JPH06116691A - TiAl金属間化合物系Ti合金の熱処理法 - Google Patents

TiAl金属間化合物系Ti合金の熱処理法

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JPH06116691A
JPH06116691A JP29072592A JP29072592A JPH06116691A JP H06116691 A JPH06116691 A JP H06116691A JP 29072592 A JP29072592 A JP 29072592A JP 29072592 A JP29072592 A JP 29072592A JP H06116691 A JPH06116691 A JP H06116691A
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alloy
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massive
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Minoru Kikuchi
實 菊池
Hideyuki Nakamura
英幸 中村
Yoko Yamabe
容子 山辺
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 TiAl金属間化合物系Ti合金の熱処理法
を提供する。 【構成】 原子%で、Al:41〜50%、Nb、Mo
およびCrのうち1種または2種以上を合計で3〜12
%を含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるT
iAl金属間化合物系Ti合金を、α相領域に加熱保持
したのち急冷し、溶体化処理してα相とし、溶体化処理
したα相のTiAl金属間化合物系Ti合金をγ相領域
に加熱保持してマッシブ変態処理し、マッシブ変態処理
したTiAl金属間化合物系Ti合金をα+γ相領域に
加熱保持したのち急冷して時効処理し、γ相中にα相が
分散した組織を有する高靭性TiAl金属間化合物系T
i合金を得るための熱処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、原子%で(以下、%
は原子%を示す)Al:41〜50%、Nb、Moおよ
びCrのうち1種または2種以上を合計で3〜12%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金を、強度を低下させることな
く靭性を向上させるTiAl金属間化合物系Ti合金の
熱処理法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、軽量かつ耐熱性が要求されるター
ビンブレードや内燃機関のターボチャージャーなどの製
造にはTiAl金属間化合物系Ti合金の適用が検討さ
れており、前記TiAl金属間化合物系Ti合金とし
て、(1) Al:38〜50%を含有し、残りがTi
および不可避不純物からなるTiAl金属間化合物系T
i合金、(2) Al:41〜50%、Nb、Moおよ
びCrのうち1種または2種以上を合計で3〜12%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金、などが知られている。
【0003】これらTiAl金属間化合物系Ti合金
は、α相およびγ相からなる層状組織(ラメラー組織)
をもつものの、これを構成するγ相の厚さが5〜10μ
mと粗く、これが原因で極めて脆く欠けやすいものとな
るために、実用温度である700℃以上の高温では問題
はないが、700℃未満から室温までの低温側では機械
加工や研磨、さらに運搬や組み込み、取り付けなどの取
扱いには細心の注意が要求されるのが現状である。その
ためにγ相の厚さを微細化して靭性を向上させるための
各種熱処理法が提案されている。
【0004】例えば、前記(1)のTiAl金属間化合
物系Ti合金に靭性を付与する熱処理法として、Ti合
金を非酸化性雰囲気中、1200〜1400℃の範囲内
の所定の温度T℃に保持したのち急冷して溶体化処理し
てTi固溶体相(α相)組織とし、ついで、非酸化性雰
囲気中、650℃〜(T−100)℃の範囲内の所定の
温度に保持したのち急冷の時効処理を施すことによりα
相(Ti固溶体相およびTi3 Al相の総称)および平
均厚さが0.02〜1μmの微細なγ相(TiAl金属
間化合物相)からなる層状組織(ラメラー組織)を形成
する熱処理法が知られている(特開平3−199358
号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平3
−199358号公報記載の熱処理法は、前記(1)の
TiAl金属間化合物系Ti合金に靭性を付与する熱処
理法として優れているが、前記公知の熱処理法を前記
(2)のTiAl金属間化合物系Ti合金にそのまま適
用しても十分な靭性が得られず、前記(2)のTiAl
金属間化合物系Ti合金の靭性を向上させる適切な熱処
理法の開発が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述のような観点から、Al:41〜50%、Nb、M
oおよびCrのうち1種または2種以上を合計で3〜1
2%を含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなる
TiAl金属間化合物系Ti合金の靭性を向上させる適
切な熱処理法を得るべく研究を行った結果、Al:41
〜50%、Nb、MoおよびCrのうち1種または2種
以上を合計で3〜12%を含有し、残りがTiおよび不
可避不純物からなるTiAl金属間化合物系Ti合金
を、α相領域に加熱保持したのち急冷の条件の溶体化処
理を施してα相の単相組織とし、前記α相のTiAl金
