JPH06125990A - 医療用チューブコネクターおよびこれを使用したチューブ接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、切欠部にひび割れや破損が
起きても、気密性を維持することのできるチューブコネ
クターを提供することにある。 【構成】 チューブ同士を接続するためにチューブ内に
挿入される複数個のチューブ挿入部を有するチューブコ
ネクターにおいて、少なくとも１つのチューブ挿入部
は、その外面の周方向にそれを容易に破断可能にするた
めの切欠部を有し、かつ該切欠部を越えた部分は挿入チ
ューブとの間で気密性を維持することができる構造であ
ることを特徴とするチューブコネクター。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、チューブ同士を接続す
る医療用チューブコネクター、特に任意の時期にその接
続を容易に解除することができるようにした医療用チュ
ーブコネクターに関する。

【０００２】

【従来の技術】腹膜透析用の透析液を収納したバッグや
輸液バッグなどの医療用バッグは、バッグ本体とこれに
接続されたチューブ等から構成されてなるが、使用の際
にチューブを途中で切断することが必要な場合がある。
例えば、連続携行式腹膜透析（以下、ＣＡＰＤと略記）
においては、腹腔中に透析液を注入した後にチューブを
閉止し、閉止部よりもバッグに近い位置でチューブを切
断して透析液の入っていたバッグを切り離すシステムが
提案されており、このシステムを採用すると空のバッグ
を携行することなく動き回ることができ、このシステム
は腎不全患者の社会復帰のために好ましいものである。
また、高カロリー輸液においては、空の輸液バッグに各
種の栄養液を注入して混合し、これを静脈より輸注する
が、栄養液を輸液バッグに注入するためのチューブは、
注入終了後に閉止してからバッグから切り離す。このよ
うに、医療用途のチューブにおいては、それを切断する
ことが必要な場合があるが、切断にはハサミやカッター
を使用するが、刃物を使用すると誤ってバッグ等の他の
部分や人体を傷つける恐れがあり、好ましいものではな
い。 そこで、実開平４ー３７４４号公報においては、
指で簡単に破断することができるように切欠部を設けた
医療用チューブコネクターが提案されている。実開平４
−３７４４号公報に記載されたコネクターを使用すれ
ば、刃物を使用せずにチューブをコネクターの切欠部で
破断して切り離すことができるが、切欠部は他の部分に
比べて肉薄で脆弱であるので、製造時や輸送時にひび割
れができたり破損するおそれがある。このようなことが
起きると、割れ目や破損箇所から液が漏れたりチューブ
内に細菌が侵入するおそれがある。切欠部が完全に破断
した場合は使用前に気がつくので安全上問題となること
はないかもしれないが、部分的な割れ目や破損には気が
つかない可能性があり、安全上問題である。

【０００３】

【目的】本発明の目的は、切欠部にひび割れや破損が起
きても、気密性を維持することのできる医療用チューブ
コネクターを提供することにある。

【０００４】

【問題を解決するための手段】本発明の医療用チューブ
コネクターは、接続するチューブを外挿する複数個のチ
ューブ挿入部を有しており、少なくともその１つは該部
分を容易に破断できるように（例えば、手で破断が可能
なように）、挿入部の外面の周方向に切欠部を有し、か
つ該切欠部を越えた部分側は、チューブを挿入すること
ができ、また挿入されたチューブと医療用チューブコネ
クターとの間で気密性を維持することができるように保
持できる構造（以下、チューブ密着保持部という。）を
有していることを特徴とする。該密着保持部分は、たと
えば、その外径をチューブ内径よりもやや大きく形成さ
せた構造とすることによりその目的を達成することがで
きる。前記チューブ密着保持部分にチューブを挿入する
ことにより、前記切欠部にひび割れや破損が生じたとし
ても気密性が確保される。

