JPH06126334A - 形鋼の直角度矯正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】Ｈ形鋼、Ｉ形鋼等の形鋼の直角度不良を矯正す
る手段を提供する。 【構成】形鋼のフランジ中心を外側から押圧する押えロ
ールとウエブを両面から押圧して拘束するウエブ拘束ロ
ールを有する。フランジの端部には内側および外側から
それぞれ独立した塑性変形量を付与する一対のフランジ
押込みロールを設ける。ウエブ拘束ロールと同一位置に
フランジ拘束ロールを配置する。上記押えロール、ウエ
ブ拘束ロール、フランジ押込みロールは、いずれも流体
圧シリンダーにて押圧力を調整する機構となす。 【効果】フランジの変形方向に合せてフランジを矯正で
きるので、各種の直角度形状不良をすべて矯正できる。
形鋼の歩留を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、圧延または溶接によ
って製造された形鋼（Ｈ形鋼、Ｉ形鋼、溝形鋼等）の直
角度矯正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】圧延または溶接によって製造される形鋼
においては、周知の通り溶接歪みや圧延ロールの変形、
内外面の温度差等に起因して反りや曲りが発生し、直角
度不良が生じ易い。図７はＨ形鋼の直角度不良の形状パ
ターンを例示したもので、通常（ａ）〜（ｄ）の４種類
ある。

【０００３】このようなＨ形鋼の直角度不良を矯正する
ための手段は各種あり、その一つに例えばＨ形鋼のウエ
ブを両面から押圧して拘束するウエブ拘束装置と、同Ｈ
形鋼のフランジ両側面を押圧して各フランジにそれぞれ
独立した塑性変形量を付与する一対のフランジ押込み装
置を備えた矯正装置が知られている（特開昭６３−１９
２５１７号公報参照）。この矯正装置は、図８に示すご
とく、Ｈ形鋼１のウエブ１−１を両面から押圧して拘束
する一対のウエブ拘束ローラ２と、同形鋼のフランジ１
−２端部を外側より押圧してフランジ両端部にそれぞれ
独立した塑性変形量を付与する一対のフランジ押込みロ
ール３とから構成され、フランジ押込みロール３はロー
ルの傾斜角度を可変となしている。

【０００４】また、特開昭５４−１２３５６５号公報に
は、図９に示すごとく、Ｈ形鋼１のフランジのほぼ中央
部付近を押圧する環状突起付き押えロール８と、フラン
ジの内側に配した複数の案内ロール９を備え、この案内
ロール９はウエブ対向面とフランジ対向面とのなす角度
αを９０度より大きく形成し、さらにロール軸１０との
角度γを任意に変えられる機構を有し、前記押えロール
８を介してＨ形鋼１を前記案内ロール９へ一定の押圧力
を付与することにより、案内ロール９にてウエブ１−１
の拘束とフランジ１−２の押圧を同時に行って直角度を
矯正する装置が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の直角度矯正装置のうち、図８に示す矯正装置の場合
は、前記した図７に示すＨ形鋼の直角度不良の形状パタ
ーン（ａ）〜（ｄ）のうち、形状パターン（ａ）、
（ｂ）、（ｃ）については直角度不良の矯正は可能であ
るが、形状パターン（ｄ）に関しては、フランジ外側か
ら押込みロールを当てて押圧するだけでは直角度を矯正
することができないという欠点がある。そして、このよ
うな直角度不良のものはすべてスクラップ処理されるた
め歩留の低下を余儀なくされていた。

【０００６】また、図９に示す矯正装置の場合は、形鋼
の内側からフランジを押圧することしかできず、前記形
状パターン（ｄ）タイプの直角度の矯正は可能であって
も、形状パターンｃタイプの矯正は不可能であるという
欠点がある。

【０００７】この発明は、上記した従来の矯正装置の欠
点を解消し、形鋼の歩留の向上をはかるためになされた
ものであり、前記直角度不良形状パターン（ａ）〜
（ｄ）すべてに対して直角度矯正が可能な形鋼の矯正装
置を提案しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係る形鋼の直
角度矯正装置は、形鋼のフランジの幅方向中心を外側か
ら押圧する押えロールと、ウエブを両面から押圧するウ
エブ拘束ロールを備え、フランジ端部に内側および外側
よりそれぞれ独立した塑性変形量を付与する一対のフラ
ンジ押込みロールと、前記ウエブ拘束ロールと同一位置
に配置したフランジ拘束ロールを有することを要旨とす
るものである。

【０００９】

【作用】この発明は、フランジ押圧ロールとして、フラ
ンジ端部を外側と内側とからそれぞれ独立した塑性変形
量を付与することができる一対のフランジ押込みロール
で構成したことにより、フランジが内側に変形している
場合は、フランジ内側から押圧する押込みロールによ
り、フランジが外側に変形している場合はフランジ外側
から押圧する押込みロールにより、フランジ端部をそれ
ぞれ独立して押圧することができる。

