JPH0613732B2 - 潜弧溶接鋼管用鋼材の製造方法 - Google Patents

潜弧溶接鋼管用鋼材の製造方法

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JPH0613732B2
JPH0613732B2 JP18484583A JP18484583A JPH0613732B2 JP H0613732 B2 JPH0613732 B2 JP H0613732B2 JP 18484583 A JP18484583 A JP 18484583A JP 18484583 A JP18484583 A JP 18484583A JP H0613732 B2 JPH0613732 B2 JP H0613732B2
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    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は水素誘起割れが問題となる湿潤硫化水素環境
下で使用される潜弧溶接(サブマージアーク溶接)鋼管
用鋼材の製造方法に関するものである。
近年、硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に用いられ
るラインパイプにおいては、水素誘起割れに起因する漏
洩事故あるいは破壊事故が報告されて、ラインパイプ用
鋼の耐水素誘起割れ性が重要な問題となり、そこで種々
の研究がなされて、ある程度の効果を有する耐水素誘起
割れ対策が確立されるに至っている。
しかしながら最近では良質石油資源の減少に伴ない、硫
化水素濃度の高い所謂サワーガス田、サワーオイル田が
多く開発されるようになり、また輸送効率を上げるため
にラインの操業圧力を高めることが多くなり、従来の使
用環境と比較してよりpH値が低くかつ硫化水素濃度の高
い厳しい使用環境が課されるようになったため、鋼に対
する要求もより厳しくなり、耐水素誘起割れ性もより一
層向上させることが望まれている。
ところで水素誘起割れの発生原因については、鋼の腐食
反応によって発生した水素が鋼中に侵入し、鋼中の非金
属介在物、特に介在物先端のノッチ効果による応力集中
の生じ易いMnSのようなA系介在物と地鉄との界面に集
積・ガス化して割れを発生し、板厚中央部の偏析部に生
じる帯状のマルテンサイトやベイナイトなどの低温変態
異常組織(以下単に異常組織と記す)を伝播拡大するも
のであることが知られている。
従来の耐水素誘起割れ性向上対策としては、割れの起点
となる硫化物系介在物をCaあるいはREMの如き形態制御
効果のある元素の添加によって分散球状化させ、割れの
発生を防ぐ方法が一般的である。しかしながら最近の厳
しい使用環境下、すなわちpH4.0以下、硫化水素濃度2
500ppm以上の環境では、上述のような介在物形態制
御だけでは充分に対処し切れず、水素誘起割れの発生を
完全に防止することは困難であった。
この発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、上述の
ような厳しい環境下においても充分に使用に耐え得る耐
水素誘起割れ性の優れた鋼材、特に潜弧溶接鋼管用鋼材
を製造する方法を提供することを目的とするものであ
る。
本発明者等は上述の目的を達成するべく鋭意実験・検討
を重ねた結果、低S化してCaを添加した鋼を熱間圧延後
400℃以上の温度から5℃/min以下の冷却速度で徐冷
することにより前述のような厳しい環境下で充分な耐水
素誘起割れ性が得られることを見出し、この発明をなす
に至ったのである。
すなわち第1発明の潜弧溶接鋼管用鋼材の製造方法は、
C0.03〜0.25%、Si0.010〜0.50%、Mn0.70〜1.70
%、Al0.01〜0.10%、P0.030%以下、S0.0010%以
下、Ca0.0005〜0.0050%、Cu0.10〜0.60%、Ni0.
10〜0.60%を含有し、残部が実質的にFeよりなる鋼を
熱間圧延後、400℃以上の温度から少くとも200℃以下の
温度まで5℃/min以下の冷却速度で徐冷することを特
徴とするものであり、また第2発明の潜弧溶接鋼管用鋼
材は、前記鋼成分のほか、さらにCr3.0%以下、Mo1.0%
以下、Nb0.10%以下、V0.15%以下、Zr0.10%以下、Ti
0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含
有する鋼を熱間圧延後、前記同様に400℃以上の温度か
ら少くとも200℃以下の温度まで5℃/min以下の冷却速
度で徐冷することを特徴とするものである。
以下この発明の方法をさらに詳細に説明する。
先ず第1発明および第2発明に共通する鋼素材成分の限
定理由を説明する。
C:Cは0.03%未満では必要な強度が得られず、一方0.
