JPH06128052A - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素焼結体及びその製造方法

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JPH06128052A
JPH06128052A JP4306127A JP30612792A JPH06128052A JP H06128052 A JPH06128052 A JP H06128052A JP 4306127 A JP4306127 A JP 4306127A JP 30612792 A JP30612792 A JP 30612792A JP H06128052 A JPH06128052 A JP H06128052A
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JP
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silicon nitride
sintered body
powder
ceramic
nitride sintered
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JP4306127A
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Yoshikatsu Higuchi
義勝 樋口
Masanori Okabe
昌規 岡部
Yasunobu Kawakami
泰伸 川上
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/0051Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof characterised by the pore size, pore shape or kind of porosity

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた耐熱衝撃性を有する窒化珪素焼結体を
製造する方法を提供する。 【構成】 (a) 窒化珪素粉末と、(b) Y2 3 、又はY
2 3 と、Al2 3 、Yb2 3 、HfO2 、Er2 3 及び
Cr2 3 からなる群から選ばれた1種又は2種以上とか
らなる焼結助剤粉末と、(c) ポリシラザンを熱分解して
なるセラミックファイバー及び/又はセラミック粉末と
から成形体を作製し、窒素含有雰囲気下で成形体を焼成
することにより、セラミックファイバー及びセラミック
粉末が存在した部分に微小な空孔を形成して焼結体とす
ることを特徴とする方法である。好ましくは、セラミッ
クファイバー又はセラミック粉末の組成を、Si:45〜
60重量%、N:5〜30重量%、C:5〜20重量
%、O:1〜30重量%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた耐熱衝撃性を有す
る窒化珪素焼結体及びその製造方法に関し、特に、ター
ビンロータ等に用いることができる大きな耐熱衝撃性を
有する窒化珪素焼結体及びそのような窒化珪素焼結体を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】タービ
ンロータは、1000℃に近い温度又はそれ以上の高温下で
数万rpm 以上の高速回転を行う必要があるため、耐熱性
及び強度に優れているとともに、耐熱衝撃性にも優れて
いる材料を用いることが要求される。
【0003】従来、このようなタービンロータ等の高温
構造部材には耐熱合金が用いられていたが、約1000℃又
はそれ以上の高温に長時間耐えることのできるものが少
なく、しかも比重が大きいために、慣性が大きいという
問題があった。そこで、最近は、金属よりも高温で安定
であり、軽量で、酸化腐食やクリープ変形を受けにくい
窒化珪素、サイアロン、炭化珪素等の非酸化物系セラミ
ックス焼結体を用いることが試みられるようになってき
た。これらの非酸化物系セラミックス焼結体のうち、特
に窒化珪素は高温構造材セラミックスとして最も嘱望さ
れている。
【0004】このような非酸化物系セラミックス焼結体
は、一般に1000℃以上の高温でも大きな強度を有する
が、耐熱衝撃性が小さいため、タービンロータ等に用い
るには問題があることがわかった。
【0005】従って本発明の目的は、上記問題点を解消
