JP2006130546A - スキンパス圧延機およびその圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機である。フラット型または放物線パターンの凸型クラウンを有するバックアップロールと、ロール軸方向の片側において金属ストリップの端部近傍からロール端部に向かってロール径が増大するクラウンを有するワークロールと該ワークロールのロール軸端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置を有する。この圧延機は、該ワークロールをそのロール軸方向にシフトするシフト装置を必要に応じて備える。また、上ワークロール及び上バックアップロールからなる上ロール対と、下ワークロール及び下バックアップロールからなる下ロール対を交差させる装置を必要に応じて備える。
【選択図】 図3
Description
図1の下図は、上述の金属ストリップSをレベラー矯正後に例として6条に分割した後の状態を示すものである。このように条切りした後の金属ストリップの水平方向の曲がり量Lはキャンバーと呼ばれ、図示のように板端部の条切り材のキャンバーが大きく、これが問題となる。2次加工メーカのキャンバーに対する要求精度は近年ますます厳しくなり、例えば長さ10m当たりキャンバーは1mm以下が要求される。
このキャンバーを防止するための従来技術としては、例えば、板幅方向の端部であるエッジ部を製品として使用しない(例えば本来6条取れる金属ストリップからは5条しかとらず、両端部は廃棄もしくはキャンバー精度があまり要求されない他の用途に用いる)。または、エッジ部の条切り材については、再度圧延機を用いて軽圧下圧延してキャンバーを矯正する、または予めエッジ部の条切り材には大きなマージンを付けて条切りして、その後、必要長さに切断すると同時に所定の板幅に再度条切りする。このようにすることによってエッジ部のキャンバー問題は解消できるものの、大幅な歩留り低下やコストアップを招くこととなる。このような大幅な歩留り低下やコストアップを招かない技術としては、予め圧延機によって伸び率0.5%〜2.0%程度の軽圧下スキンパス圧延を施す際に、残留応力分布を制御可能な特殊な圧延機で圧延する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
本発明は上述した問題を解決するものであって、設備コストの大幅な上昇をもたらさずに条切りしてもキャンバーの生じないエッジドロップを有する金属ストリップのスキンパス圧延機およびその圧延方法を提供することを課題としている。
(1) エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機において、 フラット型または放物線パターンの凸型のクラウンを有するバックアップロールと、少なくともロール軸方向の片側において前記金属ストリップの端部近傍からロール端部に向かってロール径が増大するクラウンを有するワークロールと、該ワークロールのロール軸方向の端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置とを有するスキンパス圧延機。
ここで、本発明の(3)及び(4)で交差角を制御する際にバックアップロールに凸クラウンがあると、交差角を小さくできるという効果がある。したがって、本発明の(3)及び(4)ではバックアップロールをフラットに限定しない。
したがって、本発明は、設備コストの大幅な上昇をもたらさずに条切りしてもキャンバーの生じないエッジドロップを有する金属ストリップのスキンパス圧延機およびその圧延方法を提供することが可能となった。
いずれのスキンパス圧延においても、スキンパス圧延される前の金属ストリップはトリムされていないのが普通であり、従って、スキンパス圧延される前の金属ストリップには熱延もしくは冷延によって形成されたエッジドロップが存在する。
このようなエッジドロップが生じた金属ストリップを図2に示す通常の圧延機でスキンパス圧延した場合の問題を具体的に示すとともに、本発明の内容について以下に示す。
圧延機の入側には、コイル状の金属ストリップSを供給するリール3が、また出側には、圧延された金属ストリップSを、コイル状に巻き取るリール4が配置され、各リール3,4と圧延機との間には、入側および出側デフレクターロール5,6が配置されている。
なお図示してはいないが、入側および出側デフレクターロール5,6にはパルスジェネレータが設置されており、入側および出側の金属ストリップSの板速度を検出しマスフロー一定則から圧延時における伸び率が検出される。
この原因としては、素材の金属ストリップのエッジドロップ部の圧下が、板幅方向の中央部と比較して不足してしまい、板端部に残留応力が発生してしまったことによる。従って、エッジドロップ部にも十分な圧下がかかるようにベンダー力を制御すれば良いけれどもその場合には、圧延された金属ストリップは端伸び形状となり、その後のレベラーでも板形状は矯正されないため、たとえキャンバーは目標値に収まっても平坦度不良から最終的には屑となり、何の解決にもならない。
そして、これらのワークロール1,1’は、ミル(圧延機)における前記ロール軸方向の中心線Yに関して点対称に配置されている。さらに、この圧延機には、これらのワークロール1,1’を、そのロール軸方向にシフト可能な装置が具備されており、クラウンが付与された側が前記中心線Yに向かって50mm内側にシフトされている。また、図3では示していないが、形状制御手段として、上下ワークロールチョック7,7’を支点として上下ワークロール1,1’の垂直方向の撓み量を制御するためのインクリースおよびディクリースベンダー力を付与可能なベンダー装置12が配置され、チョック当たり40tonの力が付与されており、板形状としてはフラットな形状が得られている。
図3では不図示の上バックアップロールチョック8の上部には、荷重検出装置10が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、荷重検出装置10の上部には、図3では不図示の電動圧下装置11が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。
この金属ストリップSは、トリムされていない白皮の熱延材の耐力600MPa級のハイテン材であり、板厚1.2mm、板幅1100mmで板端から約50mm内側にわたってエッジドロップが存在している。エッジドロップ量は板中央と板端部から15mm内側における板厚差であり、約40ミクロンである。
