JPH05285211A - 人工皮膚 - Google Patents

人工皮膚

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JPH05285211A
JPH05285211A JP4094329A JP9432992A JPH05285211A JP H05285211 A JPH05285211 A JP H05285211A JP 4094329 A JP4094329 A JP 4094329A JP 9432992 A JP9432992 A JP 9432992A JP H05285211 A JPH05285211 A JP H05285211A
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JP
Japan
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collagen
heparin
artificial skin
skin
wound
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Application number
JP4094329A
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English (en)
Inventor
Risako Matsui
理佐子 松井
Mikio Koide
幹夫 小出
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 コラーゲン産生を促進させる作用を有する物
質を含有させてなるマトリックスからなる創傷接触層
と、水蒸気透過調節層とを積層してなることを特徴とす
る人工皮膚。 【効果】 創傷、熱傷、じょく瘡等により皮膚が損傷を
受けた際に損傷面に適用され、創傷接触面が細胞侵入性
を有するので、線維芽細胞が早期に創傷接触層に侵入
し、真皮様の結合組織を構築するので創傷の治癒が促進
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、創傷・熱傷等の皮膚損
傷部を乾燥させず柔らかく保護する作用を有し、早期に
自己の組織と置換する人工皮膚に関する。
【0002】
【従来の技術】熱傷、採皮創および皮膚剥削創、外傷性
皮膚欠損創等の疾患ないし創傷による患部を保護し、治
癒を促進する目的のために、患部に一時的に適応される
創傷被覆材として、従来、ガーゼ、脱脂綿等が用いられ
てきたが、これらは細菌感染防止が低く、かつ滲出液を
速やかに吸収するために創面が乾燥してしまうと取り外
す際に、痛み、出血等を伴った。
【0003】また、軟膏等を併用することも行われてい
るが、この場合は逆に滲出液の吸収が不充分で創面が過
度に湿った状態になってしまうものであった。
【0004】また、これらに代わるものとしては、特に
創面が広範囲にわたる場合に適用されるものとして、シ
リコーン製ガーゼ、シリコーンゴム製およびベロアー状
の表面構造を有するナイロン、テフロンなど合成樹脂シ
ート等の人工材料の被覆膜や凍結乾燥豚皮、キチン不織
布、コラーゲン膜、ポリアミノ酸スポンジ、ムコ多糖複
合コラーゲン膜等の生体由来材料の被覆膜も知られてい
る。
【0005】しかしながら、これらのうち人工材料の被
覆膜は、患部との密着性、水蒸気透過性、ひび割れなど
の点で種々の問題点を残し、一方生体由来材料の被覆膜
は生体適合性が良いなどの特徴を有するが、その多くは
抗原性を有し、また細菌感染、滲出液による劣化などの
欠点を有し、さらに材料が入手しにくい等の問題があっ
た。
【0006】さらに最近では、コラーゲン処理したナイ
ロンメッシュとシリコーン膜からなる複合膜が開発され
実用化されており、よく密着し、適度な水分透過性を有
するが、創面に固着し、肉芽組織が被覆膜中に入り込む
という欠点があった。
