JPH06135877A - ヘミアセタールエステル類の製造法 - Google Patents

ヘミアセタールエステル類の製造法

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JPH06135877A
JPH06135877A JP21023692A JP21023692A JPH06135877A JP H06135877 A JPH06135877 A JP H06135877A JP 21023692 A JP21023692 A JP 21023692A JP 21023692 A JP21023692 A JP 21023692A JP H06135877 A JPH06135877 A JP H06135877A
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acid
general formula
vinyl ether
formula
group
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JP21023692A
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Kazuo Yamamura
和夫 山村
Masataka Ooka
正隆 大岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 エチレン性不飽和基含有カルボン酸と、ビニ
ルエーテル類とから、ヘミアセタールエステル類を得る
製造法を提供する。 【構成】 酸ハライド類の共存下に、一般式I等のビニ
ルエーテル類に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸
(メタクリル酸を除く)を付加反応させることを特徴と
する、一般式II等のエステル結合を有するヘミアセター
ルエステル類を製造する方法。 CH=CH−O−Z [I] [Zは1価の有機基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般式
【0002】
【化13】
【0003】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]で示される1−置換エチルエステル結
合含有ヘミアセタールエステル類の製造法、あるいは一
般式
【0004】
【化14】
【0005】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示される特定のエステル結合含有ヘ
ミアセタールエステル類の製造法に関する。
【0006】さらに詳細には、酸ハライド類という特定
の触媒の共存下に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸
を、ビニルエーテル化合物に付加反応せしめることから
成る、一般式
【0007】
【化15】
【0008】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]で示される1−置換エチルエステル結
合を有するか、あるいは一般式
【0009】
【化16】
【0010】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示される特定のエステル結合を有す
る、種々のヘミアセタールエステル類の製造法に関す
る。
【0011】さらには、一分子中に2個以上の、一般式
【0012】
【化17】
【0013】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]で示される1−置換エチルエステル結
合を有するか、あるいは一般式
【0014】
【化18】
【0015】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示される特定のエステル結合を有す
る、種々の化合物の製造法に関する。
【0016】ところで、一般式
【0017】
【化19】
【0018】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]で示される、前記した1−置換エチル
エステル結合というものは、カルボン酸と、ヘミアセタ
ール(gem−ジオールエーテルともいう。)とのエス
テル類に相当する構造を有している処から、カルボン酸
ヘミアセタールエステル結合(gem−ジオールエーテ
ルエステル結合ともいう。)と呼ぶことが出来る。
【0019】同様に、一般式
【0020】
【化20】
【0021】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示されるの形の、前記したエステル
結合というものは、カルボン酸と、環状ヘミアセタール
(環状gem−ジオールエーテルともいう。)とのエス
テルに相当する構造を有している処から、カルボン酸の
環状ヘミアセタールエステル結合(環状gem−ジオー
ルエーテルエステル結合ともいう。)と呼ぶことが出来
る。
【0022】そして、本発明の製造法によって提供され
る、一般式
【0023】
【化21】
【0024】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]あるいは一般式
【0025】
【化22】
