JPH06121582A - ブラシレス直流モータ - Google Patents

ブラシレス直流モータ

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JPH06121582A
JPH06121582A JP4271342A JP27134292A JPH06121582A JP H06121582 A JPH06121582 A JP H06121582A JP 4271342 A JP4271342 A JP 4271342A JP 27134292 A JP27134292 A JP 27134292A JP H06121582 A JPH06121582 A JP H06121582A
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JP
Japan
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phase
signal
brushless
motor
rotor
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Application number
JP4271342A
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English (en)
Inventor
Toshio Inaji
稲治  利夫
Eiji Ueda
英司 上田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホール素子などの位置検出素子を必要としな
い、モータの小型化・薄型化を可能とするブラシレス直
流モータを提供する。 【構成】 永久磁石回転子20の回転に応じて出力する
周波数発電機1の2相周波数信号より回転方向と回転移
動量をそれぞれ方向検出回路3とカウント回路4で検出
する。位相調整回路5は回転方向指令14に応じてカウ
ント回路4の計数値よりアドレス信号を作成し、波形発
生回路6はそのアドレス信号をもとに関数テーブルより
3相の位置信号を作成して出力する。電力供給回路7は
3相の位置信号に応じた駆動電流をそれぞれ固定子巻線
11,12,13に供給して回転子を回転させる。また固
定子巻線に印加される複数相の電圧を比較して得られた
位相信号をもとにモータが最大効率で運転されるように
位相補正を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久磁石回転子の回転
位置を検出するための位置検出素子を不要としたブラシ
レス直流モータに関する。
【0002】
【従来の技術】ブラシレス直流モータは、ブラシ付の直
流モータに比べ機械的接点を持たないため長寿命である
と同時に電気的雑音も少なく、近年、高信頼性が要求さ
れる産業用機器や映像・音響機器に広く応用されてい
る。
【0003】従来、この種のブラシレス直流モータは、
固定子巻線の通電相の切換えのためにブラシに相当する
位置検出素子(例えばホール素子)を使用している。し
かしながら、位置検出素子自体決して安価なものではな
く、さらに素子の取付け位置調整の煩雑さや配線数の増
加により、ブラシレス直流モータはブラシ付直流モータ
に比べて大幅にコストが上昇する欠点がある。また、モ
ータ内部に位置検出素子を取り付けなければならないた
め、モータの構造上の制約が起こることがしばしばあ
る。近年、機器の小型化に伴い使用されるモータも小型
かつ薄型化され、ホール素子等の位置検出素子を取り付
ける場所的な余裕がなくなってきているのが実状であ
る。
【0004】そこで、ホール素子の如き位置検出素子の
全くないブラシレス直流モータが、従来よりいくつか提
案されている。この種の位置検出素子の全くないブラシ
レス直流モータとしては、モータに取り付けられた周波
数発電機の出力パルスを利用するものがある。これは、
回転子の回転に応じたパルスを発生する周波数発電機の
出力パルスをカウンタで計数し、その計数値に対応して
予め設定された電流パターンの駆動電流を3相の固定子
巻線に順次通電させ、永久磁石回転子を回転させるもの
である(例えば、特開昭63−262088号公報参
照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、電源投入時には回転子の初期位置が分か
らないため、上述した従来技術に示されるブラシレス直
流モータでは、特別なリセット信号発生回路を設け、電
源投入時にはリセット信号を用いて上記カウンタをリセ
ットするとともに、固定子巻線に所定のリセット電流を
供給して予め回転子と固定子巻線とを所定の位置関係に
なるようにしている。
【0006】ところが、初期位置を決定するために固定
子巻線に所定のリセット電流を供給すると回転子は移動
を始め、初期位置を中心に回転子の位置は振動的で、な
かなか初期位置には静止しない。そのため、電源投入時
における固定子巻線に所定のリセット電流を供給して回
転子を所定位置に静止させるリセットモードから、回転
子の回転に応じて周波数発電機の出力パルスを計数して
行う正規の位置検出モードにはなかなか移行できず、従
来技術に示されるブラシレス直流モータは起動時間が長
くなるという問題点を有していた。したがって、回転・
停止を頻繁に繰り返し、短時間に起動する必要がある用
途には使用できない。
【0007】しかも、上述した従来技術に示されるブラ
シレス直流モータでは、電源投入時において回転子の初
期位置を検出するために、固定子巻線に所定のリセット
電流を供給して回転子と固定子巻線とを所定の位置関係
になるように構成したとしても、モータが負荷を負った
状態にある場合には、回転子と固定子巻線との位置関係
は負荷の大きさにより大きく変化する。そのためリセッ
トモードにおいて回転子を所定の位置に固定することが
できない。その結果、上述した従来技術に示されるブラ
シレス直流モータにあっては、リセットモードから、回
転子の回転に応じて周波数発電機の出力パルスを計数し
て行う正規の位置検出モードに移行しても、固定子巻線
に供給される電流位相が正規の位相から大きくずれてい
るため高効率な駆動を実現することができない。したが
って、従来技術に示されるブラシレス直流モータは、電
源投入時においてモータが無負荷状態である用途にしか
適用できないという問題点を有していた。
【0008】また、上述した従来技術に示されるよう
な、回転子の回転に応じたパルスを発生する周波数発電
機の出力パルスをカウンタで計数し、その計数値に対応
