JPH06125975A - 創傷治癒用基材 - Google Patents

創傷治癒用基材

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JPH06125975A
JPH06125975A JP4281632A JP28163292A JPH06125975A JP H06125975 A JPH06125975 A JP H06125975A JP 4281632 A JP4281632 A JP 4281632A JP 28163292 A JP28163292 A JP 28163292A JP H06125975 A JPH06125975 A JP H06125975A
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JP
Japan
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collagen
wound
wound healing
coacervate
solution
Prior art date
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Application number
JP4281632A
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English (en)
Inventor
Risako Matsui
理佐子 松井
Mikio Koide
幹夫 小出
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】コラーゲンマトリックスに、銅イオンを結合お
よび/または吸着させたマイクロカプセルを含み、当該
マイクロカプセルが変性コラーゲンとグリコサミノグリ
カンによるコアセルベート構造を有する創傷治癒用基
材。 【効果】優れた創傷治癒能を有し、人工皮膚等に用いる
と有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、組織の修復や創傷の治
癒を促進する創傷治癒用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】熱傷、採皮創および皮膚剥削創、外傷性
皮膚欠損創等の疾患ないし創傷による患部を保護し、治
癒を促進する目的のために、患部に一時的に適応される
創傷被覆材として、従来、ガーゼ、脱脂綿等が用いられ
てきたが、これらは細菌感染防止が低く、かつ滲出液を
速やかに吸収するために創面が乾燥してしまうと取り外
す際に、痛み、出血等を伴った。また、軟膏等を併用す
ることも行われているが、この場合は逆に滲出液の吸収
が不充分で創面が過度に湿った状態になってしまうもの
であった。また、これらに代わるものとしては、特に創
面が広範囲にわたる場合に適用されるものとして、シリ
コーン製ガーゼ、シリコーンゴム製およびベロアー状の
表面構造を有するナイロン、テフロンなど合成樹脂シー
ト等の人工材料の被覆膜や凍結乾燥豚皮、キチン不織
布、コラーゲン膜、ポリアミノ酸スポンジ、ムコ多糖複
合コラーゲン膜等の生体由来材料の被覆膜も知られてい
る。しかしながら、これらのうち人工材料の被覆膜は、
患部との密着性、水蒸気透過性、ひび割れなどの点で種
々の問題点を残し、一方生体由来材料の被覆膜は生体適
合性が良いなどの特徴を有するが、その多くは抗原性を
有し、また細菌感染、滲出液による劣化などの欠点を有
し、さらに材料が入手しにくい等の問題があった。さら
に最近では、コラーゲン処理したナイロンメッシュとシ
リコーン膜からなる複合膜が開発され実用化されてお
り、よく密着し、適度な水分透過性を有するが、創面に
固着し、肉芽組織が被覆膜中に入り込むという欠点があ
った。
【0003】一方、創傷治癒を目的とした薬が開発さ
れ、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(basic FGF[basic
fibroblast growth factor])、血小板由来増殖因子(PD
GF[platelet-derivied growth factor])、GHL-Cu錯体(G
lycyl-L-Histidyl-L-Lysine-CuComplex)やヘパリン−銅
錯体(heparin-Cu錯体)などがある。これらはいずれも血
管新生因子として知られている。しかし、これらの血管
新生因子は創傷面に適用した場合、創面から流れ出てし
まうため効果が半減してしまう。このため、適用頻度を
多くする必要があったり、他のマトリックスの中の(例
えば合成樹脂)に含有して使用したりしている。また、
コラーゲン・ヘパリン複合体は生体適合性材料として、
人工血管や人工臓器に用いる場合に生体適合性に優れ、
また内皮細胞の増殖性に優れていることが特開昭63−
68174号に記載されている。しかしながら、本発明
の利用分野である創傷治癒剤への適用は、何ら開示ない
し示唆されていない。特開昭60−222425号に
は、コラーゲンおよび走化性を誘発されるグルコスアミ
ノグリカンの懸濁液からなる創傷治癒剤が記載されてい
る。また、特開昭63−54328には線維状コラーゲ
ンとヘパリンまたはヘパリン類似のグリコサアミングリ
カンと血小板由来増殖因子あるいは線維芽細胞成長因子
の混合物からなる創傷包帯がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の創傷治癒剤ある
いは人工皮膚は、上述したようにそれぞれ問題点を有し
ているので、熱傷等により皮膚組織が損失した場合の患
部に対する処理としては、自家移植(autograft)が現在
最善の方法とされている。しかしながら、皮膚欠損部が
