JPH06127463A - 船舶案内設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 係留完了まで船舶の自力移動を可能ならしめ
るための、船舶の接触式案内設備を提供する。 【構成】 係留設備１ａの前面に、左右一対の案内浮体
４を、海底のシンカーとの間でカテナリーを描くように
展設された４本のチェーン８により係留し、案内浮体４
の船舶01に当接する面に、ゴム製ローラー式フェンダー
６とバンパー７とを取付けることにより、案内浮体４に
作用する元の位置への復元力により船舶01の軌道修正を
行ないながら船舶01の自力移動により係留設置への接岸
を行なわせて、係留のスピード化を可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、係留設備に船舶を案内
する船舶案内設備に関し、特に速い速度で船舶の接岸を
行なわせるべく、係留完了まで船舶に自力移動を行なわ
せることができるようにした、船舶案内設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の船舶の係留設備では、係留しよう
とする船舶を超低速且つ自力で係留設備に近づかせてあ
る程度近づいた後に数本の係留索を船舶から係留設備側
に渡し、この係留索をウインチで巻き込むことにより、
接岸させていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の船舶の係留設備
は、上述のように、船舶から渡される係留索をウインチ
で巻き込んで船舶の接岸を行なわせるようになっている
ため、船舶を係留するのに長い時間を必要とするほか、
多数の作業員を必要とする。一方、高速船の就航に伴っ
て、船舶の係留時間の短縮化が要求されている。

【０００４】ところで、船舶をできるだけ速いスピード
で接岸させるためには、係留完了まで自力での移動が許
される環境にある必要があり、このためには次のような
接触式案内設備が必要となる。 (1) 船舶が衝突してもこのエネルギーを有効に吸収し双
方にダメージを発生することがないもの。 (2) 船舶が接触して且つ進行しようとする運動を円滑な
らしめるものであること。 (3) 船舶が軌道を外れようとする場合これを矯正すべく
案内し、また設備自身風浪あるいは波浪に対して安定性
が十分であること。 本発明は、このような要望に応えた船舶案内設備を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の船舶案内設備は、船舶の接触式案内設備に
おいて、上記船舶の係留位置への進入路に配設される案
内浮体をそなえ、同案内浮体が、上記船舶に当接する側
面に所定間隔毎に回転可能に取付けられた多数のゴム製
ローラー式フェンダーおよび同各ローラー式フェンダー
間に取付けられたバンパーと、上記側面の背面に取付け
られたカウンターウエイトと、底面に取付けられた水中
抵抗板とをそなえるとともに、上記案内浮体が、同案内
浮体の前後左右の４個所と海底の４個のシンカーとの間
でそれぞれカテナリーを描くように展張された４本のチ
ェーンにより係留されていることを特徴としている。

【０００６】

【作用】上述の本発明の船舶案内設備では、案内浮体が
４本のカテナリーを描いて展張されるチェーンで係留さ
れているので、案内浮体は外力に応じてある程度の移動
を許されながら、常に元の位置に戻る力を受ける。そし
てこの力が船舶の軌道の矯正を行なう。また、ゴム製ロ
ーラー式フェンダーは案内浮体に衝突しようとする外力
を緩衝し、かつ案内浮体に接触しながら移動しようとす
る外力を回転しながら案内する。またバンパーは外力の
ローラーフェンダーへの作用を案内する。さらにカウン
ターウエイトおよび水中抵抗板が案内浮体の動揺あるい
は移動に対して制動力を発揮する。

【０００７】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
船舶案内設備について説明すると、図１はドック式係留
設備に適用した状態における設備全体を示す平面図、図
２は通り抜け式係留設備に適用した状態における設備全
体を示す平面図、図３は案内浮体の平面図、図４は案内
浮体の係留状態を示す正面図である。図１において、岸
壁１にドック式設備１ａが形成されており、このドック
式設備１ａの開口部前面両側に、左右一対の案内浮体４
が先開き状に係留されている。

【０００８】案内浮体４の前面（船舶に当接する面）の
吃水線より上方に、多数のゴム製ローラー式フェンダー
６が所定間隔毎に回転可能に取付けられ、各ローラー式
フェンダー６の間にバンパー７が取付けられている。バ
ンパー７は、ローラー式フェンダー６と同一線上でかつ
案内浮体４からの突出量がローラー式フェンダー６の回
転中心よりも大きくなるように、案内浮体４の前面に取
付けられている。

