JPH06122004A - 金属鏡面仕上Mo板及びその製造方法 - Google Patents

金属鏡面仕上Mo板及びその製造方法

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JPH06122004A
JPH06122004A JP27713392A JP27713392A JPH06122004A JP H06122004 A JPH06122004 A JP H06122004A JP 27713392 A JP27713392 A JP 27713392A JP 27713392 A JP27713392 A JP 27713392A JP H06122004 A JPH06122004 A JP H06122004A
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JP
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plate
rolling
finished
reflectance
molybdenum sheet
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JP27713392A
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English (en)
Inventor
Yasuo Yamabuchi
保夫 山渕
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Tokyo Tungsten Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Tungsten Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 光学特性を改善した金属鏡面仕上Mo板及び
これを圧延工程のみで製造する方法を提供する。 【構成】 Mo板は、反射面が少なくとも50%の反射
率を有し、50〜500μmの板厚を有する。また、M
o板表面の放射方向における反射率の変化が少なく、反
射面の粗さは、Rmax で1μm、Ra で多くとも0.1
μmで表される。また、Mo板は、表面欠陥の発生を少
なくするように制御されている。更に、反射面の平坦度
は、JIS測定法で1%以下と表される。このMo板を
圧延機により製造するには、反射面が得られるような表
面の粗さ及び径を備えたワークロール1,2を準備する
段階と、反射率と関連して圧延力を選定する段階と、表
面粗さとの関係で圧延油を選択する段階とを備え、Mo
板をワークロールを通させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,金属鏡面仕上Mo板に
関し,詳しくは,CT用X線検出器に用いられる光学的
反射率の高い金属鏡面仕上げMo板及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光学的反射面を有するMo板を粉
末冶金法により製造する際には,概略的には,次の方法
が採られている。まず,原料のMoO3 鉱石を使用し,
この原料の粉砕粉末をH2 雰囲気中で還元して,Mo粉
末とする。次に,Mo粉末を静水圧プレス又は金型プレ
スを使用して成型する。得られた成型体はH2 雰囲気中
で高温焼成し,インゴットとする。続いてインゴットを
熱間圧延で2.0mm程度の厚みになるまで圧延する。
得られた熱間圧延材は,焼鈍又は酸洗浄等の表面処理を
行った後,室温で冷間圧延を行う。冷間圧延及びその後
の焼鈍工程を繰り返す事によって,Mo板の板厚を次第
に薄くし,最小板厚50〜500μmのMo薄板として
いる。
【0003】図4は従来の圧延によって製造されたMo
薄板を概略的に示す斜視図である。仕上げ圧延後のMo
薄板31には,図4に誇張して示されているように,圧
延方向32にうねりが生じており,平坦度が悪い(端延