広範囲にわたる場合等においては、非常に困難であり、
適用可能であっても長時間にわたって幾度となく移植を
繰り返す必要がある。また、自家移植に代わって患部を
一時的に被覆する方法として他家(アログラフト)が適
用されている。他家移植は血管が確保されているため、
感染しにくいなどの利点があるが、やがては皮膚部分は
脱落してしまう。そこで、自家移植や他家移植に代わっ
て患部を被覆して毛細血管他を早期に誘導して細菌感染
を防止することができる創傷治癒剤や人工皮膚の開発が
望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明の、コ
ラーゲンマトリックスに、銅イオンを結合および/また
は吸着させたマイクロカプセルが含まれており、当該マ
イクロカプセルが変性コラーゲンとグリコサミノグリカ
ンによるコアセルベート構造からなることを特徴とする
創傷治癒用基材により達成される。
【0006】また、本発明は下記の構成により達成され
る。 (1) 組織の修復が創傷の治癒を促進するのに使用る
す創傷治癒剤であって、コラーゲンマトリックスに変性
コラーゲンとグリコサミノグリカンからなるコアセルベ
ートに銅イオンを取り込んでいるマイクロカプセルを有
する創傷治癒用基材からなることを特徴とする創傷治癒
剤。 (2) 前記変性コラーゲンは、牛真皮由来のコラーゲ
ンを原料とし、抗原基を除去し、それを40〜90℃の
温度範囲で熱変性させた熱変性アテロコラーゲンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (3) 前記変性コラーゲンは、コラーゲンを化学修飾
してメチル化コラーゲンを40〜90℃の温度範囲で熱
変性させた熱変性メチル化アテロコラーゲンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (4) 前記グリコサミノグリカンは、ヘパリンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (5) 前記グリコサミノグリカンは、ヘパリン類似物
のグリコサミノグリカンである(1)記載の創傷治癒
剤。 (6) 前記グリコサミノグリカンは、アルギネートで
ある(1)記載の創傷治癒剤。 (7) 変性コラーゲン水溶液とグリコサミノグリカン
の水溶液を、硫酸銅水溶液の存在下で、変性コラーゲン
1重量部に対してグリコサミノグリカン水溶液0.05
〜0.4重量部となるような割合でコラーゲンの変性温
度以上(40〜90℃)の温度で混合し、次いで該混合
物のpHを3.0〜5.0に調整し、更にカルボジイミド等
の架橋剤で架橋することを特徴とする創傷治癒用基材か
らなる創傷治癒剤の製造法。 (8) メチル化コラーゲン水溶液とグリコサミノグリ
カンの水溶液を硫酸銅水溶液の存在下で、変性コラーゲ
ン1重量部に対してグリコサミノグリカン水溶液0.0
5〜0.4重量部となるような割合でコラーゲンの変性
温度以上(40〜90℃)の温度で混合し、次いで該混
合物のpHを6.0〜8.0に調整することを特徴とする創
傷治癒用基材からなる創傷治癒剤の製造法。
【0007】また、本発明は下記の構成よって達成され
る。 (9) コラーゲンマトリックスに、銅イオンを吸着さ
せたマイクロカプセルを含有させた創傷治癒用基材から
なる創傷治癒層と、水蒸気透過調節層とからなり、当該
マイクロカプセルが熱変性アテロコラーゲンとアルギネ
ートによるコアセルベート構造を形成してなるマイクロ
カプセルであることを特徴とする人工皮膚。 (10) 前記コラーゲンは、牛真皮由来のコラーゲン
を原料とし、プロクターゼ又はペプシンにより分子末端
の抗原基のテロペプチドを除去したアテロコラーゲンで
ある(9)記載の人工皮膚。 (11) 熱変性アテロコラーゲンかメチル化した熱変
性アテロコラーゲンである(9)及び(10)記載の人
工皮膚。 (12) 熱変性アテロコラーゲン水溶液とペプシン及
び/またはヘパリン類似物のグリコサミノグリカン水溶
液あるいはアルキシ酸水溶液の濃度がそれぞれ0.1〜
1%(W/V)である(9)記載の人工皮膚。 (13) 水蒸気透過調節層はシリコーンエラストマー
である(9)項記載の人工皮膚。 (14) シリコーンエラストマーの水蒸気透過率が5
00〜5000g/m2・24hrである(13)記載
の人工皮膚。
【0008】本発明で使用されるコラーゲンとしては牛
真皮を酸性溶液中でプロテアーゼ処理して得られるタイ
プIコラーゲンが好適である。このコラーゲンは一般的
には低イオン強度下0.3%以下の濃度の酸性溶液では
透明で均一な溶液状態であるが中性条件下ではイオン強
度,温度等を適宜選択することにより生体中での状態と
類似した線維を形成させることができる。タイプIコラ
ーゲンは無架橋の単分子状態では分子量300,000
の3本鎖ヘリックス構造を有する長さ3000Å、直径
15Åの棒状分子でその両端部にテロペプチドと呼ばれ
るアミノ酸10数残基からなる非ヘリックス構造を有す
る。このテロペプチド部位は未変性コラーゲンの抗原性
の殆どを占め、ペプシン等のプロテアーゼによる加水分
解で容易に除去することができる。一方グリコサミノグ
リカンとしては、特にヘパリンとアルギネートが好まし
い。ヘパリン自身も血管内皮細胞の遊走を促進すること
が知られているが、血管新生因子を含む数多くの細胞成
長因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(basic
FGF),内皮細胞増殖因子(ECGF),酸性線維
芽細胞因子(acidic FGF),トランスフォー
ミング成長因子(TGF−α,TGF−β)等が知られ
ており、これらはヘパリンと親知性を持つことも明らか
になってきた。
【0009】コラーゲンは変性温度と変性処理時間の程
度により、コラーゲン分子のらせん繊維(ヘリックス)
