JPH0612980B2 - 醤油製造法 - Google Patents

醤油製造法

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JPH0612980B2
JPH0612980B2 JP60092317A JP9231785A JPH0612980B2 JP H0612980 B2 JPH0612980 B2 JP H0612980B2 JP 60092317 A JP60092317 A JP 60092317A JP 9231785 A JP9231785 A JP 9231785A JP H0612980 B2 JPH0612980 B2 JP H0612980B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は醤油の合理的な製造方法に関するものである。
更に詳細には、本発明は、キラー因子によつて醤油酵母
を制御しつつ合理的に醤油を製造する方法に関するもの
である。
〔従来技術〕
一般に、醤油の製造法は加熱変性された大豆または脱脂
加工大豆に炒つた後割砕した小麦をまぶし、混合後この
混合物(麺原料)全部を製麺して仕込塩水と混合し、醤
油諸味とする。時には麺原料の1部を製麺し製麺しなか
つた残りの麺原料を加え消化し、必要に応じ更に食塩を
加え醤油諸味とする、或いは麺原料を全く製麺せず市販
酵素剤等で消化後、食塩を加え醤油諸味とすることもあ
る。このようにして得た醤油諸味は乳酸発酵が行われ、
次いでアルコール発酵が行われ、更に熟成される。この
熟成諸味を圧搾し、生揚醤油を得て火入を行い、殺菌し
火入を除いた後、直ちに、又は貯蔵したのち製品とす
るというのが全工程の概略的なものである。
しかし、この工程のそれぞれの段階に問題点のあること
が以前から指摘されていた。その問題点とは、 (1)製麺中に空気や器分等からの酵母により麺が汚染
され、その酵母が諸味に持ち込まれたり、同様に仕込
蔵、仕込タンクに付着している酵母等が諸味に持ち込ま
れたりすることが多い。そして、その数が少なければ問
題は小さいのであるが多い場合には、醤油の品質歩留り
等に重大な影響を及ぼすことになる。すなわち、諸味中
の微生物の典型的なパターンでは先ず乳酸菌による乳酸
発酵が開始され、生成した乳酸によりpHが低下し、酵
母の至適pH近くになると酵母が増殖し、アルコール発
酵を行い、その後熟成酵母等の働きによりさらに香味を
整えるという事であつた。
しかし、加温醸造や、低塩分仕込が普及した現在では、
醸造期間が短縮され、効率がよくなつた反面、雑菌の汚
染には敏感となり、また、菌そうの変化も微妙な調整に
よつて適正なバランスが保たれていることが必要となる
ようになつた。
これを酵母と乳酸菌との関係で言えば、乳酸菌の増殖は
酵母よりはやや早期ではあるもののほぼ並行して増殖す
るのが好ましいが、時には、仕込初期の酵母の汚染が特
に多かつた場合には酵母が先行する諸味となり酵母によ
り乳酸菌の増殖が抑制され、乳酸発酵が十分ではなくな
り、結局、品質上問題のある醤油が出来てしまう。すな
わち、アルコール発酵を行なう酵母は醤油醸造に必要な
ものであるが、増殖してアルコール発酵を行うタイミン
グが早過ぎると、早期に必要な乳酸菌の生育を抑制し、
醤油の品質を低下させてしまう。
(2)また、酵母群の中には前記のような仕込前半に作
用するものだけでなく、後半にも俗称白カビと称される
耐塩性の産膜性酵母(気合産膜酵母という)に汚染され
ると、熟成諸味の品質が悪くなり、製品醤油の香味が劣
化することがある。産膜性酵母は仕込初期にも諸味中に
存在するが、余り表面には出てこないで、熟成期から目
立始める。この菌はアルコール耐性が高いこともあり生
揚、火入醤油等にも生育し、一但白カビ状に生育すると
不快な臭気を発生させ、あるいはガスを発生させて品質
を著しく損い醤油の商品価値を著しく失わせることとな
る。
〔発明の目的〕
本発明は、醤油製造の適宜の時期にキラー因子、キラー
因子含有物又はキラー因子生産菌、その培養物もしくは