して駆動電流を3相の固定子巻線に順次通電させて永久
磁石回転子を回転させるブラシレス直流モータでは、連
続駆動中に何らかの原因で周波数発電機の出力にノイズ
が重畳したときカウンタの計数値に誤差を発生し、この
カウント誤差によりモータの効率は低下し、トルクリッ
プルも増加する。さらに、このカウント誤差が累積すれ
ば、モータが停止してしまうという最悪状態を引き起こ
す可能性もあり、上述した従来技術に示されるブラシレ
ス直流モータは信頼性に欠けるという問題点を有してい
た。
【0009】本発明は上記問題点に鑑み、電源投入時に
おける回転子と固定子巻線の位置関係を短時間に検出す
ることができ、電源投入時における位相合わせモードか
ら、周波数発電機の出力パルスを計数して行う正規の位
置検出モードに速やかに切換えることが可能なブラシレ
ス直流モータを提供することを目的とする。
【0010】また本発明は、電源投入時においてモータ
がすでに負荷を負っている状態であっても、負荷の大き
さには無関係に極めて精度よく初期位置を検出すること
が可能なブラシレス直流モータを提供することを目的と
する。
【0011】また本発明は、モータが通常回転している
ときに固定子巻線に誘起される誘起電圧の位相と各相の
固定子巻線に通電される電流位相とがそれぞれ一致する
ように位相補正操作を行う。したがって、モータの駆動
中に何らかの原因で周波数発電機の出力にノイズが重畳
して、誘起電圧の位相と駆動電流の位相に位相ずれが発
生しても自動的に誘起電圧の位相と駆動電流の位相を一
致させることができるので、モータが停止してしまうと
いう最悪状態を未然に防止することができ、モータを常
に高効率で駆動することができる。
【0012】したがって、位置検出素子が不要でありな
がら効率の高い駆動が可能で、しかも広い用途に応用可
能なブラシレス直流モータを提供することができる。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明のブラシレス直流モータは、永久磁石回転子
の回転数に比例した複数相の周波数信号を発生する周波
数発電機と、前記複数相の周波数信号より永久磁石回転
子の回転方向を検出して方向信号を出力する方向検出手
段と、周波数発電機の少なくとも1つの周波数信号のパ
ルス数を前記方向信号に応じてカウントするカウント手
段と、前記カウント手段の計数値に応じた複数相の波形
信号を発生する波形発生手段と、前記複数相の波形信号
に応じて固定子巻線に電力を供給し回転磁界を発生する
電力供給手段と、回転磁界を正逆方向に回転させること
により永久磁石回転子の磁極の初期位置を検出する初期
位置検出手段と、複数相の固定子巻線に通電される電流
位相もしくは固定子巻線に誘起される誘起電圧の位相を
検出する位相検出手段と、回転方向指令に応じて回転磁
界の位相を初期位置から正方向もしくは逆方向に所定の
値だけシフトさせ、位相検出手段の出力に応じて固定子
巻線に通電される電流と固定子巻線に誘起される誘起電
圧の位相を補正する位相調整手段とを含み、電源投入時
には固定子の発生する回転磁界を正逆方向に回転させて
永久磁石回転子の初期位相を合わせ、通常回転時には固
定子巻線に通電される電流と固定子巻線に誘起される誘
起電圧の位相が常に一致するように位相補正するという
構成を備えたものである。
【0014】
【作用】本発明は上記した構成によって、回転子の回転
に応じて発生する周波数発電機の出力パルスをカウント
回路で計数する。その計数値をもとに位置信号を作成し
ているので、従来のブラシレス直流モータに必要とされ
た位置検出素子が不要となるため、素子の取付け位置調
整の煩雑さや配線数が削減され、大幅にモータのコスト
が低減される。さらに、モータ内部に位置検出素子を取
り付ける必要がないため、モータは構造上の制約を受け
ず小型化、薄型化が可能となる。
【0015】さらに、通常回転時には固定子巻線に通電
される電流と固定子巻線に誘起される誘起電圧の位相が
一致するように常に位相補正されるので、モータは効率
の高い駆動が可能となる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例のブラシレス直流モ
ータについて、図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は本発明の一実施例におけるブラシレ
ス直流モータの構成を示すブロック図である。図1にお
いて、20は永久磁石回転子、11,12,13は3相
の固定子巻線である。1は周波数発電機で、永久磁石回
転子20の回転に比例した互いに位相の異なる2相の周
波数信号m1,m2を発生する。この2相の周波数信号
m1,m2は、波形整形回路2に入力されて矩形波信号
s1,s2に変換された後、方向検出回路3に入力され
る。方向検出回路3は、永久磁石回転子20の正逆の回
転方向に応じた方向信号dを出力する。4はカウント回
路で、波形整形回路2の出力する矩形波信号s1と方向
検出回路3の出力する方向信号dが入力され、永久磁石
回転子20の回転に応じて発生する矩形波信号s1のパ
ルス数をその回転方向に応じてアップカウントあるいは
ダウンカウントを行う。8は初期位置検出回路で、カウ
ント回路4の計数値cが入力され、位相合わせ時には固
定子の回転磁界を正逆方向に回転させて永久磁石回転子
の初期位置を求め、初期値qをカウント回路4に出力す
る。初期位置検出回路8は初期値qをカウント回路4に
出力するだけでなく、位相合わせ時にはアドレス指令b
を選択回路9に出力する。10は位相検出回路で、固定
子巻線11,12,13に印加される2相の電圧の大き
さを比較して位相信号gを出力する。5は位相調整回路
で、入力端子14に入力される方向指令rに応じてカウ
ント回路4の計数値cに所定値の加算もしくは減算処理
を行い、また位相検出回路10の出力する位相信号gに
応じて位相補正を行った後、アドレス信号aを選択回路
9に出力する。選択回路9は、端子15に入力される位
相合わせ指令tに応じてアドレス信号aまたはアドレス
指令bのいずれかを選択してアドレスfを波形発生回路
6に出力する。波形発生回路6は、選択回路9の出力す
るアドレスfに応じて3相の位置信号p1,p2,p3
を出力する。7は電力供給回路で、入力された3相の位
置信号p1,p2,p3をそれぞれ増幅して、位置信号
p1,p2,p3の大きさに比例した電流i1,i2,
i3をそれぞれ固定子巻線11,12,13に供給す
る。
【0018】以上のように構成された一実施例をもとに
して本発明のブラシレス直流モータの動作について詳し
