JPH06136519A - 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置 - Google Patents

結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置

Info

Publication number
JPH06136519A
JPH06136519A JP28574392A JP28574392A JPH06136519A JP H06136519 A JPH06136519 A JP H06136519A JP 28574392 A JP28574392 A JP 28574392A JP 28574392 A JP28574392 A JP 28574392A JP H06136519 A JPH06136519 A JP H06136519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
crystalline
fine particles
film
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28574392A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Mitani
力 三谷
Tetsuya Shiratori
哲也 白鳥
Hidenobu Shintaku
秀信 新宅
Shigeo Suzuki
茂夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP28574392A priority Critical patent/JPH06136519A/ja
Publication of JPH06136519A publication Critical patent/JPH06136519A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は結晶質膜の製膜方法とその製膜装置
に関するものであって、特に従来に比べて低温で、かつ
大きい製膜速度で高品質な結晶質膜が製膜できることを
特徴としており、例えば低コストな太陽電池を多量に提
供することを目的としている。 【構成】 粒径20nm以下のSiの結晶質微粒子3を減
圧ガス雰囲気中に設置したSi電極5、6間のアーク放
電で生成し、加熱した基板1上に堆積することによっ
て、低温で高品質な多結晶質薄膜を製膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶質膜の製膜方法とそ
の製膜装置に関するものであって、特に従来の技術に比
べて低温で、かつ大きい製膜速度で高品質な結晶質膜が
製膜できることを特徴とする。
【0002】結晶質膜は高品質な各種薄膜電子デバイス
を実現する手段として、今や産業上、重要な技術である
とともに、今後ともその重要度が増していくものであ
る。以下に、結晶質膜が応用される薄膜電子デバイスの
一つとして、Si結晶質薄膜が用いられるSi薄膜太陽
電池について従来の技術を例示する。
【0003】太陽電池は発電用デバイスとしても期待が
大きいが、発電用として普及させるための最大課題は低
コスト化である。Si薄膜太陽電池はこの低コスト化を
実現できる太陽電池である。さらにSi薄膜太陽電池で
の製造上の低コスト化手段は、Si薄膜の製膜温度の低
温化による安価なガラス基板等の低コスト基板の採用の
実現、およびSi薄膜の製膜速度の向上による大量生産
でのコストダウンが主たるものである。
【0004】
【従来の技術】従来の技術によるSi薄膜太陽電池用S
i結晶質薄膜の製膜方法は、SiH4ガス等を原料とす
るプラズマCVD法、熱CVD法、およびSiインゴッ
トを原料とする真空蒸着法等がある。図4は、従来の技
術によるSi結晶質薄膜の製膜方法例である。前記プラ
ズマCVD法、熱CVD法、および真空蒸着法等の従来
の技術は何れにしろ、Si結晶質薄膜は、原料から分解
されたSiを含む原子、分子52が基板49上に堆積す
ることでSiの結晶質薄膜51が製膜される。ここでこ
れら従来の技術では、Siの結晶質薄膜51を製膜する
ために基板49をヒーター50等の加熱手段によって1
000K以上に加熱している。
【0005】また、前記従来の技術で太陽電池用の高品
