JPH06116790A - 高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材 - Google Patents
高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材Info
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- JPH06116790A JPH06116790A JP4263889A JP26388992A JPH06116790A JP H06116790 A JPH06116790 A JP H06116790A JP 4263889 A JP4263889 A JP 4263889A JP 26388992 A JP26388992 A JP 26388992A JP H06116790 A JPH06116790 A JP H06116790A
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- plating
- welding
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- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および
塗料密着性に優れた溶接缶用素材 【構成】 鋼板表面に片面当たり、2〜150mg/m
2 のNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を
有し、その上に粒径0.2〜12.0μのSnメッキ粒
子を10〜2800mg/m2 で点在したSnメッキ
層、更にその上にクロム換算で1〜50mg/m2 のク
ロメート被膜を形成させたことを特徴とする高速シーム
溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶
接缶用素材
塗料密着性に優れた溶接缶用素材 【構成】 鋼板表面に片面当たり、2〜150mg/m
2 のNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を
有し、その上に粒径0.2〜12.0μのSnメッキ粒
子を10〜2800mg/m2 で点在したSnメッキ
層、更にその上にクロム換算で1〜50mg/m2 のク
ロメート被膜を形成させたことを特徴とする高速シーム
溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶
接缶用素材
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速シーム溶接性、耐熱
性、耐食性および塗料密着性に優れた被膜構成を有する
溶接缶用材料に関するものである。
性、耐食性および塗料密着性に優れた被膜構成を有する
溶接缶用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、スードロニック法に代表されるシ
ーム溶接製缶法の実用化が急速に進展している。この溶
接製缶法の拡大に対処するため、溶接缶用材料として種
々の材料が開発され実用に供されている。これまで開発
された溶接缶材料としては次のものが挙げられる。 (1)鋼板表面に片面当たり150〜2500mg/m
2 のNiメッキ層とクロム換算で2〜15mg/m2 の
クロメート被膜層で形成されている溶接缶用材料(特開
昭56−169788号公報) (2)鋼板上に重量比でNi/Ni+Fe=0.02〜
0.50の範囲の組成で厚さ10〜5000ÅのFe−
Ni合金層とその上に100〜1000mg/m2 のS
nメッキ層を設け、リフロー処理を行ってクロム換算料
で5〜20mg/m2 のクロメート被膜層を設ける方法
(特開昭60−17099号公報)
ーム溶接製缶法の実用化が急速に進展している。この溶
接製缶法の拡大に対処するため、溶接缶用材料として種
々の材料が開発され実用に供されている。これまで開発
された溶接缶材料としては次のものが挙げられる。 (1)鋼板表面に片面当たり150〜2500mg/m
2 のNiメッキ層とクロム換算で2〜15mg/m2 の
クロメート被膜層で形成されている溶接缶用材料(特開
昭56−169788号公報) (2)鋼板上に重量比でNi/Ni+Fe=0.02〜
0.50の範囲の組成で厚さ10〜5000ÅのFe−
Ni合金層とその上に100〜1000mg/m2 のS
nメッキ層を設け、リフロー処理を行ってクロム換算料
で5〜20mg/m2 のクロメート被膜層を設ける方法
(特開昭60−17099号公報)
【0003】更に、最近では (3)鋼板表面に片面当たり150〜2500mg/m
2 のNi−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層を有
し、その上に粒径0.2〜4.0μのSnメッキ粒子を
10〜400mg/m2 点在した錫メッキ層、更にその
上に1〜50mg/m2 のクロメート被膜を有する溶接
缶用材料 (4)鋼板表面に片面当たり150〜2500mg/m
2 のNi−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層を有
し、その上に粒径0.2〜4.0μのSnメッキ粒子を
400〜2800mg/m2 点在した錫メッキ層、更に
その上に1〜50mg/m2 のクロメート被膜を有する
溶接缶用材料も開発されている。
2 のNi−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層を有
し、その上に粒径0.2〜4.0μのSnメッキ粒子を
10〜400mg/m2 点在した錫メッキ層、更にその
上に1〜50mg/m2 のクロメート被膜を有する溶接
缶用材料 (4)鋼板表面に片面当たり150〜2500mg/m
2 のNi−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層を有
し、その上に粒径0.2〜4.0μのSnメッキ粒子を
400〜2800mg/m2 点在した錫メッキ層、更に
その上に1〜50mg/m2 のクロメート被膜を有する
溶接缶用材料も開発されている。
【0004】まず、(1)のNiメッキ/クロメート処
理鋼板は錫を用いないTFS型の溶接缶用材料として、
実用上充分良好な溶接性を有し、その優れた耐熱性、塗
料密着性および塗装後耐食性から大量に実用に供されて
いる。また、(2)のNi系の下地処理を有する薄錫メ
ッキ型の材料(以下『LTS』と称す)は、より一層の
溶接性の向上を狙い塗装焼き付け後に軟質、低融点の金
属錫(以下『free−Sn』と称す)を確保し、耐食
性はNi系の下地処理により確保でき、最近実用に供さ
れてきた。これらの材料は、いずれも良好な溶接性と塗
装後耐食性を備えた優れた溶接缶用材料であり、内容物
等使用される用途に応じて使い分けられている。
(3)、(4)の粒状Sn/Ni−Feあるいは粒状S
n/Ni−Pメッキ鋼板は、良好な溶接性、耐食性、耐
熱性、塗料密着性を有しているが、まだ実用には供され
ていない。
理鋼板は錫を用いないTFS型の溶接缶用材料として、
実用上充分良好な溶接性を有し、その優れた耐熱性、塗
料密着性および塗装後耐食性から大量に実用に供されて
いる。また、(2)のNi系の下地処理を有する薄錫メ
ッキ型の材料(以下『LTS』と称す)は、より一層の
溶接性の向上を狙い塗装焼き付け後に軟質、低融点の金
属錫(以下『free−Sn』と称す)を確保し、耐食
性はNi系の下地処理により確保でき、最近実用に供さ
れてきた。これらの材料は、いずれも良好な溶接性と塗
装後耐食性を備えた優れた溶接缶用材料であり、内容物
等使用される用途に応じて使い分けられている。
(3)、(4)の粒状Sn/Ni−Feあるいは粒状S
n/Ni−Pメッキ鋼板は、良好な溶接性、耐食性、耐
熱性、塗料密着性を有しているが、まだ実用には供され
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年さらにより一層の
製缶技術の進歩と製缶コストダウンが相俟って、原板素
材の薄手化と高温短時間での塗装焼き付けおよびシーム
溶接の高速化が強く要請されている。即ち、原板素材の
薄手化は現状の板厚0.20〜0.24mmから0.2