その処理物を添加し、仕込初期の諸味の酵母数、熟成諸
味の酵母数(特にこの場合は耐塩性の産膜酵母数)、そ
れに生揚醤油中、火入製成を終つた製品醤油中の酵母の
総数を減らすこと、または、特定の酵母群だけを減少さ
せることにより、乳酸発酵、アルコール発酵をバランス
良く適度に行わせ、かつ、不快な香味が附与されること
を防止するものである。
ここでいう、キラー因子とは、酵母が生産する抗酵母物
質を意味する。
〔発明の説明〕
本発明は、醤油製造において、醤油麺、醤油諸味、生揚
醤油、製品醤油等にキラー因子、キラー因子含有物又は
/及びキラー因子生産菌、その培養物、もしくはその処
理物を添加し、醤油製造工程に存在する酵母を制御する
ことを特徴とする醤油製造法である。
本発明は、醤油製造の適宜時期にキラー因子を適用する
ことに特色を有するが、キラー因子としてはキラー因
子、キラー因子含有物又はキラー因子生産菌、その培養
物、もしくはその処理物などいずれでもよい。
キラー因子生産菌としては、いかなる属に属する菌でも
よく、また、新規、公知の菌などいずれでもよい、例示
すれば、次の菌があげられる。
ハンゼヌラ・アノマラ(Hansenula anom
ala)Kh−I FERM P−8159、ハンゼヌ
ラ・アノマラ(Hansenula anomala)
Kh−II FERM P−8160、ハンゼヌラ・ム
ラキ(Hansenula mrakii)IFO 0
895、ハンゼヌラ・アノマラ(Hansenula
anomala)NCYC 522、サツカロマイセス
・セルビシエ(Saccharomyces cere
visiae)IFO 1661、クリベロマイセス・
ラクテイス(Kluyveromyces lacti
s)IFO1267 これらキラー因子生産菌のキラースペクトラムは次の第
1表に示される。
第1表に示した各キラー因子生産菌の生産するキラー因
子は少しづつ異なつた性質をもち、また活性発現の条件
等も多少異なつている。
ハンゼヌラ・アノマラKh−I FERM P−815
9、ハンゼヌラ・アノラマKh−II FERM P−
8160は醤油諸味から分離された耐塩性酵母で食塩0
〜25g/100mlの濃度で増殖することが出来る。
この二つの酵母が生産するキラー因子は食塩0〜25g
/100mlで生産はされるが食塩0g/100mlで
はキラー作用を示さない。又、培養温度28℃以上では
キラー因子の生産はない。
また、ハンゼヌラ・ムラキIFO 0895、サツカロ
マイセス・セルビシエIFO 1661、クリベロマイ
セス・ラクテイスIFO 1267は食塩5g/100
ml以上では生育出来ないか非常に微弱である。キラー
因子は菌の生育可能な条件下では生産され、また、生産
されたキラー因子は食塩0〜25g/100ml迄キラ
ー作用を示した。
また、ハンゼヌラ・アノマラNCYC 522は耐浸透
圧性の酵母で10g/100mlのシュークローズ含有
培地、または、10g/100ml食塩培地で良く生育
した。キラー因子は該菌の生育可能な条件下であれば常
に生産された。生産されたキラー因子は食塩0〜25g
/100mlでキラー作用を示した。
次に、食塩15%存在下でのキラースペクトラムを第2
表に示した。
なお、第2表に示した6菌様の生産したキラー因子をア
スペルギルス・オリゼー(Aspergillus o
ryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Asperg
illus osyae)の生産するプロテアーゼ群と
接触させることによりゆつくりではあるが分解された。
また、キラー因子の乳酸菌に対する影響は全くなかつ
た。
本発明において、醤油製造中キラー因子を適用するに
は、キラー因子生産菌を例えばYEPD培地(グルコー
ス2g/100ml、ポリペプトン2g/100ml、
酵母エキス1g/100ml、NaCl0〜8g/10
0ml)で培養し、この培養物をそのまま醤油麺、醤油
諸味等に添加してもよいし、また、この培養物を限外