【0026】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示される、それぞれのエステル結合
を有する、種々のヘミアセタールエステル類は、その重
合体ないしは共重合体が、塗料用をはじめ、広範なる工
業的用途への利用が提案されている。
【0027】たとえば、1−エトキシエチルアクリレー
トについては、その共重合体の防汚塗料用組成物への応
用(特願平−221,204号)であるとか、硬化性樹
脂組成物への応用(特願平3−40,033号、特願平
3−175,260号、特願平3−190,502号、
特願平3−218,632号、特願平3−215,33
9号、特願平3−237,989号、特願平4−45,
519号または特願平4−94,301号)であると
か、あるいは樹脂組成物(特願平4−33,323号ま
たは特願平4−34,938号)などであるし、
【0028】他方、1−メトキシエチルアクリレートに
ついては、その共重合体を成分とする感光性材料への応
用(特開昭58−118,641号または特開昭57−
8,541号公報)などである。
【0029】したがって、本発明により提供される、一
分子中に2個以上の、一般式
【0030】
【化23】
【0031】[ただし、式中のZは、1価の有機基を表
すものとする。]で示される形の、あるいは一般式
【0032】
【化24】
【0033】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示される形の、それぞれのエステル
結合を、ペンダントの形で有する化合物類もまた、上掲
したような広範なる用途へと、利用することが出来るも
のである。
【0034】
【従来の技術】ところで、飽和カルボン酸のヘミアセタ
ールエステルを得る方法としては、飽和カルボン酸を、
α,β−エチレン性不飽和エーテル化合物(以下、ビニ
ルエーテル化合物ないしはビニルエーテル類と略記す
る。)に付加反応せしめるという方法が、すでに、知ら
れては居るけれども、触媒が無い場合には、どうして
も、この付加反応が遅くなって、ヘミアセタールエステ
ル化合物を合成する方法としては、余りにも、実用的で
は無いことが知れる。(ケミカル・アブストラクト、4
3巻、3785i、1949年)
【0035】そのために、こうした飽和カルボン酸のビ
ニルエーテル類への付加反応を促進せしめるための触媒
としては、リン酸が有効であるということが、報告され
ている。(ケミカル・アブストラクト、43巻、657
6d,1949年)
【0036】そこで、アクリル酸などの、いわゆるエチ
レン性不飽和基含有カルボン酸を、ビニルエーテル類に
付加反応せしめて、目的とするヘミアセタールエステル
類を得ようとする場合にも、リン酸などの酸触媒が有効
であると考えられるものの、ビニルエーテル類とリン酸
との共存状態においては、多量のタール分が生成すると
いうことや、あるいは、リン酸触媒が、それ自体、不揮
発性のものであるために、これを除去せしめる必要があ
るということなどの、種々の理由により、決して、かか
るリン酸触媒は、好ましいものであるとは言い得ない。
【0037】同様の理由によって、スルフォン酸や硫酸
などの、いわゆる不揮発性の強酸類もまた、決して、好
ましいものであるとは言い得ない。他方、塩酸などの鉱
酸類も、当該付加反応の触媒となり得るが、目的生成物
である、ヘミアセタールエステルが、カルボン酸エステ
ルの1種であるという処から、水分の共存が、収率の低
下を惹起することとなるために、やはり、好ましくない
ものである、と言い得よう。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】このように、当該付加
反応によって、エチレン性不飽和基含有カルボン酸のヘ
ミアセタールエステル類を合成するに際しては、揮発性
であって、かつ、適度の強さを有するような酸触媒を、
しかも、無水条件下で以て使用することが、高い収率を
達成するためには、是非とも、必要であると考えられ
る。
【0039】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、可能なる限りの高収率で以て、1−置換エチルエ
ステル結合をはじめとする、特定のエステル結合を有す
るエチレン性不飽和結合(以下、エチレン性不飽和基と
いう。)含有カルボン酸エステル類を製造するという方
法を提供することであり、これが、本発明の目的であ
る。
【0040】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記目的を達成するための触媒として働く、有用なる酸
性化合物を見い出すべく、鋭意、研究を重ねた結果、酸
ハライド類を、触媒として用い、一般式
【0041】
【化25】CH2=CH−O−Z [I] [ただし、式中のZは、1価の有機基を表すものとす
る。]で示されるビニルエーテル化合物に、エチレン性
不飽和基含有カルボン酸を付加反応せしめることによっ
て、一般式
【0042】
【化26】
【0043】[ただし、式中のZは、前出の通りであ
る。]で示される1−置換エチルエステル結合を有す
る、ヘミアセタールエステル類が、収率よく、得られる
ことを見い出すに及んで、ここに、本発明を完成させる
に到った。
【0044】さらには、こうした酸ハライド触媒を用い
て、一般式
【0045】
【化27】
【0046】[ただし、式中のYは、2価の有機基を表