これらのサンプルを別ラインでレベラー矯正した後、板幅200mm(両端の片側5mmは廃棄)でスリット加工機を用いて条切り(5条取り)して、長さ10m当たりのキャンバー量を測定した。
その結果、本発明の実施例にあっては、5条取りされた全て条について、いずれのキャンバーも±0.2mmの範囲に収まっていたが、従来技術の場合には、板端近傍の2つの条に関してはキャンバー(絶対値)は、1.5mm〜3.0mmであり、目標とする1mmを越えていた。
なお、図3に示すように、ワークロール1,1’におけるテーパー状のクラウンの付与部分に、金属ストリップSのエッジドロップの部分が当たっていないにも拘わらず、前記エッジドロップの部分に十分な圧下を与えることが可能となった理由としては、前記テーパー状のクラウンがバックアップロール2,2’に当たることによって、ワークロール1,1’におけるテーパー開始点P近傍のフラットな部分が、前記圧下を与えるに十分に曲がるためである。
2 上バックアップロール 2’ 下バックアップロール
3 巻き戻しリール 4 巻き取りリール
5 入側デフレクターロール 6 出側デフレクターロール
7 上ワークロールチョック 7’ 下ワークロールチョック
8 上バックアップロールチョック 8’ 下バックアップロールチョック
9 油圧圧下装置 10 荷重検出装置
11 電動圧下装置 12 ベンダー装置
13 ハウジング S 金属ストリップ
Y ミルの中心線 P テーパー開始点
Claims (8)
- エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機において、
フラット型または放物線パターンの凸型のクラウンを有するバックアップロールと、
少なくともロール軸方向の片側において前記金属ストリップの端部近傍からロール端部に向かってロール径が増大するクラウンを有するワークロールと、
該ワークロールのロール軸方向の端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置とを有することを特徴とするスキンパス圧延機。 - エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機において、
フラット型または放物線パターンの凸型のクラウンを有するバックアップロールと、
ロール軸方向の片側において前記金属ストリップの端部近傍からロール端部に向かってロール径が増大するクラウンを有するワークロールと、
該ワークロールをそのロール軸方向にシフトするシフト装置と、
該ワークロールのロール軸方向の端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置とを有することを特徴とするスキンパス圧延機。 - エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機において、
フラット型または放物線パターンの凸型のクラウンを有する上下のバックアップロールと、
少なくともロール軸方向の片側において金属ストリップの端部近傍からロール端部に向かってロール径が増大するクラウンを有する上下のワークロールと、
前記上ワークロール及び前記上バックアップロールからなる上ロール対と、前記下ワークロール及び前記下バックアップロールからなる下ロール対とを交差させる装置と、
前記ワークロールのロール軸方向の端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置を有することを特徴とするスキンパス圧延機。 - エッジドロップを有する金属ストリップを圧延するスキンパス圧延機において、
フラット型または放物線パターンの凸型のクラウンを有する上下のバックアップロールと、
ロール軸方向の片側において前記金属ストリップの端部近傍からロール軸方向の端部に向かってロール径が増大するクラウンを有する上下のワークロールと、
前記上ワークロール及び前記上バックアップロールからなる上ロール対と、前記下ワークロール及び前記下バックアップロールからなる下ロール対とを交差させる装置と、
前記ワークロールをロール軸方向にシフトするシフト装置と、
前記ワークロールのロール軸方向の端部に垂直方向のベンディング力を付加する装置を有することを特徴とするスキンパス圧延機。 - 請求項1記載のスキンパス圧延機を用いた金属ストリップの圧延方法において、
エッジドロップを有する金属ストリップを圧延する際、予め予想される前記金属ストリップの板幅とエッジドロップ量と所望とする軽圧下率における圧延荷重とに基づいて前記バックアップロールおよび前記ワークロールのクラウンを決定し、
圧延中の前記金属ストリップの前記圧延機の出側板形状が所望の板形状となるように前記ベンディング力を制御することを特徴とする圧延方法。 - 請求項2記載のスキンパス圧延機を用いた金属ストリップの圧延方法において、
エッジドロップを有する金属ストリップを圧延する際、予め予想される前記金属ストリップの板幅とエッジドロップ量と所望とする軽圧下率における圧延荷重とに基づいて前記バックアップロールおよび前記ワークロールのクラウン量を決定し、
圧延中の前記金属ストリップの前記圧延機の出側板形状が所望の板形状となるように前記ベンディング力および前記ワークロールのシフト量を制御することを特徴とする圧延方法。 - 請求項3記載のスキンパス圧延機を用いた金属ストリップの圧延方法において、
エッジドロップを有する金属ストリップを圧延する際、予め予想される前記金属ストリップの板幅とエッジドロップ量と所望とする軽圧下率における圧延荷重とに基づいて前記ワークロールのクラウンを決定し、
圧延中の前記金属ストリップの前記圧延機出側の板形状が所望の板形状となるように前記上下ロール対の交差角および前記ベンディング力を制御することを特徴とする圧延方法。 - 請求項4記載のスキンパス圧延機を用いた金属ストリップの圧延方法において、
エッジドロップを有する金属ストリップを圧延する際、予め予想される前記金属ストリップの板幅とエッジドロップ量と所望とする軽圧下率における圧延荷重をもとに該ワークロールのクラウン量を決定し、
圧延中の前記金属ストリップの前記圧延機出側の板形状が所望の板形状となるように、前記ベンディング力、前記上下ロール対の交差角、およびワークロールのシフト量を制御することを特徴とする圧延方法。
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