質なSi結晶質薄膜を製膜するときの製膜速度は、約3
0nm/min〜100nm/min程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来の技術で
は、低コストな太陽電池を実現、普及させるためには、
大きい二つの課題があった。以下にこれらの課題につい
て記す。
【0007】その一つは、Si結晶質薄膜の製膜温度が
前記のように1000K以上と高く、耐熱温度が約82
0Kの安価なガラス基板等の低コスト基板の採用がはな
はだ困難であったことである。このように基板を高温に
加熱する必要があるのは、従来の技術では図4に記すよ
うなSiを含む原子、分子52が基板49上でマイグレ
ーションすることによって、結晶質薄膜が製膜されるた
めであり、そのマイグレーションエネルギーを前記原
子、分子が基板温度から受け取るためであることが主た
る原因である。
【0008】また、二つめの課題はSi結晶質薄膜の製
膜速度が前述のように約30nm/min〜100nm/min程度
と小さく、大量生産によるコストダウンが困難であった
ことである。従来の技術でこのように製膜速度が小さい
主たる原因は、前記の製膜温度が高かった原因と同様
に、従来の技術では図4に記すようなSiを含む原子、
分子52が基板49上でマイグレーションすることによ
って、結晶質薄膜が製膜されるためである。すなわち、
前記原子、分子はマイグレーションによって結晶成長す
るのに安定な位置に落ちつくまでに時間(以後、マイグ
レーション時間、と記す)を要し、製膜速度の上限がこ
のマイグレーション時間によって大きく影響されるため
である。
【0009】以上のように、低コストな太陽電池を実
現、普及させる上で従来の技術にあった二つの大きい課
題は、いづれも製膜方法に起因するものであって、具体
的にはSiを含む原子、分子によって結晶質薄膜が製膜
されることが主たる原因であった。
【0010】本発明は、以上記した課題に鑑みてなされ
たものであって、低コストなSi結晶質薄膜太陽電池を
実現することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本願発明では、粒径が20nm以下の結晶質微粒子を
結晶質薄膜の製膜に用いることを特徴としている。
【0012】具体的には、本願の請求項1に記載の発明
は、粒径が20nm以下の結晶質微粒子を不活性ガス雰囲
気中で生成するとともに基板上に堆積し、前記微粒子の
堆積中に基板を加熱、もしくは前記微粒子の堆積後に基
板を加熱する結晶質膜の製膜方法である。
【0013】請求項2に記載の発明は、粒径が20nm以
下の結晶質微粒子をドーパントを含むガス雰囲気中で生
成するとともに基板上に堆積し、前記微粒子の堆積中に
基板を加熱、もしくは前記微粒子の堆積後に基板を加熱
する結晶質膜の製膜方法である。
【0014】請求項3に記載の発明は、粒径が20nmよ
り大きい結晶質粗大粒子を基板へ供給するとともに、不
活性ガス雰囲気中、もしくはドーパントを含むガス雰囲
気中で生成した粒径が20nm以下の結晶質微粒子を、前
記粗大粒子の基板への供給過程で粗大粒子に混合し、こ
の粗大粒子と微粒子との混合粒子の基板への堆積中に基
板を加熱、もしくは前記粒子の堆積後に基板を加熱する
結晶質膜の製膜方法である。
【0015】さらに請求項4に記載の発明は、前記請求
項3に記載の発明の実施要項を具備した製膜装置であっ
て、薄膜の主成分からなる電極対を設置した第一の真空
容器と、基板と、プラズマ発生手段と、薄膜の主成分か
らなる結晶質粗大粒子の前記プラズマへの供給手段とを
具備し、前記第一の真空容器より低圧力に設定された第
二の真空容器と、前記電極対間にアーク放電を発生させ
る電源装置と、さらに前記第一の真空容器で生成した結
晶質微粒子を前記第二の真空容器へ搬送する搬送管とで
構成された結晶質膜の製膜装置である。
【0016】
【作用】本願発明は結晶質微粒子を基板上に堆積するこ
とを特徴としており、その結果、従来の技術に比べて基
板温度が低温で、かつ大きい製膜速度で高品質の結晶質
薄膜が製膜できるものである。結晶質微粒子が結晶質薄
膜の製膜におよぼす作用を以下に記す。
【0017】微粒子の特徴的な物性に融点降下現象があ
るのは周知の事実であり、各種文献にも記されている
(例えば、一ノ瀬、尾崎、賀集著、オーム社発行、超微
粒子技術入門、p.26〜p.29)。このような微粒
