JPH06133674A - 魚釣用リール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 スプールに実際の釣りに使用する釣糸と違っ
た糸を下巻として使用した場合でも、釣糸の繰出し長さ
及び巻き取り長さの測長を正確に行なうことができる。 【構成】 リール本体１と、スプール２と、スプール２
又は該スプール２と同回転を行う回転体の回転を検出す
る検出手段３と、この検出手段３からの信号をもとに繰
り出し糸長又は巻き取り糸長を演算するマイクロコンピ
ューター４と、この演算された糸長を表示する表示部５
とからなり、記憶装置にはスプール２の回転数と糸巻量
との関係を示すデータとして、エコノマイザー６を使用
しない場合と、エコノマイザー６を使用した場合の両方
のデータを釣糸の種類ごとに入力記憶させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、魚釣用リールに関し、
詳しくは魚釣り時の釣糸の繰り出し長さ及び巻き取り長
さを高精度に計測できるようにした魚釣用リールに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、魚釣用リールには、スプールに巻
回された釣糸の繰り出し長さ及びスプールに巻き取られ
る長さを計測し、これらを表示部にデジタル表示する測
長機構を備えたものが出現しており、しかもそれらの機
能はマイクロコンピュータによって制御されている。そ
して、上記の釣糸の繰り出し長さ及び釣糸の巻き取り長
さを計測する機構としては、スプールに巻回された釣糸
の最外側面にローラを接触させ、そのローラがスプール
の回転にともない接触摩擦力で回転するようにし、その
ローラの回転数をマグネットとホールＩＣ等の検出素子
との組み合わせからなる検出機構で検出し、そのローラ
の回転数に該ローラの周長を掛けることで糸長が算出さ
れるようにしたもの、又、スプール回転数を検出し、そ
の回転数から釣糸の繰り出し長さ及び巻き取り長さを演
算算出するものが開発されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した測
長機構のうち前者は釣糸に海水が付着することでローラ
と釣糸との間に水膜を生じ、それによりローラの回転に
スリップが生じ、必ずしも正確な測長が出来るとは言え
ないものであった。又、釣糸に付着した海水はローラの
表面のみならず該ローラの回転軸等にも付着し、海水が
乾燥して塩分が固形化してローラの回転が悪くなると言
った問題点を有する。更に、仕掛けを海中に降ろす場合
も測長しながら釣糸を繰り出すということで、ローラの
接触はスプールの回転に抵抗として働き、仕掛けを目的
の棚へ素早く到達させるといったことができにくいとい
う問題点を有する。一方、後者はマイクロコンピュータ
に予め釣糸の種類（号数）毎の演算用データを記憶して
おき、使用釣糸に応じて対応するデータが読み出され、
そのデータに従って検出したスプールの回転数から糸長
を演算算出するため、上述したようなローラによる測長
機構が有する問題点は解決される。

【０００４】しかしながら、後者の場合マイクロコンピ
ュータに記憶されるデータはスプールに巻回される釣糸
が巻き始めから巻き終りまで単一種類の釣糸であること
が条件で、巻回される釣糸が部分的に違った種類である
場合は、それらを考慮すること無く演算するため正確な
測長は期待できないものである。従って、スプールに下
巻きという形で実際の釣りに使用する釣糸と違った糸を
巻き、その上に釣りに使用する釣糸を巻いた場合は、正
確な測長ができないものである。その為、下巻きから最
後まで単一種類の釣糸を巻かなければ測長出来ないとい
った問題点を有する。しかも、近年、新素材の登場によ
り釣糸の単価も高価となっているため、実際の釣りに使
用しない部分まで高価な釣糸を巻くことは、測長機構を
機能させる為とはいえ非常に不経済なことである。

