JPH06116089A - ダイヤモンドの選択形成法 - Google Patents

ダイヤモンドの選択形成法

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JPH06116089A
JPH06116089A JP26223192A JP26223192A JPH06116089A JP H06116089 A JPH06116089 A JP H06116089A JP 26223192 A JP26223192 A JP 26223192A JP 26223192 A JP26223192 A JP 26223192A JP H06116089 A JPH06116089 A JP H06116089A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、高性能な半導体デバイス、ヒー
トシンク、電子材料等に好適に用いることのできるダイ
ヤモンドを、所望の大きさ及び形状に、寸法精度よく高
い選択性をもって形成することのできる、ダイヤモンド
の選択形成法を提供することを目的とする。 【構成】 前記目的を達成するための前記請求項1に記
載の発明は、シリコン基板の表面に、マスクパターンを
形成し、非マスク部を陽極化成法によりポーラス化した
後に熱酸化することによりSiO2 化し、その後電界処
理又は傷付け処理を行ない、次いで気相法によるダイヤ
モンド合成を行なうことを特徴とするダイヤモンドの選
択形成法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ダイヤモンドの選択
形成法に関し、更に詳しく言うと、高性能な半導体デバ
イス、ヒートシンク、電子材料等に好適に用いることの
できる部材を形成する際に有用であるところのダイヤモ
ンドの選択形成法であり、かつ、ダイヤモンドを高い選
択性をもって、寸法精度よく所望の大きさ及び形状に、
簡便な操作で容易にしかも再現性よく形成することので
きるダイヤモンドの選択形成法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、炭
素含有化合物と水素との混合ガスを原料として、CVD
法やPVD法などの気相法ダイヤモンド合成技術を用い
て、基板の表面にダイヤモンドを析出形成する技術が開
発され、切削工具や半導体デバイス等の分野への用途が
注目されてきた。更に近時、微細なパターンのダイヤモ
ンド膜を基板の表面に選択的に形成する技術が開発さ
れ、切削工具、研磨工具等の超硬工具のみならず各種の
摺動部材や耐摩耗性部材、更には高性能な半導体デバイ
ス等の電子・電気機器分野における各種の素材などへの
広範囲の用途が期待されている。
【0003】このような気相法により、基板の表面にダ
イヤモンドを選択的に形成する方法としては、例えば、
特開平2−30697号や特開平3−205397号の
各公報に記載された方法がある。
【0004】前者は、傷付け処理した基板の表面にマス
ク材によるパターンを形成した後、エッチングにより前
記パターンを除去し、この基板表面に気相法によるダイ
ヤモンドを形成する方法である。また、後者は、基板表
面にマスク材を付し、陽極化成を行ない、非マスク部を
ポーラス化した後、気相法によりダイヤモンドを形成す
る方法である。
【0005】しかしながら、前者の方法においては、基
板表面のエッチング処理や溶剤処理に伴って、基板の強
度が低下するという問題がある。また、後者の方法に
は、基板におけるポーラス化した部分の強度が充分でな
く、ダイヤモンドを高い選択性をもって得ることができ
ないという問題がある。したがって、これらの方法で
は、高い選択性をもって所望の形状及び大きさを有する
ダイヤモンドを、寸法精度よく製造することはできな
い。
【0006】この発明は、前記問題を解決すると共に、
高性能な半導体デバイス、ヒートシンク等の電子機器分
野をはじめとする広い分野において好適なダイヤモンド
を、高い選択性をもって、寸法精度よく所望の大きさ及
び形状に、簡便な操作で容易に、しかも再現性よく形成
することのできるダイヤモンドの選択形成法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、この発明者らが鋭意検討した結果、マスクパターン
を形成したシリコン基板における、陽極化成法によりポ
ーラス化した部分を、更に熱酸化することによりSiO
2 化する。その後、シリコン基板の表面を電界処理又は
傷付け処理すると、寸法精度よく所望の形状及び大きさ
のダイヤモンドを高い選択性をもって得ることができる
ことを見出し、この発明に到達した。
【0008】即ち、前記課題を解決するための請求項1
