JPH06137290A - 冷媒圧縮機 - Google Patents

冷媒圧縮機

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JPH06137290A
JPH06137290A JP4305944A JP30594492A JPH06137290A JP H06137290 A JPH06137290 A JP H06137290A JP 4305944 A JP4305944 A JP 4305944A JP 30594492 A JP30594492 A JP 30594492A JP H06137290 A JPH06137290 A JP H06137290A
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JP
Japan
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refrigerant
refrigerating machine
oil
machine oil
compressor
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JP4305944A
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English (en)
Inventor
Satoshi Koyama
聡 小山
Noriko Watanabe
規子 渡邉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2210/00Fluid
    • F04C2210/26Refrigerants with particular properties, e.g. HFC-134a

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  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 HFC系冷媒を用いた圧縮機のシール性、耐
久性を向上させる。 【構成】 作動室35を形成する摺動部材33に冷凍機
油が与えられると共に吸込口5から前記作動室35内に
取入れられた冷媒を順次圧縮していき、吐出口7から吐
出するようにした冷媒圧縮機において、前記摺動部材3
3を、ガラス繊維を複合したふっ素樹脂で構成し、か
つ、冷媒を、塩素を含まないHFC系冷媒とする一方、
冷凍機油を、前記冷媒と相溶性を有するポリエステル系
又はポリエーテル系冷凍機油とすると共に、その水分量
を少なくとも110ppmを越えることのない範囲で使
用することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、塩素を含まないHF
C系冷媒を用いる冷媒圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】室内あるいは車内の空気調和機あるいは
冷蔵庫などには、冷風あるいは温風を送り出すために冷
媒圧縮機が使用されている。
【0003】従来より一般的な冷媒圧縮機として、レシ
プロ式、ロータリー式、スクロール式等のものが知られ
ており、その他に、シリンダの吸込端側から作動室に流
入した冷媒をシリンダの吐出端側の作動室へ順次移送さ
せながら圧縮していき、外部へ吐出する螺旋式の圧縮機
が提供されている。
【0004】これら冷媒圧縮機において、作動室を形成
する摺動部材は、レシプロ式のピストンリング、スクロ
ール式のチップシール、螺旋式のブレード等があり、材
質にふっ素樹脂を採用している。
【0005】摺動部材は、いづれも摺動特性を改善する
目的で、ガラス繊維や炭素繊維などの無機質繊維、ポリ
イミド樹脂や芳香族ポリエステル樹脂などの有機質充填
材、ブロンズなどの金属粉、二酸化モリブデンやグラフ
ァイトなどの固体潤滑剤の複合化が試みられているが、
耐摩耗性を向上させる充填材としてガラス繊維や炭素繊
維が効果的である。炭素繊維は、無潤滑状態では、自己
潤滑性があり相手材の損傷性が小さい等の優れた点があ
るが、冷媒圧縮機のような油潤滑の摺動においては、流
体潤滑状態によって相手材への攻撃性が低減されること
から、繊維自体の硬度および靭性に優れるガラス繊維を
用いた方が耐摩耗性に対し有効である。
【0006】また、ふっ素樹脂として、具体的には四ふ
っ化エチレン樹脂と、四ふっ化エチレン・パーフロロア