の巻き戻しの程度、pH変化に対する反応性等が異なる。
そために、変性の程度を調整することにより、グリコサ
ミノグリカン水溶液と混合したときに、適切にコアセル
ベートを形成するようにすることができる。コラーゲン
は、37℃が熱変性温度であり、40℃以上の温度をか
けると、コラーゲン特有の3本鎖らせん構造を失い、構
造が変化する。分子鎖切断を伴わない立体構造の全面的
なランダム化も重要な因子であると思われる。例えば9
0℃で24時間熱変性させたコラーゲンを用いた場合
は、コアセルベートは生成されなかった。
【0010】本発明は更に、前記人工皮膚の変性コラー
ゲンのヘリックス含量が0〜80%である人工皮膚によ
って達成される。本発明は更に、前記人工皮膚の変性コ
ラーゲンの含有比が全体の5〜30重量%である人工皮
膚によっても達成される。本発明における変性コラーゲ
ンは牛真皮由来のコラーゲンをプロクターゼまたはペプ
シン等の酵素処理して抗原基テロペプチドを除去してア
テロコラーゲンとし、更にこれを37〜90℃の温度に
加熱して変性させたものが望ましい。この熱変性条件が
コアセルベート生成の形成に非常に影響する。変性温度
と変性処理時間の程度により、コラーゲン分子のらせん
繊維(ヘリックス)巻き戻しの程度、pH変化に対する
反応性等が異なる。そのために、変性の程度を調整する
ことにより、ヘパリン水溶液と混合したときに、適切に
コアセルベートを形成するようにすることができる。コ
ラーゲンは、37℃が熱変性温度であり、37℃以上の
温度をかけると、コラーゲン特有の3本鎖らせん構造を
失い、構造が変化する。分子鎖切断を伴わない立体構造
の全面的なランダム化も重要因子であると思われる。本
発明の人工皮膚は、上述したように創傷治癒層と水蒸気
調節層の2層からなり、創傷治癒層には銅イオンを吸着
したマイクロカプセルが含有されている。創傷接触層を
構成する材料としては、線維化コラーゲンとヘリックス
含量が0〜80%である変性コラーゲンの複合物が好適
で、創面を直接覆ってこれを柔らかく保護し、痛みを抑
え、適度な水分を与え細菌感染を防止する。更に、創傷
治癒層は創面に適応された際に極めて初期にマクロファ
ージや好中球他の炎症性の細胞が湿潤した後、早期に線
維芽細胞がびまん性に侵入し、その結果真皮様の結合組
織が構築され創傷の治癒が促進される。次いで創傷治癒
層の真上には、周囲健常表皮が伸展増殖し、これにより
最終的には水蒸気透過調節層は分界・排除される。
【0011】本発明に用いる銅イオンは水溶液中でOH
基と配位した状態で非常に不安定であるが、カルボキシ
ル基(−COOH基),水酸基(−OH基),アミノ基
(−NH2基),硫酸基(−SO3基)を持った高分子と
は安定な錯体をつくることが知られている。また銅イオ
ン1分子に対してカルボキシル基,水酸基とアミノ基等
の配位子は4つの配位子が結合することが可能であり、
硫酸基は銅イオン1分子に対して1つの硫酸基が結合す
る可能性が考えられる(下記式I〜V)。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】マイクロカプセルは、熱変性アテロコラー
ゲンとヘパリンから形成されることから、銅イオンはII
価の状態で結合することが可能である。本発明を創傷治
癒剤として用いる場合、創傷治癒剤は上記熱変性コラー
ゲン及びグリコサミノグリカンをそれぞれ別々に水に溶
かし、0.1〜1%(W/V)の水溶液とし、コラーゲンの
熱変性以上の温度好ましくは40〜60℃で両水溶液を
混合攪拌し、更に硫酸銅水溶液を加え、次いでこの混合
物に鉱酸好ましくは塩酸を加えてpHを3.0〜5.0に
調整することによって製造される。pHの値によって種
々の強度のコアセルベート液滴が得られる。混合の際
に、変性コラーゲンやグリコサミノグリカンの濃度が上
記のものより高いと混合やpH調整が円滑に行われずコ
アセルベート液滴の生成が困難である。コアセルベート
液滴の生成領域は、pHの変化によりコアセルベート液
滴の生成収量が変化する。混合割合は熱変性コラーゲン
1重量部に対して0.05〜0.4重量部が好ましい。コ
アセルベート総重量中のグリコサミノグリカン重量は5
〜40%が好ましい。グリコサミノグリカンの重量が5
%以下の場合はコアセルベートが形成されず、50%以
下の場合はコアセルベートの構造物の性質に変化をきた
す。コアセルベートの組成と生成の程度は、系のpH,
温度,濃度等に依存し、また系中にある塩類によっても
左右される。
【0018】本発明の創傷治癒剤を製造するには、先ず
酵素処理コラーゲンを水で膨潤させて、水溶液を作成
し、それを所定時間,所定温度で加熱処理し、次いでそ
の水溶液にグリコサミノグリカン、例えばヘパリン水溶
液を、コラーゲンの変性温度以上の所定温度で、添加混
合し、放冷し、酸性溶液を添加し、pHを調整する。p
Hを3.0〜5.0の弱酸性にすると、コアセルベート
を形成する。コアセルベート形成後も、再加熱と放冷を
行うと、コアセルベートが融合,肥大化し又は形成量の
増加をつけることがある。pH調整は、例えば1N塩酸
水溶液の添加により行う。また、この際、変性コラーゲ
ンとグリコサミノグリカンは濃厚水溶液を用いると混合
の程度、pHの調整時に、物質の不均一を生じ易く、コ
アセルベートの形成が困難になるので、用いる両者の水
溶液は希薄溶液がよい。
【0019】原料となるコラーゲンは、前述したように
牛真皮由来のものを酸又はアルカリ処理した後、プロク
ターゼ又はペプシンにより処理し、その分子末端のテロ
ペプチドを消化除去した酵素処理コラーゲンを用いる。
のこ酵素処理コラーゲンを水で膨潤させて酵素処理コラ
ーゲン水溶液とし、これを加熱することにより熱変性さ
せ、変性処理する。このコラーゲンの熱変性は、37℃
前後を境として起こるために、40℃以上に加熱し確実
