JPH06134726A - パネル材の成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定寸法のパネル材を安定して連続成形する
ことができるパネル材を提供する。 【構成】 押出により予備成形された水硬性無機質材料
からなる押出板材間に補強材を挟み込んだ積層材と，前
記積層材を囲繞する型枠内に載置したまま複数対の圧着
ロール間に通材させて積層材の拡張成形をなす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は水硬性無機質材と補強材
とからなる積層材のパネル材の成形方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来，セメント等の水硬性材料を用いて
板状の成形品を押出成形することが広く行なわれ，特に
建築用壁板材，あるいは型材などに有用として広く採用
されている。ところで，上述のような無機質建材等は一
般に曲げ強度が圧縮強度に比し弱いため，特開昭５９−
１５９３０６号公報に記載されたように，スクリュによ
って金型内の押出管内に可塑状態の無機質材料（以下押
出素材という）を供給するとともに，前記押出管の屈曲
完了部から板材の流れ方向に対して水平かつ横方向から
金網，ピアノ線などの補強芯を補強芯ガイドを介して前
記押出管内に供給し，成形金型から押出時に押出素材間
に同期させながら挿入して補強材入りパネル材を得る方
法が知られている。

【０００３】また，特開昭５８−２５９０８号公報には
打設によるパネル材の成形方法が記載してある。すなわ
ち，金網状のコイル材が配設された型枠を平板状の載置
台等に載置した状態で，型枠内にバケットより気泡コン
クリートスラリを打設する。次いで型枠の上部端縁に沿
って型枠内のスラリを摺切りして一旦スラリ表面を平面
化した後，放置しておくと気泡に起因して中央部に盛上
り部が生じる。加圧部材であるローラを盛上り部に押圧
回転移動させると，盛上り部はスラリ内部に押込まれて
いき，平坦なパネル表面が画成されるようになってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら，前者の
特開昭５９−１５９３０６号公報に示されているような
方法では，押出管屈曲完了付近の板材の流れ方向に補強
芯ガイドが設置してあるため押出管内を流れる押出素材
の流れは複雑かつ流通路の狭まりで流れにくくなる。こ
のため押出素材は高含有水のものに限定される。また，
補強芯もピアノ線のような細線場合のみ使用が可能であ
り，押出中の押出素材と補強芯の送出速度とを同期させ
て積層材を連続生産するのが困難である。さらに，金型
形状が複雑であるなど多くの欠点を有している。

【０００５】また，後者の特開昭５８−２５９０８号公
報に示されているような方法では，バッチ式によるパネ
ル材の成形方法であるため成形サイクルが低く，作業員
が多数必要となり，それに費やす労費は多大であるとと
もに打設するための作業スペースを多く必要とするなど
の欠点がある。

【０００６】本発明の目的は，上記従来の問題点に着目
し，所定寸法のパネル材を安定して連続成形することが
できるパネル材の成形方法を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に，本発明に係るパネル材の成形方法では，押出により
予備成形された水硬性無機質材料からなる押出板材間に
補強材を挟み込んだ積層材と，前記積層材を囲繞する型
枠内に載置したまま複数対の圧着ロール間に通材させて
積層材の拡張成形をなすようにした。

【０００８】

【作用】上下のロール間隔が一定に保持された複数対の
圧着ロール間に押出板材間に補強材を挟み込んだ積層材
を型枠内に載置したまま通材させると，前記圧着ロール
によって型枠大に積層材の送り方向と板幅方向とに拡張
成形が行なわれる。通材後は圧延，圧着されて得られた
積層材と型枠を分離し，パネル材を得る。

【０００９】

【実施例】以下に，本発明に係るパネル材の成形方法の
具体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。図１は
実施例に係るパネル材の押出成形装置の平面図，図２は
図１の正面図，図３は圧着ロール装置の外観構成図，図
４は圧着ロール装置の平面図，図５は図４のＡ−Ａから
みた横切断断面図，図６は図５のＢ−Ｂからみた横切断
断面図，図７は図５のＣ−Ｃからみた横切断断面図，図
８はパネル材の一部断面斜視図である。

【００１０】図１，図２において，全体を符号１で示す
押出成形機には，平面を対向させて機台ベース上に立設
されたエンドプラテン２とシリンダプラテン３とが設け
られており，これら両プラテン２，３の４隅は，コラム
４によって連結されている。シリンダプラテン３には，
複数個のメインシリンダ５が固定されていて，その油圧
等で進退するプランジャ６の先端部には，クロスヘッド
７が固定されており，このクロスヘッド７はプランジャ
６の進退によりコラム４に沿って進退するように構成さ
れている。