過膜、エバポレータ、クロマトグラフイー等で濃縮して
もよい、さらにこれをクロマトグラフイー、等電点電気
泳動法等により精製し、この精製品を添加してもよい。
本発明を仕込初期の醤油諸味または麺原料消化物に適用
する場合、キラー因子の精製物、キラー因子を含む培養
物、またはその培養物の濃縮物の添加、または、キラー
因子生産菌、その培養物もしくはその処理物の接種又は
添加のいずれであつてもよい。
一般には製麺された麺が20〜25g/100mlの食
塩水と混合され麺菌の酵素で消化されるが、この仕込時
にキラー因子を添加しても良いし、または、耐塩性のあ
るキラー因子生産菌を接種してもよい。
添加または接種時期は適時選択できるが、好ましくは麺
に混入または、仕込タンクに生息していた多種の酵母、
特にチゴサツカロマイセス・ルーキシー(Zygoss
haccharomyces rouxii)の諸味中
における活動が顕著になる以前の方が良い。添加後また
は接種後は常法通り諸味管理を行えばよい。添加または
接種後生産されたキラー因子は酵母総数を減少させ酵母
による乳酸菌の生育抑制(生育阻害)を低下せしめる事
により乳酸菌の生育を良好なものにし、良好な乳酸発酵
を誘導した。また、役割の終つたキラー因子は麺菌酵素
の分解を受け徐々に分解され、ついには作用がほとんど
なくなる。この時点で別に培養しておいた、優良なチゴ
サツカロマイセス・ルーキシーを添加することにより非
常に良好なアルコール発酵を生起せしめることが可能と
なつた。ただし、ハンゼヌラ・アノマラKh−I FE
RM P−8159、ハンゼヌラ・アノマラKh−II
FERM P−8160を諸味に接種した場合は減少
させるべき酵母の総数が減少した時点で諸味の温度を2
8℃以上に上昇させキラー因子の生産を停止させ、次い
で所望のアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵
をさせることが必要である。
その後常法通り、熟成過程を経ることにより香味共に非
常に良好な醤油を得ることが出来る。
主発酵期が終り以後熟成期に入る訳であるが、熟成期に
なると諸味に通気したり、攪拌したりする操作の間隔が
長くなり諸味が動くことも少なくなる。
この為諸味表面は液汁分が少なく、また、表面からの飛
散等のことからアルコールの少い層になる。ここに、諸
味中に生き残つていた、または、蔵に生息していた耐塩
性の産膜性酵母が諸味の表面に白カビとして増殖し諸味
の品質を劣化させひいては製品の品質を劣化させること
がある。
この様な熟成期にも、キラー因子の精製物又は、キラー
因子を含む培養物又はその濃縮物を添加する、またはキ
ラー因子生産菌、その培養物等を接種する方法のいずれ
でも本発明を適用できる。キラー因子生産菌を接種する
ことでもよいが、この場合は、好ましくは、キラー因子
を含む培養物の濃縮物またはキラー因子の精製物を添加
するのが良い。
添加の時期は主発酵終了から圧搾される以前ならどの時
点でも良いが好ましくは、主発酵終了後諸味の発酵熱に
よる流動が終つた直後が良い。添加量は、キラー因子粗
製物で10/g諸味〜10/g諸味の感受性菌のレ
ベルに対し1μg/ml程度もしくはそれ以上添加すだ
けでよい。
キラー因子の添加は醤油の熟成に関与する酵母であるキ
ヤンデイダ・エツチエルシー(Candida etc
hellsii)、キヤンデイダ・バーサテイリス(C
andida versatilis)等には全く悪い
影響を及ぼさないこと、それに競合していた産膜酵母が
除外される為熟成が非常に良く行われるようになる。そ
の結果、本発明方法の適用により異味、異臭のない醤油
でかつ、熟成の良好な醤油を得ることが出来る。
また、生揚醤油に適用する場合にも諸味の場合と同様で
ありキラー因子の精製物、キラー因子を含む培養物また
はその濃縮物を添加するかまたはキラー因子生産菌、そ
の培養物等を接種する方法のいずれでも適用できる。
熟成諸味を圧搾過して液汁を静置し上に浮んだ油分等