子に特有な融点降下現象は、特に粒径が20nm以下で顕
著である。例えば前記文献例では、粒径5nmの金の微粒
子の融点は約1100K、さらに粒径2nmの金の微粒子
の融点は約500Kと、バルクの金の融点1336Kか
らはるかに低下している。この融点降下現象は、実験事
実としても確認されている。
【0018】ところで、物質を結晶成長させるためには
その物質固有の再結晶化温度に加熱することが必要であ
って、再結晶化温度はその物質の融点から20〜30K
低い温度である。微粒子の融点は、上記のように微粒子
の粒径によって、バルクの融点からはるかに低下するの
で、微粒子の再結晶化温度も微粒子の粒径によってバル
クの再結晶化温度からはるかに低下するものである。
【0019】そこで本発明は、以上記した微粒子の融点
降下現象から生ずる再結晶化温度の降下に着目してなさ
れたものである。その結果、本発明ではこのような微粒
子を基板上に堆積すれば、基板温度は従来の技術より低
温で結晶質薄膜の製膜が可能となったものである。
【0020】また、本発明で用いる微粒子はそれ自体が
結晶質のものであることも特徴である。その結果、本発
明での製膜メカニズムは、結晶質微粒子の融合成長が主
たるものである。この微粒子の融合成長は瞬時に発生す
るため、本発明では従来の技術に比べて大きい製膜速度
で高品質の結晶質薄膜が製膜できるものである。
【0021】以上のような微粒子特有の作用は、微粒子
の表面原子が活性な状態において著しく現われるので、
微粒子は不活性ガス雰囲気中で生成し、活性なままで基
板上に堆積する。以上の作用に関する記述は、本願の請
求項1に記載の発明に関したものである。
【0022】次に本願の請求項2に記載の発明に関した
作用を述べる。請求項2に記載の発明においても前記請
求項1記載の発明と同様に粒径20nm以下の結晶質微粒
子を製膜に用いる点では、請求項1記載の発明で記した
作用が同様に発揮できるが、微粒子はドーパントを含む
ガス雰囲気中で生成されるため、以下に記す作用がさら
に発揮できる。ここで記すドーパントとは、例えばほう
素(B)等の太陽電池用のP型Si結晶質薄膜の場合の
P型ドーパントを示す。このようなドーパントを含むガ
ス雰囲気中で生成された微粒子は、半導体化した結晶質
微粒子であるため、結晶質薄膜を後工程で半導体化する
必要はなく、製膜工程の簡素化が可能となる。さらに前
記ドーパントは本発明の骨子である再結晶化温度の低下
に対して悪影響を及ぼすのもではない。
【0023】次に請求項3に記載の発明についてその作
用を記す。請求項3に記載の発明は粒径が20nmより大
きい結晶質粗大粒子を基板へ供給するとともに、粒径2
0nm以下の結晶質微粒子を前記粗大粒子へ混合し、基板
上へ堆積することで結晶質薄膜を製膜するものである。
【0024】本発明の際だった作用は、粗大結晶質粒子
を基板に堆積するため製膜速度が前記の請求項1、2に
記載の発明での製膜速度よりもさらに大きいことであ
る。粗大粒子のみでは間隙が生じる他、再結晶化温度の
低下が前記微粒子ほどは顕著ではないため、結晶質膜の
製膜での基板温度の低下は困難である。そこで本発明で
は粒径が20nm以下の結晶質微粒子を粗大粒子に付着さ
せて基板へ堆積すること、もしくは粗大粒子と微粒子と
を同時に基板へ堆積することを特徴としている。その結
果、微粒子が前記間隙を補充し低温で結晶成長するため
に、低い基板温度で緻密な結晶質薄膜が製膜可能となる
ものである。
【0025】次に請求項4に記載の発明についてその作
用を記す。請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記
載の発明の実施要項を具現化した製膜装置であり、微粒
子の生成室である第一の真空容器と、製膜室である第二
の真空容器と、前記第一の真空容器で生成した微粒子を
前記第二の真空容器へ搬送する搬送管とで構成されてい
る。
【0026】まず前記第一の真空容器について本発明の
作用を記す。第一の真空容器では、薄膜の主成分からな
る電極間にアーク放電を発生させることを特徴としてい
る。前記電極のうち特に陽極は、アーク放電の熱によっ
て高速で蒸発する。また、アーク放電が発生するガス圧
力雰囲気では前記蒸発によって結晶質微粒子が生成でき
る。この様な電極、放電形態で生成した微粒子は、電極
材料組成で構成されており、また雰囲気ガス中で生成す
るため例えば大気中の窒素、酸素等に汚染されにくいた
