JPH06122947A - 高周波用軟質磁性合金 - Google Patents
高周波用軟質磁性合金Info
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- JPH06122947A JPH06122947A JP4299347A JP29934792A JPH06122947A JP H06122947 A JPH06122947 A JP H06122947A JP 4299347 A JP4299347 A JP 4299347A JP 29934792 A JP29934792 A JP 29934792A JP H06122947 A JPH06122947 A JP H06122947A
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- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/14—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/147—Alloys characterised by their composition
- H01F1/14708—Fe-Ni based alloys
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Ni含有量の低減にも拘らず、高周波領域に
おいても高い透磁率を示し加工性の良好なFe−Ni−
Cr系軟質磁性合金を提供する。 【構成】 このFe−Cr−Ni軟質磁性合金は、Cr
(重量%)>0.875×Ni(重量%)−27の条件
下で35重量%<Ni<40重量%及び4.5重量%<
Cr<8重量%のFe−Cr−Niを基本組成とする。
不純物元素であるS,B及びOは、S≦0.003重量
%,O≦0.005重量%,B≦0.005重量%で且
つS+B+O≦0.008重量%に規制されている。更
に、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜30μmであ
る。 【効果】 100kHzの高周波領域においてもインダ
クタンス比透磁率が3000以上となり、パーマロイJ
IS−PCに近い磁気特性をもつ。また、加工性も良好
であるため、プレス成形,打ち抜き等によって各種部品
形状に成形することができる。
おいても高い透磁率を示し加工性の良好なFe−Ni−
Cr系軟質磁性合金を提供する。 【構成】 このFe−Cr−Ni軟質磁性合金は、Cr
(重量%)>0.875×Ni(重量%)−27の条件
下で35重量%<Ni<40重量%及び4.5重量%<
Cr<8重量%のFe−Cr−Niを基本組成とする。
不純物元素であるS,B及びOは、S≦0.003重量
%,O≦0.005重量%,B≦0.005重量%で且
つS+B+O≦0.008重量%に規制されている。更
に、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜30μmであ
る。 【効果】 100kHzの高周波領域においてもインダ
クタンス比透磁率が3000以上となり、パーマロイJ
IS−PCに近い磁気特性をもつ。また、加工性も良好
であるため、プレス成形,打ち抜き等によって各種部品
形状に成形することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波トランス,ノイ
ズフィルター等として高周波用途に使用されるFe−N
i−Cr系軟質磁性合金に関する。
ズフィルター等として高周波用途に使用されるFe−N
i−Cr系軟質磁性合金に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Ni系軟質磁性合金、いわゆるパ
ーマロイは、その優れた磁気特性を活用して磁気シール
ド材を始めとする各種の軟質磁性用途に広く用いられて
いる。しかし、Ni含有量が高いことから高価な材料で
あるため、その使用が経済面から制約され、使用条件が
許す限度においてNi含有量が比較的低い材料が代替的
に使用されている。また、パーマロイのうちでも、安価
な低Niパーマロイ(JIS−PB)が主として用いら
れている。
ーマロイは、その優れた磁気特性を活用して磁気シール
ド材を始めとする各種の軟質磁性用途に広く用いられて
いる。しかし、Ni含有量が高いことから高価な材料で
あるため、その使用が経済面から制約され、使用条件が
許す限度においてNi含有量が比較的低い材料が代替的
に使用されている。また、パーマロイのうちでも、安価
な低Niパーマロイ(JIS−PB)が主として用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、低Niパーマ