【0007】また同様に、上記問題点を解決する方法と
してコラーゲンを用いた人工材料が開発されている。一
般にコラーゲン自体は生体由来材料であるため、細胞、
組織に対する親和性が大きく、生体適合性に優れ好適な
材料であることは上述した通りである。そこで、人工材
料としてコラーゲンを利用するにあたっては、適当な方
法で架橋を導入し、物性面の強化を図る工夫が成された
ものが用いられる。当該架橋の方法としては、加熱によ
る脱水架橋、薬品を用いる化学架橋等を採用したものが
開発されている。
【0008】このうち熱脱水架橋は薬品処理に比べ安全
性が高いが、物理的にコラゲナーゼ、酵素に対する耐性
が化学的架橋に対し低いため、通常化学架橋を熱架橋と
併用させたり、または化学的架橋単独で用いる方法が選
択されており、こうした架橋を導入した人工材料を用い
る場合、上記以外に物性面で性質が著しく向上する等の
優れた効果を奏するものである。
【0009】例えば110℃の温度で真空下に24時間
置いて熱的な架橋を導入した場合、該人工材料の検体で
はコラゲナーゼ3unit/ml中に37℃下で静置す
ると1日以内に該人工材料中のコラーゲンが溶解するの
に対し、イソシアネート系の薬品を用いた化学的架橋の
みを施した該人工材料の検体ではコラゲナーゼ100u
nit/ml中に37℃下で7日経過しても形態に変化
が見られない。
【0010】しかしながら、前記人工材料を人工皮膚と
して使用する場合、強固な架橋を導入すると、導入前に
コラーゲンが有していた細胞、組織に対する親和性が大
幅に低下し、コラーゲンマトリックス内にマクロファー
ジ、好中球などの炎症性細胞や線維芽細胞はほとんど存
在することができず、やがてはマトリックスを排除して
表皮形成し、いわゆるダウン・グロウス(down g
rowth)がおこり、炎症肉芽が形成されてしまう欠
点を有する。
【0011】一方、細胞侵入性の良好なコラーゲン−変
性コラーゲンマトリックスを形成されてなる前記コラー
ゲンを用いた人工材料も開発されており、早期に好中球
やマクロファージが浸潤し、さらに線維芽細胞が侵入す
ることができる。
【0012】しかしながら、前記人工材料では開放創と
同様に創収縮を生じる欠点を有している。つまり、これ
らの人工材料においては、物性面の強化と細胞に対する
親和性という生物学的性能の向上とは両立が困難な相反
する実象であり、双方を満足する創傷被覆材あるいは人
工皮膚の出現が望まれていた。
【0013】現在までに、上記問題点を解決するものと
して、細胞侵入性の良好なコラーゲンマトリックス層と
架橋を十分に施したコラーゲンの支持層と、水蒸気透過
調節層からなる3層構造の人工皮膚が本発明者らによっ
て開示されている(特開平2−34165号)。
【0014】この人工皮膚は動物実験において創面に適
用された際に線維芽細胞が早期に創傷接触層に侵入し、
真皮様の結合組織を構築するので創傷の治癒が促進され
てなるものである。しかし、この人工皮膚を広範囲の熱
創傷または広範囲の皮膚欠損部位に適用する場合、表皮
の伸展等に限界があるため、治癒するのに非常に時間が
かかる欠点を有していた。
【0015】しかし、この欠点に関しては、一般的に臨
床で行われて分層植皮を併用することが可能であり、あ
る一定の期間上記の人工皮膚を移植した後、水蒸気透過
調節層と架橋を十分に行った支持層を剥がし、分層植皮
を行うと生着することができ、該方法により上記欠点を
補うことができ広範囲の欠損部位に適用することも一定
条件下では可能ではある。
【0016】しかし、この方法では分層植皮の移植時期
が遅くなると、コラーゲンが徐々に分解することから、
新たに創面の拘縮がおこるため、早い時期に分層植皮を
する必要があり、完全なものとすることはできず、これ
ら問題点を十分に解決してなる創傷被覆材および人工皮
膚は未だに得られてないのが現状である。
【0017】更に、本発明に用いられてなるコラーゲン
