JPH0613186A - 電界放射型固体発光素子 - Google Patents

電界放射型固体発光素子

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JPH0613186A
JPH0613186A JP4193359A JP19335992A JPH0613186A JP H0613186 A JPH0613186 A JP H0613186A JP 4193359 A JP4193359 A JP 4193359A JP 19335992 A JP19335992 A JP 19335992A JP H0613186 A JPH0613186 A JP H0613186A
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JP
Japan
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field emission
substrate
donor
emitter
thin film
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JP4193359A
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Inventor
Ryuichi Ugajin
隆一 宇賀神
Masami Okita
昌海 沖田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドナー−アクセプタ対発光を示す高効率、高
輝度の交流駆動薄膜EL素子を実現する。 【構成】 Si基板1上に円錐状または針状の電界放射
エミッタ2を二次元アレイ状に形成し、その上にドナー
−アクセプタ対発光型の蛍光体膜3、透明絶縁膜4及び
透明電極5を順次形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電界放射型固体発光
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】固体発光素子の一種であるエレクトロル
ミネセンス(EL)素子は、本質的に表示品質の高い平
面ディスプレイとして期待されている。このEL素子に
は、蛍光体粒子をバインダ中に分散させたものを発光層
として用いる分散型EL素子と蛍光体の薄膜を発光層と
して用いる薄膜EL素子とがあり、さらに駆動モードが
交流駆動のものと直流駆動のものとがある。このうち交
流駆動分散型EL素子はすでに一部で実用化されている
が、交流駆動薄膜EL素子は実用化を目指して盛んに研
究が行われているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の交流駆動分散型
EL素子においては、発光層の蛍光体粒子中の導電性針
状析出物の先端から電界放出により蛍光体粒子中に放出
された電子と正孔とが発光中心を介して再結合すること
によるドナー−アクセプタ対発光が起こっていると考え
られている(例えば、J. Electrochemical Society, 11
0, 733(1963))。しかし、この場合、上記の針状析出物
としては銅(Cu)が用いられ、かつ電子線励起用の通
常の硫化亜鉛(ZnS)蛍光体に比べて多量のCuを蛍
光体合成時に導入しなければならないため(例えば、第
236回蛍光体同学会予稿集、第29頁)、これがいわ
ゆる濃度消光(例えば、蛍光体ハンドブック(オーム
社)第155頁)を引き起こし、高効率、高輝度の発光
が得られないという問題があった。
【0004】一方、最近、ブラウン管用の蛍光体として
よく知られているドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体
(例えば、ドナー−アクセプタ対を付活したZnS)を
交流駆動薄膜EL素子の発光層に適用する試みがなされ
ている((例えば、第237回蛍光体同学会予稿集、第
21頁)。このドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体は
電子線励起では高効率、高輝度の発光を示すが、従来の
交流駆動薄膜EL素子においては発光層に対して強電界
が印加されることにより発光効率が低くなってしまうた
め、ドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体を発光層とし