【０００５】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、スプール回転数から糸長を演算する機構を備えた
魚釣用リールにおいて、スプールに実際の釣りに使用す
る釣糸と違った糸を下巻として使用したり、或いは合成
樹脂材で成形された巻芯（エコノマイザー）が使用され
た場合でもそれらに影響されること無く釣糸の繰り出し
長さ及び巻き取り長さの測長を正確に行うことができる
魚釣用リールを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する為
に本発明が講じた技術手段は、リール本体と、このリー
ル本体に回転可能に支持され釣糸が巻回されるスプール
と、このスプール又は該スプールと同回転を行う回転体
の回転を検出するセンサと、このセンサからの信号をカ
ウントしてスプールの回転数を計数するカウンタと、そ
のカウンタの計数値をもとに繰り出し糸長又は巻き取り
糸長を演算する演算手段と、この演算された糸長を表示
する表示部と、上記スプールに対してエコノマイザー無
しとエコノマイザーを使用して一定の径まで釣糸を巻回
した時の釣糸の種類毎のスプール回転数と糸巻量の関係
を実測して求められた曲線に近似したデータによって作
成した各種の糸長さ計算式を記憶させた記憶装置と、ス
プールに巻回する釣糸の種類及びエコノマイザー使用の
有無を選択入力する入力手段を備え、更に前記表示部は
釣糸の種類及びエコノマイザーの有無の入力により該釣
糸の目的巻取量に至るまでのスプール回転数を表示し、
表示値の減少により巻き取り完了が近いことを知らせ、
且つ回転数の表示が「０」になった時自動的に巻取量の
表示に切り替わると共に、それ以降は選択した釣糸のデ
ータに従い糸長を表示する表示部であることを特徴とす
る。

【０００７】更に、本発明に係る魚釣用リールは、スプ
ールを回転させるために電動モータを装備した魚釣用電
動リールは勿論のこと、該スプールを回転させるハンド
ルを手動操作によって回転させる一般的な両軸受タイプ
の魚釣用リールであっても良いことはいうまでもないこ
とである。

【０００８】

【作用】上記の手段によれば、色々な釣に応じて使用さ
れると想定される釣糸の種類及びエコノマイザー使用の
有無毎のスプール回転数と糸巻量の関係式が記憶装置に
記憶されており、スプールに巻回しようとする釣糸の種
類及びエコノマイザーの有無を選択入力すると、該スプ
ールに目的の糸巻量を巻回するのに必要なスプールの回
転数が表示され、釣糸が巻き取られる方向にスプールを
回転させると表示部の回転数表示が減少し、表示部の表
示が「０」になった時、該表示部の表示はスプールの回
転数表示から目的の糸巻量（糸巻長さ）に切り替わる。
そして、以後は選択入力した釣糸の種類に応じた糸長さ
計算式（関係式）に従ってスプールの回転数から糸長が
演算されて表示部に表示される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
すると、図１は両軸受リールの平面図を示し、図中、１
はリール本体、２はリール本体１の左右側板間に回転可
能に支持されたスプール、３はスプールの回転数を検出
する回転数検出手段、４はマイクロコンピュータ、５は
表示部、６はエコノマイザーである。

【００１０】スプールの回転数を検出する回転数検出手
段は、スプール２の側板外側面に固着したマグネット７
と、そのマグネット７と対応させてリール本体１側に取
り付けた複数個のホール素子等のセンサ８とで構成さ
れ、スプールの回転にともなってマグネット７がセンサ
８の線上を通過するごとに信号が出力され、その信号が
マイクロコンピュータ４に入力されて該スプールの回転
方向（正回転、逆回転）の判別と、回転数がカウンタに
よってカウントされるようになっている。

【００１１】リール本体１に装備されるマイクロコンピ
ュータ４は、中央処理装置（ＣＰＵ）と、演算処理プロ
グラム等を格納したＲＯＭと入力データや演算結果など
を記憶するＲＡＭからなる記憶装置、及び入出力ポート
等で構成され、入力ポートには記憶装置に記憶されてい
る釣糸の種類及びそれら各種別におけるエコノマイザー
６の有無の中から使用に合わせて釣糸の種類とエコノマ
イザー６の有無を選択し入力する入力スイッチ９及び釣
糸の巻き取り完了を入力するセットスイッチ10が接続さ
れている。又、出力ポートには、図示を省略したがアラ
ーム及び音声等の警報回路が接続され、その警報回路に
スピーカが接続されて、釣糸の巻き取り完了が近いこ
と、巻き取り完了を夫々警報するようにしてある。