に記載の発明は、シリコン基板の表面に、マスクパター
ンを形成し、シリコン基板における非マスク部を陽極化
成法によりポーラス化した後に熱酸化することによりS
iO2 化し、その後電界処理又は傷付け処理を行ない、
次いで気相法によるダイヤモンド合成を行なうことを特
徴とするダイヤモンドの選択形成法である。
【0009】以下に、この発明について詳細に説明す
る。
【0010】この発明の方法は、 1)シリコン基板の表面に、マスクパターン形成材料に
よりマスクパターンを形成する工程(以下、マスクパタ
ーン形成工程と称する。)、 2)シリコン基板の表面における非マスク部を、陽極化
成法によりポーラス化した後に熱酸化することによりS
iO2 化する工程(以下、ポーラス化及びSiO2 化工
程と称する。)、 3)シリコン基板の表面を、電界処理する工程(以下、
電界処理工程と称する。)又は傷付け処理する工程(以
下、傷付け処理工程と称する。)、及び、 4)シリコン基板の表面に、気相法によるダイヤモンド
を形成する工程(以下、ダイヤモンド形成工程と称す
る。)の4つの工程を有する。
【0011】以下、順を追って前記各工程について説明
する。
【0012】1)マスクパターン形成工程 マスクパターン形成工程においては、特定のマスクパタ
ーン形成材料によりシリコン基板の表面に、所望の形状
及び大きさを有するマスクパターンが形成される。
【0013】マスクパターンを形成するには、リソグラ
フィーの技術を用いることができる。
【0014】具体的には、先ず、図7に示すように、フ
ォトレジスト等のレジスト剤を含有するマスクパターン
形成用塗布液をシリコン基板1の表面全体に塗布し、こ
れを乾燥してレジスト層5を形成する。次に、例えば図
8に示すような、目的のマスクパターンと同じパターン
のフォトマスク6を介して、図7に示すように、紫外線
等の光を前記レジスト層5に照射して露光する。なお、
図8に示すフォトマスク6は、光遮断部6aと光透過部
6bとを有する。その後、露光部分を除去して図6に示
すような所望のパターンと同じ大きさ及び形状を有する
マスクパターン5aをシリコン基板1の表面に形成する
方法、を挙げることができる。
【0015】また、他の方法としては、先ず、シリコン
基板の表面全体に、フォトレジスト等のレジスト剤を含
有するマスクパターン形成用塗布液を塗布し、これを乾
燥してレジスト層を形成する。次に、所望のマスクパタ
ーンと逆のパターンのフォトマスクを介して、紫外線等
の光を前記レジスト層に照射して露光する。その後、未
露光部分を除去して所望のパターンと同じ大きさ及び形
状を有するマスクパターンをシリコン基板の表面に形成
する方法、を挙げることができる。
【0016】前記シリコン基板としては、特に制限はな
く、P型でもあるいはN型でもよい。シリコン基板の比
抵抗としては、通常10-3〜10-3Ω・cmである。
【0017】前記レジスト剤としては、フォトレジスト
の他、電子線やX線用のレジストを用いることができ
る。
【0018】前記フォトレジストしては、ネガ型フォト
レジスト又はポジ型フォトレジストを挙げることができ
る。これらのレジストは一般に用いられているもののほ
か、各種公知の樹脂系やゴム系のフォトレジストを用い
ることができる。
【0019】前記ネガ型フォトレジストの市販品として
は、例えば、富士薬品工業(株)製のLMR−33や東
京応化工業(株)製のOMR−83、OMR−85等を
挙げることができる。また、前記ポジ型フォトレジスト
の市販品としては、東京応化工業(株)製のOFPR−
2やOFPR−800等を挙げることができる。
【0020】前記マスクパターン形成用塗布液の調製方
法としては、特に制限はなく、公知の種々の方法を採用
することができる。
【0021】前記マスクパターン形成用塗布液の塗布方
法としては、スプレー、スピンナー、デイップ等を用い
る方法などを挙げることができ、これらの中で好ましい
のはスピンナーを用いる方法である。
【0022】マスクパターン形成用塗布液を塗布した
後、通常の場合は乾燥することにより、レジスト層を得
る。このレジスト層の乾燥時の厚みとしては、特に制限
はないが、通常0.5〜3μm程度である。
【0023】マスクパターンは、フォトマスクを介して
レジスト層に紫外線などの光を照射して露光した後、現
像及びリンスすることにより、形成することができる。
【0024】前記紫外線などの光を照射することによる
露光の方法としては、例えば、コンタクト露光方式、プ
ロキシミティー露光方式、プロジェクション露光方式等
を挙げることができ、目的に応じて種々の方法を適宜に
選択して用いることができる。
【0025】以上のようにして、このマスクパターン形
成工程では、例えば図6に示すように、シリコン基板1