び等が生じる)。
【0004】更に,従来のMo薄板の製造プロセスで製
造されたMo薄板は,以下のような欠点を有している。
まず,図5(a)に示すように,圧延方向46に平行に
表面傷45が擦り傷として発生し,また,図5(b)に
示すように,打痕47も発生している。このように,M
o薄板の表面には,擦り傷及び打痕のような表面欠陥が
発生している。Mo薄板の表面に生じる表面欠陥の他の
例として,図6に示すように,Mo表面に微妙な凸凹が
発生することがある。具体的に述べると,図6(a)に
おいては,微妙な凸凹状態が圧延方向と垂直な方向に縞
模様状に発生している。この縞模様は,一般的には,周
期性を有している。また,図6(b)においては,微妙
な凸凹状態が畳目状に発生している。一方,図6(c)
においては,微妙な凸凹状態円錐状に発生している。図
4(b)で示した打痕は目視で一目瞭然だが,図6
(a),(b)及び(c)で示した凸凹状態は目視判別
が難しいことが特長である。
【0005】また,圧延によって製造されたMo板の表
面には,圧延中に形成されるいわゆる「ロール目」が発
生する。ここで,本発明において「ロール目」とは,圧
延用のワークロールを研磨する際に発生する研磨目が板
に転写されることを言う。通常のMo薄板では,図4で
示す圧延方向32に平行にいわゆるロール目が形成され
る為に,圧延方向に平行な方向と,圧延方向に垂直な方
向とで,光学的な反射率が異なって来る。この現象は,
反射方向の異方性と呼ばれている。
【0006】更に,従来のMo薄板では,例えば,表面
粗さRmax ・Ra 値がコントロールされていないので,
Mo薄板仕上げ面の表面粗さが粗い。したがって,通常
は反射特性の優れたMo薄板を得ようとした場合,圧延
加工後に表面研磨やバフ研磨あるいは電解研磨等の加工
を行い,表面粗さが細かで且つそれなりの反射特性を得
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,Mo薄
板を機械的な研磨した場合には,研磨板用台板への加工
されるMo薄板の接着及び剥離が困難で問題となるとと
もに,Mo薄板は剛性が無い為に,研磨によって除去し
たいとする被加工板のウネリあるいは微妙な凸凹の成分
を除去することが不可能であった。
【0008】更に,通常の反射特性の良いMo薄板を得
ようとした場合,上記の研磨方法以外に圧延後に2次加
工を実施するが,板厚が0.5mm以下の薄板になると
現実的にこれらの加工が困難となってくる。
【0009】また,Mo薄板の表面の反射率を上げるた
めに,上記した機械的な研磨の代わりに,電解研磨等に
よる化学的研磨を使用した場合,本発明者らが確認した
ところこの電解研磨法では良い結果が得られなかった。
すなわち,電解研磨を行う前のMo薄板の表面状態の影
響が非常に大きく基板の欠陥までも電解研磨では,改善
できなかった。その結果として,表面反射率50%以上
を有するものは,Mo薄板は,従来において得難い状況
にある。
【0010】そこで,本発明の第1の技術的課題は,光
学的な反射率を向上させると同時に,圧延による方向が
異なる場合における反射率の変化も減少させ,光学特性
を改善した金属鏡面仕上Mo板とその製造方法とを提供
することにある。
【0011】また,本発明の第2の技術的課題は,光学
的な反射率が良好なMo板を圧延工程のみで得られ,製
造者にとって,製造プロセス及び製造管理も簡略化でき
る金属鏡面仕上Mo板とその製造方法とを提供すること
にある。
【0012】また,本発明の第3の技術的課題は,製造
に使用する圧延機は特殊な高精度の圧延機を用いなくて
も容易で且つ安価に製造できる金属鏡面仕上Mo板とそ
の製造方法とを提供することにある。
【0013】更に,本発明の第4の技術的課題は,圧延
機のワークロールの表面状態を一定範囲に管理すること
によって,量産が可能であり,品質のバラツキも極めて
少なく製造することができる金属鏡面仕上Mo板とその