【００１０】また、形鋼のフランジの幅方向中心を外側
から押圧する押えロールとウエブを両面から押圧するウ
エブ拘束ロールの作用により、フランジの矯正時におけ
る形鋼の逃げを防止できる。

【００１１】また、ウエブ拘束ロールと同一位置にフラ
ンジ拘束ロールを設けたのは、フランジの幅方向中心押
えロールがフランジ中心を押圧する方向と、フランジの
内側および外側に配した一対のフランジ押込みロールが
フランジ端部を押圧する方向とが一致したときの形鋼の
上下方向の逃げを防止するためである。このフランジ拘
束ロールは、ウエブ高さの変更に対応できるよう高さ位
置可変タイプとすることができる。

【００１２】この発明では、フランジ中心押えロール、
ウエブ拘束ロールおよびフランジ拘束ロールにより矯正
する形鋼をウエブが矯正ラインと垂直になるように拘束
し、ウエブを基準とした直角度矯正を行うので、フラン
ジ押込みロールのフランジ押込量調整のみで前記直角度
不良形状パターン（ａ）〜（ｄ）すべてを矯正すること
ができ、また矯正後の直角度挙動要素がフランジ押込量
のみで決まるため調整も容易である。

【００１３】なお、フランジの内側および外側に配した
一対のフランジ押込みロールは、フラケット等を利用し
て一体に組込み、そのブラケットを流体圧シリンダーに
より内側方向または外側方向に移動させるごとく取り付
けることにより、フランジの変形方向（内側または外
側）に合わせてフランジを押圧し矯正することができ
る。

【００１４】

【実施例】図１〜図４は、この発明の一実施例装置とし
てＨ形鋼の矯正に適用した場合の装置構成図で、図１は
同上の矯正装置の単体構造を示す概略図、図２は同上矯
正装置のウエブ拘束ロールとフランジ拘束ロールを示す
概略図、図３は同上矯正装置の全体構成例を示す概略平
面図、図４は同上側面図であり、１０はＨ形鋼のフラン
ジの幅方向中心を外側から押圧する押えロール、１１は
フランジ端部に内側および外側よりそれぞれ独立した塑
性変形量を付与する一対のフランジ押込みロール、１２
はウエブ拘束ロール、１３はフランジ拘束ロールであ
る。

【００１５】Ｈ形鋼のフランジの幅方向中心を外側から
押圧する押えロール１０は、ブラケット１０−１に回転
自在に軸支され、流体圧シリンダー１０−２にて圧下量
を調整できるように支持されている。この押えロール１
０は両フランジに対向して設けられており、上フランジ
側の矯正に際しては上から拘束し、下フランジ側の矯正
に際しては下から拘束できるようになっている。

【００１６】フランジ端部に内側および外側よりそれぞ
れ独立した塑性変形量を付与する一対のフランジ押込み
ロール１１は、１個のブラケット１１−１に上下一対の
押込みロール１１−２、１１−３が所定の間隔を隔てて
回転自在に軸支され、流体圧シリンダー１１−４にて上
下方向に移動できるように支持されている。この上下一
対のフランジ押込みロール１１は上下フランジの両端部
に配設され、４つのブラケット１１−１がそれぞれ独立
して移動できるように構成されている。

【００１７】ウエブ拘束ロール１２は、流体圧シリンダ
ー１２−２に支持されたブラケット１２−１に回転自在
に軸支された左右一対の拘束ロール１２−３によりウエ
ブ１−１を両面から押圧して拘束する構造となってい
る。また、フランジ拘束ロール１３は、ブラケット１３
−１に回転自在に軸支された上下一対の拘束ロール１３
−２により上下フランジを拘束する構造となすととも
に、ウエブ高さの変更に対応できるように上フランジ側
の拘束ロール１３−２のみ流体圧シリンダー１３−３に
て高さ位置を調整できるように設ける。下フランジ側の
拘束ロール１３−２は固定である。

【００１８】上記のフランジ中心押えロール１０、フラ
ンジ押込みロール１１、ウエブ拘束ロール１２およびフ
ランジ拘束ロール１３の配置としては、図３、図４に示
すごとく、フランジ中心押えロール１０とフランジ押込
みロール１１、ウエブ拘束ロール１２とフランジ拘束ロ
ール１３を、それぞれ同一位置に設けて一組とし、各組
を交互に配置する。