め、高純度な微粒子である。
【0027】次に第二の真空容器について本発明の作用
を記す。第二の真空容器では、薄膜の原料となる結晶質
粗大粒子がプラズマによって、少なくともその表面が活
性化、もしくは溶融状態となる。このような粗大粒子に
第一の真空容器から搬送される微粒子が混合されて混合
粒子となる。ここで記す混合粒子とは、粗大粒子の表面
に微粒子が付着したものも含むし、また、粗大粒子と微
粒子とを個別に基板上へ供給し、基板上で粗大粒子と微
粒子とが混合されたものをも含む。ここで前記プラズマ
の作用は、粗大粒子の少なくとも表面を活性化、もしく
は溶融状態とし、微粒子と混合することによって、基板
上に緻密な結晶質薄膜を製膜させるためである。
【0028】従って、プラズマは薄膜の純度を低下させ
ないような高純度であることが必要である。そのための
プラズマの発生手段としては、プラズマがプラズマ発生
用の放電電極に接しない交流放電が好ましい。交流とし
ては、前記粗大粒子の表面を活性化、もしくは溶融させ
やすい高温プラズマを容易に発生できる高周波(以下、
RFと記す)が好ましい。
【0029】次に前記第一の真空容器で生成した微粒子
を前記第二の真空容器へ搬送する搬送管について記す。
上記のように生成した微粒子は、微粒子の表面原子が活
性な状態において本発明の特徴の一つである再結晶化温
度の低下が著しく現われるので、微粒子は不活性ガス雰
囲気中で生成し、活性なままで粗大粒子へ供給し、混合
する。その実施要項は、微粒子生成室である第一の真空
容器に対して低圧力に設定された製膜室である第二の真
空容器へ、これら二つの真空容器の圧力差によって生じ
るガス流で前記微粒子を搬送する搬送管を第一の真空容
器と第二の真空容器との間に設ける構成が好ましい。前
記搬送管のより具体的な構成は、搬送管の第一の真空容
器内での端の形状が末広形状であって、前記電極対の上
部に設置する構成とすれば、第一の真空容器で生成した
微粒子を効率的に収集し、第二の真空容器へ搬送可能と
なる。
【0030】また、前記搬送管の第二の真空容器内での
端の形状が先細形状であって、プラズマ発生部と基板と
の間に設置する構成とすれば、プラズマ通過後の粗大粒
子と効率的に混合可能となるものである。
【0031】
【実施例】以下に、Si結晶質薄膜の製膜について本発
明の実施例を示す。図1は請求項1記載の発明に基づく
一実施例を示し、図1(a)はSi多結晶薄膜の製膜装
置の概略、図1(b)は製膜中の基板と薄膜の成長過程
の概略、図1(c)はその結果できたSi多結晶薄膜を
示す。
【0032】図1(a)はSiの結晶質微粒子の生成過
程と、基板上へのSi結晶質薄膜の製膜過程を示す。真
空容器9内のヒーター2に基板1を設置した後、真空ポ
ンプ10で真空容器9を真空排気する。次にArガスボ
ンベ12からバルブ13を介して真空容器へArガスを
供給し、所定の圧力に設定する。その後、Si陰極5と
るつぼ8に設置したSi陽極6に電源11から電圧を印
加すると、減圧雰囲気中でSi電極間にアーク放電7が
発生する。Si陽極6はアークの熱によって溶融、蒸発
する。このようにして蒸発したSiの蒸発原子4は、雰
囲気ガスのArとの衝突によって凝縮し、その結果Si
の結晶質の微粒子3が生成するのである。
【0033】このSiの微粒子は、アーク放電7によっ
て熱せられたArガスの上昇気流によって、ヒーター2
によって加熱されている基板1上に堆積していく。本実
施例では、Arガス圧力を1000Pa以下、アーク放電
電流を100A以下、Si陽極6と基板1との距離を2
0cm以下とすることで微粒子3の粒径を20nm以下に制
御できた。この様な条件で生成したSiの微粒子3の結
晶性は単結晶であった。基板1は耐熱温度が約820K
の安価なガラス基板を用いて、温度はヒーター2によっ
て調整した。
【0034】図1(b)は製膜中の薄膜の成長過程の概
略を示す。以上のようにして生成したSiの微粒子3が
加熱された基板1上に堆積していくと、Si多結晶質薄
膜15が結晶成長していく。
【0035】図1(c)はその結果できたSi多結晶薄
膜である。この薄膜の製膜条件の詳細は、Arガス圧力
を500Pa、アーク放電電流を100A、Si陽極6と
基板1との距離を15cmとすることで粒径が5nmのSi
の単結晶の微粒子3が生成できて、また基板1の温度を
723Kとした。その結果製膜されたSi多結晶質薄膜