製造方法とを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の金属鏡面仕上M
o板及びそれを製造する方法では,Mo薄板をいわば鏡
として使用するために,以下のように従来の製品及び製
造方法等の欠点を改善している。即ち,従来の欠点項
目,例えば,擦り傷,ロール目,ロール打痕,微妙な凸
凹等は,光学的反射率を悪化させる項目であり,これら
の項目の内1項目でもその程度が悪くなると鏡として使
用が不可となる。この状況は,一般的なガラス製鏡に置
き換えて見れば,容易に想定が可能と思われる。即ち,
平坦でなく,いびつな鏡があったとすれば,その反射像
は当然いびつな状態(例えば,いびつな顔)となり,こ
の状態では,全く鏡としての機能をなさないことは,容
易に想定することができる。
【0015】本発明によれば,50〜500μmの板厚
で光学的反射面を有するMo板であって,前記光学的反
射面は,少なくとも50%の光学的反射率と,Rmax で
多くとも1μm及びRa で多くとも0.1μmの表面粗
さと,JIS測定法で少なくとも1%で表される平坦度
とを有することを特徴とする金属鏡面仕上Mo板が得ら
れる。
【0016】また,本発明によれば,前記金属鏡面仕上
Mo板をワークロールを備えた圧延機によって製造する
方法において,前記光学的反射面が得られるような表面
粗さ及び径を備えたワークロールを準備する段階と,前
記光学的反射面における反射率と関連して選ばれた圧延
力を選定する段階と,前記表面粗さとの関係で,未加工
のMo板に使用される圧延油を選択する段階とを有し,
前記未加工のMo板を前記ワークロールを通過させるこ
とによって,前記光学的反射面を有するMo板を得るこ
とを特徴とする金属鏡面仕上Mo板の製造方法が得られ
る。
【0017】即ち,本発明の金属鏡面仕上Mo板は,冷
間圧延上りのMo板の表面の粗さをRmax で1μm以下
及びRa で0.1μm以下とすることができた。ここに
おいて,表面の粗さは,冷間圧延後に更に表面仕上げ工
程を経ない物に対して測定されている。
【0018】また,本発明の金属鏡面仕上Mo板は,M
o薄板表面に発生する擦り傷あるいはロール打痕等の目
視による検査によって表面欠陥が少ないことを確認でき
るもの及びMo板表面の微少な凸凹,表面の傷等の目視
による検査によって表面欠陥が少ないことを確認できな
いものも含んでいる。したがって,本発明においては,
上記欠陥が発生した場合においても,前述した表面粗さ
の値を満足するように改善したものである。
【0019】また,本発明においては,金属鏡面仕上M
o板の仕上げ圧延後の平坦度を1%以下に改善した。こ
こで,本発明において,平坦度は,JISに基づき,谷
の深さ(山の高さ)をH,谷の幅の1/2(山谷の幅の
1/2)をLとして,平坦度=H/L×100[%]に
よって求めた。
【0020】尚,本発明の金属鏡面仕上Mo板におい
て,光学的反射率の方向性が少ないように改善した。こ
こで,光学的反射率の方向性が少ないとは,表面で圧延
方向に対して平行な方向の反射率をA,圧延方向に対し
て垂直方向の反射率をBとしたときに,B/Aの値が
0.85以上の場合を呼ぶ。
【0021】また,本発明の金属鏡面仕上Mo板は,圧
延によって,発生しやすい圧延方向(Rolling directio
n,以下 R.D.と呼ぶ)に平行な力と,圧延方向に垂
直な方向との表面の粗さの違いもコントロールした。
【0022】
【実施例】以下,本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0023】図1は本発明の実施例に係る金属鏡面仕上
Mo板を製造するための冷間圧延装置を概略的に示す図
である。図1において,冷間圧延装置は,一対のワーク
ロール1,2と,バックアップロール3,4と,ワーク
ロール1,2の前後に配置されたMo薄板巻取用のコイ
ル5,6と,Mo板7に張力を付加する一対の張力付加
機構8,9とを備えている。このような圧延機は,Mo
板の厚さに関連して,次の通りに構成される。
【0024】まず,Mo板7の板厚が3.0〜1.0m