て用いた交流駆動薄膜EL素子を実現することは困難で
あった。
【0005】従って、この発明の目的は、ドナー−アク
セプタ対発光を示す高効率、高輝度の交流駆動薄膜EL
素子を実現することができる電界放射型固体発光素子を
提供することにある。
【0006】この発明の他の目的は、ドナー−アクセプ
タ対発光を示す交流駆動薄膜EL素子の高輝度化及び動
作電圧の低減を図ることができる電界放射型固体発光素
子を提供することにある。
【0007】上記目的及び他の目的は本明細書の以下の
記載より明らかになるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の第一の発明による電界放射型固体発光素
子は、基板(1)上に設けられた電界放射エミッタ
(2)と、電界放射エミッタ(2)を覆うように基板
(1)上に設けられたドナー−アクセプタ対発光型の蛍
光体膜(3)と、蛍光体膜(3)上に設けられた透明絶
縁膜(4)と、透明絶縁膜(4)上に設けられた透明電
極(5)とを有するものである。
【0009】この発明の第二の発明による電界放射型固
体発光素子は、第一の発明による電界放射型固体発光素
子における電界放射エミッタ(2)が、所定の原料ガス
中で基板(1)に電子ビーム(6)を照射することによ
り形成されたものであるものである。
【0010】この発明の第三の発明による電界放射型固
体発光素子は、第一の発明による電界放射型固体発光素
子における電界放射エミッタ(2)が、電子ビーム
(6)を回折格子(8)に当てることにより得られる複
数の回折ビームを所定の原料ガス中で基板(1)に照射
することにより複数個同時に形成されたものであるもの
である。
【0011】この発明の第四の発明による電界放射型固
体発光素子は、第一の発明、第二の発明及び第三の発明
による電界放射型固体発光素子における基板(1)が、
所定の周辺回路が形成されたシリコン基板であるもので
ある。
【0012】
【作用】上述のように構成されたこの発明の第一の発明
によれば、発光層としてのドナー−アクセプタ対発光型
の蛍光体膜(3)が電界放射エミッタ(2)を覆うよう
に基板(1)上に設けられていることにより、ドナー−
アクセプタ対発光を高効率、高輝度で得ることができ、
これによってドナー−アクセプタ対発光を示す高効率、
高輝度の交流駆動薄膜EL素子を実現することができ
る。
【0013】この発明の第二の発明によれば、所定の原
料ガス中で基板(1)にビーム径を十分に小さく絞った
電子ビーム(6)を照射することにより、直径が極めて
小さい針状の電界放射エミッタ(2)を形成することが
できる。そして、この針状の電界放射エミッタ(2)の
先端では強い電界集中が生じることにより発光効率が高
くなるため、ドナー−アクセプタ対発光を示す交流駆動
薄膜EL素子の高輝度化及び動作電圧の低減を図ること
ができる。
【0014】この発明の第三の発明によれば、電子ビー
ム(6)を回折格子(8)に当てることにより得られる
複数の回折ビームを所定の原料ガス中で基板(1)に照
射することにより直径が極めて小さい針状の電界放射エ
ミッタ(2)を複数個同時に形成することができるの
で、電界放射エミッタ(2)の形成を能率良く行うこと
ができる。
【0015】この発明の第四の発明によれば、基板
(2)がシリコン基板であることから、ドナー−アクセ
プタ対発光を示す交流駆動薄膜EL素子の周辺回路を通
常の半導体製造プロセスによりこのシリコン基板に形成
することができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。なお、実施例の全図において、同一
または対応する部分には同一の符号を付す。
【0017】図1はこの発明の第一実施例による交流駆
動薄膜EL素子を示す。
【0018】図1に示すように、この第一実施例による
交流駆動薄膜EL素子においては、導電性のシリコン
(Si)基板1に円錐状の電界放射エミッタ2が規則正
しい間隔で二次元アレイ状に多数形成されている(図2
参照)。これらの電界放射エミッタ2の底部の直径及び
高さはそれぞれ例えば1μm程度であり、間隔は例えば
2〜数μm程度である。
【0019】これらの電界放射エミッタ2の上には、発
光層としてのドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体膜3
が、これらの電界放射エミッタ2を覆うように形成され
ている。このドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体膜3