・ヘパリン複合体は生体適合材料として人工血管や人工
臓器に用いる場合に、生体適応性に優れ、また内皮細胞
の増殖性に優れていることが特開昭63−68174号
に記載されている。
【0018】しかしながら、本発明の利用分野である創
傷被覆材および人工皮膚材料への適用は、何ら開示ない
し示唆されているものではない。
【0019】特開昭60−222425には、コラーゲ
ンおよび走化性を誘発されるグルコスアミノグリカンの
懸濁液からなる創傷治癒剤が記載されている。また、特
開昭63−54328には線維状コラーゲンとヘパリン
またはヘパリン類似のグリコサアミングリカンと血小板
由来増殖因子あるいは線維芽細胞成長因子の混合物から
なる創傷包帯がある。
【0020】その他の先行技術としては、創傷治癒を促
進させるために、コラーゲンとムコ多糖類が不可逆的に
結合してなる架橋重合体が特公昭54−3779に記載
されており、また人工皮膚に関しては架橋されたコラー
ゲン・ムコ多糖類からなる第1層と水分透過調節層との
多層膜が、特公昭57−27834に記載されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】従来の創傷被覆材ある
いは人工皮膚は、上述したようにそれぞれ問題点を有し
ているので、熱傷等により皮膚組織が損失した場合の患
部に対する処理としては、自家移植(オートグラフト
[autograft])が現在最善の方法とされてい
る。
【0022】しかしながら、皮膚欠損部が広範囲にわた
る場合等においては、非常に困難であり、適用可能であ
っても長時間にわたって幾度となく移植を繰り返す必要
がある。
【0023】また、自家移植に代わって患部を一時的に
被覆する方法として他家移植(アログラフト[allo
graft])が適用されている。他家移植は血管が確
保されているため、感染しにくいなどの利点があるが、
やがては皮膚部分は脱落してしまう。
【0024】そこで、自家移植や他家移植に代わって患
部を被覆して毛細血管他を早期に誘導して細菌感染を防
止することができるような人工皮膚の開発が望まれてい
る。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記諸目
的を解決すべき鋭意検討した結果、創傷部に接触し得る
部位が細胞侵入性の良好なコラーゲン・ヘパリン、変性
コラーゲンとアスコルビン酸リン酸エステルを含んだマ
トリックスと、該創傷部接触層と密接した水蒸気透過調
節層からなることを特徴とする人工皮膚によって上記目
的が達成されることを知り、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0025】上記目的は、下記の構成を有する本発明の
人工皮膚によって達成される。
【0026】(1) コラーゲン産生を促進させる作用
を有する物質を含有させてなるマトリックスからなる創
傷接触層と、水蒸気透過調節層とを積層してなることを
特徴とする人工皮膚。
【0027】(2) 前記マトリックスが線維化コラー
ゲン・ヘパリン複合体である上記(1)記載の人工皮
膚。
【0028】(3) 前記ヘパリンの前記人工皮膚全体
に対する含有比が、0.1〜2.0重量%である上記
(1)および(2)記載の人工皮膚。
【0029】(4) 前記コラーゲン産生を促進させる
作用を有する物質がアスコルビン酸またはアスコルビン
酸リン酸エステルである上記(1)〜(3)記載の人工
皮膚。
【0030】(5) 前記コラーゲン産生を促進させる
作用を有する物質がキチンまたはキチン誘導体である上
記(1)〜(3)記載の人工皮膚。
【0031】(6) 前記コラーゲン産生を促進させる
作用を有する物質の前記人工皮膚全体に対する含有比
が、0.1〜10重量%である上記(1)〜(5)記載
の人工皮膚。
【0032】(7) 前記マトリックスが線維化コラー
ゲン・ヘパリン複合体、およびヘリックス含量が0〜8
0%である変性コラーゲンである上記(1)記載の人工
