JPH04288930A - Ｈ形鋼の反りおよび直角度の矯正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はＨ形鋼の形状を矯正する
矯正装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】圧延Ｈ形鋼は一般に上下水平ロールと左
右垂直ロールを備えたユニバーサルミルにより熱間成形
される。熱間成形されたＨ形鋼は圧延後冷却され、冷却
中に発生した反りや曲がりはローラ矯正装置によって矯
正される。図２及び図３は従来技術の矯正装置を説明す
る正面図及び断面図である。Ｈ形鋼１のウエブ１ａをＨ
形鋼の長手方向上下に交互に配置されたローラ２、３で
押し込むことによりフランジ１ｂに繰返し曲げを与えて
反りを矯正する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】Ｈ形鋼の矯正は図３に
示したようにウエブ１ａをローラ２、３で押し込み、フ
ランジ１ｂに曲げ変形を与えることにより行われる。こ
の時、ローラ２、３はＨ形鋼１のウエブ１ａとフランジ
１ｂとの付け根部の近傍を押し込み、ウエブ１ａに撓み
が生じないように配慮される。しかしながら、実際には
矯正時に発生する荷重によってウエブ１が撓み、このた
めにフランジ１ｂが内側に倒れ、ローラ２、３と接触し
てフランジ１ｂに塑性変形を生じ、反り矯正後に図４に
示すようなウエブ１ａとフランジ１ｂの直角度不良が生
じる。また、ウエブ１ｂの剛性に比べて荷重が大きい場
合には図５に示すように、ウエブ１ａとフランジ１ｂと
の付け根部の変形、又はウエブ１ａの曲がりが生じるた
め、十分な反り矯正を行うことができないのが実情であ
る。

【０００４】特に近年、建築用素材としての圧延Ｈ形鋼
への品質要求の高まりと共に、フランジ厚とウエブ厚の
比の大きい、いわゆる薄肉Ｈ形鋼が開発され、従来の矯
正装置では上記問題点のためにますます反り矯正を困難
にしている。本発明は上記問題点に鑑み、圧延Ｈ形鋼の
反りを矯正するにあたって、ウエブとフランジとの付け
根部の変形あるいはフランジの倒れや曲がりの発生を防
止すると同時に、フランジの直角度不良を修正すること
のできる装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は多数のウエブ圧
下ローラをＨ形鋼の長手方向に配設して反りを矯正する
ローラ矯正装置において、ウエブ圧下ローラと同軸に設
けられ、被矯正材のフランジの縁部を圧下するフランジ
圧下ローラと、被矯正材のフランジ外面に接触し、フラ
ンジ面をウエブ面に対して直角に保持し、中心軸をウエ
ブ圧下ローラの中心軸を含む面内に位置させた垂直ロー
ラとを付設したことを特徴とする。また、フランジ外面
に接触させる垂直ローラの少なくとも一対以上のローラ
をその中心軸がウエブに対して非直角になるように配設
すると、フランジ直角度不良の修正が容易となる。本発
明の装置は、ウエブ圧下ローラを所定量押し込むと同時
にフランジ圧下ローラを一定荷重で押し込むことにより
、ウエブに作用する荷重を軽減し、他方、フランジ外面
に垂直ローラを接触させることにより、フランジの倒れ
を防止し、矯正時に発生するウエブ・フランジの付け根
部の変形・ウエブ高さの伸び、フランジ直角度不良の発
生を防止するＨ形鋼の矯正装置である。

【０００６】

【作用】Ｈ形鋼の矯正は、一般には図３に示したように
Ｈの姿勢で行われる。ウエブ圧下ローラでウエブを押し
込むと同時に、フランジの縁部を一定荷重で押し込むこ
とによって、ウエブ圧下ローラに作用する荷重を軽減す
る。ウエブに作用する荷重が小さくなることによって、
ウエブとフランジとの付け根部の変形及びフランジの傾
きを防止することができる。

【０００７】Ｈ形鋼の矯正はウエブを圧下することによ
ってフランジにくり返し曲げを与えて行っており、図６
で定義するフランジの変形状態では矯正荷重は次式であ
たえられる。

【０００８】

【数１】

【０００９】Ｐｗ：ウエブに作用する矯正荷重σｙ：降
伏応力 ｔｆ：フランジ厚 Ｂ：フランジ幅 α：１／（１−η） η：フランジの塑性変形率 一方、図７で示したフランジ端を圧下した場合、圧下を
強くかけすぎるとフランジの縁部にへたりが生じるため
、フランジの縁部を圧下するだけでは、十分な矯正荷重
が得られない。フランジの縁部に加える圧下荷重Ｐｆは
フランジの縁部とロールの強接触面厚の制限を受け、次
式で示す値以下にする必要がある。

