JPH0611559B2 - 感熱転写記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、転送されてくる電気信号に従ってハードコピ
ーを出力する感熱転写記録装置に係り、特に小型で高速
で色ずれの少ないカラー印字を容易にした感熱転写記録
装置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 近年、電子カメラや静止画ファイル、キャプテンシステ
ムといった画像のカラーのハードコピーを求める傾向が
強くなってきている。感熱転写方式はこれらの要求に応
える方式として期待を集めているが、特に最近はサーマ
ルヘッドの高密度化や信号処理の高速化に伴った高精細
度画像の高速な出力が迫られている。そこで、感熱転写
方式でこれらの要求を満たすために記録紙搬送能力の高
精度化や記録紙搬送経路の縮少といった機構的な課題に
対する取組が行なわれている。

以下に従来の感熱転写記録装置について説明する。第１
図は従来の感熱転写記録装置の基本構成図を示すもの
で、１はライン状のサーマルヘッド、２は記録紙、３は
フィルム状の基材の上にイエロー，マゼンタ，シアンの
熱溶融性インクを各々一画面の記録面積ぶん順次塗り分
けたインクシート、４はインクシート供給リール、５は
インクシート巻取リール、６，７はインクシートガイド
ローラである。８は記録紙ロール、９は図示しない駆動
手段により正逆回転を行うキャプスタンローラ、１０，
１１は各々表層部に弾性体を有するプラテンローラ、お
よびピンチローラである。また１４はピンチローラ支持
アームで筐体に固定した軸１２によって回動自在に固定
されている。１５はピンチローラをキャプスタンローラ
に圧接する圧縮コイルバネ、１６はヘッド支持アームで
筐体に固定した軸１３のまわりに回動可能である。１７
はサーマルヘッド１をプラテンローラに圧接する圧縮コ
イルバネ、１８は紙押えローラである。

以上のように構成された従来の感熱転写記録装置につい
て、以下その動作について説明する。キャプスタンロー
ラ９、ピンチローラ１１、プラテンローラ１０、および
紙押えローラ１８によって矢印ａ方向に一画面ぶん搬送
された記録紙２は、サーマルヘッド１とプラテンローラ
１０の圧接位置で、サーマルヘッド１の発熱によりイン
クシート３上で溶融したインクの転写を受け画像を形成
する。イエローのインクで一画面ぶんの印字が終了する
まで、キャプスタンローラ９は矢印ｂ方向に回転しピン
チローラ１１との挾持位置で記録紙２を矢印ｃ方向に搬
送する。同時にインクシート巻取リール５は図示しない
駆動手段によって回転し、記録紙２との摩擦力で印字位
置から搬出されるぶんだけインクシート３を巻取り、イ
ンクシート供給リール４はインクシート３に適度なバッ
クテンションを与えながら従動的な回転を行う。以上の
ようにしてイエローインクによる印字を終了したら、図
示しない手段によってサーマルヘッド１およびヘッドア
ーム１６をガイドローラ６，７と共に軸Ｂ１３のまわり
に回動して、サーマルヘッド１およびインクシート３を
記録紙２およびプラテンローラ１０から離間する。次に
キャプスタンローラ９は矢印ｄ方向に回転し、記録紙２
を矢印ａ方向に搬送すると同時に、送り出された記録紙
２を緊張した状態に保ちながら巻き取るようにプラテン
ローラ１０と紙押えローラ１８も回転させる。こうして
記録紙２を記録時と同じ距離だけ搬送し、記録開始位置
まで復帰させ、再びサーマルヘッド１およびインクシー
ト３を圧接させてマゼンタインクについて上述の印字動
作を繰返し前回印字してイエローインク画像の上にマゼ
ンタインクによる画像を重ね印字する。同様にシアンイ
ンクの印字を行い最後に排紙動作として記録紙２を矢印
ａ方向に搬送して一画面ぶんの記録を完了する。

しかしながらこのような構成では、サーマルヘッド１を
回動させてプラテンローラ１０の弾性部材へ押圧させる
ため、発熱体とキャプスタンローラ９間の記録紙２の長
さが変化し易く、繰返し重ね印字する際の色ずれが大き
くなるという問題点を有しており、また印字動作の前後
に記録紙２を排出方向へ一画面ぶん搬送する動作が必要
であり記録時間の短縮を阻むという問題点をも有してい
た。

発明の目的 本発明は上記従来の問題点を解消するもので、色ずれを
少なくし、記録時間を短縮し、併せて構成の簡素化を可
能にする感熱転写記録装置を提供することを目的とす
る。