に変性させることが好ましい。90℃以上への加熱は水
溶液の沸騰により、コラーゲンに不可逆的な変性が起こ
って、コアセルベート生成を妨げると考えるのでこれを
防止するために、避けることが良い。好適な加熱変性処
理は、60℃前後の温度に数時間保持するものである。
このようなコラーゲンは、そのままではコアセルベーシ
ョン現象を起こさないので、本発明の創傷治癒剤を生成
することはできない。上記の変性処理を行うことで、初
めてコアセルベーション現象、即ち、コアセルベート構
造が可能となる。コアセルベート構造からなるマイクロ
カプセルは、必要により常法に従ってカルボジイミド処
理ホルマリン処理,熱脱水処理,反復凍結融解処理から
選択された少なくとも1種以上の処理によりコアセルベ
ートの膜を補強硬化することができる。
【0020】本発明において、コアセルベートの生成の
際に系中に銅イオンを存在させておくと、コアセルベー
トの内部あるいは外表面に銅イオンが吸着した100〜
200μm程度のマイクロカプセルを得ることができ
る。銅イオンの取り込み量は、仕込み量に依存し、仕込
み量が少ない場合では、仕込み量の約80%も取り込む
ことができるが、仕込み量が多くなると、取り込み量に
限界があり、一定の量で飽和してしまう。また本発明を
人工皮膚として用いる場合、人工皮膚はコラーゲンの酸
性溶液にリン酸緩衝液で中和し、次いで40℃以下、好
ましくは35〜37℃に加温し、遠心分離等を用いて採
取することにより得られる線維状のコラーゲンマトリッ
クスに、銅イオンを含有した熱変性アテロコラーゲンと
ヘパリンのコアセルベートからなるマイクロカプセルを
添加して凍結乾燥させ得ることができる。この際に上記
の混合溶液をスチレン溶液に流し込み、凍結乾燥して多
孔体を形成させた後、基板上に延展された未だ粘着性を
ゆうする水蒸気透過性物質の薄膜上に載置し、該薄膜が
硬化するまで乾燥させ、最後に真空下0.05ton未満
で、50〜180℃、好ましくは100〜115℃で1
〜24時間、好ましくは2〜8時間加熱処理することに
より製造し得るものである。本発明においてコアセルベ
ートの生成の際に銅イオンを存在させておくと、コアセ
ルベートの内部あるいは外部に銅イオンが吸着したマイ
クロカプセルを得ることができる。銅イオンは硫酸銅,
酢酸銅,塩化銅,硝酸銅等特に制限はないが、酸化第1
銅(Cu2O)等のように銅イオンが1価の状態では水
に不溶となるので好ましくはない。
【0021】次に本発明の人工皮膚の水蒸気透過調節層
は、人工皮膚を創面に適用した際の創傷における水分を
調節するための層であり、適度な水蒸気透過を行ない、
創面に滲出液が貯留せず、かつ創面が湿潤に保持された
状態とし、一方滲出液中のタンパク質成分への漏出は防
止され、組織の修復に極めて好ましい環境を与えるもの
であれば特に限定されるものでなく、例えば、無毒性材
料からなる約500〜5000g/m224hrの水分フラッ
クスを有する層を用いることができる。また該層の厚さ
は5〜200μmが適当である。該無毒性材料として
は、シリコーンエラストマー,ポリウレタンエラストマ
ー(多孔質ポリウレタンを含む)が使用され、特にシリ
コーンエラストマーが好適である。また、本発明の創傷
治癒用基材は、上記の創傷治癒剤,人工皮膚以外にも、
人工骨,人工軟骨等にも使用することができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を示して具体的に説明
する。 (実施例1)アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を
0.3(W/V)%となるように蒸留水で膨潤させてアテロ
コラーゲン溶液とし、この水溶液を(24℃位)になじ
ませた後、60℃に保ったオーブン内にて約2時間加熱
操作を行い変性コラーゲンを得た。この変性コラーゲン
は変性温度(37℃)以上に保っておいた。なおこの処
理温度時間で得られた変性コラーゲンは冷却後にヘリッ
クス構造を一定の割合で再生できる範囲内のものであ
る。一方、ヘパリンを1(W/V)%となるように蒸留水
に溶かし、ヘパリン水溶液とした。なおヘパリンとして
得られているものは水に溶解後陽イオン交換樹脂でNa
部分をH+型に置換しておいた。それぞれの溶液を0.4
5μm以下のフィルターを通過させて夾雑物を除去後変
性温度以上で混合させた。更に硫酸銅水溶液0.05(W
/V)%を加えた。物質総量に対するヘパリンの仕込み量
は5(W/V)%以上40(W/V)%以下であるが、好まし
い範囲は10(W/V)%以上、30(W/V)%以下であ
る。この範囲内でコアセルベートの最大収量を期待でき
る。混合後1規定の塩酸を用いてpH調整をした。pH
の下降状態に応じて白濁を生じコアセルベート液滴が形
成され、更に1%のカルボジイミド(1−エチル−3
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩)水溶液で8時間処理して創傷被覆剤を得た。
【0023】(実施例2)アルギン酸ナトリウムを1
(W/V)%となるように蒸留水に溶かしアルギン酸水溶
液とし、0.45μm以下のフィルター通過後、0.3(W
/V)%変性アテロコラーゲン溶液,硫酸銅水溶液を混合
するほかは実施例1の場合と同様に操作して創傷治癒剤
を得た。
【0024】(実施例3)アテロコラーゲン粉末(高研
(株)製)を0.3(W/V)%となるように無水メタノー
ル−HCl溶液で膨潤させ、室温で72時間反応させ
て、メチル化アテロコラーゲンを得た。pH7付近で十分
に透析した後、凍結乾燥して粉末化した。このメチル化
アテロコラーゲンの粉末を0.3(W/V)%となるように
蒸留水で膨潤させてメチル化アテロコラーゲン溶液と
し、60℃に保ったオーブン内にて約60℃に保ったオ
ーブン内にて約2時間加熱操作を行い変性コラーゲンは
