JPH0613533B2 - 水素化アルミニウムリチウム系不斉還元剤 - Google Patents

水素化アルミニウムリチウム系不斉還元剤

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JPH0613533B2
JPH0613533B2 JP63285303A JP28530388A JPH0613533B2 JP H0613533 B2 JPH0613533 B2 JP H0613533B2 JP 63285303 A JP63285303 A JP 63285303A JP 28530388 A JP28530388 A JP 28530388A JP H0613533 B2 JPH0613533 B2 JP H0613533B2
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幸夫 米由
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Description

【発明の詳細な説明】 一般式(I) 〔式中、Xは水素原子または塩素原子を表わす。〕 で示されるラセミのトリアゾリルアルコール誘導体なら
びにそれらが優れた殺菌作用、植物生長調節作用および
除草作用を示すことは、既に特開昭55−124771
号公報および特開昭56−25105号公報に記載され
ている。
本発明者らは、該化合物の光学異性体につき検討した結
果、(+)−トリアゾリルアルコール誘導体(I)の植
物生長調節効果および除草効果の強さは対応するラセミ
体および(−)−トリアゾリルアルコール誘導体との比
較において、(+)−トリアゾリルアルコール誘導体>
ラセミ体のトリアゾリルアルコール誘導体>(−)−ト
リアゾリルアルコール誘導体という関係にあり、一方殺
菌効果が(−)−トリアゾリルアルコール誘導体>ラセ
ミ体のトリアゾリルアルコール誘導体>(+)−トリア
ゾリルアルコール誘導体という関係にあることを見出し
た。つまり、(+)−トリアゾリルアルコール誘導体が
極めて優れた植物生長調節効果および除草効果を示すと
いう全く新しい知見を見出した。
ここで(+)−トリアゾリルアルコール誘導体とは、ク
ロロホルム中、ナトリウムD線で(+)の旋光度を示す
一般式(I)で表わされる化合物であり、他方(−)−
トリアゾリルアルコール誘導体とは、クロロホルム中、
ナトリウムD線で(−)の旋光度を示す一般式(I)で
表わされる化合物である。
かかる知見は農園芸分野におけるより健全な植物の栽培
に大きく貢献するものである。
すなわち、たとえばより活性の高い薬剤を使用すること
は、より少量の薬剤を適切に使用することにつながり、
製造、輸送、施用各プロセスにおける経済性の向上と共
に、環境汚染の可能性を最小限に約束するものであり安
全性の向上に寄与する。
(+)−トリアゾリルアルコール誘導体は、前述のごと
く、植物生長調節剤として使用でき、有用植物体に施用
してその生長を制御する。たとえば稲、ムギ類、芝生、
生垣用樹木、果樹等の徒長防止、あるいは鉢植菊、ユ
リ、パンジー、ポインセチヤ、ツツジ、シャクナゲ等の
園芸作物の矮化などに用いることができる。
稲作あるいは麦作は、肥料の多施用や強風などによって
生ずる稲や麦の倒伏がしばしば重要な問題となるが、上
記(+)−トリアゾリルアルコール誘導体を適期に処理
することにより、稲や麦の草丈を適度に抑制し、徒長を
おさえ、倒伏の防止に有効である。鉢植菊の栽培におい
ては、該(+)−トリアゾリルアルコール誘導体の施用
により花には影響を与えず、茎の長さを短くすることに
より商品価値を高めることができる。
また該(+)−トリアゾリルアルコール誘導体は、除草
作用を有し、ヒエ、メヒシバ、エノコログサ等のイネ科
の雑草、ハマスゲ等のカヤツリグサ科雑草、アオビユ、
シロザ、スベリヒユ、ハコベ等の広葉畑地雑草に、また
タイヌビエ、コナギ、キカシグサ、アブノメ、ホタル
イ、マイバイ等の水田一年生および多年生雑草に対して
も強い作用をもつ。
さらに該(+)−トリアゾリルアルコール誘導体を畑地
に使用する場合、畑地の主要雑草に効力が強いうえ、雑
草の発生前に行なう土壌処理でも生育初期に行なう茎葉
処理でも効果をもち、しかもイネ、ダイズ、ワタ、トウ
モロコシ、落花生、ヒマワリ、ビート等の各主要作物に
害がなく、レタス、ダイコン、トマト等の野菜にも安全