発明の構成 本発明はフィルム状の基材上に複数の色材層が各々１画
面の大きさで順次塗布され前記サーマルヘッドの発熱素
子全面を覆うように配置されたインクシートを熱溶融さ
せるライン状に配列した複数個の発熱素子を有し筺体に
固定されたサーマルヘッドと、筺体に軸着されて駆動手
段により正逆回転するキャプスタンローラと、表面が弾
性部材で構成されたプラテンローラと、前記プラテンロ
ーラを回転自在に支持しつつ前記キャプスタンローラの
軸を中心に正逆回動して前記プラテンローラが前記サー
マルヘッドに圧接する位置と離間する位置との間の移動
を可能とする支持部材と、前記支持部材上に設けられ常
時前記プラテンローラを記録紙を介して前記キャプスタ
ンローラに弾性的に押圧せしめる押圧手段と、前記支持
部材を正逆回動せしめ前記プラテンローラを記録紙およ
び前記インクシートを介して前記サーマルヘッドの発熱
素子のラインに圧接・離間せしめる離接手段とを備え、 前記キャプスタンローラの正逆回転による記録紙の双方
向への搬送により記録動作および復帰動作を複数回繰り
返しおこなわしめ、記録動作時は前記離接手段により前
記プラテンローラを前記サーマルヘッドに圧接し前記キ
ャプスタンローラにより記録紙を搬送しながら前記サー
マルヘッドの発熱により前記インクシート１色ぶんによ
る１画面の記録を行い、復帰動作時は前記離接手段によ
り前記プラテンローラを前記サーマルヘッドから離間し
前記キャプスタンローラにより記録紙を１画面ぶん逆送
して記録紙を復帰せしめ、記録動作ごとに前記インクシ
ートの異なった色の記録が行なわれ、記録動作および復
帰動作を複数回繰り返すことで複数色の記録を記録紙の
同一画面上に順次重ねて行ない、記録動作から復帰動作
への移行時および復帰動作から記録動作への移行時は前
記キャプスタンローラは停止し前記プラテンローラは前
記キャプスタンローラおよび記録紙と滑らずに回転しな
がら前記キャプスタンローラの周上を移動することを特
徴とする感熱転写記録装置であり、サーマルヘッドおよ
びキャプスタンローラを筺体に固着し、サーマルヘッド
の発熱体位置とキャプスタンローラ間の記録紙の長さを
プラテンローラとサーマルヘッドとの離接動作に対して
安定させることにより色ずれを減少させ、さらにキャプ
スタンローラを記録部の排紙側に配置することが可能と
なり、記録紙の印字方向と排紙方向を同一にして印字動
作の前後に記録紙を排紙方向に一画面分搬送する動作を
省いて記録時間を短縮し、また構成を簡単化することが
できるものである。