し、優れた耐熱衝撃性を有する窒化珪素焼結体を提供す
ることである。また、本発明のもう一つの目的は、その
ような窒化珪素焼結体を製造する方法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的に鑑み鋭意研
究の結果、本発明者等は、微小な空孔を分散してなる窒
化珪素焼結体は低いヤング率を有し、良好な耐熱衝撃性
を有することを発見した。また、窒化珪素粉末と、特定
の酸化物からなる焼結助剤粉末と、ポリシラザンを熱分
解してなるセラミックファイバー及び/又はセラミック
粉末とから成形体を作製し、この成形体を窒素含有雰囲
気下で焼成すれば、セラミックファイバー及び/又はセ
ラミック粉末が存在していた部分に微小な空孔が形成さ
れ、もって高い耐熱衝撃性を有する窒化珪素焼結体とす
ることができることを発見した。本発明は以上の知見に
基づくものである。
【0007】すなわち、優れた耐熱衝撃性を有する本発
明の窒化珪素焼結体は、その中に微小な空孔が分散して
形成されていることを特徴とする。
【0008】また、そのような窒化珪素焼結体を製造す
る本発明の方法は、(a) 窒化珪素粉末と、(b) Y
2 3 、又はY2 3 と、Al2 3 、Yb2 3 、Hf
2 、Er2 3及びCr2 3 からなる群から選ばれた1
種又は2種以上とからなる焼結助剤粉末と、(c) ポリシ
ラザンを熱分解してなるセラミックファイバー及び/又
はセラミック粉末とから成形体を作製し、窒素含有雰囲
気下で前記成形体を焼成することにより、前記セラミッ
クファイバー又はセラミック粉末が存在した部分に微小
な空孔を形成することを特徴とする。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
窒化珪素焼結体は、窒化珪素と焼結助剤とを含有する成
形体を焼成して得られるものであるが、焼結体中に、微
小な空孔が分散して形成されているところに特徴があ
る。このような焼結体の製造方法については後に詳述す
るが、焼結体中の空孔は、成形体中にあらかじめ入れて
おいたセラミックファイバー及び/又はセラミック粉末
が、焼成時の加熱により分解するとともに、その成分の
一部が、主として周囲の焼結助剤成分と反応して液相を
形成することにより形成されたものである。
【0010】セラミックファイバーを成形体中に導入し
た場合には、得られる焼結体中には、セラミックファイ
バーの形状に似た線状の空孔が得られる。またセラミッ
ク粉末を成形体中に導入した場合には、得られる焼結体
中に、用いたセラミック粉末の形状に似た形状の空孔が
得られる。すなわち、後者の場合には、一般に球様の空
孔が形成される。
【0011】焼結体中の空孔の大きさは、長径で500
μm以下、短径で20μm以下であるのが好ましい。長
径が500μmを超すか又は短径が20μmを超すよう
な空孔が焼結体中に形成されると、焼結体の強度が低く
なる。一方、空孔の大きさの下限値についてであるが、
長径のサイズが5μm未満の小さな空孔ばかりでは、焼
結体の耐熱衝撃性があまり向上しない。したがって、長
径が5μm以上(でかつ500μm以下)の空孔を多数
有するのが好ましい。
【0012】上述したように、セラミックファイバーを
用いた場合には、空孔は線状となるが、その場合のより
好ましい大きさは、長径で50〜200μm、短径で3
〜10μmである。また、セラミック粉末を用いた場合
には、球様の空孔が形成されるが、その場合の好ましい
径(平均径)は5〜20μmである。なお、本発明にお
いて、焼結体中の空孔の大きさは、焼結体断面を走査型
電子顕微鏡(SEM)により観察して計測されたもので
ある。
【0013】以上に説明した窒化珪素焼結体を製造する
方法について説明する。まず、成形体作製用の原料につ
いて説明する。
【0014】(a) 窒化珪素粉末 窒化珪素粉末としては、平均粒径が0.1〜1μm程度
のものを用いるのが好ましい。平均粒径が0.1 μm未満
の窒化珪素粉末を用いると、パッキング性が悪く、成形
が困難となる。一方、1μmを超す窒化珪素粉末を用い
ると焼結性が劣り、緻密な焼結体を得るのが難しい。ま
た、窒化珪素粉末の比表面積は8m2 /g以上であるの
が好ましい。窒化珪素粉末の比表面積が8m2 /g未満
であると、焼結性が劣り、緻密な焼結体とすることがで
きない。より好ましくは、窒化珪素粉末の比表面積を9
〜12m2 /gとする。また、窒化珪素粉末に含まれる
金属不純物の総量は200ppm 以下とするのが好まし
い。金属不純物の総量がこれを超えると、粒界に不純物