属間化合物系Ti合金をγ相領域に加熱保持するマッシ
ブ変態処理してマッシブγ相組織とし、マッシブγ相組
織のTiAl金属間化合物系Ti合金をα+γ相領域に
加熱保持したのち急冷して時効処理すると、γ相中にα
相が分散した組織が得られ、前記TiAl金属間化合物
系Ti合金の高靭性は大幅に向上する、という知見を得
たのである。
【0007】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、Al:41〜50%、Nb、Moお
よびCrのうち1種または2種以上を合計で3〜12%
を含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTi
Al金属間化合物系Ti合金を、α相領域に加熱保持し
たのち、急冷して溶体化処理し、溶体化処理したTiA
l金属間化合物系Ti合金をγ相領域に加熱保持してマ
ッシブ変態処理し、マッシブ変態処理したTiAl金属
間化合物系Ti合金をα+γ相領域に加熱保持したのち
急冷して時効処理する、TiAl金属間化合物系Ti合
金の熱処理法に特徴を有するものであり、前記マッシブ
変態処理は、α相のTiAl金属間化合物系Ti合金を
γ相領域に加熱保持したのち、急冷してもよい。
【0008】この発明のTiAl金属間化合物系Ti合
金の成分組成および熱処理法を構成する各処理をさらに
詳細に説明する。
【0009】 [1] TiAl金属間化合物系Ti合金の成分組成 (a) Al Alの含有量が41%未満ではβ相が出現するようにな
り、さらにγ相領域も狭くなってマッシブγ相も発生せ
ず、得られた強度および靭性を向上させる効果がなく、
一方、50%を越えて含有すると、溶体化処理してもα
相単相化されず、その後のマッシブ変態処理において十
分なマッシブγ相がえられないので好ましくない。した
がって、Alの含有量は、41〜50%に定めた。
【0010】(b) Nb、Mo、Cr これら成分は、素地に固溶し、α相領域を広げてγ相の
安定的出現を可能にし、、マッシブ変態しやすくさせる
成分であるが、これら成分が3%未満ではその効果がな
く、一方、12%を越えて含有すると得られたγ相中に
α相が分散した組織にさらにβ相やω相が析出して靭性
を低下せしめるので好ましくない。したがって、Nb、
Mo、Crの含有量は合計で3〜12%に定めた。
【0011】[2] 溶体化処理 前記成分組成のTiAl金属間化合物系Ti合金を真空
または不活性ガスなどの非酸化性雰囲気中で1270〜
1420℃の範囲内の所定の温度T0 に所定時間加熱保
持したのち急冷することにより行われる。前記1270
℃未満の加熱保持では十分にα相単相化されず、一方、
1420℃を越えて加熱保持してもTi合金に部分溶融
現象が発生したり、β相が現れたりするので好ましくな
い。したがって、溶体化処理の加熱保持温度は1270
〜1420℃に定めた。
【0012】[3] マッシブ変態処理 この処理は、前記溶体化処理してα相単相化したTiA
l金属間化合物系Ti合金を真空または不活性ガスなど
の非酸化性雰囲気中でγ相単相領域に加熱保持してマッ
シブγ相とする処理であるが、その加熱保持温度T
1 は、T1 =(T0−300)℃〜(T0 −80)℃の
範囲内の温度であることが好ましい。T1 が(T0 −3
00)℃未満であってもまた(T0 −80)℃を越えて
も十分なマッシブγ相が得られないからである。このマ
ッシブ変態処理は、T1 温度に加熱保持したままでよい
が、T1 温度に加熱保持したのち室温に急冷しても良
い。
【0013】[4] 時効処理 この時効処理は、前記マッシブ変態処理して十分なマッ
シブγ相組織とした後、さらに真空または不活性ガスな
どの非酸化性雰囲気中でα+γ相領域に加熱保持したの
ち急冷する処理であるが、そのα+γ相領域に加熱保持
する温度T2 は、T2 =(T1 +70)℃〜(T1 +1
50)℃の範囲内の温度であることが好ましい。T2
(T1 +70)℃未満ではγ相の析出が十分でなく、一
方、T2が(T1 +150)℃を越えると析出したγ相
の厚さが厚くなって十分な靭性が得られないことによる
ものである。
【0014】しかし、時効処理で加熱保持する温度T2
は、T2 <(T0 −50)の条件を満たす必要がある。
かかる条件を満たさないと時効処理によって再びα相単
相化してしまい、γ相中にα相が分散した組織が得られ
なくなることによるものである。
【0015】
【実施例】つぎに、この発明のTiAl金属間化合物系
Ti合金の熱処理法を実施例により具体的に説明する。
【0016】実施例1 Al:43原子%、Nb:5原子%を含有し、残りがT
iおよび不可避不純物からなる成分組成のTiAl金属
間化合物系Ti合金を通常のアーク溶解炉で溶解し、セ
ラミック鋳型に遠心鋳造して断面、12mm×12m
m、長さ:70mmの寸法を有するTi合金角棒を作製
した。このTi合金角棒を真空雰囲気中、温度:132
0℃、4時間保持したのち水冷の溶体化処理を施し、こ
の溶体化処理したTi合金角棒を真空雰囲気中、温度:
1180℃、0.5時間保持のマッシブ変態処理してマ
ッシブγ相組織とし、さらに真空雰囲気中、温度:12
60℃、1時間保持たのちArガスによるファン急冷す
ることにより時効処理を行い、本発明熱処理法によるγ
相中にα相が分散した組織を有するTi合金角棒を作製
した。
【0017】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
38kg/mm2 、曲げ角度 :29(度)、であっ
た。
【0018】従来例1 実施例1で作製したTi合金角棒を真空雰囲気中、温
度:1320℃、4時間保持したのち水冷の溶体化処理
を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに真
空雰囲気中、温度:800℃、50時間保持たのちAr