25%を越えれば溶接部の靱性を損なうから、0.03〜0.25
%の範囲に限定した。
Si:Siは鋼の脱酸に必要な元素であるが、0.010%未満
では脱酸効果がなく、一方0.50%を越えれば鋼の靱性を
劣化させるから0.010〜0.50%の範囲に限定した。
Mn:Mnは0.70%未満では必要な強度を確保する上で好ま
しくなく、一方1.70%を越えれば、プレートミルで圧延
する鋼材では圧延後に徐冷を行っても異常組織の生成が
起こり、耐水素誘起割れ性を低下させるから、0.70〜1.
70%の範囲に限定した。
Al:Alは鋼の脱酸に必要であり、またCaの歩留りを向上
させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が得られ
ず、一方0.10%を越えれば結晶粒の粗大化を招いて材質
を劣化させるから、0.01〜0.10%の範囲に限定した。
P:Pは機械的諸特性に悪影響を与える有害な不純物元
素であり、また偏析して中心偏析部の硬度を上昇させる
から、可及的にその含有量が少ないことが望ましいが、
製造コストとの兼ね合いから0.030%以下とした。
S:Sは水素誘起割れの起点となる硫化物系介在物を生
成する元素であり、S含有量が0.0010%を越えれば充分
な耐水素誘起割れ性が得られなくなるから、Sは0.0010
%以下に規制する。
Ca:Caは水素誘起割れの起点となる硫化物系介在物の形
態を制御して、耐水素誘起割れ性の向上に効果がある元
素である。Ca添加による耐水素誘起割れ性の確保のため
には、Sを0.0010%以下と極低S化したこの発明の場合
でも少くとも0.0005%を必要とする。一方Caが0.0050%
を越えればスラグ中の大型介在物を増加させ、逆に耐水
素誘起割れ性および耐水素ふくれ性を低下させるおそれ
がある。したがってCaは0.0005〜0.0050%の範囲に限定
した。
Cu:Cuは0.10%以上の添加により耐食性の向上、耐水素
誘起割れ性の向上に効果があるが、0.60%を越えれば熱
間加工性を損なうから、0.10〜0.60%の範囲に限定し
た。
Ni:Niは耐食性の向上、靱性の向上に効果のある元素で
あり、この発明の場合0.10〜0.60%のCuの添加による脆
化を防ぐために0.10%以上のNiを添加する必要がある。
しかし0.60%以上の添加は耐硫化物応力腐食割れ性を損
なうから0.10〜0.60%の範囲とした。
以上のような各成分元素の他、第2発明においては、C
r,Mo,Nb,V,Zr,Ti,Bのうちから選ばれた1種以上を含有
する鋼を素材とする。
Cr,Mo,Nb,V,Zr,Ti,Bはいずれも強度
を向上させるに有効な元素である。ここでCrが3.0%
を越えれば加工性に悪影響を与えるから、Crは3.0%
以下に限定し、またMoが1.0%を越えれば靱性の劣化
を招くから、Moは1.0%以下とした。さらにNb,
V,Zr,Ti,Bもそれぞれ0.10%、0.15%、0.10
%、0.10%、0.005%を越えれば靱性劣化を招くから、
それぞれ0.10%以下、0.15%、0.10%以下、0.10%以
下、0.005%以下に限定した。なおこれらのうちTiは
Bと複合添加することによってより強度を向上させるこ
とができる。
上述のように規定される成分の鋼素材に対して、第1発
明、第2発明のいずれにおいても、常法にしたがって熱
間圧延を行った後、その冷却過程において400℃以上
の温度から5℃/min以下の冷却速度で徐冷する。このよ
うに400℃以上の温度から5℃/min以下で徐冷するこ
とにより、水素誘起割れの伝播組織である異常組織、す
なわち主として板厚中央の偏析部に生ずる帯状のマルテ
ンサイトやベイナイトなどの低温変態異常組織の生成を
抑制し、耐水素誘起割れ性の優れた鋼材を得ることがで
きる。
