JPH06136122A - ジアミノベンゼン誘導体及びポリイミド及び液晶配向膜 - Google Patents

ジアミノベンゼン誘導体及びポリイミド及び液晶配向膜

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JPH06136122A
JPH06136122A JP28462392A JP28462392A JPH06136122A JP H06136122 A JPH06136122 A JP H06136122A JP 28462392 A JP28462392 A JP 28462392A JP 28462392 A JP28462392 A JP 28462392A JP H06136122 A JPH06136122 A JP H06136122A
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宣昭 向当
Yutaka Nagase
裕 長瀬
Eiichi Akiyama
映一 秋山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶セル用配向膜用途において、吸湿安定性
があり且つ膜のラビングにより広い範囲にわたってチル
ト角を制御できるポリイミド、及びその原料の一つであ
るジアミノベンゼンを提供する。 【構成】 下記化学式〔1〕で示されるジアミノベンゼ
ン誘導体、及びそれをジアミン成分の一部として使用し
たジアミン−テトラカルボン酸から成るポリイミド、及
び該ポリイミドを使用した液晶配向膜。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なジアミノベンゼ
ン誘導体及び該化合物を原料の1つとして合成されるポ
リイミドに関するものであり、更に詳しくはポリイミド
の表面特性を改質するために工業的に製造容易で有用な
長鎖アルキル基を有するジアミンおよび、該化合物を原
料の1つとして合成される側鎖に長鎖アルキル基を有す
る表面特性が改質されたポリイミドに関するものであ
る。本発明の表面特性が改質されたポリイミドは、液晶
表示素子の配向膜用として用いるのに特に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリイミドはその特徴である高い
機械的強度、耐熱性、耐溶剤性のために、電気・電子分
野における保護材料、絶縁材料として広く用いられてい
る。しかし、近年の電気・電子分野の発展は目覚まし
く、それに対応して、用いられる材料に対しても益々高
度な特性が要求されるようになっている。
【0003】例えば、従来からポリイミドとして一般に
知られている全芳香族ポリイミドは、機械的強度、耐熱
性は優れているものの分子構造自身の極性が高く、結果
的に吸湿安定性に乏しいという欠点を有し、電気・電子
素子用の保護材料、絶縁材料として用いる場合には、大
きな問題となっていた。更に、液晶表示素子の配向膜用
途においては、塗膜表面の均質性と耐久性ゆえに、これ
までポリイミドがもっぱら用いられてきた。しかし、表
示素子の高密度化、高性能化が図られる中で、ポリイミ
ド塗膜の表面特性が特に重視され、従来のポリイミドに
はない新たな特性の付与が必要になってきている。そこ
で、以下にこの点について詳しく説明する。
【0004】液晶表示素子は、液晶の電気光学的変化を
利用した表示素子であり、装置的に小型軽量であり、消
費電力が小さい等の特性が注目され、近年、各種ディス
プレー用の表示装置として目覚ましい発展を遂げてい
る。なかでも正の誘電異方性を有するネマティック液晶
を用い、相対向する一対の電極基板のそれぞれの界面で
液晶分子を基板に対し平行に配列させ、且つ液晶分子の
配向方向が互いに直交するように両基板を組み合わせ
た、ツィステッドネマティック型(TN型)の電界効果
型液晶表示素子は、その代表的なものである。
【0005】このようなTN型の液晶表示素子において
は、液晶分子の長軸方向を基板表面に均一に平行に配向
させること、更に、液晶分子を基板に対して一定の傾斜
配向角(以下、チルト角という)をもって配向させるこ
とが重要である。この様に液晶分子を配向させる代表的
な方法としては、従来より2つの方法が知られている。
【0006】第1の方法は、酸化けい素等の無機物を基
板に対し斜めから蒸着することにより基板上に無機膜を