皮膚。
【0033】(8) 前記変性コラーゲンの前記人工皮
膚全体に対する含有比が、5〜30重量%である上記
(7)記載の人工皮膚。
【0034】(9) 前記ヘパリンの前記人工皮膚全体
に対する含有比が、0.1〜2.0重量%である上記
(7)記載の人工皮膚。
【0035】(10) 前記コラーゲン産生を促進させ
る作用を有する物質がアスコルビン酸またはアスコルビ
ン酸リン酸エステルである上記(7)〜(9)記載の人
工皮膚。
【0036】(11) 前記コラーゲン産生を促進させ
る作用を有する物質がキチンまたはキチン誘導体である
上記(7)〜(9)記載の人工皮膚。
【0037】(12) 前記コラーゲン産生を促進させ
る作用を有する物質の前記人工皮膚全体に対する含有比
が、0.1〜10重量%である上記(7)〜(11)記
載の人工皮膚。
【0038】本発明に用いるコラーゲン産生を促進する
物質は、アスコルビン酸あるいはアスコルビン酸リン酸
エステル、及びキチンあるいはキチン誘導体などがあ
る。
【0039】アスコルビン酸はビタミンCとも呼ばれて
おり、分子内にエンジオール基を持ち、そのために反応
性に富み、容易に酸化されてデヒトロアスコルビン酸と
なる。アスコルビン酸及びアスコルビン酸リン酸エステ
ルの生理活性は、今日なお不明瞭な点が多いが、現在明
らかになっている作用としては、コラーゲンの生成と維
持に必要なことが挙げられている。
【0040】また、アスコルビン酸は中性溶液中37℃
で酸素存在下では、非常に不安定であったが、L−アス
コルビン酸リン酸エステルはコラーゲン合成のコファク
ター活性を持ち、また生理下でも安定であることが明ら
かである。
【0041】一方、キチンはキチン不織布の形で創傷被
覆材として使用されており、治癒機序は今日なお不明瞭
な点が多いがキチン不織布をどん食した組織球他がコラ
ーゲンの細線維を産生するのに何らかの役割を果たして
いることは明らかである。
【0042】上記の理由より、本発明において、アスコ
ルビン酸、特に活性持続型のL−アスコルビン酸リン酸
エステル、もしくはキチンまたはその誘導体を含有させ
るこたが自己のコラーゲン線維の産生を促進させるうえ
で好ましい。
【0043】本発明に用いるコラーゲンは、特に限定し
ないが牛真皮由来のものを酸またはアルカリ処理して得
られるファイバーコラーゲンをプロクターゼまたはペプ
シンで処理し分子末端の抗原基のテロペプチドを消化除
去した酵素処理コラーゲン(アテロコラーゲン)を用い
ることが好ましい。
【0044】本発明に用いる変性コラーゲンは、ヘリッ
クス含量は0〜80%であり、好ましくは0〜50%、
より好ましくは30〜50%である。ヘリックス含量と
はコラーゲン特有の3重鎖ヘリックス含量のことで、変
性コラーゲンはこのヘリックスがランダム化しているた
めに、ヘリックス含量が変性度に対応する。コラーゲン
の変性には、例えば加熱処理、化学処理または物理処理
等により行うことができるが、特にコラーゲン溶液を6
0℃で加熱処理するものが最も好ましい。
【0045】本発明の人工皮膚の創傷被覆層は、線維化
コラーゲン・ヘパリン複合体水溶液及びコラーゲン産生
を促進する物質、特に好ましくはL−アスコルビン酸リ
ン酸エステルの水溶液を混合し、凍結乾燥することによ
り得られる。
【0046】本発明の人工皮膚の創傷被覆層は、線維化
コラーゲン・ヘパリン複合体水溶液、変性コラーゲンの
水溶液及びコラーゲン産生を促進する物質、特に好まし
くはL−アスコルビン酸リン酸エステルの水溶液を混合
し、凍結乾燥することにより得られる。
【0047】本発明の水分透過調節層は、人工皮膚を創
面に適用した際の創傷における水分を調節するための層
であり、適度な水蒸気透過を行い、創面に滲出液が貯留
せず、かつ創面が湿潤に保持された状態とし、一方、滲
出液中のタンパク質成分の外部への漏出は防止され、組
織の修復に極めて好ましい環境を与えるものであれば、