熱間圧延後の徐冷開始温度が400℃よりも低い場合に
は、後述する実施例で示すように徐冷開始までの間に異
常組織が発生してしまって耐水素誘起割れ性向上に効果
がない。また冷却速度が5℃/minを越える場合も異常組
織の発生を防止できず、そのため耐水素誘起割れ性の向
上に有効ではない。なお5℃/min以下の徐冷を行なわな
い場合に異常組織が生成される温度領域は400℃から
200℃程度であるから、この発明の方法においても、
400℃以上の温度から開始された5℃/min以下の冷却
速度での徐冷は200℃以下の温度まで行えば良い。
以上のようにこの発明では、鋼素材中のSを極微量に規
制することによって水素誘起割れの起点となる硫化物系
介在物の量そのものを減少させると同時に、Caの添加に
よりその硫化物系介在物を球状化して割れの起点となり
にくし、しかも熱間圧延後の特定温度範囲内の徐冷によ
って割れの伝播組織となる異常組織の生成を抑制し、こ
れによって耐水素誘起割れ性の極めて優れた潜弧溶接鋼
管用鋼材を得ることができたのである。
以下この発明の実施例を比較例とともに記す。
第1表の試料番号1〜10に示すこの発明の成分組成範
囲内の鋼、および同じく第1表の試料番号11〜16に
示すこの発明の成分範囲外の鋼の連鋳スラブを素材とし
て用意した。そして先ずこれらの素材のうち試料番号
1,4,8,10の素材スラブについて、常法にしたが
って熱間圧延後、徐冷開始温度を380℃,400℃,
420℃の3段階に変え、かつそれらの温度からの冷却
速度を種々変化させて冷却した。得られた各鋼材におけ
る最も偏析が大きいと考えられる連鋳スラブの幅方向中
心部に相当する位置から各鋼種、各条件ごとに3本ずつ
耐水素誘起割れ性試験片を採取した。その試験片採取位
置を第1図に示す。第1図において1は圧延鋼材、2は
試験片、Lは圧延方向を示し、試験片2の寸法は圧延方
向Lに平行な方向の長さを100mm、幅を20mmとし厚
さtは圧延鋼材1の両面をそれぞれ1mmずつ切削した厚
さすなわち(元板厚−2mm)の厚さとした。これらの試
験片に対しいわゆるB.P.試験法に準じて次のような耐水
素誘起割れ性試験を施した。すなわち試験片をNACE液
(0.5%酢酸+5%食塩水、H2S−気圧飽和、pH約3.0)
中に96時間浸漬した後、第2図に示すように各試験片
毎に3断面を検鏡面3a,3b,3cとし、各検鏡面を
倍率10倍で観察して耐水素誘起割れ性を評価した。
試料1,4,8,10における徐冷開始温度および冷却
速度が耐水素誘起割れ性に及ぼす影響を第3図〜第5図
に示す。なお耐水素誘起割れ性は、割れ長さ率で評価し
た。ここで割れ長さ率とは、試験片に生じた割れの長さ
をaijとし、試片の幅をWとして、 により算出した。
第3図から明らかなように徐冷開始温度が400℃より
も低い380℃の場合には、冷却速度を5℃/min以下の
著しく小さい値としても水素誘起割れを防止することは
困難であった。一方、第4図および第5図から明らかな
ように徐冷開始温度が400℃,420℃の場合には、
いずれも冷却速度を5℃/min以下とすることによって優
れた耐水素誘起割れ性が得られた。これらの実験結果か
ら、優れた耐水素誘起割れ性を得るために、徐冷開始温
度400℃以上、冷却速度5℃/min以下の条件が必要で
あることが明らかである。
さらに第1表に示される試料番号1〜16の全ての鋼の
連鋳スラブについて常法に従って熱間圧延し、この発明
の冷却条件に従って420℃から0.6℃/minの冷却速度
で徐冷した。得られた各鋼材について前記同様に試験片
を切出し、前記同様な耐水素誘起割れ性試験を行ない、
階段状割れおよび直線状割れの発生状況を調べた。その
結果を第2表に示す。なおここで階段状割れとは、試験
片の板厚方向に階段状に続いた割れであって、割れの先
