JPH06116168A - ウイルス感染症治療剤 - Google Patents

ウイルス感染症治療剤

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JPH06116168A
JPH06116168A JP4287062A JP28706292A JPH06116168A JP H06116168 A JPH06116168 A JP H06116168A JP 4287062 A JP4287062 A JP 4287062A JP 28706292 A JP28706292 A JP 28706292A JP H06116168 A JPH06116168 A JP H06116168A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フィトシスタチン単独もしくはこれと抗ウイ
ルス性アシクロヌクレオシドとを含有するヘルペスウイ
ルス感染症治療剤。 【効果】 本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤は、
安全性の高いフィトシスタチンを用い、また、副作用等
の懸念のあるアシクロヌクレオチドの使用を減少させる
ことができるため、安心して使用できるものである。
したがって、特に点眼剤等の外用剤として各種ヘルペス
ウイルス感染症の治療や、発症予防に利用することがで
き、また、健康人へのヘルペスウイルス初期感染症の阻
止を目的とする長期投与も可能となる。更に、ヘルペス
ウイルスによる感染が問題となっている植物に対し、ウ
イルス感染病を予防する薬剤としての利用も期待できる
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウイルス感染症治療剤
に関し、更に詳細には、人間を含む哺乳動物全般に幅広
く感染し、種々の疾患の原因となるヘルペスウイルスの
増殖を阻害することのできるヘルペスウイルス感染症治
療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘルペスウイルスはきわめて病原性が高
く危険なウイルスであることが知られており、このウイ
ルスによって引き起こされる疾病としては、角膜潰瘍、
結膜炎症等の眼科系疾患、各種皮膚炎の他、ヘルペスウ
イルスに脳神経細胞が侵されることに起因する心身障害
等が知られている。
【0003】現在、ヘルペスウイルスの増殖を阻害する
ヘルペスウイルス感染症治療剤としては、有機合成品で
あるアシクロビルのみが認められており、これが広く利
用されている。
【0004】しかし、このアシクロビルは、人体に対す
る副作用、毒性が強く、多量に投与すると種々の問題を
引き起こす虞があった。 たとえばアシクロビルが核酸
合成のアンタゴニストであることに起因する催奇形性等
の問題があり、その応用を限りあるものとしている。
【0005】このような事情から、アシクロビルにとっ
て代わる化合物の開発が求められているにもかかわら
ず、現在までアシクロビルに代わる薬剤が提供されてい
なかった。
【0006】一方、アシクロビルの使用量を低下せしめ
る方法として、アシクロビルの薬効を増強することので
きる化合物を見出だし、それを相乗剤として使用するこ
とにより、その適用量を極力抑えてアシクロビルの毒性
の問題を解決することも考えられる。
【0007】しかし、アシクロビルの相乗剤としては特
開平3−148295号公報に記載の化合物が知られて
いた程度であり、この化合物の作用も優れているとはい
いがたく、安全性が高くかつ強力な効果を有する相乗剤
は見いだされていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、ヘルペスウイ
ルスに対して有効な増殖阻害効果を示し、かつ安全性の
高い化合物の提供や、アシクロビルの使用量を極力減ら
すことのできる手段の開発が強く求められており、課題
として残されていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの問
題を解決するに当り、まず、毒性の問題を回避するに
は、生体自身が有するか、あるいは食糧として常時摂取
しているものの中に含まれている生理活性物質を利用す
ることが必要であると考えた。
【0010】そして、この考えに基づき、上記の生理活
性物質について、広くその抗ヘルペスウイルス作用を検
索していたところ、植物中に含まれるシステインプロテ
イナーゼインヒビター(フィトシスタチン)がヘルペス
ウイルスに対して強力な増殖阻害効果を持つこと、およ
びこのものが感染症からの治癒効果を持つことを明らか
にすることに成功し、フィトシスタチンが明確な抗ヘル
ペス剤であると断定するにいたった。
【0011】また、このフィトシスタチンをアシクロビ
ルと組合せればアシクロビルの使用量を飛躍的に減少せ
しめることができることも見出した。
【0012】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものであり、その第一の目的は、フィトシスタチンを含
有するヘルペスウイルス感染症治療剤を提供するもので
ある。
【0013】また、本発明の第二の目的は、フィトシス
タチンと抗ウイルス性アシクロヌクレオシドとを含有す
ることを特徴とするヘルペスウイルス感染症治療剤を提
供するものである。
【0014】従来、フィトシスタチンの有する生理活性
作用についてはすでにいくつか報告されている。 例え
ば、フィトシスタチンに含まれるオリザシスタチンにつ
いては、これらがピコルナウイルスに属するポリオウイ
ルスの増殖を抑制することが報告されている〔近藤 平
人,阿部 啓子,荒井綜一:蛋白質 核酸 酵素,第36巻,
2519〜2524頁(1991)および Kondo H.,Ij
iri S.,Abe K.,MaedaH. and Arai S.:FEBS LETTERS 29
9,48-50(1992)〕。
【0015】しかし、ウイルスの組織特異性や宿主特異
性から見て、このものが他の構造の異なる種のウイル
ス、例えばヘルペスウイルスに対し作用するかどうかは
全く予測すらできないものであった。
【0016】本発明において有効成分として用いられる
フィトシスタチンは、イネ、オオムギ、コムギ、ジャガ
イモあるいはトウモロコシなどの栽培植物に由来するも
のであっても良く、また近年報告されているバラ科植物
等の観賞植物に含まれているものであっても良い。
【0017】上記フィトシスタチン中でも、稲 [Oryza
sativa L. japonica] 種子に由来するオリザシスタチン
は、植物中に初めて見いだされたシステインプロテイナ
ーゼインヒビター(シスタチン)として知られるもので
ある。 このオリザシスタチンは、それまで知られてい
た動物由来のシスタチンとは異なる性質を示し、これま
でに2種類の存在が報告されており、それぞれオリザシ
スタチン−I〔Abe,K.,Emori,Y., Kondo,H., Suzuki,K.