【００１２】上記の記憶装置に記憶されるデータとして
は、エコノマイザー６を使用しないでスプールの一定の
外径位置まで釣糸を巻いた時の釣糸の種類毎のスプール
回転数と糸巻量の関係、及びエコノマイザー６を使用し
てスプールの一定の外径位置まで釣糸を巻いた時の釣糸
の種類毎のスプール回転数と糸巻量の関係を実測して求
められた曲線に近似したデータによって作成した各種の
糸長さ計算式で、釣糸の種類分けは釣糸の号数とし、更
に同じ号数でも釣糸の材質の違いによって直径や伸び、
潰れが異なるため、それら材質の違いによる計算式も記
憶させるものとする（図２参照）。又、上記のエコノマ
イザー６は１種類に限ること無く、外径の異なった数種
類を用意し、それら各種類毎の計算式を記憶させても良
いものである。

【００１３】エコノマイザー６を使用した場合の糸巻き
に必要な回転数の変更は、図２及び図３から求められ
る。図３はスプール回転数に対する糸巻径の増加を表し
たもので、通常（エコノマイザーを使用しない場合）は
図１に示すスプール２の糸巻胴の外径Ｄ１ からスプー
ルの側板の周縁近くの径Ｄ３ までの間に釣糸を巻くの
であるが、エコノマイザー６を使用した場合は図１のエ
コノマイザー６の外径Ｄ２ からスプールの側板の周縁
近くの径Ｄ３ までの間に釣糸を巻くことになり、図３
に示したエコノマイザー外径を表す線より左側のデータ
（糸巻径が細くなる側）は不要となる。このエコノマイ
ザー外径を表す線と交差する糸Ａの点を交点Ａ´、糸Ｂ
の点を交点Ｂ´とすると、それぞれの交点Ａ´、Ｂ´に
対応する回転数は図２の縦軸との交点から糸Ａの場合の
回転数はａ、又糸Ｂの場合の回転数はｂと判明する。従
って、夫々の回転数ａ、ｂを図２の横軸に示されたスプ
ール回転数の該当箇所に代入し、夫々の回転数と糸Ａ及
び糸Ｂの放物線との交点を線で結ぶことにより、エコノ
マイザー６を使用した場合に不要となるデータが出来上
がる。 即ち、回転数ａ、ｂと糸Ａ、Ｂの放物線との交
点を結ぶ線より下側の糸巻量のデータは不要となり、夫
々の交点が基点となりそこからの回転数から糸巻量を演
算算出して表示する。

【００１４】次に、上記の如く構成した本発明の実施例
の操作について図４に基づき説明する。先ず、リール本
体１の操作パネル上に設けられた電源スイッチ11をONす
ると（図４のａ）のようになり、続いて入力スイッチ９
を押すと釣糸の種類を表す号数表示12が点滅する。これ
は、設定の準備段階で、更に入力スイッチ９を押すと号
数表示（号数と材質の種別）が変わり点滅する。尚、釣
糸の号数は、その材質によって直径や潰れ（変形）の具
合が異なるため、同じ号数でもＡ，Ｂ等の種別を設けて
記憶装置に入力してある。よって、入力スイッチを押す
度に号数表示が変わって現れ、その中から自分がこれか
らスプールに巻始める釣糸の号数を選択する。

【００１５】又、エコノマイザー６を使用する場合は、
上述したと同様に入力スイッチ９を操作して表示部５に
「エコノマイザー使用」の表示13を点灯させてから釣糸
を巻回する。そして、号数表示12、エコノマイザー使用
の表示13と同時に表示部５に表示されるのが回転数表示
14で、その表示部に表示された号数の釣糸を同時に表示
された回転数だけスプール２を回転させて巻くことによ
り記憶装置に入力されている糸巻量（糸巻長さ）に達す
るということを表すものである。尚、スプール２の回転
数は、前記した回転数検出手段３によってスプールの正
回転、逆回転の回転数が検出され、マイクロコンピュー
タで演算し、記憶装置内のデータと照合するようになっ
ている。