ガスによるファン急冷することにより時効処理を行い、
従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層状組織
(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製した。得
られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラー組
織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施例1
と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に割れ
が発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り
強さ:39kg/mm2 、曲げ角度 :18(度)、で
あった。
【0019】実施例2 Al:49原子%、Mo:3.5原子%を含有し、残り
がTiおよび不可避不純物からなる成分組成のTiAl
金属間化合物系Ti合金を通常のアーク溶解炉で溶解
し、セラミック鋳型に遠心鋳造して断面、12mm×1
2mm、長さ:70mmの寸法を有するTi合金角棒を
作製した。このTi合金角棒をArガス雰囲気中、温
度:1390℃、2時間保持したのち水冷の溶体化処理
を施し、この溶体化処理したTi合金角棒をArガス雰
囲気中、温度:1120℃、2時間保持したのちArガ
スによるファン急冷することによりマッシブ変態処理し
てマッシブγ相組織とし、さらにArガス雰囲気中、温
度:1300℃、1時間保持たのちArガスによるファ
ン急冷することにより時効処理を行い、本発明熱処理法
によるγ相中にα相が分散した組織を有するTi合金角
棒を作製した。
【0020】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
42kg/mm2 、曲げ角度 :46(度)、であっ
た。
【0021】従来例2 実施例2で作製したTi合金角棒をArガス雰囲気中、
温度:1390℃、2時間保持したのち水冷の溶体化処
理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1280℃、2時間保持たの
ちArガスによるファン急冷することにより時効処理を
行い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなるから
なる層状組織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を
作製した。得られたα相およびγ相からなる層状組織
(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を試験片に加工
後、実施例2と同様にして引張り強さを測定し、さらに
曲げ部に割れが発生した時点での曲げ角度を測定したと
ころ、引張り強さ:40kg/mm2 、曲げ角度 :2
3(度)、であった。
【0022】実施例3 Al:48原子%、Cr:6原子%を含有し、残りがT
iおよび不可避不純物からなる成分組成のTiAl金属
間化合物系Ti合金を通常のアーク溶解炉で溶解し、セ
ラミック鋳型に遠心鋳造して断面、12mm×12m
m、長さ:70mmの寸法を有するTi合金角棒を作製
した。このTi合金角棒を真空雰囲気中、温度:137
0℃、2時間保持したのち水冷の溶体化処理を施し、こ
の溶体化処理したTi合金角棒をArガス雰囲気中、温
度:1200℃、1時間保持したのち、Arガスによる
ファン急冷しすることによりマッシブ変態処理を施して
マッシブγ相組織とし、さらにArガス雰囲気中、温
度:1280℃、0.5時間保持たのちArガスによる
ファン急冷することにより時効処理を行い、本発明熱処
理法によるγ相中にα相が分散した組織を有するTi合
金角棒を作製した。
【0023】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
41kg/mm2 、曲げ角度 :59(度)、であっ
た。
【0024】従来例3 実施例3で作製したTi合金角棒を真空雰囲気中、温
度:1370℃、2時間保持したのち水冷の溶体化処理
を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらにA
rガス雰囲気中、温度:1300℃、5時間保持たのち
Arガスによるファン急冷することにより時効処理を行
い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層状組
織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製した。
得られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラー組
織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施例3
と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に割れ
が発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り
強さ:40kg/mm2 、曲げ角度 :19(度)、で
あった。
【0025】実施例4 Al:46原子%、Mo:1原子%、Cr:6原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなる成分組
成のTiAl金属間化合物系Ti合金を通常のアーク溶
解炉で溶解し、セラミック鋳型に遠心鋳造して断面、1
2mm×12mm、長さ:70mmの寸法を有するTi
合金角棒を作製した。このTi合金角棒をArガス雰囲
気中、温度:1400℃、2時間保持したのち水冷の溶