形成し、蒸着方向に液晶分子を配向させる方法である。
この方法では、一定のチルト角を有する安定した配向は
得られるものの工業的には効率的ではない。第2の方法
は、基板表面に有機被膜を設け、その表面を綿、ナイロ
ン、ポリエステル等の布で一定方向にラビングし、ラビ
ング方向に液晶分子を配向させる方法である。この方法
は、比較的容易に安定した配向が得られるため、工業的
には専らこの方法が採用されている。有機膜としては、
ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリアミ
ド、ポリイミド等が挙げられるが、化学的安定性、熱的
安定性等の点からポリイミドが最も一般的に使用されて
いる。しかし、ポリイミドのラビングによって得られる
チルト角は通常 1〜 3°程度であり、それ以上の高いチ
ルト角を得るのは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ポリイミドの吸湿安定
性を改良するために、近年、様々な化学構造を有するポ
リイミドが合成されている。例えば、特開昭61-83228
号、特開昭61-118424 号などには、ポリイミドの原料の
1つとしてポリシロキサン末端にアミノ基を有するジア
ミンを用い、ポリイミド/シロキサンブロック共重合体
とし、ポリイミドにはっ水性を持たせようとする試みが
提案されている。この場合には、シロキサン含量の増加
と共にポリイミドのはっ水性は大きくなるものの塗膜形
成能が低下するという問題があった。また、特開平2-49
029 号、特開平2-60933 号などには、ポリイミドの原料
の1つとしてフッ素を含有するジアミン又は酸無水物を
用い、ポリイミド分子骨格中にはっ水性のフッ素を多量
に導入し、ポリイミドに発水性を持たせようとする試み
が提案されている。しかし、この様なフッ素を含有する
ジアミン又は酸無水物の合成は容易ではなく、工業的に
生産しうる方法ではなく、より容易にポリイミドにはっ
水性を持たせる原料の開発が望まれていた。
【0008】また、液晶配向膜の分野においては、これ
までポリイミドなどの有機膜をラビングする方法では、
高いチルト角を安定に得ることは困難であった。これを
解決する手段として、特願昭62- 142099号には、長鎖ア
ルキルアミンとポリイミド前駆体の反応物より成る液晶
配向処理剤が提案されている。この場合には、長鎖アル
キル基の導入によりチルト角が高くなることが示された
が、導入量に限界があるため得られるチルト角には限度
があった。又、特開平1-262527、特開平1-262528号に
は、長鎖アルキル化合物とポリイミド前駆体の混合物よ
りなる液晶配向剤が提案されている。この場合には、長
鎖アルキル基の導入量に制限がなく、その導入量により
広い範囲でチルト角を制御することが可能となった。し
かし、この様な混合物の場合にはポリイミド表面のアル
キル基の密度が塗布膜厚により変化し、チルト角が膜厚
によって変化するという問題があった。
【0009】これに対し、特開昭64-25126号には、アル
キル基を有するジアミンを原料としたポリイミドよりな
る液晶配向処理剤が提案されている。これによって塗布
膜厚によるチルト角の変化を抑えることはできるもの
の、ジアミンあたりのアルキル基の密度が低いため、得
られるチルト角には限界があった。また、特開平 4-733
3 号には、鎖状アルキル基を有するジアミンを原料とし
たポリイミドが提案されている。しかし、これらのジア
ミンの合成は容易でなく、これらを原料としてポリイミ
ドの重合を行うと十分な高分子量体が得られず配向膜と
しての特性にも問題であった。この様に、ポリイミドの
ラビングにより、広い範囲でチルト角の制御ができ、し
かも、塗布膜厚によりチルト角が変化しない工業的に有
用な配向剤の開発が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。 即ち、本発明は、 1)一般式〔1〕
【0011】
【化6】
【0012】(式中、nは7以上21以下の整数を表
す)で表されるジアミノベンゼン誘導体、 2)一般式〔1〕中のnが11以上21以下の整数であ
る上記1)のジアミノベンゼン誘導体、 3)一般式〔1〕で表されるジアミノベンゼン誘導体を
少なくとも1モル%以上含有するジアミンとテトラカル
ボン酸およびその誘導体とを反応させ、還元粘度が0.