0mm以下の薄手材が要請され、高温短時間焼き付けで
は現状の塗料の焼き付け条件200〜210℃×10m
inから錫の融点(232℃)以上の温度まで数十秒で
昇温させその間に塗料の焼き付けを行うという高温短時
間焼き付けが強く要請されている。シーム溶接の高速化
は、溶接機のハードの検討により従来の40〜60m/
minのワイヤースピードから70〜100m/min
という高速化が計画されている。しかし、これらの薄手
化と高温短時間焼き付けおよび高速シーム溶接と言う条
件に前記の公知技術を適用した場合には、以下のような
問題が発生する。
製缶技術の進歩と製缶コストダウンが相俟って、原板素
材の薄手化と高温短時間での塗装焼き付けおよびシーム
溶接の高速化が強く要請されている。即ち、原板素材の
薄手化は現状の板厚0.20〜0.24mmから0.2
0mm以下の薄手材が要請され、高温短時間焼き付けで
は現状の塗料の焼き付け条件200〜210℃×10m
inから錫の融点(232℃)以上の温度まで数十秒で
昇温させその間に塗料の焼き付けを行うという高温短時
間焼き付けが強く要請されている。シーム溶接の高速化
は、溶接機のハードの検討により従来の40〜60m/
minのワイヤースピードから70〜100m/min
という高速化が計画されている。しかし、これらの薄手
化と高温短時間焼き付けおよび高速シーム溶接と言う条
件に前記の公知技術を適用した場合には、以下のような
問題が発生する。
【0006】まず、Niメッキ/クロメート処理鋼板は
板厚の薄手化に伴い、十分な溶接強度と良好な溶接外観
が得られる適正溶接範囲が非常に狭くなるという問題が
ある。これは、溶接電流が増加し十分な溶接強度が得ら
れる前に溶融金属が飛び出し(以下『散り』と称す)、
塗装後耐食性および溶接強度の劣化が生じるという問題
である。高温短時間焼き付けに対しては、Niメッキ/
クロメート処理鋼板はその良好な耐熱性により十分対応
可能であり、良好な塗装後耐食性を確保可能である。一
方、LTS型の材料は薄手化に伴う溶接性の劣化は、缶
内外面相当面の錫メッキ量をコントロールすることによ
り回避できるが、高温短時間焼き付けを行うと塗料の焼
き付け温度が錫の融点を越えるため、表層の錫が溶融し
塗装後耐食性が顕著に劣化するという問題が発生する。
板厚の薄手化に伴い、十分な溶接強度と良好な溶接外観
が得られる適正溶接範囲が非常に狭くなるという問題が
ある。これは、溶接電流が増加し十分な溶接強度が得ら
れる前に溶融金属が飛び出し(以下『散り』と称す)、
塗装後耐食性および溶接強度の劣化が生じるという問題
である。高温短時間焼き付けに対しては、Niメッキ/
クロメート処理鋼板はその良好な耐熱性により十分対応
可能であり、良好な塗装後耐食性を確保可能である。一
方、LTS型の材料は薄手化に伴う溶接性の劣化は、缶
内外面相当面の錫メッキ量をコントロールすることによ
り回避できるが、高温短時間焼き付けを行うと塗料の焼
き付け温度が錫の融点を越えるため、表層の錫が溶融し
塗装後耐食性が顕著に劣化するという問題が発生する。
【0007】また、(3)の被膜構成を有する粒状Sn
/Ni−Feあるいは粒状Sn/Ni−Pメッキ鋼板で
は、従来の溶接スピードでは良好な溶接性を確保可能で
あるが、溶接スピードが増加すると適正溶接範囲が狭く
なり、シーム溶接の高速化には十分対応できない。更
に、(4)の被膜構成を有する粒状Sn/Ni−Feあ
るいは粒状Sn/Ni−Pメッキ鋼板では、製缶時に不
可避的に発生する地鉄に達するスクラッチ傷が入った場
合には、スクラッチ傷より地鉄が溶解し、孔食を起こし
易いという問題がある。本発明はこれらの問題に対処す
るため、高温短時間焼き付けを行いシーム溶接を行った
場合に十分広い適正溶接範囲を有し、かつ良好な塗料密
着性と塗装後耐食性を発揮する溶接缶用材料を提供せん
とするものである。特に、本発明はメッキ原板として薄
手材を使用した場合に良好な溶接性を確保するのに極め
て顕著な効果を発揮する。
/Ni−Feあるいは粒状Sn/Ni−Pメッキ鋼板で
は、従来の溶接スピードでは良好な溶接性を確保可能で
あるが、溶接スピードが増加すると適正溶接範囲が狭く
なり、シーム溶接の高速化には十分対応できない。更
に、(4)の被膜構成を有する粒状Sn/Ni−Feあ
るいは粒状Sn/Ni−Pメッキ鋼板では、製缶時に不
可避的に発生する地鉄に達するスクラッチ傷が入った場
合には、スクラッチ傷より地鉄が溶解し、孔食を起こし
易いという問題がある。本発明はこれらの問題に対処す
るため、高温短時間焼き付けを行いシーム溶接を行った
場合に十分広い適正溶接範囲を有し、かつ良好な塗料密
着性と塗装後耐食性を発揮する溶接缶用材料を提供せん
とするものである。特に、本発明はメッキ原板として薄
手材を使用した場合に良好な溶接性を確保するのに極め
て顕著な効果を発揮する。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは溶接缶用材料
の適正な表面被膜構成について検討した結果、溶接時に
おいても散りの発生がなく十分な溶接強度が得られる広
い適正溶接範囲を確保するには溶接極輪/材料界面およ
び材料/材料界面の接触抵抗を極力低減させることであ
ることが判明した。接触抵抗を低減させるには塗装焼き
付け後のfree−Sn残留量が最も効果的ではある
が、材料表層の全面にfree−Snが存在すると錫メ
ッキ層は耐熱性に劣るため高温短時間焼き付けを行った
場合free−Snが溶融し、良好な塗装後耐食性を確
保することが困難である。
の適正な表面被膜構成について検討した結果、溶接時に
おいても散りの発生がなく十分な溶接強度が得られる広
い適正溶接範囲を確保するには溶接極輪/材料界面およ
び材料/材料界面の接触抵抗を極力低減させることであ
ることが判明した。接触抵抗を低減させるには塗装焼き
付け後のfree−Sn残留量が最も効果的ではある
が、材料表層の全面にfree−Snが存在すると錫メ
ッキ層は耐熱性に劣るため高温短時間焼き付けを行った
場合free−Snが溶融し、良好な塗装後耐食性を確
保することが困難である。
【0009】これらの問題を解決し、溶接缶用材料とし
て実用的な性能を両立させるためには以下のような手段
が最も有効であることが判明した。即ち、高温短時間焼
き付けで錫メッキ層が完全に溶融し塗装後耐食性の顕著
な劣化を招く事なく接触抵抗を低減させるためには、錫
メッキ層を粒状で点在させることが大きな効果があるこ
とが判った。更に、粒状Snメッキ層の下層には耐熱性
および耐食性の良好なNi−Fe合金層あるいはNi−
P合金メッキ層を設けることにより、高温短時間焼き付
けに十分耐えられ良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確
保できることを見いだした。つまり、良好な溶接性と耐
食性および高温短時間焼き付けに耐え得る良好な耐熱性
を確保するには鋼板表面にNi−Fe合金層あるいはN
i−P合金メッキ層を施し、その上に粒状の錫メッキ層
を設けることがポイントとなる。
て実用的な性能を両立させるためには以下のような手段
が最も有効であることが判明した。即ち、高温短時間焼
き付けで錫メッキ層が完全に溶融し塗装後耐食性の顕著
な劣化を招く事なく接触抵抗を低減させるためには、錫
メッキ層を粒状で点在させることが大きな効果があるこ
とが判った。更に、粒状Snメッキ層の下層には耐熱性
および耐食性の良好なNi−Fe合金層あるいはNi−
P合金メッキ層を設けることにより、高温短時間焼き付
けに十分耐えられ良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確
保できることを見いだした。つまり、良好な溶接性と耐
食性および高温短時間焼き付けに耐え得る良好な耐熱性
を確保するには鋼板表面にNi−Fe合金層あるいはN
i−P合金メッキ層を施し、その上に粒状の錫メッキ層
を設けることがポイントとなる。
【0010】この際重要な点は、製缶時に発生するスク
ラッチ傷部での孔食性を向上させるため、下層のNi−
FeあるいはNi−P合金層のメッキ量を厳重にコント
ロールする必要がある。つまり、Ni−FeあるいはN
i−P合金メッキ量が多すぎると、むしろスクラッチ部
での孔食が進行し易く穴明きに至ることがあり、これを