すものとする。]で示されるビニルエーテル化合物に、
エチレン性不飽和基含有カルボン酸を付加反応せしめる
ことにより、一般式
【0047】
【化28】
【0048】[ただし、Yは前出の通りである。]で示
される特定のエステル結合を有する、ヘミアセタールエ
ステル類が、収率よく、得られることを見い出すに及ん
で、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0049】ここにおいて言う、酸ハライドとは、酸フ
ルオライド、酸クロライド、酸ブロマイドまたは酸アイ
オダイドなどを指称するものであり、さらに、ここに言
う酸とは、カルボン酸、置換カルボン酸、しゅう酸、ジ
カルボン酸、置換ジカルボン酸、ポリカルボン酸、置換
ポリカルボン酸、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸な
どを総称するものである。
【0050】かかる酸ハライドとして特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、アセチルクロライド、ア
セチルブロマイド、プロピオニルクロライドの如き、各
種の飽和モノカルボン酸ハライド類;しゅう酸ジクロラ
イド、しゅう酸ジブロマイドの如き、各種の飽和ジカル
ボン酸ハライド類;アクリル酸クロライド、メタクリル
酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、メタクリル酸ブ
ロマイドの如き、各種の不飽和カルボン酸ハライド類;
【0051】クロロアセチルクロライド、ブロモアセチ
ルクロライド、フルオロアセチルクロライド、クロロア
セチルブロマイド、ブロモアセチルブロマイド、フルオ
ロアセチルブロマイド、ジクロロアセチルクロライド、
ジクロロアセチルブロマイド、トリクロロアセチルクロ
ライド、トリクロロアセチルブロマイド、ジブロモアセ
チルクロライド、ジブロモアセチルブロマイドの如き、
各種のハロゲン置換カルボン酸ハライド類;クロロフォ
ーメートの如き、各種のハロフォーメート類;またはフ
ォスゲンなどである。
【0052】前記したビニルエーテル化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチルビニ
ルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニ
ルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、n−ヘキシル
ビニルエーテル、i−ヘキシルビニルエーテル、n−オ
クチルビニルエーテル、i−オクチルビニルエーテル、
2−エチルヘキシルビニルエーテル、デシルビニルエー
テル、ドデシルビニルエーテルもしくはオクタデシルビ
ニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテル
類;またはシクロペンチルビニルエーテルもしくはシク
ロヘキシルビニルエーテルの如き、各種のシクロアルキ
ルビニルエーテル類;あるいは環状ビニルエーテル類な
どである。
【0053】さらに、上記したエチレン性不飽和基含有
カルボン酸とは、分子内に1個以上のエチレン性不飽和
結合と、1個以上のカルボキシル基とを併せ有する化合
物を総称するものである。
【0054】かかるエチレン性不飽和基含有カルボン酸
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸の如き、各種の
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸類;マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸の如き、各種のα,β−エチ
レン性不飽和ジカルボン酸類;アジピン酸モノビニルエ
ステルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエ
ステル類;
【0055】上掲したような各種のα,β−エチレン性
不飽和ジカルボン酸類と、低級脂肪族アルコール類と
の、種々のハーフ・エステル類;あるいは2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートのような各種の水酸基含
有単量体類と、無水コハク酸または無水フタル酸のよう
な各種の酸無水物類との付加反応物で以て代表される化
合物とか、さらには、カルボキシルエチルアクリレート
またはカルボキシルエチルメタクリレートで代表され
る、種々のカルボキシル基含有単量体類などである。
【0056】ただし、当該ヘミアセタールエステル類の
うち、1−置換エチルエステル基含有のヘミアセタール
エステル類を調製する場合には、メタクリル酸の使用
は、除外されよう。
【0057】触媒として使用される、前記した酸ハライ
ド類の使用量としては、用いる当該エチレン性不飽和基
含有カルボン酸の重量に対して、0.01〜10%なる
範囲内が、好ましくは、0.1〜5%なる範囲内が適切
である。
【0058】その際の反応方法としては、エチレン性不
飽和基含有カルボン酸と、ビニルエーテル化合物と、酸
ハライド触媒との一括仕込による反応;あるいはビニル
エーテル化合物の滴下、エチレン性不飽和基含有カルボ
ン酸の滴下または酸ハライド触媒の滴下による反応など
が、特に代表的なものとして挙げられるが、とりわけ、