変性音(37℃)以上に保っておいた。なおこの処理温
度時間で得られた変性コラーゲンは冷却後にヘリックス
構造を一定の割合で再生できる範囲内のものである。一
方、ヘパリンを1(W/V)%となるように蒸留水に溶か
しヘパリン水溶液とした。それぞれの溶液を0.45μm
以下のフィルターを通過させて夾雑物を除去後、変性温
度以上で混合させた。更に硫酸銅水溶液0.05(W/V)
%を加える。物質総量に対するヘパリンの仕込み量は5
(W/V)%以上40(W/V)%以下であるが、好ましい範
囲は10(W/V)%以上、30(W/V)%以下である。混
合後pHを6〜8に調整すると白濁を生じコアセルベー
ト液滴が形成され、創傷治癒剤を得た。
【0025】(実施例4)アルギン酸ナトリウムを1
(W/V)%となるように蒸留水に溶かしアルギン酸水溶
液とし、0.45μm以下のフィルター通過後0.3(W/
V)%メチル化アテロコラーゲン溶液,硫酸銅水溶液を
混合するほかは実施例3の場合と同様に操作して創傷被
覆剤を得た。
【0026】(比較例1)アテロコラーゲンを0.3(W
/V)%となるように蒸留水で膨潤させてアテロコラーゲ
ン溶液とし、この水溶液を室温(24℃位)になじませ
た後60℃に保ったオーブン内にて約2時間加熱操作を
行い変性コラーゲンを得た。この変性コラーゲンは変性
温度(37℃)以上に保っておいた。なおこの処理温度
時間で得られた変性コラーゲンは冷却後にヘリックス構
造を一定の割合で再生できる範囲内のものである。一
方、コンドロイチン−6−硫酸を1(W/V)%となるよ
うに蒸留水に溶かし、コンドロイチン−6−硫酸水溶液
とした。それぞれの溶液を0.45μm以下のフィルタ
ーを通過させて夾雑物を除去後、変性温度以上で混合さ
せた。混合する際、物質総量に対するコンドロイチン−
6−硫酸の仕込み量は5(W/V)%以上40(W/V)%以
下である。混合後1規定のHClを用いてpHを調整し
た。pHの下降状態に応じて白濁を生じコアセルベート
液滴が形成され創傷治癒剤を得た。
【0027】(試験例1)創傷治癒剤のラット皮膚欠損
創への移植試験 上記の実施例1〜4と比較例1で得られたマトリックス
をラット背部皮膚に移植して試験した。Wistarラ
ット(180〜220g)をネンブタール麻酔下で除毛
し、イソジン消毒したラット背部に皮下筋膜を創面とす
る全創皮膚欠損創を生検用パンチ(φ=6mm、トレパ
ン)で作製し、止血,乾燥した後、検体を創面に塗り込
んだ。その上にオプサイト(スミス アンド ネフュー
(Smith & Nephew)社製)をのせ、更に
エラスチコン等の伸縮性絆創膏で胴巻きにし、圧迫固定
した。経時的に観察すると、1日目ではいずれも創面は
閉鎖していないが、5日目では実施例1〜4を塗った検
体の創面は閉鎖していたが、比較例1ではまだ閉鎖して
おらず治癒が完全ではなかった。
【0028】(実施例5)マイクロカプセルの作製 アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を0.3(W/V)
%となるように蒸留水を膨潤させてアテロコラーゲン溶
液とし、この懸濁液を室温(24℃位)になじませた後
60℃に保ったオーブン内にて約2時間加熱操作を行い
変性アテロコラーゲン溶液を得た。この変性アテロコラ
ーゲンは変性温度(37℃)以上に保っておいた。一方
ヘパリンを1(W/V)%となるように蒸留水に溶かしヘ
パリン水溶液を得た。それぞれの溶液を変性温度以上で
混合させた。混合させる際、物質総量に対するヘパリン
の仕込み量は、5(W/V)%以上50(W/V)%以下、好
ましくは範囲は10(W/V)%以上、30(W/V)%以下
であり、この範囲内で最大収量のコアセルベートを収穫
できた。混合後、硫酸銅水溶液を加え、更に1規定のH
Clを用いてpH調整をする。pHの下降状態に応じて
白濁を生じ、コアセルベート液滴が形成され、マイクロ
カプセルを得た。
【0029】(実施例6)マイクロカプセルの作製 実施例5と同様に変性アテロコラーゲンは変性温度(3
7℃)以上に保っておいた。一方、アルギン酸ナトリウ
ムを1(W/V)%となるように蒸留水に溶かしアルギン
酸水溶液を得た。それぞれの溶液を変性温度以上で混合
させた。混合後、硫酸銅水溶液を加え、更に1規定のH
Clを用いてpH調整をした。pHの下降状態に応じて
白濁を生じ、コアセルベート液滴が形成され、マイクロ
カプセルを得た。
【0030】(実施例7)マイクロカプセルの作製 アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を無水メタノー
ル−HCl溶液に分散させ、室温で72時間反応させ
た。この溶液を蒸留水で透析を3日間行い、凍結乾燥し
た。このメチル化アテロコラーゲンを0.3(W/V)%と
なるように蒸留水を加え、60℃に保ったオーブン内に
て約2時間加熱操作を行ない、メチル化熱変性アテロコ
ラーゲン溶液を得た。一方、ヘパリンを1(W/V)%と
なるように蒸留水に溶かし、ヘパリン水溶液を得た。そ
れぞれの溶液を変性温度以上で混合させた。混合後、硫
酸銅水溶液を加え、更にpH調整をすると、コアセルベ
ート液滴が形成され、マイクロカプセルを得た。
【0031】(実施例8)人工皮膚の作製 アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を4℃の温度下
でpH3.0の希塩酸に溶解して0.3〜0.4(W/V)%に
調製した。この溶液を0.8μm及び0.2μmの直径の空
孔を持つ2種のフィルターに順次通して濾過滅菌した
後、4℃に維持しつつ攪拌しながpH7.4のリン酸緩衝
液を加え、最終濃度が0.1〜1.15(W/V)%アテロ
コラーゲン(30mM Na2HPO4,100mM NaC
l)であるコラーゲン溶液とした。次いで37℃の恒温