05〜5.0 dl/g (温度30℃のN−メチルピロリド
ン中、濃度0.5g/dl )のポリイミド前駆体とし、こ
れを閉環させて成る、一般式〔2〕
【0013】
【化7】
【0014】(式中、Aはテトラカルボン酸を構成する
4価の有機基、nは7以上21以下の整数を表す)で表
される繰り返し単位を少なくとも1モル%以上含有する
ポリイミド、 4)一般式〔1〕で表されるジアミノベンゼン誘導体を
少なくとも5モル%以上含有することを特徴とする上記
3)のポリイミド、 5)テトラカルボン酸及びその誘導体が、脂環式テトラ
カルボン酸及びその誘導体であることを特徴とする上記
3)のポリイミド、 6)テトラカルボン酸及びその誘導体が、1,2,3,4-シク
ロブタンテトラカルボン酸2無水物であることを特徴と
する上記3)のポリイミド、 7)上記3)記載のポリイミドを用いた液晶配向膜、に
関するものである。
【0015】本発明のジアミノベンゼン誘導体は合成が
容易であり、これを原料の1つとしてポリイミドを合成
することにより、側鎖に直鎖状アルキル基を有するポリ
イミドの高分子量体が容易に得られ、はっ水性などのポ
リイミドの表面特性を改質することができる。特に、液
晶表示素子の配向膜用途の場合、このジアミノベンゼン
誘導体のモル分率を調節することによりポリイミド表面
のアルキル基の分布密度を任意に調節することができ、
広い範囲に渡りチルト角の制御が可能であり、又、チル
ト角の膜厚依存性も少なく、安定した配向性を得ること
ができる。
【0016】本発明の一般式〔1〕で表されるジアミノ
ベンゼン誘導体は、例えば、以下に述べる製造法により
合成することができる。即ち、一般式〔3〕
【0017】
【化8】
【0018】(式中、Xはハロゲン原子を表す)で表さ
れるハロゲン化ジニトロベンジルと、一般式〔4〕
【0019】
【化9】
【0020】(式中、nは7以上21以下の整数を表
す)で表される直鎖状アルキルアルコールとを、溶媒中
塩基存在下で反応させることにより、一般式〔5〕
【0021】
【化10】
【0022】(式中、nは7以上21以下の整数を表
す)で表されるジニトロベンゼン誘導体をまず合成し、
更に一般式〔5〕で表される化合物中のニトロ基を通常
の方法で還元してアミノ基に変換することにより目的と
する前記一般式〔1〕で表されるジアミノベンゼン誘導
体を合成することができる。
【0023】前記一般式〔3〕で表されるハロゲン化ジ
ニトロベンジルとしては、3,5-ジニトロクロロベンジ
ル、3,5-ジニトロブロモベンジル、3,5-ジニトロヨード
ベンジルなどを例示することができる。また、前記一般
式〔4〕で表される直鎖状アルキルアルコールとして
は、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-
ウンデカンオール、1-ドデカノール、1-トリデカノー
ル、1-テトラデカノール、1-ペンタデカノール、1-ヘキ
サデカノール、1-ヘプタデカノール、1-オクタデカノー
ル、1-ノナデカノール、1-エイコサノール、1-ヘンエイ
コサノール、1-ドデコサノールなどを例示することがで
きる。
【0024】前記一般式〔3〕で表されるハロゲン化ジ
ニトロベンジルと一般式〔4〕で表される直鎖状アルキ
ルアルコールとの反応において用いる塩基としては例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウ
ムなどの無機塩が好適に用いられる。この反応におい
て、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、テトラブチル
アンモニウルブロミド、テトラブチルアンモニウルヨー
ジドなどの相間移動触媒を共存させることにより本反応
をより円滑に進行させることもできる。
【0025】本反応に用いる溶媒としては、テトラヒド
ロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トル
エンなどの有機溶媒を用いることができ、更にジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホ
キシド、N-メチルピロリドンなどの極性溶媒を用いるこ
とが好適である。本反応の反応温度は、-30 〜 150℃の
任意の温度を選択できる。
【0026】前記一般式〔5〕で表されるジニトロベン
ゼン誘導体から本発明の前記一般式〔1〕で表されるジ
アミノベンゼン誘導体へ導く還元反応は、ジボラン、水
素化ホウ素リチウムなどの還元剤と反応させることによ
り容易に進行し、又、塩化亜鉛存在下、トリクロロシラ
ン、トリプロピルシラン、トリエチルシランなどのヒド
ロシラン化合物と反応させても目的物を得ることができ
る。更に、その他にも水素ガス雰囲気下ニッケル、白
金、パラジウム、ロジウム等の金属を触媒とした接触還
元を行うことができる。
【0027】この反応に用いる溶媒としては、反応に関
与しないものであればよく、アルコール、テトラヒドロ
フラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、ト
ルエンなどを例示することができる。この反応の反応温
度は、-100〜 150℃、好ましくは-50 〜100 ℃の範囲で
行うことができる。
【0028】以上述べたような製造方法により得られる
前記一般式〔1〕で表される本発明のジアミノベンゼン
誘導体は、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハラ
イド、テトラカルボン酸2無水物などのテトラカルボン
酸及びその誘導体との重縮合を行うことにより、側鎖に
直鎖状アルキル基を有するポリイミドを合成することが
できる。
【0029】本発明のポリイミドを得る方法は特に限定
されない。具体的にはテトラカルボン酸及びその誘導体
と一級ジアミンを反応、重合させてポリイミド前駆体と
し、閉環イミド化して得ることができる。本発明のポリ
イミドを得るために使用されるテトラカルボン酸及びそ
の誘導体は、特に限定されない。
