによる強度不足を十 分に補いえる。

【００３５】 （請求項３によれば）外観的には従来と変らない（違和感のない）形状とでき る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の基本的説明図である。

【図２】本考案の第１の実施例の斜視図である。

【図３】第２の実施例の斜視図である。

【図４】第３の実施例の斜視図である。

【図５】第４の実施例の斜視図である。

【図６】第５の実施例の斜視図である。

【図７】第６の実施例の斜視図である。

【図８】第７の実施例の斜視図である。

【図９】従来例の説明図である。

【符号の説明】

１ フェース壁面部 ２ シャフト連結部 ３ ヘッド本体部 ４ 背面 ５ トウ ６ 重力付加用突隆部 ７ 補強リブ Ｔ 厚さ寸法 ｗ 幅寸法 ｈ 高さ寸法

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 厚さ寸法が約２〜５mmの板状のフェース
   壁面部と、シャフト連結部とから、成るヘッド本体部
   を、備え、該フェース壁面部の背面のトウ側の上部・下
   部、及び、ヒール側の上部・下部の４箇所に、重量付加
   用突隆部を配設したことを特徴とするアイアン型クラブ
   ヘッド。
2. 【請求項２】 フェース壁面部の背面に、幅寸法が１〜
   10mm，高さ寸法が 0.5〜10mmの補強リブを設けた請求項
   １記載のアイアン型クラブヘッド。
3. 【請求項３】 ４個の重力付加用突隆部を被覆するため
   の、肉厚寸法が 0.5〜1.5mmの薄肉カバー部材を、フェ
   ース壁面部の背面側に、付設した請求項１記載のアイア
   ン型クラブヘッド。