端から他の割れの先端までの距離が0.5mm以内にある場
合にそれらを連続した階段状割れと判定した。また直線
状割れとは上記規定に含まれず、互いに0.5mm以上離れ
て孤立している直接状の割れを指す。
第2表から明らかなように、この発明の成分範囲内の試
料番号1〜10の鋼はいずれも優れた耐水素誘起割れ性
を示したが、S含有量が0.001%を越える試料番号1
1,13の比較鋼、Caが添加されていない試料番号1
2,14の鋼はいずれも充分な耐水素誘起割れ性が得ら
れなかった。またCaが0.0050%を越えて過剰に添加され
た試料番号15の鋼も水素誘起割れが発生し、さらにMn
が1.70%を越えて過剰に含有されている試料番号16の
鋼も異常組織が発達して充分な耐水素誘起割れ性が得ら
れなかった。したがって冷却条件のみならず、鋼組成も
優れた耐水素誘起割れ性を得るために重要であることが
明らかである。なお参考のため上記条件で条件した各試
料1〜16の鋼の機械的性質を第3表に示す。
以上のようにこの発明の製造方法によれば、鋼成分を特
定範囲に規制すると同時に熱間圧延後の冷却条件を規制
することによって、極めて優れた耐水素誘起割れ性を有
する潜弧溶接鋼管用鋼材を得ることが可能となり、その
結果硫化水素濃度が高くpH値が低い厳しい環境下でも高
い安全性を有する潜弧溶接鋼管を得ることができる顕著
な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例における圧延鋼材からの耐水素誘起割れ
性試験片採取位置を示す模式的な斜視図、第2図は耐水
素誘起割れ性試験片の検鏡面の位置を示す模式的な斜視
図、第3図は徐冷開始温度を380℃とした場合の冷却
速度と水素誘起割れ長さ率との関係を示す相関図、第4
図は徐冷開始温度を400℃とした場合の冷却速度と水
素誘起割れ長さ率との関係を示す相関図、第5図は徐冷
開始温度を420℃とした場合の冷却速度と水素誘起割
れ長さ率との関係を示す相関図である。
フロントページの続き (72)発明者 中井 揚一 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C0.03〜0.25%(重量%、以下同じ)、S
    i0.010〜0.50%、Mn0.70〜1.70%、Al0.01〜0.10
    %、P0.030%以下、S0.0010%以下、Ca0.0005〜0.0
    050%、Cu0.10〜0.60%、Ni0.10〜0.60%を含有
    し、残部が実質的にFeよりなる鋼を、熱間圧延後400
    ℃以上の温度から200℃以下の温度まで5℃/min以下の
    冷却速度で徐冷することを特徴とする潜弧溶接鋼管用鋼
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】C0.03〜0.25%、Si0.010〜0.50%、M
    n0.70〜1.70%、Al0.01〜0.10%、P0.030%以下、
    S0.0010%以下、Ca0.0005〜0.0050%、Cu0.10〜0.
    60%、Ni0.10〜0.60%を含有し、かつCr3.0%以
    下、Mo1.0%以下、Nb0.10%以下、V0.15%以下、
    Zr0.10%以下、Ti0.10%以下、B0.005%以下のう
    ちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部が実
    質的にFeよりなる鋼を、熱間圧延後400℃以上の温度
    から200℃以下の温度まで5℃/min以下の冷却速度で徐
    冷することを特徴とする潜弧溶接鋼管用鋼材の製造方
    法。
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