の表面にマスクパターン5aが形成される。
【0026】2)ポーラス化及びSiO2 化工程 このポーラス化及びSiO2 化工程においては、陽極化
成法により、シリコン基板の表面における、非マスク部
をポーラス化した後、マスクパターンを溶解除去し、そ
の後に熱酸化することによりシリコン基板のSiO2
を行なう。
【0027】この陽極化成法によるポーラス化において
は、シリコン基板を、例えばフッ化水素等の水溶液中に
て電気分解することにより、図5に示すように、シリコ
ン基板の表面にポーラス化されたポーラス層4が形成さ
れる。この際、シリコン基板におけるマスクパターンが
形成されている部分は、ポーラス化されない。
【0028】前記水溶液としては、例えば、フッ化水素
水溶液(容積比でHF:H2 O=1:1)、フッ化水素
水溶液とエタノールとの混合液(HF含有量5〜50v
ol.%)等を挙げることができる。
【0029】前記電気分解は、例えば、前記水溶液を収
容した容器内で、シリコン基板を陽極とし、白金、カー
ボン、金等を陰極として、1〜300mA/cm2 の電
流を流すことにより行なうことができる。
【0030】電気分解の時間としては、通常5秒〜30
分である。
【0031】前記時間が短すぎると、ポーラス化が不十
分であることがあり、一方長すぎると、マスク部の背面
までポーラス化が進行することがある。
【0032】前記ポーラス層の厚みとしては、通常0.
005〜500μmである。この厚みは、前記フッ化水
素水溶液等の水溶液の濃度や、電気分解における電流あ
るいは時間等を適宜変化させることにより調節すること
ができる。
【0033】前記厚みが薄すぎると、ダイヤモンドの選
択比が低下することがあり、一方厚すぎるとマスク部の
背面までポーラス化が進行して寸法精度が低下すること
がある。
【0034】このポーラス化及びSiO2 化工程におい
ては、シリコン基板をポーラス化した後、マスクパター
ンの溶解除去を行なう。
【0035】マスクパターンを溶解除去するには、適宜
の方法を選択することができる。例えば、プラズマを用
いる方法、あるいは、アセトン、アルコール、セルソル
ブ、硫酸及び過酸化水素の混合液やジメチルホルムアミ
ド等の溶剤を用いる方法等を挙げることができる。ま
た、市販のレジスト専用溶解液を用いてもよい。
【0036】このポーラス化及びSiO2 化工程におい
ては、マスクパターンを溶解除去した後、シリコン基板
におけるポーラス層を熱酸化することによりSiO2
する。
【0037】前記熱酸化は、温度が800〜12000
℃、大気圧下又は減圧下の条件で酸素ガスをシリコン基
板の表面に接触させながら流すことにより行なうことが
できる。
【0038】熱酸化の時間としては、通常、数十分〜数
時間である。
【0039】前記時間が短いと、SiO2 化が不十分に
なることがあり、一方長いと、シリコン基板におけるポ
ーラス化された部分以外も厚くSiO2 化してしまい、
その後に行なう電界処理又は傷付け処理の際に、ダイヤ
モンド発生のための初期核を生じさせることができなく
なることがある。
【0040】シリコン基板のSiO2 化においては、シ
リコン基板におけるポーラス化した部分は、他の部分に
比べて比表面積が大きいので、早期に完全酸化される。
なお、ポーラス化されていないシリコン基板の部分もS
iO2 化される。
【0041】前記ポーラス化されていないシリコン基板
の表面におけるSiO2 化層の厚みとしては、500Å
以下であることが好ましく、更にポーラス化の厚みの1
/2以下であることが好ましい。
【0042】このポーラス化及びSiO2 化工程におい
ては、必要に応じて、前記前SiO2 化層を適宜の方法
により溶解除去することができる。
【0043】このポーラス化により、図4に示すよう
に、マスクパターンと同じパターンのポーラス層3がシ
リコン基板の表面に形成される。
【0044】3)電界処理工程 この電界処理工程においては、シリコン基板に負のバイ
アス電圧を印加しつつ炭素含有化合物のプラズマでシリ
コン基板の表面を処理する。
【0045】前記シリコン基板に印加する負のバイアス
電圧としては、例えば、シリコン基板側のDCバイアス
が−500〜−50Vの範囲、好ましくは、−400〜
−20Vの範囲になるようにする。また、バイアス電圧
が−500〜−50Vの範囲になるように、RF単独又
はRF+DCバイアスを印加する方式なども好適に採用
される。
【0046】この電界処理工程における炭素含有化合物
としては、少なくとも炭素含有化合物を含有していれば
特に制限はなく、更に、水素ガス等を含む混合ガスであ
ってもよく、一般的なダイヤモンド合成用ガスとして常
用されるもの、あるいは使用可能なもの等を使用するこ
とができる。