相が生成して高温強度が低下する。なお、通常窒化珪素
粉末に含まれる金属不純物としては、Fe、Ca、Al等が挙
げられる。
【0015】(b) 焼結助剤 本発明では、焼結助剤としてY2 3 単独、又はY2
3 にさらに、Al2 3、Yb2 3 、HfO2 、Er2 3
びCr2 3 からなる群から選ばれた1種又は2種以上の
酸化物を併用するのが好ましい。Y2 3 、Al2 3
Yb2 3 、HfO2 、Er2 3 及びCr2 3 は粉末の形態
で用いる。焼結助剤粉末の平均粒径は0.1〜2.0μ
mであるのが好ましい。また、最大粒径は5μm以下で
あるのが好ましい。
【0016】(c) セラミックファイバー又はセラミック
粉末 本発明で用いるセラミックファイバー又はセラミック粉
末は、ポリシラザンを熱分解して得られたものであり、
Si、N、C、Oを主成分とする。セラミックファイバー
又はセラミック粉末は、好ましくはSi:45〜60重量
%、N:5〜30重量%、C:5〜20重量%、O:1
〜30重量%の組成を有する。
【0017】セラミックファイバー又はセラミック粉末
の製造に用いるポリシラザンは(R2 SiNR)3 等(こ
こでRはH又はアルキル基を示す)のシクロシラザンと
クロロシラン(Rn SiCl4-n 、ただしn=0,1,2,
3、RはH又はアルキル基)とから合成することができ
る。この合成法について以下説明する。
【0018】まず、ヘキサメチルシクロトリシラザン
(Me2 SiNH)3 等のシクロシラザンと、トリクロロメチ
ルシラン等のクロロシランとを無水の不活性雰囲気下で
混合する。ヘキサメチルシクロトリシラザンとトリクロ
ロメチルシランとを用いる場合、混合比は、モル比でヘ
キサメチルシクロトリシラザン対トリクロロメチルシラ
ンが1:1〜1:5とするのが好ましい。より好ましく
は1:3程度とする。次に、この混合物を190 〜195 ℃
で加熱還流する。これによってヘキサメチルシクロトリ
シラザンが開環し、クロロシラザンオリゴマーが生成さ
れる。なお、ヘキサメチルシクロトリシラザンとトリク
ロロメチルシランとからクロロシラザンオリゴマーを製
造する工程は12時間程度で完了する。
【0019】クロロシラザンオリゴマーをシクロヘキサ
ン等の溶媒に溶解し、得られた溶液に対してアンモニア
ガスを吹き込みアンモノリシスを行う。吹き込むアンモ
ニアガスの量は70リットル/時程度とするのが好まし
く、またその時間は3〜4時間とするのが好ましい。ア
ンモノリシスにより、クロロシラザンオリゴマーはアミ
ノシラザンオリゴマーとなる。なお、この時副生する塩
化アンモニウムの沈殿は、吸引濾過等で除去する。
【0020】次に、このアミノシラザンオリゴマーを窒
素ガス等の不活性ガス中で、250 〜400 ℃程度に加熱し
ながら重縮合させて、熱可塑性を示すポリシラザンを得
る。ポリシラザンの軟化点は加熱の条件により調整可能
であるが、ファイバー等の形態に成形する場合、50〜20
0 ℃程度の加熱とするのが好ましい。
【0021】ファイバーを得る場合には、ポリシラザン
を軟化点以上の温度に保ってこれを溶融し、紡糸する。
紡糸温度を軟化点とした場合、巻き取り速度は25〜400
m/分程度が好ましい。これによって5〜30μm径のフ
ァイバーが得られる。
【0022】得られたファイバーをArガス、N2 ガス等
の不活性ガス中、又は真空中で、800 〜1400℃で30分〜
4時間程度焼成することにより、セラミックファイバー
を得る。セラミックファイバーの平均直径は30μm以
下、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは3〜10
μmであり、一方、繊維長は600μm以下、好ましく
は10〜 500μm、さらに好ましくは50〜 300μmであ
る。平均直径及び繊維長が大きくなりすぎると、最終的
に得られる焼結体中の空孔が大きくなりすぎる。なお、
セラミックファイバーの径及び繊維長をそれぞれ30μ
m、及び600μmとすると、最終的に焼結体中に得ら
れる線状の空孔は、長径で500μm程度、短径で20
μm程度となる。
【0023】一方、セラミック粉末を製造する場合に
は、上記のセラミックファイバーの製造方法と同様にし
てポリシラザンを製造し、このポリシラザンをArガス、
2 ガス等の不活性ガス雰囲気下で800 〜1400℃で噴霧
しながら熱分解することで行うことができる。得られる
セラミック粉末の平均粒径は30μm以下であるのが好
ましく、より好ましくは5〜20μmである。平均粒径