ルコキシエチレン共重合樹脂、四ふっ化エチレン・ヘキ
サフルオロプロピレン共重合樹脂、エチレン・四ふっ化
エチレン共重合樹脂などが採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記した如く冷媒圧縮
機によって圧縮される冷媒には、人体に悪影響のないC
FC系冷媒、フロンが用いられている。
【0008】ところが、最近CFC系冷媒などからのフ
ロンの放出がオゾン層の破壊に繋がり、人体や生物系に
深刻な影響を与えることが明らかになったため、オゾン
破壊係数(ODP)の高いCFC系冷媒などは段階的に
使用が削減され、将来的には使用しない方針が決定して
いる。
【0009】このような状況に対応するため、1,1,
1,2−テトラフルオロエタン(以下HFC134a)
や1,1−ジフルオロエタン(以下HFC152a)等
の代替HFC系冷媒が開発されており、この冷媒に適し
た圧縮機用材料の開発が望まれている。
【0010】HFC134aやHFC152aは、両方
とも、その分子内にCl原子を含まないため、オゾン破
壊係数(ODP)は0であることと、熱的特性がCFC
系冷媒に近似しているための2点から代替冷媒として非
常に有用である。
【0011】また、このHFC134aやHFC152
aを応用する場合の冷凍機油としては、冷媒圧縮機の運
転中に、冷凍サイクル内に冷凍機油の残留を防止し、確
実に冷凍機油を冷媒圧縮機の圧縮機構部に戻し、機構部
の潤滑および冷却を保持する必要がある。このため、冷
媒圧縮機の冷媒としてHFC134aやHFC152a
を用いる場合、冷凍機油としての必要条件として、冷媒
との相溶性を有することが挙げられる。
【0012】現状では、HFC134aおよびHFC1
52aは、従来の冷凍機油である鉱油にはほとんど溶解
しないため、HFC134aおよびHFC152aとの
相溶性を有するポリエステル系油およびポリエーテル系
油などの応用が試みられている。
【0013】しかしながら、HFC134aおよびHF
C152aの様なHFC系冷媒と、HFC系冷媒との相
溶性を有するポリエステル系油およびポリエーテル系油
等の冷凍機油を用いた場合、ガラス繊維を複合したふっ
素樹脂からなる圧縮機構の摺動部材は、耐摩耗性が低下
する。また、動摩擦係数の増加に伴う摺動損失が増大し
て圧縮機の効率が低下し、長期間安定して冷媒圧縮機を
運転することができないという問題が生じている。
【0014】この問題に対し、原因が不明であることか
ら冷媒および冷凍機油と、ふっ素樹脂およびガラス繊維
の影響について要点を整理すると、第1に、ふっ素樹脂
は、耐油・冷媒性、耐熱性に優れ、CFC系媒体+鉱油
系冷凍機油とHFC系冷媒+ポルエステル系冷凍機油お
よびポリエーテル系冷凍機油の違いで劣化することは考
えられない。
【0015】第2に、ガラス繊維は、冷媒が過度の劣化
によりふっ化水素などのいわゆるふっ酸を生成して腐食
に至る可能性はあるが、ふっ素樹脂同様に、耐油・冷媒
性、耐熱性に優れている。
【0016】第3に、鉱油系冷凍機油には、環状化合物
が含まれており、油膜形成能力が高いのに対し、ポリエ
ステル系の冷凍機油では、環状化合物が含まない鎖状化
合物であり、厳しい摺動条件では油膜を保持できない。
このため、金属の摺動部材などは耐摩耗性が低下する
が、摺動部材としてふっ素樹脂を仕様する箇所は金属材
料よりも過酷な摺動条件で使用はできず、油膜の破断す
るような状態は考えられない。
【0017】つまり、冷媒と冷凍機油の構成の相違だけ
では、この現象を説明することは困難である。
【0018】一方、鉱油系冷凍機油とポリエステル系冷
凍機油およびポリエーテル系冷凍機油は、分子構造の違
いから吸水性に大きな相違がある。
【0019】鉱油系冷凍機油は飽和状態における水分量
が50ppm以下に対し、ポリエステル系冷凍機油は1
500〜2000ppmである。ガラス繊維は、Eガラ
スと称され耐水性に優れるものであるが、ガラスがアル
カリ(塩基性)に弱く、かつ、浸食されることは一般に
知られている。そこで、冷凍機油に含まれる水分が摩擦
熱によって生じた水酸イオン(OH ̄)とガラス繊維内
部より表面に拡散する金属イオンの間で塩基性を帯び、
ガラス繊維表面を腐食させる可能性がある。つまり、水
分量の多いポリエステル系冷凍機油およびポリエーテル
系冷凍機油は、ガラス繊維表面を変質させ、本来ふっ素
樹脂の摺動特性を向上させる目的で複合したガラス繊維
