JPH0613715Y2 - プラスチック容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、糖質輸液剤、電解質輸液剤、血漿増量剤、浸
透圧利尿剤、アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤、高カロリー輸
液剤等の静脈注射用の輸液用容器や、経腸栄養剤、高蛋
白栄養剤、成分栄養剤あるいは流動食等の経腸的高カロ
リー栄養剤用の容器等の可撓性のプラスチック容器であ
って、胴部を変形させて点滴を行う、いわゆる自然滴下
タイプの点滴用のプラスチック容器に関するものであ
る。

［従来の技術］ プラスチック材料の柔軟性を利用して胴部を変形させて
点滴を行う自然滴下タイプの輸液用プラスチック容器
は、ボトル形式のもの（特開昭６２−２２７３５５号公
報参照）と、バッグ形式のもの（特公昭６１−３８７０
５号公報参照）がある。

［考案が解決しようとする課題］ 前掲ボトル形式のものは、ブロー成形により成形される
ので、滴下終了時における内容液の残留量がきわめて多
いという欠点を有する。また、前掲バッグ形式のもの
は、二枚のフィルムやチューブ状のフィルムの管状体か
らなる口部の挿入部分を除いた全周を高周波加熱により
シールして袋体を形成し、次いで硬質のプラスチックか
らなる管体をシール部に挿入して、熱シールによって形
成するものであるので、製造工程が煩雑であるばかりな
く、滅菌加圧時に管体と袋体とのシール部分が破裂する
という問題点を有しているものの、滴下終了時における
内容液の残留量が、ボトル形式のものに比して極く少な
いという長所を有している。

そこで、本考案者は、従来のバッグ形式のものにおける
欠点を解消すべく、バッグ形式のものをプラスチックの
ブロー成形によって製造する手段を先に開発し、簡易迅
速に製造でき、しかも強度が大なるプラスチック容器を
得ることができた。

ところが、この種のバッグ形式のプラスチック容器をブ
ロー成形すると、第７図ないし第１０図に示すように、
ブロー成形時にピンチオフ部が形成される胴部ａの上下
端に樹脂溜りｂが形成されるので、滴下終了時に胴部ａ
の上下端部に比較的大きい空隙部ｃが生じて内容液の残
留量が多くなることが判明した。もっとも、ブロー成形
のための金型を、樹脂溜りが生じないように樹脂を逃が
す構成とすることは可能であるが、それではピンチオフ
部が薄肉となってその部位の強度が低下してしまい、滅
菌処理時に破れてしまう虞がある。なお、第７図ないし
第１０図において、ｄは吊片、ｅは口部、ｆは輸液管を
接続する注射針を示している。

本考案は、叙上のような実状に鑑み、扁平形状の胴部の
上端に吊片を、下端に口部を備え、ブロー成形により形
成されたプラスチック容器であっても、滴下終了時に胴
部のピンチオフ部に空隙がほとんど生じず、内容液の残
留量を極力少なくすることができ、しかも胴部のピンチ
オフ部の強度を大にして、滅菌処理時に破れる虞がない
プラスチック容器を提供することを目的とするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、その目的を達成するための技術的手段として
次のように構成した。

すなわち、扁平形状の胴部の上端に吊片を、下端に口部
を備え、ブロー成形により形成されたプラスチック容器
であって、胴部の上下端部をブロー成形時のピンチオフ
部とし、少なくともその一方のピンチオフ部に、胴部と
の連接部で絞った変形容易な変形部とした膨出部を形成
してなることを特徴とするプラスチック容器としたもの
であり、特に、少なくとも一方のピンチオフ部に形成さ
れた膨出部は、ブロー成形時の樹脂溜りを有する中空状
としたものである。

［作用］ 本考案に係るプラスチック容器は、胴部の上下端部をブ
ロー成形時のピンチオフ部とし、少なくともその一方の
ピンチオフ部に、胴部との連接部で絞って変形容易な変
形部とした膨出部を形成してなるものであるから、輸液
等の内溶液の滴下に伴って順次扁平に変形する胴部は、
膨出部との連接部である変形部が容易に変形して滴下終
了時に膨出部との境界までほぼ完全な扁平状態に変形
し、内溶液はほとんど残留しない。

特に、膨出部をブロー成形時の樹脂溜りを有する中空状
としたものでは、胴部と膨出部との連接部である変形部
が一層変形し易くなり、滴下終了時に胴部が変形部まで
確実に扁平状に変形する。