mの場合,一対のワークロール1,2が使用されるか,
あるいは,一対のワークロール1,2と一対のバックア
ップロール3,4の組み合わせを用いる。また,板厚
1.0〜0.2mmの範囲のMo板を圧延する場合,一
対のワークロール1,2にバックアップロール3,4一
対又は二対(図示せず)を組み合わせが使用される。更
に,板厚0.2mm以下の範囲のMo板に対しては,一
対のワークロール1,2にバックアップロール3,4一
対乃至十対(図示せず)を組み合わせた機構を用いる。
【0025】尚,本発明の実施例に係る金属鏡面仕上M
o板を製造するためのワークロールの材質は,一般的な
鍛造ロールで良いが,ロールの調質硬度に関しては高目
の方が良い。
【0026】次に,本発明の実施例に係る金属鏡面仕上
Mo板の製造のためのファクタについて述べる。本発明
の実施例に係る金属鏡面仕上Mo板の製造には,次の4
種のファクターが重要である。
【0027】第1のファクタは,Mo板を圧延する際に
使用されるワークロールの表面状態であり,第1のファ
クタを予め定められた範囲内に調整することがMo板の
鏡面仕上げには重要である。
【0028】まず,圧延によって製造されるMo板の表
面粗さは,使用するワークロールの表面粗さによって非
常に大きな影響を受ける。よって,鏡面仕上げMo板の
表面粗さは,Rmax で1μm以下にすることが必要であ
る。このため,使用するワークロールの研磨表面の粗さ
は,少なくともRmax で1μm以下でなければならな
い。
【0029】また,圧延の際に圧延方向に平行な方向と
垂直な方向との表面の粗さの違いもワークロールの研磨
の状態に大きな関連性があり,当然このワークロールを
調整するために,研磨時に被加工材料とワークロールと
の表面の粗さの違いを大きく形成してしまえば,圧延す
るMo板にも顕著にその影響が出来てくることは言うま
でもない。
【0030】更に,圧延の際に形成されるMo板表面の
微妙な凸凹に関しても,ワークロールの表面状態が影響
する。具体的には,ミクロ的な見方でワークロール研磨
時において,ロールが円筒状に均一に研磨されず,例え
ば,多角形の形状に研磨された場合,このようなワーク
ロールを使用して圧延したMo板の表面には,微妙な凸
凹が板の全面に形成され,これが光学的反射率に影響を
及ぼす。従って,ワークロールの研磨技術が,製造され
る製品の品質に大きな関連をもっている。本発明の実施
例に係る鏡面仕上げMo板を得るには,ワークロールの
表面研磨の際には,(i)研磨機の種類(研磨精度の問
題),(ii)砥石の種類,(iii)切削条件,(iv)ドレ
ッサーの種類及び使用方法等について,適宜考慮がなさ
れている。
【0031】第2のファクターは,Mo板を圧延する際
に使用するワークロールの径である。
【0032】本発明の実施例におけるワークロールの直
径の選定基準は,作業効率,仕上がり品の品質(平坦
度,板厚許容差等),及びワークロールの研磨精度等を
考慮して選定されている。具体的には,ワークロールの
径が小さい場合には,圧延効率は非常に良いが,その反
面Mo板の光学的反射率を低下させる各種の微妙な凸凹
が非常に高い確率で発生し,一方ワークロール径が大き
い場合は,圧延効率が非常に悪くなるために製造コスト
が高くなると同時に,前述したワークロールの研磨に当
たっては,大型の高精度の研磨機が必要となり,設備投
資的にも不利であるので,圧延に使用するワークロール
の径は,前述した圧延効率,反射率特性やワークロール
研磨精度に関してバランスのとれた径が選定される。
【0033】ワークロール径とロール研磨精度との関係
に従って,相互の影響が発生してくる。即ち,圧延材料
の表面の粗さは,圧延するロール表面状態,即ち,円筒
度(真円度)により大きく影響を受けることは,明らか
である。このロール研磨の仕上げ精度が,ロール径によ
って実務的には違いがでてくる。即ち,ロール径が小さ
い程,ロール研磨精度をあげる必要があり,ロール研磨
作業に留意する必要がある。