回避するためには下層のNi−FeあるいはNi−P合
金メッキ量は低めにコントロールされなくてはならな
い。また、良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確保する
には粒状Snメッキ層の上にクロメート被膜層を設けな
くてはならないが、水和酸化クロム層は絶縁体であり微
量存在する金属クロムは高融点のためクロメート被膜は
溶接性にはマイナス要因である。そのため、クロメート
被膜は良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確保できる必
要最少量に規制しなければならない。
ラッチ傷部での孔食性を向上させるため、下層のNi−
FeあるいはNi−P合金層のメッキ量を厳重にコント
ロールする必要がある。つまり、Ni−FeあるいはN
i−P合金メッキ量が多すぎると、むしろスクラッチ部
での孔食が進行し易く穴明きに至ることがあり、これを
回避するためには下層のNi−FeあるいはNi−P合
金メッキ量は低めにコントロールされなくてはならな
い。また、良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確保する
には粒状Snメッキ層の上にクロメート被膜層を設けな
くてはならないが、水和酸化クロム層は絶縁体であり微
量存在する金属クロムは高融点のためクロメート被膜は
溶接性にはマイナス要因である。そのため、クロメート
被膜は良好な塗料密着性と塗装後耐食性を確保できる必
要最少量に規制しなければならない。
【0011】本発明者らはこれらの考え方を基本に詳細
に検討した結果、薄手材で高温短時間焼き付け可能な溶
接缶用材料として優れた溶接性、耐孔食性、塗料密着
性、塗装後耐食性を有する溶接缶用素材が得られること
を発見した。本発明はその知見に基づいてなされたもの
で、その要旨は鋼板表面に片面当たり、2〜150mg
/m2 のNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ
層を有し、その上に粒径0.2〜12.0μのSnメッ
キ粒子を10〜2800mg/m2 で点在したSnメッ
キ層、更にその上にクロム換算で1〜50mg/m2 の
クロメート被膜を形成させた高速シーム溶接性、耐孔食
性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材を提
供することにある。
に検討した結果、薄手材で高温短時間焼き付け可能な溶
接缶用材料として優れた溶接性、耐孔食性、塗料密着
性、塗装後耐食性を有する溶接缶用素材が得られること
を発見した。本発明はその知見に基づいてなされたもの
で、その要旨は鋼板表面に片面当たり、2〜150mg
/m2 のNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ
層を有し、その上に粒径0.2〜12.0μのSnメッ
キ粒子を10〜2800mg/m2 で点在したSnメッ
キ層、更にその上にクロム換算で1〜50mg/m2 の
クロメート被膜を形成させた高速シーム溶接性、耐孔食
性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材を提
供することにある。
【0012】
【作用】以下に本発明について詳細に説明する。本発明
において、メッキ原板としては特に規制されるものでは
なく、通常、容器材料として使用される鋼板を用いる。
メッキ原板の製造法、材質なども特に規制されるもので
はなく、通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間
圧延、焼鈍、調質などの工程を経て製造される。更に、
このメッキ原板は必要とされる缶体強度および板厚に応
じて冷間圧延後焼鈍を行ってから再冷間圧延(即ち2C
R法)する製造工程で製造してもよい。まず、良好な耐
熱性、耐食性、塗料密着性を発揮する被膜構成について
述べる。前述したように求められている耐熱性は、錫の
融点以上まで数十秒で昇温する高温短時間での塗料焼き
付けであり、この焼き付け条件に耐えて良好な塗装後耐
食性を確保するには、少なくとも錫よりも高い融点を有
する金属のメッキを施さなくてはならない。また、耐熱
性のみではなく良好な耐食性、塗料密着性と粒状錫メッ
キ層により確保した良好な溶接性を損なわない特性も備
えておかなくてはならない。
において、メッキ原板としては特に規制されるものでは
なく、通常、容器材料として使用される鋼板を用いる。
メッキ原板の製造法、材質なども特に規制されるもので
はなく、通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間
圧延、焼鈍、調質などの工程を経て製造される。更に、
このメッキ原板は必要とされる缶体強度および板厚に応
じて冷間圧延後焼鈍を行ってから再冷間圧延(即ち2C
R法)する製造工程で製造してもよい。まず、良好な耐
熱性、耐食性、塗料密着性を発揮する被膜構成について
述べる。前述したように求められている耐熱性は、錫の
融点以上まで数十秒で昇温する高温短時間での塗料焼き
付けであり、この焼き付け条件に耐えて良好な塗装後耐
食性を確保するには、少なくとも錫よりも高い融点を有
する金属のメッキを施さなくてはならない。また、耐熱
性のみではなく良好な耐食性、塗料密着性と粒状錫メッ
キ層により確保した良好な溶接性を損なわない特性も備
えておかなくてはならない。
【0013】本発明者らは種々の検討を重ねた結果、N
i−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を施すこ
とにより、これらの問題点を解決することができること
が判明した。即ち、Ni−Fe合金あるいはNi−P合
金の高い融点を有効に活用することにより、高温短時間
焼き付けに耐え得る良好な耐熱性が発揮でき、良好な塗
装後耐食性と溶接性が確保できることが判った。特に、
溶接性については上層の粒状錫により得られる良好な溶
接性を損なう事なく、更にNi−Fe合金あるいはNi
−P合金メッキ層の優れた鍛接性により良好な溶接性を
発揮することが判明した。鍛接性とは溶接時に完全に金
属が溶融して強い溶接強度を発揮するほかに、金属が完
全に溶融することなく高温時の加熱圧着により強い接合
強度が得られる特性であり、Ni−Fe合金層あるいは
Ni−P合金メッキ層は鍛接性が優れている金属であ
る。
i−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を施すこ
とにより、これらの問題点を解決することができること
が判明した。即ち、Ni−Fe合金あるいはNi−P合
金の高い融点を有効に活用することにより、高温短時間
焼き付けに耐え得る良好な耐熱性が発揮でき、良好な塗
装後耐食性と溶接性が確保できることが判った。特に、
溶接性については上層の粒状錫により得られる良好な溶
接性を損なう事なく、更にNi−Fe合金あるいはNi
−P合金メッキ層の優れた鍛接性により良好な溶接性を
発揮することが判明した。鍛接性とは溶接時に完全に金
属が溶融して強い溶接強度を発揮するほかに、金属が完
全に溶融することなく高温時の加熱圧着により強い接合
強度が得られる特性であり、Ni−Fe合金層あるいは
Ni−P合金メッキ層は鍛接性が優れている金属であ
る。
【0014】また、Ni−Fe合金層あるいはNi−P
合金メッキ層は良好な耐食性を確保するという観点から
も重要である。Ni金属自体は極めて良好な耐食性を示
すが、鋼板上にNiのメッキを施す場合にはメッキ層の
ピンホール部でFeとNiの局部電池を形成し、Feが
溶解するため鋼板に孔食が発生する。しかし、Ni−F
e合金あるいはNi−P合金メッキ層の場合は、電位が
Ni金属に比べてベーシック(卑)なので合金層のピン
ホールが存在しても、地鉄とメッキ層の間で局部電池を
形成して鋼板に孔食が発生する程度は少ない。つまり、
Ni−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層のほうが
Niメッキ層に比べて耐食性は向上する。しかし、製缶
時に鉄面に達するようなスクラッチ傷が発生した場合に
は、傷部でNiとFeの局部電池を形成し孔食を起こす
が、後述するようにNi系のメッキ量に応じて孔食速度
は変わってくるので孔食性に関しては下地のNi系メッ