特に限定されるものではなく、例えば無毒性材料からな
る約500〜5000g/m2・24hの水分フラック
スを有する層を用いる。厚さは5〜200μmが適当で
ある。当該無毒性材料としては、シリコーン樹脂、ポリ
アクリレートエステル、ポリメタクリレートエステル、
ポリウレタン等が挙げられるが、特にシリコーンが好ま
しい。
【0048】線維状のコラーゲン・ヘパリン複合体の形
成は、中性あるいは弱アルカリ性水溶液中で加温するこ
とにより線維を形成する。この線維の形成度は溶液の懸
濁を測定することにより知ることができる。
【0049】本発明者らは、ヘパリンがコラーゲンの線
維形成に及ぼす影響を、濁度を指標として観察した。氷
浴中、0.5mg/mlペプシン処理コラーゲン(アテ
ロコラーゲン)、24mMNa2HPO4−6mMNaH
2PO4、150mMNaCl(pH7.1)の水溶液中
にヘパリンを添加し、これを35℃で6時間加温し、コ
ラーゲン線維を形成させた時の濁度をスペクトロフォト
メーター(日立製作所株式会社製、UV−300)を用
いて430nmによる値を測定した。その結果を図1に
示す。
【0050】図1よりヘパリンは線維形成を促進させる
ことが明らかであり、該ヘパリンの効果は線維形成時に
ヘパリンが存在する場合にのみ発揮され、コラーゲン線
維形成後にヘパリンを加えても濁度に変化はないことが
確認された。
【0051】また図2に、調製時の全ヘパリン濃度と5
00μgのコラーゲンに結合しているヘパリン量の関係
を示した。
【0052】図2より明らかにヘパリン濃度が高いほど
コラーゲンのヘパリン含量は高く、コラーゲン線維形成
時にヘパリンが存在する場合に比較してコラーゲンのヘ
パリン含量が多いことが確認された。
【0053】すなわち、図1および図2の結果より、コ
ラーゲン線維形成時にヘパリンを共存させることによ
り、所望の線維状のコラーゲン・ヘパリン複合体を形成
することができ、好適であることが明らかである。
【0054】一方、線維状のコラーゲン・ヘパリン複合
体を凍結乾燥した形成体を真空下0.05トール未満で
110℃、4時間加熱処理した。図3にこの形成体から
のヘパリンの徐放性を示した。
【0055】図3より血清中では20時間には約60%
位ヘパリンが徐放されていることが確認された。また、
この形成体はpH9〜10では、大部分のヘパリンが徐
放されることが確認された。
【0056】したがって本発明のアスコルビン酸エステ
ルを含有した線維状のコラーゲン・ヘパリン複合体から
なるマトリックスの製造法としては、コラーゲンの酸性
溶液をヘパリンの存在下で中和・加熱して得る方法が好
ましい。該コラーゲンの酸性溶液のpHとしては、2〜
4が好ましく、より好ましくは2.5〜3.5である。
また、加熱温度としては、40℃以下、好ましくは35
〜37℃の範囲である。40℃を越える場合には、コラ
ーゲン自身が熱変性してゼラチン状のコラーゲンを形成
し易く、線維化され難しくなるため好ましくない。この
溶液にL−アスコルビン酸リン酸エステルを最終濃度が
1mMになるように添加して、十分撹拌する。
【0057】また、酸性溶液中のコラーゲンの濃度は約
0.3(w/v)%程度が好ましい。ヘパリンの添加量
は約1〜1000μg/mlとなる量が好ましく、好ま
しくは10〜100μg/mlである。ヘパリンの添加
量が1000μg/mlを越える場合には線維状のコラ
ーゲン・ヘパリン複合体が得られず好ましくない。
【0058】以下、実施例を示し本発明の人工皮膚につ
いてさらに詳細に説明する。
【0059】
【実施例】
(実施例1)コラーゲン・ヘパリン複合体の調製 リン酸緩衝溶液に最終濃度が、16μg/mlになるよ
うにヘパリン−ナトリウム溶液(ブタ小腸粘膜由来)を
加え、氷浴中で最終濃度が1.5mg/mlになるよう
に牛真皮由来ペプシン処理コラーゲン(高研株式会社
製、アテロコラーゲン)を加えた。その後、37℃で4
時間加温処理して、コラーゲン・ヘパリン複合体の懸濁