【００１０】

【数２】

【００１１】 Ｐａ：材料の許容面圧 Ｅ：ヤング率 ｒ：ロール半径 ウエブ圧下ローラとの中心軸を含む面内でフランジ圧下
ローラによりフランジの縁部を圧下荷重Ｐｆで圧下する
ことによって、フランジの縁部にへたりを生じることな
く、ウエブに作用する荷重をＰｆだけ軽減することがで
きる。したがって、ウエブの変形なしにフランジに十分
な曲げ変形を与えることができるため、高い矯正効果を
得ることができる。

【００１２】ウエブ圧下ローラでウエブを押し込むこと
によってフランジの倒れが生ずる。そこで垂直ローラを
フランジ外面に接触させ、これを防止する。フランジの
倒れを防止することによって、フランジとウエブ圧下ロ
ーラとの接触を防止することができ、接触に伴ってフラ
ンジに発生する曲げ変形を防止することができる。また
、フランジを垂直ローラによってウエブと直角に拘束す
ることによって、ウエブの曲げ剛性を高めることが可能
であり、矯正時に生じるフランジの曲げ荷重を十分に与
えることによって、矯正効果を高めることができる。 すなわち、図９の（ａ）に示すように、ウエブ圧下ロー
ラでウエブを圧下する際に垂直ローラでフランジを拘束
していない場合には、ウエブとフランジとの付け根部は
両端単純支持梁の自由端に相当するため、ウエブ圧下ロ
ーラ２、３の圧下力Ｆａの作用点すなわちウエブの幅両
端からＬ２　だけ中心寄りの点をウエブ圧下ローラで押
し込むと、ウエブの撓み及び曲げ応力が大きくなる。矯
正荷重がウエブの曲げ剛性よりも大きいと、ウエブとフ
ランジとの付け根部の変形あるいはウエブの曲げ変形が
生じる。

【００１３】これに対して、図９の（ｂ）に示すように
、垂直ローラ１２でフランジをウエブに対して直角に拘
束した場合には、ウエブとフランジとの付け根部は両端
固定梁の固定端に相当する。したがって、ウエブ圧下ロ
ーラが圧下力Ｆｂの作用点を押し込んだ時のウエブの撓
み及び曲げ応力は図９の（ａ）の場合よりも小さくなる
。したがって、ウエブの変形なしに、フランジに十分曲
げ変形を与えることができ、高い矯正効果を得ることが
できる。

【００１４】今、図９の（ａ）の場合をウエブの幅方向
を両端単純支持、（ｂ）の場合を両端固定支持の梁と仮
定し、ウエブの変形が生じない限界曲げモーメントをＭ
ｏとして、それぞれにおける圧下力の作用点での最大押
し込み力を求めると次のようになる。 図９（ａ）の場合 Ｆａ　＝Ｍｏ／Ｌ２ 図９（ｂ）の場合 Ｆｂ　＝Ｍｏ・Ｌ／Ｌ２２ これからも明らかなように、垂直ローラを配設すること
によって、同一断面剛性を有するＨ形鋼に対してより大
きな圧下がかけられるようになる。

【００１５】垂直ローラの中心軸がウエブ圧下ローラの
中心軸を含む面からずれた場合には、フランジの剛性に
応じてフランジの拘束効果が低下するため、十分な矯正
効果が得られない。したがって、垂直ローラの中心軸と
ウエブ圧下ローラの中心軸は同一面内にあるように設置
する必要がある。また、矯正前にフランジ直角度不良の
ある材料に対しては、垂直ローラの中心軸をウエブに対
して非直角面に傾斜させることによって、直角度の矯正
が可能である。傾斜の向きは図１０の（ａ）に示すよう
に、Ｈ形鋼のウエブ圧下ローラのない側へフランジを押
し込む向きにする。図１０の（ｂ）に示すように、ウエ
ブ圧下ローラのある側へフランジを押し込んだ場合には
、ウエブの変形を助長してフランジ直角度不良を発生さ
せるばかりでなく、ウエブ押し込みに対する前記効果も
なくなるため反り矯正効果も不十分なものになる。この
垂直ローラの傾斜角は被矯正材サイズによって決まる値
にあらかじめ設定することによって、効果的に矯正をす
ることができる。このように垂直ローラを傾斜させるの
は全垂直ローラの群の中の少なくとも一対以上とし、左
右同時に傾斜させてもよいし片側ずつとしてもよい。

【００１６】

【実施例】図１は本発明の１実施例を示す断面図である
。ウエブを押し込むためのウエブ圧下ローラ２、３は駆
動軸４に取付けられ、スペーサ５及びナット１１で幅方
向に位置決めされている。フランジ圧下ローラ６は軸受
７を介して中空軸８に取付けられており、軸８に対して
回転自在となっている。軸８はチョック９に保持され、
チョック９はシリンダー１０によって一定荷重で押し込
み可能な構造になっている。１２はフランジの外面に接
触し、その中心軸はウエブ圧下ローラ２、３の中心軸と
同一の平面内にあり、ウエブと直角をなしている。