槽内に4時間放置し、線維化アテロコラーゲン(FC)
溶液を調製した。そして、このFC溶液を無菌条件下で
遠心操作による濃縮を行い、濃度4(W/V)%に調製し
た。この溶液に実施例5で作製したマイクロカプセルを
添加した後、ステンレスパットに注入し、−30℃以下
で急速冷却して十分凍結させた後、−40℃/0.1ト
ール未満の真空下で凍結乾燥することにより、コラーゲ
ンマトリックスが得られた。次にテフロン板上に67%
メディカルサイラスティックスシリコーン(接着シリコ
ーンタイプA,ダウコーニング株式会社製)のヘキサン
溶液を精密被覆用具(アプリケーター)を用いて塗布し
製膜し、塗布した直後にその湿潤層上に上記のコラーゲ
ンマトリックスを載せ、室温で10分間放置した後、6
0℃で少なくとも1時間オーブンで硬化させた。更に真
空乾燥機を用いて、110℃、4時間真空加熱処理する
ことにより、本発明の人工皮膚を得た。
【0032】(実施例9)人工皮膚の作製 実施例8と同様な方法で4(W/V)%の線維化アテロコ
ラーゲン溶液(FC)を調製した。この溶液に実施例2
で作製したマイクロカプセルを添加した後、ステンレス
パットに注入し、−30℃以下で急速冷却して十分凍結
させた後、−40℃/0.1トール未満の真空下で凍結
乾燥することにより、コラーゲンマトリックスが得られ
た。更に上記と同様な方法でシリコーン膜をラミネート
することにより、本発明の人工皮膚を得た。
【0033】(実施例10)人工皮膚の作製 実施例8と同様な方法で4(W/V)%の線維化アテロコ
ラーゲン溶液(FC)を調製した。この溶液に実施例3
で作製したマイクロカプセルを添加した後、ステンレス
パットに注入し、−30℃以下で急速冷却して十分凍結
させた後、−40℃/0.1トール未満の真空下で凍結
乾燥することにより、コラーゲンマトリックスが得られ
た。更に上記と同様な方法でシリコーン膜をラミネート
することにより、本発明の人工皮膚を得た。
【0034】(試験例2)人工皮膚のラット皮膚欠損創
への移植試験 上記の実施例8,9,10で得られたマトリックスをラ
ットに背部皮膚に移植し試験した。Wistarラット
(200〜400g)をネンブタール麻酔下で除毛し、
イソジン消毒したラット背部皮膚に皮下筋膜を創面とす
る20×20mmの全創皮膚欠損創を作製し、止血,乾
燥した後、生食を含ませた検体を貼付した。シリコーン
膜辺縁を縫合糸で16ケ所結紮固定した。その上にソル
フレン(テルモ(株)製)を4枚重ね、更にエラスチコ
ン等の伸縮性絆創膏で胴巻きにし、圧迫固定した。移植
1週間後に上層部のシリコーンを剥がし、コラーゲンマ
トリックス上に自家植皮した分層植皮片を移植して、更
に4週間観察した。肉眼観察によると、実施例8,9,
10のマトリックス収縮はあまり見られず、植皮した分
層植皮は離脱していなかった。また組織学的観察では、
1週間目にはマトリックス中の下半分まで線維芽細胞が
侵入し、更に毛細血管が存在していた。
【0035】
【発明の効果】本発明の創傷治癒用基材は創傷治癒剤と
して用いた場合、生体成分であるコラーゲン及びグリコ
サミノグリカンの混合物と銅イオンからなることから、
生体、特に皮膚部位に優れた親和性を有し、更にコラー
ゲン及びグリコサミノグリカンの混合物がコアセルベー
トを形成し、更に銅イオンを含有することにより、損傷
部位への血管新生を促進することができる。また本発明
は、コラーゲンマトリックスに銅イオンを吸着させたマ
イクロカプセルを含有させた創傷治癒基材からなる創傷
治癒層と水蒸気透過調節層とが積層されている人工皮膚
として用いた場合、マイクロカプセルが熱変性アテロコ
ラーゲンとヘパリンあるいはアルギネートによるコアセ
ルベート構造を形成しており、創傷,熱傷,褥瘡等によ
り皮膚が損傷を受けた際に損傷面に適用され、真皮成分
の欠損部位に使用した際欠損部位の治癒に有効である。
本発明の人工皮膚は創傷接触層が細胞侵入性を有するの
で、創面に適用された際に、線維芽細胞が早期に創傷接
触層に侵入し、更に毛細血管が侵入し、真皮様の結合組
織を構築するので、創傷の治癒が促進され、更に移植し
て一定の期間保持した後、上層の水蒸気調節層を剥がし
て、自家植皮を移植しても生着することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】一方、創傷治癒を目的とした薬が開発さ
れ、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(basic FGF[basic
fibroblast growth factor])、血小板由来増殖因子(PD
GF[platelet-derived growth factor])、GHL-Cu錯体(Gl
ycyl-L-Histidyl-L-Lysine-CuComplex)やヘパリン−銅
錯体(heparin-Cu錯体)などがある。これらはいずれも血
管新生因子として知られている。しかし、これらの血管
新生因子は創傷面に適用した場合、創面から流れ出てし
まうため効果が半減してしまう。このため、適用頻度を
多くする必要があったり、他のマトリックスの中の(例
えば合成樹脂)に含有して使用したりしている。また、
コラーゲン・ヘパリン複合体は生体適合性材料として、
人工血管や人工臓器に用いる場合に生体適合性に優れ、
また内皮細胞の増殖性に優れていることが特開昭63−
68174号に記載されている。しかしながら、本発明
の利用分野である創傷治癒剤への適用は、何ら開示ない
し示唆されていない。特開昭60−222425号に
は、コラーゲンおよび走化性を誘発されるグルコスアミ
ノグリカンの懸濁液からなる創傷治癒剤が記載されてい
る。また、特開昭63−54328には線維状コラーゲ
ンとヘパリンまたはヘパリン類似のグリコサアミングリ
カンと血小板由来増殖因子あるいは線維芽細胞成長因子