ロイ(JIS−PB)は、高周波領域においては透磁率
を大幅に低下させ、要求される軟質磁気特性を呈さな
い。そのため、高周波領域では、高価な高Niパーマロ
イ(JIS−PC)や安価なフェライト等の酸化物磁性
材料が使用されている。酸化物磁性材料は、電気抵抗が
高く且つ高周波領域における渦電流損失が少ないことか
ら、高周波領域において高い透磁率を示す。しかし、加
工性が悪いことから、絞り加工,曲げ加工等によって複
雑な形状の部品を得ることができない。このようなこと
から、加工性が良好で且つ安価な高周波用軟質磁性材料
が望まれている。
ロイ(JIS−PB)は、高周波領域においては透磁率
を大幅に低下させ、要求される軟質磁気特性を呈さな
い。そのため、高周波領域では、高価な高Niパーマロ
イ(JIS−PC)や安価なフェライト等の酸化物磁性
材料が使用されている。酸化物磁性材料は、電気抵抗が
高く且つ高周波領域における渦電流損失が少ないことか
ら、高周波領域において高い透磁率を示す。しかし、加
工性が悪いことから、絞り加工,曲げ加工等によって複
雑な形状の部品を得ることができない。このようなこと
から、加工性が良好で且つ安価な高周波用軟質磁性材料
が望まれている。
【0004】本発明は、この要求に応えるべく案出され
たものであり、S,B,O含有量を規制すると共に最終
焼鈍後の結晶粒径を制御することにより、高周波領域に
おいて高い透磁率を示す安価な高周波用Ni−Cr−F
e系軟質磁性合金を提供することを目的とする。
たものであり、S,B,O含有量を規制すると共に最終
焼鈍後の結晶粒径を制御することにより、高周波領域に
おいて高い透磁率を示す安価な高周波用Ni−Cr−F
e系軟質磁性合金を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用軟質磁
性合金は、その目的を達成するため、35重量%<Ni
<40重量%,4.5重量%<Cr<8重量%,S≦
0.003重量%,O≦0.005重量%,B≦0.0
05重量%及び残部Feを基本組成とし、Cr含有量と
Ni含有量との間にCr(重量%)>0.875×Ni
(重量%)−27の関係を維持し、S+B+Oの合計が
0.008重量%以下に規制され、且つ最終焼鈍後の平
均結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする。
性合金は、その目的を達成するため、35重量%<Ni
<40重量%,4.5重量%<Cr<8重量%,S≦
0.003重量%,O≦0.005重量%,B≦0.0
05重量%及び残部Feを基本組成とし、Cr含有量と
Ni含有量との間にCr(重量%)>0.875×Ni
(重量%)−27の関係を維持し、S+B+Oの合計が
0.008重量%以下に規制され、且つ最終焼鈍後の平
均結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする。
【0006】
【作 用】高周波領域で高い透磁率を得るためには、直
流透磁率を高めると共に、素材の電気抵抗も高くするこ
とが有効である。他方、最終焼鈍後の結晶粒径が大きい
と、直流の透磁率が高くなるものの、高周波領域におけ
る鉄損の増加に起因して透磁率が逆に低下する。しか
し、この点では最終焼鈍後の結晶粒径を小さくする方が
有効であるが、最終焼鈍後の結晶粒径が小さすぎると直
流透磁率の低下が大きくなる。その結果、この場合にも
高周波領域で高い透磁率が得られない。本発明者等は、
高周波領域におけるFe−Ni合金の透磁率に与える各
種要因を調査・研究した結果、特定された合金系におい
て最終焼鈍後の結晶粒径を10〜30μmに制御すると
き、高い高周波透磁率を呈する軟質磁性合金が得られる
ことを見い出した。このようにして調整されたFe−N
i−Cr系合金は、100kHzの高周波領域における
インダクタンス比透磁率が3000以上の優れた軟質磁
性特性を呈すると共に、フェライトのような酸化物でな
いことから加工性も良好である。
流透磁率を高めると共に、素材の電気抵抗も高くするこ
とが有効である。他方、最終焼鈍後の結晶粒径が大きい
と、直流の透磁率が高くなるものの、高周波領域におけ
る鉄損の増加に起因して透磁率が逆に低下する。しか
し、この点では最終焼鈍後の結晶粒径を小さくする方が
有効であるが、最終焼鈍後の結晶粒径が小さすぎると直
流透磁率の低下が大きくなる。その結果、この場合にも
高周波領域で高い透磁率が得られない。本発明者等は、
高周波領域におけるFe−Ni合金の透磁率に与える各
種要因を調査・研究した結果、特定された合金系におい
て最終焼鈍後の結晶粒径を10〜30μmに制御すると