の平均結晶粒径は20μmであった。上記の製膜条件で
は製膜速度は5μm/minであり、2minの製膜時間で膜厚
10μmの前記Si多結晶薄膜15が製膜できた。
【0036】以上のようにしてできたSi多結晶質薄膜
は、不活性ガス雰囲気中で、Si陰極とSi陽極間での
アーク放電によって製膜されているため、膜の純度も高
純度であり、また膜厚、結晶粒径ともSi薄膜太陽電池
用として十分な特性を有するものである。
【0037】このように本発明は、従来の技術に比べて
安価なガラス基板が使用できる程の低温で、しかも大き
い製膜速度で高品質なSi多結晶薄膜が製膜できるもの
である。
【0038】さらにこの製膜後に前記Siの多結晶薄膜
は、イオンドーピング法、あるいは熱拡散法等の後工程
でP型、あるいはN型等の半導体薄膜とされる。
【0039】本実施例では、微粒子の生成にアーク放電
を用いたが、他の方法でもかまわない。また、不活性ガ
スとしてArガスを用いたが、Heガス、Neガス、K
rガス、Xeガス等他の不活性ガスを用いてもかまわな
い。
【0040】次に請求項2記載の発明に基づく一実施例
を記す。図2は請求項2記載の発明に基づく一実施例を
示し、図2(a)はSi多結晶薄膜の製膜装置の概略、
図2(b)はその結果できたSi多結晶薄膜を示す。
【0041】図2(a)はSiの結晶質微粒子の生成過
程と、基板上へのSi結晶質薄膜の製膜過程を示す。S
iの結晶質微粒子18の生成方法は、請求項1記載の発
明に基づく実施例に準じるが、本発明ではP型のSi多
結晶薄膜を製膜するために、新たにドーパントガスとし
て、B26ガスを微粒子18の生成雰囲気に添加してい
る。
【0042】図2(b)はその結果できたSi多結晶薄
膜である。この薄膜の製膜条件の詳細は、Arガス圧力
を500Pa、B26ガス圧力を10Pa、アーク放電電流
を100A、Si陽極6と基板1との距離を15cm以下
とすることで粒径が5nmのSiの単結晶の微粒子3が生
成できて、また基板16の温度を723Kとした。その
結果製膜されたSi多結晶質薄膜の平均結晶粒径は20
μmであった。また、製膜速度は5μm/minであり、2mi
nの製膜時間で膜厚10μmの前記Si多結晶薄膜32が
製膜できた。このSi多結晶薄膜32は前記のようにB
26ガスを添加したために、すでに薄膜太陽電池用のP
型Si多結晶半導体として動作が可能なものである。
【0043】また、前記第一の実施例と同様に、以上の
ようにしてできたSi多結晶質薄膜は、不活性ガス雰囲
気中で、Si陰極とSi陽極間でのアーク放電によって
製膜されているため、膜の純度も高純度であり、また膜
厚、結晶粒径とも製膜Si薄膜太陽電池用として十分な
特性を有するものである。
【0044】このように本発明は、従来の技術に比べて
安価なガラス基板が使用できる程の低温で、しかも大き
い製膜速度で高品質なSi多結晶薄膜が製膜できるもの
である。
【0045】本発明は製膜の後工程として、イオンドー
ピング法、あるいは熱拡散法等の半導体化工程が不要で
あり、工程の簡素化が可能なものである。
【0046】本実施例では、微粒子の生成にアーク放電
を用いたが、他の方法でもかまわない。また、不活性ガ
スとしてArガスを用いたが、Heガス、Neガス、K
rガス、Xeガス等他の不活性ガスを用いてもかまわな
い。ドーパントガスとしてはB26ガスに限定するもの
ではない。
【0047】次に請求項3、4記載の発明に基づく一実
施例を記す。図3(a)はSi多結晶薄膜の製膜装置の
概略、図3(b)は粒子の堆積過程の概略、図3(c)
はその結果できたSi多結晶薄膜を示す。
【0048】本発明は、Siの結晶質粗大粒子を基板上
へ供給するとともに、この粗大粒子に粒径20nm以下の
Siの結晶質微粒子を混合しながら基板上に堆積し、製
膜することを特徴としている。ここで粗大粒子とは、上
記のような融点降下が現れにくくなるもので、粒径が2
0nmより大きいものをさしている。
【0049】図3(a)はSiの結晶質微粒子の生成過
程と、Siの結晶質粗大粒子の供給過程、および基板上
へのSi結晶質薄膜の製膜過程を示す。第二の真空容器
35内のヒーター34に基板33を設置した後、真空ポ
ンプ36で第二の真空容器35を真空排気する。次にA
rガスボンベ42からバルブ43を介して第二の真空容
器35へArガスを供給し、所定の圧力に設定する。そ
の後、RFコイル39にRF電力を供給すると、プラズ