としては、青色発光用では例えばアクセプタとしての銀
(Ag)及びドナーとしてのアルミニウム(Al)を付
活したZnS(ZnS:Ag,Al)、緑色発光用では
例えばアクセプタとしてのCu及びドナーとしてのAl
を付活したZnS(ZnS:Cu,Al)などを用いる
ことができ、その膜厚は例えば0.5〜2μm程度であ
る。
【0020】この蛍光体膜3の上には透明絶縁膜4が形
成されている。この透明絶縁膜4としては、酸化アルミ
ニウム(Al2 3 )膜や五酸化タンタル(Ta
2 5 )膜などを用いることができ、その膜厚は例えば
0.1〜0.5μm程度である。この透明絶縁膜4上に
はさらに、透明電極5が形成されている。この透明電極
5としては、例えばインジウム−錫酸化物(ITO)膜
を用いることができ、その膜厚は例えば0.1〜0.5
μm程度である。
【0021】この第一実施例による交流駆動薄膜EL素
子においては、電界放射エミッタ2の駆動回路その他の
周辺回路が形成されているが、それらの図示及び詳細は
省略する。
【0022】上述のように構成されたこの第一実施例に
よる交流駆動薄膜EL素子を製造するには、まずSi基
板1の表面に半導体微細加工技術により電界放射エミッ
タ2を二次元アレイ状に形成した後、このSi基板1上
にスパッタ法、有機金属化学気相成長(MOCVD)
法、分子線エピタキシー(MBE)法、電子線蒸着法な
どにより蛍光体膜3を形成し、さらにこの蛍光体膜3上
にスパッタ法や電子線蒸着法などにより透明絶縁膜3及
び透明電極5を順次形成すればよい。
【0023】この第一実施例による交流駆動薄膜EL素
子の動作時には、Si基板1、従って電界放射エミッタ
2と透明電極5との間に両極性(交流)のパルス電圧ま
たは正弦波形の電圧を印加する。すると、後述の原理に
より蛍光体膜2内で発光が起こり、この発光を透明絶縁
膜4及び透明電極5を通して外部から観察することがで
きる。この場合、電界放射エミッタ2と透明電極5との
間に印加する両極性のパルス電圧または正弦波形の電圧
の振幅は10〜200V程度で十分でよい。
【0024】この第一実施例による交流駆動薄膜EL素
子の発光原理は基本的には交流駆動分散型EL素子と同
様であるが、すでに述べたように、交流駆動分散型EL
素子では発光層は蛍光体粒子で形成され、キャリアはこ
の蛍光体粒子中に存在する導電性針状析出物から放出さ
れるのに対して、この第一実施例による交流駆動薄膜E
L素子では発光層は蛍光体膜3であり、キャリアはSi
基板1に形成された微小な円錐状の電界放射カソード2
から放出される。
【0025】そして、まず、電界放射エミッタ2と透明
電極5との間に印加する両極性のパルス電圧または正弦
波形の電圧の半サイクルで電界放射エミッタ2が負電
位、透明電極5が正電位になると、電界放射エミッタ2
の先端で電界集中が起きてこの先端から蛍光体膜3の伝
導帯中に電子がトンネル効果により放出される。この電
子は、電界放射エミッタ2の先端から離れた電界の弱い
領域で蛍光体膜3中に存在する浅いドナー準位にトラッ
プ(捕獲)される。
【0026】電界放射エミッタ2と透明電極5との間に
印加する両極性のパルス電圧または正弦波形の電圧の次
の半サイクルで電界放射エミッタ2が正電位、透明電極
5が負電位になると、電界放射エミッタ2の先端で電界
集中が起きて蛍光体膜3の価電子帯中の電子がトンネル
効果により電界放射エミッタ2に流入する。言い換えれ
ば、蛍光体膜3中に正孔が電界放出される。この正孔
は、電界放射エミッタ2の先端から離れた比較的電界の
弱い領域で蛍光体膜3中に存在する深いアクセプタ準位
にトラップされる。そして、このアクセプタ準位にトラ
ップされた正孔と前の半サイクルでドナー準位にトラッ
プされた電子とが再結合する際に発光が起こる。
【0027】なお、透明絶縁膜4は、蛍光体膜3中を過
剰な電流が流れて素子が破壊されるのを防止する役割を
果たす。
【0028】以上のように、この第一実施例によれば、
Si基板1上に微小な円錐状の電界放射エミッタ2を二
次元アレイ状に形成し、この電界放射エミッタ2上に発
光層としてのドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体膜3
を直接形成しているので、この電界放射エミッタ2の先
端で強い電界集中が起こることにより高効率、高輝度の
ドナー−アクセプタ対発光を得ることができ、これによ
ってドナー−アクセプタ対発光を示す高効率、高輝度、
低動作電圧の交流駆動薄膜EL素子を実現することがで