ビニルエーテル化合物の滴下によるのがよい。
【0059】かかる反応の温度としては、0〜150℃
なる範囲内、とりわけ、30〜100℃なる範囲内が適
切である。
【0060】また、エチレン性不飽和基含有カルボン酸
や、目的生成物たるエチレン性不飽和基含有カルボン酸
の1−置換エチルエステル類などの重合(共重合)を防
止するために、重合禁止剤類ないしは重合抑制剤類を、
反応系に添加して、付加反応を行ってもよい。
【0061】さらに、上述した付加反応が終了したのち
において、かかる重合禁止剤類ないしは重合抑制剤類を
添加して、目的生成物を単離せしめるという方法を用い
ても良いことは、勿論である。
【0062】こうした目的のために用いられる、上記し
た重合禁止剤類ないしは重合抑制剤類として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、ヒドロキノン系、
ヒドロキノンエーテル系、フェノチアジン系、またはポ
リ−t−ブチルフェノール系などの、公知慣用の化合物
である。
【0063】本発明において用いられる溶剤類として
は、酸ハライド化合物と、エチレン性不飽和基含有カル
ボン酸と、ビニルエーテル類とに対して、不活性なるも
のであれば、特に制限は無いが、一般には、無溶剤下
で、反応を行っても良いことは、勿論である。
【0064】当該溶剤類として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、エチレングリコールジメチルエ
ーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレ
ングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコー
ルジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエ
ーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテルの如
き、種々のグリコール類の、各種のジエーテル類;酢酸
エチル、酸酸ブチルの如き、各種のエステル類;または
エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテ
ートの如き、各種のエーテルエステル類などである。
【0065】反応時間としては、ビニルエーテル化合物
を滴下する方法の場合には、滴下時間として、10分間
〜6時間なる範囲内が好適であるし、滴下終了後も、さ
らに、10分間〜6時間程度のあいだ保持して、反応を
続行せしめるというのが望ましい。
【0066】本発明の方法は、分子中に2個以上のカル
ボキシル基を有するポリカルボン酸についても、適用す
ることが出来る。すなわち、酸ハライド触媒の存在下
に、かかるポリカルボン酸を、前掲した一般式[I]ま
たは[III]で示される、種々のビニルエーテル化合
物に付加反応せしめることによって、前掲した一般式
[II]または[IV]で示されるエステル結合を、2
個以上、有する種々の化合物を、反応率良く、製造する
ことが出来る。
【0067】ここにおいて言う、上記ポリカルボン酸と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジ
カルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の
如き、いわゆる低分子ポリカルボン酸類;あるいは、2
個以上のカルボキシル基を、ペンダントの形で以て有す
る、ビニル系重合体類、ポリエステル樹脂類、ポリウレ
タン樹脂類、ポリエーテル樹脂類またはポリアミド樹脂
類などである。
【0068】触媒として使用される、前掲した酸ハライ
ド類の使用量としては、用いる当該ポリカルボン酸の重
量に対して、0.01〜10%なる範囲内が、好ましく
は、0.1〜5%なる範囲内が適切である。
【0069】その際の反応方法としては、当該ポリカル
ボン酸と、ビニルエーテル化合物と、酸ハライド触媒と
の一括仕込による反応;あるいはビニルエーテル化合物
の滴下、ポリカルボン酸の滴下または酸ハライド触媒の
滴下による反応などが挙げられるが、とりわけ、ビニル
エーテル化合物の滴下によるのがよい。
【0070】そのさいの反応の温度や、使用溶剤類とし
ては、前出の通りでも差し支えは無いが、反応時間とし
ては、ビニルエーテル化合物を滴下する方法の場合に
は、滴下時間としては、5分間〜5時間程度が適切であ
るし、滴下終了後も、さらに、20分間〜20時間程度
のあいだ保持して、反応を続行させるのが望ましい。
【0071】かくして得られる、本発明のヘミアセター
ルエステル類は、基本的には、それぞれ、一般有機化合
物類の合成用原料として、あるいは反応性カルボキシル
基の保護用として利用されるものである。
【0072】すなわち、前者の合成用原料として利用さ
れる場合のケースは、たとえば、各種の単量体類または
種々の重合体類の調製であるし、さらには、こうした単
量体類または重合体を用いて得られる、それぞれ、各種
の硬化性組成物(光硬化性ないしはエネルギー線硬化性
をも含む。)または各種の感光性樹脂類ないしは感エネ
ルギー線樹脂類などの調製であるし、
【0073】他方、後者の保護用として利用される場合
のケースは、たとえば、一般重合時における、各種の単
量体類の保護であるとか、または酸/アミン塩基条件下