また、ブロー成形時のピンチオフ部が膨出部となってい
るので、その部位は厚肉となって強度は大であり、高
温、高圧状態で行われる滅菌処理時に胴部が破れる虞は
ない。

［実施例］ 第１図ないし第５図において本考案の一実施例を説明す
る。

１は輸液用プラスチック容器であって、この輸液用プラ
スチック容器１は、熱可塑性プラスチックをブロー成形
して構成されたものである。上記輸液用プラスチック容
器１の胴部２は扁平で横断面が楕円形状のものであっ
て、その上端には吊片３が、下端には口部４が備えられ
ている。５は吊穴である。口部４には滴下時に輸液管を
接続した注射針（図示せず）が射込まれる。

上記胴部２の上端部は、ブロー成形時のピンチオフ部６
となり、その上端部には膨出部７が形成されている。膨
出部７は、ブロー成形時に樹脂溜り８が形成され、かつ
中空状のものであって、膨出部７の胴部２との連接部は
変形容易な変形部９となっている。膨出部７は胴部２の
下端部にも同様に形成されるが、この膨出部７は、上下
端部とも、またはその一方端部にのみ形成することがで
きる。

膨出部７は、第３図ないし第５図に示すような逆三角形
の形状のほか、第６図に示すように変形部９から丸みを
帯びた形状としてもよい。膨出部７は、胴部２との連接
部で絞った変形容易な変形部９とした膨出中空状であ
り、端部に厚肉の樹脂溜りを有する。

輸液用プラスチック容器１を構成する熱可塑性プラスチ
ックとしては、すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル等ブロー成形に適した材料が用いられ
る。

以上のように構成された輸液用プラスチック容器１に内
容液が充填されると、胴部２が膨らんだ状態となるが、
滴下の進行に伴って胴部２は順次扁平状に変形してい
き、滴下の完了時には、第４図に示すように、胴部２は
その両面が上下端部の変形部９の部位まで完全に密着し
た状態となる。そして、この状態では内容液が膨出部７
内に極く僅か残留するのみであるから、内溶液を有効に
使用することができる。

一方、ブロー成形時に生じる胴部２のピンチオフ部６に
は、樹脂溜り８を備える膨出部７が形成されるので、そ
の部位の強度が大であって、高温、高圧状態で行われる
滅菌処理時に胴部２が破れることはない。

なお、本考案の膨出部は、連接部から外部へ中空状に突
出するものであればよい。

［考案の効果］ 本考案によれば、胴部の上下端部をブロー成形時のピン
チオフ部とし、少なくともその一方のピンチオフ部に、
胴部との連接部で絞った変形容易な変形部とした膨出部
を形成してなるものであるから、滴下終了時には胴部の
ピンチオフ部に空隙がほとんど生じず、内容液の残留量
を極力少なくすることができ、しかも胴部のピンチオフ
部の強度を大にして、滅菌処理時における胴部の破れを
防止することができる効果が得られる。

特に、膨出部をブロー成形時の樹脂溜りを有する膨出中
空状とすれば、胴部を膨出部との連接部である変形部ま
で確実に扁平状に変形させることができ、前記の効果を
一段と向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本考案に係るプラスチック容器の
実施例を示し、第１図は全体の輸液用プラスチック容器
の正面図、第２図は同上側面図、第３図は内容液が充填
されている態様を示す一部の縦断側面図、第４図は滴下
終了時の態様を示す一部の縦断側面図、第５図は一部の
斜視図、第６図は他例を示す一部の縦断側面図である。 第７図および第８図は輸液用プラスチック容器をブロー
成形した場合の一般的態様を説明する一部の断面図、第
９図および第１０図は同上全体正面図および滴下終了時
の側面図である。 １……輸液用プラスチック容器、２……胴部、３……吊
片、４……口部、６……ピンチオフ部、７……膨出部、
８……樹脂溜り、９……変形部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扁平形状の胴部の上端に吊片を、下端に口
   部を備え、ブロー成形により形成されたプラスチック容
   器であって、胴部の上下端部をブロー成形時のピンチオ
   フ部とし、少なくともその一方のピンチオフ部に、胴部
   との連接部で絞った変形容易な変形部とした膨出部を形
   成してなることを特徴とするプラスチック容器。
2. 【請求項２】少なくとも一方のピンチオフ部に形成され
   た膨出部は、ブロー成形時の樹脂溜りを有する中空状と
   したものであることを特徴とする請求項(1)記載のプラ
   スチック容器。