を除去した生揚醤油は普通低温下で保存されるが、耐塩
性の産膜酵母は醤油工場のいたる所に生息しており、生
揚醤油中にも諸味の段階で、汚染されたものが持ち込ま
れるケースが多く、低温保存中の生揚醤油にもしばしば
産膜酵母が発生する。
このような生揚醤油にキラー因子生産菌を接種するかキ
ラー因子を含む培養物を添加してもよいが好ましくは培
養物の濃縮物、キラー因子の精製物を添加する方がよ
い。添加時期は圧搾前の諸味の段階でもよいし、圧搾後
のいずれの段階でもよい。好ましくは、圧搾直後が良
い。添加量は、キラー因子因子粗製品で10/ml〜
10/mlの感受性菌のレベルに対し1μg/ml程
度もしくはそれ以上添加すれば十分である。
このようなキラー因子を添加することにより低温に保存
せずとも産膜酵母による汚染は全く認められない。従つ
て、本発明により産膜酵母による汚染により品質上問題
のある醤油の発生が、顕著に防止出来るようになる。
更に、火入醤油にも同様キラー因子の精製物、キラー因
子を含む培養物、またはその濃縮物またはキラー因子生
産微生物を接種する方法いずれの方法も適用できるが、
好ましくはキラー因子精製物またはキラー因子を含む培
養物の濃縮物が良い。
火入醤油(製品)には塩分の異る色々な製品があり、特
に低塩分の製品の場合には生揚醤油と同様産膜酵母に汚
染され易い。産膜酵母に汚染された醤油は商品価値を著
しく減じるものである。
醤油の火入は達温50〜120℃の温度で1定時間保持
された後冷却または自然放冷された後、引きされ製品
となるのであるがすぐに製品になれば良いが1定期間保
存タンクに保持される場合もある。また、火入タンクか
ら保存タンクまたは容器に詰めるまでの間は輸送パイ
プ、バルブ等を通す必要があり、この中での汚染も心配
される。
これを防ぐため、大量の醤油で共洗いと称することを行
うのであるがこれを行うことにより製品化の歩留りが悪
くなるということがあつた。本発明ではこれを防止する
為、火入後の適当な時期に、好ましくは冷却直後に、好
ましくはキラー因子精製品またはキラー因子の濃縮物を
添加することで、目的を達する。
また、キラー因子の添加量は感受性菌10〜10
mlに対し1μg/ml程度もしくはそれ以上の添加で
十分目的を達成することが出来る。
本発明により製品での産膜酵母の発生は全く見られなく
なり、製品の品質の安定性が著しく向上する。
次に、本発明の実験例及び実施例を示す。
実施例1. 食塩含有YEPD培地(グルコース2g/100ml、
ポリペプトン2g/100ml、酵母エキス1g/10
0ml、食塩8g/100ml)200mlを500m
l容の三角フラスコに入れオートクレーブにて殺菌後チ
ゴサツカロマイセス・ルーキシーを10/mlになる
ように接種し、20℃で4日間静置培養した。4日目の
生菌数を稀釈平坂培養法で測定したところ10/ml
であつた。
別にYEPD培地(食塩0.5%を含むもの、以下同
じ)にキラー因子生産菌であるハンゼヌラ・アノマラ
(Hansenula anomala)Kh−I F
ERM P−8159、ハンゼヌラ・アノマラ(Han
senula anomala)Kh−II FERM
P−8160、ハンゼヌラ・ムラキ(Hansenu
la mrakii)IFO 0895、ハンゼヌラ・
アノマラ(Hansenula anomala)NC
YC 522、サツカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)IFO
1661、クリベロマイセス・ラクテイス(Kluy
veromyces lactis)IFO 1267
を各々に培養し、その培養液そのまま20mlを前培養
してあつたチゴサツカロマイセス・ルーキシーの培養の
4日目の培養液に添加した。添加前後のチゴサツカロマ
イセス・ルーキシーの生菌数の変化をハンゼヌラ・アノ
マラKh−I FERM P−8159の培養物を添加
した例で示した。結果は第1図に示される。対照はキラ
ー酵母の培養物を添加しなかつた区分である。
次に示す第3表には、添加前のチゴサツカロマイセス・