での反応前の、中性で安定なる保護構造化であるとか、
あるいは水を共存せしめる前の安定なる保護構造化など
である。
【0074】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例により、
一層、具体的に説明する。以下において、部および%
は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものと
し、また、目的生成物の収率は、原料エチレン性不飽和
基含有カルボン酸の1モルを基準とするものである。
【0075】実施例 1 反応容器に、アクリル酸の72部およびアクリル酸クロ
ライドの0.6部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しなが
ら、40℃に保持して、n−ブチルビニルエーテルの1
00部を、30分間に亘って滴下した。
【0076】その後も、50℃に4時間のあいだ保持し
てから、減圧蒸留によって、目的生成物である、1−n
−ブトキシエチルアクリレートを単離せしめることによ
る、81%なる収率で以て、この目的物が得られた。
【0077】このものの赤外線吸収スペクトルのデータ
は、次の通りである。
【0078】−CO− =1720cm-1 −C=C− =1640cm-1 −O− =1175cm-1,1140cm-1
【0079】実施例 2 反応容器に、アクリル酸の72部およびアセチルクロラ
イドの0.6部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しなが
ら、30℃に保持して、n−ブチルビニルエーテルの1
00部を、2時間かけて滴下した。
【0080】その後も、40℃に4時間のあいだ保持し
て、反応を続行せしめた。その結果、実施例1において
掲げた通りの赤外線吸収スペクトルを示す、目的物たる
1−n−ブトキシエチルアクリレートが、95%なる反
応率で以て得られた。
【0081】実施例 3 反応容器に、アクリル酸の72部と、しゅう酸ジクロラ
イドの0.6部とを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しなが
ら、60℃に保持して、i−ブチルビニルエーテルの1
00部を、1時間30分に亘って滴下した。
【0082】その後も、50℃に3時間30分のあいだ
保持してから、減圧蒸留を行って、1−i−ブトキシエ
チルアクリレートを単離せしめ、80%なる収率で以
て、この目的物を得た。
【0083】このものの赤外線吸収スペクトルのデータ
は、次の通りである。
【0084】−CO− =1720cm-1 −C=C− =1640cm-1 −O− =1175cm-1,1130cm-1
【0085】実施例 4 i−ブチルビニルエーテルの115部を用いるように変
更した以外は、実施例3と同様に反応を行って、目的物
たる1−i−ブトキシエチルアクリレートの173gを
得た。このものの収率は95%である。
【0086】実施例 5 反応容器に、アクリル酸の72部およびアクリル酸クロ
ライドの0.6部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しなが
ら、50℃に保持して、シクロヘキシルビニルエーテル
の126部を、30分間に亘って滴下した。
【0087】その後も、50℃に40分間のあいだ保持
してから、減圧蒸留を行って、目的物たる1−シクロヘ
キシルオキシエチルアクリレートを単離せしめ、73%
なる収率で以て、この目的物を得た。
【0088】このものの赤外線吸収スペクトルのデータ
は、次の通りである。
【0089】−CO− =1720cm-1 −C=C− =1640cm-1 −O− =1165cm-1,1135cm-1
【0090】実施例 6 反応容器に、アクリル酸の36部およびアクリル酸クロ
ライドの0.6部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しなが
ら、40℃に保持して、エチルビニルエーテルの36部
を、30分かけて滴下し、その後も、40℃に1時間の
あいだ保持して反応を続行せしめた。
【0091】ガス・クロマト・グラフィーを用いての解
析の結果、アクリル酸の1−エトキシエチルエステル
が、95%なる反応率で得られた。
【0092】実施例 7 反応容器に、メタクリル酸の86部と、メタクリル酸ク
ロライドの0.6部とを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し
ながら、40℃に保持して、ジヒドロピランの90部
を、30分間に亘って滴下し、その後も、40℃に1時
間のあいだ保持して、反応を続行せしめた。
【0093】ガス・クロマト・グラフィーを用いての解
析の結果、2−テトラヒドロピラニルメタクリレート
が、95%の反応率で得られた。
【0094】実施例 8 反応容器に、トリメチロールプロパンの167.5部、
ε−カプロラクトンの427.5部およびテトライソプ
ロピルチタネートの1.2部を仕込み、160℃に8時
間のあいだ加熱して、反応を行った。
【0095】次いで、酢酸ブチルの647.5部と、無
水コハク酸の375部とを仕込んで、さらに、120℃
に8時間のあいだ保持して、溶液の酸価が130なるポ
リカルボン酸樹脂を得た。
【0096】しかるのち、このポリカルボン酸樹脂溶液