【0034】例えば,径が小のワークロールの時(D1
0mm程度),研磨精度は,1〜2μmの円筒度で管理
の必要がある。
【0035】一方,径が大のワークロールの時(D60
mm程度),研磨精度は,前記径小ロールよりも緩和さ
れ4〜5μmの管理でも十分な鏡面状態が得られる。
【0036】第3のファクターは,板の圧延作業におい
て,圧延時に加わる力(圧延力)の配分を調整して種々
の反射率を低下させる要因を構成しない事が重要であ
る。
【0037】即ち,圧延後の平坦度特性は,圧延におけ
る平坦度の良否によって決定付けられるといっても過言
ではない。従って,圧延において平坦度の悪い材料を造
らないことが,重要である。圧延材料の平坦度特性は,
圧延機の性能によってほぼ決まってくるが,一般的に
は,ワークロール研磨,クラウンワークロールヒートク
ラウン,ワークロールベンダー,及びワークロールシフ
ト等によって,圧延材に合わせて条件設定を行う。ま
た,前述の図3乃至図5で説明したように,Mo板表面
上の擦り傷あるいは,ロール打痕に関して,及びMo板
表面の微妙な凸凹に関しても,圧延中に形成される確率
も非常に高いため,これらの光学的反射率を低下させる
要因を圧延中に形成しないことも重要である。これらの
欠点に関しては,それぞれ対応を講ずる必要がある。更
に,Mo板の圧延は,通常コイル状態でテンション圧延
を実施するが,この圧延に関して様々なノウハウがあ
り,反射率を低下させるファクターを形成しない様に注
意する必要がある。低下させるファクタを形成しないと
は,即ち,薄板の製造の場合,Moコイル材料をドラム
に巻き込む際には,板同志がズレて傷が発生しない様に
注意しなければならないことや,また,圧延中にMo板
に付加するテンション力は,板のマクロ的な平坦度と大
きく関与しており,適切な範囲で付加しなければならな
いこと,更に,圧延機において,コイルを巻き込むドラ
ムに関しても注意が必要で,ドラムの表面に凸凹が形成
されていると,前述した圧延中のテンション応力の関係
でその凸凹が全てのMo板に転写されるケースも有り,
これらのファクターも板の反射率を低下させる要因とな
る。
【0038】第4のファクターは,Mo板を圧延する際
に使用する圧延油である。即ち,圧延油の特性(粘度)
により,Mo板表面の面粗さも変わって来るため,光学
的反射率を低下させない種類の油を選択する必要があ
る。具体的に述べると,圧延油は,ロールと圧延材との
界面に引き込まれ,その引き込まれる量が,圧延油の種
類の特性によって異なって来る。この引き込まれる油量
(=油膜の厚み)は基本的には,摩擦係数に影響を与
え,大きくなるが,圧延に必要な圧力を少なくしたり,
少ない圧延動力での圧延が可能となる。しかし,一方,
圧延油がロールを材料の間に多量に入ると,材料表面が
自由変形表面と同じように粗くなってしまうとの相反す
る現象が生じる。即ち,圧延油の油膜の厚みは,圧延材
の表面粗さに影響を与え,圧延材の表面粗さと反射率と
は,1対1の直接的な強い関係にあるためである。
【0039】(実施例1)以下,本発明の実施例に係る
金属鏡面仕上Mo板の製造方法を具体的に述べる。
【0040】まず,原料のMoO3 を使用し,H2 雰囲
気中で還元して,Mo粉末とする。次に,Mo粉末を静
水圧プレス又は金型プレスを使用して成型する。得られ
た成型体はH2 雰囲気中で高温焼成し,インゴットとす
る。続いてインゴットを図1に示すワークロールとして
鍛鋼ロールを用いた熱間圧延で,2.0mm程度の厚み
になるまで圧延する。この時,粗圧延の際においては,
ワークロールの径は,第2のファクターを考慮しながら
可能な範囲で小さな径を選択している。また,得られた
熱間圧延材は,室温で50m/min 位の速度で冷間圧延
を行う。即ち,コイル状になったMo板を,ロール前後
の巻取ドラムに取り付け,前後張力を付加し,且つ圧延
油を使用して,テンション圧延を行う。Mo板の1パス
毎のリダクションは,板厚が2mm位の厚い段階では,
最大値25%程度の圧下量が付加できるが,板厚が0.