【０００５】次に図面に基づいて本発明の医療用チュー
ブコネクターおよびその接続構造およびその動作の実施
例を具体的に説明する。但し、医療用チューブコネクタ
ーは以下の実施例のものに限定されるものではない。 〈実施例１〉図１は本発明の医療用チューブコネクター
の１実施例のものの正面図である。チューブコネクター
１は２つのチューブ挿入部２および４を有しており、そ
の間に鍔６を設け、挿入されるチューブの先端を受け止
める役割をするものであるが、切欠部５を破断するに際
して、該鍔６を指で把持するに適した形状および大きさ
であることが好ましい。チューブ挿入部２の鍔６に近い
部分には周方向に切欠部５が設けられており、指でこの
部分を破断できるように形成されている。ただし、切欠
部５の構造は、本図に示すＶ字型溝のものに限定される
ものではなく、任意の溝型を採用することができるし、
必ずしも溝は周方向全体に連続して設ける必要はない。
また、このような切欠部５の構造およびそれを設ける位
置は、たとえば、チューブコネクターを構成する合成樹
脂の種類、溝の形状あるいは溝の深さ等を考慮して適宜
きめることができる。さらに、切欠部は必ずしも指で破
断できる構造である必要はなく、はさみ、ナイフ等のよ
うな切断用具以外のものであれば、簡単な用具を使用し
て破断できる構造であってもよい。チューブ挿入部２の
外径は、チューブをチューブコネクターに挿入するだけ
で気密性が確保されるように、チューブ内径よりもやや
大きく形成させる。ただし、前記したように切欠部５に
割れ目や破損が生じても気密性が保持されるように、チ
ューブ先端の内面と接する３の部分はチューブ内径より
やや大きくする必要があるが、他の部分は必ずしもすべ
てチューブ内径より大きくする必要はなく、例えばチュ
ーブ挿入部の先端部はチューブが挿入し易いように先細
状の形状のものであっても良い。

【０００６】〈実施例２〉図２は、図１に示す医療用チ
ューブコネクターを使用してチューブ７と８とを接続し
た状態を示す部分断面図である。前記したように、チュ
ーブ挿入部２の外径はチューブ内径よりもやや大きく形
成されているので、チューブをコネクターに挿入するだ
けで気密性が確保されるので、チューブ７の先端が鍔６
に当接するまで挿入することにより、チューブ挿入部２
の切欠部５を越えた部分３、すなわちチューブ密着保持
部において気密性が確保されるので、たとえ切欠部５に
割れ目や破損が生じても、細菌が内部に侵入したり内部
の液が漏れ出すことがない。

【０００７】図２の状態において、チューブ７の外側か
ら切欠部５に力を加えると切欠部５は容易に破断する。
そして、チューブ７の先端部とチューブ密着保持部分３
は単に嵌合しているだけであるので、切欠部５が破断す
ると、チューブ７の先端はチューブ挿入部のチューブ密
着保持部分３から外れて、図３に示すようにチューブ７
と８は接続が解除される。なお、上記の例では、チュー
ブ７の先端部とチューブ密着保持部分３は単に嵌合して
いるだけであるが、後者の部分３を破断した場合に両者
の接続の解除に支障のない範囲で、例えば、ブロッキン
グ結合や接着のような固着手段で両者を弱く固着させて
もよい。また、チューブを構成する素材が熱収縮性合成
樹脂である場合には、該チューブを加熱収縮させること
によって、チューブ挿入部の先端部と前記部分３を固着
させることもできる。なお、ブロッキング結合あるいは
加熱収縮によってチューブ７の先端部と切欠部５を越え
た部分３とを固着させる場合には、前記部分３の外径を
チューブ内径より大きくさせる必要はなく、前記部分３
の外径は挿入されるチューブの内径と同じ、さらには小
さいものであってもよい。なお、切欠部５で破断した後
にチューブ７あるいは８、さらにはその両方を適当な閉
止具を使用して閉止するか、あるいはシールキヤップで
シールする必要がある場合には、このような閉止具、あ
るいはシールキヤップを適当な取り付け手段でチューブ
に取り付けておくと便利である。たとえば適当な長さの
糸をチューブに結わえ付け、該糸の先端に閉止具、ある
いはシールキヤップを結わえておくことが考えられる。
さらには、チューブ自体にシールキヤップ等を容易に分
離できるような構造で一体成形して設けたものやチュー
ブ、シールキヤップ及び糸状部を一体成形したものであ
ってもよい。 〈実施例３〉図４は、本発明の医療用チューブコネクタ
ーの他の実施例を示す正面図である。この実施例は３本
のチューブを接続するものであり、医療用チューブコネ
クター１１は３つのチューブ挿入部１２、１４および１
６を有しており、切欠部１５がチューブ挿入部に設けら
れている。そして、１３がチューブ内面を密着保持する
部分であり、１７、１８はチューブ挿入部よりも外径を
大きくして、チューブの先端を当接させることにより、
チューブの挿入の程度を一定にするために設けてある。
このコネクターはＣＡＰＤにおいて使用するのに便利で
ある。すなわち、チューブ挿入部１４には使用前の透析
液が入ったバッグに接続されたチューブを挿入し、チュ
ーブ挿入部１６には腹腔から排出する透析液を収納する
ための空のバッグのチューブを接続する。そして、チュ
ーブ挿入部１２にはカテーテルに直接または間接的に連
結されるチューブを挿入する。透析液を交換する際に
は、チューブ挿入部１２に挿入されたチューブの反対側
の端部をカテーテルに直接またはカテーテルに連結され
たチューブに接続する。そして、腹腔内の透析液をチュ
ーブ挿入部１６に接続された空バッグに排出し、次にチ
ューブ挿入部１４に接続された透析液バッグから新しい
透析液を腹腔内に注入する。透析液の注入が終了したな
ら、チューブ挿入部１２に接続されたチューブをクラン
プあるいは溶着などの手段によって閉止し、切欠部１５
を破断する。これによって、カテーテルから２つのバッ
グが切り離され、患者は透析液の交換時以外はバッグを
携行する必要がなくなる。上記の例では、チューブコネ
クターの１つのチューブ挿入部に切欠部を設けたが、必
要に応じて２つ以上のチューブ挿入部に設けることもで
きる。