が30μm程度のセラミック粉末を用いて成形体を作製
し、後述の方法により成形体を焼成すると平均径が20
μm程度又はそれ以下の空孔を焼結体中に形成すること
ができる。
【0024】以上の方法により得られるファイバー又は
粉末は、Si:45〜60重量%、N:5〜30重量%、
C:5〜20重量%、O:1〜30重量%の組成を有す
るが、このような組成を有するファイバー又は粉末を用
いることで、良好な焼結性が得られるとともに、所定の
大きさの空孔を確実に焼結体中に形成することが可能と
なる。本発明者等の研究によれば、微小な空孔を形成す
るためには、セラミックファイバー又は粉末の組成中、
特に酸素の含有量を上記した範囲内に規定することが重
要である。酸素含有量が0.5 重量%未満であると、焼結
体中に空孔が形成されず、かわりにSi3 4 以外の不純
物の粒子が形成される。一方、酸素含有量が30重量%
を超すと、焼結体の高温強度が低下する。より好ましく
は酸素含有量を5〜20重量%とする。
【0025】なお、セラミックファイバー及びセラミッ
ク粉末は、熱処理条件によりアモルファス又は結晶質と
することができるが、空孔を形成させるためにはアモル
ファスとするのが好ましい。アモルファスのセラミック
ファイバー又はセラミック粉末をセラミック原料に添加
して用いると助剤との反応性が向上し、焼結助剤の量を
軽減することができる。
【0026】上記した(a) 窒化珪素粉末と、(b) 焼結助
剤成分と、(c) セラミックファイバー又はセラミック粉
末とから成形体を製造するが、成分(a) は88〜96.
5重量%、成分(b) は3〜8重量%、成分(c) は0.5
〜10重量%とするのが好ましい。成分(b) が3重量%
未満では良好な焼結が行えない。一方、成分(b) が8重
量%を超すと焼結体の高温強度が低下する。また、成分
(c) については、0.5重量%未満では焼結体中に十分な
空孔を形成することができず、十分な耐熱衝撃性が得ら
れない。一方、10重量%を超す量の成分(c) を添加す
ると、焼結体の機械的強度が低下する。より好ましく
は、成分(a) を92〜96.5重量%、成分(b) を3〜5重
量%、成分(c) を0.5 〜3重量%とする。
【0027】成形体の製造には、上記成分の他に、所望
により少量のワックスもしくは樹脂等の有機バインダー
や有機物又は金属繊維等を添加することができる。
【0028】上記各成分(a) 〜(c) を水又は有機溶媒か
らなる分散媒に均一に分散させ、泥漿とする。この際、
全ての成分(原料)を同時に配合してもよいが、まず分
散性のよい窒化珪素粉末と焼結助剤粉末とを混合した後
で、セラミックファイバー又はセラミック粉末を添加
し、混合するのが好ましい。
【0029】分散媒として水を使用する場合、これにさ
らにアンモニア水を加えるのが好ましい。NH4 OHは分散
性が良いため、高濃度、低粘度のセラミックスラリーを
調製することができる。これにより、乾燥後、高密度の
成形体を得ることができる。また、分散媒として水にア
ンモニア水を加えたものを用いた場合、焼結後の成形品
にナトリウム、カルシウム等の不純物が残らず、高純度
の焼結体を得ることができる。更には粒界のガラス相を
減少でき、焼結体の高温強度を高く保持することができ
る。また、分散媒として、ホルムアミドのような極性の
高い有機溶媒を使用することもできる。このような溶媒
を使用すると、焼成前の窒化珪素の酸化を防止でき、焼
結体の高温強度を高く保つことができる。
【0030】本発明において、特に制限はないが、成形
性の観点から泥漿の濃度は40〜60体積%とするのが好ま
しい。
【0031】成形体を成形するには、射出成形、スリッ
プキャスト成形、ドクターブレードによる成形等が適用
されるが、特にスリップキャスト成形が好ましい。
【0032】スリップキャスト法の場合、泥漿を石膏の
ように吸水性、透水性を有する材質からなる型に鋳込
む。分散媒は型を通って分離されるので、泥漿は脱水さ
れる。その後離型して十分に乾燥する。一般に、脱水乾
燥工程において成形体には破損や亀裂の危険があるが、
均一に分散したセラミックファイバーにより補強されて
いるか、又はセラミック粉末がバインダーとして良好に
働くので、破損や亀裂を十分に防止することができる。
【0033】次に、成形体を焼結する。焼結は窒素含有
雰囲気、好ましくは窒素ガス雰囲気下で行う。窒素ガス
中で焼結を行うことで窒化珪素の分解を効果的に防止す
ることができる。焼結における窒素含有雰囲気圧は1.