【0047】前記炭素含有化合物としては、具体的に
は、各種炭化水素類(具体的には、例えば、メタン、エ
タン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアル
カン類、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の
アルケン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、
シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカン類
など多種多様の炭化水素類)、含酸素炭化水素類(具体
的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコール、ベンジルアルコール等のアル
コ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、アセトフェノン等のケトン類、酢酸、プロピオ
ン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等多種多様
の酸素含有炭化水素類)、CO、CO2 など様々な炭素
含有化合物を挙げることができる。
【0048】これらの中でも、特に好ましいものとし
て、例えば、メタン、メタノール、アセトン、CO等を
挙げることができる。なお、これらは一種単独で用いて
もよいし、二種以上を混合するなどして併用してもよ
い。
【0049】前記炭素含有化合物と水素との混合ガスを
使用する場合には、混合ガス全体に対する炭素含有化合
物は、通常0.1〜99容量%であり、好ましくは0.
5〜80容量%の割合になっているのが望ましい。
【0050】前記炭素含有化合物をプラズマ化する方法
としては、特に制限はなく、一般的なダイヤモンドある
いはダイヤモンド膜の気相合成法に利用されるプラズマ
化法等の各種の方法によるプラズマ処理法が適用可能で
ある。具体的には、例えば、マイクロ波プラズマCVD
法、高周波プラズマCVD法、熱フィラメント法、EC
R法等、あるいはこれらの組合せ法等を挙げることがで
きる。これらの中でも、特に、マイクロ波プラズマCV
D法によるプラズマ処理法等が好適に採用することがで
きる。
【0051】電界処理工程の反応条件としては、従来通
りの条件によって行うことができ、例えば反応系の圧力
を10-3〜103 Torrの範囲、シリコン基板の温度
を室温〜1,100℃の範囲に適宜に選定することによ
って好適に行うことができる。
【0052】処理時間は、通常1秒〜30分である。
【0053】前記処理時間が短すぎると、ダイヤモンド
発生のための核の生じる割合が少なくなり、その後にダ
イヤモンド形成を行なっても目的とする形状及び大きさ
のダイヤモンドを得ることができないことがある。一
方、長すぎると、シリコン基板におけるSiO2 化した
部分にも核を発生させてしまうことがあり、ダイヤモン
ドを選択的に得ることができないことがある。
【0054】この電界処理工程により、図3(a)に示
すように、シリコン基板1の表面にダイヤモンド発生核
7が形成される。
【0055】この発明においては、シリコン基板に負の
バイアス電圧を印加しつつ炭素含有化合物のプラズマで
処理するこの電界処理工程又は後述の傷付け処理工程に
よって、シリコン基板の表面にダイヤモンド初期核を高
密度に効率よく生成させる。これにより、ダイヤモンド
形成の際の生成速度を著しく向上させ、高品質なダイヤ
モンドを製造することができる。
【0056】この発明においては、シリコン基板の表面
にダイヤモンド発生のための初期核を発生させるのに、
この電界処理工程を採用してもよいし、あるいは後述の
傷付け処理工程を採用してもよい。
【0057】この発明においては、電界処理を平らなシ
リコン基板に対して行なうので、シリコン基板の表面に
ダイヤモンド発生のための核を、マスクパターンと同じ
形状及び大きさに寸法精度よく、発生させることができ
る。
【0058】3)傷付け処理工程 傷付け処理工程では、砥粒を用いて、シリコン基板の表
面にダイヤモンドが析出する核となる傷を形成する。
【0059】前記砥粒としては、シリコン基板よりも硬
度の大きな微粒子であれば特に制限はないが、例えば、
SiC、CBN、ダイヤモンド等の粒子を挙げることが
できる。
【0060】これらの中で好ましいのは、ダイヤモンド
粒である。
【0061】砥粒の粒径としては、通常0.5〜500
μmであり、好ましくは0.5〜100μmである。
【0062】前記砥粒の粒径が前記範囲内にないと、シ
リコン基板の傷付け効果が充分でなく、ダイヤモンド析
出のための好ましい核を形成することができないことが
ある。