の混合物からなる創傷包帯がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】また、本発明は下記の構成により達成され
る。 (1) 組織の修復が創傷の治癒を促進するのに使用す
る創傷治癒剤であって、コラーゲンマトリックスに変性
コラーゲンとヘパリンおよび/またはグリコサミノグリ
カンからなるコアセルベートに銅イオンを取り込んでい
るマイクロカプセルを有する創傷治癒用基材からなるこ
とを特徴とする創傷治癒剤。 (2) 前記変性コラーゲンは、牛真皮由来のコラーゲ
ンを原料とし、抗原基を除去し、それを40〜90℃の
温度範囲で熱変性させた熱変性アテロコラーゲンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (3) 前記変性コラーゲンは、コラーゲンを化学修飾
してメチル化コラーゲンを40〜90℃の温度範囲で熱
変性させた熱変性メチル化アテロコラーゲンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (4) 前記グリコサミノグリカンは、ヘパリンである
(1)記載の創傷治癒剤。 (5) 前記グリコサミノグリカンは、ヘパリン類似物
のグリコサミノグリカンである(1)記載の創傷治癒
剤。 (6) 前記グリコサミノグリカンは、アルギネートで
ある(1)記載の創傷治癒剤。 (7) 変性コラーゲン水溶液とグリコサミノグリカン
の水溶液を、硫酸銅水溶液の存在下で、変性コラーゲン
1重量部に対してグリコサミノグリカン水溶液0.05
〜0.4重量部となるような割合でコラーゲンの変性温
度以上(40〜90℃)の温度で混合し、次いで該混合
物のpHを3.0〜5.0に調整し、更にカルボジイミド等
の架橋剤で架橋することを特徴とする創傷治癒用基材か
らなる創傷治癒剤の製造法。 (8) メチル化コラーゲン水溶液とグリコサミノグリ
カンの水溶液を硫酸銅水溶液の存在下で、変性コラーゲ
ン1重量部に対してグリコサミノグリカン水溶液0.0
5〜0.4重量部となるような割合でコラーゲンの変性
温度以上(40〜90℃)の温度で混合し、次いで該混
合物のpHを6.0〜8.0に調整することを特徴とする創
傷治癒用基材からなる創傷治癒剤の製造法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】また、本発明は下記の構成よって達成され
る。 (9) コラーゲンマトリックスに、銅イオンを吸着さ
せたマイクロカプセルを含有させた創傷治癒用基材から
なる創傷治癒層と、水蒸気透過調節層とからなり、当該
マイクロカプセルが熱変性アテロコラーゲンとヘパリン
及び/またはアルギネートによるコアセルベート構造を
形成してなるマイクロカプセルであることを特徴とする
人工皮膚。 (10) 前記コラーゲンは、牛真皮由来のコラーゲン
を原料とし、プロクターゼ又はペプシンにより分子末端
の抗原基のテロペプチドを除去したアテロコラーゲンで
ある(9)記載の人工皮膚。 (11) 熱変性アテロコラーゲンかメチル化した熱変
性アテロコラーゲンである(9)及び(10)記載の人
工皮膚。 (12) 熱変性アテロコラーゲン水溶液とペプシン及
び/またはヘパリン類似物のグリコサミノグリカン水溶
液あるいはアルギン酸水溶液の濃度がそれぞれ0.1〜
1%(W/V)である(9)記載の人工皮膚。 (13) 水蒸気透過調節層はシリコーンエラストマー
である(9)項記載の人工皮膚。 (14) シリコーンエラストマーの水蒸気透過率が5
00〜5000g/m2・24hrである(13)記載
の人工皮膚。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明で使用されるコラーゲンとしては牛
真皮を酸性溶液中でプロテアーゼ処理して得られるタイ
プIコラーゲンが好適である。このコラーゲンは一般的
には低イオン強度下0.3%以下の濃度の酸性溶液では
透明で均一な溶液状態であるが中性条件下ではイオン強
度,温度等を適宜選択することにより生体中での状態と
類似した線維を形成させることができる。タイプIコラ
ーゲンは無架橋の単分子状態では分子量300,000
の3本鎖ヘリックス構造を有する長さ3000Å、直径
15Åの棒状分子でその両端部にテロペプチドと呼ばれ
るアミノ酸10数残基からなる非ヘリックス構造を有す
る。このテロペプチド部位は未変性コラーゲンの抗原性
の殆どを占め、ペプシン等のプロテアーゼによる加水分
解で容易に除去することができる。一方グリコサミノグ
リカンとしては、特にヘパリンとアルギネートが好まし
い。ヘパリン自身も血管内皮細胞の遊走を促進すること
が知られているが、血管新生因子を含む数多くの細胞成
長因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(basic
FGF),内皮細胞増殖因子(ECGF),酸性線維
芽細胞因子(acidic FGF)が、ヘパリンと親
知性を持つことも明らかになってきており、また、ヘパ
リンに対して親和性のないトランスフォーミング成長因
子(TGF−α,TGF−β)も血管新生因子として知
られてきた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】コラーゲンは変性温度と変性処理時間の程
度により、コラーゲン分子のらせん繊維(ヘリックス)
の巻き戻しの程度、pH変化に対する反応性等が異なる。
そのために、変性の程度を調整することにより、グリコ
サミノグリカン水溶液と混合したときに、適切にコアセ
ルベートを形成するようにすることができる。コラーゲ
ンは、37℃が熱変性温度であり、40℃以上の温度を
かけると、コラーゲン特有の3本鎖らせん構造を失い、
構造が変化する。分子鎖切断を伴わない立体構造の全面