【0030】その具体例を挙げると、ピロメリット酸、
2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ナフタ
レンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカル
ボン酸、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸、1,2,
5,6-アントラセンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ビフェ
ニルテトラカルボン酸、2,3,3',4- ビフェニルテトラカ
ルボン酸,ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテ
ル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス
(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジ
カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,4-ジカルボ
キシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ
-2,2- ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、ビ
ス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス
(3,4-ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,
4,5-ピリジンテトラカルボン酸、2,6-ビス(3,4-ジカル
ボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン
酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ
酸ハロゲン化物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン
酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,
5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5-トリカルボ
キシシクロペンチル酢酸、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-
テトラヒドロ-1- ナフタレンコハク酸などの脂環式テト
ラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカ
ルボン酸ジ酸ハロゲン化物、1,2,3,4-ブタンテトラカル
ボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの二無
水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物など
が挙げられる。
【0031】特に、配向膜用途としては、塗膜の透明性
の点から脂環式テトラカルボン酸及びこれらの二無水物
並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物が好まし
く、更に、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物が好ましい。又、これらのテトラカルボン酸及びそ
の誘導体の1種又は2種以上を混合して使用することも
できる。
【0032】本発明は、テトラカルボン酸およびその誘
導体と一般式〔1〕で表されるジアミノベンゼン誘導体
(以下、アルキルジアミンと略す)とそれ以外の一般の
ジアミン(以下、一般ジアミンと略す)を共重合するこ
とにより、側鎖に炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有
するポリイミドとし、側鎖のアルキル基密度を調節する
ことにより撥水性などのポリイミドの表面特性を改質
し、更には液晶の高められたチルト角を広い範囲で安定
に制御しようとするものである。従って、本発明のポリ
イミドを得るために使用されるジアミンは、アルキルジ
アミンを必須成分とする。
【0033】アルキルジアミン中のアルキル基は炭素数
8以上の直鎖状アルキル基であり、好ましくは炭素数1
2以上の直鎖状アルキル基であり、合成面の容易さから
実質的には炭素数12以上22以下の直鎖状アルキル基
である。炭素数が大きいほどポリイミドのはっ水性を高
める効果が大きくなり、また、チルト角を高める効果が
大きくなる。
【0034】アルキルジアミン以外の一般ジアミンは、
一般にポリイミド合成に使用される一級ジアミンであっ
て、特に限定されるものではない。あえてその具体例を
挙げれば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミ
ン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、4,
4'- ジアミノビフェニル、3,3'- ジメチル-4,4'-ジアミ
ノビフェニル、3,3'- ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェ
ニル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニル
エーテル、2,2-ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3,
5-ジエチル-4- アミノフェニル)メタン、ジアミノジフ
ェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナ
フタレン、1,4-ビス(4- アミノフェノキシ) ベンゼン、