【００１１】一方，エンドプラテン２には，薄形長方形
状の押出孔を備えた筒状のダイス８が嵌着されていて，
このダイス８と前記クロスヘッド７との間には，円筒状
のコンテナ９が配設されており，このコンテナ９の内孔
には，前記クロスヘッド７と一体となって進退する押出
ステム１０が嵌合されている。こうすることにより，コ
ンテナ９の内孔に押出素材１１を供給したのち押出ステ
ム１０が前進すると，押出素材１１がダイス８の押出孔
から帯状の押出材１２となって押出されるように構成さ
れている。なお，本実施例における押出素材１１は，熱
硬化性樹脂，微粒シリカおよび特殊添加材を配合したの
ち，バインダ，水を適量混入して混練したものである。
１３は混練した押出素材１１をコンテナ９へ投入するホ
ッパであり，また，１４は投入された押出素材１１をコ
ンテナ９内へ押込む押込シリンダである。

【００１２】このように構成された押出成形機１の押出
材押出経路であるダイス８前方には，多数のローラを押
出方向と交差する方向へ並列してなるローラコンベア１
５，１６が配設され，ローラコンベア１５とローラコン
ベア１６とが押出材の押出方向に連続して延設されてお
り，ローラコンベア１５の側方には，並列する１個のカ
ッタ１７ａを備えた切断装置１７が配設されている。こ
のカッタ１７ａは，例えばピアノ線を弦として張ること
により弓状に形成されたフライングカッタであって，押
出成形機１から押出されたのちローラコンベア１５で搬
送された帯状の押出材１２を，例えば，幅７８５〜７９
０ｍｍ×長さ３１８５〜３１９０ｍｍの矩形状に形成さ
れた押出板１８に切断するように構成されている。な
お，製品は例えば幅８００ｍｍ×長さ３２００ｍｍの矩
形状であるが，圧縮時における平面方向への拡張を考慮
して，ダイス８からの押出幅と切断装置１７による実際
の切断長とがいずれも製品のパネル材寸法より押出板１
８の寸法の方を幅および長さともに，１０〜１５ｍｍ程
度短く設定されている。また，製品としての積層パネル
材としての厚さは２０〜３０ｍｍ程度である。本実施例
では図８に示すように押出板１８，１８ａの板厚が同一
の厚みを有している場合を述べる。

【００１３】ローラコンベア１５上を搬送されながら切
断装置１７と同期速度によって切断された押出板１８
は，ローラコンベア１６の移送終端部まで搬送されたの
ち搬送を停止され，押出板１８の上方に位置しているＮ
ｏ．１吸着リフティング装置３０によって押出板１８は
吊り上げられるようになっている。

【００１４】つぎに，ローラコンベア１５上に搬送され
てきた前記押出板１８と同寸法の押出板１８ａをローラ
コンベア１６側への搬送を停止するようになっている。
この押出板１８ａの停止位置には，走行方向がローラコ
ンベア１５の走行方向と直交する方向に補強材搬送装置
５０が配設されており，例えば図１に符号５１で示す補
強材供給装置に積載された補強材２５である井桁状に組
まれた棒状の鉄筋を供給可能としている。なお，補強材
２５の供給装置５１への補給は例えば走行クレーン等を
用いて図１に示すＹの方向から行ない，補給後はＺの方
向から退却するようになっている。

【００１５】なお，本実施例では移送される補強材２５
として用いられる棒状の鉄筋は例えば直径２ｍｍの丸棒
を用いている。さらに，正方形の井桁状に組合わされた
棒状の鉄筋間隔は５０ｍｍとなっている。また，前記鉄
筋の直径は２ｍｍ以上であってもよく，この場合鉄筋間
隔は５０ｍｍより大きくてよい。さらに，本実施例では
丸棒を井桁状に組合わせた場合を説明したが，これに限
定されるものでなく種々の断面形状のものが使用でき
る。

【００１６】前記補強材搬送装置５０は押出板１８ａ上
と補強材供給装置５１間でガイドレール上を往復移動可
能となっている。また，前記ガイドレール上を前後に移
動する基台５２には昇降シリンダ５４が固設されてい
る。この昇降シリンダ５４のピストンロッドの先端部に
は搬送台５３が固着されている。矩形形状を有した搬送
台５３には図示しないクランプ装置が配設され，前記供
給装置５１から搬送してきた補強材２５をローラコンベ
ア１５上で停止している押出板１８ａ上に載置するよう
になっている。

【００１７】また，前記搬送台５３には接着増強剤を押
出板１８ａ上に散布して押出板１８ａ，１８間をより強
力に接着するための接着増強剤用スプレ（図示せず）が
一定間隔に配設してある。