的なランダム化も重要な因子であると思われる。例えば
90℃で24時間熱変性させたコラーゲンを用いた場合
は、コアセルベートは生成されなかった。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】原料となるコラーゲンは、前述したように
牛真皮由来のものを酸又はアルカリ処理した後、プロク
ターゼ又はペプシンにより処理し、その分子末端のテロ
ペプチドを消化除去した酵素処理コラーゲンを用いる。
この酵素処理コラーゲンを水で膨潤させて酵素処理コラ
ーゲン水溶液とし、これを加熱することにより熱変性さ
せ、変性処理する。このコラーゲンの熱変性は、37℃
前後を境として起こるために、40℃以上に加熱し確実
に変性させることが好ましい。90℃以上への加熱は水
溶液の沸騰により、コラーゲンに不可逆的な変性が起こ
って、コアセルベート生成を妨げると考えるのでこれを
防止するために、避けることが良い。好適な加熱変性処
理は、60℃前後の温度に数時間保持するものである。
このようなコラーゲンは、そのままではコアセルベーシ
ョン現象を起こさないので、本発明の創傷治癒剤を生成
することはできない。上記の変性処理を行うことで、初
めてコアセルベーション現象、即ち、コアセルベート構
造が可能となる。コアセルベート構造からなるマイクロ
カプセルは、必要により常法に従ってカルボジイミド処
理ホルマリン処理,熱脱水処理,反復凍結融解処理から
選択された少なくとも1種以上の処理によりコアセルベ
ートの膜を補強硬化することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】本発明において、コアセルベートの生成の
際に系中に銅イオンを存在させておくと、コアセルベー
トの内部あるいは外表面に銅イオンが吸着した100〜
200μm程度のマイクロカプセルを得ることができ
る。銅イオンの取り込み量は、仕込み量に依存し、仕込
み量が少ない場合では、仕込み量の約80%も取り込む
ことができるが、仕込み量が多くなると、取り込み量に
限界があり、一定の量で飽和してしまう。また本発明を
人工皮膚として用いる場合、人工皮膚はコラーゲンの酸
性溶液にリン酸緩衝液で中和し、次いで40℃以下、好
ましくは35〜37℃に加温し、遠心分離等を用いて採
取することにより得られる線維状のコラーゲンマトリッ
クスに、銅イオンを含有した熱変性アテロコラーゲンと
ヘパリンのコアセルベートからなるマイクロカプセルを
添加して凍結乾燥させ得ることができる。この際に上記
の混合溶液をスチレン溶液に流し込み、凍結乾燥して多
孔体を形成させた後、基板上に延展された未だ粘着性を
ゆうする水蒸気透過性物質の薄膜上に載置し、該薄膜が
硬化するまで乾燥させ、最後に真空下0.05torr未満
で、50〜180℃、好ましくは100〜115℃で1
〜24時間、好ましくは2〜8時間加熱処理することに
より製造し得るものである。本発明においてコアセルベ
ートの生成の際に銅イオンを存在させておくと、コアセ
ルベートの内部あるいは外部に銅イオンが吸着したマイ
クロカプセルを得ることができる。銅イオンは硫酸銅,
酢酸銅,塩化銅,硝酸銅等特に制限はないが、酸化第1
銅(Cu2O)等のように銅イオンが1価の状態では水
に不溶となるので好ましくはない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】(実施例3)アテロコラーゲン粉末(高研
(株)製)を0.3(W/V)%となるように無水メタノー
ル−HCl溶液で膨潤させ、室温で72時間反応させ
て、メチル化アテロコラーゲンを得た。pH7付近で十分
に透析した後、凍結乾燥して粉末化した。このメチル化
アテロコラーゲンの粉末を0.3(W/V)%となるように
蒸留水で膨潤させてメチル化アテロコラーゲン溶液と
し、60℃に保ったオーブン内にて約2時間加熱操作を
行い変性コラーゲンは変性温(37℃)以上に保ってお
いた。なおこの処理温度時間で得られた変性コラーゲン
は冷却後にヘリックス構造を一定の割合で再生できる範
囲内のものである。一方、ヘパリンを1(W/V)%とな
るように蒸留水に溶かしヘパリン水溶液とした。それぞ
れの溶液を0.45μm以下のフィルターを通過させて夾
雑物を除去後、変性温度以上で混合させた。更に硫酸銅
水溶液0.05(W/V)%を加える。物質総量に対するヘ
パリンの仕込み量は5(W/V)%以上40(W/V)%以下
であるが、好ましい範囲は10(W/V)%以上、30(W
/V)%以下である。混合後pHを6〜8に調整すると白
濁を生じコアセルベート液滴が形成され、創傷治癒剤を
得た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲンマトリックスに、銅イオンを
    結合および/または吸着させたマイクロカプセルが含ま
    れており、当該マイクロカプセルが変性コラーゲンとグ
    リコサミノグリカンによるコアセルベート構造からなる
    ことを特徴とする創傷治癒用基材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012533352A (ja) * 2009-07-16 2012-12-27 ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ 哺乳類の組織再生用の微量元素含有スキャフォールド
CN105664239A (zh) * 2016-03-23 2016-06-15 成都交大麦迪克科技有限公司 一种自粘附皮肤修复水凝胶的制备方法
CN108042843A (zh) * 2017-12-22 2018-05-18 泉州市晋江恒安卫生科技有限公司 功能性微胶囊制备方法

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