体化処理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒をA
rガス雰囲気中、温度:1150℃、1時間保持したの
ち、Arガスによるファン急冷しすることによりマッシ
ブ変態処理を施してマッシブγ相組織とし、さらにAr
ガス雰囲気中、温度:1250℃、0.5時間保持たの
ちArガスによるファン急冷することにより時効処理を
行い、本発明熱処理法によるγ相中にα相が分散した組
織を有するTi合金角棒を作製した。
【0026】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
43kg/mm2 、曲げ角度 :47(度)、であっ
た。
【0027】従来例4 実施例4で作製したTi合金角棒をArガス雰囲気中、
温度:1400℃、2時間保持したのち水冷の溶体化処
理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1240℃、10時間保持た
のちArガスによるファン急冷することにより時効処理
を行い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層
状組織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製し
た。得られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラ
ー組織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施
例4と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に
割れが発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引
張り強さ:38kg/mm2 、曲げ角度 :24
(度)、であった。
【0028】実施例5 Al:42原子%、Nb:8原子%、Mo:1原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなる成分組
成のTiAl金属間化合物系Ti合金を通常のアーク溶
解炉で溶解し、セラミック鋳型に遠心鋳造して断面、1
2mm×12mm、長さ:70mmの寸法を有するTi
合金角棒を作製した。このTi合金角棒をArガス雰囲
気中、温度:1350℃、5時間保持したのち水冷の溶
体化処理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒をA
rガス雰囲気中、温度:1100℃、0.2時間保持し
たのち、Arガスによるファン急冷しすることによりマ
ッシブ変態処理を施してマッシブγ相組織とし、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1220℃、10時間保持た
のちArガスによるファン急冷することにより時効処理
を行い、本発明熱処理法によるγ相中にα相が分散した
組織を有するTi合金角棒を作製した。
【0029】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
41kg/mm2 、曲げ角度 :52(度)、であっ
た。
【0030】従来例5 実施例5で作製したTi合金角棒をArガス雰囲気中、
温度:1350℃、5時間保持したのち水冷の溶体化処
理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1200℃、1時間保持たの
ちArガスによるファン急冷することにより時効処理を
行い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層状
組織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製し
た。得られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラ
ー組織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施
例5と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に
割れが発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引
張り強さ:40kg/mm2 、曲げ角度 :23
(度)、であった。
【0031】実施例6 Al:42原子%、Nb:5原子%、Cr:2原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなる成分組
成のTiAl金属間化合物系Ti合金を通常のアーク溶
解炉で溶解し、セラミック鋳型に遠心鋳造して断面、1
2mm×12mm、長さ:70mmの寸法を有するTi
合金角棒を作製した。このTi合金角棒をArガス雰囲
気中、温度:1300℃、4時間保持したのち水冷の溶
体化処理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒をA
rガス雰囲気中、温度:1100℃、1時間保持したの
ち、Arガスによるファン急冷しすることによりマッシ
ブ変態処理を施してマッシブγ相組織とし、さらにAr
ガス雰囲気中、温度:1240℃、1時間保持たのちA
rガスによるファン急冷することにより時効処理を行
い、本発明熱処理法によるα相およびγ相からなる分散
組織を有するTi合金角棒を作製した。
【0032】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
45kg/mm2 、曲げ角度 :43(度)、であっ
た。
【0033】従来例6 実施例6で作製したTi合金角棒をArガス雰囲気中、
温度:1300℃、4時間保持したのち水冷の溶体化処