きる。そして、蛍光体膜3として例えばZnS:Ag,
Alを用いた場合には色純度の高い青色発光の交流駆動
薄膜EL素子を実現することができ、蛍光体膜3として
例えばZnS:Cu,Alを用いた場合には色純度の高
い緑色発光の交流駆動薄膜EL素子を実現することがで
きる。また、これによって、自発光型のフルカラーの薄
型平面ディスプレイを実現することが可能となる。
【0029】さらに、この第一実施例によれば、従来の
交流駆動分散型EL素子のように発光層に導入する付活
剤(Cu)の濃度を必要以上に高くする必要がなく、従
って濃度消光は起こらないので、これによってもドナー
−アクセプタ対発光を高効率で得ることができる。ま
た、従来の交流駆動分散型EL素子では、高輝度を得る
ために発光層を厚く(例えば数10μm)しなければな
らないため動作電圧を100〜数100Vに高くしなけ
ればならないのに対して、この第一実施例による交流駆
動薄膜EL素子においては、発光層である蛍光体膜3は
膜厚1〜2μmと薄いため、動作電圧を低減することが
でき、従って駆動回路を簡単にすることができる。
【0030】この第一実施例による交流駆動薄膜EL素
子は、薄型の自発光型完全固体発光素子として、テレビ
ジョン受像機、モニターディスプレイ、コンピュータデ
ィスプレイなどの各種の表示装置に応用することができ
る。
【0031】図3はこの発明の第二実施例による交流駆
動薄膜EL素子を示す。
【0032】図3に示すように、この第二実施例による
交流駆動薄膜EL素子においては、電子ビーム誘起によ
り選択成長された単結晶タングステン(W)から成る針
状の電界放射エミッタ2がSi基板1上に形成され、こ
れらの電界放射エミッタ2上に、第一実施例と同様なド
ナー−アクセプタ対発光型の蛍光体膜3、透明絶縁膜4
及び透明電極5が順次形成されている。この場合、蛍光
体膜3の表面は平坦化されている。
【0033】上述の単結晶Wから成る針状の電界放射エ
ミッタ2は、次のようにして形成することができる。
【0034】すなわち、図4に示すように、電子ビーム
照射系を備えた成長装置の真空排気された成長室内に原
料ガスとして例えば六弗化タングステン(WF6 )ガス
を導入し、この成長室内にあらかじめ置かれたSi基板
1の表面にこのWF6 ガスを吸着させた状態で、ビーム
径を十分に細く絞った電子ビーム6をこのSi基板1の
表面の電界放射エミッタ形成部に選択的に照射する。こ
の電子ビーム6の照射によって、 WF6 → W + 3F2 ↑ で示される分解反応が起き、電子ビーム6の照射部のS
i基板1の表面だけに単結晶Wが選択成長する。このよ
うな単結晶Wの選択成長を所定時間行うことにより、図
5に示すように、針状の電界放射エミッタ2を形成す
る。この後、Si基板1に対する電子ビーム6の照射部
を所定距離だけずらして、上述と同様な方法により電界
放射エミッタ2を形成する。このようにして、所要の個
数の電界放射エミッタ2を二次元アレイ状に形成する。
【0035】電子ビーム6として走査型電子顕微鏡(S
EM)の電子ビームを用いた場合、ビーム径を5nm程
度にすることが可能であり、この電子ビーム6を用いて
直径が15nm程度と極めて細い針状の電界放射エミッ
タ2を形成することが可能である。また、この電界放射
エミッタ2は例えば50nm程度の狭い間隔で形成する
ことができるため、電界放射エミッタ2を高密度で形成
することができる。
【0036】この第二実施例による交流駆動薄膜EL素
子の発光原理について説明すると、以下の通りである。
【0037】図6はこの第二実施例による交流駆動薄膜
EL素子のエネルギーバンド構造を示す。図6におい
て、EC は伝導帯の底のエネルギー、EV は価電子帯の
頂上のエネルギー、EF はフェルミエネルギーである。
【0038】この第二実施例による交流駆動薄膜EL素
子においては、第一実施例による交流駆動薄膜EL素子
と同様に、電界放射エミッタ2と透明電極5との間に両
極性のパルス電圧または正弦波形の電圧を印加する。そ
して、まず、この両極性のパルス電圧または正弦波形の
電圧の半サイクルで電界放射エミッタ2が負電位、透明
電極5が正電位になったときには、電界放射エミッタ2
の先端を含む断面における電位分布は図7に示すように
なり、電界放射エミッタ2の先端で電界の集中が起きて
この部分に印加電圧の大部分が加わる。そして、電界放
射エミッタ2から、電子(e- )が蛍光体膜3内にトン
ネル効果によって注入される。この電子は、図8に示す