and Arai,S., J.Biol.Chem.,262, 16793-16797(198
7)〕、オリザシスタチン−II〔Kondo H., Abe,K., Ni
shimura,I., Watanabe,H., Emori,Y. and Soichi, A.,
J.Biol.Chem.,265,15832-15837(1990)〕と命名されてお
り、この何れを利用しても良い。
【0018】また、その他の栽培植物であるジャガイ
モ、コムギ、オオムギあるいはトウモロコシといったも
のにもシスタチンが存在することが報告されており、こ
れらを利用しても良い。 なお、これらはその一次構
造、遺伝子構造などから、オリザシスタチンの類似性が
報告され、オリザシスタチンを中心とする「フィトシス
タチン・ファミリー(phytocystatin family)」とされて
いる。
【0019】更に、最近報告された他の植物シスタチ
ン、例えばバラ科のフジの花の種子に存在が報告された
シスタチン〔Hirashiki,I., Ogata,F., Yoshida,N., Ma
kisumi,S., Ito,A.:J.Biochem., 108,604-608 (1990)〕
中には、部分配列ながらオリザシスタチン−Iと非常に
よく似ているものの存在が報告されているので、これら
のものをフィトシスタチンとして利用しても良い。
【0020】本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤に
配合されるフィトシスタチンは、上記の各植物の植物体
中から抽出したものであっても、また、上記各植物の遺
伝子を利用し、遺伝子工学的手法により製造したもので
あってもよい。
【0021】例えば、米の種子に含まれる前記の2つの
オリザシスタチンは、パパイン(papain)、カテプシン
(cathepsin)などのシステインプロテイナーゼの活性を
強く阻害するタンパク質性のシステインプロテイナーゼ
インヒビターであることが知られており、更に、オリザ
シスタチン−IのN末端のメチオニンよりC末端のアラ
ニンまでの合計102残基のアミノ酸配列やオリザシス
タチン−IIのN末端のメチオニンよりC末端のアラニ
ンまでの107残基のアミノ酸配列が知られているので
遺伝子工学的手法によりこれらを調製することは容易で
ある。
【0022】具体的に、オリザシスタチンの調製法を示
せば次の通りである。 なお、他の植物からのフィトシ
スタチンもこれに準じて得ることができる。
【0023】すなわち、オリザシスタチンは、阿部らの
方法〔Abe,K., Kondo,H. and Arai,S., Agric.Biol.Che
m., 51, 2763-2768 (1987)〕に従い、稲完熟種子より抽
出するか、または、サムブルークら(Sambrook et a
l.)のモレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)第2版(Cold Spring Harbor, 1989)に記載の方法
を用い、阿部らの方法〔Abe,K.,Emori,Y., Kondo,H., S
uzuki,K. and Arai,S.,J.Biol.Chem.,262, 16793-16797
(1987)〕および近藤らの方法〔Kondo H., Abe,K., Nis
himura,I., Watanab,H., Emori,Y. and Soichi, A., J.