【０００８】

【発明の効果】本発明によれば、医療用チューブコネク
ターによるチューブの接続を、切断のための器具を用い
ることなく容易に解除することができる。そして、チュ
ーブコネクターに設けた切欠部にひび割れや破損が起き
ても、気密性を維持することができるので、細菌の侵入
や液漏れを防ぐことができ、安全性の点で優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の医療用チューブコネクターの１実施例
の正面図である。

【図２】図１に示す医療用チューブコネクターを使用し
てチューブを連結した状態を示す部分断面図である。

【図３】図２に示すチューブ連結状態を切欠部で破断し
た状態を示す。 （ａ）分離した一方のチューブの正面図である。 （ｂ）分離した他方のチューブの正面図である。

【図４】本発明の医療用チューブコネクターの他の実施
例の正面図である。

【符号の説明】

１ チューブコネクター ２ 第１のチューブ挿入部 ３ チューブ密着保持部分 ４ 第２のチューブ挿入部 ５ 切欠部 ６ 鍔部 ７ チューブ ８ チューブ １１ チューブコネクター １２ 第１のチューブ挿入部 １３ チューブ密着保持部分 １４ 第２のチューブ挿入部 １５ 切欠部 １６ 第３のチューブ挿入部 １７ 中央太径部 １８ チューブストッパー

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チューブ同士を接続するためにチューブ
   内に挿入される複数個のチューブ挿入部を有する医療用
   チューブコネクターにおいて、少なくとも１つのチュー
   ブ挿入部は、その外面の周方向に容易に破断可能にする
   ための切欠部を有し、かつ該切欠部を越えた部分は挿入
   チューブとの間で気密性を維持することができる構造で
   あることを特徴とする医療用チューブコネクター。
2. 【請求項２】 請求項１記載の医療用チューブコネクタ
   ーにおいて、３個のチューブ挿入部を有し、該３個のチ
   ューブ挿入部がＹ字型に形成されてなることを特徴とす
   る医療用チューブコネクター。
3. 【請求項３】 医療用チューブコネクターが連続携行式
   腹膜透析（ＣＡＰＤ）用であることを特徴とする請求項
   ２記載の医療用チューブコネクター。
4. 【請求項４】請求項１、２又は３記載の医療用チューブ
   コネクターにおいて、チューブ挿入部間に鍔が設けられ
   ていることを特徴とする医療用チューブコネクター。
5. 【請求項５】 請求項１、２、３又は４記載の医療用チ
   ューブコネクターにおいて、切欠部が手で破断可能な構
   造であることを特徴とするの医療用チューブコネクタ
   ー。
6. 【請求項６】 請求項１、２、３、４又は５記載の医療
   用チューブコネクターにチューブを挿入した接続構造に
   おいて、切欠部を有するチューブ挿入部に外挿するチュ
   ーブが、チューブ閉止具あるいはチューブシールキャッ
   プを取り付けたものであることを特徴とする医療用チュ
   ーブ接続構造。
7. 【請求項７】 請求項６記載の医療用チューブ接続構造
   において、チューブシールキャップが、チューブに一体
   成形により取り付けられていることを特徴とする医療用
   チューブ接続構造。