液を得た。
【0060】(実施例2)コラーゲン・ヘパリン−変性コラーゲン混合溶液の調製 実施例1で調製したコラーゲン・ヘパリン溶液を無菌条
件下で遠心操作による濃縮を行い、濃度を4(w/v)
%に調製した。一方、0.3〜0.4(w/v)%のア
テロコラーゲン溶液を凍結乾燥し、再び無菌の蒸留水に
6.6(w/v)%となるように再溶解し、これを60
℃の恒温槽内に30分間放置して熱変性を生ぜしめ変性
アテロコラーゲン溶液とした。
【0061】この変性コラーゲン溶液を37℃の温度条
件下で0.45μmの直径を持つフィルターを通して濾
過滅菌した後、上記の4(w/v)%コラーゲン・ヘパ
リン溶液に対し、式「変性コラーゲン(w/v)%/
(コラーゲン・ヘパリン+変性コラーゲン)(w/v)
%=0.1」を満たすように混合し調製した。
【0062】(実施例3)コラーゲン・ヘパリン−アスコルビン酸混合溶液の調製 実施例1で調製したコラーゲンヘパリン溶液を無菌条件
下で遠心操作による濃縮を行い、濃度4(w/v)%に
調製した。さらに、L−アスコルビン酸リン酸エステル
マグネシウム(和光純薬株式会社製)を最終濃度が1m
Mとなるように添加し、十分撹拌して、アスコルビン酸
含有の線維化アテロコラーゲン・ヘパリン混合溶液を調
製した。
【0063】(実施例4)アスコルビン酸含有のコラーゲン・ヘパリン−変性コラ
ーゲン混合溶液の調製 実施例2で得られたコラーゲン・ヘパリン−変性コラー
ゲン混合溶液にL−アスコルビン酸リン酸エステルマグ
ネシウムを最終濃度が1mMになるように添加し、十分
撹拌し、アスコルビン酸含有のコラーゲン・ヘパリン−
変性コラーゲン混合溶液を調製した。
【0064】(実施例5)人工皮膚の作成 実施例3で調製した4(w/v)%コラーゲン・ヘパリ
ン−アスコルビン酸の混合溶液をステンレスパットに注
入し、−30℃以下に急速冷却して十分凍結させた後、
−40℃、0.1トール未満の真空下で凍結乾燥させる
ことにより、コラーゲン・ヘパリン−アスコルビン酸の
マトリックスが得られた。
【0065】次にテフロン平板上に67%のメディカル
グレートサイラスティックスシリコーン(ダウコーニン
グ株式会社製、接着シリコーンタイプA)のヘキサン溶
液を精密被覆用具(アプリケーター)を用いて塗布して
製膜し、塗布した直後に、その湿潤層上に上記のコラー
ゲン・ヘパリン−アスコルビン酸マトリックスを載せ、
室温で10分間放置した後、60℃で少なくとも1時
間、オーブン硬化させた。さらに、0.05トール未満
の真空下で110℃、4時間加熱処理することにより人
工皮膚を得た。
【0066】(実施例6)人工皮膚の作成 実施例4で調製した4(w/v)%コラーゲン・ヘパリ
ン−変性コラーゲンの混合溶液に、L−アスコルビン酸
エステルを加え十分撹拌した後、ステンレスパットに注
入し、−30℃以下に急速冷却して十分凍結させた後、
−40℃、0.1トール未満の真空下で凍結乾燥させる
ことにより、アスコルビン酸を含有したコラーゲン・ヘ
パリン−変性コラーゲンのマトリックスが得られた。
【0067】次にテフロン平板上に67%のメディカル
グレートサイラスティックスシリコーン(ダウコーニン
グ株式会社製、接着シリコーンタイプA)のヘキサン溶
液を精密被覆用具(アプリケーター)を用いて塗布して
製膜し、塗布した直後に、その湿潤層上に上記のコラー
ゲン・ヘパリン−アスコルビン酸マトリックスを載せ、
室温で10分間放置した後、60℃で少なくとも1時
間、オーブン硬化させた。さらに、0.05トール未満
の真空下で110℃、4時間加熱処理することにより人
工皮膚を得た。
【0068】(実施例7)人工皮膚のラット皮膚欠損創への移植試験 上記実施例5及び実施例6で得られたマトリックスをラ
ットの背中皮膚に移植して試験した。
【0069】200〜400gのwistar−KYラ
ットをネンブタール麻酔下で除毛し、イソジン消毒した
ラット背部に皮下筋膜を創面とする20×20mmの全