マ38が発生する。このプラズマ38中をホッパー41
から供給されたSiの結晶質粗大粒子40が通過する
と、前記粗大粒子はその表面が活性化したり、溶融す
る。
【0050】このような状態となった粗大粒子は、プラ
ズマ38の下部に設置した基板33へ供給される。前記
粗大粒子が基板へ供給される過程で、前記粗大粒子37
へは、第一の真空容器45で生成されたSiの結晶質微
粒子44が、第一の真空容器45と第二の真空容器35
との圧力差によるガス流によって搬送管47で第二の真
空容器35へ搬送され、粗大粒子と混合される。本実施
例では、前記搬送管の一端は、末広形状となっており、
第一の真空容器45内のSi電極上部に設置した。
【0051】また、搬送管47の他端は、先細形状とな
っており、第二の真空容器35内のプラズマ38と基板
33との間に設置した。搬送管は、本実施例では窒化シ
リコンの焼結体で作製することで、Si結晶質微粒子の
搬送による搬送管の損耗を皆無に近くし、高純度の膜を
製膜した。このようにして基板33上に結晶質粗大粒子
と結晶質微粒子との混合粒子が堆積していく。前記微粒
子44は、上記基請求項1記載の発明で明記した実施例
と同じ生成条件、生成手順で生成した。本実施例でも基
板33は耐熱温度が約820Kの安価なガラス基板を用
いて、温度はヒーター2によって調整した。
【0052】図3(b)は製膜中の粒子の堆積過程概略
を示す。以上のようにして生成したSiの粒子が加熱さ
れた基板33上に堆積すると、Siの多結晶質薄膜48
が製膜される。
【0053】図3(c)はその結果できたSi多結晶薄
膜である。この薄膜の製膜条件例の詳細を記す。粗大粒
子の特性が純度10Nの結晶質であり、平均粒径は7μ
m、供給量は0.2g/minとした。また、プラズマ発生部
でのArガス圧力を200Pa、RFコイルへの供給電力
を10kWとすると、高温のプラズマ38が発生する。第
一の真空容器45における微粒子44の生成条件は、上
記請求項1記載の発明に記した実施例と同じとした。
【0054】ただし、微粒子44の粒径は前記のごとく
Si陽極46から基板までの距離によってもかわるた
め、本実施例では前記距離を請求項1記載の発明での実
施例と同じく15cmとすることで粒径が5nmのSiの単
結晶の微粒子44が生成できた。また基板33の温度も
前記実施例と同じ723Kとした。
【0055】その結果製膜されたSi多結晶質薄膜の平
均結晶粒径は20μmであった。また、製膜速度は10
μm/minであり、1minの製膜時間で膜厚10μmの前記
Si多結晶薄膜48が製膜できた。
【0056】以上のようにしてできたSi多結晶質薄膜
は、不活性ガス雰囲気中で、Si陰極とSi陽極間での
アーク放電によって製膜されているため、膜の純度も高
純度であり、また膜厚、結晶粒径とも製膜Si薄膜太陽
電池用として十分な特性を有するものである。
【0057】以上の実施例は、Siの結晶質粗大粒子と
結晶質微粒子との混合を、粗大粒子が基板上に堆積する
までの過程で行った。本発明では、粗大粒子と微粒子と
の混合は、粗大粒子の基板への堆積と同時に微粒子を基
板上へ堆積しても、同様に高品質の結晶質薄膜が製膜で
きるものである。このような製膜は、例えば図3(a)
に記す搬送管47の微粒子出口を基板方向へ向けること
によって容易に実現できる。
【0058】このように本発明は、従来の技術に比べて
安価なガラス基板が使用できる程の低温で、しかも大き
い製膜速度で高品質なSi多結晶薄膜が製膜できるもの
である。
【0059】さらにこの製膜後に前記Siの多結晶薄膜
は、イオンドーピング法、あるいは熱拡散法等の後工程
でP型、あるいはN型等の半導体薄膜とされる。
【0060】本実施例では、粗大粒子表面の活性化、溶
融化するプラズマ用ガス、および微粒子の生成用ガスに
Arガスを用いたが、Heガス、Neガス、Krガス、
Xeガス等他の不活性ガスを用いてもかまわない。
【0061】また、本発明にも産業上多大な効果を発揮
する各種の実施例があるが、請求項2記載の発明で明記
したように微粒子の生成雰囲気にドーパントガスを含む
ガス雰囲気中で生成することで、Siの多結晶薄膜の半
導体化工程を簡素化できることがその代表的なものとし
てあげられる。
【0062】
【発明の効果】以上記したように、本発明の効果は、従
来の技術に比べて低温で高品質な結晶質薄膜が大きい製