0〜2000kg/cm2 とするのが好ましい。
【0034】焼結温度は1800℃以上、好ましくは1
850〜1950℃とする。焼結温度が1800℃未満
であると焼結体の緻密化が十分に進行せず、焼結体の密
度が上がらない。また、空孔が形成されにくい。なお、
1950℃以上とすると、窒化珪素の分解や異状粒の成
長が起きたりしやすいので1950℃以下とするのが好
ましい。
【0035】
【作 用】本発明の窒化珪素焼結体は、その内部に微小
な空孔を分散してなるが、この空孔の大きさを上述した
範囲内に規定すれば、実質的に焼結体の強度の低下をま
ねくことなく、耐熱衝撃性を向上させることができる。
耐熱衝撃性が向上する理由は必ずしも明らかではない
が、焼結体中に微小な空孔が分散されて形成されている
ことにより焼結体のヤング率が下がり、また、焼結体中
の原子の格子振動が容易となって熱伝導性が大きくなる
ためであると思われる。
【0036】また、本発明の方法によれば、どのような
形状の窒化珪素焼結体にも一様に微小な空孔を分布させ
ることができるので、寸法的制約なく耐熱衝撃性に優れ
た窒化珪素焼結体を製造することができる。
【0037】さらに、本発明の方法では、焼結体内に空
孔を形成する手段としてポリシラザンを熱分解してなる
セラミックファイバー及び/又はセラミック粉末を用い
ているので、加熱によりガスを発生するような有機物を
成形体内に導入して空孔を形成する方法と異なり、成形
体の焼結を阻害しないで焼結体内に微小な空孔を形成す
ることができる。このとき、セラミックファイバー及び
/又はセラミック粉末の大きさを調節することで、容易
に空孔の大きさを所望の範囲内に収めることができる。
【0038】
【実施例】以下、具体的実施例により本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されない。
【0039】実施例1 窒化珪素粉末(宇部興産 (株) 製:平均粒径0.5 μm、
酸素含有量1.2重量%、金属不純物総量200ppm 、
BET比表面積10m2 /g)95.88gと、Y2
3 粉末(平均粒径0.8 μm、日本イットリウム (株)
製)2.5gと、Al2 3 粉末(0.4 μm、住友化学
(株) 製)1.0gとをポリエチレン製の500 mlポット
ミルに取り、これに水42gと、25%アンモニア水0.