【0063】前記砥粒を用いて傷付け処理を行なうに
は、種々の方法を選択することができるが、通常、前記
砥粒を溶媒中に分散させた液中にシリコン基板を浸漬
し、これに超音波を照射することにより行なうことがで
きる。
【0064】前記溶媒としては、アルコール、アセトン
等を挙げることができる。また、溶媒に分散する前記砥
粒の量としては、通常、溶媒100ml当たり0.05
〜10gであり、好ましくは0.1〜5gである。
【0065】傷付け処理の時間としては、目的に応じて
適宜選択されるが、通常3秒〜1時間である。傷付け処
理の時間が短すぎると、ダイヤモンド発生のための核の
生じる割合が少なくなり、その後にダイヤモンド形成を
行なっても目的とする形状及び大きさのダイヤモンドを
得ることができないことがある。一方、長くても、それ
に見合う効果はない。
【0066】この傷付け処理工程において、超音波を照
射すると、前記砥粒が激しくシリコン基板の表面に接触
する。これにより、シリコン基板の表面に微小な傷を付
けることができる。
【0067】この傷付け処理においては、シリコン基板
の表面への傷付けが終了した後に、フッ化水素水溶液を
用いて、シリコン基板におけるポーラスシリコンをSi
2化した部分の表面に生じた傷を溶解除去する。前記
フッ化水素水溶液の濃度としては、通常0.2〜50%
である。
【0068】この傷付け処理工程により、図3(b)に
示すように、シリコン基板1の表面にダイヤモンド発生
核7が形成される。
【0069】以上の傷付け処理によりシリコン基板の表
面に付与された微小な傷は、ダイヤモンドを形成する際
のダイヤモンド初期核の発生点として作用する。
【0070】4)ダイヤモンド形成工程 このダイヤモンド形成工程では、マスクパターンと同じ
パターンのダイヤモンドをシリコン基板の表面に選択的
に形成する。
【0071】ダイヤモンドの形成法としては、公知の方
法、例えば、CVD法、PVD法、PCVD法、あるい
はこれらを組合せた方法等、各種のダイヤモンド気相合
成法を使用することができ、これらの中でも、通常、E
ACVD法を含めた各種の熱フィラメント法、熱プラズ
マ法を含めた各種の直流プラズマCVD法、熱プラズマ
法を含めたマイクロ波プラズマCVD法等を好適に使用
することができる。
【0072】これらのダイヤモンド形成法に用いる炭素
源ガスとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、
ブタン等のパラフィン系炭化水素;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン等のオレフィン系炭化水素;アセチレン、
アリレン等のアセチレン系炭化水素;ブタジエン、アレ
ン等のジオレフィン系炭化水素;シクロプロパン、シク
ロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式
炭化水素;シクロブタジエン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素;アセトン、ジ
エチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン類;メタノー
ル、エタノール等のアルコール類;このほかの含酸素炭
化水素;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミ
ン類;このほかの含窒素炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭
素、過酸化炭素などを挙げることができる。また前記各
種の化合物を混合して使用することもできる。
【0073】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
一酸化炭素が好ましい。
【0074】なお、これらは一種単独で用いてもよく、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。
【0075】また、これらは水素等の活性ガスやヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性ガス
と混合して用いてもよい。
【0076】ダイヤモンドの形成条件としては、特に制
限はなく、前記の気相合成法に通常用いられる反応条件
を適用することができる。
【0077】例えば、反応圧力としては、通常10-6
103 Torrが好ましく、特に1〜760Torrの
範囲内であるのが好ましい。
【0078】反応圧力が10-6Torrよりも低い場合
には、ダイヤモンドの形成速度が遅くなることがある。
また、103 Torrより高い場合には、103 Tor