キ量を厳密にコントロールする必要がある。
合金メッキ層は良好な耐食性を確保するという観点から
も重要である。Ni金属自体は極めて良好な耐食性を示
すが、鋼板上にNiのメッキを施す場合にはメッキ層の
ピンホール部でFeとNiの局部電池を形成し、Feが
溶解するため鋼板に孔食が発生する。しかし、Ni−F
e合金あるいはNi−P合金メッキ層の場合は、電位が
Ni金属に比べてベーシック(卑)なので合金層のピン
ホールが存在しても、地鉄とメッキ層の間で局部電池を
形成して鋼板に孔食が発生する程度は少ない。つまり、
Ni−Fe合金あるいはNi−P合金メッキ層のほうが
Niメッキ層に比べて耐食性は向上する。しかし、製缶
時に鉄面に達するようなスクラッチ傷が発生した場合に
は、傷部でNiとFeの局部電池を形成し孔食を起こす
が、後述するようにNi系のメッキ量に応じて孔食速度
は変わってくるので孔食性に関しては下地のNi系メッ
キ量を厳密にコントロールする必要がある。
【0015】更に、塗料密着性に関しては粒状Snが析
出していないNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メ
ッキ層にクロメート被膜が生成した部分で良好な密着性
が確保可能である。粒状Sn析出部で良好な塗料密着性
が確保しにくい理由は、塗料焼き付け時に脆弱な酸化錫
が生成し、それが製缶加工等のダメージにより破壊され
塗膜剥離の原因になるからである。Ni−Fe合金層あ
るいはNi−P合金めっき層ではそのような脆弱な酸化
膜は生成せず良好な塗料密着性を確保することができ
る。
出していないNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メ
ッキ層にクロメート被膜が生成した部分で良好な密着性
が確保可能である。粒状Sn析出部で良好な塗料密着性
が確保しにくい理由は、塗料焼き付け時に脆弱な酸化錫
が生成し、それが製缶加工等のダメージにより破壊され
塗膜剥離の原因になるからである。Ni−Fe合金層あ
るいはNi−P合金めっき層ではそのような脆弱な酸化
膜は生成せず良好な塗料密着性を確保することができ
る。
【0016】このNi−Fe合金層あるいはNi−P合
金メッキ量については、適正メッキ量として2〜150
mg/m2 に規制される。Ni−Fe合金層あるいはN
i−P合金メッキ量が2mg/m2 未満では、メッキ層
のピンホールが多く良好な耐食性を確保することができ
なく、良好な耐熱性も確保することができない。また、
それらのメッキ量が150mg/m2 を越えるとメッキ
層のピンホールが減少することによる耐食性向上効果は
あるが製缶ラインを通過する際に不可避的に発生する地
鉄に達するようなスクラッチ傷が発生した場合には、む
しろ孔食が発生しやすい。これはスクラッチ傷部でNi
−Fe合金層あるいはNi−Pメッキ層と地鉄との間で
局部電池が形成されNi−FeあるいはNi−P金属の
電位が貴なため地鉄が溶解する腐食反応が進行するため
であるが、この際Ni−Fe合金層あるいはNi−P合
金メッキ量が150mg/m2 を越えるようなメッキ量
の多い場合にその腐食速度が大きく孔食が発生し易くな
る。
金メッキ量については、適正メッキ量として2〜150
mg/m2 に規制される。Ni−Fe合金層あるいはN
i−P合金メッキ量が2mg/m2 未満では、メッキ層
のピンホールが多く良好な耐食性を確保することができ
なく、良好な耐熱性も確保することができない。また、
それらのメッキ量が150mg/m2 を越えるとメッキ
層のピンホールが減少することによる耐食性向上効果は
あるが製缶ラインを通過する際に不可避的に発生する地
鉄に達するようなスクラッチ傷が発生した場合には、む
しろ孔食が発生しやすい。これはスクラッチ傷部でNi
−Fe合金層あるいはNi−Pメッキ層と地鉄との間で
局部電池が形成されNi−FeあるいはNi−P金属の
電位が貴なため地鉄が溶解する腐食反応が進行するため
であるが、この際Ni−Fe合金層あるいはNi−P合
金メッキ量が150mg/m2 を越えるようなメッキ量
の多い場合にその腐食速度が大きく孔食が発生し易くな
る。
【0017】合金組成に関しては、特に規制するもので
はないが以下の範囲が好ましい範囲である。Ni−Fe
合金層では、合金層中のFe%は重量%で10〜80%
が好ましい。Fe%が10%未満では、電位的にNiメ
ッキ層と変わらないためピンホール部から孔食の懸念が
ある。また、Fe%が80%を越えるとNi金属の効果
が失われ耐食性が劣化する傾向にある。従って、Ni−
Fe合金層のFe%は10〜80%が好ましい。更に、
Ni−P合金層に関しては、P%は重量%で0.1〜1
0%が好ましい。P%が0.1%未満では、Pの効果が
失われるため電位的にNiメッキ層と変わらなくなり、
ピンホール部からの孔食が懸念される。一方、P%が1
0%を越えると合金層が硬くなり製缶加工によりクラッ
クが発生しやすくなり耐食性の劣化をもたらす。よっ
て、Ni−P合金めっき層中のP%は、0.1〜10%
が好ましい。
はないが以下の範囲が好ましい範囲である。Ni−Fe
合金層では、合金層中のFe%は重量%で10〜80%
が好ましい。Fe%が10%未満では、電位的にNiメ
ッキ層と変わらないためピンホール部から孔食の懸念が
ある。また、Fe%が80%を越えるとNi金属の効果
が失われ耐食性が劣化する傾向にある。従って、Ni−
Fe合金層のFe%は10〜80%が好ましい。更に、
Ni−P合金層に関しては、P%は重量%で0.1〜1
0%が好ましい。P%が0.1%未満では、Pの効果が
失われるため電位的にNiメッキ層と変わらなくなり、
ピンホール部からの孔食が懸念される。一方、P%が1
0%を越えると合金層が硬くなり製缶加工によりクラッ
クが発生しやすくなり耐食性の劣化をもたらす。よっ
て、Ni−P合金めっき層中のP%は、0.1〜10%
が好ましい。
【0018】Ni−Fe合金層を施す方法としては特に
規制しないが、以下の方法が適当である。 1)通常実施されている、硫酸浴、塩化物浴等から合金
メッキする方法。 2)ワット浴、硫酸浴、塩化物浴等からNiメッキ層を
行い、加熱処理によりNi金属を地鉄中に拡散させNi
−Fe合金層を形成させる方法。 3)1)で得られたNi−Fe合金メッキ層を更に加熱
処理をして拡散層を得る方法。 2)、3)の方法は、拡散工程と焼鈍工程を兼ねればよ
り経済的なメリットが発揮できる。Ni−Pに関しても
特に規制するものではなく、以下の方法が適当である。 1)硫酸浴、塩化物浴等から電解でNi−P合金メッキ
する方法。 2)硫酸浴、塩化物浴等に次亜リン酸ソーダを添加し無
電解でNi−P合金メッキをする方法。
規制しないが、以下の方法が適当である。 1)通常実施されている、硫酸浴、塩化物浴等から合金
メッキする方法。 2)ワット浴、硫酸浴、塩化物浴等からNiメッキ層を
行い、加熱処理によりNi金属を地鉄中に拡散させNi
−Fe合金層を形成させる方法。 3)1)で得られたNi−Fe合金メッキ層を更に加熱
処理をして拡散層を得る方法。 2)、3)の方法は、拡散工程と焼鈍工程を兼ねればよ
り経済的なメリットが発揮できる。Ni−Pに関しても
特に規制するものではなく、以下の方法が適当である。 1)硫酸浴、塩化物浴等から電解でNi−P合金メッキ
する方法。 2)硫酸浴、塩化物浴等に次亜リン酸ソーダを添加し無
電解でNi−P合金メッキをする方法。
【0019】次に、良好な溶接性を発揮する被膜構成の
作用効果について述べる。溶接性は散りの発生がなく、
十分な溶接強度が得られる適正溶接範囲が広ければ広い
ほど溶接性は良好と評価される。シーム溶接性の向上に
は電極/材料界面および材料/材料界面での接触抵抗の
低減が最も効果がある。その理由は、電極/材料および
材料/材料界面での接触抵抗が高いと溶接時に電流が集
中するため、局部的な発熱が起こり散りが発生する。つ
まり、溶接強度を確保するために溶接電流を増加させて
いった場合、十分な溶接強度が得られる前に局部発熱が
起こった場所で散りが発生するため、適正溶接範囲が存
在しなくなり溶接性は不良と評価される。これに対し、
電極/材料および材料/材料界面の接触抵抗が低い材料
の場合には、電流が集中するために起こる局部的な発熱
が起こりにくく、散りの発生なく十分な溶接強度が得ら
れるため溶接性は良好と評価される。