4 gとを加え、16時間のボールミル混合を行った。こ
のボールミル混合の直後、さらに、Si:50重量%、
N:17重量%、C:16重量%、O:17重量%の組
成を有するセラミックファイバー(平均長さ400μ
m、直径18μm)0.62gを添加し、さらに2時間
のボールミル混合を行った。
【0040】得られた混合物をロータリーエバポレータ
により乾燥し、金型プレスにより30mm×50mm×6mm
の大きさに成形した。
【0041】上記の成形体を、9気圧の窒素ガス雰囲気
下、以下の焼成温度条件で焼結して焼結体を得た。 室温〜1200℃: 20℃/分の速度で昇温 1200〜1950℃: 6℃/分の速度で昇温 1950℃ : 4時間保持 1950℃から炉冷
【0042】得られた焼結体の断面を研磨し、SEMに
て組織を観察したところ、焼結体は最大長径が500 μm
以下で、最大短径が20μm以下の空孔を一様に分散し
た針状組織を有していた。
【0043】この焼結体を2mm×20mm×100mmの大
きさの板状に切り出してテストピースとした。このテス
トピースについて、共振法により、室温〜800℃にお
けるヤング率を測定した。結果を図1に示す。また、φ
4mm×20mmの棒状に切り出したテストピースについ
て、100〜1400℃における熱膨張係数を測定し
た。結果を図2に示す。さらに、φ10mm×3mmの円板
状のテストピースについてレーザーフラッシュ法により
室温〜1300℃における熱伝導率を測定した。結果を
図3に示す。
【0044】比較例1 セラミックファイバーを加えず、その分だけ窒化珪素を
多くした以外は、実施例1と同様にして焼結体を製造し
た。この焼結体を実施例1と同様にして切り出し、同様
にしてヤング率、熱膨張係数及び熱伝導率を測定した。
結果をそれぞれ図1、図2及び図3に示す。
【0045】図1からわかるように、実施例1のテスト
ピースのほうが比較例1のテストピースより小さなヤン
グ率を有する。また図2からわかるように、熱膨張係数
についても実施例1のほうが小さい。さらに熱伝導率に
ついては、実施例1のテストピースのほうが大きな値を
有する。以上から、実施例1のテストピースは比較例1
のテストピースに比べて良好な耐熱衝撃性を有すること
がわかる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化珪素
焼結体は微小な空孔を組織内に有し、良好な耐熱衝撃性
を有する。
【0047】また、本発明の方法によれば、微小な空孔
を分散した窒化珪素焼結体を容易に製造することができ
る。したがって、本発明の方法によれば、窒化珪素焼結
体の強度を実質的に低下させることなく、耐熱衝撃性に
優れた窒化珪素焼結体を製造することができる。本発明
の方法による窒化珪素焼結体は、高温高強度用エンジニ
アリングセラミック部材として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室温から800℃の温度範囲における実施例1
及び比較例1のテストピースのヤング率の値を示すグラ
フである。
【図2】100〜1400℃の温度範囲における実施例
1及び比較例1のテストピースの熱膨張係数を示すグラ
フである。
【図3】室温〜1300℃の温度範囲における実施例1
及び比較例1のテストピースの熱伝導率を示すグラフで
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素と焼結助剤とを含有する成形体
    を焼結して得られる窒化珪素焼結体において、前記焼結
    体中に微小な空孔が分散して形成されていることを特徴
    とする窒化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の窒化珪素焼結体におい
    て、前記微小な空孔の長径が500μm以下であり、ま
    た短径が20μm以下であることを特徴とする窒化珪素
    焼結体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の窒化珪素焼結体
    において、前記焼結助剤がY2 3 、又はY2 3 と、
    Al2 3 、Yb2 3 、HfO2 、Er2 3 及びCr2 3
    らなる群から選ばれた1種又は2種以上とからなること
    を特徴とする窒化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】 (a) 窒化珪素粉末と、(b) Y2 3 、又
    はY2 3 と、Al23 、Yb2 3 、HfO2 、Er2 3
    及びCr2 3 からなる群から選ばれた1種又は2種以上
    とからなる焼結助剤粉末と、(c) ポリシラザンを熱分解
    してなるセラミックファイバー及び/又はセラミック粉
    末とから成形体を作製し、窒素含有雰囲気下で前記成形
    体を焼成することにより、前記セラミックファイバー及
    びセラミック粉末が存在した部分に微小な空孔を形成し
    て焼結体とすることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の窒化珪素焼結体の製造
    方法において、前記セラミックファイバー又はセラミッ
    ク粉末の組成が、Si:45〜60重量%、N:5〜30
    重量%、C:5〜20重量%、O:1〜30重量%であ
    ることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の窒化珪素焼結体の製造
    方法において、成分(a) 、(b) 及び(c) の合計100重
    量%に対して、(c) セラミックファイバー及び/又はセ
    ラミック粉末を0.5〜10重量%とすることを特徴と
    する窒化珪素焼結体の製造方法。
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