【００１９】上記装置により、図５（Ａ）に示すごとく
例えば上側のフランジ１−２が内側に変形しているＨ形
鋼を矯正する場合は、フランジ押込みロール１１のブラ
ケット１１−１を流体圧シリンダー１１−４にて上方向
に移動させてフランジ内側の押込みロール１１−３にて
フランジ端部を押圧する。また、図５（Ｂ）に示すごと
く上側のフランジ１−２が外側に変形している場合は、
フランジ押込みロール１１のブラケット１１−１を上記
とは逆に下方向に移動させてフランジ外側の押込みロー
ル１１−２にてフランジ端部を押圧して矯正する。

【００２０】矯正時には、押えロール１０でフランジ中
心が上または下から拘束されており、またウエブ拘束ロ
ール１２にてウエブが両面から拘束されているため、Ｈ
形鋼が押圧に対し逃げることはない。また、フランジ中
心押えロール１０がフランジ中心を押圧する方向とフラ
ンジ押込みロール１１がフランジ端部を押圧する方向と
が一致したときのＨ形鋼の上下方向の逃げは、フランジ
拘束ロール１３にて防止される。

【００２１】なお、上記矯正装置において、フランジ端
部に内側および外側よりそれぞれ独立した塑性変形量を
付与する一対のフランジ押込みロール１１は、ここでは
一つのブラケット内にフランジ端部を外側から押圧する
ロール１１−２と内側から押圧するロール１１−３を取
付けた例を示したが、外側から押圧するロール１１−２
と内側から押圧するロール１１−３をそれぞれ別個のブ
ラケットに取付けて各々独立した位置に配置しても同様
の作用効果が得られる。また、形鋼製造サイズが各種あ
る場合には、フランジ押込みロール１１およびウエブ拘
束ロール１３を幅可変タイプにすれば全サイズに対応で
きる。さらに、フランジ押込みロール１１はウエブの高
さに応じて上下一体構造の装置構成とすることも可能で
ある。

【００２２】実施例１ 図６に示すＨ形鋼（寸法：Ｈ＝２００ｍｍ、Ｗ＝１００
ｍｍ、Ｔ_１＝３．２ｍｍ、Ｔ_２＝４．５ｍｍ）７８本
（直角度形状不良のもの）について、図１〜図４に示す
本発明の矯正装置により矯正した。その際、Ｈ形鋼７８
本中、図８に示す従来装置では矯正不可能でスクラップ
となっていた図７に示す直角度不良の形状パターン
（ｄ）が１６本あったが、すべて矯正することができ
た。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したごとく、この発明装置によ
れば、フランジの変形方向に合せてフランジを矯正する
ことができるので、フランジ押込みロールの押込み量調
整のみで前記４種類の直角度形状不良パターンすべてを
矯正することができ、形鋼の歩留向上に多大な効果を奏
するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例装置における矯正装置の単
体構造を示す概略図である。

【図２】同上矯正装置のウエブ拘束ロールとフランジ拘
束ロールを示す概略図である。

【図３】同上矯正装置の全体構成例を示す概略平面図で
ある。

【図４】同上矯正装置の全体構成例を示す概略側面図で
ある。

【図５】同上矯正装置によりＨ形鋼の矯正方法を例示し
たもので、（Ａ）は上側のフランジが内側に変形してい
るＨ形鋼を矯正する場合、（Ｂ）は上側のフランジが外
側に変形しているＨ形鋼を矯正する場合の説明図であ
る。

【図６】この発明の実施例におけるＨ形鋼の各部の寸法
表示記号を示す説明図である。

【図７】Ｈ形鋼の直角度形状不良パターン例を示す図
で、（ａ）（ｂ）は共にフランジが内側、外側に変形し
た形状不良パターン、（ｃ）はフランジが中央から外側
に変形した形状不良パターン、（ｄ）はフランジが中央
から内側に変形した形状不良パターンである。

【図８】従来のＨ形鋼矯正装置の一例を示す概略図であ
る。

【図９】図７に示す直角度形状不良パターン（ｄ）の矯
正装置の一例を示す概略図である。

【符号の説明】

１ Ｈ形鋼 １−１ ウエブ １−２ フランジ １０ フランジ中心押えロール １０−１ ブラケット １０−２ 流体圧シリンダー １１ フランジ押込みロール １１−１ ブラケット １１−２、１１−３ 押込みロール １１−４ 流体圧シリンダー １２ ウエブ拘束ロール １３ フランジ拘束ロール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 形鋼のフランジの幅方向中心を外側から
   押圧する押えロールと、ウエブを両面から押圧するウエ
   ブ拘束ロールを備え、フランジ端部に内側および外側よ
   りそれぞれ独立した塑性変形量を付与する一対のフラン
   ジ押し込みロールと、前記ウエブ拘束ロールと同一位置
   に配置したフランジ拘束ロールを有することを特徴とす
   る形鋼の直角度矯正装置。