【００１８】補強材２５が載置された押出板１８ａはロ
ーラコンベア１６側へ搬送されると，Ｎｏ．１吸着リフ
ティング装置３０によって吊り上げられている押出板１
８を降下させるようになっている。こうして，ローラコ
ンベア１６上で押出板１８ａ，１８間に挟み込まれた鉄
筋製補強板２５間とで仮のパネル材（以下積層材とい
う）７０ａに成形される。このままローラコンベア２１
上を型枠クランプ装置８０側へ搬送されるようになって
いる。

【００１９】型枠クランプ装置８０ではローラコンベア
２１上を搬送されてきた積層材７０ａに対して囲繞する
型枠を適正な状態に設置し，この状態で次工程のローラ
圧着装置６０側へ搬送し圧延，圧着によって積層材７０
ａを型枠の内側寸法まで拡張成形を行なうものである。
なお，型枠は後工程にて拡張成形によって成形されたパ
ネル材７０と型枠８１とに分離され繰返し使用に供され
るようになっている。

【００２０】また，ローラ圧着装置６０はローラコンベ
ア６４，圧着ロール６５から構成されている。図示例の
ローラ圧着装置６０では，前工程で押出板１８ａ，１８
に挟み込まれた鉄筋製補強材２５とで形成された積層材
７０ａを反対方向に回動可能な複数対の圧着ロール６５
間で圧縮され，接合圧着されたパネル材７０が成形され
るようになっている。

【００２１】本実施例では前記積層材７０ａを圧着する
圧着ロール６５は上下圧着ロール一対を１組として２組
の圧着ロール６５ａ，６５ｂから構成され，例えば対と
なる圧着ロール６５がそれぞれ水平に配設されている。
これら２組の圧着ロール６５（６５ａ，６５ｂ）のう
ち，最初に積層材７０ａの圧着を開始する１対の圧着ロ
ール６５ａにクラウン形状（ロール径の中央部を太く
し，両端部で小さくする）のロールが取付けてあり，積
層材７０ａを上下圧着ロール６５ａに通材された時の積
層材７０ａの断面形状は，積層材７０ａの中央部の厚み
は薄くなり，端部では厚くなる（図６）といった，いわ
ゆる中伸状の積層材７０ａとして圧延，圧着される。こ
のように積層材７０ａの圧着を行なうイニシャル圧着ロ
ール６５ａにクラウン形状のロールを用いることにより
通材時に長手方向および板幅方向の拡張成形が十分に行
なわれることになる。

【００２２】このため，クラウン形状を種々変えること
により押出板１８，１８ａの含有水分量にも十分対応で
き板幅方向の拡張成形が容易に行なえる。すなわち，押
出板１８，１８ａの含有水分量が多いと塑性加工が容易
なため，小さいクラウン（ロールの中央部と両端部間で
径差が小さい）形状のもので十分対応でき，逆に押出板
１８，１８ａの含有水分量が少ないと塑性加工が困難と
なるため，特に従来問題となっていた板幅方向の拡張成
形を十分に行なうには大きいクラウン（すなわち，ロー
ルの中央部と両端部間で径差が大きい）形状のものがよ
り効果的である。

【００２３】このように，圧着ロール６５ａにクラウン
形状のロールを用いることにより積層材７０ａの長手方
向の拡張成形は容易であるものの従来困難とされてきた
ロール間通材時の長手方向および板幅方向への拡張成形
が容易，かつ効率的に行なうことが可能である。また，
残り１組の圧着ロール６５ｂには直胴形のロールが使用
されており，前部のクラウン形状の圧着ロール６５ａで
中伸状に圧延，圧着された積層材７０ａを残りの圧着ロ
ール６５ｂで所望する矩形状のパネル材７０に成形され
る。

【００２４】符号９０は型枠付パネル材７０の搬送装置
でありローラコンベア２３の終端部に搬送されてきた型
枠付パネル材７０を図示しないクランプによって把持
し，次工程の型枠取外装置１００で型枠８１とパネル材
７０に分離して型枠８１は繰返して使用されるため，型
枠供給装置８３へ搬送される。一方パネル材７０はＮ
ｏ．２吸着リフティング装置１１０によって次工程の養
生室へと搬送されるようになっている。

【００２５】以上のように構成された補強材入りパネル
材の成形方法の動作を説明する。まず，コンテナ９内へ
前述した組成の押出素材１１を供給し，メインシリンダ
５のプランジャ６を前進させると，クロスヘッド７を介
して押出ステム１０が前進して押出素材１１を押出すの
で，押出素材１１はダイス８の押出孔から表面が平滑な
帯状の押出材１２となって押出され，台上において切断
装置１７により一定矩形状の押出板１８となるように切
断される。