く説明する。
【0019】まず、永久磁石回転子20が通常状態で回
転しているときについて説明する。図2は方向検出回路
3の一実施例の回路構成図で、その各部信号波形図を図
3に示す。
【0020】図2において、21はデータ入力型のフリ
ップフロップ回路で、波形整形回路2の出力する2相の
矩形波信号s1,s2が入力される。フリップフロップ
回路21のデータ入力端子Dには矩形波信号s1が入力
され、クロック入力端子CKには矩形波信号s2が入力
される。
【0021】図3(a)に、永久磁石回転子20が正方
向に回転しているときの矩形波信号s1,s2の波形を
示し、図3(b)には永久磁石回転子20が逆方向に回
転しているときの矩形波信号s1,s2の波形を示す。
データ入力型のフリップフロップ回路21は、クロック
入力端子CKに入力された信号の立上がりエッジ毎に、
データ入力端子Dの状態を保持し、その状態を出力端子
Qより出力するので、図3(a)のように永久磁石回転
子20が正方向に回転しているときは、データ入力型の
フリップフロップ回路21の出力Qは、常に高電位状態
(以下、“H”状態と呼ぶ)となる。一方、永久磁石回
転子20が逆方向に回転しているときは、図3bの如く
矩形波信号s1が矩形波信号s2より位相が90度遅れ
るので、出力Qは常に低電位状態(以下、“L”状態と
呼ぶ)となる。
【0022】以上より明らかなように、図2の方向検出
回路3により永久磁石回転子20の回転方向を検出する
ことができる。すなわち、方向検出回路3の出力する方
向信号dは、永久磁石回転子20が正方向に回転してい
るときは、“H”状態となり、逆方向に回転していると
きは、“L”状態となる。カウント回路4には、波形整
形回路2の出力する矩形波信号s1と方向検出回路3の
方向信号dとが入力され、カウント回路4は方向信号d
に応じて矩形波信号s1をアップカウントもしくはダウ
ンカウントを行う。すなわち、永久磁石回転子20の回
転に応じて発生する矩形波信号s1のパルス数を回転方
向に応じてアップカウントあるいはダウンカウカウント
を行うので、カウント回路4の計数値より永久磁石回転
子20の回転移動量を得ることができる。ただし、カウ
ント回路4は、電源投入時の初期状態では不定であり、
初期値の与える方法については、図8および図9にて説
明する位相合わせの動作のところで詳細に説明する。
【0023】図10は位相検出回路10の一実施例の回
路構成図で、その各部信号波形図を図11に示す。
【0024】図10において、100は比較器で、固定
子巻線11,12,13の3相の端子電圧のうち2つの
電圧波形(この場合は端子電圧v2と端子電圧v3)が
入力される。比較器100は入力された2つの電圧v
1,v2の大きさを比較し、電圧の大小に応じて位相信
号gを位相調整回路5に出力する。
【0025】図11において、aは、永久磁石回転子2
0が回転しているときの3相の端子電圧v1,v2,v
3の各電圧波形を示している。端子電圧v2は比較器1
00の非反転入力(+)に接続され、端子電圧v3は比
較器100の反転入力(−)に接続されているので、v
2>v3のとき比較器100の出力する位相信号gは、
“H”状態となり、v2<v3のときは比較器100の
出力gは、“L”状態となる。その様子を同図のbに示
す。波形bより明らかなように、端子電圧v1,v2,
v3は3相対称電圧なので、位相信号gの立ち上がりエ
ッジは端子電圧v1の最大ピーク点と一致し、位相信号
gの立ち下がりエッジは端子電圧v1の最小ピーク点と
一致する。すなわち、位相検出回路10の出力する位相
信号gは、固定子巻線11,12,13の端子電圧v
1,v2,v3のうち1相の端子電圧v1のピーク点の
タイミングを出力することになり、位相検出回路10に
より端子電圧v1の位相を検出することができる。な
お、位相信号gをもとに行う操作については、図12お
よび図13にて説明する位相補正の動作のところで詳細
に説明する。
【0026】まず、本発明のブラシレス直流モータが定
常状態で回転している時の動作について説明する。
【0027】図4は本発明のブラシレス直流モータの定
常回転時の各部信号波形図である。図4において、aは
固定子巻線11,12,13のそれぞれに誘起される誘起
電圧e1,e2,e3の波形である。bは波形発生回路6
で発生される3相の位置信号p1,p2,p3で、永久
磁石回転子20の回転位置に応じて出力され、誘起電圧
e1,e2,e3と同位相の関係となる。cは固定子巻
線11,12,13の各相に供給される3相駆動電流i
1,i2,i3で、正弦波状の位置信号p1,p2,p
3を電力供給回路7によりそれぞれ増幅されたものであ
る。dは固定子巻線11,12,13の各相の端子電圧
v1,v2,v3で、固定子巻線11,12,13のそれ
ぞれに誘起される誘起電圧e1,e2,e3と各相に駆
動電流i1,i2,i3が流れることにより発生した巻
線抵抗による電圧降下分(電圧波形v1のみ斜線で示し
た部分)を合成した波形である。図4より明らかなよう
に、誘起電圧e1,e2,e3、位置信号p1,p2,
p3、駆動電流i1,i2,i3および端子電圧v1,
v2,v3はすべて同位相にあり、誘起電圧e1,e
2,e3と駆動電流i1,i2,i3とがそれぞれ同位
相のときモータは最大効率で駆動される。
【0028】3相駆動電流i1,i2,i3により固定
子巻線11、12、13には回転磁界が発生し、永久磁
石回転子20の磁極と固定子巻線11、12、13によ
り発生した回転磁界との相互作用により、永久磁石回転
子20は回転力を受けて回転を始める。
【0029】図5は永久磁石回転子20の磁極と固定子
巻線11,12,13により発生した回転磁界の位相関
係を示したベクトル図である。図5において、Φは永久
磁石回転子20の磁極を示す磁極ベクトル、Iは固定子
巻線11,12,13により発生した回転磁界を示す起
磁力ベクトル、Eは固定子巻線11,12,13に誘起
される誘起電圧を示す誘起電圧ベクトルである。
【0030】図5(a)はモータが正方向(時計方向)
に回転している様子を、図5(b)はモータが逆方向
(反時計方向)に回転している様子をベクトル図で表現
したもので、起磁力ベクトルIと磁極ベクトルΦはそれ
ぞれ図示した方向に回転する。図より明らかなように、
永久磁石回転子20を連続して回転させるためには、固
定子巻線11、12、13で発生される起磁力ベクトル
Iの位相を永久磁石回転子20の磁極ベクトルΦの位相
より常に90度だけ回転方向に進めてやればよい。すな
わち、正方向に回転させるには起磁力ベクトルIを時計