【０００９】さらに案内浮体４の背面に、ゴム製ローラ
ー式フェンダー６およびバンパー７の重量と釣り合う重
量に設定されたカウンターウエイト５が取付けられてい
る。そして、案内浮体４が、案内浮体４の前後左右の４
個所と、海底の４個のシンカー10との間でそれぞれカテ
ナリー（懸垂曲線）を描くように展張された４本のチェ
ーン８により、係留されている。符号９は案内浮体４の
底面に取付けられた水中抵抗板を示しており、この水中
抵抗板９は案内浮体４により案内される対象船舶の質量
に応じてその寸法が決定される。

【００１０】また、図２に示した通り抜け設備の場合、
案内浮体４は、岸壁１と浮体構造物（例えば浮桟橋）２
との両方から船舶01の進入方向に向けて、係留される。
図１および図２中の符号01は入港中の船舶を、また符号
３はドック式設備１ａにおける船舶の係留位置をそれぞ
れ示している。なお、図１および図２のいずれの場合に
も、船舶01の船長に応じて、２個またはそれ以上の案内
浮体４が船舶01の進入方向に直列に配設される。

【００１１】上述の構成により、この実施例の係留設備
では、案内浮体４が、チェーン８のカテナリーの性質に
より外力に応じてある程度の移動を許されながら、４本
のチェーン８のカテナリーの釣合い位置、すなわち元の
位置に復帰させる力を常に付与された状態で、係留され
ている。したがって、船舶01が案内浮体４に衝突した場
合、案内浮体４が移動して、双方にダメージを発生する
ことがない。また案内浮体４の自動的な元の位置に復帰
しようとする力で船舶が軌道を外れようとする場合の矯
正が行なわれて、船舶を所定位置に案内することができ
る。また、案内浮体４を元の位置に戻すための装置を必
要としないため、低コストな船舶係留設備の供給が可能
となる。

【００１２】またゴム製ローラー式フェンダー６が案内
浮体４に衝突しようとする外力を緩衝し、案内浮体４に
接触しながら移動しようとする船舶を回転により案内す
る。一方バンパー７が外力のローラー式フェンダー６へ
の作用を案内する。したがって、案内浮体４に接触しな
がら移動しようとする船舶を、バンパー７およびゴム製
ローラー式フェンダー６により円滑に進行方向へ案内す
ることができる。さらに、水中抵抗板９により外力のエ
ネルギー（船舶の衝突によるエネルギー）の吸収が行な
われ、またカウンターウエイト５により案内浮体４のバ
ランスの確保がなされるため、案内浮体４を風波あるい
は波浪に対し安定させることができる。

【００１３】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の船舶案内
設備によれば、次のような効果ないし利点が得られる。 (1) 移動を許容されるとともに元の位置への復元力を付
与された案内浮体、および案内浮体に取付けられたゴム
製ローラー式フェンダーならびにバンパーにより、船舶
を衝突によるダメージを与えることなく、かつ軌道はず
れを矯正しながら、船舶を係留位置に案内することがで
きる。 (2) 上記(1)項により、係留完了まで船舶の自力移動が
可能となり、このことにより船舶の接岸のスピードアッ
プが可能となる。 (3) 水中抵抗板により外力エネルギーの吸収が行なわ
れ、またカウンターウエイトにより案内浮体のバランス
が確保されるため、案内浮体を安定した係留状態に保持
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての船舶案内設備をドッ
ク式係留設備に適用した状態における設備全体を示す平
面図。

【図２】同通り抜け式係留設備に適用した状態における
設備全体を示す平面図。

【図３】同案内浮体の平面図。

【図４】同案内浮体の係留状態を示す正面図。

【符号の説明】

１ 岸壁 ２ 浮体構造物 ４ 案内浮体 ５ カウンターウエイト ６ ゴム製ローラー式フェンダー ７ バンパー ８ チェーン ９ 水中抵抗板 10 シンカー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船舶の接触式案内設備において、上記船
   舶の係留位置への進入路に配設される案内浮体をそな
   え、同案内浮体が、上記船舶に当接する側面に所定間隔
   毎に回転可能に取付けられた多数のゴム製ローラー式フ
   ェンダーおよび同各ローラー式フェンダー間に取付けら
   れたバンパーと、上記側面の背面に取付けられたカウン
   ターウエイトと、底面に取付けられた水中抵抗板とをそ
   なえるとともに、上記案内浮体が、同案内浮体の前後左
   右の４個所と海底の４個のシンカーとの間でそれぞれカ
   テナリーを描くように展張された４本のチェーンにより
   係留されていることを特徴とする、船舶案内設備。