実施例の説明 第２図は本発明の第１の実施例における感熱転写記録装
置の基本構成図を示すものである。第２図において、１
９は筐体に固定されたライン状に複数個の発熱体を配列
して成るサーマルヘッド、２０は記録紙、２１はフィル
ム状の基材の片面にイエロー、マゼンタ、シアンの熱溶
融性インクを順次塗り分けたインクシートであり、２２
はインクシート供給リール、２３はインクシート巻取リ
ール、２４，２５はインクシートガイドローラである。
２６は記録紙ロール、２７は筐体に軸着し、図示しない
駆動手段によって正逆回転を行うキャプスタンローラ、
２８は表層部に弾性体（例えばシリコンゴムをライニン
グする等したもの）を有するプラテンローラである。２
６はプラテンローラ２８の軸受部３４ｂと後述の支持ア
ームの間に係着されプラテンローラ２８をキャプスタン
ローラ２７に圧接せしめる押圧手段であるコイルバネ、
３０は筐体と支持アーム３４の間に係着されプラテンロ
ーラ２８をサーマルヘッド１９に圧接せしめるコイルバ
ネであり、３１は離接手段であるカム、３２は筐体に固
定された軸Ａ、３３はキャプスタンローラ２７を筐体に
軸着する軸、３４はキャプスタンローラ２７の方向への
自由度を与える長穴３４ａによって軸受３４ｂを介して
プラテンローラ２８を摺動および回動自在に支持し、こ
のプラテンローラ２８をキャプスタンローラ２７に圧接
させた状態で、キャプスタンローラ２７と共通の軸心を
持つ軸３３のまわりに自身が回動する支持部材である支
持アームである。また第３図は第２図のカム３１を軸３
２のまわりに回動し支持部材３４およびこれに附随する
プラテンローラ２８を押し下げ、サーマルヘッド１９と
離間せしめた状態を示したもので、第２図と同一部分は
同一番号を付して説明を省略する。以上のように構成さ
れたこの実施例の感熱転写記録装置について、以下その
動作を説明する。サーマルヘッド１９とプラテンローラ
２８の圧接位置でサーマルヘッド１９上の発熱素子１９
ａを画信号に従って発熱させ、インクシート２１上のイ
ンクを溶融させ記録紙２０上に転写させて画像を形成す
る。イエローのインクで一画面ぶんの印字が終了するま
で、キャプスタンローラ２７は矢印ｅ方向に回転しプラ
テンローラ２８との挾持位置で記録紙２０を矢印ｆ方向
に搬送する。同時にインクシート巻取リール２３は図示
しない駆動手段によって回転し印字位置からくり出され
るインクシート２１を巻取り、インクシート供給リール
２２はインクシート２１に適度なバックテンションを与
えながら従動的に回転する。以上のようにしてイエロー
の印字を終了したら、カラー印字のための復帰動作を開
始する。まず、図示しない駆動手段によってカム３１を
軸３２のまわりに回動し、第３図に示すように支持部材
３４をコイルバネ３０に抗して回動し、押し下げてプラ
テンローラ２８をヘッド１９から離間させる。この時キ
ャプスタンローラ２７は回転しないので、プラテンロー
ラ２８は記録紙２０を一定の押圧力で挾持し、スリップ
しないように押圧位置を変化させながらキャプスタンロ
ーラ２７のまわりに回転する。次にキャプスタンローラ
２７を矢印ｇ方向に回転し記録紙２０を矢印ｈ方向に搬
送すると同時に、送り出された記録紙２０を緊張した状
態に保ちながら巻き取るように記録紙ロール２６を回転
させる。こうして記録紙２０を記録時と同じ距離だけ搬
送したら、カム３１を回動して再びプラテンローラ２８
をサーマルヘッド１９に圧接しマゼンタインクについて
上述の印字動記をくり返す。同様にシアンインクの印字
を行い一画面ぶんの記録を終了する。以上のようにこの
実施例によれば、サーマルヘッド１９とキャプスタンロ
ーラ２７を筐体に固定することにより記録紙２０の搬送
位置と印字位置の相対的な位置関係を一定に保つことが
可能で、プラテンローラ２８とサーマルヘッド１９との
押圧状態のバラつきに起因する色ずれを減少させること
ができる。またプラテンローラとピンチローラを一体化
することによって装置を小型化でき、併せて記録紙の搬
送位置と印字位置を接近させキャプスタンローラ２７を
印字位置の排紙側に設置し印字方向と排紙方向を同一に
して従来例に示した印字動作前後の記録紙２０の搬送を
削除し記録時間を短縮することができる。

以下本発明の第２の実施例について、図面を参照しなが
ら説明する。第４図は本発明の第２の実施例を示す感熱
転写記録装置の概略構成図である。同図において第２図
と同一部分は同一番号を付して説明省略する。第２図と
異なるのはプラテン支持アーム３４を２つのアームに分
けた点で、３５はプラテンローラ２８をキャプスタンロ
ーラ２７の方向へ回動する第１の支持部材であるプラテ
ン支持アームＡであり、３６はプラテン支持アームＡ３
５を回動自在に支持してプラテンローラ２８をサーマル
ヘッド１９の方向へ圧接・離間可能に回動する第２の支
持部材であるプラテン支持アームＢである。ただしプラ
テン支持アームＡ３５は、サーマルヘッド１９の印字面
に垂直な方向より角度θの傾きを持って、プラテンロー
ラ２８をサーマルヘッド１９に圧接する。上記のように
構成された本発明の第２の実施例の感熱転写記録装置の
動作は、第１の実施例と同様なものであり説明を省略す
る。以上のように、この実施例によれば、プラテンロー
ラのキャプスタンローラに対する自由度を軸のまわりに
回動するアームによって持たせたことによりプラテンロ
ーラの軸受部におけるガタつきを減少させ、記録紙搬送
位置および印字位置精度を高めることができる。

なお、両実施例において記録紙２０を矢印ｈ方向へ搬送
する際（以下、紙戻し時とする）に記録紙ロール２６に
回転力を与えて記録紙２０の弛みを取るとしたが、記録
紙の弛みを取るためのテンションローラを設けても同様
の効果を得ることができる。またこの他に、紙戻し時に
は弛むままにしておいて、プラテンローラ２８とサーマ
ルヘッド１９を圧接する直前に記録紙を緊張させる動作
を行っても同様の効果を得ることができる。さらに両実
施例においてインクシート２１の表面には熱溶融性イン
クが塗布されているとしたが、熱昇華性インクが塗布さ
れていてもよいし、また色の印字順はイエローマゼン
タ、シアンとしたが別の順番でもよい。さらに記録紙搬
送経路上、サーマルヘッド１９の近傍にセンサを設け、
１色目の印字時にマーキングの印字も行い、２，３色目
の印字は、このマーキングを読み取ったセンサーからの
信号に呼応してサーマルヘッド１９が発熱開始して行う
ようにしても、同様の効果が得られる。またこのために
はマーキングをセンサで検出した時に、２色目または３
色目の印字開始位置が未だサーマルヘッド上の印字位置
に到達していないような記録紙上印字開始位置、マーキ
ング、センサ、サーマルヘッド上印字位置の位置関係が
必要である。さらに、両実施例において紙戻し時にはサ
ーマルヘッド１９の印字位置に次の色のインク面を提供
するまでインクシート２１を搬送するのだが、インクシ
ートの両側または片側に予めマーキングを施し、サーマ
ルヘッド１９近傍に設けたセンサでこのマーキングを検
出して次の色のインク面の頭出しが行なえるようにして
も同様の効果を得るものである。