膜速度で製膜できることである。従って、本発明で例え
ばSi結晶質薄膜太陽電池を製造すれば、従来の技術に
よるものより低コストで多量に提供できる。本発明は以
上記したSi結晶質薄膜の製膜方法に限定するものでも
なく、また、太陽電池の製造に限定するものでもない。
【0063】本発明が特に効果を発揮する他の応用例と
しては、例えば太陽電池に関しても透明電極薄膜の製膜
方法もその一つであるし、多結晶Si−TFT(Thi
nFilm Transistor)用のSi多結晶薄
膜の製造方法など、各種の高品質電子デバイスの製造が
あげられる。従って、本発明の効果は産業上、多大なも
のがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製膜方法の一実施例の説明図
【図2】本発明の他の実施例の説明図
【図3】本発明の更に他の実施例の説明図
【図4】従来の製膜方法の説明図
【符号の説明】
1、16、33 基板 3、18、44 微粒子 5、20 Si陰極 6、21、46 Si陽極 7、22 アーク放電 9、24 真空容器 11、26 電源 12、27 Arガスボンベ 15、3、48 Si多結晶薄膜 28 B26ガスボンベ 35 第二の真空容器 37、40 粗大粒子 45 第一の真空容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒径が20nm以下の結晶質微粒子を不活性
    ガス雰囲気中で生成するとともに基板上に堆積し、前記
    微粒子の堆積中に基板を加熱、もしくは前記微粒子の堆
    積後に基板を加熱する結晶質膜の製膜方法。
  2. 【請求項2】粒径が20nm以下の結晶質微粒子をドーパ
    ントを含むガス雰囲気中で生成するとともに基板上に堆
    積し、前記微粒子の堆積中に基板を加熱、もしくは前記
    微粒子の堆積後に基板を加熱する結晶質膜の製膜方法。
  3. 【請求項3】粒径が20nmより大きい結晶質粗大粒子を
    基板へ供給するとともに、不活性ガス雰囲気中、もしく
    はドーパントを含むガス雰囲気中で生成した粒径が20
    nm以下の結晶質微粒子を、前記粗大粒子の基板への供給
    過程で粗大粒子に混合し、この粗大粒子と微粒子との混
    合粒子の基板への堆積中に基板を加熱、もしくは前記粒
    子の堆積後に基板を加熱する結晶質膜の製膜方法。
  4. 【請求項4】薄膜の主成分からなる電極対を設置した第
    一の真空容器と、基板と、プラズマ発生手段と、薄膜の
    主成分からなる結晶質粗大粒子の前記プラズマへの供給
    手段とを具備し、前記第一の真空容器より低圧力に設定
    された第二の真空容器と、前記電極対間にアーク放電を
    発生させる電源装置と、さらに前記第一の真空容器で生
    成した結晶質微粒子を前記第二の真空容器へ搬送する搬
    送管とで構成された結晶質膜の製膜装置。
JP28574392A 1992-10-23 1992-10-23 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置 Pending JPH06136519A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28574392A JPH06136519A (ja) 1992-10-23 1992-10-23 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28574392A JPH06136519A (ja) 1992-10-23 1992-10-23 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06136519A true JPH06136519A (ja) 1994-05-17

Family

ID=17695479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28574392A Pending JPH06136519A (ja) 1992-10-23 1992-10-23 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06136519A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013227612A (ja) * 2012-04-25 2013-11-07 Canon Inc 成膜装置及び成膜方法