方向に90度だけ進め、逆方向に回転させるには起磁力
ベクトルIを反時計方向に90度だけ進めればよい。
【0031】また図5より明らかなように、モータの回
転方向とは無関係に起磁力ベクトルIと誘起電圧ベクト
ルEとは位相が一致している。この状態のときモータは
最大効率で駆動されることになる。
【0032】このような信号処理を行う本発明の一実施
例の各部の動作について、詳しく説明する。
【0033】図6は、本発明のブラシレス直流モータを
構成する位相調整回路5、波形発生回路6、初期位置検
出回路8、選択回路9の一実施例を示す構成図である。
【0034】本実施例では、位相調整回路5、波形発生
回路6、初期位置検出回路8、選択回路9は、演算器6
1とメモリ62とディジタル/アナログ変換器63,6
4,65とで構成される。演算器61は、メモリ62の
ROM(リードオンリメモリ)領域に格納されている後
述の所定の内臓プログラムに従って動作し、端子14に
入力される方向指令rと端子15に入力される位相合わ
せ指令tと位相補正回路10の出力する位相信号gおよ
びカウント回路4の計数値cをRAM(ランダムアクセ
スメモリ)領域に取り込み、所定の演算を施してアドレ
スfを求める。つぎに演算器61はアドレスfに応じ
て、メモリ62のROM領域に予め格納されている1周
期分の正弦波の関数テーブルを参照することによりアド
レスfに応じた3相のディジタル位置信号dp1,dp
2,dp3を求め、それぞれディジタル/アナログ変換
器63,64,65に出力する。ディジタル/アナログ
変換器63,64,65は、3相のディジタル位置信号
dp1,dp2,dp3をそれぞれアナログ値に変換し
て3相の位置信号p1,p2,p3を出力する。
【0035】次に、メモリ62のROM領域に格納され
ている内臓プログラムについて説明する。
【0036】まず、通常回転時に処理の行われる通常モ
ードについて、図7に示した基本フローチャートに沿っ
て説明する。
【0037】処理71では、カウント回路4の計数値c
の変化したときの割り込みを待っている。割り込みが入
ると処理72に移行する。
【0038】処理72では、カウント回路4の計数値c
と端子14に入力される方向指令rを取り込みメモリ6
2のRAM領域に格納する。
【0039】処理73では、方向指令rが正方向指令で
あるか逆方向指令であるかを判定する。方向指令rが正
方向指令であるときには処理74でカウント回路4の計
数値cに所定の値(位相に換算して90度相当)を加算
してアドレスfを演算する。方向指令rが逆方向指令で
あるときにはカウント回路4の計数値cに所定の値(位
相に換算して90度相当)を減算してアドレスfを演算
する。処理71,72,73,74,75が位相調整回
路5の行う演算処理である。
【0040】処理76は、処理74または処理75で得
られたアドレスfをもとに、つぎの処理77で必要な3
相のアドレスf1,f2,f3を求める。
【0041】すなわち、位置信号p1,p2,p3の位
相はそれぞれ120度ずつずれているので(図4)、お
よび(数1)(数2)(数3)より、f1,f2,f3
の3相の各アドレス値を計算する。なお、(数1)(数
2)における“120”は位相に換算した120度相当
のアドレス計数値である。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】処理77では、処理76で得られた3相の
アドレス値f1、f2,f3をもとにメモリ62のRO
M領域に格納されている正弦波の関数テーブルを参照
し、3相のディジタル位置信号dp1,dp2,dp3
を求める。
【0046】処理78では、処理77で得られた3相の
ディジタル位置信号dp1,dp2,dp3を図6に示
したディジタル/アナログ変換器63,64,65に出
力する。ディジタル/アナログ変換器63,64,65
はディジタル位置信号dp1,dp2,dp3をそれぞ
れアナログ値に変換し、図4に示すような位置信号p
1,p2,p3を出力する。処理76,77,78が波
形発生回路6の行う演算処理である。本処理のあとは、
処理71に移行し、以上の処理を繰り返す。
【0047】位相調整回路5、波形発生回路6で以上の
処理を行うことにより、永久磁石回転子20の回転に応
じて位置信号p1,p2,p3を電力供給回路7に出力
する。電力供給回路7は、固定子巻線1、12、13に
正弦波状の駆動電流i1,i2,i3を供給する。すな
わち、永久磁石回転子20の回転量を検出し、その回転
量だけ固定子巻線11、12、13により発生する磁界
を回転させる。その結果、固定子巻線は回転磁界を発生
し、回転磁界の起磁力ベクトルIは、永久磁石回転子2
0の磁極ベクトルΦとは図5に示すように常に90度だ
け位相が異なるように形成される。そして磁極ベクトル
Iと磁極ベクトルΦとの相互作用により、永久磁石回転
子20は回転力を受けて回転を持続する。しかしなが
ら、電源投入などの初期状態ではカウント回路4の計数
値は不定であり計数値の初期値csを与える必要があ
る。
【0048】次に、本発明のブラシレス直流モータでカ
ウント回路4に初期値を与えるための位相合わせの動作
について詳しく説明する。
【0049】電源投入時には、図1の選択回路の端子1
5には位相合わせ指令tが入力され、初期位置検出回路
8の出力bが選択されてアドレスfとして波形発生回路
6に入力される。そして、初期位置検出回路8は、固定
子巻線11,12,13により発生される回転磁界を強
制的に正逆方向に回転させ、永久磁石回転子20の磁極
と固定子巻線11,12,13によって生じる回転磁界
との位相関係を検出する。
【0050】図8は、本発明の位相合わせの動作を説明
するために永久磁石回転子20の発生する磁極ベクトル
Φと固定子巻線11,12,13により発生した起磁力
ベクトルIの関係をベクトルで表現したベクトル図であ
る。
【0051】位相合わせ時には、選択回路9は初期位置
検出回路8のアドレス指令bを波形発生回路6に入力す
るので、波形発生回路6に入力されるアドレスfは永久
磁石回転子20の回転とは無関係に強制的に変更され、
それに応じて固定子巻線の起磁力ベクトルΦの方向が変
化される。その結果、磁極ベクトルIと磁極ベクトルΦ
との相互作用により、永久磁石回転子20は回転力を受
けてそれに応じて移動を始める。いま、モータが無負荷
状態であると仮定すれば、起磁力ベクトルIと磁極ベク
トルΦとは完全に一致する(そのときモータの発生トル
クはゼロ)。その様子を図8(a)に示す。しかし、モ
ータが負荷状態にあるときには起磁力ベクトルIと磁極
