JPH0612494U - 装飾用の幅編物生地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 横配列となる筒状編成部とフリル状片とが交
互に編み出されるために、デザイン的に優れた素材とな
り、殊に、フリルを縫着するような手数が省けるため
に、量産および省力化に適する装飾用の幅編物生地を提
供する。 【構成】 シングル鎖糸と裏生地挿入糸とで編成された
裏生地の上に、表生地鎖糸と表生地挿入糸とで編成され
た表生地を、ダブル鎖糸で連結させて筒状編成部を列設
するとともに、設定された編み長において、切替挿入糸
を自動的に組織変更させることにより、表生地の側で筒
状編成部を開放し、開放された表生地が裏生地に一辺で
接編されているフリル状片を列設してなる装飾用の幅編
物生地を構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、衣類の一部としてまたは衣類に装着して使用する装飾用の幅編物 生地に関する。

【０００２】

【従来の技術】

最近では、殊にカジュアルウエアやスポーツウエアにおいて、装飾性の豊かな デザインが要求されるようになり、その要求に応じるために、種々の手段が用い られる。その手段としては、編み方によるもの、縫継ぎによるもの、貼着による もの、フリル付け等を挙げることができる。

【０００３】 編み方による場合には、異なる色彩の編み糸の編成により、種々な絵や模様が 表される。縫継による場合は、色彩の異なる生地を縫い合わせることにより本体 身生地を仕立て、そのデザイン化が図られる。また、貼着によるときには、ワッ ペン等のアクセサリやポイントアクセントが本体身生地の一部に当てて縫着され る。フリル付けは、テープ状の細幅編物生地を一側縁で本体身生地に縫着して列 設して行われ、これによりひだ取りの装飾が施される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のうち、編み方と縫継ぎによるものでは、デザインの立体性に欠けること になるため、豊かな装飾性が得られない。また、貼着によるものや、フリル付け の場合であると、それが本体身生地を構成しないにもかゝわらず、別途に縫い付 けや貼付け工程が必要である。

【０００５】 殊に、フリル付けの場合であると、フリルが幅狭いために、本体身生地に縫着 する手間が掛かり過ぎ、非常に細かい作業が必要であって、それを完璧にこなす には熟練を要し、高度な技術を要する。

【０００６】 この考案は、上記のような実情に鑑みて、横配列となる筒状編成部とフリル状 片とが交互に編み出されるために、デザイン的に優れた素材となり、殊に、フリ ルを縫着するような手数が省けるために、量産および省力化に適する装飾用の幅 編物生地を提供することを目的とした。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案は、シングル鎖糸と裏生地挿入糸とで 編成された裏生地の上に、表生地鎖糸と表生地挿入糸とで編成された表生地を、 ダブル鎖糸で連結させて筒状編成部を列設するとともに、設定された編み長にお いて、切替挿入糸を自動的に組織変更させることにより、表生地の側で筒状編成 部を開放し、開放された表生地が裏生地に一辺で接編されているフリル状片を列 設してなる装飾用の幅編物生地を構成した。

【０００８】

【作用】

上記の構成によれば、裏生地と表生地とで筒状編成部が列設され、筒状編成部 とそれが開放されたフリル状片とが長手方向に交互に形成され、それが編機によ り自動的に編成されるから、適当な長さにおいて切断して、衣類の一部として、 またはそれに装着して使用できる。

【０００９】 フリル状片は、一側端で裏生地に接編されているから、フリルを取り付ける手 間が省けることはもちろん、裏生地との結合が安定しているために、種々の形に 変形加工して装飾性を高めることができる。

【００１０】

【実施例】

次に、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１１】 図１は、第一の実施例を示したもので、その装飾用の幅編物生地Ｐは、ダブル ラッセルで編成され、裏生地Ｒをベースとして、それと表生地Ｓとからなる数列 の筒状編成部１１，１１，・・が形成される一方、設定された編み長において、 表生地Ｓの側で筒状編成部１１が開放されてなるフリル状片１３，１３，・・が 形成される。

【００１２】 つまり、筒状編成部１１とフリル状片１３とが交互に編成される。なお、図示 では、そのフリル状片１３を後記するように反転させることにより、それに変形 加工が施されている。

【００１３】 裏生地Ｒは、図２に示すように、バックニードルでシングル鎖糸Ｌ５と、裏生 地挿入糸Ｌ６とで編成され、裏生地挿入糸Ｌ６が鎖編みを三ウエール右左に移動 しながら編成し、同時に表生地Ｓとのダブル鎖糸Ｌ４とも併用して編み込まれる 。

【００１４】 また、裏生地Ｒは、装飾用の幅編物生地Ｐの基礎生地として、不安定な経て伸 びと横伸びを避けるために、ダブル鎖糸Ｌ４およびシングル鎖糸Ｌ５は、一針に 二本の糸を編み込み、また、裏生地挿入糸Ｌ６の挿入も二本投入により、生地全 体の伸縮を止め、さらに、一目々を細かくすることで、生地全体をしっかり安定 させてある。これにより他の生地に対する縫着も容易となる。

【００１５】 表生地Ｓは、図３に示すように、フロントニードルにより、表生地鎖糸Ｌ３で 鎖編みし、表生地挿入糸Ｌ２を三ウエール左右に移動させながら編成する。同時 にダブル鎖編みＬ４も併用して編成する。