作用効果について述べる。溶接性は散りの発生がなく、
十分な溶接強度が得られる適正溶接範囲が広ければ広い
ほど溶接性は良好と評価される。シーム溶接性の向上に
は電極/材料界面および材料/材料界面での接触抵抗の
低減が最も効果がある。その理由は、電極/材料および
材料/材料界面での接触抵抗が高いと溶接時に電流が集
中するため、局部的な発熱が起こり散りが発生する。つ
まり、溶接強度を確保するために溶接電流を増加させて
いった場合、十分な溶接強度が得られる前に局部発熱が
起こった場所で散りが発生するため、適正溶接範囲が存
在しなくなり溶接性は不良と評価される。これに対し、
電極/材料および材料/材料界面の接触抵抗が低い材料
の場合には、電流が集中するために起こる局部的な発熱
が起こりにくく、散りの発生なく十分な溶接強度が得ら
れるため溶接性は良好と評価される。
【0020】このようなシーム溶接性の傾向は、特に溶
接スピードが増加した高速溶接の際に顕著に現れる。つ
まり、従来のワイヤースピードで40〜60m/min
という溶接スピードでは、接触抵抗がそれほど低くなく
ても適正溶接範囲は存在する。しかし、70〜100m
/minと溶接スピードが増加すると単位時間当たりの
溶接入熱量が多くなるため『散り』が発生しやすくな
り、適正溶接範囲は狭くなる。高速溶接時にも広い溶接
範囲を有するためには、接触抵抗のよりいっそうの低減
が必要となってくる。このように電極/材料および材料
/材料界面での接触抵抗を低減させるにはこれまでの公
知技術であるNiメッキ後クロメート処理を施すという
被膜構成のみでは不十分であり、Niメッキ層の上層に
錫メッキ層を粒状で付与することが接触抵抗の低減には
非常に有効であることが判明した。つまり、良好な溶接
性を発揮できる被膜構成としては鋼板表面にまずNi−
Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を施し、その
上に粒状錫メッキを施し、更にクロメート被膜を設ける
という被膜構成が適正である。
接スピードが増加した高速溶接の際に顕著に現れる。つ
まり、従来のワイヤースピードで40〜60m/min
という溶接スピードでは、接触抵抗がそれほど低くなく
ても適正溶接範囲は存在する。しかし、70〜100m
/minと溶接スピードが増加すると単位時間当たりの
溶接入熱量が多くなるため『散り』が発生しやすくな
り、適正溶接範囲は狭くなる。高速溶接時にも広い溶接
範囲を有するためには、接触抵抗のよりいっそうの低減
が必要となってくる。このように電極/材料および材料
/材料界面での接触抵抗を低減させるにはこれまでの公
知技術であるNiメッキ後クロメート処理を施すという
被膜構成のみでは不十分であり、Niメッキ層の上層に
錫メッキ層を粒状で付与することが接触抵抗の低減には
非常に有効であることが判明した。つまり、良好な溶接
性を発揮できる被膜構成としては鋼板表面にまずNi−
Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ層を施し、その
上に粒状錫メッキを施し、更にクロメート被膜を設ける
という被膜構成が適正である。
【0021】Ni−FeあるいはNi−P合金メッキ層
の上層に粒状錫メッキ層を設けることにより、接触抵抗
が低減でき良好な溶接性が確保できる理由は以下のよう
に考えられる。 1)軟質な錫金属がNiメッキ層の下層に存在すること
により、溶接時に極輪から加えられる加圧力により極輪
/材料および材料/材料間での接触面積が広がり、接触
抵抗が大幅に低減できる。 2)錫金属が低融点のため溶接時の発熱により容易に溶
解し、極輪/材料及び材料/材料間の接触面積を広げる
効果が大であり、接触抵抗が減少するため溶接時の局部
的な電流の集中が防げる。
の上層に粒状錫メッキ層を設けることにより、接触抵抗
が低減でき良好な溶接性が確保できる理由は以下のよう
に考えられる。 1)軟質な錫金属がNiメッキ層の下層に存在すること
により、溶接時に極輪から加えられる加圧力により極輪
/材料および材料/材料間での接触面積が広がり、接触
抵抗が大幅に低減できる。 2)錫金属が低融点のため溶接時の発熱により容易に溶
解し、極輪/材料及び材料/材料間の接触面積を広げる
効果が大であり、接触抵抗が減少するため溶接時の局部
的な電流の集中が防げる。
【0022】上記の作用効果を少ない錫メッキ量で得る
ためには錫メッキ層は通常の平滑なメッキ層では困難で
あり、錫メッキ層を粒状にすることが重要である。それ
は、平滑な錫メッキ層では高温短時間塗装焼き付け時に
錫メッキ層が全て合金化するため、軟質低融点のfre
e−Snが残留しなくなり接触抵抗の低減効果が発揮で
きなくなる。錫メッキ層の合金化は鋼板と錫メッキ層の
界面で高さ方向に進行するため、粒状錫メッキ層であれ
ば高温短時間焼き付け後においても良好な溶接性を発揮
するfree−Sn残留量を確保可能である。従って、
良好な溶接性を得るために粒状錫メッキ層が施される
が、そのメッキ量は10〜2800mg/m2 に規制さ
れる。これは、粒状錫メッキ量が10mg/m2 未満で
は高温短時間焼き付け時に合金化が進行し、free−
Sn残留量が十分確保できないため、特に単位時間当た
りの入熱量の大きな溶接時に良好な溶接性を発揮できな
い。
ためには錫メッキ層は通常の平滑なメッキ層では困難で
あり、錫メッキ層を粒状にすることが重要である。それ
は、平滑な錫メッキ層では高温短時間塗装焼き付け時に
錫メッキ層が全て合金化するため、軟質低融点のfre
e−Snが残留しなくなり接触抵抗の低減効果が発揮で
きなくなる。錫メッキ層の合金化は鋼板と錫メッキ層の
界面で高さ方向に進行するため、粒状錫メッキ層であれ
ば高温短時間焼き付け後においても良好な溶接性を発揮
するfree−Sn残留量を確保可能である。従って、
良好な溶接性を得るために粒状錫メッキ層が施される
が、そのメッキ量は10〜2800mg/m2 に規制さ
れる。これは、粒状錫メッキ量が10mg/m2 未満で
は高温短時間焼き付け時に合金化が進行し、free−
Sn残留量が十分確保できないため、特に単位時間当た
りの入熱量の大きな溶接時に良好な溶接性を発揮できな
い。
【0023】また、粒状錫メッキ量が2800mg/m
2 を越えると、free−Sn残留効果が飽和すると共
に低融点のfree−Snが多く残留し過ぎるため、後
述するように上層にNiメッキ層を設けても錫の融点を
越える温度まで達する高温焼き付けを行うと、錫金属が
溶融し耐食性が顕著に劣化する。つまり、高温焼き付け
に耐え得る耐熱性が確保できなくなる。更に、粒状錫メ
ッキのサイズは粒径0.2〜12.0μに規制される。
これは、粒径が0.2μ未満では高温短時間焼き付けに
より、高さ方向への合金化の進行によりfree−Sn
が残留しなくなり、良好な溶接性が確保できなくなる。
また、その粒径が12.0μを越えると溶接性向上効果
が飽和し経済的メリットがなくなると共に、耐熱性が劣
化するため高温焼き付けにより、錫金属が溶融し塗装後
耐食性が劣化するからである。
2 を越えると、free−Sn残留効果が飽和すると共
に低融点のfree−Snが多く残留し過ぎるため、後
述するように上層にNiメッキ層を設けても錫の融点を
越える温度まで達する高温焼き付けを行うと、錫金属が
溶融し耐食性が顕著に劣化する。つまり、高温焼き付け
に耐え得る耐熱性が確保できなくなる。更に、粒状錫メ
ッキのサイズは粒径0.2〜12.0μに規制される。
これは、粒径が0.2μ未満では高温短時間焼き付けに
より、高さ方向への合金化の進行によりfree−Sn
が残留しなくなり、良好な溶接性が確保できなくなる。
また、その粒径が12.0μを越えると溶接性向上効果
が飽和し経済的メリットがなくなると共に、耐熱性が劣
化するため高温焼き付けにより、錫金属が溶融し塗装後
耐食性が劣化するからである。
【0024】このように、良好な溶接性と耐熱性を両立
させ得る粒状錫メッキ層の適正かつ経済的なメッキ量と
その粒径は10〜2800mg/m2 および0.2〜1
2.0μである。鋼板上に粒状錫メッキ層を施す方法は
特に規制しないが、以下のような方法が好ましい。Sn
2+イオンの希薄な酸性水溶液中で低電流密度により錫メ
ッキを行えば、鋼板上に粒状錫メッキ層が形成可能であ
る。例えば、Sn2+イオン量は1〜400g/lの酸性