ルーキシーの生菌数とその他のキラー因子生産酵母の培
養物を添加後10日目の生菌数を示した。
第1図から明らかなようにハンゼヌラ・アノマラKh−
I FERM P−8159の培養物を添加することに
よりチゴサツカロマイセス・ルーキシーの生菌数は顕著
に減少した。また、第3表に示した様に他のキラー因子
の培養物を添加しても同じ様にチゴサッカロマイセス・
ルーキシーの生育を抑制する結果であつた。この結果か
ら醤油醸造のアルコール発酵酵母であるチゴサツカロマ
イセス・ルーキシーの抑制にキラー因子が有効に作用す
ることがわかる。
実験例2. 常法通り製麺した麺に食塩水を加え最終的な諸味液汁塩
分が10g/100ml、15g/100ml、20g
/100mlになるように仕込んだ。仕込後2週間目の
諸味を圧搾し、さらにポアーサイズ0.45μmのメウ
ンブランフイルターで過し除菌したそれぞれ液汁10
0mlに(塩分9.8〜19.7g/100ml、直糖
6〜12g/100ml、全窒素0.5〜2.0g/1
00ml)チゴサツカロマイセス・ルーキシーチゴサツ
カロマイセス・ルーキシー・バリアント・ハロメンブラ
ニス(Zygosaccharomyces roux
ii var.halomembranis)をそれぞ
れ単独または、混合接種し、30℃で7日間静置培様し
た。この時の稀釈平坂培養法による生菌数は10〜1
/mlであつた(混合培養の場合のチゴサツカロマ
イセス・ルーキシーとチゴサツカロマイセス・ルーキシ
ー・バリアント・ハロメンブラニスはコロニーの形態の
相違から分別計数が可能である)。
別に、YEPD培地でキラー因子生産菌であるハンゼヌ
ラ・アノマラKh−I FERM P−8159、ハン
ゼンヌラ・アノマラKh−II FERM P−816
0、ハンゼヌラ・ムラキIFO 0895、ハンゼヌラ
・アノマラNCYC 522、サツカロマイセス・セル
ビシエIFO 1661、クリベロマイセス・ラクテイ
スIFO 1267を25℃で7日間静置培養した後、
その培養液から遠心分離することにより菌体を除き、さ
らにポアサイズ0.45μmのメンブランフイルターを
通過させた無菌の培養液を調整した(合計6種類)。こ
の培養液の10mlを上述のチゴサツカロマイセス・ル
ーキシー、キゴサツカロマイセス・ルーキシー・バリア
ント・ハロメンブラニスそれぞれを単独または混合培養
した培養物に添加した。添加前の生菌数と添加後10日
目の生菌数を第4表に示した。
第4表に示された様にチゴサツカロマイセス・ルーキシ
ー、チゴサツカロマイセス・ルーキシー・バリアント・
ハロメンブラニスそれぞれ単独または嵌合接種区分にお
いてキラー因子を含む培養液添加によつて、チゴサツカ
ロマイセス・ルーキシー、チゴサツカロマイセス・ルー
キシー・バリアント・ハロメンブラニスの生育は著しく
抑制され、添加後10日目ではほぼ完全に死滅してしま
つた。
但し、チゴサッカロマイセス・ルーキシー・バリアント
・ハロメンブラニスはNCYC522,IFO1661
の生産したキラー因子に対し非感受性である為(第1
表、第2表参照)添加効果はなかった。
実験例3. 生揚醤油(塩分17.1g/100ml、全窒素1.7
5g/100ml、直接還元糖5.0g/100ml、
アルコール2.3ml/100ml)を500ml容三
角フラスコに150ml入れ、ここに別に前培養したチ
ゴサツカロマイセス・ルーキシー・バリアント・ハロメ
ンブラニスを10/mlになるように接種し、30℃
で7日間静置培養したものを7本調整した。この時の稀
釈平坂培養法による生菌数は10/mlであつた。
別に、YEPD培地で、キラー因子生産菌であるハンゼ
ヌラ・アノマラKh−I FERM P−8159、ハ
ンゼヌラ・アノマラKh−II FERM P−816
0、ハゼンヌラ・ムラキIFO 0895、クリベロマ
イセス・ラクテイIFO 1267を20℃で10日間
培養した培養液200mlを遠心分離することにより菌
体を除き、さらにセライト過した後ポアーサイズ0.