に使用できるという非常に優れた性質を有している。
したがって該(+)−トリアゾリルアルコール誘導体
は、各種穀類、そ菜類、果樹園、芝生、牧草地、茶園、
桑園、ゴム園、森林地、非農耕地等の除草剤として有用
である。
一方、該(+)−トリアゾリルアルコール誘導体は人
畜、魚類に対して高い安全性を有し、かつ農業上有用な
作物に対して実際の使用上なんら害を及ぼすことなく使
用できることも明らかとなった。
本発明者らは、かかる(+)−トリアゾリルアルコール
誘導体の製造方法を検討する中で一般式(II) 〔式中、X,Yは、それぞれ低級アルキル基を表わす。
*は不斉炭素を意味する。〕 で示される旋光性が(−)であるアミノアルコール1当
量比と水素化アルミニウムリチウム1当量比と一般式
(III) 〔式中、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表わ
す。〕 で示されるN−置換アニリン2当量比とを溶媒中で反応
させて得られるキラルな修飾水素化アルミニウムリチウ
ム系還元剤が優れた不斉還元能を有し、非対称ケトン化
合物から効率よく対応するアルコール化合物を与えるこ
とを見出し本発明に至った。
本発明のキラルな修飾水素化アルミニウムリチウム還元
剤を調製するには、水素化アルミニウムリチウム1当量
比を適当な溶媒にサスペンドし、前記一般式(II)で示
される光学活性アミノアルコール1当量比を加えたの
ち、一般式(III)で示されるN−置換アニリンの2当
量比を加えればよく、溶媒としてはジエチルエーテル、
THF、ジオキサン等のエーテル類を用いるのが最も一
般的であるが、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素
類あるいはn−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化
水素類も使用できる。
また、N−置換アニリンとしては、N−メチルアニリ
ン、N−エチルアニリン等の低級アルキル置換アニリン
あるいはジフェニルアミン等が好結果をもたらす。
このようにして調製されたキラルな修飾水素化アルミニ
ウムリチウムに、適当な溶媒に溶解した非対称ケトン化
合物を加えることにより不斉還元を行なう。溶媒として
は前述のものが使用できる。この時の反応温度は−80
℃から溶媒の沸点までの範囲が可能であるが、0℃以下
で行なうことが好ましい。
ここで、非対称ケトン化合物としては、α,β−不飽和
ケトン化合物、さらに具体的にはアゾール系α,β−不
飽和ケトン化合物が挙げられる。
反応終了後、希酸性水溶液を加え錯化合物を分解したの
ち抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィーあるいは
再結晶操作により目的物を得ることができる。以下に、
合成例の本発明の還元剤を説明する。
合成例1 (−)−2−N,N−ジメチルアミノ−1−フェニルエ
タノールを用いた不斉還元 LiAIH 0.114g(3.0ミリモル)、エチルエーテ
ル4mlに氷冷下、(−)−2−N,N−ジメチルアミノ
−1−フェニルエタノール0.53g(3.21ミリモル)のエ
チルエーテル5ml溶液を15分間で滴下した。滴下後3
0分間保温攪拌し、ついでN−メチルアニリン0.64g
(6.0ミリモル)のエチルエーテル3ml溶液を15分間
で滴下した。滴下後室温で3時間攪拌した。反応液の一
部をサンプリグし、溶媒を留去して赤外吸収スペクトル
を測定した。
赤外吸収スペクトル(CCl溶液):ν(cm−1) 3443,1605,1508,1318, 1262,869 次いで反応液を−78℃に冷却し、(E)−1−(2,
4−ジクロロフェニル)−2−(1,2,4−トリアゾ
ール−1−イル)−4,4−ジメチル−1−ペンテン−
3−オン0.32g(1.0ミリモル)のエチルエーテル5ml
溶液を滴下した。3時間保温攪拌後、室温で一夜放置
し、2N塩酸8mlを加えて分解した。有機層を分液し、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10ml、氷冷水10mlで
洗浄後、芒硝で乾燥した。減圧濃縮すると0.33の粗
(+)−(E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−