【００１６】 これで、表生地挿入糸Ｌ２、表生地鎖糸Ｌ３による表生地Ｓと、シングル鎖糸 Ｌ５、裏生地挿入糸Ｌ６による裏生地Ｒとの二枚の生地が同時に編成される。そ こにダブル鎖糸Ｌ４によるダブル鎖編みがフロント、バックと交互に編み込むこ とで、表生地Ｓと裏生地Ｒの両端が編成されることになる。そして、図３におい て表生地挿入糸Ｌ２の移動で分かるように、表生地挿入糸Ｌ２の挿入につき、シ ングル鎖編みと、ダブル鎖編みとを結合させてあって、これにより筒状編成部１ １が形成される。

【００１７】 次に、筒状編成部１１からフリル状片１３に切り変えるには、図３に示すよう に、ダブル鎖糸Ｌ４とシングル鎖糸Ｌ５とにより表生地Ｓを編成し、切替挿入糸 Ｌ１がダブル鎖編みと、シングル鎖編みとにおいて、二ウエール左右に移動を繰 り返し続け、設定された長さにおいて、切替挿入糸Ｌ１が一針ずれて、その位置 において二ウエール運動を繰り返すことにより、フリル状片１３が形成される。

【００１８】 このような編み方により、図４に示すようなパターン変換がなされ得る。つま り、前記実施例に示すような筒編みエリアＡから二枚生地エリアＢまたはＣへの 変換、二枚生地エリアＢから二枚生地エリアＣへの変換が可能となる（矢印参照 ）。これにより非常に装飾性に富むデザインが可能となる。

【００１９】 なお、図５は、二枚生地エリアＣを示す装飾用の幅編物生地Ｐの斜視図であっ て、フリル状片１３が一対においてＶ字形の開きにおいて、裏生地Ｒに接編され ている。

【００２０】 図１の装飾用の幅編物生地Ｐにおけるフリル状片１３の変形加工については、 さらに装飾性を高めるために、ポイントアクセントが図られている。二枚生地エ リアＢにおいて、フリル状片１３，１３，・・をそれぞれ一幅方向に反転させ、 仮縫い程度に簡単に糸１４により止めてある。また、仮縫いしてからアイロン掛 けにより止めても良い。

【００２１】 切断位置については、筒編みエリアＡ、二枚生地エリアＢの何れであっても良 く、その切断位置とフリル状片１３の変形加工とにより、多様なデザインが得ら れる。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案によれば、次のような優れた効果がある。

【００２３】 １）裏生地と表生地との編成により、筒状編成部が幅方向に列設される一方、長 手方向に設定された間隔と長さにおいて、筒状編成部が開放されたフリル状片が 同じく幅方向に列設されるために、そのまま使用し、或いはフリル状片を変形加 工することにより、装飾性の非常に豊かなデザインに適した幅編物生地を提供す ることができる。

【００２４】 ２）編機により自動的にフリル状片が形成されるため、フリル状片部分の単独使 用において、従来のように、細かいフリルを縫着する手間が省け、量産および省 力化に適することはもとより、フリル付けの作業員の養成が不要となる。

【００２５】 ３）筒状編成部のエリアとフリル状片のエリアとが長手方向に交互に編成される から、適当な寸法に切断することにより、多様な素材として使用できる。例えば 、衣類の一部においてはもとより、肩掛け、腹巻、アクセサリ（例えば、ポイン トアクセントの高いワッペン）等に、装飾性の豊かな素材として使用が可能であ る。

【００２６】 ４）フリル状片が裏生地と編成により非常に安定して結合しているために、フリ ル状片の変形加工が容易であり、種々の変形によりさらにポイントアクセントを 高めることができ、それを使用することにより、衣類のデザインを驚異的に向上 させ得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】フリル状片を変形加工して示す装飾用の幅編物
生地の斜視説明図である。

【図２】同実施例における裏生地の編成説明図である。

【図３】同実施例における表生地の編成説明図である。

【図４】筒状編成部からフリル状片への変換説明図であ
る。

【図５】他の実施例を示す装飾用の幅編物生地の一部斜
視説明図である。

【符号の説明】

Ｐ 裏生地 Ｓ 表生地 Ｌ１ 切替挿入糸 Ｌ２ 表生地挿入糸 Ｌ３ 表生地鎖糸 Ｌ４ ダブル鎖糸 Ｌ５ シングル鎖糸 １１ 筒状編成部 １３ フリル状片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シングル鎖糸Ｌ５と裏生地挿入糸Ｌ６と
   で編成された裏生地Ｒの上に、表生地鎖糸Ｌ３と表生地
   挿入糸Ｌ２とで編成された表生地Ｓを、ダブル鎖糸Ｌ４
   で連結させて筒状編成部１１を列設するとともに、設定
   された編み長において、切替挿入糸Ｌ１を自動的に組織
   変更させることにより、表生地Ｓの側で筒状編成部１１
   を開放し、開放された表生地Ｓが裏生地Ｒに一辺で接編
   されているフリル状片１３を列設してなることを特徴と
   する装飾用の幅編物生地。