Biol.Chem.,265,15832-15837 (1990) 〕に従って、公知
のオリザシスタチンをコードする遺伝子を用いる遺伝子
工学的手法により大腸菌内で発現させて取得することが
できる。
【0024】遺伝子工学的手法によるオリザシスタチン
の収量は抽出法の収量の約10万倍であるので、遺伝子
工学的手法により得たものを利用することがより好適で
ある。 また、このフィトシスタチンは、完全精製品に
限らず、粗精製品や部分精製品であってもよい。
【0025】本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤の
調製は、上記の様にして得られたフィトシスタチンを有
効成分とし、これに適当な担体を用いて公知方法により
製剤化することによりおこなわれる。
【0026】このヘルペスウイルス感染症治療剤は、外
用剤、経口投与剤あるいは注射剤として用いることがで
きる。このうち、外用剤としては、必要に応じて、外用
液剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、点眼
剤、座剤、パップ剤、擦剤、噴霧剤、エアゾール剤また
は外用粉剤などの剤型とすることができる。
【0027】一方、経口投与剤とする場合は、必要に応
じて、粉剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、液剤(水またはシロ
ップ溶液)などの形態とすることができる。これらの各
製剤は常法により調製することができ、所望されるかま
たは必要とされる場合には香味剤、防腐剤、沈澱防止
剤、濃厚化剤または乳化剤を含むことができる。
【0028】また、注射剤とする場合は、液状担体とし
て一般に生理食塩水、各種緩衝液、グルコース、イノシ
トール、マンニトール等の糖類溶液などを用いることが
望ましく、更に、イノシトール、マンニトール、グルコ
ース、マンノース、シュクロース等の糖類、フェニルア
ラニン等のアミノ酸類の賦形剤とともに凍結乾燥し、そ
れを使用時に注射用の適当な溶剤、例えば滅菌水、生理
食塩水、ブドウ糖液、電解質溶液、アミノ酸溶液等に溶
解、投与する凍結乾燥製剤とすることもできる。
【0029】本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤中
のフィトシスタチン含量は、特に制約はないが、完全精
製品として、外用剤中に0.0001%〜5%程度、注
射剤中には0.00001%〜5%程度用いるのが好ま
しく、経口投与剤としては、10mg〜10gを1日量
として用いるのが好ましい。
【0030】本発明のフィトシスタチンはまた、治療上
核酸合成の阻害作用を有する抗ウイルス性アシクロヌク
レオシド、例えばアシクロビル、ガンシクロビル等と併
用することにより、それらの作用を相乗的かつ飛躍的に
高めることができる。
【0031】例えばアシクロビルの抗ヘルペスウイルス
効果は、フィトシスタチンとの併用により少なくとも1
0倍以上に高まるので、副作用のためにアシクロビルの
適用量が限られるという問題点を本発明のフィトシスタ
チンとの併用により解決することができる。
【0032】本発明の、フィトシスタチンと抗ウイルス
性アシクロヌクレオシドを組み合わせることを特徴とす
るヘルペスウイルス感染症治療剤は、外用、内服用およ
び注射用のいずれにしても、上記の種々の剤型で投与で
きる。
【0033】フィトシスタチンが完全精製品であるとし
て、外用剤あるいは注射剤中のフィトシスタチンとアシ
クロヌクレオシドの2種混合物の含有量は、0.000
1%〜5%程度が好ましく、該2種混合物の内服量は、
1日量として10mg〜10gを用いるのが好ましい。
また、アシクロヌクレオシドとフィトシスタチン(完
全精製品)の混合割合は、重量比で1:1〜1:100
0までの範囲で配合するのが適当である。
【0034】本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤の
好ましい具体例として、点眼剤を挙げることができる。
この点眼剤においては、フィトシスタチン(完全精製
品)を精製水中あるいは生理食塩水中0.0001%〜
5%程度含有させることが好ましく、必要により抗酸化
剤、緩衝剤等の任意成分を適宜含有させることもでき
る。
【0035】叙上の如くして得られる、本発明のヘルペ
スウイルス感染症治療剤は、ヘルペスウイルスによって
引き起こされる人や動物の目の角膜潰瘍、結膜炎症、皮
膚炎や、ヘルペスウイルスによって脳神経細胞が侵され
ることに起因する心身障害の治療剤、あるいは予防剤と
して使用される。
【0036】また、フィトシスタチンとアシクロビルを
組み合わせたヘルペスウイルス感染症治療剤は、アシク
ロビルの有する抗ウイルス効果を相乗的に高めるので、
アシクロビルの使用量を減らすことができ、安全性の高
いヘルペスウイルス感染症治療剤とすることが可能とな
る。
【0037】
【実施例】次に実施例および参考製造例をあげ、本発明
を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等になんら
制約されるものではない。
【0038】製 造 参 考 例 オ リ ザ シ ス タ チ ン の 製 造 例 : (1)コメ種子全RNAの抽出 稲種子から全RNAを抽出するには、日本型栽培稲の開
花後2週目の登熟期にあたる種子を用いて行なうことが
できる。まず、登熟途中の種子3gをコーヒー豆粉砕機
を用いて粉状に粉砕し、これに飽和フェノール溶液15
mlを加えて攪拌し、100mMトリスヒドロキシアミ
ノメタン塩酸緩衝液(pH8.0、5mM EDTA、1
%ラウリル硫酸ナトリウムを含む)を15ml加え、粉
砕し、激 しく上下に10分間振とうした後、遠心(4,
000rpm、10min.、4℃)し、水層を得る。
【0039】次いで、その水層に対してフェノール溶液
15mlを加えて攪拌し、遠心分離を3回繰り返した後
に得られた水層に対して45mlのエタノールを添加
し、再度遠心した後、沈澱画分を凍結乾燥し、約3mg
の稲種子全RNAを得た。
【0040】(2)稲種子のcDNAライブラリーの調
製 上記全RNAからのmRNAの単離、cDNAライブラ
リーの作製は公知の方法によって行なうことができる。
そのような方法は、例えば、サムブルークら(Sambroo
k et al.)のモレキュラー・クローニング(Molecular
Cloning)第2版(Cold Spring Harbor, 1989)に記載
されている。
【0041】具体的には、(1)で得られた全RNAよ
りポリA RNAを分画し、これを鋳型としてcDNA
を合成し、クローニング用のファージベクター、例えば
λgt 10に組み込み、大腸菌、例えばC600Hf
1株を宿主としてこれを形質転換する。 これをχ−ブ
ロスの寒天培地(純水1lにトリペプトン25g、酵母
エキス10g、グルコース1g、硫酸マグネシウム4.