2mm位の薄い段階は,最大値15%〜10%と1パス
毎のリダクションに関しては,圧延機の性能あるいは圧
延材の平坦度特性等により,かなり条件が異なって来る
ことはいうまでもない。また,上記第1のファクタは,
第2のファクタとともに,仕上時に考慮することで,所
要の特性が得られる。第1のファクタとして,製品板厚
100μmの場合は,仕上げ圧延は,板厚さ200μm
〜300μm程度から開始され,上記第2のファクタと
して,仕上時は,粗圧延時よりも比較的大きなワークロ
ールを選択して圧延を行っている。
【0041】Mo板は,冷間圧延が進行すると加工硬化
するため中間焼鈍を実施し,圧延し易い硬度に設定する
必要がある。冷間圧延及びその後の焼鈍工程を繰り返す
事によって,Mo板の板厚を次第に薄くし,最小板厚5
0〜500μmのMo薄板としている。なお,Mo板の
仕上げ精度を問題にする場合には,前述した焼鈍と同時
に表面処理(例えば,研磨又は酸洗い等)も不可欠な工
程となる。このようにして,製造された金属鏡面仕上M
o板の特性について以下に示す。
【0042】図2は金属鏡面仕上Mo板の表面の粗さの
測定方法を示す図である。図2を参照して,本発明の実
施例に係る製造方法によって得られたMo板に限らず,
一般的に圧延されたMo薄板の表面粗さを測定すると次
の傾向を有する。(i)RD平行の表面の粗さの方が,
RD垂直の表面の粗さよりも細かい。
【0043】(ii)RD平行とRD垂直との方向によ
り,表面の粗さの違いが大きくなる。
【0044】まず,本発明の実施例に係る方法によって
得られた金属鏡面仕上Mo板の表面の粗さを表1に示
す。比較の為に,一般的な圧延方法によって得られたM
o板(通常品)も併せて示している。表面の粗さは,J
IS B−0601に基づいて測定されている。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示すように,本発明の実施例に係る
方法によって製造された金属鏡面仕上Mo板は,数値的
には,圧延方向に平行な方向(RD平行)と圧延方向に
垂直な方向(RD垂直)との表面の粗さは,両者ともに
前述したRmax で1μm以下,Raで0.1μm以下に
すると同時に,両者の相違も上記数値の50%以下で,
表面の粗さRmax,Ra ともに従来のものよりも細かく優
れていることが判明した。
【0047】次に,本発明の実施例に係る方法によって
製造された金属鏡面仕上Mo板の光沢度を表2に示す。
併せて,一般的な圧延方法によって得られたMo板(以
下,通常品と呼ぶ)の光沢度も示す。光沢度はJIS
Z−8741に基づく60度の鏡面光沢度の測定法によ
って求められている。測定条件は,反射率が高すぎてス
ケールオーバーするため,光沢度計による正規の測定が
不可能であるため,校正値を1/10にして測定した。
【0048】
【表2】
【0049】表2に示すように,本発明の実施例に係る
方法によって得られた金属鏡面仕上Mo板の鏡面光沢度
は,通常品よりも優れていることが判明した。
【0050】また,本発明の実施例に係る金属鏡面仕上
Mo板の仕上げ圧延後の平坦度を測定した。この平坦度
の規定の方法は,日本工業規格(JIS H 4483
に基づく測定法)によるもので,図3を参照して簡単に
この測定方法を説明する。
【0051】図3において,JISによれば,矢印22
で示す方向を圧延方向とし,谷の深さ(山の高さ)を
H,谷の幅の1/2(山谷の幅の1/2)をLとする
と,平坦度=H/L×100[%]である。また,本発
明の実施例に係る反射板は,圧延によって,発生しやす
い圧延方向(Rolling direction,以下 R.D.と呼
ぶ)に平行な力と,圧延方向に垂直な方向との表面の粗
さの違いもコントロールした。表3に本発明の実施例に
係る金属鏡面仕上Mo板の平坦度を示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3に示すように,通常品は平坦度が,
0.2〜3.5%に対して,本発明の実施例に係る方法
により得られた金属鏡面仕上Mo板は,平坦度が1%以
下と鏡面光沢度が優れていることが判明した。
【0054】また,外観については,表面欠陥の例とし
て(イ)表面傷,及び(ロ)表面打痕を調べている。
(イ)表面傷の場合においては,欠陥が最大の場合で,
表4の通りである(表面傷及び表面打痕については図5
参照)。
【0055】
【表4】
【0056】表4から,本発明の実施例に係る方法によ