発明の効果 以上のように本発明の感熱転写記録装置は筐体に固定し
たライン状のサーマルヘッドと、筐体に軸着した駆動ロ
ーラと、この駆動ローラに記録紙を介して圧接したまま
前記サーマルヘッドと圧接・離間する従動ローラと、こ
の従動ローラを軸支し前記駆動ローラの軸心を中心とし
て回動する少なくとも一個の支持体とを設けることによ
り色ずれを減少させ、記録時間を短縮し、装置を簡略化
することができ、その実用的効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例における感熱転写記録装置の基本構成を
示す側面図、第２図は本発明の第１の実施例における感
熱転写記録装置の基本構成を示す側面図、第３図は第２
図のプラテンローラがサーマルヘッドと離間した状態を
示す側面図、第４図は本発明の第２の実施例における感
熱転写記録装置の基本構成を示す側面図である。 １９……サーマルヘッド、２０……記録紙、２１……イ
ンクシート、２７……キャプスタンローラ、２８……プ
ラテンローラ、２９……バネＡ、３０……バネＢ、３１
……カム、３２……軸Ａ、３３……軸Ｂ、３４……プラ
テン支持アーム、３５……プラテン支持アームＡ、３６
……プラテン支持アームＢ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フィルム状の基材上に複数の色材層が各々
   １画面の大きさで順次塗布され前記サーマルヘッドの発
   熱素子全面を覆うように配置されたインクシートを熱溶
   融させるライン状に配列した複数個の発熱素子を有し筺
   体に固定されたサーマルヘッドと、筺体に軸着されて駆
   動手段により正逆回転するキャプスタンローラと、表面
   が弾性部材で構成されたプラテンローラと、前記プラテ
   ンローラを回転自在に支持しつつ前記キャプスタンロー
   ラの軸を中心に正逆回動して前記プラテンローラが前記
   サーマルヘッドに圧接する位置と離間する位置との間の
   移動を可能とする支持部材と、前記支持部材上に設けら
   れ常時前記プラテンローラを記録紙を介して前記キャプ
   スタンローラに弾性的に押圧せしめる押圧手段と、前記
   支持部材を正逆回動せしめ前記プラテンローラを記録紙
   および前記インクシートを介して前記サーマルヘッドの
   発熱素子のラインに圧接・離間せしめる離接手段とを備
   え、 前記キャプスタンローラの正逆回転による記録紙の双方
   向への搬送により記録動作および復帰動作を複数回繰り
   返しおこなわしめ、記録動作時は前記離接手段により前
   記プラテンローラを前記サーマルヘッドに圧接し前記キ
   ャプスタンローラにより記録紙を搬送しながら前記サー
   マルヘッドの発熱により前記インクシート１色ぶんによ
   る１画面の記録を行い、復帰動作時は前記離接手段によ
   り前記プラテンローラを前記サーマルヘッドから離間し
   前記キャプスタンローラにより記録紙を１画面ぶん逆送
   して記録紙を復帰せしめ、記録動作ごとに前記インクシ
   ートの異なった色の記録が行なわれ、記録動作および復
   帰動作を複数回繰り返すことで複数色の記録を記録紙の
   同一画面上に順次重ねて行ない、記録動作から復帰動作
   への移行時および復帰動作から記録動作への移行時は前
   記キャプスタンローラは停止し前記プラテンローラは前
   記キャプスタンローラおよび記録紙と滑らずに回転しな
   がら前記キャプスタンローラの周上を移動することを特
   徴とする感熱転写記録装置。
2. 【請求項２】支持部材を、プラテンローラを回転自在に
   支持し押圧手段により常時前記プラテンローラをキャプ
   スタンローラに弾性的に押圧する第１の支持部材と、前
   記第１の支持部材を回動自在に支持しかつ前記キャプス
   タンローラと同軸上に正逆回動して離接手段により前記
   プラテンローラをサーマルヘッドに圧接・離間する第２
   の支持部材で構成したことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の感熱転写記録装置。