ベクトルΦとは一致せず、負荷の大きさに応じてある位
相角θを保つ。しかもその位相ずれの方向は、モータを
正方向(時計方向)に回転させたときには、図8(b)
に示すように磁極ベクトルΦは起磁力ベクトルIから反
時計方向に角度θだけずれ、モータを逆方向(反時計方
向)に回転させたときには、図8(c)に示すように磁
極ベクトルΦは起磁力ベクトルIから時計方向に角度θ
だけずれる。ところが、カウント回路4は方向信号dに
応じて矩形波信号s1をアップカウントもしくはダウン
カウントを行っているので、常に永久磁石回転子20の
初期値からの回転移動量を検出していることになる。い
ま、カウント回路4の初期値をcsとして、固定子巻線
の起磁力ベクトルIを正方向にΔfだけ回転させたとす
ると、カウント回路4の計数値は、
【0052】
【数4】
【0053】となる。ただし、hは位相に換算して図8
の位相角θに相当する計数値である。また、固定子巻線
の起磁力ベクトルIを逆方向にΔfだけ回転させたとす
ると、カウント回路4の計数値は、
【0054】
【数5】
【0055】となる。したがって、カウント回路4の初
期値は、(数4)、(数5)より、
【0056】
【数6】
【0057】で計算することができる。このような位相
合わせの処理を行う本発明の一実施例の動作について、
さらに詳しく説明する。
【0058】位相合わせの処理の行われる位相合わせモ
ードについて、図9に示したフローチャートに沿って説
明する。
【0059】図9において、処理91では波形発生回路
6に入力されるアドレスfを1だけ増加させ、処理92
に移行する。なお、位相合わせ時のアドレスfの初期値
はゼロとする。
【0060】処理92では、アドレスfが所定値Δfを
越えたかを判定する。アドレスfがΔf以内のときは、
再び処理91に移行し、アドレスfをさらに1だけ増加
させる。そしてアドレスfがΔfを越えたときには処理
93に移行する。
【0061】処理93では、カウント回路4の計数値c
を取り込み、第1の計数値c1としてメモリ62のRA
M領域に格納した後、処理94に移行する。
【0062】処理94では、波形発生回路6に入力され
るアドレスfを今度は1だけ減少させ、処理95に移行
する。
【0063】処理95では、アドレスfが−Δfを越え
たかを判定する。アドレスfが−Δf以内のときは、再
び処理94に移行し、アドレスfをさらに1だけ減少さ
せる。そして、アドレスfが−Δfを越えたときには処
理96に移行する。
【0064】処理96では、カウント回路4の計数値c
を取り込み、第2の計数値c2としてメモリ62のRA
M領域に格納した後、処理97に移行する。
【0065】処理97では、処理93および処理96で
それぞれ得られた第1の計数値c1と第2の計数値c2
をもとに(数6)の演算を行い、カウント回路4の初期
値csを求める。処理97の演算処理終了後、処理98
に移行する。
【0066】処理98では、処理97の演算で求めたc
sを初期値としてカウント回路4に転送する。
【0067】以上の処理91から処理98までが、電源
投入時などの初期状態における位相合わせモードの動作
であり、永久磁石回転子20の磁極ベクトルΦと固定子
巻線11,12,13により発生した起磁力ベクトルI
との位相合わせが完了する(図8(a))。
【0068】なお、上記の例では位相合わせモードの動
作で回転磁界を正方向、逆方向にそれぞれ1回ずつ回転
させたが同様な動作を複数回実施した後、その平均値を
演算するようにしてもよい。位相合わせが完了した後
は、図7で説明した通常モードに移行して、永久磁石回
転子20を回転させる。
【0069】次に、本発明のブラシレス直流モータで通
常回転時に行われる位相補正の動作について詳しく説明
する。
【0070】図12は固定子巻線11,12,13に誘
起される誘起電圧e1,e2,e3と各相に通電される
駆動電流i1,i2,i3の位相がずれた場合の各部電
圧・電流波形と位相検出回路10の出力する位相信号g
を示した波形図である。
【0071】図12において、aは固定子巻線11,1
2,13に誘起された誘起電圧e1,e2,e3、bは
波形発生回路6の出力する正弦波状の位置信号p1,p
2,p3、cは固定子巻線11,12,13に通電され
る駆動電流i1,i2,i3である。位置信号p1,p
2,p3は正弦波状の信号波形であり、電力供給回路7
はこれらをそれぞれ増幅して正弦波状の3相駆動電流i
1,i2,i3に変換し固定子巻線11,12,13の
各相に供給するので、位置信号p1,p2,p3と駆動
電流i1,i2,i3とは同位相の関係となる。dに示
したv1,v2,v3は固定子巻線11,12,13の
各相の端子電圧で、各相に誘起される誘起電圧e1,e
2,e3と各相に駆動電流i1,i2,i3が流れるこ
とにより発生する巻線抵抗の電圧降下分(電圧波形v1
のみ斜線で示した部分)を合成した波形である。図12
より明らかなように、この場合には誘起電圧e1,e
2,e3と駆動電流i1,i2,i3および端子電圧v
1,v2,v3はすべて位相が異なる。特に誘起電圧e
1,e2,e3と駆動電流i1,i2,i3との位相が
ずれているので、モータは最大効率では駆動されない。
eは図10に示す位相検出回路10の出力する位相信号
gを示し、図11と同様に位置信号gの立ち上がりエッ
ジが端子電圧v1の最大ピーク点と一致し、位置信号g
の立ち下がりエッジが端子電圧v1の最小ピーク点と一
致する。図12より明らかなように、位相信号gの立ち
上がりエッジは位置信号p1(または駆動電流i1)の
最大ピーク点とΔgだけ位相がずれている。
【0072】次に、位相検出回路10の出力する位相信
号gをもとに誘起電圧e1,e2,e3と駆動電流i
1,i2,i3との位相を図4に示すように一致させる
位相補正の処理を行う本発明の一実施例の動作につい
て、詳しく説明する。
【0073】図13は位相補正の処理を行う位相補正モ
ードの一実施例のフローチャートである。以下、図13
に示したフローチャートに沿って説明する。
【0074】図13において、処理131では、位相検
出回路10の出力する位相信号gの立ち上がりエッジの
発生による割り込みを待っている。位相信号gの立ち上
がりエッジの発生がない場合は、処理は通常モードに移
行し、位相信号gの立ち上がりの発生がある場合は処理
132に移行する。処理132では、位相信号gの立ち
上がりエッジの発生する時点における波形発生回路6に
入力されるアドレス値fと波形発生回路6の出力する位
置信号p1の最大ピーク点に相当するアドレス値fpと
