JPH06133831A - 椅子における背もたれ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】人が背もたれにもたれ掛かったとき、背もたれ
と腰部との間に隙間が空くことを防止して、座り心地を
向上する。 【構成】背もたれ３を、人Ｍの背中Ｍ１を支持する上部
背もたれ体３ａと、人Ｍの腰部Ｍ２を支持する下部背も
たれ体３ｂとに分離構成して、上部背もたれ体３ａと下
部背もたれ体３ｂとの間に、例えば板ばね１６と押圧ピ
ン１９のように、上部背もたれ体３ａの後傾動に連動し
て下部背もたれ体３ｂを前進動させるようにした連動機
構を設ける。人Ｍの腰部Ｍ２の前進動に追従して下部背
もたれ体３ｂが前進動し、腰部Ｍ２が下部背もたれ体３
ｂの略全体で支持されるため、上半身を後傾させた安楽
での座り心地を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、事務用等の椅子におけ
る背もたれ装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】事務用等の椅子においては、一般に、一
つの背もたれをばねに抗して後傾するように構成して、
身体を後傾させた安楽姿勢をとれるようにしているが、
椅子に座った人がその上半身を直立状か又はやや前かが
みになった姿勢から後傾させると、人の腰部はやや前方
に移動する傾向を呈するものである。

【０００３】このため、単に背もたれを後傾動自在に構
成したに過ぎない場合には、人が背もたれにもたれ掛か
ったとき、背もたれの下部と腰部との間に隙間が生じる
ことになり、このため、背もたれへのもたれ掛かりによ
る反力が背中のみに作用することになって、後傾状態で
の座り心地が不十分であると言う欠点があった。この欠
点を解消する手段として、先行技術としての実公昭６３
−１０７６５号公報には、背もたれを側面視で屈曲自在
に形成し、背もたれの上部に人がもたれ掛かると背もた
れの屈曲部が前方に突出するように構成して、背もたれ
の屈曲部で人の腰部を支持するようにした発明が記載さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この先行技
術では、背もたれの屈曲部のみが側面視で前向き凸の状
態になるため、背もたれの屈曲部によって人の腰部を過
度に押圧し、腰部に圧迫感を与える場合があり、座り心
地の向上が不十分であると言う問題があった。また、背
もたれが屈曲するごとに、背もたれのクッション体及び
表面シートには背もたれの表面方向に沿った引っ張り力
が生じるため、背もたれの耐久性が低いと言う問題もあ
った。

【０００５】本発明は、この問題を解消した背もたれ装
置を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、座受け体にて支持した座体の後方に立設した
背もたれを、人の背中を支持するようにした上部背もた
れ体と、人の腰部を支持するようにした下部背もたれ体
とに分離形成し、前記上部背もたれ体を、弾性に抗して
後傾動自在となるように前記座体又は座受け体に取付け
る一方、前記下部背もたれ体を、前後方向にスライド自
在となるように座体又は座受け体に装着し、これら上部
背もたれ体と下部背もたれ体との間に、上部背もたれ体
の後傾動に連動して下部背もたれ体を前進動させるよう
にした連動機構を設ける構成にした。

【０００７】

【発明の作用・効果】この構成において、椅子に座った
人が上部背もたれ体にもたれ掛かかると、人の腰部は、
上半身を直立した姿勢の時に比べて前進する傾向を呈す
るが、上部背もたれ体の後傾動に連れて下部背もたれ体
が前進動する、すなわち、下部背もたれ体が腰部の前進
動に追従して移動することにより、下部背もたれ体の略
全体を腰部に密着した状態に保持することができるか
ら、腰部に対する圧迫感を与えることなく、腰部を下部
背もたれ体にて支持することができる。

【０００８】従って本発明によると、背もたれにもたれ
掛かった状態において、腰部を圧迫感を与えることなく
背もたれ全体で人の上半身を支持できるから、背もたれ
にもたれ掛かった状態での座り心地を格段に向上するこ
とができる効果を有する。また、上部背もたれ体と下部
背もたれ体とが完全に分離されており、上部背もたれ体
が前後傾動したり下部背もたれ体が前後移動したりする
に際して、それら上部背もたれ体及び下部背もたれ体に
設けたクッション体や表面シートに表面方向の引っ張り
力が作用することはないから、背もたれの耐久性も格段
に向上することができるのである。