【００１７】本発明は上記構造に限ったものではなく、
フランジ圧下ローラ６はウエブ圧下ローラ２、３と同一
軸上で、ウエブ圧下ローラ２、３とは独立に圧下が可能
な構造を有し、かつ一定荷重で押し込み可能であれば、
バネ等を利用した構造でもよい。本発明を実施した時の
フランジ圧下荷重の設定は材料サイズ、鋼種等によって
決まり、式（２）で求めることができる。

【００１８】図８の（ａ）は、フランジ幅２００ｍｍの
Ｈ形鋼について、フランジ圧下荷重とフランジ厚の関係
を求めた一例である。計算条件は、Ｐａ＝５０ｋｇ／ｍ
ｍ２、ｒ＝７５０ｍｍ、Ｅ＝２１０００ｋｇ／ｍｍ２で
ある。図８の（ｂ）はフランジ端圧下を行った場合と行
わない場合のウエブ圧下荷重を比較したもので、Ｂ＝２
００ｍｍ、σｙ＝３０ｋｇ／ｍｍ２、η＝０．７、Ｌ＝
１５００ｍｍの条件で算出した。

【００１９】フランジ端部の圧下を加えることでウエブ
に作用する荷重を約２／３に軽減することができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明装置によれば従来のウエブを圧下
するだけでフランジに曲げ変形を与えてＨ形鋼の反りを
矯正する方法に比べ、より大きな圧下を与えることが可
能である。すなわち、ウエブ圧下ローラと同一軸上にフ
ランジ端を圧下するフランジ圧下ローラを配設し、フラ
ンジ曲げ矯正時に発生する荷重の一部をフランジ端で受
けることにより、ウエブに作用する荷重で軽減できるた
め、ウエブを変形させることなく、十分な圧下量を与え
ることができる。

【００２１】ウエブ圧下ローラの中心軸と同一面内に中
心軸を有し、軸上にフランジ外面を拘束する垂直ローラ
を配し、矯正中にフランジを垂直に保つことによって、
ウエブ圧下ローラでのウエブ圧下時のウエブ曲げ剛性を
高めることが可能である。したがって、ウエブにより大
きな押し込み力を掛けることができるため、高い矯正効
果が得られる。

【００２２】また、矯正中垂直ローラでフランジ外面を
垂直に保つことによって、ウエブ圧下時に生じるフラン
ジの倒れを防止することが可能で、フランジとウエブ圧
下ローラとの接触等によって生じるフランジの変形を防
止することができる。さらに、ウエブ圧下ローラと同一
軸上の垂直ローラを傾斜させて直角度矯正が可能で、ウ
エブ圧下ローラによってウエブを拘束することができる
ため、フランジ押し込みによるウエブの変形を防止する
ことができ、より効果的に直角度の矯正が可能である。

【００２３】本発明は、フランジ厚とウエブ厚の比の大
きい、いわゆる薄肉Ｈ形鋼に対して大きな効果的を奏し
、従来型ローラレベラでは矯正できないサイズも矯正可
能であり、プレス矯正負荷を大幅に低減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】先行技術の矯正装置を説明する正面図である。

【図３】先行技術の矯正装置を説明する断面図である。

【図４】先行技術の問題点を説明するＨ形鋼の断面図で
ある。

【図５】先行技術の問題点を説明するＨ形鋼の断面図で
ある。

【図６】矯正中のＨ形鋼フランジの変形状態を表わす模
式図である。

【図７】フランジ端圧下の状態を説明する断面図である
。

【図８】本発明の実施例のウエブ圧下荷重軽減効果を説
明する説明図である。

【図９】本発明の作用を説明するための断面図である。

【図１０】直角度矯正方向とウエブ圧下ローラの位置関
係を説明する断面図である。

【符号の説明】

１　　Ｈ形鋼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　１ａ　　ウエブ１ｂ　　フランジ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２、
３　　ウエブ圧下ローラ ４　　駆動軸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　５　　スペーサ６　　フランジ圧下
ローラ　　　　　　　　　　　　　　　　７　　軸受８
　　中空軸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　９　　チョック１０　　シリンダー　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１　　
ナット１２　　垂直ローラ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　Ｈ形鋼の反りを矯正するローラ矯正装
   置において、ウエブ圧下ローラと同軸に設けられ、被矯
   正材のフランジの縁部を圧下するフランジ圧下ローラと
   、被矯正材のフランジ外面に接触し、フランジ面をウエ
   ブ面に対して直角に保持し、中心軸をウエブ圧下ローラ
   の中心軸を含む面内に位置させた垂直ローラとを付設し
   たことを特徴とするＨ形鋼の矯正装置。
2. 【請求項２】　　垂直ローラのうち少なくとも一対以上
   のローラをその中心軸がウエブに対して非直角になるよ
   うに変えたことを特徴とする請求項１記載のＨ形鋼の矯
   正装置。