創皮膚欠損創を作製し、止血、乾燥した後、生塩を含ま
せた検体をそれぞれ貼付した。シリコーン膜辺縁を縫合
糸で16ケ所結紮固定した。その上に、ソルフレン(登
録商標、テルモ株式会社製)・貼付剤を4枚重ね、更に
エラスチンコン等の伸縮性絆創膏で胴巻きにし圧迫固定
した。
【0070】移植2週間後に、上層部のシリコーンをは
がし、コラーゲン・ヘパリン−アスコルビン酸層(人工
皮膚)上に自家の分層植皮片を移植して更に4週間観
察した。
【0071】また移植1週間後に、上層部のシリコーン
をはがし、アスコルビン酸を含有したコラーゲン・ヘパ
リン−変性コラーゲン酸層(人工皮膚)上に自家の分
層植皮片を移植して更に4週間観察した。
【0072】その結果、ほとんど収縮せず、植皮した分
層植皮片が生着していることが肉眼で確認できた。病理
組織学的にも、人工皮膚を使用して再生された真皮様組
織と生着した分層植皮片はよく密着しており、分層植皮
片の下には、再生された新しいコラーゲン線維が確認で
きた。
【0073】(実施例8)上記各実施例と同様な方法で
キチン(ポリ−N−アセチルグルコサミン)(フナコシ
社製)を含有した人工皮膚を作成し、ラット皮膚欠損創
への移植試験を行った結果、上記実施例1〜6の人工皮
膚と同様な結果が得られた。
【0074】
【発明の効果】本発明は細胞侵入性によって形成された
コラーゲン・ヘパリン−変性コラーゲンマトリックスに
コラーゲン産生を促進する物質を含有した創傷接触層と
水蒸気透過層とが積層されてなる人工皮膚であり、創
傷、熱傷、じょく瘡等により皮膚が損傷を受けた際に、
損傷面に適応され、創面を柔らかく保護し、痛みを和ら
げ、細菌の感染を防止する。
【0075】本発明は細胞侵入性によって形成されたコ
ラーゲン・ヘパリンマトリックスにコラーゲン産生を促
進する物質を含有した創傷接触層と水蒸気透過層とが積
層されてなる人工皮膚であり、創傷、熱傷、じょく瘡等
により皮膚が損傷を受けた際に、損傷面に適応され、創
面を柔らかく保護し、痛みを和らげ、細菌の感染を防止
する。
【0076】さらに本発明の人工皮膚は、創傷接触面が
細胞侵入性を有するので、創面の適応された際に線維芽
細胞が早期に創傷接触層に侵入し、真皮様の結合組織を
構築するので創傷の治癒が促進される。
【0077】さらに、移植して一定の期間保持した後、
上層の水蒸気透過調製層を剥がして、自家の分層植皮を
移植しても生着することができる。
【図面の簡単な説明】
図1・・・ヘパリンがコラーゲンの線維形成に及ぼす影
響を、濁度を指標として観察した結果を図示したもの。 図2・・・調整時の全ヘパリン濃度と500μgのコラ
ーゲンに結合しているヘパリン量の関係を図示したも
の。 図3・・・線維状のコラーゲン・ヘパリン複合体を凍結
乾燥した形成体を真空下0.05トール未満で110
℃、4時間加熱処理し、この形成体からのヘパリンの徐
放性を図示したもの。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲン産生を促進させる作用を有す
    る物質を含有させてなるマトリックスからなる創傷接触
    層と、水蒸気透過調節層とを積層してなることを特徴と
    する人工皮膚。
JP4094329A 1992-04-14 1992-04-14 人工皮膚 Pending JPH05285211A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006334430A (ja) * 2000-12-21 2006-12-14 Ethicon Inc 強化した組織移植片およびその製造および使用の方法
WO2014115732A1 (ja) 2013-01-25 2014-07-31 富士フイルム株式会社 移植用人工真皮およびその製造方法

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