の431部と、エチルビニルエーテルの108部と、ア
セチルクロライドの2部とを仕込んで、60℃に保持し
た。赤外吸収スペクトルで以て、カルボキシル基に基づ
く1700cm-1の吸収に代わって、1−エトキシエチ
ルエステル結合に基づく1720cm-1の吸収が現れた
し、しかも、そのときの樹脂の酸価は3以下となったこ
とより、目的とするエステル結合含有樹脂が得られるこ
とが判明した。
【0097】比較例 1 反応容器に、アクリル酸の36部と、不揮発性で、か
つ、不溶解性なる固体酸触媒として、「アンバーライト
IRC50TM」[アメリカ国ローム・アンド・ハース
社のスルホン酸系イオン交換樹脂であり、この「アンバ
ーライト」は、オルガノ(株)の登録商標である。]の
10部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、40℃
に保持して、エチルビニルエーテルの36部を、30分
間に亘って滴下し、その後も、40℃に1時間のあいだ
保持して反応を続行せしめた。
【0098】ガス・クロマト・グラフィーによる解析の
結果、反応率は77%と低いことが判明した。
【0099】
【発明の効果】以上のように、酸ハライド触媒を用いる
ことによって、ヘミアセタールエステル類を、簡便なる
方法で以て、しかも、収率良く、得ることが出来る。
【0100】したがって、本発明の方法によって得られ
る、当該ヘミアセタールエステル類は、重合体または共
重合体類として用いられるし、あるいは各種の塗料用の
ベース樹脂成分として用いられるし、さらには、感光性
材料などとして、種々の用途に差し向けられる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸ハライド触媒の存在下に、一般式 【化1】CH2=CH−O−Z [I] [ただし、式中のZは、1価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるビニルエーテル化合物に、エチレン性
    不飽和基含有カルボン酸(ただし、メタクリル酸を除く
    ものとする。)を付加反応せしめることを特徴とする、
    一般式 【化2】 [ただし、Zは、1価の有機基を表すものとする。]で
    示される1−置換エチルエステル結合を有する、ヘミア
    セタールエステル類の製造法。
  2. 【請求項2】 酸ハライド触媒の存在下に、一般式 【化3】 [ただし、式中のYは、2価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるビニルエーテル化合物に、エチレン性
    不飽和基含有カルボン酸を付加反応せしめることを特徴
    とする、一般式 【化4】 [ただし、式中のYは、2価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるエステル結合を有する、ヘミアセター
    ルエステル類の製造法。
  3. 【請求項3】 酸ハライド触媒の存在下に、一般式 【化5】CH2=CH−O−Z [I] [ただし、式中のZは、1価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるビニルエーテル化合物に、あるいは一
    般式 【化6】 [ただし、式中のYは、2価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるビニルエーテル化合物に、一分子中に
    2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸を、
    付加反応せしめることを特徴とする、一般式 【化7】 [ただし、式中のZは、1価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるエステル結合を、あるいは一般式 【化8】 [ただし、式中のZは、1価の有機基を表すものとす
    る。]で示されるエステル結合を、2個以上、有する化
    合物の製造法。
  4. 【請求項4】 前記した一般式 【化9】CH2=CH−O−Z [I] 中のZが、あるいは一般式 【化10】 中のZが、それぞれ、1〜18なる炭素数を有するアル
    キル基、あるいはシクロペンチル基またはシクロヘキシ
    ル基である、請求項1または3に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 前記した一般式 【化11】 中のYが、あるいは一般式 【化12】 中のYが、それぞれ、2ないしは3なる炭素数を有する
    アルキレン基である、請求項2または3に記載の製造
    法。
  6. 【請求項6】 前記した酸ハライド触媒が酸クロリド触
    媒である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造
    法。
  7. 【請求項7】 前記したエチレン性不飽和基含有カルボ
    ン酸がアクリル酸である、請求項1または2に記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】 前記したエチレン性不飽和基含有カルボ
    ン酸がメタクリル酸である、請求項2に記載の製造法。
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