【０００９】

【実施例】次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１〜図５に示すのは第１の実施例であり、これ
らの図において符号１は、座体２と背もたれ３とを備え
た椅子を示し、前記座体２は、脚体４の上端に固着した
上向き開口の座受け体５に固着されており、また、座体
２の下面には、断面下向きコ字状の基板６を固着してい
る。

【００１０】前記背もたれ３は、椅子１に座った人Ｍの
背中Ｍ１を支持するようにした上部背もたれ体３ａと、
椅子１に座った人の腰部Ｍ２を支持するようにした下部
背もたれ体３ｂとに分離形成されており、上部背もたれ
体３ａの下部を正面視略Ｕ字状にくり抜いて、このくり
抜き部７の内部に下部背もたれ体３ｂを配置している。

【００１１】前記上部背もたれ体３ａの左右両端には、
側面視略Ｌ字状の傾動杆８が固着されており、該両傾動
杆８における水平部の前後中途部を、前記座受け体５の
左右両側板５ａ，５ａに支軸９を介して枢着し、更に、
両傾動杆８，８における水平部の先端寄り部位を斜め下
向きの傾斜状に形成し、該左右両傾動杆８，８の前端に
装架した軸１０と、座体２における前部下面との間にガ
ススプリング１１を装架し、該ガススプリング１１の弾
性に抗して上部背もたれ体３ａが後傾動するように構成
する。

【００１２】そして、前記座受け体５における左右両側
板５ａ，５ａの後部内面に、水平状に延びるガイド溝１
２，１２を相対向して延びるように形成し、これら左右
両ガイド溝１２，１２にスライド部材１３を前後摺動自
在に装着して、該スライド部材１３から立設した板状の
支持部材１４に前記下部背もたれ体３ｂを固着する。ま
た、前記座受け体５における左右両側板５ａ，５ａの前
後中途部間に装架したピン１５と前記支持部材１４との
間に、連動機構の一例としての板ばね１６を、その表裏
両面が上下方向に面するようにして配設し、該板ばね１
６の一端１６ａを前記ピン１５に巻き付け係着する一
方、板ばね１６の他端１６ｂを、その表裏両面が鉛直状
になるようにねじり形成して、この他端１６ｂを、支持
部材１４に穿設したスリット１７に挿入し、他端１６ｂ
に穿設した孔１６ｃに挿入した止め板１８ａをねじ１８
ｃにて支持部材１４に螺着することにより、板ばね１６
の他端１６ｂを支持部材１４に対して移動不能に固定す
る。

【００１３】更に、上部背もたれ体３ａに対する左右両
傾動杆８，８の水平部間に、前記板ばね１６における前
後中途部の上面に接当するようにした押圧ピン１９を装
架する。前記座体２の上面と上部背もたれ体３ａ及び背
もたれ３ｂの前面にはそれぞれクッション体２０を張設
している。

【００１４】以上の構成において、椅子１に座った人Ｍ
が、上半身を前かがみ又は直立した姿勢から上部背もた
れ体３ａにもたれ掛かると、人Ｍの上半身は、図２に実
線で示す状態から一点鎖線で示すような状態に変化し、
一般に、この上半身の姿勢の変化に伴って、人Ｍの腰部
Ｍ２は前進動する傾向を呈する。そして、人Ｍのもたれ
掛かりによって上部背もたれ体３ａが後傾すると、上部
背もたれ体３ａにおける左右両傾動杆８，８間に装架し
た押圧ピン１９によって板ばね１６が下向きに押圧さ
れ、板ばね１６が下向き凸状に撓み変形してスライド部
材１３が前向きに移動することにより、下部背もたれ体
３ａはその姿勢を変化させることなく、人Ｍの腰部Ｍ２
の動きに追従して前進動し、下部背もたれ体３ｂの略全
体で人Ｍの腰部Ｍ２が支持される。

【００１５】従って、人Ｍが上半身を後傾させた状態で
は、人Ｍの背中Ｍ１が上部背もたれ体３ａにて支持され
ると共に、人Ｍの腰部Ｍ２が下部背もたれ体３ｂの全体
で支持されることになり、人Ｍの上半身を背もたれ３の
広い面積で支持できるため、腰部Ｍ２に圧迫感を与える
ことなく、快適な座り心地を得ることができるのであ
り、また、下部背もたれ体３ｂが人Ｍの腰部Ｍ２に接当
しているため、人Ｍの着たシャツが上向きにずれ動く現
象も防止できる。