rのときに得られる効果に比べて、それ以上の効果がな
い場合もある。
【0079】また、シリコン基板の表面温度としては、
前記炭素源ガスの活性化手段等により異なるので、一概
に規定することはできないが、通常、室温〜1,200
℃、好ましくは、室温〜1,100℃の範囲内にするの
がよい。
【0080】この温度が室温よりも低い場合には、結晶
性のダイヤモンドの形成が不十分になることがある。ま
た、温度が1,200℃を超える場合においては、形成
されたダイヤモンドのエッチングが生じ易くなる。
【0081】反応時間としては、特に限定はなく、ダイ
ヤモンドが所望の厚みとなるように、ダイヤモンドの形
成速度に応じて適宜に設定するのが好ましい。
【0082】形成させる前記ダイヤモンドの厚みとして
は、使用目的等に応じて適宜に適当な厚みにすればよ
く、この意味で特に制限はないが、通常は、1〜100
μmの範囲に選定するのがよい。この厚みが、あまり薄
すぎると、被覆部材としたときに、ダイヤモンドによる
被覆効果が十分に得られないことがあり、一方、あまり
厚すぎると、その使用条件によっては、ダイヤモンドの
剥離等の離脱が生じることがある。なお、得られたダイ
ヤモンドを切削工具等の過酷な条件で使用する場合に
は、通常、この厚みを、5〜100μmの範囲に選定す
るのが好適である。
【0083】以上より、図1及び2に示すように、シリ
コン基板1の表面に所望の形状及び大きさを有するダイ
ヤモンド2が、寸法精度よく選択的に形成される。
【0084】この発明の方法によると、寸法精度の優れ
たダイヤモンドのパターンを高い選択性をもって形成す
ることができる。かかる寸法精度に優れるダイヤモンド
は、例えば、半導体デバイス等の各種電子材料の分野を
はじめとする広い分野において好適に用いることができ
る。
【0085】
【実施例】以下、この発明の実施例につき具体的に説明
する。なお、この発明は以下の実施例に何ら限定される
ものではない。
【0086】(実施例1) −マスクパターン形成工程− シリコン基板として、低抵抗のp型シリコン基板(抵抗
率ρ=0.001Ωcm)を用いた。
【0087】シリコン基板の表面にマスクパターン形成
用塗布液を塗布し、乾燥してレジスト層を形成した。続
いて、図8に示すパターンを有するフォトマスクを用い
て、レジスト層を露光し、現像・リンスすることによ
り、3μm四方のドットマスクパターンを有するマスク
パターンを、フォトリソプロセスにより形成した。
【0088】即ち、ポジ型フォトレジスト(東京応化工
業(株)製:OFPR−800)をスピンナーを用い
て、3×103 rpmで、厚みが1μmになるように塗
布することにより、シリコン基板の表面にレジスト層を
形成した。塗布後、前記レジスト層を100℃で90秒
間加熱して乾燥した。そして、キャノン(株)製マスク
アライナー(PLA−501FA)を用いて紫外線を1
3mW/cm2 の強さで90秒間、図8に示すような3
μm四方のドットマスクパターンを有するフォトマスク
5を介して、レジスト層に露光した。続いてこのシリコ
ン基板を、同社製のNMD−3中に60秒間浸漬して現
像を行ない、レジスト層の露光部分を除去した後、純水
を用いてリンスした。
【0089】こうして、ライン幅が3μmかつ間隔が3
μmのドット状のマスクパターンをシリコン基板の表面
に形成した。
【0090】−ポーラス化及び熱酸化工程− 以下の条件に従い、陽極化成法によるポーラス化、マス
クパターンの溶解除去、及び熱酸化によるSiO2 化を
行なった。
【0091】(ポーラス化) 使用した水溶液:フッ化水素と水とエタノールとの混合
液(20%:30%:50%) 電流:10mA/cm2 の定電流 処理時間:1分間 このポーラス化により、厚みが約5000Åのポーラス
層がシリコン基板の表面に形成した。
【0092】(マスクパターンの溶解除去)シリコン基
板をアセトン中に浸漬することにより、マスクパターン
を溶解除去した。
【0093】(SiO2 化)温度1000℃の条件下で
酸素ガスをフローすることにより、1時間処理した。そ
の後、1%フッ化水素水溶液を用いてシリコン基板の表
面を1分間処理した。
【0094】−電界処理工程− 電界処理を以下の条件により行なった。
【0095】使用ガスの種類と流量:CH4 とH2 との
混合ガス(20/40sccm) 合成条件:反応圧力20Torr、基板バイアス−10
0V、処理時間5分間 採用方法:マイクロ波プラズマCVD法(2.45GH
z)。
【0096】以上により、シリコン基板の表面にダイヤ
モンド発生のための初期核を形成した。
【0097】−ダイヤモンド形成工程− 以下の条件でダイヤモンドの形成を行なった。
【0098】原料ガスの種類と流量:COとH2 との混