き、高い高周波透磁率を呈する軟質磁性合金が得られる
ことを見い出した。このようにして調整されたFe−N
i−Cr系合金は、100kHzの高周波領域における
インダクタンス比透磁率が3000以上の優れた軟質磁
性特性を呈すると共に、フェライトのような酸化物でな
いことから加工性も良好である。
【0007】以下、本発明合金に含まれる合金元素及び
その含有量等を説明する。 Ni:軟質磁気特性を得る上で重要な合金元素である
が、高価であることからNi含有量を可能な限り低減す
ることが要求される。しかし、35重量%以下のNi含
有量では直流透磁率が低くなりすぎ、高周波領域におい
て高い透磁率が得られない。逆に、40重量%以上のN
iは、電気抵抗の低下をもたらし、高周波領域における
透磁率の低下を来す。したがって、本発明においては、
35重量%を超え40重量%未満の範囲にNi含有量を
定めた。 Cr:高周波領域における透磁率を高める上で、有効な
合金元素である。このCrの作用を発揮させるために
は、4.5重量%を超えるCr含有量が必要である。C
r含有量が4.5重量%以下になると、直流透磁率及び
電気抵抗を向上させる作用が小さく、高周波領域におい
て高い透磁率が示されない。逆に、8重量%以上のCr
含有量は、キューリ温度を著しく低下させ、磁気特性を
不安定にする。したがって、Cr含有量は、4.5重量
%を超え8重量%未満の範囲に規定した。
その含有量等を説明する。 Ni:軟質磁気特性を得る上で重要な合金元素である
が、高価であることからNi含有量を可能な限り低減す
ることが要求される。しかし、35重量%以下のNi含
有量では直流透磁率が低くなりすぎ、高周波領域におい
て高い透磁率が得られない。逆に、40重量%以上のN
iは、電気抵抗の低下をもたらし、高周波領域における
透磁率の低下を来す。したがって、本発明においては、
35重量%を超え40重量%未満の範囲にNi含有量を
定めた。 Cr:高周波領域における透磁率を高める上で、有効な
合金元素である。このCrの作用を発揮させるために
は、4.5重量%を超えるCr含有量が必要である。C
r含有量が4.5重量%以下になると、直流透磁率及び
電気抵抗を向上させる作用が小さく、高周波領域におい
て高い透磁率が示されない。逆に、8重量%以上のCr
含有量は、キューリ温度を著しく低下させ、磁気特性を
不安定にする。したがって、Cr含有量は、4.5重量
%を超え8重量%未満の範囲に規定した。
【0008】また、高周波領域における透磁率は、Ni
含有量とCr含有量との間のバランスによっても大きく
変動する。Ni含有量が多い組成において高い高周波透
磁率を得るためには、Ni含有量に応じCr含有量を高
めることが必要である。このNi含有量とCr含有量と
の間に、図1に示す関係が成立していることが実験的に
確認された。すなわち、35重量%<Ni<40重量%
及び4.5重量%<Cr<8重量%に加えてCr(重量
%)>0.875×Ni(重量%)−27の関係が成立
するとき、○印で示すように、100kHzの高周波領
域におけるインダクタンス比透磁率が3000以上にな
っている。他方、これらNi含有量,Cr含有量及びN
i含有量とCr含有量との間の相関関係を満足しないも
のにあっては、×するしで示すようにインダクタンス比
透磁率が3000未満の小さな値になっている。なお、
図1は、板厚が50μmで最終焼鈍後の結晶粒径が10
〜30μmのFe−Ni−Cr系合金について調査した
結果である。
含有量とCr含有量との間のバランスによっても大きく
変動する。Ni含有量が多い組成において高い高周波透
磁率を得るためには、Ni含有量に応じCr含有量を高
めることが必要である。このNi含有量とCr含有量と
の間に、図1に示す関係が成立していることが実験的に
確認された。すなわち、35重量%<Ni<40重量%
及び4.5重量%<Cr<8重量%に加えてCr(重量
%)>0.875×Ni(重量%)−27の関係が成立
するとき、○印で示すように、100kHzの高周波領
域におけるインダクタンス比透磁率が3000以上にな
っている。他方、これらNi含有量,Cr含有量及びN
i含有量とCr含有量との間の相関関係を満足しないも
のにあっては、×するしで示すようにインダクタンス比
透磁率が3000未満の小さな値になっている。なお、
図1は、板厚が50μmで最終焼鈍後の結晶粒径が10
〜30μmのFe−Ni−Cr系合金について調査した
結果である。
【0009】S,O,B:不純物としてもち込まれる
S,O,B等の元素は、Fe−Ni−Cr系軟質磁性合
金の透磁率を大幅に低下させる。これら不純物元素によ
る悪影響を排除し、高い透磁率を得るためには、S+O
+B≦0.008重量%の条件下でS含有量を0.00
3重量%以下,O含有量を0.005重量%以下,B含