1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10- ビス
(4-アミノフェニル)アントラセン、1,3-ビス(4- アミ
ノフェノキシ) ベンゼン、4,4'- ビス(4- アミノフェノ
キシ) ジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェ
ノキシ) フェニル] プロパン、2,2-ビス(4- アミノフェ
ニル) ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ
フェノキシ) フェニル] ヘキサフルオロプロパン等の芳
香族ジアミン、ビス(4- アミノシクロヘキシル) メタ
ン、ビス(4- アミノ-3- メチルシクロヘキシル) メタン
等の脂環式ジアミン及びテトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、更には、
【0035】
【化11】
【0036】(式中、nは1から10の整数を表す)等
のジアミノシロキサン等が挙げられる。又、これらのジ
アミンの1種又は2種以上を混合して使用することもで
きる。本発明のポリイミドを重合する際に、使用するジ
アミンの総モル数に対するアルキルジアミンのモル数の
割合を調節することによりはっ水性などのポリイミドの
表面特性を改質でき、更に液晶配向膜として用いる場合
には液晶のチルト角を1°から90°の広い範囲に渡っ
て安定に制御できる。この際のアルキルジアミンの割合
は1モル%以上100モル%以下であり好ましくは、5
モル%以上100モル%以下である。
【0037】テトラカルボン酸及びその誘導体とアルキ
ルジアミン及び一般ジアミンとを反応、重合させポリイ
ミド前駆体とした後、これを閉環イミド化するが、この
際用いるテトラカルボン酸及びその誘導体としてはテト
ラカルボン酸二無水物を用いるのが一般的である。テト
ラカルボン酸二無水物のモル数とアルキルジアミンと一
般ジアミンの総モル数との比は0.8 から1.2 であること
が好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に
近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。
【0038】重合度が小さすぎると配向膜として使用す
る際にポリイミド膜の強度が不十分で、液晶の配向が不
安定となる。
【0039】又、重合度が大きすぎるとポリイミド膜形
成時の作業性が悪くなる場合がある。従って本反応にお
ける生成物の重合度は、ポリイミド(樹脂)前駆体溶液
の還元粘度換算で0.05〜5.0dl/g(温度30
℃のN−メチルピロリドン中、濃度0.5g/dl)と
するのが好ましい。
【0040】テトラカルボン酸二無水物と一級ジアミン
とを反応、重合させる方法は、特に限定されるものでは
なく、一般にはN-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセ
トアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒
中に一級ジアミンを溶解し、その溶液中にテトラカルボ
ン酸二無水物を添加、反応させてポリイミド前駆体を合
成した後、脱水閉環イミド化する方法がとられる。
【0041】テトラカルボン酸二無水物と一級ジアミン
とを反応させポリイミド前駆体とする際の反応温度は -
20から 150℃、好ましくは-5から 100℃の任意の温度を
選択することができる。
【0042】更に、このポリイミド前駆体を 100〜400
℃で加熱脱水するか、又は通常用いられているトリエチ
ルアミン/無水酢酸などのイミド化触媒を用いて化学的
イミド化を行うことにより、ポリイミドとすることがで
きる。本発明のポリイミドを電気・電子素子の絶縁膜、
保護膜、更には液晶表示素子の配向膜として使用するに
際しては、基板上に均一膜厚のポリイミド塗膜を形成す
る必要がある。このポリイミド塗膜を形成するには、通
常はポリイミド前駆体溶液をそのまま基板に塗布し、基
板上で加熱イミド化してポリイミド塗膜を形成すること
ができる。この際用いるポリイミド前駆体溶液は、上記
重合溶液をそのまま用いても良く、又、生成したポリイ
ミド前駆体を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒中
に投入し、沈殿回収した後、溶媒に再溶解して用いても
よい。上記ポリイミド前駆体溶液の希釈溶媒及び/又は
沈殿回収したポリイミド前駆体の再溶解溶媒は、ポリイ
ミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されない。
【0043】それらの溶媒の具体例としては、N-メチル
ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチル
ホルムアミド等を挙げることができる。これらは、単独
でも混合して使用してもよい。更に、単独では均一溶液
が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲
でその溶媒を加えて使用してもよい。
【0044】又、基板上で加熱イミド化させる温度は 1
00〜400℃の任意の温度を採用できるが、特に 150〜350
℃の範囲が好ましい。
【0045】一方、本発明のポリイミドが溶媒に溶解す
る場合には、テトラカルボン酸二無水物と一級ジアミン
を反応して得られたポリイミド前駆体を溶液中でイミド
化し、ポリイミド溶液とすることができる。溶液中でポ
リイミド前駆体をポリイミドに転化する場合には、通常
は加熱により脱水閉環させる方法が採用される。この加
熱脱水による閉環温度は、100 から350℃、好ましくは
120から 250℃の任意の温度を選択できる。
【0046】又、ポリイミド前駆体をポリイミドに転化
する他の方法としては、公知の脱水閉環触媒を使用して
化学的に閉環することもできる。
【0047】このようにして得られたポリイミド溶液は
そのまま使用することもでき、又メタノール、エタノー