の差(Δg=f−fp)を演算して位相差Δgを求め、
メモリ62のRAM領域に格納し、処理133に移行す
る。処理133では、処理132で求めた位相差Δgの
大きさが所定値Gの範囲内にあるかどうかを判定する。
位相差Δgの大きさが所定値Gより小さいときは、処理
は通常モードに移行し、位相差Δgの大きさが所定値G
より大きいときは処理134に移行する。処理134で
は、処理132で得られた位相差Δgの符号を判定す
る。位相差Δgの符号が正のときは処理135に移行
し、アドレス値fを1だけ加算させた後、通常モードに
移行する。処理134で位相差Δgの符号が正でないと
きは処理136に移行し、アドレス値fを1だけ減算さ
せた後、通常モードに移行する。
【0075】以上の処理131から処理136までが、
位相補正モードの動作である。図13のフローチャート
に示す処理を行うことにより、端子電圧v1,v2,v
3の最大ピーク点が波形発生回路6の出力する位置信号
p1,p2,p3の最大ピーク点と一致するするように
処理が行われる。すなわち、図12の波形eに示すよう
に端子電圧v1の最大ピーク点が位置信号p1の最大ピ
ーク点に相当するアドレス値fpより遅延した位置にあ
るときは、波形発生回路6の出力する位置信号のアドレ
ス値fを大きくすることにより位置信号p1,p2,p
3の位相を進める。逆に、端子電圧v1の最大ピーク点
が位置信号p1の最大ピーク点に相当するアドレス値f
pより進んだ位置にあるときは、波形発生回路6の出力
する位置信号のアドレス値fを小さくすることにより位
置信号p1,p2,p3の位相を遅延させる。その結
果、波形発生回路6の出力する位置信号p1,p2,p
3の位相(駆動電流i1,i2,i3と同位相)と端子
電圧v1,v2,v3との位相が一致し、誘起電圧e
1,e2,e3の位相と駆動電流i1,i2,i3の位
相が図4に示すごとく一致するので、モータは最大効率
で駆動される。
【0076】したがって、仮に図9の位相合わせモード
で正確な初期位置を検出することができなくても、図1
3の位相補正モードによりモータの通常回転時に誘起電
圧e1,e2,e3の位相と駆動電流i1,i2,i3
の位相を一致させることができる。また、モータの駆動
中に何らかの原因で周波数発電機1にノイズが重畳し、
カウント回路4の計数値に誤差を発生しても図13の位
相補正モードによりモータの通常回転時に自動的に誘起
電圧e1,e2,e3の位相と駆動電流i1,i2,i
3の位相を一致させることができる。したがって、周波
数発電機1に重畳したノイズによりカウント回路4の計
数値の誤差が累積してモータが停止してしまうという最
悪状態を未然に防止することができる。
【0077】以上述べた電力供給回路7は、波形発生回
路6の出力する位置信号p1,p2,p3に比例した3
相駆動電流を発生させる、いわゆる電流制御型の電力供
給回路である。しかしながら入力された位置信号p1,
p2,p3にそれぞれ比例した大きさの電流を作成する
電流増幅回路は、一般に相間ばらつきを発生しやすく単
なる電圧増幅回路に比べれば回路構成が複雑になるとい
う欠点を有する。
【0078】図14は電力供給回路7の他の実施例を示
す回路構成図で、これは電圧増幅型に構成された実施例
である。
【0079】図14において、141a,141b,1
41cは増幅器で、反転入力(−)には波形発生回路6
の出力する位置信号p1,p2,p3がそれぞれ抵抗1
42a,142b,142cを介して入力され、非反転
入力(+)には基準電圧144が入力されている。増幅
器141a,141b,141cの各出力にはエミッタ
ー同志が共通接続されたNPN型トランジスタ145
a,145b,145cとPNP型トランジスタ146
a,146b,146cの各ベースが接続されている。
NPN型トランジスタ145a,145b,145cの
コレクタはプラス電源に接続され、PNP型トランジス
タ146a,146b,146cのうち146aと14
6cは電流検出抵抗148を介してGndに接続され、
残りのPNP型トランジスタ146bは電流検出抵抗1
47を介してGndに接続されている。端子149,1
50からは電流を電圧に変換した信号ps2,ps3が
出力される。ただし、電流検出抵抗147,148の抵
抗値は同一とする。143a,143b,143cは帰
還抵抗でNPN型トランジスタとPNP型トランジスタ
の共通エミッター接続点と増幅器141a,141b,
141cの反転入力(−)に接続されている。端子14
9と端子150の出力ps2とps3は、図10に示し
た位相検出回路10に入力される。ただし、出力ps2
はv2の代わりに入力され、出力ps3はv3の代わり
に入力される。図14は電圧増幅型の電力供給回路であ
るので、波形発生回路6の出力する位置信号をp1,p
2,p3は、抵抗142と143の比で決定される増幅
率で増幅され、増幅された正弦波状の電圧は固定子巻線
11,12,13にそれぞれ印加される。すると各固定
子巻線11,12,13には正弦波状の駆動電流i1,
i2,i3が通電される。
【0080】図15は本発明のブラシレス直流モータの
定常回転時の各部信号波形図である。
【0081】図15において、aは固定子巻線11,1
2,13に誘起された誘起電圧e1,e2,e3、bは
波形発生回路6の出力する正弦波状の位置信号p1,p
2,p3、cは固定子巻線11,12,13の各相の端
子電圧v1,v2,v3である。位置信号p1,p2,
p3は正弦波状の信号波形であり、図14の電力供給回
路7はこれらをそれぞれ電圧増幅して、正弦波状の3相
駆動電圧v1,v2,v3を固定子巻線11,12,1
3の各相に供給するので、位置信号p1,p2,p3と
駆動電圧v1,v2,v3とは同位相の関係にある。d
に示したi1,i2,i3は固定子巻線11,12,1
3の各相に通電される電流で、印加される駆動電圧v
1,v2,v3と各相に誘起される誘起電圧e1,e
2,e3との差に比例した電流(i=(v−e)/R,
R:巻線抵抗)が流れる。すなわち、各相に通電される
駆動電流i1,i2,i3により発生する巻線抵抗の電
圧降下分と固定子巻線11,12,13に誘起された誘
起電圧e1,e2,e3とを合成した波形がcに示す駆
動電圧v1,v2,v3と一致することになる。eは、
図14の信号ps2,ps3の波形を示したもので、信
号ps2は電流i2の負側(吸い込み電流)の電流を電
圧に変換した波形を示し、信号ps3は電流i3と電流
i1のそれぞれ負側(吸い込み電流)の合成電流を電圧
に変換した波形を示している。
【0082】なお、図15に波形eで示した信号ps3