45μmのメンブランフイルターを通過させることによ
り無菌の培養液とした後さらにアミコン社製ホロフアイ
バーHI−P10で処理することにより10倍に濃縮し
た後その10mlを上述の生揚醤油にチゴサツカロマイ
セス・バリアント・ハロメンブラニスを接種し培養した
培養液150mlに添加した。
対照はキラー因子を含む培養物の濃縮物を添加しなかつ
た区分である。
添加後10日目のチゴサツカロマイセス・ルーキシー・
バリアント・ハロメンブラニスの産膜(酵母による菌蓋
の形成)の程度を第5表に示した。
第5表から明らかな様にキラー因子を含む培養物の濃縮
物を添加した区分では産膜したものは全く認められなか
つた。
実験例4. 火入後の醤油(塩分17.0g/100ml、全窒素
1.56g/100ml、直接還元糖4.0g/100
ml、アルコール2.0g/100ml)を500ml
容三角フラスコに150ml入れ、ここに、別に前培養
したチゴサツカロマイセス・ルーキシー・バリアント・
ハロメンブラニスを10/mlになるように接種し、
30℃で7日間静置培養した。この時の稀釈平坂培養法
による生菌数は10/mlであつた。
別に、YEPD培地でキラー因子生産菌であるハンゼヌ
ラ・アノマラKh−I FERM P−8159、ハン
ゼヌラ・アノマラKh−II FERM P−816
0、ハンゼヌラ・ムラキIFO 0895、クリベンロ
マイセス・ラクテイIFO 1267を20℃で10日
間培養した培養液200mlを遠心分離することにより
菌体を除き、さらにセライト過した後、ポアサイズ
0.45μmのメンブランフイルタを通過させることに
より無菌の培養液とした後さらにアミコン社製ホロフア
イバーHI−P10で処理することにより10倍に濃縮
した後、その10mlを上述の火入後の醤油にチゴサツ
カロマイセス・ルーキシー・バリアント・ハロメンブラ
ニスを接種し培養した培養物に添加した。
対照はキラー因子を含む培養物の濃縮物を添加しなかつ
た区分である。
添加後10日目の産膜の程度を第6表に示した。
第6表から明らかな様に火入後の醤油にキラー因子を含
む培養物の濃縮物を添加した区分では産膜したものは全
く認められなかつた。
実施例1. 脱脂大豆、小麦、及び種麺(アスペルギルス・ソヤ)を
用いて常法により得られた醤油麺100kgに25g/
100ml食塩水140を加え常法通り仕込み、醤油
諸味としたもの3本を調整した。別に、YEPD培地で
ハンゼヌラ・アノマラーKh−I FERM P−81
59、ハンゼヌラ・アノマラKh−II FERM P
−8160を4日間通気攪拌培養後、遠心分離により菌
体を集めた。
この菌体をそれぞれ別々に、前記醤油諸味の仕込後1週
間目に10/g諸味になるように接種した。
諸味中の総酵母数(キラー酵母を除く)の経時的変化と
添加したハンゼヌラ・アノマラーKh−I FERM
P−8159とハンゼヌラ・アノマラーKh−II F
ERM P−8160の経時的変化をそれぞれ分別計数
し第2図、第3図に示した。対照は菌を添加しなかつた
区分である。
第2図、第3図で明らかなように、キラー酵母添加区は
20日目でキラー酵母がそれぞれ10/g諸味になつ
ているのに対しキラー酵母を除く総酵母数は一担10
/g諸味に達した後急激に減少し40日目では10
g諸味以下になつていた。
ハンゼヌラ・アノマラKh−I FERM P−815
9とハンゼヌラ・アノマラKh−II FERM P−
8160は以後やや増加し平衡に達した。
この時点で諸味温度を28〜30℃に上げ、キラー因子
の生産を停止させた。また、残存しているキラー因子は
麺菌プロテアーゼにより分解を受け昇温後5〜7日目で
ほとんど失活した。