の変質によって耐摩耗性の低下につながったものと考え
られる。
【0020】そこで、この発明は、HFC系冷媒の使用
に際して、摺動部材の耐摩耗性を向上させ、長寿命化を
計ることのできる冷媒圧縮機を提供することを目的とし
ている。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、作動室を形成する摺動部材に冷凍機油
が与えられると共に吸込口から前記作動室内に取入れら
れた冷媒を順次圧縮していき、吐出口から吐出するよう
にした冷媒圧縮機において、前記摺動部材を、ガラス繊
維を複合したふっ素樹脂で構成し、かつ、冷媒を、塩素
を含まないHFC系冷媒とする一方、冷凍機油を、前記
冷媒と相溶性を有するポリエステル系又はポリエーテル
系冷凍機油とすると共に、その水分量を少なくとも11
0ppmを越えることのない範囲で使用する。
【0022】
【作用】かかる冷媒圧縮機によれば、吸込口から作動室
内に取入れた冷媒は、摺動部材により順次圧縮され吐出
口から吐出するようになる。この作動時において、ガラ
ス繊維を複合したふっ素樹脂から成る摺動部材は、ポリ
エステル系又はポリエーテル系の冷凍機油が与えられ潤
滑及び冷却されるようになる。この場合、冷凍機油は、
水分量が110ppmを越えることのない状態で使用す
るため、水分によるガラス繊維の変質がなくなり、安定
した摺動部材の摺動特性が得られるようになる。
【0023】
【実施例】以下、図1乃至図11の図面を参照しながら
この発明の一実施例を詳細に説明する。図1において、
1は冷凍サイクルに使用される密閉型の流体圧縮機3の
密閉ケースを示しており、密閉ケース1の一方には冷凍
サイクルの吸込パイプ5が、他方には吐出パイプ7がそ
れぞれ設けられている。密閉ケース1内には駆動手段と
しての電動要素9および圧縮手段としての圧縮要素11
がそれぞれ配置されている。
【0024】電動要素9は、密閉ケース1の内面に固定
されたステータ13と、その内側に設けられた回転可能
なロータ15とを有している。
【0025】圧縮要素11は両端が開放されたシリンダ
17を有しており、シリンダ17は密閉ケース1の内面
に固定された左右の主軸受19、副軸受20により回転
自在に両端支持されている。各軸受19,20はシリン
ダ17の端部が回転自在に嵌合したボス部19a,20
aと、これらボス部19a,20aよりも大径で前記密
閉ケース1の内面に固定された基部19b,20bとか
らなり、シリンダ17の両端は気密的に閉塞されてい
る。
【0026】シリンダ17の内部には、シリンダ17の
内径よりも小さい円筒状の回転体21がシリンダ17の
軸方向に沿って配設されている。回転体21は、鉄系ま
たは、その他の材料からなり、その中心軸線Aがシリン
ダ17の中心軸線Bに対して距離eだけ図1において、
下方に偏心して配設され一部が内周面と線接触してい
る。
【0027】回転体21の両端部には、それぞれ径の細
い支持部21a,21bが設けられ、これら支軸部21
a,21bはそれぞれ前記主軸受19、副軸受20のボ
ス部19a,20aに形成された軸受穴19c,20c
に回転自在に挿入支持されている。
【0028】回転体21の右側の支軸部21aには、オ
ルダムリング23を介してシリンダ17側からの回転動
力が伝達される動力伝達面として機能する断面正方形状
の角柱部25が形成されている。この角柱部25は、図
3に示すように、前記オルダムリング23に形成された
矩形状の長孔26と遊びを有して嵌合し合うと共に、遊
びの範囲内において角柱部25のスライドが可能となっ
ている。また、オルダムリング23の外周面には、前記
長孔26の長手方向と直交する径方向に一対の伝達ピン
27,27の一端部がそれぞれスライド自在に嵌挿さ
れ、伝達ピン27,27の他端部は、前記シリンダ17
の周壁に穿設された嵌合孔29に嵌合固定されている。
これにより、前記回転体21はシリンダ17に対して偏
心した位置で無理なく結合状態が確保されると共に、シ
リンダ17の回転力はオルダムリング23を介して回転
体21に伝達されるようになっている。
【0029】従って、電動要素9の作動によりシリンダ
17がロータ15と一体的に回転することで、シリンダ
17に対して回転体21はオルダムリング23を介して
偏心して回転運動する。この時、回転体21の外周面
と、それに対向するシリンダ17の内周面との間には相
対速度が生じ、この相対速度は一回転を一周期として変
化しながらシリンダ17内で内転し、シリンダ17に対