理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1220℃、15時間保持た
のちArガスによるファン急冷することにより時効処理
を行い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層
状組織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製し
た。得られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラ
ー組織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施
例6と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に
割れが発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引
張り強さ:41kg/mm2 、曲げ角度 :19
(度)、であった。
【0034】実施例7 Al:44原子%、Nb:6原子%、Mo:2原子%、
Cr:2原子%を含有し、残りがTiおよび不可避不純
物からなる成分組成のTiAl金属間化合物系Ti合金
を通常のアーク溶解炉で溶解し、セラミック鋳型に遠心
鋳造して断面、12mm×12mm、長さ:70mmの
寸法を有するTi合金角棒を作製した。このTi合金角
棒をArガス雰囲気中、温度:1400℃、1時間保持
したのち水冷の溶体化処理を施し、この溶体化処理した
Ti合金角棒をArガス雰囲気中、温度:1180℃、
0.5時間保持したのち、Arガスによるファン急冷し
することによりマッシブ変態処理を施してマッシブγ相
組織とし、さらにArガス雰囲気中、温度:1290
℃、1時間保持たのちArガスによるファン急冷するこ
とにより時効処理を行い、本発明熱処理法によるγ相中
にα相が分散した組織を有するTi合金角棒を作製し
た。
【0035】得られたTi合金角棒を試験片に加工後、
強度を評価する目的で引張り強さを測定し、さらに靭性
を評価する目的で曲げ試験を行い、曲げ部に割れが発生
した時点での曲げ角度を測定したところ、引張り強さ:
44kg/mm2 、曲げ角度 :51(度)、であっ
た。
【0036】従来例7 実施例7で作製したTi合金角棒をArガス雰囲気中、
温度:1400℃、1時間保持したのち水冷の溶体化処
理を施し、この溶体化処理したTi合金角棒を、さらに
Arガス雰囲気中、温度:1180℃、5時間保持たの
ちArガスによるファン急冷することにより時効処理を
行い、従来熱処理法によるα相およびγ相からなる層状
組織(ラメラー組織)を有するTi合金角棒を作製し
た。得られたα相およびγ相からなる層状組織(ラメラ
ー組織)を有するTi合金角棒を試験片に加工後、実施
例7と同様にして引張り強さを測定し、さらに曲げ部に
割れが発生した時点での曲げ角度を測定したところ、引
張り強さ:40kg/mm2 、曲げ角度 :23
(度)、であった。
【0037】なお、この発明の熱処理法を一層理解しや
くするために、実施例1の溶体化処理して得られたTi
合金角棒のα相単相の金属顕微鏡組織写真を図1に、実
施例1のマッシブ変態処理を施して得られたマッシブγ
相のTi合金角棒の金属顕微鏡組織写真を図2に、さら
に実施例1の時効処理して得られたTi合金角棒のγ相
中にα相が分散した組織の金属顕微鏡組織写真を図3に
それぞれ示した。
【0038】
【発明の効果】実施例1〜7に見られるように、溶体化
処理と時効処理の間にマッシブ変態処理を施した本発明
熱処理法により得られたTi合金角棒は、いずれも従来
例1〜7のマッシブ変態処理を施さない従来熱処理法と
比べて、引張り強さに大差がないが、曲げ部に割れが発
生した曲げ角度が極めて大きいことがわかる。
【0039】したがって、この発明の熱処理法は、強度
を低下させること無く、靭性を向上させることができ、
従来よりも一層優れたTiAl金属間化合物系Ti合金
を提供することができ、高出力化に伴う高温度および常
温のサイクルにさらされる各種機器の構造部材として十
分に対応することができ、産業上優れた効果をもたらす
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のTiAl金属間化合物系Ti合金を
溶体化処理して得られたTi合金角棒のα相単相の金属
顕微鏡組織写真である。
【図2】実施例1の溶体化処理して得られたTiAl金
属間化合物系Ti合金をマッシブ変態処理を施して得ら
れたTi合金角棒のマッシブγ相の金属顕微鏡組織写真
である。
【図3】実施例1のマッシブ変態処理を施して得られた
TiAl金属間化合物系Ti合金を時効処理を施して得
られたTi合金角棒のγ相中にα相が分散した組織の金
属顕微鏡組織写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子%で、 Al:41〜50%、 Nb、MoおよびCrのうち1種または2種以上を合計
    で3〜12%を含有し、残りがTiおよび不可避不純物
    からなるTiAl金属間化合物系Ti合金を、α相領域
    に加熱保持したのち、急冷して溶体化処理し、 前記溶体化処理したTiAl金属間化合物系Ti合金を
    γ相領域に加熱保持してマッシブ変態処理し、 前記マッシブ変態処理したTiAl金属間化合物系Ti
    合金をα+γ相領域に加熱保持したのち急冷して時効処
    理する、ことを特徴とする高靭性TiAl金属間化合物
    系Ti合金の熱処理法。
  2. 【請求項2】 前記マッシブ変態処理は、前記溶体化処
    理したTiAl金属間化合物系Ti合金をγ相領域に加
    熱保持したのち急冷することを特徴とする高靭性TiA
    l金属間化合物系Ti合金の熱処理法。
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