乳酸発酵はキラー因子の作用により仕込初期に存在した
酵母が死滅減少したことにより非常に良好に行われた。
キラー因子の失活後、常法通り別に培養した醤油の主発
酵酵母であるチゴサツカロマイセス・ルーキシーを5×
10/g諸味になるように添加した。その結果良好な
アルコール発酵が行われた。その後、熟成工程に移り、
キラー因子に非感受性である熟成酵母キヤンデイダ・バ
ーサテイリス(Candida versatili
s)キヤンデイダ・エツチルシイー(Candida
etchellsii)の働も良好に行われ、香味共非
常に良好な醤油が得られた。
キラー酵母を添加しなかつた対照の諸味は仕込初期から
酵母が増殖し、アルコール発酵が盛んであつたがその後
は、ほぼ順調に発酵熟成した。
出来上りの醤油について、FERM P−8159添加
のものと対照のものの分析値と官能検査の値を第7表に
示した。官能検査は、訓練された専門検査員20人の順
位合計値で示した。官能評価ではFERM P−815
9を添加したものは、対照に比べ味にしまりと丸味があ
り香気も高く、好評であつた。
実施例 2. 脱脂大豆、小麦、アスペルギルス・ソヤを用いて常法に
より得られた醤油麺850kgに25g/100ml塩
水1.2klを加え常法通り仕込み、醤油諸味とした。
別に、YEPD倍地でハンゼヌラ・アノマラKh−I
FERM P−8159、ハンゼヌラ・マノマラKh−
II FERM P−8160、ハンゼヌラ・ムラキI
FO 0895、ハンゼヌラ・アノマラNCYC 52
2、サツカロマイセス・セルビシエIFO 1661、
クリベロマイセス・ラクテイIFO 1267をそれぞ
れ25℃5日間通気攪拌培養した後、培養物を遠心物理
することにより、菌体を除き、再にセライト過した
後、アミコン社製ホロフアイバーHI−P10で処理す
ることにより培養物を約100倍に濃縮した。
この濃縮物200mlを前記醤油諸味の仕込後1週間目
に添加した。添加直前の総酵母数と添加後10日目の総
酵母数を第8表に示した。
第8表より本発明方法を実施することにより仕込初期に
存在する酵母数を著しく減少させることが出来た。
その結果、酵母による乳酸菌の生育阻害がなく乳酸発酵
は非常に良好に行われた。
以後、キラー因子が麺菌プロテアーゼで分解されるのを
待ち、常法通り別に培養した。醤油の主発酵酵母である
チゾサツカロマイセス・ルーキシーを5×10/g諸
味添加した。その結果良好なアルコール発酵が行われ
た。
その後、熟成工程も順調に行われ、香味共に非常に良好
な醤油が得られた。
実施例3. 生揚醤油(塩分16.9g/100ml、全窒素1.8
1g/100ml、直接還元糖4.8g/100ml、
アルコール2.1ml/100ml)を各1Klずつ上
部開放の1Kl容ホーロータンク2本に入れ15日間常
温で貯蔵した。この時の耐塩性産膜酵母チゴサツカロマ
イセス・ルーキシー・バライアント・ハロメンブラニス
の希釈平坂培養法での生菌数を測定したところ2本のタ
ンクとも10個/mlであつた。
別に、ハンゼヌラ・アノマラKh−I FERM P−
8159をオートクレーブで減菌した(120℃、15
分)YEPD培地200mlにスラントより接種し、3
0℃4日間振盪培養した、更にこの培養物を同様に減菌
したYEPD倍地10を入れた20容のジヤーフア
ーメンターに入れ、通気攪拌し、20℃5日間培養し
た。この培養物を遠心分離することにより菌体を除き、
更にセライト過した後アミコン社製フオロフアイバH
I−P10で限外過することにより50mlに濃縮し
た。この濃縮物をセフアデツクスG25クロマトグラフ
イーで処理し、溶出することにより部分精製物を得た。
この部分精製物を凍結乾燥することにより部分精製物粉