9g、塩化ナトリウム2.5gを溶かし、pH7.5に調
整し、寒天を3%添加したもの)上で培養することによ
り約12万個の独立なプラークよりなる稲種子のcDN
Aライブラリーを作製することができる。
【0042】(3)オリザシスタチンのcDNAのスク
リーニング プラークの大きさが直径2mmとなった時点で寒天培地
上にナイロンメンブレンフィルターをのせ、3分後にこ
れをはがし、アルカリ変性溶液(0.5MのNaOH溶
液に1.5MのNaClを含むもの)に5分間浸した
後、風乾した。次に、中和溶液(1.5Mのトリス塩酸
緩衝液、1.5MのNaClを含むもの)に20分間浸
し中和した。 これを2XSSC溶液(1lの水に17.
5gのNaClと8.8gのクエン酸ナトリウムを含む
もの)に浸した後、十分に風乾し、更に80℃で60分
間加熱処理し、UVランプで10分間照射することによ
りDNAをナイロンフィルターに固定する。
【0043】オリザシスタチンをコードするcDNAを
スクリーニングするために用いるプローブは、オリザシ
スタチン−Iについては既に公知となっているオリザシ
スタチン−I遺伝子の塩基配列(Abe,K.,Emori,Y.,Kond
o,H.,Suzuki,K. and Arai,S., J.Biol.Chem.,262,16793
-16797 (1987) )をもとに20マー程度の長さのオリ
ゴヌクレオチドプローブ、 例えば、5'−AAGCTC
TATGAAGCTAAGGTCTGGG−3'を合成
し、用いることができる。 オリザシスタチン−IIに
ついても同様に既に公知となっている遺伝子の塩基配列
(Kondo,H.,Abe,K.,Nishimura,I.,Emori,Y., and Ara
i,S., J.Biol.Chem., 265, 15832 - 15837 (1990) )を
もとに約20マー程度のオリゴヌクレオチドプローブ、
例えば、5'−AGGCAGCAGGTGGTGGGC
GGGTTC−3'を合成し用いることができる。
【0044】ナイロンフィルターに固定された稲種子の
cDNAライブラリーのスクリーニングは、これらのオ
リゴヌクレオチドプローブを用い、例えば、サムブルー
クら(Sambrook et al.)のモレキュラー・クローニン
グ(Molecular Cloning)第2版(Cold Spring Harbor,
1989)に記載されている方法に基づいて行なうことが
できる。 具体的には、放射性同位元素化合物γ−32
−デオキシCTPを用いてオリゴヌクレオチドプローブ
を標識し、42℃の温度でハイブリダイゼーションを行
い、オートラジオグラフィーによって検出される陽性シ
グナルをプレート上のプラークと照合する。
【0045】陽性シグナルに対応するプレート上のソフ
トアガロースをSM溶液(0.1MのNaCl、8.1m
Mの硫酸マグネシウム)5μlに懸濁し、クロロホルム
を一滴加え、溶解することにより、オリザシスタチン−
IをコードするcDNAインサートを含むファージクロ
ーンを得ることができる。 オリザシスタチン−IIに
ついても同様にファージクローンを得ることができる。
【0046】得られたファージクローンを適当な制限酵
素、例えばEcoRIで消化し、その消化断片をクロー
ニング用のプラスミドベクター、例えばpUC18など
にサブクローニングして、既に公知となっているものと
同様のオリザシスタチン−I、およびオリザシスタチン
−IIの最長をコードするプラスミドを得ることができ
る。
【0047】(4)発現プラスミドの調製 オリザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−IIを
大腸菌内で発現させるための発現プラスミドの構築もサ
ムブルークら(Sambrook et al.)のモレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)第2版(Cold Spring
Harbor, 1989)に記載されている方法にしたがって行