ように、蛍光体膜3中の電界の弱い領域でこの蛍光体膜
3中のドナー準位にトラップされる。
【0039】次の半サイクルで電界放射エミッタ2が正
電位、透明電極5が負電位になったときには、エネルギ
ーバンド図は図9に示すようになり、正孔(h+ )が蛍
光体膜3中に注入され、この蛍光体膜3中のアクセプタ
準位にトラップされる。そして、図10に示すように、
この正孔が蛍光体膜3中のドナー準位にトラップされた
電子と再結合する際に発光が起こる。
【0040】ここで重要なことは、電界の空間的変化で
ある。すなわち、電界放射エミッタ2から離れた領域で
の電界は小さいため、この領域にあるドナー準位にトラ
ップされている電子にはあまり大きな力は加わらない。
もしも電界放射エミッタ2の先端への電界の集中があま
りないとすると、電界放射エミッタ2が負電位、透明電
極5が正電位になったとき、すなわち逆バイアス印加時
のエネルギーバンド図は図11に示すようになり、電子
にも強い電界による力が加わってドナー準位から出て電
界放射エミッタ2に吸収されてしまうため、発光は生じ
ない。つまり、逆バイアス印加時にも、あまり電界が生
じない領域が蛍光体膜3内に存在することが重要であ
る。従って、電界放射エミッタ2の先端への強い電界集
中は、動作電圧の低減ばかりでなく、発光効率の点から
も必須である。この点で、この第二実施例において用い
られる直径が15nm程度の極めて細い針状の電界放射
エミッタ2は理想的であると言える。
【0041】このように、この第二実施例によれば、電
子ビーム誘起による単結晶Wの選択成長により形成され
た直径が15nm程度の極めて細い針状の電界放射エミ
ッタ2を用いていることにより、ドナー−アクセプタ対
発光を示す交流駆動薄膜EL素子の高輝度化及び動作電
圧の低減を図ることができる。さらに、この電界放射エ
ミッタ2は50nm程度の狭い間隔で高密度に形成する
ことができるため、1画素当たりに非常に多数の電界放
射エミッタ2を形成することができる。
【0042】上述の第二実施例においては、電子ビーム
6の照射による単結晶Wの選択成長により電界放射エミ
ッタ2を1本ずつ形成する方法について説明したが、次
に、この電界放射エミッタ2を複数本同時に形成する方
法について説明する。
【0043】すなわち、図12に示すように、透過型電
子顕微鏡(TEM)と同様な構成の電子ビーム照射系を
備えた成長装置の成長室内にSi基板1を置き、この成
長室内に原料ガスとして例えばWF6 ガスをあらかじめ
導入した状態で、例えば加速電圧が50kV程度の電子
ビーム6を静電レンズ7を介して薄膜結晶板8に入射さ
せ、これによってこの薄膜結晶板8から得られる複数の
回折ビームをSi基板1上に結像させる。この場合、こ
れらの回折ビームの数や配置(回折パターン)は、薄膜
結晶板8の種類や方位などによって異なったものが得ら
れる。
【0044】これらの複数の回折ビームによって照射さ
れた部分のSi基板1の表面では、すでに述べたような
WF6 の分解反応が起きて単結晶Wの選択成長が起き、
図13に示すように、Si基板1上の各回折ビーム照射
部に電界放射エミッタ2が複数個(図13には5個の例
を示す)同時に形成される。この後、薄膜結晶板8に対
するSi基板1の相対的位置をずらして上述と同様なこ
とを行い、電界放射エミッタ2を複数本同時に形成す
る。このようにして、所要の個数の電界放射エミッタ2
をSi基板1上に形成する。
【0045】以上のように、薄膜結晶板8を回折格子と
して用いて得られる複数の回折ビームを原料ガス中でS
i基板1上に照射することにより電界放射エミッタ2を
複数個同時に形成することができるため、電界放射エミ
ッタ2の形成を短時間で能率良く行うことができ、従っ
て交流駆動薄膜EL素子の製造に要する時間を短縮する
ことができる。
【0046】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は上述の実施例に限定されるもの
ではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が
可能である。
【0047】例えば、電界放射エミッタ2としては、円
錐や針状のものばかりでなく、図14に示すような三角
柱状のものを用いてもよい。さらに、図15に示すよう
に、Si基板1に溝1aを設け、この溝1aの端から電
子を電界放射させるようにしてもよい。
【0048】また、上述の第一実施例及び第二実施例に
よる交流駆動薄膜EL素子においてはSi基板1を用い