合ガス(10/90sccm) 合成条件:反応圧力40Torr、シリコン基板温度9
00℃、合成時間1時間 合成法(原料ガス励起法):マイクロ波プラズマCVD
法(2.45GHz)。 その結果、シリコン基板の表面に、3μm角のドット状
のダイヤモンドを寸法精度よく、高い選択性をもって形
成することができた。
【0099】(実施例2)実施例1における電界処理工
程に代えて、以下の傷付け処理工程を行なうと共に、ダ
イヤモンドの形成条件を以下の通りに代えた外は、実施
例1と同様にしてダイヤモンド形成を行なった。
【0100】−傷付け処理工程− 超音波洗浄装置内に、粒径5〜12μmのダイヤモンド
粒0.5gを50mlのアセトン中に分散させると共に
この液中に、SiO2 化したシリコン基板を浸し、傷付
け処理を15分間行なった。これによりシリコン基板の
表面に微細な傷をつけた。
【0101】その後、バッファーフッ酸(エッチング速
度 1000Å/min)を用い、基板表面のエッチン
グ処理を行なった。
【0102】以上により、シリコン基板の表面にダイヤ
モンド発生のための初期核を形成した。
【0103】−ダイヤモンド形成工程− 以下の条件でダイヤモンドの形成を行なった。
【0104】原料ガスの種類と流量:COとH2 との混
合ガス(10/90sccm) 合成条件:反応圧力40Torr、シリコン基板温度9
00℃、合成時間1時間 合成法(原料ガス励起法):マイクロ波プラズマCVD
法(2.45GHz)。
【0105】その結果、シリコン基板の表面に、3μm
角のドット状のダイヤモンドを、寸法精度よく高い選択
性をもって形成することができた。
【0106】
【発明の効果】この発明によると、高性能な半導体デバ
イス、電子材料、ヒートシンク等の電子機器分野をはじ
めとする広い分野において好適なダイヤモンドを、高い
選択性をもって、所望の大きさ及び形状に寸法精度よ
く、簡便な操作でしかも再現性よく形成することのでき
る、ダイヤモンドの選択形成法を提供することができ
る。
【0107】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ダイヤモンドが選択的に形成されたシ
リコン基板の断面における状態を示す概略説明図であ
る。
【図2】図2は、ダイヤモンドが選択的に形成されたシ
リコン基板を上から見た状態を示す概略説明図である。
【図3】図3(a)は、電界処理を行なったシリコン基
板の断面における状態を示す概略説明図である。図3
(b)は、傷付け処理を行なった後、フッ化水素水溶液
処理を行なったシリコン基板の断面における状態を示す
概略説明図である。
【図4】図4は、マスクパターンを除去し、非マスク部
をSiO2 化したシリコン基板の断面における状態を示
す概略説明図である。
【図5】図5は、シリコン基板における非マスク部をポ
ーラス化した後のシリコン基板における断面の状態を示
す概略説明図である。
【図6】図6は、マスクパターンが形成されたシリコン
基板の断面の状態を示す概略説明図である。
【図7】図7は、フォトマスクを介して、シリコン基板
表面に塗布したレジスト層に、紫外線を露光している状
態を示す概略説明図である。
【図8】図8は、フォトマスクの一例を示す概略説明図
である。
【符合の説明】
1 シリコン基板 2 ダイヤモンド 3 SiO2 層 4 ポーラス層 5 レジスト層 5a マスクパターン 6 フォトマスク 6a 光遮断部 6b 光透過部 7 ダイヤモンド発生核

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板の表面に、マスクパターン
    を形成し、非マスク部を陽極化成法によりポーラス化し
    た後に熱酸化することによりSiO2 化し、その後電界
    処理又は傷付け処理を行ない、次いで気相法によるダイ
    ヤモンド合成を行なうことを特徴とするダイヤモンドの
    選択形成法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004307253A (ja) * 2003-04-07 2004-11-04 New Japan Radio Co Ltd 半導体基板の製造方法
JP2007204320A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Nec Tokin Corp 複合圧電基板及びその製造方法
JP2011080130A (ja) * 2009-10-09 2011-04-21 Osg Corp ダイヤモンド被覆電極、およびダイヤモンド被覆電極の製造方法

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