なうことができる。
【0048】具体的には、発現ベクタ−として既に公知
となっているpKK 233−2プラスミドを用い、こ
のマルチクローニングサイトの制限酵素切断点であるN
coIとPstIに上記(3)で得たpUC18プラス
ミドベクターにクローニングされたオリザシスタチン−
Iおよびオリザシスタチン−IIをコードする遺伝子を
挿入することにより行う。
【0049】その挿入方法は次の通りである。 すなわ
ち、オリザシスタチン−Iの場合、そのアミノ酸配列の
開始メチオニンの位置に相当する塩基配列に制限酵素N
coIサイトを挿入することにより始める。 NcoI
サイトの構築方法はサムブルークら(Sambrook et a
l.)のモレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)第2版(Cold Spring Harbor, 1989)に記載されて
いる部位指定変異法により行なうことができる。 この
場合、用いる合成オリゴヌクレオチドプローブは5'−
GCCATGGCGAGC−3'を使用することによ
り、容易に塩基配列をGAAGATGGTCGAGCか
らGACCATGGGCGAGCと変えることができ、
CCATGGというNcoI制限酵素サイトを構築する
ことができる。
【0050】そして、pUC18プラスミドベクター
に、クローニングされたオリザシスタチン−Iをコード
する塩基配列をNcoIとPstIサイトで消化するこ
とにより得られる断片をpKK233−2プラスミドの
NcoIとPstIサイトに挿入することによりオリザ
シスタチン−Iの発現プラスミドを完成させることがで
きる。
【0051】この発現プラスミドを用いることにより、
天然の稲に存在するものと同じ102残基のアミノ酸よ
りなるオリザシスタチン−Iを大腸菌内で生産させるこ
とができる。オリザシスタチン−IIに関しても同様に
行なうことができる。 この場合、合成オリゴヌクレオ
チドプローブとして5'−GGCCATGGCCGAG
GA−3'を用いることにより、容易にGGCGATG
GCCGAGGAの塩基配列をGGCCATGGCCG
AGGAと変えることができる。 この発現プラスミド
を用いることにより、天然の稲に存在するものと同じ1
07残基のアミノ酸よりなるオリザシスタチン−IIを
大腸菌内で生産させることができる。
【0052】(5)大腸菌内での生産のための形質転換
大腸菌株の調製 大腸菌、例えばYA21株を30mlのSOB液体培地
(1lの水あたり、20gのバクトトリプトン、10g
の酵母エキス、0.6gのNaCl、0.2gのKClを
含む)中、37℃で、4時間培養し、550nmで測定
した吸光度が約0.4程度の菌濁度となるように大腸菌
の菌体液を調製する。 この菌体液を遠心し、得られた
菌体を10mMの硫酸マグネシウム水溶液に懸濁し、4
℃にて15分間静置する。 再び遠心後、菌体を2ml
の50mM塩化カルシウム水溶液に懸濁し、4℃で10
分間静置する。
【0053】この菌濁液210μlに(4)で調製した
オリザシスタチン−Iあるいはオリザシスタチン−II
のそれぞれのインサートを含む発現プラスミドを添加
し、4℃で30分間静置することにより大腸菌を形質転
換させる。 つづいて、42℃で80秒間熱処理し、再
び4℃にて2分間静置した後、SOC(SOBに10m
Mのグルコースを含む)を800μl加え、37℃にて
1時間振とう培養し、形質転換菌を1.5%寒天を含む
χ−ブロス寒天培地上、37℃で、18時間培養してコ
ロニーを得る。
【0054】(6)大腸菌内で生産するための培養方法 上記(5)でコロニーとして得られたオリザシスタチン
−Iあるいはオリザシスタチン−IIのそれぞれの形質
転換菌を800mlのχ−ブロス液体培地中、37℃で
8時間培養する。 続いて、この菌体懸濁培養液を40
lの発現用培地(水1lあたり、25gのポリペプト
ン、10gの酵母エキス、4.9gの硫酸マグネシウ
ム、15.2gのリン酸水素ナトリウム12水和物、1.