有量を0.005重量%以下にそれぞれ規制することが
必要である。また、S,O及びB含有量の規制は、高周
波領域における磁気特性の改善にも有効である。 最終焼鈍後の結晶粒径:Fe−Ni−Cr系軟質磁性合
金では、最終焼鈍後における結晶粒径が高周波透磁率に
大きな影響を及ぼす。高周波透磁率は、直流透磁率と鉄
損とのバランスで決定される。最終焼鈍後の結晶粒径が
大きいと、焼鈍前の加工歪みが十分に除去されているた
め、直流透磁率は高い値を示す。しかし、鉄損も増加す
る。他方、最終焼鈍後の結晶粒径が小さいと、鉄損は小
さいが、焼鈍前の加工歪みが十分除去されておらず、直
流透磁率は低い値しか示さない。
S,O,B等の元素は、Fe−Ni−Cr系軟質磁性合
金の透磁率を大幅に低下させる。これら不純物元素によ
る悪影響を排除し、高い透磁率を得るためには、S+O
+B≦0.008重量%の条件下でS含有量を0.00
3重量%以下,O含有量を0.005重量%以下,B含
有量を0.005重量%以下にそれぞれ規制することが
必要である。また、S,O及びB含有量の規制は、高周
波領域における磁気特性の改善にも有効である。 最終焼鈍後の結晶粒径:Fe−Ni−Cr系軟質磁性合
金では、最終焼鈍後における結晶粒径が高周波透磁率に
大きな影響を及ぼす。高周波透磁率は、直流透磁率と鉄
損とのバランスで決定される。最終焼鈍後の結晶粒径が
大きいと、焼鈍前の加工歪みが十分に除去されているた
め、直流透磁率は高い値を示す。しかし、鉄損も増加す
る。他方、最終焼鈍後の結晶粒径が小さいと、鉄損は小
さいが、焼鈍前の加工歪みが十分除去されておらず、直
流透磁率は低い値しか示さない。
【0010】そこで、Ni含有量及びCr含有量が図1
の範囲に規制されるNi−Cr−Fe系合金では、10
0kHzの高周波領域におけるインダクタンス比透磁率
3000以上を得る上で、最終焼鈍後の平均結晶粒径を
10〜30μmの範囲に収めることが重要である。最終
焼鈍後の平均結晶粒径が10μm未満であると、直流透
磁率が低いため、3000以上のインダクタンス比透磁
率を示さない。逆に最終焼鈍後の平均結晶粒径が30μ
mを超えると、直流透磁率は向上するが、ヒステリシス
損も大きく増加するため、結果的にこの場合もインダク
タンス比透磁率は3000以上を示さない。一般的に、
高い温度で長時間焼鈍するほど、加工歪みが十分除去さ
れ、結晶粒径が大きくなる。逆に低い温度で短時間焼鈍
すると、加工歪みが除去されず、結晶粒径も大きくなら
ない。生産性を考慮したとき、水素雰囲気中で750〜
950℃に30〜60分加熱する焼鈍条件が採用され
る。
の範囲に規制されるNi−Cr−Fe系合金では、10
0kHzの高周波領域におけるインダクタンス比透磁率
3000以上を得る上で、最終焼鈍後の平均結晶粒径を
10〜30μmの範囲に収めることが重要である。最終
焼鈍後の平均結晶粒径が10μm未満であると、直流透
磁率が低いため、3000以上のインダクタンス比透磁
率を示さない。逆に最終焼鈍後の平均結晶粒径が30μ
mを超えると、直流透磁率は向上するが、ヒステリシス
損も大きく増加するため、結果的にこの場合もインダク
タンス比透磁率は3000以上を示さない。一般的に、
高い温度で長時間焼鈍するほど、加工歪みが十分除去さ
れ、結晶粒径が大きくなる。逆に低い温度で短時間焼鈍
すると、加工歪みが除去されず、結晶粒径も大きくなら
ない。生産性を考慮したとき、水素雰囲気中で750〜
950℃に30〜60分加熱する焼鈍条件が採用され
る。
【0011】
【実施例】表1に示した組成をもつ各種合金を真空溶解
によって溶製し、インゴットに鋳造した。なお、表1に
おけるA系列の組成が本発明で規定した成分条件を満足
する合金であり、B系列の組成が本発明の規定範囲を外
れるものである。なお、B−11はJIS−PBに相当
し、B−12はJIS−PCに相当する。B−13は、
Ni−Mn系のフェライトであり、NiFe2 O4 とZ
nFe2 O4 の各粉末をモル比30:70の割合で混合
したものである。
によって溶製し、インゴットに鋳造した。なお、表1に
おけるA系列の組成が本発明で規定した成分条件を満足
する合金であり、B系列の組成が本発明の規定範囲を外
れるものである。なお、B−11はJIS−PBに相当
し、B−12はJIS−PCに相当する。B−13は、
Ni−Mn系のフェライトであり、NiFe2 O4 とZ
nFe2 O4 の各粉末をモル比30:70の割合で混合
したものである。
【0012】
【表1】
【0013】得られたインゴットに通常の熱間圧延及び
冷間圧延を施し、それぞれ板厚50μmの冷延板を得
た。試験番号B−13については、混合粉末を圧粉した
後、1200℃で2時間焼結し、厚さ50μmの板とし