ル等の貧溶媒に沈殿させ単離した後、適当な溶媒に再溶
解させて使用することもできる。再溶解させる溶媒は、
得られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定
されないが、その例としては2-ピロリドン、N-メチルピ
ロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、
N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミ
ド、γ- ブチロラクトン等が挙げられる。
【0048】その他、単独ではこのポリイミドを溶解さ
せない溶媒であっても溶解性を損なわない範囲であれば
上記溶媒に加えても構わない。その例としてはエチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブ
チルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エ
チレングリコール等が挙げられる。
【0049】又、ポリイミド膜と基板の密着性を更に向
上させる目的で、得られたポリイミド溶液にカップリン
グ剤等の添加剤を加えることはもちろん好ましい。この
溶液を基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることにより基
板上にポリイミド被膜を形成させることができる。この
際の温度は溶媒が蒸発すれば充分であり、通常は80から
150℃で充分である。
【0050】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説
明するがこれに限定されるものではない。
【0051】1.ジニトロベンゼン誘導体の合成 実施例 1 1-ドデカノール30.9g(0.166mol) 及び水素化ナトリウム
7.31g(0.183ol) をテトラヒドロフラン300ml 中で還留
下 6時間反応させた。この溶液に、3,5-ジニトロベンジ
ルクロリド30.1g(0.139mol) をテトラヒドロフラン300m
l に溶解した溶液を -20℃で滴下した後、室温で 2時間
反応させた。テトラヒドロフランを留去後、水/クロロ
ホルムで洗浄し、薄茶色の固体を得た。この固体をクロ
ロホルムに溶解させシリカゲルカラムを用いて精製し、
下記構造式〔6〕のジニトロベンゼン誘導体15.8g (収
率31% )を白色粉末として得た。なお、生成物の確認
は、IR,NMRより行った。
【0052】IRスペクトル( cm-1) ;3110,2918,2840,
1552(ニトロ基による特性吸収)、1458,1330 (ニトロ
基による特性吸収)、1124(エーテル結合による特性吸
収)、910, 872,799,7101 H−NMRスペクトルδ (CDCl3 ) ;0.96(3H,t, CH
3 ),1.08-1.66(20H,m, -CH2-), 3.60(2H,t, -O-CH2 -),
4.71(2H,bs, -CH2 -O-),8.58(2H,bs,β-H),9.04(1H,bs,
α-H)
【0053】
【化12】
【0054】次に、得られたジニトロベンゼン誘導体10
g をジオキサン100ml に溶解し、5%- パラジウムカーボ
ン 2g を添加し、水素を通しながら室温で12時間還元反
応を行った。触媒を濾過した後、水200ml 添加し、得ら
れた析出物をn-ヘキサンで再結晶した。その結果、下記
構造式〔7〕のジアミノベンゼン誘導体6.0g(収率72%
)を淡茶色粉末として得た。なお、生成物の確認は、
IR,NMRより行った。
【0055】IRスペクトル( cm-1) ;3398, 3170(ア
ミノ基による特性吸収),2915, 2850, 1588, 1450, 136
5 (ジアミノフェニル基による特性吸収)、1195, 1110
(エーテル結合による特性吸収)、1100, 809, 7151 H−NMRスペクトルδ (CDCl3 ) ;0.90(3H,t, CH
3 ), 1.06-1.67(20H, m,-CH2-), 3.44(6H, m, -O-CH2-,
NH2), 4.29(2H, s, -CH2-O-), 6.00(2H, bs,β-H), 6.
15(1H, bs, α-H)
【0056】
【化13】
【0057】実施例 2 実施例 1において1-ドデカノールの代わりに1-ヘキサ
デカノール40.2g(0.166mol) を用いた以外は同様の反応
を行い、下記構造式〔8〕のジニトロベンゼン誘導体1
8.2g (収率 31%)を薄茶色粉末として得た。なお、生
成物の確認は、IR,NMRより行った。
【0058】IRスペクトル( cm-1) ;3114, 2910, 284
7, 1539(ニトロ基による特性吸収)、1469, 1349 (ニ
トロ基による特性吸収)、1131(エーテル結合による特
性吸収)、920, 878, 808, 7301 H−NMRスペクトルδ (CDCl3 ) ;0.97(3H, t, C
H3), 1.09-1.69(28H, m,-CH2-),3.63(2H, t, -O-CH2-),
4.72(2H, bs, -CH2-O-), 8.58(2H, bs, β-H), 9.00(1
H, bs, α-H)
【0059】
【化14】
【0060】次に、得られたジニトロベンゼン誘導体10
g をジオキサン100ml に溶解し、実施例 1と同様に反
応させ、下記構造式
〔9〕のジアミノベンゼン誘導体
6.0g (収率70% )を白色粉末として得た。なお、生成
物の確認は、IR,NMRより行った。 IRスペクトル( cm-1) ;3409, 3110(アミノ基による
特性吸収), 2917, 2847, 1602, 1469, 1370 (ジアミ
ノフェニル基による特性吸収)、1195, 1110 (エーテ
ル結合による特性吸収)、1103, 815, 7231 H−NMRスペクトルδ (CDCl3 ) ;0.89(3H, t, CH
3), 1.07-1.67(28H, m,-CH2-), 3.42(6H, m, -O-CH2-,