が、電流i3と電流i1のそれぞれ負側の合成電流を使
用する構成にしたのは、図10に示す位相検出回路10
を構成する比較器100に入力される2つの比較信号p
s2、ps3が同時にゼロにならないようにするため
で、比較器100の動作を安定化できるという効果があ
る。
【0083】図15において、波形fは図10に示す位
相検出回路10の出力する位相信号gを示すもので、位
置信号gの立ち上がりエッジが電流i1の最大ピーク点
と一致する。図15より明らかなように、位相信号gの
立ち上がりエッジは位置信号p1(または駆動電圧v
1)の最大ピーク点とΔgだけ位相がずれている。
【0084】図15に示す本発明のブラシレス直流モー
タの各部信号波形図は、電力供給回路7として位置信号
に比例した正弦波状電圧を固定子巻線に印加する電圧制
御型の回路構成とした場合である。しかし、位相検出回
路10の出力する位相信号gをもとに誘起電圧e1,e
2,e3と駆動電流i1,i2,i3との位相を一致さ
せる位相補正の処理は図12に示した電流制御型の電力
供給回路の場合とほぼ同じ操作であるので重複した説明
は省略する。
【0085】以上より、本発明のブラシレス直流モータ
は、周波数発電機の出力する互いに位相の異なる2相の
周波数信号をもとに3相の位置信号を作成するので、ホ
ール素子の如き位置検出素子を設けなくてもよい。
【0086】なお、本発明に係わる波形発生回路6で
は、1周期のみの正弦波の関数テーブルをメモリに記憶
させておき、位相の異なる分だけアドレス値を変えて関
数テーブルを参照することにより3相の位置信号を図6
に示すような3個のディジタル/アナログ変換器63,
64,65に出力しているが、1個のディジタル/アナ
ログ変換器を使用して逐次アナログ値に変換した後、得
られたアナログ値を3個のサンプルホールド回路(図示
しない)で保持して3相の位置信号として出力しても可
能であることはいうまでもない。また、正弦波関数は対
称周期関数であるので、1周期分すべてを関数テーブル
に記憶させておく必要はなく、1/2周期分もしくは1
/4周期分のみを記憶させておいて、後はアドレス値に
応じて適当な処理を行い3相の位置信号に相当するディ
ジタル値を求めるように構成してもよい。この場合は、
関数テーブル用に必要なメモリを少なく構成することが
できるという利点がある。また、逆に1周期のみの正弦
波の関数テーブルだけをメモリに記憶させておくのでな
く、3相分の正弦波をそれぞれ関数テーブルに記憶させ
ておいて、直接3相の位置信号に相当するディジタル値
を3個のディジタル/アナログ変換器63,64,65
に出力しても可能であることはいうまでもない。
【0087】また、本発明の実施例では3相のモータに
限ったが、相数は3相に限らず何相であってもよいこと
はいうまでもない。
【0088】
【発明の効果】以上のように本発明は、従来のブラシレ
ス直流モータのような位置検出素子が不要のため、素子
の取付け位置調整の煩雑さや配線数が削減され、大幅に
コストが低減され、モータ内部に位置検出素子を取り付
ける必要がないため、モータは構造上の制約を受けず小
型化、薄型化が可能となる。
【0089】さらに本発明のブラシレス直流モータは、
上記構成により位相合わせ動作時にも特に無負荷状態で
ある必要はなく、モータが負荷を負った状態であっても
永久磁石回転子と固定子巻線の位置関係を正確に検出す
ることができる。また、電源投入後はモータを駆動して
いないときでも周波数発電機は永久磁石回転子の回転を
検出しているので、永久磁石回転子が何らかの原因で外
部から回転されたとしても常に磁極位置が分かるので、
位相合わせ動作は電源投入時のみでよい。したがって、
位相合わせ動作の完了後は、起動、停止の動作は従来の
位置検出素子付きのブラシレス直流モータと比べても何
ら変わることはない。
【0090】また、モータが回転しているときに固定子
巻線に誘起される誘起電圧の位相と各相の固定子巻線に
通電される電流位相とがそれぞれ一致するように位相補
正操作を行うことにより、モータの駆動中に何らかの原
因で周波数発電機の出力にノイズが重畳しても自動的に
誘起電圧の位相と駆動電流の位相を一致させることがで
きるので、モータが停止してしまうという最悪状態を未
然に防止することができ、モータを常に高効率で駆動す
ることができる。
【0091】したがって、位置検出素子が不要でありな
がら効率の高い駆動が可能で、しかも広い用途に応用可
能なブラシレス直流モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブラシレス直流モータの一実施例の構
成を示すブロック図
【図2】本発明に係わる方向検出回路の一実施例を示す
回路構成図
【図3】図2に示す方向検出回路の各部信号波形図
【図4】本発明のブラシレス直流モータの定常回転時の
各部信号波形図
【図5】本発明のブラシレス直流モータの定常回転時に
おける永久磁石回転子の磁極ベクトルΦと固定子巻線の
発生する起磁力ベクトルIと固定子巻線に誘起される誘
起電圧Eの関係を示すベクトル図
【図6】本発明のブラシレス直流モータを構成する位置
調整回路、波形発生回路、初期位置検出回路、選択回路
の構成を示すブロック図
【図7】本発明のブラシレス直流モータの通常モードの
処理を説明するためのフローチャート図
【図8】本発明のブラシレス直流モータの位相合わせ操
作時における永久磁石回転子の磁極ベクトルΦと固定子
巻線の発生する起磁力ベクトルIとの関係を示すベクト
ル図
【図9】本発明のブラシレス直流モータの位相合わせ操
作を行う一実施例のフローチャート図
【図10】本発明に係わる位相検出回路の一実施例を示
す回路構成図
【図11】図10に示す位相検出回路の各部信号波形図
【図12】図10に示す位相検出回路の各部信号波形図
で、固定子巻線に誘起される誘起電圧と各相に通電され
る駆動電流の位相がずれた場合の波形図
【図13】本発明のブラシレス直流モータの位相補正の
操作を行う一実施例のフローチャート図
【図14】本発明に係わる電力供給回路の他の実施例を
示す回路構成図
【図15】図14に示す電力供給回路の各部信号波形図
【符号の説明】
1 周波数発電機 2 波形整形回路 3 方向検出回路 4 カウント回路 5 位相調整回路 6 波形発生回路 7 電力供給回路 8 初期位置検出回路 10 位相検出回路 11,12,13 固定子巻線 20 永久磁石回転子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個の磁極を有する回転子と、前記回転