2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−4,4
−ジメチル−1−ペンテン−3−オールを得た。
▲〔α〕24 ▼D+20.3°(c=1.0,CHCl) 参考例1 (−)−2−アミノ−1−フェニルエタノールの合成 D−(−)−マンデル酸24.0g、無水エタノール200
mlおよび濃硫酸0.18mlで7時間加熱攪拌したのち、
冷却し、減圧濃縮した。残渣に140mlのジエチルエー
テルを加えて溶解したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液で中和し、水洗、芒硝乾燥、つづいて減圧濃縮する
と23.6gの(−)−マンデル酸エチルエステルが得られ
た。
▲〔α〕24 ▼D−132.9°(c=1.07,CHCl) (−)−マンデル酸エチルエステル23.0gのメタノール
160ml溶液を氷冷下、過剰のアンモニアガスを吹き込
み室温で5時間攪拌したのち減圧濃縮すると19.1gの粗
(−)−マンデル酸アミドが得られた。シクロヘキサン
−イソプロパノールの混合溶媒で再結晶すると11.41g
の(−)−マンデル酸アミドが得られた。
▲〔α〕24 D▼−72.7°(c=1.12,CHOH) (−)−マンデル酸アミド11.20gを水素化アルミニウ
ムリチウム7.10gのテトラヒドロフラン280ml懸濁液
に加え7時間還流攪拌した。冷時、酒石酸ナトリウムカ
リウムの飽和水溶液80mlを加えて分解し、濾過、減圧
濃縮すると9.93gの(−)−2−アミノ−1−フェニル
エタノールの結晶が得られた。
▲〔α〕24 D▼−42.5°(c=1.10,COH) 参考例2 (−)−2−N,N−ジメチルアミノ−1−フェニルエ
タノールの合成 ギ酸8.8gと無水酢酸19.2gを3.5時間室温で攪拌したの
ち(−)−2−アミノ−1−フェニルエタノール4.86g
に加え、室温で7.5時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮
し、クロロホルム50mlを加えて溶解後、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で中和洗浄、水洗、芒硝乾燥つづいて
減圧濃縮すると5.61gの2−N−ホルミルアミノ−1−
フェニルエタノールが得られた。次に、水素化アルミニ
ウムリチウム1.84gのテトラヒドロフラン80ml液に2
−N−ホルミルアミノ−1−フェニルエタノール5.60g
を加えて4.5時間加熱攪拌し、冷時水1.84mlで分解し、
酒石酸カリウムナトリウムの飽和水溶液18.4mlを加えて
生成する沈澱物を濾過後減圧濃縮すると2−N−メチル
アミノ−1−フェニルエタノールが得られた。得られた
2−N−メチルアミノ−1−フェニルエタノールにギ酸
4.80gと37%ホルマリン水溶液4.8mlを加えて10
0℃で3時間加熱攪拌したのち、減圧濃縮し、2N水酸
化ナトリウム水溶液で中和後、塩化メチレンで抽出し、
水洗、芒硝乾燥つづいて減圧濃縮を行なってから蒸留す
るとbp66〜7℃/0.3Torrで3.50gの(−)
−2−N,N−ジメチルアミノ−1−フェニルエタノー
ルが得られた。
▲〔α〕24 D▼−56.0°(neat,1dm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉 和夫 大阪府茨木市平田1丁目2番40号 (56)参考文献 Tetrahedron Letter s,21,2753〜6(1980)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、X,Yは、それぞれ低級アルキル基を表わす。
    *は不斉炭素を意味する。〕 で示される旋光性が(−)であるアミノアルコール1当
    量比と水素化アルミニウムリチウム1当量比と一般式 〔式中、Rは低級アルキル基またはフェニル基を表わ
    す。〕 で示されるN−置換アニリン2当量比とを溶媒中で反応
    させて得られるキラルな修飾水素化アルミニウムリチウ
    ム系還元剤。
JP63285303A 1988-11-10 1988-11-10 水素化アルミニウムリチウム系不斉還元剤 Expired - Lifetime JPH0613533B2 (ja)

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