【００１６】図６〜図８に示すのは、上部背もたれ体３
ａと下部背もたれ体３ｂとの連動機構としてワイヤーを
使用した第２の実施例である。すなわち、この実施例で
は、上部背もたれ体３ａと下部背もたれ体３ｂとをそれ
ぞれ正面視矩形に形成して、上部背もたれ体３ａを、座
体２の後部から上向きに突設した左右一対のパイプ状の
支持杆２１の上端に、水平状のピン２２にて回動自在に
枢着し、該ピン２２のうち上部背もたれ体３ａの内部に
入り込んだ部位に、ねじりコイルばね２３を、その一端
を上部背もたれ体３ａの背面板に接当した状態で係着す
ることにより、上部背もたれ体３ａがねじりコイルばね
２３の弾性に抗して後傾動自在になるように構成する。

【００１７】また、前記第１の実施例と同様に、座受け
体５に前後摺動自在に装着したスライド部材１３に支持
部材１４を立設して、この支持部材１４に下部背もたれ
体３ｂを固着する一方、座受け体５の左右両側板５ａ，
５ａ間に回転軸２４を装架して、該回転軸２４の左右略
中間部に固着した第１プーリ２５の外周面と、スライド
部材１３との間を第１ワイヤー２６で連結し、更に、回
転軸２４の両端にそれぞれ固着した第２プーリ２７の外
周面に、支持杆２１の内部に挿通した第２ワイヤー２８
の一端を係着し、該第２ワイヤー２８の他端を、上部背
もたれ体３ａに対する枢着ピン２２に固着した第３プー
リ２９の外周面に係着したものである。

【００１８】なお、前記スライド部材１３は、図示しな
いばね手段にて、後方の位置に戻るように付勢されてい
る。この第２の実施例では、人Ｍが上部背もたれ体３ａ
にもたれ掛かると、第２及び第１ワイヤー２８，２６を
介してスライド部材１３が前向きに引っ張られることに
よって下部背もたれ体３ｂが前進動し、第１の実施例と
同様に、人Ｍの腰部Ｍ２の動きに追従して下部背もたれ
体３ｂが前進し、上半身を後傾させた状態でのＭの腰部
Ｍ２が下部背もたれ体３ｂの全体で支持される。

【００１９】なお、支持部材１４を板ばねにて形成し
て、図８に一点鎖線１４′で示すように、支持部材１４
が前後方向に若干撓み変形するように構成しても良い。
上記の両実施例は、人Ｍが背もたれ３にもたれ掛かって
いない状態で、上部背もたれ体３ａの前面と下部背もた
れ体３ｂの前面とが略同一平面を成すようにした場合で
あったが、人Ｍが背もたれ３にもたれ掛かっていない状
態で、下部背もたれ体３ｂの前面が上部背もたれ体３ａ
の前面よりも後方に位置するように形成して、人Ｍが上
半身を後傾させた状態でのみ、下部背もたれ体３ｂで人
Ｍの腰部Ｍ２を支持するようにしても良い。

【００２０】本発明における連動機構としては、上記の
ような板ばねやワイヤーを使用したものに限らず、リン
ク等の他の手段を採用できることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例に係る椅子の斜視図である。

【図２】作用を示す側面図である。

【図３】連動機構の概略を示す斜視図である。

【図４】図３のIV−IV視断面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ視断面図である。

【図６】第２の実施例を示す斜視図である。

【図７】（Ａ）は図６のＶII−ＶII視平断面図、（Ｂ）
は（Ａ）のＢ−Ｂ視断面図である。

【図８】図６のVIII−VIII視断面図である。

【図９】図８のIX−IX視断面図である。

【符号の説明】

１ 椅子 ２ 座体 ３ 背もたれ ３ａ 上部背もたれ体 ３ｂ 下部背もたれ体 ５ 座受け体 ８ 傾動杆 １２ ガイド溝 １３ スライド部材 １４ 支持部材 １６ 板ばね １９ 押圧ピン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】座受け体にて支持した座体の後方に立設し
   た背もたれを、人の背中を支持するようにした上部背も
   たれ体と、人の腰部を支持するようにした下部背もたれ
   体とに分離形成し、前記上部背もたれ体を、弾性に抗し
   て後傾動自在となるように前記座体又は座受け体に取付
   ける一方、前記下部背もたれ体を、前後方向にスライド
   自在となるように座体又は座受け体に装着し、これら上
   部背もたれ体と下部背もたれ体との間に、上部背もたれ
   体の後傾動に連動して下部背もたれ体を前進動させるよ
   うにした連動機構を設けたことを特徴とする椅子におけ
   る背もたれ装置。