【００２６】押出板１８はローラコンベア１５を経由し
てローラコンベア１６の終端部まで搬送される。次い
で，Ｎｏ．１吸着リフティング装置３０によって押出板
１８は所定の高さまで持上げられる。次に，前記押出板
１８に続いてローラコンベア１５上を搬送されてきた押
出板１８ａがローラコンベア１５上に設けられた補強材
搬送装置５０の位置まで搬送される。このとき，補強材
搬送装置５０によって補強材２５を供給装置５１で把持
したまま押出板１８ａの停止位置の上方まで移送されて
おり，補強材２５を把持したまま接着増強剤用スプレ
（図示せず）から押出板１８ａ上に接着増強剤が散布さ
れる。

【００２７】接着増強剤の散布後，昇降シリンダ５４の
ピストンヘッド側へ圧油を供給すると搬送台５３が下方
へ押下げられ，押出板１８ａ上に鉄筋製補強材２５を載
置する。再度ローラコンベア１５上の押出板１８ａと補
強材２５をローラコンベア１６の終端部まで搬送し，こ
の後Ｎｏ．１吸着リフティング装置３０の下降によって
押出板１８を押出板１８ａ上に載置された補強板２５上
に載置して積層材７０ａを形成する。

【００２８】この後，積層材７０ａをローラコンベア２
１側へと搬送させる。ローラコンベア２１上に搬送され
た積層材７０ａは一方型枠クランプ装置８０において型
枠供給装置８３から搬送された型枠８１をローラコンベ
ア２１上に搬送された積層材７０ａを均等に囲繞するよ
うに載置する。こうして，積層材７０ａと型枠８１はロ
ーラコンベア２２上を複数対の圧着ロール（６５ａ，６
５ｂ）側へ搬送され，圧着ロール６５間で押出板１８，
１８ａの板幅方向と長手方向へ拡張成形されるととも
に，押出板１８，１８ａと鉄筋製補強材２５とが一体的
に接合圧着されたパネル材７０に成形される。

【００２９】積層材７０ａが複数対の圧着ロール６５
ａ，６５ｂ間で圧延されると積層材７０ａは板幅方向お
よび長手方向へと拡張成形され，最後は積層材７０ａを
囲繞した型枠８１によって逃げ道を塞がれるため耳部が
不揃いとなることも解消される。特に最初の圧着ロール
６５ａにクラウン形状のロールを配設したことにより従
来困難とされた板幅方向への拡張成形が確実に行なわれ
る。

【００３０】成形された型枠付パネル材７０はローラコ
ンベア２３の終端部まで搬送された後，パネル材搬送装
置９０によってクランプして型枠取外装置１００側へ搬
送し，型枠取外装置１００で型枠８１とパネル材７０に
分離される。分離されたパネル材７０はさらにＮｏ．２
吸着リフティング装置１１０によって養生室まで搬送さ
れ，この養生工程で定められた温度と時間でオートクレ
ーブ養生を行なって製品のパネル材となる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に，本発明に係るパネル材の成形方法では，押出により
予備成形された水硬性無機質材料からなる押出板材間に
補強材を挟み込んだ積層材と，前記積層材を囲繞する型
枠内に載置したまま複数対の圧着ロール間に通材させて
積層材の拡張成形をなすことにより，確実に拡張成形さ
れるため板幅方向および長手方向の不揃いがなくなり，
歩留りが大幅に向上するとともに品質の均一化が図れ，
製品サイクルが大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係るパネル材の押出成形装置の平面図
である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】圧着ロール装置の外観構成図である。

【図４】圧着ロール装置の平面図である。

【図５】図４のＡ−Ａからみた横切断断面図である。

【図６】図５のＢ−Ｂからみた横切断断面図である。

【図７】図５のＣ−Ｃからみた横切断断面図である。

【図８】パネル材の一部断面斜視図である。

【符号の説明】

２ エンドプラテン ８ ダイス ９ コンテナ １０ 押出ステム １１ 押出素材 １２ 押出材 １５，１６，２１，２２，２３，６４ ローラコンベア １７ 切断装置 １８，１８ａ 押出板 ２５ 金属製補強板 ３０ Ｎｏ．１吸着リフティング装置 ５０ 補強材搬送装置 ５１ 補強材供給装置 ６０ ローラ圧着装置 ６５（６５ａ，６５ｂ） 圧着ロール ７０ａ 積層材 ７０ パネル材 ８０ 型枠クランプ装置 ８１ 型枠 ８３ 型枠供給装置 ９０ パネル材搬送装置 １００ 型枠取外装置 １１０ Ｎｏ．２吸着リフティング装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 押出により予備成形された水硬性無機質
   材料からなる押出板材間に補強材を挟み込んだ積層材
   と，前記積層材を囲繞する型枠内に載置したまま複数対
   の圧着ロール間に通材させて積層材の拡張成形をなすこ
   とを特徴とするパネル材の成形方法。