して旋回運動するようになる。
【0030】一方、前記回転体21の外周面には螺旋状
の溝31が設けられており、この螺旋状の溝31は、吸
込端側(図1右側)のピッチPが一番大きく、以下、吐
出端側(図面左側)へ向けてピッチが順次小さくなるよ
う設定されている。
【0031】また、螺旋状の溝31には、摺動部材とな
る螺旋状のブレード33が弾性力を利用して出入自在に
嵌め込まれている。
【0032】螺旋状のブレード33は、ガラス繊維を複
合した四ふっ化エチレン樹脂から成り、図4に示す如く
母材34から螺旋状に切削加工したものである。
【0033】したがって、ブレード33により、各作動
室35が形成されると共に吸込端側となる作動室35の
容積が一番大きくなっている。以下、吐出端側へ向けて
各作動室35の容積が順次小さくなるよう設定され、吐
出側となる最終の作動室35は、副軸受20に形成され
密閉ケース1内に開放された吐出孔37と接続連通して
いる。また、各作動室35は図3に示す如くブレード3
3に沿って回転体21とシリンダ17の内周面との接触
部から次の接触部までのびたほぼ三日月状の領域となっ
ている。吸込端側の第1番目の作動室35は、回転体2
1の軸端部に設けられたメイン通路39と、主軸受19
に設けられた吸込通路41とを介して前記冷凍サイクル
の吸込パイプ5と接続連通している。これにより、吸込
パイプ5からシリンダ17内に吸引される冷媒は第1番
目の作動室35に途切れることなく確実に導入されるよ
うになっている。冷媒には、塩素の含まないHFC系冷
媒(HFC134a)が用いられている。
【0034】一方、図1において、43は回転体21に
設けられた油導入路を示しており、この油導入路43の
一端は前記螺旋状の溝31と連通し、他端は吸込端側の
主軸受19に穿設された連通孔45を介して前記密閉ケ
ース1の底部に吸込口47が臨む導入管49と接続連通
している。したがって、密閉ケース1内の圧力が上昇す
れば、密閉ケース1の底部に蓄えられた冷凍機油が導入
管49、連通孔45および油導入路43を通って前記螺
旋状の溝31内に送り込まれることでブレード33の出
入時の潤滑・冷却が確保されるようになっている。冷凍
機油は、HFC系冷媒と相溶性を有するポリエステル系
又はポリエーテル系油を用いると共に水分量は少なくと
も110ppmを越えることのない範囲で使用するよう
になっている。
【0035】次に、このように構成された流体圧縮機の
動作について説明する。
【0036】まず、電動要素9に通電するとロータ15
が回転し、このロータ15と一体にシリンダ17も回転
する。シリンダ17が回転すれば、オルダムリング23
を介して回転体21も回転する。シリンダ17に対する
回転体21は、偏心して旋回するため回転体21の外周
面とそれに対向するシリンダ17の内周面との間には相
対速度が生じ、さらに、その相対速度は一回転を一周期
として変化しながらシリンダ17内で内転し、シリンダ
17に対して回転体21は旋回運動する。この結果、吸
込端側の作動室35に取り込まれたHFC系冷媒は閉じ
込められた状態で回転体21の回転にともない吐出端側
の作動室35へ向けて順次送られながら圧縮され、吐出
パイプ7から外へ吐出されるようになる。同時に、ブレ
ード33には、冷凍機油が与えられ、潤滑・冷却が確保
されると共に実験の結果、長期間にわたり高い耐久性が
得られた。
【0037】その実験結果を図5に示す。
【0038】この実験の内容について説明すれば、試験
時間は2000時間とし、これと同条件で、水分量の異
なるポリエステル系冷凍機油とポリエーテル系冷凍機油
を適用したときの2000時間後のブレード33の摩耗
量を測定したものである。
【0039】比較例1は、実施例1と水分量が異なる1
01〜150ppmおよび151〜200ppmのポリ
エステル系冷凍機油を用いており、比較例2には、実施
例2と水分量が異なる101〜150ppmおよび15
1〜200ppmのポリエーテル系冷凍機油を用いてい
る。また、比較例3には従来から使用されるCFC系冷
媒としてCFC12冷媒と鉱油を用いている。
【0040】さらに、図5には、本発明の目的であるポ
リエステル系冷凍機油およびポリエーテル系冷凍機油の
水分量を100ppm以下にすることによってガラス繊
維複合のふっ素樹脂から成るブレード33が発生する摩
耗の低減に関し、その効果を比較するため、実施例1〜
2と、比較例1〜3の構成をスラストカラー型試験機を
用いた摩耗量と動摩擦係数が示されている。具体的に