2gのリン酸二水素カリウム、1gの塩化アンモニウ
ム、0.75gの塩化ナトリウム、0.0835gの塩化
マグネシウム6水和物、0.115gの硫酸ナトリウ
ム、0.4mlのシリコンKM72を含む)に添加し、
37℃で18時間培養する。 この際、密閉された50
リットルジャーを用いる。 また、培養終了4時間前に
IPTG(イソプロピルガラクトピラノシド)を最終容
量1mMとなるように添加する。
【0055】(7)菌体内に生産されたオリザシスタチ
ンの抽出方法 上記(6)で得られた菌体培養液を、連続遠心(4℃、
8,000rpm、約5時間)することにより菌体を回
収する。 この様にして40リットルの培養液から約6
00g湿重量の菌体を得る。
【0056】この600g湿重量の菌体を4リットルの
菌抽出液(トリスー塩酸緩衝液(pH7.8)、5mM
EDTA、3mMメルカプトエタノールを含む)中に懸
濁し、ガラスビーズを充填させたダイノミルにて菌体を
破砕し、菌体内生産物を抽出する。 オリザシスタチン
−Iとオリザシスタチン−IIは水溶性タンパク質であ
るため容易に抽出液中に溶解させることができる。
【0057】(8)オリザシスタチンの精製方法 上記(7)で得られたオリザシスタチン抽出液を80℃
で10分間熱処理し、遠心(7,000rpm、10分
間、4℃)後、オリザシスタチン画分を含んだ上清液を
得る。 この上清液に対して3%のポリエチレンイミン
水溶液を5容量%添加し、室温にて10分間攪拌後、遠
心(8,000rpm、10分間,4℃)することにより
不要な核酸を除く。
【0058】このオリザシスタチンを含む上清液に対し
て、25%から75%の濃度にて硫酸アンモニウム分画
を行い、オリザシスタチンを含む最終沈澱画分を800
mlのDEAE用緩衝液(25mMトリスー塩酸(pH
7.5)、5mMEDTA、2mMメルカプトエタノー
ルを含む)に溶かす。
【0059】(9)カラムクロマトグラフィーによる精
製法 上記(8)のDEAE用緩衝液で平衡化した、DEAE
セルロースカラム(7φ×50cm)に(8)で得られ
たオリザシスタチン抽出液を供する。 オリザシスタチ
ンの溶出は0Mから0.6MのNaClを用いたリニア
ーグラディエントにより行なう。
【0060】オリザシスタチン−Iおよびオリザシスタ
チン−IIは、ともに0.2Mの塩濃度にて溶出される
画分に含まれている。 続いて、このオリザシスタチン
溶液を集め、最終濃度30%となるように硫酸アンモニ
ウムを加える。 疎水クロマト用緩衝液(25mMトリ
スー塩酸(pH7.5)、5mMEDTA、2mMメル
カプトエタノール、30%硫酸アンモニウムを含む)に
て平衡化したブチルトヨパール 650Mカラム(5φ
×30cm)に30%硫酸アンモニウムを加えたオリザ
シスタチン溶液を供する。 溶出は30%から0%の硫
酸アンモニウム濃度のリニアーグラディエントにて行な
う。 オリザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−
IIともに17%の硫酸アンモニウム濃度にて溶出され
る画分に含まれている。
【0061】このオリザシスタチン画分をQAE用緩衝
液(25mMトリスー塩酸(pH8.2)、2mM ED
TAを含む)に対して透析し、この緩衝液にて平衡化し
たQAEセルロースカラム(5φ×40cm)に供す
る。 溶出は0Mから0.6MのNaClによるリニアー
グラディエントにより行なう。 オリザシスタチン−I
およびオリザシスタチン−IIともに0.4Mの塩濃度
にて溶出される画分に含まれている。 この様にして本
発明に用いたオリザシスタチン−Iあるいはオリザシス
タチン−IIの精製品を40リットル培養、すなわち菌
体湿重量600gあたり、それぞれ約4gずつ得ること
ができる。
【0062】実 施 例 1 インビトロの系においてヘルペスウイルスの増殖に及ぼ
すオリザシスタチンの影響:サルの腎臓上皮細胞を96
穴のマイクロテストプレート(ヌンク社製)の穴中で、
10%牛胎児血清(FCS)を添加したイーグルMEM培
地中で培養した。 単相の状態に広がるまで培養し、こ
の細胞に対してヘルペスシンプレックスウイルスのタイ
プ1(Helpes simplex virus type-1, HSV-1)福田株
のウイルス液を感染率(m.o.i)として0.1、ウイルス
量として一つの培養穴当り2×103個プラーク形成単
位となるようにして接種した。 感染条件は37℃の温
度において60分間の培養によりおこなった。 その
後、10μMの濃度でオリザシスタチンIを含む培地
中、37℃で24時間培養した。
【0063】対照区として、オリザシスタチンIに代
え、オボインヒビター、E−64、大豆種子トリプシン
インヒビター、オボマクログロブリン、ロイペプチン、
ペプスタチンA、アンチパインを各濃度で含む培地で培
養したものを用いた。 また、同じく対照区として、ウ
イルス感染後の細胞を阻害剤を添加しない培地で培養し
たものを用いた。 培養終了後、細胞を凍結し、その後
融解し増殖したウイルスを放出させ、別の細胞に対する
感染値を測定することによりウイルス量(プラーク形成
単位)を定量し、オリザシスタチンの抗ウイルス効果を
検討した。 その結果を第1表に示す。
【0064】
【0065】この結果から明らかなように、ヘルペスウ
イルスは培地濃度10μMの濃度のオリザシスタチン−
Iによって85%阻害される。このように、オリザシス
タチン−Iの場合、対照区として用いた他の生理活性物
質に比較して、かなり強いウイルス増殖阻害効果を持つ
ことは明白である。
【0066】実 施 例 2 オリザシスタチンの各種濃度におけるヘルペスシンプレ
ックスウイルス−タイプ1増殖抑制効果:実施例1と同
様の培養条件にてサル腎臓上皮細胞を96穴の組織培養
プレート内にて単相の細胞状態になるまで培養し、ヘル
ペスシンプレックスウイルスータイプ1のウイルス液を
感染率0.1(m.o.i=0.1)で接種することにより細胞
に感染させ、ウイルス液を除去した後、5、10、2
0、40μMの各種濃度でオリザシスタチンIを含有す
る培地中で24時間培養する。 その後、細胞を凍結さ
せ、続いて融解し、細胞内で増殖した娘ウイルスを放出
させ、娘ウイルスの新たな細胞に対する感染価をプラー
ク形成能を測定することによりウイルス量を定量した。
その結果を第2表に示す。
【0067】
【0068】第2表より、ウイルスを感染させた場合、
培地1ml当りのウイルスによるプラーク形成数が1.