た。これらの板から曲げ試験用試験片及び磁気測定用リ
ング試験片を切り出した。曲げ試験は、JIS Z22
48に準拠して行い、曲げ部に発生する曲げの有無によ
って加工性を判定した。その結果、試験番号A−1から
B〜12までの試験片は、割れが生じることなく、良好
な曲げ加工性を示すことが判った。他方、試験番号B−
13の試験片では、割れが発生したため、曲げ加工がで
きなかった。
冷間圧延を施し、それぞれ板厚50μmの冷延板を得
た。試験番号B−13については、混合粉末を圧粉した
後、1200℃で2時間焼結し、厚さ50μmの板とし
た。これらの板から曲げ試験用試験片及び磁気測定用リ
ング試験片を切り出した。曲げ試験は、JIS Z22
48に準拠して行い、曲げ部に発生する曲げの有無によ
って加工性を判定した。その結果、試験番号A−1から
B〜12までの試験片は、割れが生じることなく、良好
な曲げ加工性を示すことが判った。他方、試験番号B−
13の試験片では、割れが発生したため、曲げ加工がで
きなかった。
【0014】磁気測定用リング試験片には、水素雰囲気
中で表2に示す条件下の最終焼鈍を施した。なお、試験
番号B−13の試験片は、焼結によって作製したもので
あることから、焼結時の条件をもって最終焼鈍とした。
最終焼鈍後のリング試験片について、JIS C253
1に準拠して100kHzにおけるインダクタンス比透
磁率を測定した。測定結果を示す表2から明らかなよう
に、本発明例のFe−Ni−Cr系合金にあっては、1
00kHzの高周波領域においても3000以上の高い
インダクタンス比透磁率が得られている。このインダク
タンス比透磁率は、Ni含有量が高い高価な高Niパー
マロイB−12(JIS−PC)の値に近付いている。
中で表2に示す条件下の最終焼鈍を施した。なお、試験
番号B−13の試験片は、焼結によって作製したもので
あることから、焼結時の条件をもって最終焼鈍とした。
最終焼鈍後のリング試験片について、JIS C253
1に準拠して100kHzにおけるインダクタンス比透
磁率を測定した。測定結果を示す表2から明らかなよう
に、本発明例のFe−Ni−Cr系合金にあっては、1
00kHzの高周波領域においても3000以上の高い
インダクタンス比透磁率が得られている。このインダク
タンス比透磁率は、Ni含有量が高い高価な高Niパー
マロイB−12(JIS−PC)の値に近付いている。
【0015】組成的には本発明で規定した条件を満足す
るものであっても、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜
30μmの範囲にない比較例Iの系統にあっては、イン
ダクタンス比透磁率の低下がみられる。また、本発明で
規定した成分を満足しない比較例IIの系統にあって
は、試験番号B−5及びB−13を除き、インダクタン
ス比透磁率が大幅に低下している。
るものであっても、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜
30μmの範囲にない比較例Iの系統にあっては、イン
ダクタンス比透磁率の低下がみられる。また、本発明で
規定した成分を満足しない比較例IIの系統にあって
は、試験番号B−5及びB−13を除き、インダクタン
ス比透磁率が大幅に低下している。
【0016】試験番号B−5で高いインダクタンス比透
磁率が得られたことは、高周波領域における透磁率向上
効果の大きなCrを10.5重量%も含有していること
に起因するものと推察される。しかし、試験番号B−5
の合金は、多量のCr添加によりキューリ温度が著しく
低下し、95℃となっている。そのため、温度変化に伴
って磁気特性が大きく変動し、安定した磁気特性が得ら
れない欠点がある。また、試験番号B−13は、高いイ
ンダクタンス比透磁率を示しているが、フェライトであ
ることから加工性が著しく劣る。
磁率が得られたことは、高周波領域における透磁率向上
効果の大きなCrを10.5重量%も含有していること
に起因するものと推察される。しかし、試験番号B−5
の合金は、多量のCr添加によりキューリ温度が著しく
低下し、95℃となっている。そのため、温度変化に伴
って磁気特性が大きく変動し、安定した磁気特性が得ら
れない欠点がある。また、試験番号B−13は、高いイ
ンダクタンス比透磁率を示しているが、フェライトであ
ることから加工性が著しく劣る。
【表2】
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、Ni含有量及びCr含有量を所定範囲に設定し、不
純物元素であるS,O及びB含有量を規制すると共に、
最終焼鈍後における平均結晶粒径を10〜30μmの範
囲に調整している。これにより、良好な加工性を有し、