末100mgを得た。
この部分精製粉末を前述した生揚醤油1Klに5mg添
加し、攪拌し混合した。
添加後10日目の生揚醤油中の耐塩性産膜酵母生菌数の
測定値と官能評価を第9表に示した。
対照はキラー因子を含有する部分精製物を添加しなかつ
た区分である。官能検査は熟練した官能検査員18人の
順位の合計値で示した。
第9表に示した様にキラー因子を含む部分精製物を添加
した区分では酵母を検出することは出来なかつた。
これに対し、添加しなかつた対照区分では、生菌数は増
加しており品質的にも劣化していることが指摘された。
実施例4. 製品醤油(塩分17.0g/100ml、全窒素1.5
5g/100ml、直接還元糖3.8g/100ml、
アルコール2.5ml/100ml)10Klを上部メ
ツシユのネツトでおおつたホーロータンクに入れたもの
2本を用意した。この2本のホーロータンクに貯蔵した
製品醤油の20日目の酵母生菌数を稀釈平坂培養法で測
定したところ10個/mlであつた。この時汚染して
いた酵母を走査電子顕微鏡で観察したところ形態的特徴
からチゴサツカロマイセス・ルーキシー・バライアント
・ハロメンブラニスであると推定された。
別に、ハンゼヌラ・アノマラKh−II FERM P
−8160をYEPD培地200mlに30℃4日間振
盪培養した、更に、この培養物をYEPD培地10を
入れた20容ジヤーフアーメンターで20℃、5日間
通気攪拌培養した。この培養物を遠心分離により菌体を
除き、得られた上清を更にセライト過した後、アミコ
ン社製ホロフアイバーHI−P10で限外過すること
により50mlに濃縮した。
この濃縮物をセフアデツクG25で処理しさらにCMケ
フアデツクスC25クロマトグラフイーで処理し、更に
食塩濃度勾配法で溶出することにより部分精製物を得
た。この部分精製物を凍結乾燥することにより部分精製
物粉末100mgを得た。この部分精製粉末を前述した
製品醤油10Klに40mg添加し攪拌し混合した。
添加後10日目の製品醤油中の酵母生菌数の測定値と官
能評価を第10表に示した。
対照はキラー因子を含有する部分精製物を添加しなかつ
た区分である。官能検査は熟練した官能検査員18人の
順位合計値で示した。
第10表に示した様にキラー因子を含む部分精製物を添
加区分では酵母を検出することは出来なかつた。
これに対し、添加しなかつた対照区分では、生菌数は増
加しており、品質的にも劣化していることが指摘され
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は実験例1において、FERM P−8159の
培養物を添加してチゴサツカロマイセス・ルーキシーの
生菌数の変化をみた図である。第2図は実施例1におい
て、FERM P−8159の菌体を接種して、諸味中
の総酵母数(キラー酵母を除く)の変化をみた図であ
る。第3図は実施例1において、FERM P−816
0の菌体を接種して、諸味中の総酵母数(キラー酵母を
除く)の変化をみた図である。 C……対照、A……総酵母数(キラー酵母を除く)、B
……チゴサツカロマイセス・ルーキシーの生菌数

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】醤油製造において、醤油麺、醤油諸味、生
    揚醤油、製品醤油等にキラー因子、キラー因子含有物又
    は/及びキラー因子生産菌、その培養物、もしくはその
    処理物を添加し、醤油製造工程に存在する酵母を制御す
    ることを特徴とする醤油製造法。
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