5×106個である場合において、培地中のオリザシス
タチン−Iの濃度が5μMの場合では5.3×105個、
10μMでは2.1×105個、20μMでは9.4×1
4個、40μMでは5.7×103個となり著しい増殖
阻害効果を示した。
【0069】この結果から、オリザシスタチン−Iは培
地中濃度5μMの低濃度で顕著なヘルペスウイルス増殖
阻害効果を示すことが明かとなった。
【0070】実 施 例 3 インビトロ(in vitro)の系に於けるヘルペスウイルス
の増殖に対するオリザシスタチンとアシクロビルの相乗
抑制効果:実施例1と同様に、サル腎臓上皮細胞を単相
状態になるまで培養し、その細胞に対してヘルペスシン
プレックスウイルスータイプ1(福田株)のウイルス液
を感染率(m.o.i.)0.1にて接種し、37℃で60分
間充分に感染吸着させた後、ウイルス液を洗浄により除
去し、10μMの濃度のオリザシスタチン−I、および
0.14μMの濃度のアシクロビルを同時に添加し、2
4時間、48時間、60時間培養後のウイルス量をプラ
ーク形成能により算定する。 その結果を第3表に示
す。
【0071】
【0072】この結果より明らかなように、阻害剤を加
えない対照区においては、24時間接種した場合のウイ
ルスによるプラーク形成能が、培地1mlあたりのプラ
ーク形成数を単位として5.5×105個であったが、1
0μMのオリザシスタチン−Iを含む培地ではこれが
8.2×104個となり、0.14μMのアシクロビルを
含む培地では4.2×104個となる。 そして、10μ
Mのオリザシスタチン−Iと0.14μMのアシクロビ
ルを共に含む培地では9.2×102個と著しい増殖阻害
効果の相乗効果が観察された。 この効果は、48時間
または60時間ウイルスを接種し感染した場合のウイル
スによるプラーク形成能を測定した場合に於いても観察
される。よって、ヘルペスウイルスに対してオリザシス
タチンとアシクロビルを同時に処方すると、この増殖阻
害効果が相乗されることは明白である。
【0073】実 施 例 4 脳炎マウスを用いたインビボの系におけるオリザシスタ
チンのヘルペスシンプレックスウイルスータイプ1感染
症治癒効果:脳炎マウス(ddy種、オス)の目表面の
角膜を26番ゲージの針にて擦過する。 その後、ヘル
ペスシンプレックスウイルスータイプ1のウイルス液を
一つの目あたり5×104プラーク形成単位である力価
にて点眼接種し、ウイルス接種後0日目より7日目まで
1日に1回、0.6ナノモルのオリザシスタチンを点眼
処方し、または、0.5マイクロモルのアシクロビルを
静脈注射することで処方した。そして、ウイルス接種後
20日目までのマウスの生死を観察し生存率を算定し
た。 その結果を図1に示す。
【0074】図1により明らかなように、ウイルス感染
後、阻害剤を点眼しない場合には、ウイルス感染後9日
目にて全てのマウスがウイルス感染症により死亡した
が、アシクロビルまたはオリザシスタチンを処方したも
のは、20日目において、アシクロビルの場合生存率5
0%、オリザシスタチンの場合20%の生存率があるこ
とが観察される。
【0075】また、阻害剤を点眼しない場合、ウイルス
感染後、7日目で急に生存率が38%となり急に減少す
るが、阻害剤を処方する場合には致死までの日数の増
加、すなわち顕著な延命効果が、アシクロビルの場合は
7日目では100%の生存率、オリザシスタチンの場合
は7日目で75%の生存率となったように、顕著な効果
が観察される。
【0076】実 施 例 5 ウイルス感染症治療剤(錠剤):オリザシスタチンI
(またはII)30重量部、結晶乳糖 120部、結晶
セルロース 147部およびステアリン酸マグネシウウ
ム 3部をV型混合機で打錠し、1錠300mgの錠剤
を得た。
【0077】実 施 例 6 軟 膏 剤 : オリザシスタチンI(またはII) 1.0 g 白色ワセリン 25.0 g ステアリルアルコール 20.0 g プロピレングリコール 12.0 g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 4.0 g モノステアリン酸グリセリン 1.0 g パラオキシ安息香酸メチル 0.1 g パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 g 精 製 水 全 量 100 g