    子に所定の空隙を有して配設された複数相の固定子巻線
    と、前記回転子の回転数に比例した複数相の周波数信号
    を発生する周波数発電機と、前記複数相の周波数信号よ
    り前記回転子の回転方向を検出し方向信号を出力する方
    向検出手段と、前記方向信号に応じて前記周波数発電機
    の少なくとも1つの周波数信号のパルスをカウントする
    カウント手段と、前記カウント手段の計数値より回転子
    の初期値を演算し初期値を前記カウント手段に出力する
    初期位置検出手段と、前記複数相の固定子巻線に印加さ
    れる少なくとも2相の電圧を比較して位相信号を出力す
    る位相検出手段と、回転方向指令に応じて前記カウント
    手段の計数値を所定の値だけ加減算させ、前記位相信号
    に応じて前記カウント手段の計数値を調整する位相調整
    手段と、前記位相調整手段の出力に応じた複数相の波形
    信号を発生する波形発生手段と、前記複数相の波形信号
    に応じた電流を固定子巻線に供給する電力供給手段より
    構成されたことを特徴とするブラシレス直流モータ。
  2. 【請求項2】複数個の磁極を有する回転子と、前記回転
    子に所定の空隙を有して配設された複数相の固定子巻線
    と、前記回転子の回転数に比例した複数相の周波数信号
    を発生する周波数発電機と、前記複数相の周波数信号よ
    り前記回転子の回転方向を検出し方向信号を出力する方
    向検出手段と、前記方向信号に応じて前記周波数発電機
    の少なくとも1つの周波数信号のパルスをカウントする
    カウント手段と、前記カウント手段の計数値より回転子
    の初期値を演算し初期値を前記カウント手段に出力する
    初期位置検出手段と、前記複数相の固定子巻線に通電さ
    れる少なくとも2相の電流位相を検出して位相信号を出
    力する位相検出手段と、回転方向指令に応じて前記カウ
    ント手段の計数値を所定の値だけ加減算させ、前記位相
    信号に応じて前記カウント手段の計数値を調整する位相
    調整手段と、前記位相調整手段の出力に応じた複数相の
    波形信号を発生する波形発生手段と、前記複数相の波形
    信号に応じた電圧を固定子巻線に供給する電力供給手段
    より構成されたことを特徴とするブラシレス直流モー
    タ。
  3. 【請求項3】位相検出手段は、1相の固定子巻線に通電
    される電流と他相の固定子巻線に通電される電流の合成
    和の位相を検出して位相信号を出力するように構成され
    たことを特徴とする請求項2記載のブラシレス直流モー
    タ。
  4. 【請求項4】初期位置検出手段は、正方向に回転させた
    ときのカウント手段の第1の計数値と逆方向に回転させ
    たときのカウント手段の第2の計数値を検出し、前記第
    1の計数値と前記第2の計数値との平均値を前記カウン
    ト手段の初期値となすように構成されたことを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載のブラシレス直流モー
    タ。
  5. 【請求項5】位相調整手段は、回転方向指令に応じてカ
    ウント手段の計数値を加減算することにより固定子巻線
    の発生する回転磁界の位相を永久磁石回転子の磁極の位
    相から電気角で90度だけ回転させるように構成された
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシ
    レス直流モータ。
  6. 【請求項6】波形発生手段は、正弦波状の信号を予め記
    憶させたメモリ手段と、前記メモリ手段から読み出され
    るディジタル値をアナログ値に変換するディジタル/ア
    ナログ変換器より構成されたことを特徴とする請求項1
    または請求項2記載のブラシレス直流モータ。
  7. 【請求項7】波形発生手段は、1周期のみの正弦波状の
    信号を予め記憶させたことを特徴とする請求項6記載の
    ブラシレス直流モータ。
  8. 【請求項8】波形発生手段は、1/2周期もしくは1/
    4周期のみの正弦波状の信号を予め記憶させたことを特
    徴とする請求項7記載のブラシレス直流モータ。
  9. 【請求項9】初期位置検出手段は、電源投入時のみ動作
    するように構成されたことを特徴とする請求項1または
    請求項2記載のブラシレス直流モータ。
  10. 【請求項10】周波数発生手段は、回転子が静止のとき
    も読みとり可能に構成されたことを特徴とする請求項1
    または請求項2記載のブラシレス直流モータ。
  11. 【請求項11】カウント手段、位相調整手段、波形発生
    手段および初期位置検出手段は、処理内容に従ったプロ
    グラム・データを保存するメモリ手段と、前記プログラ
    ム・データに従って処理を実行する演算処理ユニットよ
    り構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2
    記載のブラシレス直流モータ。
JP4271342A 1992-04-10 1992-10-09 ブラシレス直流モータ Pending JPH06121582A (ja)

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DE69301336T DE69301336T2 (de) 1992-04-10 1993-04-06 Bürstenloser Gleichstrommotor
EP93302686A EP0571076B1 (en) 1992-04-10 1993-04-06 Brushless DC motor
KR1019930006003A KR960004262B1 (ko) 1992-04-10 1993-04-10 무정류자직류모터
US08/045,104 US5378976A (en) 1992-04-10 1993-04-12 Brushless DC motor without a position sensor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100455554B1 (ko) * 2002-09-05 2004-11-08 이윤호 전동기의 회전방향 검출장치 및 그 방법

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