NH2), 4.30(2H, s, -CH2-O-), 5.97(2H, bs,β-H), 6.1
3(1H, bs, α-H)
【0061】
【化15】
【0062】実施例 3 実施例 1において1-ドデカノールの代わりに1-オクタ
デカノール44.9g(0.166mol) を用いた以外は同様の反応
を行い、下記構造式〔10〕のジニトロベンゼン誘導体
13.8g (収率 22%)を薄茶色粉末として得た。なお、生
成物の確認は、IR,NMRより行った。
【0063】IRスペクトル( cm-1) ;3115, 2912, 285
0, 1539(ニトロ基による特性吸収)、1469, 1350 (ニ
トロ基による特性吸収)、1128(エーテル結合による特
性吸収)、915, 870, 803, 7401 H−NMRスペクトルδ (CDCl3) ;0.98(3H, t, CH3),
1.10-1.72(32H, m,-CH2-), 3.60(2H, t, -O-CH2-),
4.71(2H, bs, -CH2-O-), 8.58(2H, bs, β-H), 9.02(1
H, bs, α-H)
【0064】
【化16】
【0065】次に、得られたジニトロベンゼン誘導体10
g をジオキサン100ml に溶解し、実施例 1と同様に反
応させ、下記構造式〔11〕のジニトロベンゼン誘導体
5.4g (収率62% )を白色粉末として得た。なお、生成
物の確認は、IR,NMRより行った。 IRスペクトル( cm-1) ;3409, 3111(アミノ基による
特性吸収), 2920, 2844, 1600, 1491, 1400 (ジアミ
ノフェニル基による特性吸収)、1205, 1110 (エーテ
ル結合による特性吸収)、1120 ,817, 7101 H−NMRスペクトルδ (CDCl3) ;0.88(3H, t, CH3),
1.09-1.69(32H, m,-CH2-), 3.48(6H, m, -O-CH2-, N
H2), 4.32(2H, s, -CH2-O-), 5.95(2H, bs, β-H), 6.1
2(1H, bs, α-H)
【0066】
【化17】
【0067】次ぎに、実施例1〜3で得られたジアミノ
ベンゼン誘導体を用いて、ポリイミドの重合を行った。
【0068】2.ポリアミック酸の製造 実施例 4 実施例1で得られた構造式〔7〕のジアミノベンゼン誘
導体30.7 g(0.1 mol)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカ
ルボン酸2無水物(以下、CBDAと略す)を19.6 g
(0.1 mol) をN-メチルピロリドン(以下、NMPと略
す)285gに溶解して、20℃で 4時間撹拌し重縮合反応を
行い、ポリアミック酸中間体溶液を調製した。
【0069】得られたポリマーの還元粘度は、0.83 dl/
g (濃度0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。この溶
液をガラス基板にコートし、250 ℃/1時間熱処理して、
均一なポリイミド塗膜を形成させた。得られた塗膜のI
R測定を行い、直鎖状アルキル基を含有するポリイミド
であることを確認した。
【0070】実施例 5 実施例 4において、ジアミノベンゼン誘導体として実
施例 2でえられた構造式
〔9〕のジアミノベンゼン誘
導体36.3 g(0.1 mol) を用い、NMPを317 gとした以
外は、同様にしてポリアミック酸中間体溶液を調製し
た。得られたポリマーの還元粘度は、0.66 dl/g (濃度
0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。
【0071】この溶液をガラス基板にコートし、250 ℃
/1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成させ
た。得られた塗膜のIR測定を行い、直鎖状アルキル基
を含有するポリイミドであることを確認した。
【0072】実施例 6 実施例 4において、ジアミノベンゼン誘導体として実
施例 3で得られた構造式〔11〕のジアミノベンゼン
誘導体39.1 g(0.1 mol) を用い、NMPを333g とした
以外は、同様にしてポリアミック酸中間体溶液を調製し
た。得られたポリマーの還元粘度は、0.56 dl/g (濃度
0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。
【0073】この溶液をガラス基板にコートし、250 ℃
/1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成させ
た。得られた塗膜のIR測定を行い、直鎖状アルキル基
を含有するポリイミドであることを確認した。
【0074】実施例 7 実施例 4において、構造式〔7〕のジアミノベンゼン
誘導体30.7g(0.1 mol)の代わりに 構造式〔7〕のジア
ミノベンゼン誘導体6.13g(0.02 mol) 、2,2-ビス[4-
(4-アミノフェノキシ) フェニル] プロパン(以下、B
APBと略す)を32.8 g(0.08 mol)を用い、NMPを33
2gとした以外は、同様にしてポリアミック酸中間体溶液
を調製した。 得られたポリマーの還元粘度は、2.07 d
l/g (濃度0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。
【0075】この溶液をガラス基板にコートし、250 ℃
/1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成させ
た。得られた塗膜のIR測定を行い、直鎖状アルキル基
を含有するポリイミドであることを確認した。
【0076】実施例 8 実施例 7において、CBDAの代わりにピロメリット
酸二無水物(以下、PMDAと略す)21.8 g(0.1 mol)
を用い、NMPを385 g とした以外は、同様にしてポリ