溶液中で0.1〜30A/dm2 の電流密度で錫メッキ
を行うことが好ましい。引き続き、このような被覆層を
有したメッキ鋼板に対して、塗料密着性、塗装耐食性の
向上を目的としてクロメート処理が施される。クロメー
ト被膜は缶内面に対しては缶内容物が塗膜を通過して塗
膜下で腐食が進行するアンダーカッティングコロージョ
ンの防止、缶外面に対しては貯蔵時に塗膜下で発生する
糸状錆、いわゆるフィリフオームコロージョンなどの耐
錆性の向上に非常に効果がある。
させ得る粒状錫メッキ層の適正かつ経済的なメッキ量と
その粒径は10〜2800mg/m2 および0.2〜1
2.0μである。鋼板上に粒状錫メッキ層を施す方法は
特に規制しないが、以下のような方法が好ましい。Sn
2+イオンの希薄な酸性水溶液中で低電流密度により錫メ
ッキを行えば、鋼板上に粒状錫メッキ層が形成可能であ
る。例えば、Sn2+イオン量は1〜400g/lの酸性
溶液中で0.1〜30A/dm2 の電流密度で錫メッキ
を行うことが好ましい。引き続き、このような被覆層を
有したメッキ鋼板に対して、塗料密着性、塗装耐食性の
向上を目的としてクロメート処理が施される。クロメー
ト被膜は缶内面に対しては缶内容物が塗膜を通過して塗
膜下で腐食が進行するアンダーカッティングコロージョ
ンの防止、缶外面に対しては貯蔵時に塗膜下で発生する
糸状錆、いわゆるフィリフオームコロージョンなどの耐
錆性の向上に非常に効果がある。
【0025】このようなクロメート被膜が形成されてい
ることにより、長時間にわたり塗膜の密着性が劣化せ
ず、良好な耐食性、耐錆性が保持される。また、クロメ
ート被膜は硫黄化合物を含む食品、例えば魚肉、畜産物
などの場合に見られる鋼板の表面の黒変即ち硫化黒変を
防止する効果が大きい。このように、クロメート被膜
は、特に塗装されて用いられる場合には性能向上に効果
が大きいが、溶接性に対してはマイナス要因である。こ
こで言うクロメート被膜とは水和酸化クロム単一の被膜
即ち本来のクロメート被膜と、いま一つは下層に金属ク
ロム層、上層に水和酸化クロム層の二層よりなる被膜の
二つの場合を指している。水和酸化クロム被膜は電気的
に絶縁体のため電気抵抗が非常に高く、金属クロムも融
点が高くかつ電気抵抗も高いので、両者とも溶接性を劣
化せしめるマイナス要因である。
ることにより、長時間にわたり塗膜の密着性が劣化せ
ず、良好な耐食性、耐錆性が保持される。また、クロメ
ート被膜は硫黄化合物を含む食品、例えば魚肉、畜産物
などの場合に見られる鋼板の表面の黒変即ち硫化黒変を
防止する効果が大きい。このように、クロメート被膜
は、特に塗装されて用いられる場合には性能向上に効果
が大きいが、溶接性に対してはマイナス要因である。こ
こで言うクロメート被膜とは水和酸化クロム単一の被膜
即ち本来のクロメート被膜と、いま一つは下層に金属ク
ロム層、上層に水和酸化クロム層の二層よりなる被膜の
二つの場合を指している。水和酸化クロム被膜は電気的
に絶縁体のため電気抵抗が非常に高く、金属クロムも融
点が高くかつ電気抵抗も高いので、両者とも溶接性を劣
化せしめるマイナス要因である。
【0026】そのため、良好な塗装性能と実用的に溶接
性を劣化せしめない適正なクロム付着量が非常に重要と
なる。本発明においてはクロム付着量は金属クロム換算
で片面当たり1〜50mg/m2 が選定される。即ち、
クロム付着量が1mg/m2 未満では、塗料密着性の向
上、アンダーカッティングコロージョンなどの塗膜下腐
食の防止に効果が得られないので、1mg/m2 以上の
クロム付着量が望ましい。一方、50mg/m2 を越え
ると接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散り
が発生し易くなり溶接性が劣化する。そのため、クロム
付着量は50mg/m2 以下に規制される。
性を劣化せしめない適正なクロム付着量が非常に重要と
なる。本発明においてはクロム付着量は金属クロム換算
で片面当たり1〜50mg/m2 が選定される。即ち、
クロム付着量が1mg/m2 未満では、塗料密着性の向
上、アンダーカッティングコロージョンなどの塗膜下腐
食の防止に効果が得られないので、1mg/m2 以上の
クロム付着量が望ましい。一方、50mg/m2 を越え
ると接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散り
が発生し易くなり溶接性が劣化する。そのため、クロム
付着量は50mg/m2 以下に規制される。
【0027】クロメート処理は各種のクロム酸のナトリ
ウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の水溶液による浸
漬処理、スプレイ処理、電解処理などいずれの方法で行
っても良いが、特に陰極電解処理が優れている。とりわ
け、クロム酸にSO4 2- イオン、F- イオン(錯イオン
を含む)あるいはそれらの混合物を添加した水溶液中で
の陰極電解処理が最も優れている。クロム酸の濃度は特
に規制しないが、20〜200g/lの範囲で充分であ
る。添加するアニオンの量はCr6+の1/300〜1/
25好ましくは1/200〜1/50の時、最良のクロ
メート被膜が得られる。アニオンの量がCr6+の1/3
00以下では均質かつ均一で塗装性能に大きく影響する
良質のクロメート被膜が得られない。また、1/25以
上では、生成するクロメート被膜中に取り込まれるアニ
オンの量が多くなり、塗装性能特に塗料二次密着性が劣
化する。添加されるアニオンは硫酸、硫酸クロム、弗化
アンモン、弗化ソーダの化合物などの形態でクロム酸浴
中へ添加される。
ウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の水溶液による浸
漬処理、スプレイ処理、電解処理などいずれの方法で行
っても良いが、特に陰極電解処理が優れている。とりわ
け、クロム酸にSO4 2- イオン、F- イオン(錯イオン
を含む)あるいはそれらの混合物を添加した水溶液中で
の陰極電解処理が最も優れている。クロム酸の濃度は特
に規制しないが、20〜200g/lの範囲で充分であ
る。添加するアニオンの量はCr6+の1/300〜1/
25好ましくは1/200〜1/50の時、最良のクロ
メート被膜が得られる。アニオンの量がCr6+の1/3
00以下では均質かつ均一で塗装性能に大きく影響する
良質のクロメート被膜が得られない。また、1/25以
上では、生成するクロメート被膜中に取り込まれるアニ
オンの量が多くなり、塗装性能特に塗料二次密着性が劣
化する。添加されるアニオンは硫酸、硫酸クロム、弗化
アンモン、弗化ソーダの化合物などの形態でクロム酸浴
中へ添加される。
【0028】浴温は特に規制するものではないが、30
〜70℃の範囲が作業性の点から適切な温度範囲であ
る。陰極電解電流密度は5〜100A/dm2 の範囲で
充分である。処理時間は、前記処理条件の任意の組み合
わせにおいて、クロム付着量が前記に示した1〜50m
g/m2 の範囲に入るように設定する。そして、上記付
着量の範囲において二層型クロメート被膜における金属
クロム層と水和酸化クロム層の比は特に規制しないが
0.6≦水和酸化クロム/金属クロム≦3の範囲が好ま
しい。即ち、金属クロムに対して水和酸化クロムの量が
少ない場合、金属クロム層上の水和酸化クロム層の均一
被覆性が劣るため塗料密着性が劣化する傾向にある。
〜70℃の範囲が作業性の点から適切な温度範囲であ
る。陰極電解電流密度は5〜100A/dm2 の範囲で
充分である。処理時間は、前記処理条件の任意の組み合
わせにおいて、クロム付着量が前記に示した1〜50m
g/m2 の範囲に入るように設定する。そして、上記付
着量の範囲において二層型クロメート被膜における金属
クロム層と水和酸化クロム層の比は特に規制しないが
0.6≦水和酸化クロム/金属クロム≦3の範囲が好ま
しい。即ち、金属クロムに対して水和酸化クロムの量が
少ない場合、金属クロム層上の水和酸化クロム層の均一
被覆性が劣るため塗料密着性が劣化する傾向にある。
【0029】一方、金属クロム層に比べ水和酸化クロム
層が多い場合、水和酸化クロム層中に含有されるアニオ
ンおよびCr6+イオンが多くなり、塗装後高温環境にさ
らされた場合にこれらイオンの溶出が起こり、塗膜下で
微小膨れ(いわゆるブリスター)が発錆し易くなるので