り得られた金属鏡面仕上Mo板は,表面の傷の長さ,深
さともに通常品よりも少ないことが判明した。
【0057】また,本発明の実施例に係る方法により得
られた金属鏡面仕上Mo板の表面打痕の場合において
は,凸及び凹両者共に,欠陥とみなし,表5に示してい
る。
【0058】
【表5】
【0059】表5から本発明の実施例に係る方法により
得られた金属鏡面仕上Mo板は,通常品よりも表面打痕
の幅,長さ,深さともに少ないことがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように,本発明では,光学
的反射率を向上させると同時に,圧延方向を基準とした
方向の変化による反射率の変化も減少させるという特性
を改善した金属鏡面仕上Mo板が得られる。
【0061】本発明では,光学的な反射率が良好なMo
板を圧延工程のみでも得られ,製造サイドにとって,製
造工程の管理も簡略化することが可能である金属鏡面仕
上Mo板の製造方法を提供することができる。
【0062】本発明では,製造に使用する圧延機は高精
度の圧延機ではなくて,一般的な精度の圧延機で充分に
製造可能であり,圧延に使用するワークロールの材質
も,特殊な材質のワークロールを使用する必要がなく,
一般的な鍛鋼ロールで良いので設備投資も必要なく安価
に製造できる金属鏡面仕上Mo板の製造方法を提供する
ことができる。
【0063】また,本発明では,ワークロールの表面状
態を一定範囲に管理することによって,容易に大量生産
が可能であり,品質のバラツキも極めて少ない状況で製
造することができ,工業化も非常に容易である金属鏡面
仕上Mo板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る金属鏡面仕上Mo板を製
造するための冷間圧延機を概略的に示す図である。
【図2】金属鏡面仕上Mo板の圧延方向による平坦度の
測定の説明に供する図である。
【図3】JISによるMo薄板の平坦度測定法の説明に
供する図である。
【図4】従来の圧延法よって製造されたMo薄板の平坦
度の説明に供する斜視図である。
【図5】(a)はMo板表面に発生する擦り傷を概略的
に示す斜視図である。(b)はMo板表面に発生するロ
ール打痕を概略的に示す斜視図である。
【図6】(a),(b),(c)はMo板表面に発生す
る微妙な凸凹を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1,2 ワークロール 3,4 バックアップロール 5,6 巻取ドラム 7 Mo板 8.9 張力付加機構 11,21,31,41,43,51,52,53
Mo板 12,22,32,46,54 圧延方向を示す矢印 13 圧延方向に平行な方向(RD平行) 14 圧延方向に垂直な方向(RD垂直) 23,24 うねり 45 擦り傷 47 打痕 55,56,57 凸凹

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50〜500μmの板厚で光学的反射面
    を有するMo板であって,前記光学的反射面は,少なく
    とも50%の光学的反射率と,Rmax で多くとも1μm
    及びRa で多くとも0.1μmの表面粗さと,JIS測
    定法で少なくとも1%で表される平坦度とを有すること
    を特徴とする金属鏡面仕上Mo板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属鏡面仕上Mo板をワ
    ークロールを備えた圧延機によって製造する方法におい
    て,前記光学的反射面が得られるような表面粗さ及び径
    を備えたワークロールを準備する段階と,前記光学的反
    射面における反射率と関連して選ばれた圧延力を選定す
    る段階と, 前記表面粗さとの関係で,加工されるMo
    板に使用される圧延油を選択する段階とを有し,前記加
    工されるMo板を前記ワークロールを通過させることに
    よって,前記光学的反射面を有するMo板を得ることを
    特徴とする金属鏡面仕上Mo板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112588823A (zh) * 2020-12-21 2021-04-02 江苏时代华宜电子科技有限公司 一种冷轧薄钼片表面粗糙度成型工艺

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