アミック酸中間体溶液を調製した。 得られたポリマー
の還元粘度は、2.30 dl/g (濃度0.5g/dl 、NMP中、
30℃)であった。
【0077】この溶液をガラス基板にコートし、250 ℃
/1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成させ
た。得られた塗膜のIR測定を行い、直鎖状アルキル基
を含有するポリイミドであることを確認した。
【0078】比較例 1 実施例 7において、構造式〔7〕のジアミノベンゼン
誘導体を用いず、BAPB41.0 g(0.1 mol) 、NMP 3
43 gを用いた以外は、同様にしてポリアミック酸中間体
溶液を調製した。得られたポリマーの還元粘度は、1.20
dl/g (濃度0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。
【0079】比較例 2 実施例 8において、構造式〔7〕のジアミノベンゼン
誘導体を用いず、BAPB41.0 g(0.1 mol) 、NMP35
6 gを用いた以外は、同様にしてポリアミック酸中間体
溶液を調製した。得られたポリマーの還元粘度は、1.20
dl/g (濃度0.5g/dl 、NMP中、30℃)であった。 参考例 次ぎに、実施例4〜8、比較例1〜2で得られたポリア
ミック酸中間体溶液をガラス基板上にコートし、 180℃
/1時間熱処理してポリイミド塗膜を形成させ、以下に示
す方法によりポリイミド表面の撥水性と液晶配向膜とし
た場合の液晶のチルト角を測定した。
【0080】撥水性の評価:ポリアミック酸中間体溶液
をNMPで希釈し、樹脂濃度6%の溶液とし、ガラス基板
に3500回転/分でスピンコートし、80℃で10分、 180℃
で 1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成さ
せ、この塗膜上の水の接触角を測定した。 チルト角の評価:ポリアミック酸中間体溶液をNMPで
希釈し、樹脂濃度6%の溶液とし、透明電極付ガラス基板
に3500回転/分でスピンコートし、80℃で10分、 180℃
で1時間熱処理して、均一なポリイミド塗膜を形成させ
た。
【0081】この塗膜を布でラビングした後、50μm の
スペーサーを挟んでラビング方向を平行にして組み立
て、液晶(メルク社製:ZLI-2293)を注入してホモジニ
アス配向したセルを作製した。このセルについて結晶回
転法でチルト角を測定した。また、チルト角が90°に近
い場合には、セルを偏向顕微鏡で観察し、視野の中心付
近のアイソジャイアーを観測することにより、チルト角
がはほぼ90°であることを確認した。 〔表1〕試験結果 シ゛アミノヘ゛ンセ゛ン誘導体 ポリイミド 熱処理 接触角 チルト角 (実施例) (実施例) (℃) (°) (°) 1 4 180 82 90 2 5 180 94 90 3 6 180 98 90 1 7 180 75 4.6 1 8 180 77 4.4 ─────────────────────────────── − 比較例 1 180 65 2.1 − 比較例 2 180 63 2.0
【0082】
【発明の効果】本発明のジアミノベンゼン誘導体は合成
が容易であり、これを原料の1つとしてポリイミドを合
成することにより、容易に高分子量のポリイミドを重合
することができ、撥水性などのポリイミドの表面特性を
改質することができる。更に、液晶表示素子の配向膜用
のポリイミドの場合には、このジアミノベンゼン誘導体
のモル分率を調節することにより広い範囲に渡りチルト
角を制御することができる。
フロントページの続き (72)発明者 長瀬 裕 神奈川県相模原市南台1−9−2 (72)発明者 秋山 映一 神奈川県藤沢市藤沢96 (72)発明者 高村 百合子 神奈川県相模原市上鶴間3552−3

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔1〕 【化1】 (式中、nは7以上21以下の整数を表す)で表される
    ジアミノベンゼン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式〔1〕 【化2】 中のnが11以上21以下の整数である請求項1記載の
    ジアミノベンゼン誘導体。
  3. 【請求項3】 一般式〔1〕 【化3】 (式中、nは7以上21以下の整数を表す)で表される
    ジアミノベンゼン誘導体を少なくとも1モル%以上含有
    するジアミンとテトラカルボン酸およびその誘導体とを
    反応させ、還元粘度が0.05〜5.0 dl/g (温度3
    0℃のN−メチルピロリドン中、濃度0.5 g/dl )の
    ポリイミド前駆体とし、これを閉環させて成る、一般式
    〔2〕 【化4】 (式中、Aはテトラカルボン酸を構成する4価の有機
    基、nは7以上21以下の整数を表す)で表される繰り
    返し単位を少なくとも1モル%以上含有するポリイミ
    ド。
  4. 【請求項4】 一般式〔2〕 【化5】 (式中、Aはテトラカルボン酸を構成する4価の有機
    基、nは7以上21以下の整数を表す)で表されるジア
    ミノベンゼン誘導体を少なくとも5モル%以上含有する
    ことを特徴とする請求項3記載のポリイミド。
  5. 【請求項5】 テトラカルボン酸及びその誘導体が、脂
    環式テトラカルボン酸及びその誘導体であることを特徴
    とする請求項3記載のポリイミド。
  6. 【請求項6】 テトラカルボン酸及びその誘導体が、1,
    2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸2無水物であるこ
    とを特徴とする請求項3記載のポリイミド。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載のポリイミドを用いた液
    晶配向膜。
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