好ましくない。従って、水和酸化クロムと金属クロムの
構成比率を上記のごとく0.6〜3の範囲に設定するの
が好ましい。
層が多い場合、水和酸化クロム層中に含有されるアニオ
ンおよびCr6+イオンが多くなり、塗装後高温環境にさ
らされた場合にこれらイオンの溶出が起こり、塗膜下で
微小膨れ(いわゆるブリスター)が発錆し易くなるので
好ましくない。従って、水和酸化クロムと金属クロムの
構成比率を上記のごとく0.6〜3の範囲に設定するの
が好ましい。
【0030】以下に本発明の実施例について述べ、その
結果を表1及び表2に示す。冷間圧延もしくは焼鈍後の
2回圧延により、所定の板厚に調整したメッキ原板を5
%苛性ソーダー中で電解脱脂し水洗後10%硫酸中で電
解酸洗し、表面活性化後表面処理を行った。まず、
(1)−(A)〜(D)に示す条件でNi- Fe合金層
あるいはNi−P合金メッキ層を形成させた。この際、
Ni−Fe拡散合金層を形成させる場合は、冷間圧延材
を使用し拡散処理工程と焼鈍処理工程を兼ねた。次に
(2)に示す条件で粒状錫メッキを施し、引き続き
(3)−(A)〜(C)に示す処理浴でクロメート被膜
を生成させたものを作成した。
結果を表1及び表2に示す。冷間圧延もしくは焼鈍後の
2回圧延により、所定の板厚に調整したメッキ原板を5
%苛性ソーダー中で電解脱脂し水洗後10%硫酸中で電
解酸洗し、表面活性化後表面処理を行った。まず、
(1)−(A)〜(D)に示す条件でNi- Fe合金層
あるいはNi−P合金メッキ層を形成させた。この際、
Ni−Fe拡散合金層を形成させる場合は、冷間圧延材
を使用し拡散処理工程と焼鈍処理工程を兼ねた。次に
(2)に示す条件で粒状錫メッキを施し、引き続き
(3)−(A)〜(C)に示す処理浴でクロメート被膜
を生成させたものを作成した。
【0031】 (1)Ni−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ条件 (A)Ni−Fe合金メッキ メッキ浴組成 NiSO4 ・6H2 O 80g/l NiCl2 ・6H2 O 160g/l FeSO4 ・7H2 O 30〜150g/l (合金組成に応じて調整) H3 BO3 30g/l メッキ浴温 50℃ 電流密度 20A/dm2 (電解時間はメッキ量に応じて調 整)
【0032】 (B)Ni−Fe拡散合金層 Niメッキ条件 メッキ浴組成 NiSO4 ・6H2 O 70g/l NiCl2 ・6H2 O 140g/l H3 BO3 30g/l メッキ浴温 50℃ 電流密度 20A/dm2 (電解時間はメッキ量に応じて 調整) 加熱処理 500℃〜800℃の温度で10〜40秒の熱処理を拡散程度に応 じて実施した。
【0033】 (C)Ni−P合金メッキ(電解処理) メッキ浴組成 NiSO4 ・6H2 O 55g/l NiCl2 ・6H2 O 125g/l 亜リン酸 20〜100g/l(合金組成に応 じて調整) H3 BO3 30g/l メッキ浴温 常温〜70℃ 電流密度 20A/dm2 (電解時間はメッキ量に応じて 調整)
【0034】 (D)Ni−P合金メッキ(無電解処理) メッキ浴組成 NiSO4 ・6H2 O 60g/l NiCl2 ・6H2 O 120g/l 次亜リン酸ソーダ 20〜100g/l (合金組成に応じて調整) H3 BO3 30g/l メッキ浴温 常温〜80℃ 浸漬時間 5〜60秒(浸漬時間はメッキ量に応じて調 整)
【0035】 (2)粒状錫メッキ処理 メッキ浴組成 SnSO4 10〜80g/l H2 SO4 60g/l メッキ浴温 60℃ 電流密度 0.1〜30A/dm2 (電解時間はSnメッキ 量に応じて調整) 錫メッキの粒径はSnSO4 量および電流密度により調整
【0036】(3)クロメート処理浴 (A) CrO3 110g/l SO4 2- 0.7g/l (B) Na2 Cr2 O7 24g/l pH 4.5 (C) CrO3 85g/l SO4 2- 0.04g/l Na2 SiF6 2.4g/l NH4 F 0.6g/l
【0037】上記処理材について、以下に示す(A)〜
(G)の項目について実施しその性能を評価した。 (A)接触抵抗の測定 シーム溶接性に大きな影響を与える接触抵抗値をCF型
電極のスポット溶接機を用いて測定した。測定用試験片
は、高温短時間での塗装焼き付けを想定して310℃ま
で20secで昇温する条件でbakingを行った。
CF型電極を用いた静抵抗測定方法を以下に示す。用い
た電極はクロム銅製で先端径4.5mmφのものであ
る。試験片2枚を電極間に配置し、エアーシリンダーに
より200kgfに加圧した状態で電極間に1Aの定電
流を通電し、その時の電極/電極間、電極/鋼板間、鋼
板/鋼板間の電圧降下をナノボルトメーターで測定する
ことで、冷間での静抵抗を求めた。
(G)の項目について実施しその性能を評価した。 (A)接触抵抗の測定 シーム溶接性に大きな影響を与える接触抵抗値をCF型
電極のスポット溶接機を用いて測定した。測定用試験片
は、高温短時間での塗装焼き付けを想定して310℃ま
で20secで昇温する条件でbakingを行った。
CF型電極を用いた静抵抗測定方法を以下に示す。用い
た電極はクロム銅製で先端径4.5mmφのものであ
る。試験片2枚を電極間に配置し、エアーシリンダーに
より200kgfに加圧した状態で電極間に1Aの定電
流を通電し、その時の電極/電極間、電極/鋼板間、鋼
板/鋼板間の電圧降下をナノボルトメーターで測定する
ことで、冷間での静抵抗を求めた。
【0038】(B)シーム溶接性 試験片は、高温短時間での塗装焼き付けを想定して31
0℃まで25secで昇温する条件でbakingを行
い、次の溶接条件でシーム溶接性を評価した。ラップ代
0.5mm、加圧力45kgf、溶接ワイヤースピード
40m/minの従来スピード条件と90m/minの
高速溶接条件の2水準で、電流を変更して溶接を実施
し、十分な溶接強度が得られる最小電流値と『散り』な
どの溶接欠陥が目立ち始める最大電流値からなる適正電
流範囲の広さ、および溶接欠陥の発生状況から総合的に
判断して評価した。
0℃まで25secで昇温する条件でbakingを行
い、次の溶接条件でシーム溶接性を評価した。ラップ代
0.5mm、加圧力45kgf、溶接ワイヤースピード
40m/minの従来スピード条件と90m/minの
高速溶接条件の2水準で、電流を変更して溶接を実施
し、十分な溶接強度が得られる最小電流値と『散り』な
どの溶接欠陥が目立ち始める最大電流値からなる適正電
流範囲の広さ、および溶接欠陥の発生状況から総合的に
判断して評価した。
【0039】(C)碁盤目テスト 試験片の缶内面に相当する面にエポキシフェノール系塗
料を55mg/dm2塗布し、更に缶外面に相当する面
にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、290
℃まで15secで昇温する焼き付け条件で乾燥硬化し
た。引き続き、各々の面に1mm間隔でスクラッチを入
れ、計100個の碁盤目を作成し速やかにテープ剥離
し、その剥離状況を評価した。
料を55mg/dm2塗布し、更に缶外面に相当する面
にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、290
℃まで15secで昇温する焼き付け条件で乾燥硬化し
た。引き続き、各々の面に1mm間隔でスクラッチを入
れ、計100個の碁盤目を作成し速やかにテープ剥離
し、その剥離状況を評価した。
【0040】(D)UCC(アンダーカッティングコロ
ージョン)評価テスト 缶内面に相当する面の塗装後耐食性を評価するため、缶
内面側に相当する面に缶用エポキシフェノール(フェノ
ールリッチ)塗料を片面当たり50mg/dm 2 塗布
し、295℃まで15secで昇温する条件で焼き付け
を行った。その後塗装板の鉄面に達するようにスクラッ
チを入れ、1.5%クエン酸−1.5%食塩の混合液で
ある試験液中に大気開放下で55℃×4日間浸漬した。
試験終了後、速やかにスクラッチ部および平面部をテー
プ剥離して、スクラッチ部近傍の塗膜下腐食状況、スク
ラッチ部のピッティング状況および平面部の塗膜剥離状
況を判定して総合的に評価した。
ージョン)評価テスト 缶内面に相当する面の塗装後耐食性を評価するため、缶
内面側に相当する面に缶用エポキシフェノール(フェノ