且つ100kHzの高周波領域においてもインダクタン
ス比透磁率が3000以上となり、パーマロイJIS−
PCに近い磁気特性をもつ軟質磁性合金が得られる。し
かも、高価なNiの含有量を40重量%未満としている
ことから、パーマロイJIS−PCに比較して安価な材
料であり、経済面から受ける用途の制約が緩和される。
は、Ni含有量及びCr含有量を所定範囲に設定し、不
純物元素であるS,O及びB含有量を規制すると共に、
最終焼鈍後における平均結晶粒径を10〜30μmの範
囲に調整している。これにより、良好な加工性を有し、
且つ100kHzの高周波領域においてもインダクタン
ス比透磁率が3000以上となり、パーマロイJIS−
PCに近い磁気特性をもつ軟質磁性合金が得られる。し
かも、高価なNiの含有量を40重量%未満としている
ことから、パーマロイJIS−PCに比較して安価な材
料であり、経済面から受ける用途の制約が緩和される。
【図1】 100kHzのインダクタンス比透磁率に及
ぼすNi及びCrの組成バランスを示したグラフ
ぼすNi及びCrの組成バランスを示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武本 敏彦 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 35重量%<Ni<40重量%,4.5
重量%<Cr<8重量%,S≦0.003重量%,O≦
0.005重量%,B≦0.005重量%及び残部Fe
を基本組成とし、Cr含有量とNi含有量との間にCr
(重量%)>0.875×Ni(重量%)−27の関係
を維持し、S+B+Oの合計が0.008重量%以下に
規制され、且つ最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜30
μmであることを特徴とする高周波用軟質磁性合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4299347A JPH06122947A (ja) | 1992-10-12 | 1992-10-12 | 高周波用軟質磁性合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4299347A JPH06122947A (ja) | 1992-10-12 | 1992-10-12 | 高周波用軟質磁性合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06122947A true JPH06122947A (ja) | 1994-05-06 |
Family
ID=17871378
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4299347A Withdrawn JPH06122947A (ja) | 1992-10-12 | 1992-10-12 | 高周波用軟質磁性合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06122947A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0818550A1 (de) * | 1996-07-12 | 1998-01-14 | Krupp VDM GmbH | Korrosionsbeständige weichmagnetische Eisen-Nickel-Chrom-Legierung |
JP2005522021A (ja) * | 2002-02-15 | 2005-07-21 | アンフイ・アロイ | 時計製造用の軟磁性合金 |
-
1992
- 1992-10-12 JP JP4299347A patent/JPH06122947A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0818550A1 (de) * | 1996-07-12 | 1998-01-14 | Krupp VDM GmbH | Korrosionsbeständige weichmagnetische Eisen-Nickel-Chrom-Legierung |
JP2005522021A (ja) * | 2002-02-15 | 2005-07-21 | アンフイ・アロイ | 時計製造用の軟磁性合金 |
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---|---|---|---|
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