【0078】実 施 例 7 ローション剤 : オリザシスタチンI(またはII) 1.0 g サラシミツロウ 0.1 g セチルアルコール 1.5 g ラウリル硫酸ナトリウム 0.5 g グリセリン 5.0ml 精 製 水 全 量 100ml
【0079】実 施 例 8 ウイルス感染症治療用点眼剤: 精製オリザシスタチンI(またはII) 100mg イプシロン−アミノカプロン酸 2 g アミノエチルスルホン酸 100mg マレイン酸クロルフェニラミン 30mg 精 製 水 全量 100ml
【0080】実 施 例 9 ウイルス感染症治療用目軟膏剤: オリザシスタチンI(またはII) 3.0 g アシクロビル 0.3 g 眼科用白色ワセリン 25 g ステアリルアルコール 22 g ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 g パラオキシ安息香酸エチル 0.025 g (またはパラオキシ安息香酸メチル) パラオキシ安息香酸プロピル 0.015 g 精 製 水 全 量 100 g
【0081】実 施 例 10 点 眼 剤 オリザシスタチンI(またはII) 10mg グリチルリチン酸ジカリウム 250mg アミノエチルスルホン酸 1000mg マレイン酸クロルフェニラミン 30mg 塩酸テトラヒドロゾリン 25mg コンドロイチン硫酸ナトリウム 500mg 精 製 水 全 量 100ml
【0082】実 施 例 11 注 射 剤 オリザシスタチンI(またはII)3重量部に精製水を
加え、全量を2000部としてこれを溶解させる。溶解
後、ミリポアフィルターGSタイプを用いて除菌濾過す
る。この濾液2gを10ml容のバイアル瓶にとり、凍
結乾燥して1バイアルあたりオリザシスタチンI 3m
gを含む凍結乾燥注射剤を得た。
【0083】
【発明の効果】本発明のヘルペスウイルス感染症治療剤
は、植物中に存在するシステインプロテイナーゼインヒ
ビターであるフィトシスタチンの細胞中でのヘルペスウ
イルスの増殖を阻害する作用によるものであるが、フィ
トシスタチンは細胞あるいは生体に対して毒性が極めて
低いため、安全なヘルペスウイルス感染症治療剤として
利用することできるものである。
【0084】また、従来技術として抗ヘルペス剤として
使用されてきたアシクロビルとの併用により、アシクロ
ビルの有するヘルペスウイルス阻害効果を相乗的に増加
させることも明白となった。
【0085】従って、本発明のヘルペスウイルス感染症
治療剤は、各種ヘルペスウイルス感染症の治療や、発症
予防に利用することができ、また、健康人へのヘルペス
ウイルス初期感染症の阻止を目的とする長期投与も可能
となる。更に、ヘルペスウイルスによる感染が問題とな
っている植物に対し、ウイルス感染病を予防する薬剤と
しての利用も期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスの角膜に感染したヘルペスシンプレック
スウイルスータイプ1による脳炎症に対するオリザシス
タチン−Iおよびアシクロビルの治癒効果を示す図面。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/52 9360−4C //(A61K 37/64 31:52) 9360−4C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィトシスタチンを含有するヘルペスウ
    イルス感染症治療剤。
  2. 【請求項2】 フィトシスタチンがオリザシスタチンで
    ある請求項第1項記載のヘルペスウイルス感染症治療
    剤。
  3. 【請求項3】 フィトシスタチンと抗ウイルス性アシク
    ロヌクレオシドとを含有することを特徴とするヘルペス
    ウイルス感染症治療剤。
  4. 【請求項4】 フィトシスタチンがオリザシスタチンで
    あり、抗ウイルス性アシクロヌクレオシドがアシクロビ
    ルである請求項第3項記載のヘルペスウイルス感染症治
    療剤。
  5. 【請求項5】 外用剤である請求項第1項ないし第4項
    の何れかの項記載のヘルペスウイルス感染症治療剤。
  6. 【請求項6】 点眼剤である請求項第1項ないし第5項
    の何れかの項記載のヘルペスウイルス感染症治療剤。
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