ールリッチ)塗料を片面当たり50mg/dm 2 塗布
し、295℃まで15secで昇温する条件で焼き付け
を行った。その後塗装板の鉄面に達するようにスクラッ
チを入れ、1.5%クエン酸−1.5%食塩の混合液で
ある試験液中に大気開放下で55℃×4日間浸漬した。
試験終了後、速やかにスクラッチ部および平面部をテー
プ剥離して、スクラッチ部近傍の塗膜下腐食状況、スク
ラッチ部のピッティング状況および平面部の塗膜剥離状
況を判定して総合的に評価した。
【0041】(E)耐硫化黒変性テスト 缶内面側に相当する面に(E)と同様の塗装を行い、1
t曲げを施した試験片を市販の鯖水煮を均一化したもの
の中に入れ、115℃×90minのレトルト処理を行
った。試験後、曲げ加工部および平面部の硫化黒変状況
を評価した。 (F)フィリフォームコロージョンテスト 缶外面側に相当する面の糸状錆性を評価するため、クリ
ヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、295℃まで
16secで昇温する焼き付け条件で乾燥硬化した。引
き続き、ナイフで鉄面に達するスクラッチを入れ、35
℃で5%の塩水噴霧を1時間施し、速やかに水洗乾燥後
25℃で相対湿度85%で2週間放置し、糸状錆性を評
価した。
t曲げを施した試験片を市販の鯖水煮を均一化したもの
の中に入れ、115℃×90minのレトルト処理を行
った。試験後、曲げ加工部および平面部の硫化黒変状況
を評価した。 (F)フィリフォームコロージョンテスト 缶外面側に相当する面の糸状錆性を評価するため、クリ
ヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、295℃まで
16secで昇温する焼き付け条件で乾燥硬化した。引
き続き、ナイフで鉄面に達するスクラッチを入れ、35
℃で5%の塩水噴霧を1時間施し、速やかに水洗乾燥後
25℃で相対湿度85%で2週間放置し、糸状錆性を評
価した。
【0042】(C)実缶テスト 試験片の缶内面側に相当する面にエポキシフェノール系
塗料を55mg/dm 2 塗布し、更に缶外面に相当する
面にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布した後、
320℃まで21secで昇温する焼き付け条件で乾燥
硬化した。引き続き、製缶時に発生するスクラッチ傷を
想定しナイフで鉄面に達するスクラッチ傷を入れた場合
とコントロールとしてスクラッチ傷を入れない缶ブラン
クを作成した。これらの缶ブランクをシーム溶接機を用
いて、缶胴を製作し溶接部をエポキシ系樹脂で補修を行
い、オレンジジュースとコーラを充填後♯25ブリキ製
の缶蓋を巻き絞め、38℃で12ケ月保管した。試験終
了後、内容物を取り出し鉄溶出量および缶内面側(平坦
部と溶接部)の腐食状況を観察、評価した。
塗料を55mg/dm 2 塗布し、更に缶外面に相当する
面にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布した後、
320℃まで21secで昇温する焼き付け条件で乾燥
硬化した。引き続き、製缶時に発生するスクラッチ傷を
想定しナイフで鉄面に達するスクラッチ傷を入れた場合
とコントロールとしてスクラッチ傷を入れない缶ブラン
クを作成した。これらの缶ブランクをシーム溶接機を用
いて、缶胴を製作し溶接部をエポキシ系樹脂で補修を行
い、オレンジジュースとコーラを充填後♯25ブリキ製
の缶蓋を巻き絞め、38℃で12ケ月保管した。試験終
了後、内容物を取り出し鉄溶出量および缶内面側(平坦
部と溶接部)の腐食状況を観察、評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によって薄手
材で高温短時間焼き付け可能な溶接缶用材料として、優
れた高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密
着性を有する溶接缶用素材を得ることが出来た。
材で高温短時間焼き付け可能な溶接缶用材料として、優
れた高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密
着性を有する溶接缶用素材を得ることが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 3/56 A (72)発明者 片山 俊則 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼板表面に片面当たり、2〜150mg
/m2 のNi−Fe合金層あるいはNi−P合金メッキ
層を有し、その上に粒径0.2〜12.0μのSnメッ
キ粒子を10〜2800mg/m2 で点在したSnメッ
キ層、更にその上にクロム換算で1〜50mg/m2 の
クロメート被膜を形成させたことを特徴とする高速シー
ム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた
溶接缶用素材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4263889A JPH06116790A (ja) | 1992-10-01 | 1992-10-01 | 高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4263889A JPH06116790A (ja) | 1992-10-01 | 1992-10-01 | 高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06116790A true JPH06116790A (ja) | 1994-04-26 |
Family
ID=17395666
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4263889A Withdrawn JPH06116790A (ja) | 1992-10-01 | 1992-10-01 | 高速シーム溶接性、耐孔食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06116790A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20100279142A1 (en) * | 2008-01-24 | 2010-11-04 | Yoshiyuki Ushigami | Grain-oriented electrical steel sheet excellent in magnetic properties |
US20110108307A1 (en) * | 2008-07-22 | 2011-05-12 | Yoshihiro Arita | Non-oriented electrical steel sheet and method of manufacturing the same |
-
1992
- 1992-10-01 JP JP4263889A patent/JPH06116790A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20100279142A1 (en) * | 2008-01-24 | 2010-11-04 | Yoshiyuki Ushigami | Grain-oriented electrical steel sheet excellent in magnetic properties |
US20110108307A1 (en) * | 2008-07-22 | 2011-05-12 | Yoshihiro Arita | Non-oriented electrical steel sheet and method of manufacturing the same |
KR101284466B1 (ko) * | 2008-07-22 | 2013-07-09 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 무방향성 전자기 강판 및 그 제조 방법 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000104 |