は、前記ブレード33の加工に用いた丸棒材から試験片
((リング・オン・リング式)を切削加工により作成
し、相手材に鋳鉄(FC250)を用いて、荷重:20
kg/cm2 、速度:0.4m/秒:温度100℃の条件で
試験を行なったものである。また、潤滑油にはコンプレ
ッサに使用される冷凍機油を用い、かつ、冷凍機油内に
冷媒をバブリングさせ、さらに冷凍機油水分量の影響を
調べる目的で試験時間が5時間後、冷凍機油内に水蒸気
をバブリングさせ水分調整を行なった後、さらに5時間
試験を行ない、計10時間後における摩耗量と動摩擦係
数を測定したものである。
【0041】前記実験を行った結果、図6ないし図11
に示すようなことがわかった。ここで、図6、図7には
スラストカラー型試験機を用いた摩擦・摩耗試験結果が
示され、図6は実施例1と、比較例1,3の動摩擦係数
の結果を対比し、図7は実施例2と、比較例2,3の動
摩擦係数の結果が対比して示されている。
【0042】また、図8〜図11はスラストカラー型摩
擦摩耗試験後における摺動面を拡大した状態が示され、
図8は実施例1のポリエステル系油水分量50〜100
ppmの試験後におけるガラス繊維の表面状態、図9は
比較例1のポリエステル系油水分量101〜150pp
mの試験後におけるガラス繊維の表面状態、図10は実
施例2のポリエーテル系油水分量50〜100ppmの
試験後におけるガラス繊維の表面状態、図11は比較例
2のポリエーテル系油水分量101〜150ppmの試
験後におけるガラス繊維の表面状態が示されている。
【0043】すなわち、図5に示したように、実施例1
のポリエステル系油水分量50ppm未満と、同油水分
量50〜100ppmおよび実施例2のポリエーテル系
油水分量50ppm未満と50〜100ppmは、ブレ
ード33の摩耗量が14〜17μmであり、従来から使
用される比較例3のCFC系冷媒と鉱油の構成の15μ
mと同等であることがわかる。しかし、比較例1〜2
は、ポリエステル系油とポリエーテル系油のいずれも水
分量が101ppm以上になることによってブレード2
1の摩耗が増加し、31〜56μmと約2〜3倍に増大
しており、水分量の影響が大きいことが理解できる。
【0044】また、図6と図7に示すように、スラスト
カラー型試験機による動摩擦係数をみると、実施例1の
ポリエステル系油水分量50ppm未満と、同油水分量
50〜100ppmおよび実施例2のポリエーテル系油
水分量50ppm未満と50〜100ppm、比較例3
のCFC系冷媒と鉱油の構成は、試験時間5時間後の水
分調整によって変化が見られなかった。これは図8及び
図10に示すように、ガラス繊維が均等に削られ、平滑
な状態であり、良好な摺動状態であることが顕微鏡写真
からも判断できる。
【0045】一方、比較例1のポリエステル系油水分量
101〜150ppmと比較例2のポリエーテル系油水
分量101〜150ppmは、水分調整後に急激な増加
が確認された。特に、図5に示される試験時間10時間
後の摩耗量を見ると、動摩擦係数の増加が確認された比
較例1〜2は、摩耗量も大きく、ポリエステル系油とポ
リエーテル系油のいずれも水分量が101ppm以上に
なると摩耗量、動摩擦係数ともに増加が認められる。こ
れは図9、図11の比較例1,2のガラス繊維の表面状
態を見ると、微細な凹凸が見られガラス繊維表面の変質
が顕微鏡写真からも証明された。
【0046】つまり、比較例1ないし比較例2のブレー
ド33は、ポリエステル系油およびポリエーテル系油の
水分量が101ppm以上になると、ガラス繊維表面の
変質が起こり、この事によって本来、摩耗特性を改善す
る目的で複合したガラス繊維の補強効果が失われ、結果
としてブレード33の摩耗量を増加させたものと思われ
る。このブレード33の摩耗によってコンプレッサの耐
久性能が著しく疎外し、また、摩耗によって冷媒ガスの
シールが低下につながり所定のコンプレッサ性能を低下
させる悪循環が繰返えされるようになる。さらに、スラ
ストカラー型試験機による動摩擦係数の増加が見られた
ことから、ブレード33と溝31の摩擦抵抗の増加が予
想され、一層のコンプレッサ性能の低下が考えられる。
【0047】以上、こうしたことを整理すると、ガラス
繊維を複合した四ふっ化エチレン樹脂のブレード33
は、HFC系冷媒と相溶性のあるポリエステル系冷凍機
油およびポリエーテル系冷凍機油の水分量が100pp
m以下にすることによって、ガラス繊維表面の変質を防