ているが、このSi基板1の代わりに金属基板を用いて
もよい。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
ドナー−アクセプタ対発光を示す高効率、高輝度の交流
駆動薄膜EL素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施例による交流駆動薄膜EL
素子を示す断面図である。
【図2】図1に示す交流駆動薄膜EL素子の電界放射エ
ミッタを示す斜視図である。
【図3】この発明の第二実施例による交流駆動薄膜EL
素子を示す断面図である。
【図4】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の電界放射エ
ミッタの形成方法を説明するための断面図である。
【図5】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の電界放射エ
ミッタの形成方法を説明するための断面図である。
【図6】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図7】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図8】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図9】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図10】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理
を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図11】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の動作原理
を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図12】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の電界放射
エミッタの他の形成方法を説明するための斜視図であ
る。
【図13】図3に示す交流駆動薄膜EL素子の電界放射
エミッタの他の形成方法を説明するための斜視図であ
る。
【図14】交流駆動薄膜EL素子の電界放射エミッタの
他の例を示す斜視図である。
【図15】交流駆動薄膜EL素子の電界放射エミッタの
さらに他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 電界放射エミッタ 3 蛍光体膜 4 透明絶縁膜 5 透明電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられた電界放射エミッタ
    と、 上記電界放射エミッタを覆うように上記基板上に設けら
    れたドナー−アクセプタ対発光型の蛍光体膜と、 上記蛍光体膜上に設けられた透明絶縁膜と、 上記透明絶縁膜上に設けられた透明電極とを有する電界
    放射型固体発光素子。
  2. 【請求項2】 上記電界放射エミッタは、所定の原料ガ
    ス中で上記基板に電子ビームを照射することにより形成
    されたものである請求項1記載の電界放射型固体発光素
    子。
  3. 【請求項3】 上記電界放射エミッタは、電子ビームを
    回折格子に当てることにより得られる複数の回折ビーム
    を所定の原料ガス中で上記基板に照射することにより複
    数個同時に形成されたものである請求項1記載の電界放
    射型固体発光素子。
  4. 【請求項4】 上記基板は所定の周辺回路が形成された
    シリコン基板である請求項1、2または3記載の電界発
    光型固体発光素子。
JP4193359A 1992-06-26 1992-06-26 電界放射型固体発光素子 Pending JPH0613186A (ja)

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JP2008004552A (ja) * 2006-06-23 2008-01-10 Kofukin Seimitsu Kogyo (Shenzhen) Yugenkoshi 電界放出表示装置およびその製造方法

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