JP2019076891A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 国立大学法人東北大学 ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013227612A (ja) * 2012-04-25 2013-11-07 Canon Inc 成膜装置及び成膜方法
JP2019076891A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 国立大学法人東北大学 ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4377564A (en) Method of producing silicon
US4487162A (en) Magnetoplasmadynamic apparatus for the separation and deposition of materials
US20080023070A1 (en) Methods and systems for manufacturing polycrystalline silicon and silicon-germanium solar cells
JP2010520644A (ja) 半導体グレードシリコンのプラズマ溶射
US6086945A (en) Method of forming polycrystalline silicon thin layer
US20100178435A1 (en) Methods and systems for manufacturing polycrystalline silicon and silicon-germanium solar cells
JPH06279015A (ja) シリコン超微粒子の製造方法
Holman et al. Plasma production of nanodevice-grade semiconductor nanocrystals
RU2258764C1 (ru) Способ и устройство для осаждения по меньшей мере частично кристаллического кремниевого слоя на подложку
EP0104916B1 (en) Depositing a film onto a substrate including electron-beam evaporation
JP3936391B2 (ja) 基板温度制御されたプラズマ堆積方法
JPH06268242A (ja) シリコン基板の製造方法および結晶質シリコン太陽電池
JPH06136519A (ja) 結晶質膜の製膜方法およびその製膜装置
Mohammad et al. Nanomaterials synthesis routes
TW200824140A (en) Methods and systems for manufacturing polycrystalline silicon and silicon-germanium solar cells
WO1997031140A1 (en) Method of epitaxial growth of monocrystalline '3a' group metal nitrides
JPH021367B2 (ja)
JPH05226260A (ja) 光電変換素子の製造方法およびその製造装置
JP2000273617A (ja) 透明導電膜の製造方法
JP3490297B2 (ja) 多結晶半導体素子及びその製造方法
JP2000101109A (ja) 太陽電池素子用基板、太陽電池素子及びその製造方法
JP4743730B2 (ja) 熱プラズマcvdによるシリコン薄膜の堆積方法
CN1046143C (zh) 热阴极辉光等离子体化学气相沉积制备金刚石膜的方法
Gromball et al. High rate deposition and in situ doping of silicon films for solar cells on glass
JPH0487325A (ja) 多結晶膜の作製法