【００１６】従って、使用する釣糸に合った号数表示及
びエコノマイザー使用の有無を選択決定し、ハンドル操
作（電動モータを装備したものは電動）によってスプー
ルを回転させると、表示部５に表示された回転数は減算
され、その表示が０回に近付くと警報（アラーム及び音
声）にて合図を行い、０回に至った時、警報を先の警報
より長めに発生すると同時に、表示部５の表示はスプー
ルの回転数表示14から糸巻量のメーター表示15に切り替
わる。尚、このメーター表示は、回転数と共に図２のグ
ラフに示すようにその特性が予め求められており記憶装
置内に格納されている（図４のｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆ参
照）。

【００１７】そして、記憶されたデータに従って表示部
に表示されたメーター表示は、ハンドル操作又は電動モ
ータによってスプールが回転するとそのメーター表示は
加算表示される。よって、若干残った釣糸を巻き取るこ
とができ、その量は演算処理される。以上の如くして一
切の巻き取りが完了した時にセットスイッチ10を押す
と、巻き取った糸の長さが記憶装置に入力記憶され、釣
糸の繰り出し及び巻き取り時の糸長さは図２のデータ
（糸長計算式）に基づいて、検出したスプール回転数を
演算処理してメーター表示を行う。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上のごとき構成により、スプ
ールに予め巻き取る釣糸の量が記憶されているため、ゲ
ージや目測に頼る必要がなくなり非常に便利である。そ
して、釣糸の巻き付けは表示部の回転数表示に従って行
い、その回転数表示が減算表示されるため、先が見通せ
て正確に行うことができる。更に、記憶装置にはスプー
ルの回転数と糸巻量との関係を示すデータとして、エコ
ノマイザーを使用しない場合と、エコノマイザーを使用
した場合の両方のデータが釣糸の種類毎に入力記憶され
ているため、エコノマイザーを使用した場合でも正確な
測長を行うことができる。従って、下巻きに無駄な釣糸
を使用するといった問題点を解決することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る魚釣用リールの一実施例を示す一
部切欠平面図である。

【図２】記憶装置に記憶される釣糸の種類毎のスプール
回転数と糸巻量の関係を示す線図である。

【図３】スプール回転数とスプール糸巻径との関係を示
す線図である。

【図４】釣糸巻き取り時における表示部の変化を示す説
明図である。

【符号の説明】

１…リール本体 ２…スプール ３…回転数検出手段 ４…マイクロコンピュ
ータ ５…表示部 ６…エコノマイザー

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【手続補正書】

【提出日】平成４年１２月３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】更に、本発明に係る魚釣用リールは、スプ
ールを回転させるために電動モータを装備した魚釣用電
動リールは勿論のこと、該スプールを回転させるハンド
ルを手動操作によって回転させる一般的な両軸受或いは
片軸受タイプの魚釣用リールであっても良いことはいう
までもないことである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リール本体と、このリール本体に回転可
   能に支持され釣糸が巻回されるスプールと、このスプー
   ル又は該スプールと同回転を行う回転体の回転を検出す
   るセンサと、このセンサからの信号をカウントしてスプ
   ールの回転数を計数するカウンタと、そのカウンタの計
   数値をもとに繰り出し糸長又は巻き取り糸長を演算する
   演算手段と、この演算された糸長を表示する表示部と、
   上記スプールに対してエコノマイザー無しとエコノマイ
   ザーを使用して一定の径まで釣糸を巻回した時の釣糸の
   種類毎のスプール回転数と糸巻量の関係を実測して求め
   られた曲線に近似したデータによって作成した各種の糸
   長さ計算式を記憶させた記憶装置と、スプールに巻回す
   る釣糸の種類及びエコノマイザー使用の有無を選択入力
   する入力手段を備え、更に前記表示部は釣糸の種類及び
   エコノマイザーの有無の入力により該釣糸の目的巻取量
   に至るまでのスプール回転数を表示し、表示値の減少に
   より巻き取り完了が近いことを知らせ、且つ回転数の表
   示が「０」になった時自動的に巻取量の表示に切り替わ
   ると共に、それ以降は選択した釣糸のデータに従い糸長
   を表示する表示部であることを特徴とする魚釣用リー
   ル。