ぎ、ガラス繊維を複合する本来の目的である耐摩耗性が
向上し、長期に渡って高いシール性をもたらす。
【0048】この結果は、ガラス繊維とポリエステル系
冷凍機油およびポリエーテル系冷凍機油の水分量の関係
が影響することから、ヘリカルブレード式コンプレッサ
のブレードのみならず、スクロール式コンプレッサのチ
ップシール、レシプロ式コンプレッサのピストンリング
など、HFC系冷媒と相溶性のあるポリエステル系冷凍
機油およびポリエーテル系冷凍機油、相対する摺動部材
を少なくともその一方がガラス繊維を複合したふっ素樹
脂で構成された冷媒圧縮機の全てにおいて有効である。
また、ガラス繊維と併用で他の補強材または潤滑材を複
合したふっ素樹脂においてもガラス繊維の耐摩耗性に関
しては関係せず、ガラス繊維と多種の複合系ふっ素樹脂
においても有効である。さらには、ガラス繊維を複合し
たふっ素樹脂を金属摺動部材にコーティングする場合が
あるが、材料の構成は同じであり有効である。
【0049】なお、HFC系冷媒と相溶性のあるポリエ
ステル系冷凍機油およびポリエーテル系冷凍機油の水分
量は50ppm以下が好ましい。また、ポリエステル系
冷凍機油およびポリエーテル系冷凍機油の水分量を除去
する方法として、予め脱水処理を行なうか、もしくは冷
凍サイクル内に水分除去部(吸水性物質によるドライヤ
ー)を設けるなどの方法がある。
【0050】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
HFC系冷媒と相溶性のあるポリエステル系冷凍機油お
よびポリエーテル系冷凍機油の水分量を少なくとも11
0ppmを越えるとこのない範囲で使用することでガラ
ス繊維を複合したふっ素樹脂から成る摺動部材の耐摩耗
性の向上が図れる。
【0051】したがって、HFC系冷媒圧縮機のシール
性、耐久性を向上させることができ、初期の性能を長期
に渡って維持できる効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施した冷媒圧縮機の切断面図。
【図2】回転体の斜視図。
【図3】図1のX−X線断面図。
【図4】螺旋状のブレードの加工状態を示す説明図。
【図5】実施例1,2と比較例1,2,3の実験結果を
示した説明図。
【図6】スラストカラー型試験機による動摩擦係数の特
性図。
【図7】スラストカラー型試験機による動摩擦係数の特
性図。
【図8】実施例1の金属組織を顕微鏡写真により表わし
た図。
【図9】実施例2の金属組織を顕微鏡写真により表わし
た図。
【図10】比較例1の金属組織を顕微鏡写真により表わ
した図。
【図11】従来例2の金属組織を顕微鏡写真により表わ
した図。
【符号の説明】
5 吸込口 7 吐出口 33 ブレード(摺動部材) 35 作動室

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動室を形成する摺動部材に冷凍機油が
    与えられると共に吸込口から前記作動室内に取入れられ
    た冷媒を順次圧縮していき、吐出口から吐出するように
    した冷媒圧縮機において、前記摺動部材を、ガラス繊維
    を複合したふっ素樹脂で構成し、かつ、冷媒を、塩素を
    含まないHFC系冷媒とする一方、冷凍機油を、前記冷
    媒と相溶性を有するポリエステル系又はポリエーテル系
    冷凍機油とすると共に、その水分量を少なくとも110
    ppmを越えることのない範囲で使用することを特徴と
    する冷媒圧縮機。
JP4305944A 1992-10-21 1992-10-21 冷媒圧縮機 Pending JPH06137290A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6006542A (en) * 1997-09-11 1999-12-28 Hitachi, Ltd. Refrigerant compressor and refrigerating apparatus

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6006542A (en) * 1997-09-11 1999-12-28 Hitachi, Ltd. Refrigerant compressor and refrigerating apparatus

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